JPH0770422B2 - 改善された油浸コンデンサ− - Google Patents

改善された油浸コンデンサ−

Info

Publication number
JPH0770422B2
JPH0770422B2 JP21865486A JP21865486A JPH0770422B2 JP H0770422 B2 JPH0770422 B2 JP H0770422B2 JP 21865486 A JP21865486 A JP 21865486A JP 21865486 A JP21865486 A JP 21865486A JP H0770422 B2 JPH0770422 B2 JP H0770422B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fraction
oil
distillation
condenser
product
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP21865486A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS6373609A (ja
Inventor
重信 川上
圭治 遠藤
英幸 土肥
篤 佐藤
Original Assignee
日本石油化学株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日本石油化学株式会社 filed Critical 日本石油化学株式会社
Priority to JP21865486A priority Critical patent/JPH0770422B2/ja
Publication of JPS6373609A publication Critical patent/JPS6373609A/ja
Publication of JPH0770422B2 publication Critical patent/JPH0770422B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、改良された物性を有するエチルベンゼン製造
時に副生する副生留分を含浸してなる油浸コンデンサー
に関する。
[従来技術とその問題点] ベンゼンにエチレンを、アルキル化触媒により導入して
エチルベンゼンを製造する際に、1,1−ジフェニルエタ
ンを含む重質な副生油が生成することは、例えば、特開
昭54−23088号公報により知られている。しかしなが
ら、同公報では、1,1−ジフェニルエタン(沸点270℃)
よりも高沸点である275〜420℃の温度範囲に沸点を有す
る副生油留分が電気絶縁油として有用であるとしてい
る。
本発明者らは、上記公報に記載された留分よりも低沸点
の留分を蒸留により回収し、ポリプロピレンを用いた油
浸コンデンサーに含浸するも、必ずしも優れた特性のコ
ンデンサーが得られないことを見出した。この理由は明
らかでないが、上記のエチルベンゼン製造時の副生油
は、副生物であることに起因して、1,1−ジフェニルエ
タンの他に必らず種々の分析不可能な化合物を含有して
いる。これらの分析不可能な化合物の種類およびその量
は一定せず、しかも、これらの化合物および1,1−ジフ
ェニルエタンは、互いに沸点が、近接または重複してい
る。すなわち、蒸留では純粋な1,1−ジフェニルエタン
を回収することは不可能である。
更に、蒸留によりある沸点の留分を回収する場合、その
留分の沸点は、留出の温度をもって示される。しかる
に、実際には蒸留の条件、例えば、蒸留装置の理論段
数、還流比、ボトム温度などの塔内温度分布、留出量な
どの諸蒸留因子により、たとえ留出温度、すなわち留分
の沸点が同一であっても、その留分中に含まれる成分の
種類および量は大幅に変わり得るものである。
このような事情に鑑み、本発明の目的は、エチルベンゼ
ン製造時に副生する特定の副生油留分を含浸してなる特
性が改善された油浸コンデンサーを提供することにあ
る。
[発明の構成] すなわち、本発明は、アルキル化触媒により、ベンゼン
をエチレンでアルキル化することによりエチルベンゼン
を製造する際に副生する重質な副生油から、C13NMR法で
測定したスペクトルの化学シフトとしての、120〜155pp
mにおける面積強度が、スペクトルの全面積強度(0〜1
55ppm)に対して80%以上の割合となるように、減圧下
に精密蒸留することにより回収した、留出温度が268〜2
75℃(常圧換算)の範囲にある留分を含浸してなる、誘
電体としてポリプロピレンフィルムを用いた油浸コンデ
ンサーに関するものである。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
アルキル化触媒により、ベンゼンをエチレンによってア
ルキル化しエチルベンゼンを製造する方法は、スチレン
モノマーの原料の製造方法として工業的に大規模に実施
されている。本発明の副生油は、かかるエチルベンゼン
の製造時に副生する副生油から得られるものである。
更に詳しく説明すると、ベンゼンとエチレンとを反応さ
せるためには、通常の液相アルキル化法または気相アル
キル化法が用いられる。液相アルキル化法の場合には、
塩化アルミニウムなどのフリーデル・クラフツ触媒およ
び硫酸、p−トルエンスルホン酸、フッ化水素酸などの
ブレンステッド酸などが用いられ、気相アルキル化法で
は、合成ゼオライト、例えば、ZSM−5や、適宜の担体
に担持したリン酸などが用いられる。反応温度は、液相
アルキル化法では通常20〜175℃、気相アルキル化法で
は250〜450℃の範囲内で選択される。
上記の反応により、未反応ベンゼン、目的物たるエチル
ベンゼン、ポリエチルベンゼンおよびより重質な副生油
からなるアルキル化生成物が得られる。このアルキル化
生成物について、必要に応じて常法に従い触媒を除去
し、中和、水洗を行なう。次に、未反応ベンゼン、エチ
ルベンゼン、ポリエチルベンゼンを留去することによ
り、本発明の方法に供する副生油が得られる。
この副生油にはタール状物質等が含まれていること、お
よび後述の蒸留を容易にするために、あらかじめ減圧蒸
留により、粗蒸留を行ない、目的とする留分を含むより
広い温度範囲の留分を得る。これを更に後記の条件に従
い蒸留する。この粗蒸留により得られる留分は、目的と
する留分を含むものであれば特に限定されないが、例え
ば、留出温度は255〜420℃(常圧換算)の範囲から選択
される。
上記副生油から、留出温度が268〜275℃(常圧換算)の
範囲にある留分を蒸留により回収する。
この蒸留は、得られた留分についてC13NMR法で測定した
スペクトルの、化学シフトとしての120〜155ppmにおけ
る面積強度が、スペクトルの全面積強度(0〜155ppm)
に対して80%以上の割合になるように、減圧下に精密蒸
留を行なうことが肝要である。
上記のようにして蒸留して得た副生油留分を含浸した油
浸コンデンサーが優れた特性を有する理由は明らかでは
ない。しかしながら、前述の如くエチルベンゼン製造時
に副生する副生油中には、1,1−ジフェニルエタンと沸
点が近接しあるいは重複する分析不可能な化合物が共存
するが、C13NMR法による面積強度の割合を特定すること
により、これら分析不可能な化合物同士あるいは、これ
らと1,1−ジフェニルエタンとの相乗作用により、1,1−
ジフェニルエタンを単独で含浸させてなる油浸コンデン
サーと同等あるいはそれ以上の特性の優れた油浸コンデ
ンサーが得られるものと考えられる。
なお、前記C13NMR法による面積強度の割合の上限値は特
に限定されないが、副生油が蒸留のみでは完全に分離す
ることが不可能な多数の化合物を含有しているので、通
常は86%以下である。
前記の如く、エチルベンゼンの副生油には、測定不可能
な種々の化合物が含まれている。これらの化合物の中に
は、より高温に加熱されると、重合、分解あるいは異性
化などの反応を起こすものがあり、また、副生油自体は
重質で沸点が高い。従って、副生油を蒸留する際には減
圧下で行なうことが必要であり、常圧蒸留では前記の面
積強度の割合が80%には到達せず、またたとえ到達した
としても極めて物性の劣るものしか得られない。減圧度
は200mmHg以下、好ましくは50mmHg以下であれば十分で
ある。必要以上に高度に減圧することは不経済である。
精密蒸留は連続式でもあるいは回分式もよく、また単塔
あるいは複数塔の精密蒸留装置で行なうことができる。
蒸留操作を支配する因子、例えば、蒸留塔の理論段数、
還流比、ボトム温度などの塔内温度分布、留出量、その
他の因子を適宜に調節し、前記条件に適合するように操
作を行なう。通常、理論段数は10段以上、好ましくは20
段以上の精密蒸留装置を用いることが必要である。
ここでC13NMR法による測定法を説明する。測定温度は通
常常温である。測定すべき試料としての留分は、濃度10
〜20容量%となるように測定溶媒である重水素化クロロ
ホルムに溶解させる。測定周波数は適宜変えられるが、
例えば、67.MHzである。得られたC13NMRスペクトルにお
いてテトラメチルシランを基準とした化学シフトが120
〜155ppmの間の面積強度を求めて、この値の、溶媒を除
く全スペクトル(0〜155ppm)の面積強度を合成した全
面積強度に対する割合(%)を求める。この値の小数点
以下1桁目は四捨五入する。測定の際は定量性を高める
ために、通常、核オーバーハウザー効果を消去したプロ
トン完全デカップリング法により測定する。
上記の如くして得られた留分は、必要に応じて精製した
後、常法に従いコンデンサーに含浸する。
本発明のコンデンサーは、誘電体としてポリプロピレン
フィルムのみを用い、導電層としての金属箔、例えば、
アルミニウム箔と共に巻回されてなるものであり、コン
デンサー素子に前記のようにして得た副生油留分を含浸
することによって油浸コンデンサーを製造する。なお、
金属化ポリプロピレンフィルムを巻回してなる油浸コン
デンサーも本発明の油浸コンデンサーに包含される。
[発明の効果] 本発明において使用する前記副生油留分は、プラスチッ
クフィルム、特にポリプロピレンなどのポリオレフィン
フィルムを誘電体として用いる油浸コンデンサーに含浸
させた場合、コンデンサーを格段に小型化できるので極
めて経済的である。
以下に実施例により本発明を更に説明する。
[実施例] (ベンゼンのアルキル化) 塩化アルミニウム触媒を使用し、液相アルキル化法によ
り、ベンゼンをエチレンでアルキル化することによって
エチルベンゼンを製造する工程から、未反応ベンゼン4
3.0重量%、エチルベンゼン11.8重量%、ポリエチルベ
ンゼン18.3重量%およびより重質な副生油7.6重量%か
らなるアルキル化生成物を得た。蒸留によりアルキル化
生成物から、未反応ベンゼン、エチルベンゼンおよびポ
リエチルベンゼンを留去した。残留分である副生油は黒
色の粘性物であった。これを減圧下(10mmHg)で留出温
度範囲255〜420℃(常圧換算)の留分を回収した。
回収した255〜420℃の留分(以下「回収留分」という)
から、次のようにして各留分を回収した。
(実施例) No.1留分 下記の精密蒸留塔のボトムに1600の回収留分を仕込
み、減圧度5〜15mmHgの範囲で精密蒸留することによ
り、留出温度範囲が268〜275℃(常圧換算)のNo.1留分
を得た。
充填塔: 直径 400mm、高さ 10.4m 理論段数 25段 (比較例) No.2留分 下記の蒸留塔のボトムに1600の回収留分を仕込み、減
圧度250mmHg以上で蒸留することにより、留出温度範囲
が268〜275℃(常圧換算)のNo.2留分を得た。
充填塔: 直径 400mm、高さ 4.0m 理論段数 5段 No.3留分 No.1留分と同一の蒸留装置を使用して、回収留分を同様
に蒸留することにより、留出温度範囲が275〜280℃(常
圧換算)のNo.3留分を得た。
(C13NMR法による測定) 日本電子(株)製のGX−270型C13NMR測定装置により、
溶媒としての重水素化クロロホルムに各留分を濃度15%
で溶解し、室温で測定を行なった。
観測周波数: 67.8MHz なお、定量性を高めるために、核オーバーハウザー効果
を消去したプロトン完全デカップリング法により測定し
た。
C13NMRスペクトルにおいて、化学シフトが120〜155ppm
における面積強度の全面積強度(0〜155ppm)に対する
割合を各留分について求めた。その結果を表1に示す。
化学シフトはテトラメチルシランを基準とした。
(ポリプロピレンフィルムとの適合性) 所定の形状に切断したポリプロピレンフィルム(厚み14
ミクロン)を、80℃で72時間各留分中に浸漬した後、フ
ィルムを取り出し、浸漬前後のフィルムの体積変化率
(%)を測定した。その結果を表1に示す。数値が小さ
いもの、すなわち体積変化率の小さいものほどフィルム
を膨潤させず寸法安定性が優れているので、ポリプロピ
レンフィルムとの適合性がよいということができる。
(コロナ開始電圧:CSVおよび コロナ消滅電圧:CEVの測定) 誘電体として厚み14ミクロンのポリプロピレンフィルム
を2枚重ねたものを使用し、電極としてアルミニウム箔
を常法に従って、巻回、積層することにより、油含浸用
のモデルコンデンサーを作成した。
このコンデンサーに、真空下で各留分を含浸させて、静
電容量0.4マイクロファラッドの油含浸コンデンサーを
作成した。
これらのコンデンサーの25℃におけるコロナ開始電圧お
よびコロナ消滅電圧を測定した。それらの結果を表1に
示す。
(コンデンサーの寿命試験) 誘電体として厚み14ミクロンのポリプロピレンフィルム
を2枚重ねたものを使用し、電極としてアルミニウム箔
を常法に従って、巻回、積層することにより油含浸用の
モデルコンデンサーを作成した。
このコンデンサーに、真空下で各留分を含浸させて、静
電容量0.4マイクロファラッドの油含浸コンデンサーを
作成した。
次にこれらのコンデンサーに25℃で所定の交流電圧を課
電して、そのコンデンサーが破壊するまでの時間を測定
することにより、コンデンサーの寿命を求めた。その場
合、電位傾度80V/μから48時間毎に10V/μの割合で電位
傾度を上昇させ、コンデンサーの壊れる数を調べた。最
初のコンデンサーの数はそれぞれ10個とした。その結果
を表2に示す。
表1に示す結果から、本発明のコンデンサーに使用した
含浸油は、ポリプロピレンフィルムに対する膨潤率が小
さいことが解る。
更に本発明の油浸コンデンサーは、コロナ放電特性が格
段に改良されていることも明らかである。
ここで、コンデンサーの設計については、電源投入時に
発生する高電圧により、しばしばコロナ放電が発生する
という理由から、むしろコロナ放電消滅電圧(CEV)の
値に従って設計されるのが通例である。そこで表1に示
すCEV値から、コンデンサーとして同一容量を有するコ
ンデンサーの体積を計算すると、CEVの2乗に比例する
ことになるので、次の通りである。なおNo.1留分を使用
したコンデンサーの体積を基準として、その値からの体
積増加分を(%)で示した。 留分No. 増加分 No.1留分 0% No.2留分 36% No.3留分 100% 回収留分 139% 上記の結果から明らかなように、同一容量にするために
は、比較例の油浸コンデンサーは格段に大きな容積のコ
ンデンサーとせざるを得ず、そのために要するオイル、
フィルム、電極などの材料費を加味すると、到底実用的
な油浸コンデンサーとならないことは明らかである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルキル化触媒により、ベンゼンをエチレ
    ンによってアルキル化することによりエチルベンゼンを
    製造する際に副生する重質副生油から、C13NMR法で測定
    したスペクトルの化学シフトとしての120〜155ppmにお
    ける面積強度が、スペクトルの全面積強度(0〜155pp
    m)に対して80%以上の割合になるように、減圧下に精
    密蒸留することにより回収された、留出温度が268〜275
    ℃(常圧換算)の範囲にある留分を含浸してなる、誘電
    体としてポリプロピレンフィルムを用いた油浸コンデン
    サー。
JP21865486A 1986-09-17 1986-09-17 改善された油浸コンデンサ− Expired - Fee Related JPH0770422B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21865486A JPH0770422B2 (ja) 1986-09-17 1986-09-17 改善された油浸コンデンサ−

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21865486A JPH0770422B2 (ja) 1986-09-17 1986-09-17 改善された油浸コンデンサ−

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS6373609A JPS6373609A (ja) 1988-04-04
JPH0770422B2 true JPH0770422B2 (ja) 1995-07-31

Family

ID=16723332

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21865486A Expired - Fee Related JPH0770422B2 (ja) 1986-09-17 1986-09-17 改善された油浸コンデンサ−

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0770422B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPS6373609A (ja) 1988-04-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0170283B1 (en) Electrical insulating oil and oil-filled electrical appliances
JPH0559524B2 (ja)
JPH0770423B2 (ja) 油浸コンデンサ−
EP0000619A1 (en) Liquid dielectric composition
WO2007081088A1 (en) Heavy aromatic electrical insulation oil with high breakdown voltage
JPH0770422B2 (ja) 改善された油浸コンデンサ−
JPH0770421B2 (ja) 改良された油浸コンデンサ−
JPH086094B2 (ja) 副生油留分の物性改良方法
JPH088014B2 (ja) 電気絶縁油
US4568793A (en) Electrical insulating oil and oil-filled electrical appliances
JPH0639431B2 (ja) ポリフェニルメタンをベースとした組成物と、その製造方法および誘電体としての応用
JPH0521282B2 (ja)
JPH088015B2 (ja) 改良された電気絶縁油組成物
CA1340754C (en) Oil-filled capacitor
JPH0770424B2 (ja) 改良された油浸コンデンサ−
US4802058A (en) Novel method for refining electrical insulating oil
GB2094338A (en) Dielectrical insulating fluid for use in electrical capacitors
JPS6023903A (ja) 電気絶縁油の製造方法
JPS6346926B2 (ja)
JPS63314708A (ja) 新規な電気絶縁油組成物の製造方法
JPS6253491B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees