JPH0770040A - 光学活性シアノヒドリンエステルの製造法 - Google Patents

光学活性シアノヒドリンエステルの製造法

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JPH0770040A
JPH0770040A JP5223637A JP22363793A JPH0770040A JP H0770040 A JPH0770040 A JP H0770040A JP 5223637 A JP5223637 A JP 5223637A JP 22363793 A JP22363793 A JP 22363793A JP H0770040 A JPH0770040 A JP H0770040A
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JP
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formula
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hydrogen atom
alkyl
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JP5223637A
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Tomoko Oike
智子 大池
Atsushi Furuya
敦史 古谷
Takeo Suzukamo
剛夫 鈴鴨
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 1段階で光学純度の高い光学活性シアノヒド
リンエステルを製造する方法を提供する。 【構成】(a)アルデヒドと不斉相間移動触媒との混合
物に、水溶性シアン化物とカルボン酸の酸ハライドおよ
び/または酸無水物とを並注すること、または(b)ア
ルデヒドに、不斉相間移動触媒、水溶性シアン化物およ
びカルボン酸の酸ハライドおよび/または酸無水物を並
注することを特徴とする光学活性シアノヒドリンエステ
ルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学活性シアノヒドリン
エステルの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般式(XI) で示されるシアノヒドリンエステルは生理活性を示すこ
とが知られている。例えばR1 がm−フェノキシフェニ
ル基、R7 が(4−クロロフェニル)イソプロピルメチ
ル基である光学活性な化合物は優れた殺虫活性を示す。
【0003】これまでに、光学活性シアノヒドリンエス
テルの製造方法はいくつか提出されている。例えば (1)
アルデヒドとシアン化水素とを不斉触媒の存在下に反応
させて光学活性シアノヒドリンを得た後、これとカルボ
ン酸ハライドとを反応させるという2段階よりなる方法
(特開昭59−116256号公報)、 (2)水溶性シア
ン化物と不斉相間移動触媒との混合物にベンズアルデヒ
ドと無水酢酸との混合物を加えるという1段階よりなる
方法(Tetrahedron Lett.2171(1979) )などが知られて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが (1)の方法は
2段階よりなるため、生産性等の点で満足できるもので
はなかった。また (2)の1段階よりなる方法では目的物
の光学純度が低いという問題があった。本発明は、これ
らの欠点を克服して1段階で光学純度の高い光学活性シ
アノヒドリンエステルを製造する方法を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた結果、アルデヒドおよび不斉相間移動触媒の混合
物に、水溶性シアン化物と酸ハライドおよび/または酸
無水物とを並注すること、またはアルデヒドに、不斉相
間移動触媒、水溶性シアン化物および酸ハライドおよび
/または酸無水物を並注することにより、1段階で光学
純度の高い光学活性シアノヒドリンエステルを製造する
方法を新たに見出し、本発明を完成した。
【0006】すなわち本発明は、 (a) 一般式(I) R1 −CHO (I) 〔式中、R1 は鎖状もしくは環状アルキル基またはアラ
ルキル基、または下記式(II)または(III) (式中、R2 は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、
アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル
基、フェニルチオ基またはフェニルアミノ基を表す。た
だし、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、フェニ
ルチオ基およびフェニルアミノ基は、ハロゲン原子、ア
ルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよい。
Aは炭素または窒素原子を表す。Dは水素またはハロゲ
ン原子を表す。)を表す。〕で表されるアルデヒドおよ
【0007】一般式(IV) 〔式中、R3 はハロゲンもしくは水酸基で置換されてい
てもよいアルキル基、またはハロゲン、アルキルもしく
はハロゲン化アルキル基を有していてもよいアラルキル
基もしくはアリール基を表す。R4 は水素原子、アルキ
ル基またはアルコキシ基を表す。R5 およびR6 は、い
ずれか一方が水素原子を表し、他方がエチル基またはビ
ニル基を表す。E- はハロゲン化物イオン、ClO4 - 、H2
PO4 - 、HSO4 - 、MeSO4 - 、EtSO4 - またはCN- を表
す。〕で表される不斉相間移動触媒の混合物に、
【0008】水溶性シアン化物および一般式(V) 〔式中、R7 は下記一般式(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)
または (X) (式中、Gは鎖状もしくは環状アルキル基またはアルケ
ニル基を表し、Jは水素原子、ハロゲン原子、アルキル
基、ハロアルコキシ基またはアルコキシ基を表す。L1
およびL2 はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、
アルキル基、アリール基、ハロアルキル基またはアルコ
キシカルボニル基を表す。M1 は水素原子またはアルキ
ル基を表し、M2 は水素原子、アルキル基、アリール
基、アルコキシアルキル基、アルケニロキシアルキル基
またはアルキニロキシアルキル基を表す。QおよびTは
同一のまたは相異なるハロゲン原子を表す。X1 は水素
またはハロゲン原子を表し、X2は水素原子またはハロ
アルキル基を表す。)で示される基を表す。〕で表され
るカルボン酸の酸ハライドおよび/または酸無水物を並
注すること、または(b) 一般式(I)で表されるア
ルデヒドに、一般式(IV)で表される不斉相間移動触
媒、水溶性シアン化物および一般式(V)で表されるカ
ルボン酸の酸ハライドおよび/または酸無水物を並注す
ることを特徴とする
【0009】一般式(XI) 〔式中、R1 およびR7 は前述と同じ意味を表す。〕で
示される光学活性シアノヒドリンエステルの製造法を提
供するものである。
【0010】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明で用いられるアルデヒドは前記一般式(I)で示さ
れる。式中、R1 は鎖状もしくは環状アルキル基または
アラルキル基、または下記式(II)または(III) (式中、R2 は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、
アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル
基、フェニルチオ基またはフェニルアミノ基を表す。た
だし、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、フェニ
ルチオ基およびフェニルアミノ基は、ハロゲン原子、ア
ルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよい。
Aは炭素または窒素原子を表す。Dは水素またはハロゲ
ン原子を表す。)を表す。
【0011】かかる鎖状アルキル基としては、例えばメ
チル、エチル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシルな
どの炭素数1〜10の鎖状アルキル基が挙げられ、環状
アルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシ
ル、シクロヘプチル、シクロデシルなどの炭素数5〜1
0の環状アルキル基が挙げられる。アラルキル基として
は、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピルなどの炭
素数7〜12のアラルキル基が挙げられる。
【0012】R2 におけるハロゲン原子としては、例え
ばフッ素、塩素、臭素が、アルキル基としては、例えば
メチル、エチル、プロピル、ヘキシルなどの炭素数1〜
6のアルキル基が、またアルコキシ基としては、例えば
メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ヘキシルオキシなど
の炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。式(II)
において、Aは炭素または窒素原子を表す。Dは水素ま
たはハロゲンを表す。かかるハロゲンとしては、フッ
素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
【0013】かかるアルデヒドの具体例としては、例え
ばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルア
ルデヒド、ヘキサヒドロベンズアルデヒド、フェニルア
セトアルデヒド、3−フェニルプロピオンアルデヒド、
ベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、クロロベンズア
ルデヒド、ブロモベンズアルデヒド、トルアルデヒド、
エチルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、
エトキシベンズアルデヒド、フェニルベンズアルデヒ
ド、(クロロフェニル)ベンズアルデヒド、トリルベン
ズアルデヒド、(メトキシフェニル)ベンズアルデヒ
ド、フェニルナフトアルデヒド、フェノキシベンズアル
デヒド、(クロロフェニルオキシ)ベンズアルデヒド、
トリルオキシベンズアルデヒド、(メトキシフェニルオ
キシ)ベンズアルデヒド、フェノキシナフトアルデヒ
ド、4−フルオロ−3−フェノキシベンズアルデヒド、
6−フェノキシピリジン−2−アルデヒド、2−ベンジ
ルベンズアルデヒド、2−フェニルチオベンズアルデヒ
ド、3−フェニルアミノベンズアルデヒドなどを挙げる
ことができる。
【0014】本発明で用いられる不斉相間移動触媒は前
記一般式(IV)で示される光学活性4級アンモニウム塩
である。式中、R3 はハロゲンもしくは水酸基で置換さ
れていてもよいアルキル基、またはハロゲン、アルキル
もしくはハロゲン化アルキル基を有していてもよいアラ
ルキル基もしくはアリール基を表す。
【0015】かかるアルキル基としては、例えばメチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、ドデシル、
ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、8−ブロモ
オクチル、、12−ブロモドデシル、12−ヒドロキシ
ドデシルなどの炭素数1〜20のアルキル基が挙げられ
るが、好ましくは炭素数8〜16、より好ましくは炭素
数10〜16のアルキル基である。アラルキル基として
は、例えばベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、
4−クロロベンジル、4−トリフルオロメチルベンジル
などの炭素数7〜12のアラルキル基が挙げられる。ア
リール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、ク
ロロフェニル基、トリル基が挙げられる。
【0016】R4 は水素原子、アルキル基又はアルコキ
シ基を表す。かかるアルキル基としては、例えばメチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルなどの炭素数
1〜5のアルキル基が挙げられる。またアルコキシ基と
しては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシな
どの炭素数1〜5のアルコキシ基が挙げられる。R5
よびR6 は、いずれか一方が水素原子を表し、他方がエ
チル基またはビニル基を表す。
【0017】E- は塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イ
オンなどのハロゲン化物イオン、ClO4 - 、H2PO4 - 、HSO
4 - 、MeSO4 - 、EtSO4 - またはCN- を表す。
【0018】該不斉相間移動触媒の代表的なものとし
て、例えば臭化N−ドデシルシンコニジニウム、臭化N
−ドデシルシンコニニウム、臭化N−ドデシルキニニウ
ム、臭化N−ドデシルキニジニウム、臭化N−ベンジル
シンコジニジニウム、臭化N−(トリフルオロメチルベ
ンジル)シンコニジニウム、臭化N−ドデシルヒドロシ
ンコニジニウム、臭化N−フェニルシンコニジニウム、
臭化N−ナフチルシンコニニウム、臭化(8S,9R)
−1−ドデシル−9−ヒドロキシ−6’−メチル−シン
コナニウム、硫酸水素N−ドデシルシンコニジニウム、
リン酸N−ドデシルシンコニジニウム、過塩素酸N−ド
デシルシンコニジニウム、メチル硫酸N−ドデシルシン
コニジニウム、エチル硫酸N−ドデシルシンコニジニウ
ム、シアン化N−ドデシルシンコニジウムなどを挙げる
ことができる。
【0019】該不斉相間移動触媒は通常の4級アンモニ
ウム塩の合成に準じて合成することができる。例えば、
シンコニジンと臭化ドデシルとをアセトニトリル溶媒
中、加熱還流し、通常の後処理を施すことにより臭化ド
デシルシンコニジニウムを得ることができる。また、ハ
ロゲン化物イオン以外を対陰イオンとする光学活性4級
アンモニウム塩は、例えば、上記方法で得られたハロゲ
ン化4級アンモニウム塩を陰イオン交換樹脂で処理して
対応する水酸化4級アンモニウムとし、これを過塩素
酸、リン酸等で処理することにより得ることができる。
【0020】本発明における不斉相間移動触媒の使用量
は、通常アルデヒド1mol 当たり0.001〜0.8mol で
あるが、好ましくは0.01〜0.2mol である。
【0021】前記(a)法においては、アルデヒド及び
不斉相間移動触媒は、通常非プロトン性溶媒の存在下に
混合するが、この際に更に水を共存させることもでき
る。かかる非プロトン性溶媒としては、例えばベンゼ
ン、トルエン、クロロベンゼンなどの塩素原子で置換さ
れていてもよい芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、
ジクロロメタンなどの塩素原子で置換されていてもよい
アルカン、ジエチルエーテルなどのエーテル、又はこれ
らの混合物が挙げられる。中でもトルエン及びクロロベ
ンゼンなどが好ましい。
【0022】該非プロトン性溶媒の使用量は、通常アル
デヒドに対して2〜100重量倍である。また共存させ
得る水の量は、通常アルデヒドに対して100重量倍以
下、好ましくは30重量倍以下である。
【0023】一方(b)法においては、アルデヒドは、
通常予め上記と同様の非プロトン性溶媒と混合しておく
が、この際に更に水を共存させることもできる。該非プ
ロトン性溶媒の使用量は、通常アルデヒドに対して2〜
100重量倍である。また共存させ得る水の量は、通常
アルデヒドに対して100重量倍以下、好ましくは30
重量倍以下である。
【0024】(b)法において不斉相間移動触媒は、通
常上記と同様の非プロトン性溶媒の溶液として用いら
れ、このときの溶液の濃度は通常0.002〜0.2 mol/
l、好ましくは0.01〜0.1 mol/lである。
【0025】本発明において用いられる酸ハライドおよ
び酸無水物は、一般式(V) 〔式中、R7 は下記一般式(VI)、(VII) 、(VIII)、(IX)
または (X) (式中、Gは鎖状もしくは環状アルキル基またはアルケ
ニル基を表し、Jは水素原子、ハロゲン原子、アルキル
基、アルコキシ基またはハロアルコキシ基を表す。L1
およびL2 はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、
アルキル基、アリール基、ハロアルキル基またはアルコ
キシカルボニル基を表す。M1 は水素原子またはアルキ
ル基を表し、M2 は水素原子、アルキル基、アリール
基、アルコキシアルキル基、アルケニロキシアルキル基
またはアルキニロキシアルキル基を表す。QおよびTは
同一のまたは相異なるハロゲン原子を表す。X1 は水素
またはハロゲン原子を表し、X2は水素原子またはハロ
アルキル基を表す。)で示される基を表す。〕で表され
るカルボン酸の酸ハライドおよび酸無水物である。これ
らの酸ハライドおよび酸無水物として光学活性体を使用
することもできる。酸ハライドとしては酸クロライド、
酸ブロマイドなどが挙げられる。
【0026】式(VI)中、Gは鎖状もしくは環状アルキル
基またはアルケニル基を表すが、かかる鎖状もしくは環
状アルキル基としては、イソプロピル、シクロプロピル
基などが、アルケニル基としてはイソプロペニル基など
が挙げられる。Jは水素原子、ハロゲン原子、アルキル
基、アルコキシ基またはハロアルコキシ基を表すが、か
かるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原
子、臭素原子が、アルキル基としては、例えばメチル、
エチル、プロピルなどの炭素数1〜6のアルキル基が挙
げられる。またアルコキシ基としては、例えばメトキ
シ、エトキシ、プロポキシなどの炭素数1〜6のアルコ
キシ基が、ハロアルコキシ基としては、例えばジフルオ
ロメトキシ、トリフルオロメトキシ基などが挙げられ
る。
【0027】式(VII) 中、L1 およびL2 はそれぞれ独
立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール
基、ハロアルキル基またはアルコキシカルボニル基を表
すが、かかるハロゲン原子としては、例えばフッ素原
子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、またアルキル基と
しては、例えばメチル、エチル、プロピルなどの炭素数
1〜6のアルキル基が挙げられる。アリール基として
は、フェニル基、クロロフェニル基などが、ハロアルキ
ル基としては、トリフルオロメチル基などが挙げられ
る。また、アルコキシカルボニル基としては、ヘキサフ
ルオロイソプロピルオキシカルボニル基などが挙げられ
る。
【0028】式(VIII)中、M1 は水素原子またはアルキ
ル基を表すが、かかるアルキル基としては、例えばメチ
ル、エチル、プロピルなどの炭素数1〜6のアルキル基
が挙げられる。M2 は水素原子、アルキル基、アリール
基、アルコキシアルキル基、アルケニロキシアルキル基
またはアルキニロキシアルキル基を表すが、かかるアル
キル基としては、例えばメチル、エチル、プロピルなど
の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、アリール基と
しては、例えばフェニル基、トリル基、tert−ブチルフ
ェニル基などが挙げられる。アルコキシアルキル基とし
ては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシ
メチル基などが挙げられ。アルケニロキシアルキル基と
しては、アリルオキシメチル基、アリルオキシエチル基
などが、アルキニロキシアルキル基としては、プロパル
ギルオキシメチル基、プロパルギルオキシメチル基など
挙げられる。
【0029】式(IX)中、QおよびTは同一のまたは相異
なるハロゲン原子を表すが、かかるハロゲン原子として
はフッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
【0030】式 (X) 中、X1 は水素原子またはハロゲ
ン原子を表し、X2 は水素原子またはハロアルキル基を
表す。
【0031】一般式(V)で表されるカルボン酸の代表
例としては、例えば2−(4−クロロフェニル)イソ吉
草酸、2−(4−メチルフェニル)イソ吉草酸、2−
(4−メトキシフェニル)イソ吉草酸、cis−2,2
−ジメチル−3−(2’−メチル−1’−プロペニル)
シクロプロパン−1−カルボン酸、2−(2,2−ジク
ロロビニル)−3,3−ジメチルシクロプロパンカルボ
ン酸、2−(2,2−ジブロモビニル)−3,3−ジメ
チルシクロプロパンカルボン酸、2,2−ジメチルシク
ロプロパンカルボン酸、2,2,3−トリメチルシクロ
プロパンカルボン酸、2,2,3,3−テトラメチルシ
クロプロパンカルボン酸、3−(1,2−ジクロロ−
2,2−ジフルオロエチル)−2,2−ジメチルシクロ
プロパンカルボン酸、2,2−ジメチル−3−(1,
1,2,2−テトラクロロエチル)シクロプロパンカル
ボン酸、(4−クロロフェニル)シクロプロピル酢酸、
2−(4−クロロフェニル)−3−メチル−3−ブテン
酸、2−(2−クロロ−2−トリフルオロメチルビニ
ル)−3,3−ジメチルシクロプロパンカルボン酸、2
−(2−クロロ−2−クロロフェニルビニル)−3,3
−ジメチルシクロプロンパンカルボン酸、2,2−ジメ
チル−3−〔2−(2,2,2−トリフルオロ−1−ト
リフルオロメチル−エトキシカルボニル)ビニル〕シク
ロプロパンカルボン酸、3−(2−フルオロ−2−メト
キシカルボニルビニル)−2,2−ジメチルシクロプロ
パンカルボン酸、2−(4−tert−ブチルフェニル)−
3,3−ジメチルシクロプロパンカルボン酸、3−エト
キシメチル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン
酸、3−アリルオキシメチル−2,2−ジメチルシクロ
プロパンカルボン酸、3−プロパルギルオキシメチル−
2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸、2−(2
−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニルアミノ)イ
ソ吉草酸などが挙げられ、これらは光学活性体であって
もよい。
【0032】該カルボン酸の酸ハライドおよび酸無水物
は、どちらか一方のみを用いてもよいし、両者を併用す
ることもできる。該酸ハライドおよび酸無水物の使用量
は、通常アルデヒド1mol 当たり1.0〜2.0mol 、好ま
しくは1.0〜1.2mol である。
【0033】該酸ハライド及び酸無水物は、ベンゼン、
トルエン、クロロベンゼンなどの前述と同様の実質的に
水と混ざり合わない非プロトン性溶媒に溶解して用いる
ことができる。かかる非プロトン性溶媒の量は、通常酸
ハライド、酸無水物に対して1〜50重量倍である。
【0034】本発明において用いられる水溶性シアン化
物としては、例えばアルカリ金属シアン化物、アルカリ
土類金属シアン化物が挙げられるが、中でもシアン化ナ
トリウムおよびシアン化カリウムが好ましい。かかる水
溶性シアン化物の使用量は、通常アルデヒド1mol 当た
り1.0〜1.5mol 、好ましくは1.0〜1.2mol である。
該水溶性シアン化物は通常水溶液として使用される。こ
のときの水溶液の濃度は通常0.05〜10 mol/l、好
ましくは0.2〜2.5 mol/lである。
【0035】反応系の温度は通常−10℃以上であれば
よいが、好ましくは0℃〜50℃、より好ましくは0℃
〜30℃である。反応系のpHは通常3〜12であり、
好ましくは6〜10である。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、1段階で光学純度の高
いシアノヒドリンエステルを製造することができる。ま
た本発明は、取扱の容易な水溶性シアン化物を使用する
ことができる点でも工業的に有利である。
【0037】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0038】実施例1 m−フェノキシベンズアルデヒド(990mg)、臭化N
−ドデシルジンコニジニウム(544mg)、水20mlお
よびトルエン50mlを300mlの丸底フラスコに入れ
た。次いでこの混合物を攪拌しながら塩化(S)−(4
−クロロフェニル)イソプロピルアセチル(1150m
g)のトルエン溶液10mlおよびシアン化ナトリウム
(250mg)の水溶液10mlを約2時間で滴下した。こ
のとき系内のpHは7.5に保たれていた。滴下終了後、
反応液のトルエン相をガスクロマトグラフィーにより分
析したところ、2−(4−クロロフェニル)イソ吉草酸
シアノ(3−フェノキシフェニル)メチルの収率は8
1.4%であった。高速液体クロマトグラフィーにより
分析したところ、(SS)体のdeは44.7%であっ
た。
【0039】実施例2 実施例1において、反応温度を0℃にし、7.5時間で滴
下した以外は、実施例1と同様の条件下で行った。2−
(4−クロロフェニル)イソ吉草酸シアノ(3−フェノ
キシフェニル)メチルの収率は68.9%であった。
(SS)体のdeは37.4%であった。
【0040】実施例3 実施例1において、臭化N−ドデシルシンコニジニウム
の代わりに、臭化N−ヘキサデシルシンコニジニウム
(588mg)を用い、反応系内のpHを8〜9に保った
以外は実施例1と同様の条件下で行った。2−(4−ク
ロロフェニル)イソ吉草酸シアノ(3−フェノキシフェ
ニル)メチルの収率は80.0%であった。(SS)体
のdeは38.4%であった。
【0041】実施例4 実施例1において、臭化N−ドデシルシンコニジニウム
の代わりに、臭化N−デシルシンコニジニウムブロミド
(513mg)を用いた以外は実施例1と同様の条件で反
応を行った。2−(4−クロロフェニル)イソ吉草酸シ
アノ(3−フェノキシフェニル)メチルの収率は84.
6%であり、(SS)体のdeは41.5%であった。
【0042】実施例5 実施例1において臭化N−ドデシルシンコニジニウムブ
ロミドの代わりに、臭化N−トリフルオロメチルベンジ
ルシンコニジニウム(270mg)を用い、反応系内のp
Hを9に保った以外は実施例1と同様の条件で反応を行
った。2−(4−クロロフェニル)イソ吉草酸シアノ
(3−フェノキシフェニル)メチルの収率は78.9%
であり、(SS)体のdeは28.7%であった。
【0043】実施例6 実施例1において、臭化N−ドデシルシンコニジニウム
の代わりに、臭化N−ドデシルキニニウム(570mg)
を用いた以外は実施例1と同様の条件で行った。2−
(4−クロロフェニル)イソ吉草酸シアノ(3−フェノ
キシフェニル)メチルの収率は87.9%であり、(S
S)体のdeは34.6%であった。
【0044】実施例7 実施例1において、臭化N−ドデシルシンコニジニウム
の代わりに、臭化N−トリフルオロメチルベンジルシン
コニジニウム(530mg)を用い、トルエンの代わりに
ジクロロメタンを用いた以外は実施例1と同様の条件で
反応を行った。2−(4−クロロフェニル)イソ吉草酸
シアノ(3−フェノキシフェニル)メチルの収率は7
3.8%であり、(SS)体のdeは23.8%であっ
た。
【0045】実施例8 実施例1において、m−フェノキシベンズアルデヒドの
代わりに、ベンズアルデヒド(530mg)を用いた以外
は実施例1と同様の条件で行った。2−(4−クロロフ
ェニル)イソ吉草酸シアノフェニルメチルの収率は7
9.5%であり、(SS)体のdeは22.5%であっ
た。
【0046】実施例9 実施例1において、m−フェノキシベンズアルデヒドの
代わりにm−メトキシベンズアルデヒド(681mg)を
用いた以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。2
−(4−クロロフェニル)イソ吉草酸シアノ(3−メト
キシフェニル)メチルの収率は68%であり、deは2
3.6%であった。
【0047】実施例10 実施例1において、m−フェノキシベンズアルデヒドの
代わりに4−フェニルベンズアルデヒド(911mg)を
用いた以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。2
−(4−クロロフェニル)イソ吉草酸シアノ(4−フェ
ニルフェニル)メチルの収率は73.8%であり、de
は25.6%であった。
【0048】実施例11 実施例1において、m−フェノキシベンズアルデヒドの
代わりに3−(4−メトキシフェノキシ)ベンズアルデ
ヒド(1141mg)を用い、反応系内のpHを7に保っ
た以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。2−
(4−クロロフェニル)イソ吉草酸シアノ(3−(4−
メトキシフェノキシ)フェニル)メチルの収率は79.
0%であり、deは30.5%であった。
【0049】実施例12 n−ブチルアルデヒド(361mg)、臭化N−ドデシル
シンコニジニウム(544mg)、トルエン50mlおよび
水20mlを200mlの丸底フラスコに入れた。次いでこ
の混合物を攪拌しながら、塩化(S)−(4−クロロフ
ェニル)イソプロピルアセチル(1150mg)のトルエ
ン溶液10mlとシアン化ナトリウム(250mg)の水溶
液10mlを同時に、約2時間かけて滴下した。滴下終了
後、反応液のトルエン相をガスクロマトグラフィーによ
り分析したところ、2−(4−クロロフェニル)イソ吉
草酸シアノブチルの収率は74.6%であった。また高
速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、deは
25.8%であった。
【0050】実施例13 実施例12において、n−ブチルアルデヒドの代わりに
トリメチルアセトアルデヒド(430mg)を用いた以外
は実施例12と同様の条件で行った。2−(4−クロロ
フェニル)イソ吉草酸シアノ(tert−ブチル)メチルの
収率は73.0%であり、(SS)体のdeは26.2
%であった。
【0051】実施例14 実施例12において、n−ブチルアルデヒドの代わりに
ヘキサヒドロベンズアルデヒド(560mg)を用いた以
外は実施例12と同様の条件で行った。2−(4−クロ
ロフェニル)イソ吉草酸シアノシクロヘキシルメチルの
収率は79.3%であり、deは45.6%であった。
【0052】実施例15 m−フェノキシベンズアルデヒド(990mg)、臭化N
−ドデシルシンコニジニウム(544mg)、トルエン5
0mlを200mlの丸底フラスコに入れた。次いでこの混
合物を攪拌しながら、(+)cis−2,2−ジメチル
−3−(2’−メチル−1’−プロペニル)シクロプロ
パン-1- カルボン酸クロリド(933mg)のトルエン溶
液10mlとシアン化ナトリウム(250mg)の水溶液1
0を同時に約2時間かけて滴下した。滴下終了後、反応
液のトルエン相をガスクロマトフラフィーにより分析し
たところ、2,2−ジメチル−3−(2−メチルプロペ
ニル)シクロプロパンカルボン酸シアノ(3−フェノキ
シフェニル)メチルの収率は91%であった。高速液体
クロマトグラフィーにより分析したところ、(d,ci
s,d)体のdeは11.6%であった。
【0053】実施例16 実施例15において、(+)cis−2,2−ジメチル
−3−(2’−メチル−1’−プロペニル)シクロプロ
パン−1−カルボン酸クロリドの代わりに(S)−2,
2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸クロリド(66
3mg)を用いた以外は実施例15と同様の条件で行っ
た。2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸シアノ
(3−フェノキシフェニル)メチルの収率は56%であ
った。deは41.6%であった。
【0054】実施例17 m−フェノキシベンズアルデヒド(990mg)、水2
0mlおよびトルエン50mlを300mlの丸底フラスコに
入れた。次いでこの混合物を攪拌しながら塩化(S)−
(4−クロロフェニル)イソプロピルアセチル(115
0mg)のトルエン溶液10mlおよびシアン化ナトリウ
ム(250mg)の水溶液10mlおよび臭化N−ドデシ
ルシンコニジニウム(544mg)のトルエン溶液20
mlを約2時間で滴下した。このとき系内のpHは8.5に
保たれていた。滴下終了後、反応液のトルエン相をガス
クロマトフラフィーにより分析したところ、2−(4−
クロロフェニル)イソ吉草酸シアノ(3−フェノキシフ
ェニル)メチルの収率は85.7%であった。高速液体
クロマトグラフィーにより分析したところ、(SS)体
のdeは24.1%であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07B 61/00 300

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a) 一般式(I) R1 −CHO (I) 〔式中、R1 は鎖状もしくは環状アルキル基またはアラ
    ルキル基、または下記式(II)または(III) (式中、R2 は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、
    アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル
    基、フェニルチオ基またはフェニルアミノ基を表す。た
    だし、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、フェニ
    ルチオ基およびフェニルアミノ基は、ハロゲン原子、ア
    ルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよい。
    Aは炭素または窒素原子を表す。Dは水素またはハロゲ
    ン原子を表す。)を表す。〕で表されるアルデヒドおよ
    び一般式(IV) 〔式中、R3 はハロゲンもしくは水酸基で置換されてい
    てもよいアルキル基、 またはハロゲン、アルキルもしくはハロゲン化アルキル
    基を有していてもよいアラルキル基もしくはアリール基
    を表す。R4 は水素原子、アルキル基またはアルコキシ
    基を表す。R5 およびR6 は、いずれか一方が水素原子
    を表し、他方がエチル基またはビニル基を表す。E-
    ハロゲン化物イオン、ClO4 - 、H2PO4 - 、HSO4 - 、MeSO4
    - 、EtSO4 - またはCN- を表す。〕で表される不斉相間
    移動触媒の混合物に、水溶性シアン化物および一般式
    (V) 〔式中、R7 は下記一般式(VI)、(VII) 、(VIII)、(IX)
    または (X) (式中、Gは鎖状もしくは環状アルキル基またはアルケ
    ニル基を表し、Jは水素原子、ハロゲン原子、アルキル
    基、アルコキシ基またはハロアルコキシ基を表す。L1
    およびL2 はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、
    アルキル基、アリール基、ハロアルキル基またはアルコ
    キシカルボニル基を表す。M1 は水素原子またはアルキ
    ル基を表し、M2 は水素原子、アルキル基、アリール
    基、アルコキシアルキル基、アルケニロキシアルキル基
    またはアルキニロキシアルキル基を表す。QおよびTは
    同一のまたは相異なるハロゲン原子を表す。X1 は水素
    またはハロゲン原子を表し、X2は水素原子またはハロ
    アルキル基を表す。)で示される基を表す。〕で表され
    るカルボン酸の酸ハライドおよび/または酸無水物を並
    注すること、または(b) 一般式(I)で表されるア
    ルデヒドに、一般式(IV)で表される不斉相間移動触
    媒、水溶性シアン化物および一般式(V)で表されるカ
    ルボン酸の酸ハライドおよび/または酸無水物を並注す
    ることを特徴とする一般式(XI) 〔式中、R1 およびR7 は前述と同じ意味を表す。〕で
    表される光学活性シアノヒドリンエステルの製造法。
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