JPH0769917A - 抗エンドセリン物質の徐放性製剤 - Google Patents

抗エンドセリン物質の徐放性製剤

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JPH0769917A
JPH0769917A JP6166266A JP16626694A JPH0769917A JP H0769917 A JPH0769917 A JP H0769917A JP 6166266 A JP6166266 A JP 6166266A JP 16626694 A JP16626694 A JP 16626694A JP H0769917 A JPH0769917 A JP H0769917A
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Japan
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sustained
amino acid
acid residue
endothelin
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JP6166266A
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English (en)
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Yasutaka Igari
康孝 猪狩
Hitoshi Ikeda
衡 池田
Masao Tsuda
昌夫 津田
Kazumichi Yamamoto
一路 山本
Mitsuhiro Wakimasu
光廣 脇舛
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】エンドセリン起因する疾患の治療のための優れ
た徐放性製剤の提供。 【構成】抗エンドセリン物質および生体内分解性ポリマ
ーを含有してなる徐放性製剤。 【効果】本発明の徐放性製剤は、抗エンドセリン物質を
持続的に放出し、エンドセリンに起因する疾患の治療に
有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエンドセリンに起因する
疾患、特に慢性疾患、例えば糖尿病由来慢性合併症など
の治療に用いられる抗エンドセリン物質、例えばエンド
セリンアンタゴニストなどの徐放性製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ペプチドは種々の強力な生理作用を持つ
ため、医薬品への応用が多数試みられている。しかしな
がら、一般的にその生物学的半減期は非常に短く薬理効
果を持続させるためには頻回投与が必要になるため患者
が被る苦痛は甚大なものがある。 エンドセリンは血管
内皮から分泌されるペプチドで、強力かつ持続的な血管
平滑筋収縮作用を持つ。したがって、エンドセリンは生
理的にもあるいは病態生理学的にも重要な意味を持ち、
エンドセリンに由来する各種疾病を治療するため、ペプ
チド性エンドセリンアンタゴニストの開発がいくつか試
みられているが、前記の理由により該ペプチド性アンタ
ゴニストの医薬品への応用は制限されてきた。また、従
来、抗エンドセリン物質は、急性心筋梗塞発作時、ショ
ック時などの急性疾患の治療への応用が試みられていた
が、高血圧症、心・脳循環疾患、腎疾患などの治療への
応用については具体的な報告は見られない。さらに、糖
尿病性腎症などの慢性疾患においてエンドセリンが関与
する病態の発生、進行を阻止するのに抗エンドセリン物
質の投与が有効であるとの知見は得られていない。
【0003】徐放性製剤として種々のものが知られてい
る。特開昭63−2930号公報においてポリペプチド
を例えばポリ(ラクチド−グリコライド)共重合体に分
散させて含有してなる高分子マトリックスを利用した放
出速度調節システムが報告されている。特公平4−40
329号公報(特開昭57−118512号公報)にお
いて、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)ま
たはその類似体である水溶性ポリペプチドと生物的に適
合性を有し、生物的に分解可能なポリ(ラクチドーグリ
コライド)共重合体からなり、少なくとも1ヵ月以上に
わたって有効量の該ポリペプチドを持続的に放出しうる
技術が開示されている。特開平2−124814号公報
には、徐放型マイクロカプセルの製法において、塩基性
アミノ酸からなる薬物保持物質を含む有機塩基性物質を
添加し、高分子重合物を壁物質とすることにより、水溶
性薬物を有効にマイクロカプセル中に封入し、かつ投与
直後に必要以上の大量放出を抑制する技術が開示されて
いる。しかしながら抗エンドセリン物質と生体内分解性
ポリマ−とを組み合わせ、抗エンドセリン物質をほぼ一
定速度で有効に持続放出させる徐放性製剤については未
だ知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】下記のようにエンドセ
リンに起因する慢性疾患の治療のための優れた徐放性製
剤が求められている。医学、薬学の進歩により糖尿病患
者の病態管理が行いやすくなり、結果として糖尿病患者
の寿命が延長しつつある。しかし、糖尿病の罹病期間が
延長したために起こってきた問題は慢性合併症、特に血
管障害である。血管障害は冠動脈、脳動脈あるいは網膜
や腎糸球体などの細小血管などにも起こることにより、
各臓器に種々の障害をもたらすことが知られている。慢
性合併症の例としては糖尿病に由来する腎症が挙げられ
る。糖尿病性腎症の発症にはいろいろな原因が考えられ
るが、メサンギウムの肥厚やメサンギウム細胞の増殖が
顕著な病理像となる。このメサンギウムの肥厚が糸球体
を最終的に破壊し、ついには末期腎不全に至ると考えら
れてきた。エンドセリンは血管内皮細胞から分泌されて
いると考えられ、特に障害を受けた血管からは大量に放
出されることが知られている。エンドセリンがメサンギ
ウム細胞において、チミジンの取り込み、Na+/H+
換、そしてc−fosの発現といった細胞増殖に関連し
た種々の反応を刺激するという結果は、慢性的に過剰量
のエンドセリンに曝されることが、メサンギウム細胞の
増殖を引き起こす最初の刺激となりうる可能性を示すも
のであり、糖尿病性腎症におけるエンドセリンの関与を
示すものである。腎症以外の合併症(例、糖尿病性心筋
症,糖尿病性網膜症など)においても血管障害から派生
したエンドセリンが関与することによる病状の慢性化が
生じると考えられている。また、糖尿病では動脈硬化、
高脂血症も多くみられ、内皮細胞に何らかの障害が起き
ることから、エンドセリンがこれらの病状に関与すると
考えられている。エンドセリンに起因する疾患、特に慢
性疾患は、他にも知られており、これらの治療のために
抗エンドセリン物質を持続的に生体内に存在させること
のできる優れた徐放性製剤が求められている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題
点を解決するため鋭意研究をおこなったところ、慢性疾
患である糖尿病性腎症の症状を呈する実験動物に抗エン
ドセリン抗体を長期間投与することにより尿中への蛋白
質の漏出が抑制されることを見いだし、さらに抗エンド
セリン物質であるエンドセリンアンタゴニストを持続的
に生体内に投与する方法を採用し、これに基づいてさら
に研究した結果本発明を完成した。すなわち、本発明
は、(1)抗エンドセリン物質および生体内分解性ポリ
マーを含有してなる徐放性製剤、(2)抗エンドセリン
物質がエンドセリンアンタゴニストである第1項記載の
徐放性製剤、(3)エンドセリンアンタゴニストがペプ
チドである第2項記載の徐放性製剤、(4)エンドセリ
ンアンタゴニストが一般式
【化4】 〔式中、XおよびYはそれぞれα-アミノ酸残基を、A
はD-酸性-α-アミノ酸残基を、Bは中性-α-アミノ酸
残基を、CはL-α-アミノ酸残基を、Eは芳香環基を有
するD-α-アミノ酸残基を示す〕で表されるペプチド、
そのエステルまたはその塩である第2項記載の徐放性製
剤、(5)ペプチドがcyclo[-D-Asp-Asp(R1')-Asp-D-Th
g(2)-Leu-D-Trp-]〔式中、Aspはアスパラギン酸を、Asp
(R1')はアスパラギン酸β−4−フェニルピペラジンア
ミドを、Thg(2)は2−チエニルグリシンを、Leuはロイ
シンを、Trpはトリプトファンを示す〕である第4項記
載の徐放性製剤、(6)Aがアルキル基でエステル化さ
れたD-酸性-α-アミノ酸残基である第4項記載の徐放
性製剤、(7)YがL-酸性-α-アミノ酸残基である第
4項記載の徐放性製剤、(8)Yがアルキル基でエステ
ル化されたL-酸性-α-アミノ酸残基である第4項記載
の徐放性製剤、(9)ペプチドがcyclo[-D-Asp(OC2H5)-
Asp(R1')-Asp(OC2H5)-D-Thg(2)-Leu-D-Trp-]〔式中、As
pはアスパラギン酸を、Asp(R1')はアスパラギン酸β−
4−フェニルピペラジンアミドを、Thg(2)は2−チエニ
ルグリシンを、Leuはロイシンを、Trpはトリプトファン
を示す〕である第4項記載の徐放性製剤、
【0006】(10)塩が多価金属塩である第4項記載
の徐放性製剤、(11)多価金属塩が亜鉛塩である第1
0項記載の徐放性製剤、(12)生体内分解性ポリマー
が脂肪族ポリエステルである第1項記載の徐放性製剤、
(13)脂肪族ポリエステルがグリコール酸と乳酸との
共重合体である第12項記載の徐放性製剤、(14)共
重合体がゲル浸透クロマトグラフィー測定法で約2,0
00ないし約50,000の重量平均分子量を有する第
13項記載の徐放性製剤、(15)共重合体が約0.2
ないし約4.0の分散度を有する第13項記載の徐放性
製剤、(16)さらに有機塩基性物質を含有してなる第
1項記載の徐放性製剤、(17)さらに多価金属塩を含
有してなる第1項記載の徐放性製剤、(18)エンドセ
リンに起因する疾患の治療用である第1項記載の徐放性
製剤、(19)疾患が慢性疾患である第18項記載の徐
放性製剤、(20)慢性疾患が糖尿病由来の慢性合併症
である第19項記載の徐放性製剤、(21)慢性合併症
が糖尿病性腎症である第20項記載の徐放性製剤、(2
2)第1項記載の徐放性製剤を含有してなる注射剤、
【0007】(23)一般式
【化5】 〔式中、XおよびYはそれぞれα-アミノ酸残基を、A'
はアルキル基でエステル化されたD-酸性-α-アミノ酸
残基を、Bは中性-α-アミノ酸残基を、CはL-α-アミ
ノ酸残基を、Eは芳香環基を有するD-α-アミノ酸残基
を示す〕で表されるペプチドまたはその塩、(24)X
がL体である第23項記載のペプチド、(25)YがL
体である第23項記載のペプチド、(26)A'がアル
キル基でエステル化されたD−グルタミン酸またはD−
アスパラギン酸残基である第23項記載のペプチド、
(27)BがD体である第23項記載のペプチド、(2
8)BがD-ロイシン、D-アロイソロイシン、D-te
rt-ロイシン、D-γ-メチルロイシン、D-フェニルグ
リシン、D-2-チエニルグリシン、D-3-チエニルグリ
シン、D-2-シクロペンチルグリシン、D-フェニルア
ラニン、D-2-チエニルアラニン、D-バリン、D-2-
フリルグリシンおよびD-3-フリルグリシン残基から選
ばれる第23項記載のペプチド、(29)CがL-ロイ
シン、L-フェニルアラニン、L-トリプトファン残基か
ら選ばれる第23項記載のペプチド、(30)EがD-
トリプトファンもしくはその誘導体、D-1-ナフチルア
ラニン、D-2-ナフチルアラニン、D-ベンゾチエニル
アラニン、D-4-ビスフェニルアラニンおよびD-ペン
タメチルフェニルアラニン残基から選ばれる第23項記
載のペプチド、(31)Yがアルキル基でエステル化さ
れたカルボキシル基を有するα-アミノ酸残基である第
23項記載のペプチド、(32)式cyclo[-D-Asp(OC
2H5)-Asp(R1')-Asp(OC2H5)-D-Thg(2)-Leu-D-Trp-]〔式
中、Aspはアスパラギン酸を、Asp(R1')はアスパラギン
酸β−4−フェニルピペラジンアミドを、Thg(2)は2−
チエニルグリシンを、Leuはロイシンを、Trpはトリプト
ファンを示す〕で表されるペプチドまたはその塩、およ
び(33)一般式
【化6】 〔式中、XおよびYはそれぞれα-アミノ酸残基を、A
はD-酸性-α-アミノ酸残基を、Bは中性-α-アミノ酸
残基を、CはL-α-アミノ酸残基を、Eは芳香環基を有
するD-α-アミノ酸残基を示す〕で表されるペプチドの
亜鉛塩に関する。
【0008】本発明において、アミノ酸に関し、略号を
用いる場合、IUPAC-IUB コミッション・オン・バイオケ
ミカル・ノーメンクレーチュアー(Commission on Bioc
hemical Nomenclature)(ヨーロピアン・ジャーナル・
オブ・バイオケミストリー(European Journal of Bioc
hemistry)第138巻、9〜37頁、(1984年))
による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づく
ものとし、また、アミノ酸に関して光学異性体がある場
合は、特に明示しなければL体を示すものとする。本発
明において、抗エンドセリン物質としては、例えばエン
ドセリンに対する抗体、エンドセリン受容体に対する抗
体、可溶性エンドセリン受容体などに代表される高分子
量の物質、化学合成あるいは醗酵などにより得られるエ
ンドセリンアンタゴニスト、あるいはエンドセリンの生
成を阻害する物質(エンドセリン変換酵素阻害剤)など
が挙げられる。本発明における抗エンドセリン物質は、
例えばエンドセリンの受容体への結合阻害活性を有す
る。抗エンドセリン物質は、例えばブタ大動脈平滑筋の
ホモジネートより調製された膜画分へエンドセリン−1
が結合するのを阻害する。エンドセリンの受容体(レセ
プター)には少なくとも2つのサブタイプがあることが
報告されており、ET−AあるいはET−Bと記述され
る。本発明における抗エンドセリン物質はこれら二つの
受容体の両方あるいは何れか一方に対する拮抗作用を有
する。また、本発明における抗エンドセリン物質は、例
えば内皮細胞を剥離したブタ冠状動脈の螺旋状標本,モ
ルモット摘出気管筋標本,あるいはブタ摘出脳底動脈標
本にエンドセリン−1を与えることによる収縮阻害活
性、ラット摘出心臓におけるエンドセリンの潅流圧上昇
作用に対する拮抗作用、マウスへのエンドトキシン投与
による致死率の改善作用を有する。
【0009】本発明における抗エンドセリン物質は水溶
性であっても脂溶性であってもよい。本発明における水
溶性とは、好ましくはオクタノール/水分配比が0.1
以下であることが挙げられる。本発明における脂溶性と
は、好ましくはオクタノール/水分配比が0.1を越え
る場合である。抗エンドセリン物質は、アセトニトリ
ル、ジクロロメタン、クロロホルムなどの極性溶媒に例
えば10mg/ml以上溶解し、100mg/ml以上は溶解し
ないものか、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロ
ホルムにほとんど溶解しないものが用いられる。本発明
において抗エンドセリン物質は、好ましくはエンドセリ
ンアンタゴニストである。該エンドセリンアンタゴニス
トとしては、例えば化学合成あるいは発酵などで得られ
る非ペプチド化合物,ペプチドまたはこれらの誘導体等
が挙げられる。ここにおいて、ペプチドは鎖状もしくは
環状のペプチド、または環状および鎖状のペプチドを含
有するものいずれであってもよい。非ペプチド化合物と
しては、例えばヨーロッパ特許公開510526号公
報、同526708号公報、WO93/08799に記
載の化合物が挙げられる。ヨーロッパ特許公開5105
26号公報(特開平5−155864)には、一般式
【化7】 〔式中、R1は水素、低級−アルキル、低級−アルコキ
シ、低級−アルキルチオ、ハロゲンまたはトリフルオロ
メチルを意味しており、R2は水素、ハロゲン、低級−
アルコキシ、ヒドロキシ−低級−アルコキシまたはトリ
フルオロメチルを意味しており、R3は水素、ヒドロキ
シ、ハロゲン、アルキルチオ、シクロアルキル、ヒドロ
キシ−低級−アルキル、ヒドロキシ−低級−アルコキ
シ、ヒドロキシミノ−低級−アルキル、低級−アルケニ
ル、オキソ−低級−アルキル、トリフルオロメチル、ト
リフルオロメトキシ、低級−アルコキシ、低級−アルコ
キシ−低級−アルコキシまたはアリール−低級−アルコ
キシを意味しているか、或いはR2およびR3が一緒にな
ってブタジエニルを意味しており、R4は水素、低級−
アルキル、アリールまたはヘテロアリールを意味してお
り、R5は水素、低級−アルカノイル、ベンゾイル、ヘ
テロシクリル−カルボニルまたはテトラヒドロピラニ−
2−ルを意味しており、R6
【化8】 を示し、R7は水素、低級−アルコキシまたはニトロを
意味しており、そしてR8は水素、ハロゲン、低級−ア
ルキル、低級−アルコキシ、低級−アルキルチオ、ニト
ロ、ヒドロキシ、アミノまたはトリフルオロメチルを意
味しているか、あるいはR7およびR8が一緒になってブ
タジエニルを意味しており、R9は水素、ハロゲン、低
級−アルキル、低級−アルコキシ、低級−アルキルチオ
またはトリフルオロメチルを意味しており、R10は水
素、ハロゲン、低級−アルキル、低級−アルコキシまた
は低級−アルキルチオを意味しており、XおよびYはそ
れぞれ独立してO、SまたはNHを意味しており、そし
てnは2、3または4を意味している〕で表される化合
物およびその塩類が記載されている。
【0010】ヨーロッパ特許公開526708号公報
(特開平5−222003)には、一般式
【化9】 〔式中、R1は水素、低級アルキル、低級アルコキシ、
低級アルキルチオ、ハロゲンまたはトリフルオロメチル
であり、R2は水素、ハロゲン、低級アルコキシ、トリ
フルオロメチルまたは−OCH2COORaであり、R3
は水素、ハロゲン、低級アルキル、低級アルキルチオ、
トリフルオロメチル、シクロアルキル、低級アルコキシ
またはトリフルオロメトキシであるか、あるいはR2
よびR3は一緒になってブタジエニル、メチレンジオキ
シ、エチレンジオキシまたはイソプロピリデンジオキシ
であり、R4は水素、低級アルキル、シクロアルキル、
トリフルオロメチル、低級アルコキシ、低級アルキルチ
オ、低級アルキルチオ−低級アルキル、ヒドロキシ−低
級アルキル、ヒドロキシ−低級アルコキシ、低級アルコ
キシ−低級アルキル、ヒドロキシ−低級アルコキシ−低
級アルキル、ヒドロキシ−低級アルコキシ−低級アルコ
キシ、低級アルキルスルフィニル、低級アルキルスルホ
ニル、2−メトキシ−3−ヒドロキシプロポキシ、2−
ヒドロキシ−3−フェニルプロピル、アミノ−低級アル
キル、低級アルキルアミノ−低級アルキル、ジ−低級ア
ルキルアミノ−低級アルキル、アミノ、低級アルキルア
ミノ、ジ−低級アルキルアミノ、アリールアミノ、アリ
ール、アリールチオ、アリールオキシ、アリール−低級
アルキルまたはヘテロシクリルであり、
【0011】R5は水素、低級アルキル、低級アルカノ
イル、ベンゾイル、ヘテロシクリルカルボニル、ヘテロ
シクリルメチルまたはテトラヒドロピラン−2−イルで
あり、R6〜R9は水素、ハロゲン、トリフルオロメチ
ル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチ
オ、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、シアノ、カルボキ
シル、ホルミル、メチルスルフィニル、メチルスルホニ
ル、メチルスルホニルオキシまたは低級アルコキシ−カ
ルボニルオキシであるか、あるいはR7はR6またはR8
と一緒になってブタジエニル、メチレンジオキシ、エチ
レンジオキシまたはイソプロピリデンジオキシであり、
Zは−O−、−S−、エチレン、ビニレン、−CO−、
−OCHR10−または−SCHR10であり、R10は水素
または低級アルキルであり、XおよびYの各々は独立に
O、SまたはNHであるか、あるいはYR5はまた低級
アルキルスルフィニルまたは−OCH2CH(ORC)C
2ORdであり、Ra、Rb、RcおよびRdの各々は水素
または低級アルキルであるか、あるいはRcおよびRd
一緒になってメチレン、エチレンまたはイソプロピリデ
ンであり、そしてnは1、2または3である〕で表され
る化合物およびその塩が記載されている。
【0012】WO93/08799には、一般式
【化10】 〔式中、R1は−X(CH2)nAr,−X(CH2)n8また
【化11】 2は水素,Arまたは(c)を、P1は−X(CH2)n
8を、P2は−X(CH2)n8または−XR9Yを、R3
よびR5は同一又は異なって水素,R11,OH,C1-8
ルコキシ,S(O)q11,N(R6)2,Br,F,I,C
l,CF3,NHCOR6,−XR9Yまたは−X(CH2)
n8を、ここで、−X(CH2)n8は1種以上の−(CH
2)nArで置換されていてもよい、R4は水素,R11,O
H,C1-5アルコキシ,S(O)q11,N(R6)2,−X
(R11),Br,F,I,ClまたはNHCOR6を、こ
こで、C1-5アルコキシはOH,メトキシまたはハロゲ
ンで置換されていてもよい、R6は水素またはC1-4アル
キルを、R7は水素,C1-6アルキルまたは(CH2)nAr
を、R8は水素,R11,CO2H,PO32,P(O)(O
H)R7またはテトラゾールを、R9は1種以上のOH,
N(R6)2,COOH,ハロゲンまたはXC1-5アルキル
で置換されていてもよいC1-10アルキル,C2-10アルケ
ニルまたはフェニルを、R10はR3またはR4を、R11
1種以上のOH,CH2OH,N(R6)2またはハロゲン
で置換されていてもよいC1-8アルキル,C2-8アルケニ
ル,C2-8アルキニルを,Xは(CH2)n,O,NR6,ま
たはS(O)qを、YはCH3,または−CH2X(CH2)n
Arを、Arは1種以上のR3またはR4で置換されてい
てもよい
【化12】 ,ナフチル,インドリル,ピリジル,チエニル,オキサ
ゾリジニル,オキサゾリル,チアゾリル,イソチアゾリ
ル,ピラゾリル,トリアゾリル,テトラゾリル,イミダ
ゾリル,イミダゾリジニル,チアゾリジニル,イソキサ
ゾリル,オキサジアゾリル,チアジアゾリル,モルホリ
ニル,ピペリジニル,ピペラジニル,ピロリル,または
ピリミジルを、AはC=Oまたは〔C(R6)2mを、B
は−CH2−または−O−を、Z1およびZ2は、同一ま
たは異なって水素,C1-8アルキル,C2-8アルケニル,
2-8アルキニル,OH,C1-8アルコキシ,S(O)q
1-8アルキル,N(R6)2,Br,F,I,Cl,NHC
OR6,−X(CH2)n8,フェニル,ベンジルまたはC
3-6シクロアルキルを、ここで、C1-8アルキル,C2-8
アルケニルまたはC2-8アルキニルはCOOH,OH,
CO(CH2)nCH3,CO(CH2)nCH2N(R6)2または
ハロゲンで置換されていてもよい、またはZ1およびZ2
は一緒になって、隣接する炭素原子上に−O−A−O−
を形成していてもよい、Z3はZ1またはXR9Yを、q
は0,1または2を、nは0から6の整数を、mは1,
2または3を、破線は、二重結合が存在してもよいこと
を示す。ただし、XがS(O)qであるときR2は水素でな
く、二重結合が存在するとき、P1は存在せず、1つの
10のみが存在し、化合物は、(1RS)−1,3−ジ
フェニルインデン−2−カルボン酸,(cis,ci
s)−(1RS,3SR)−1,3−ジフェニルインダ
ン−2−カルボン酸,(1RS)−3−〔3−メチル−
1−フェニル−(1H)−インダ−2−エン−1−イ
ル〕プロピオン酸または(1RS)−2〔1,3−ジフ
ェニル−(1H)−インダ−2−エン−2−イル〕酢酸
ではない〕で表される化合物またはその製薬上許容され
る塩が記載されている。
【0013】鎖状のペプチドとしては、例えば特開平4
−244097号公報、特開平4−283600号公
報、特開平4−283600号公報、WO93/101
44に記載のペプチドが挙げられる。特開平4−244
097号公報には、
【化13】 〔式中、R1は水素原子またはアシル基、R2は低級アル
キル基、置換されていてもよいアル(低級)アルキル
基、シクロ(低級)アルキル(低級)アルキル基または
置換されていてもよい複素環(低級)アルキル基、R3
は置換されていてもよい複素環(低級)アルキル基また
は置換されていてもよいアル(低級)アルキル基、R4
は水素原子または置換されていてもよい低級アルキル
基、R5はカルボキシ基、保護されたカルボキシ基、カ
ルボキシ(低級)アルキル基または保護されたカルボキ
シ(低級)アルキル基、R6は水素原子または置換され
ていてもよい低級アルキル基、R7は水素原子または低
級アルキル基、Aは−O−、−NH−、低級アルキルイ
ミノ基または低級アルキレン基を意味する。ただし、R
2が(S)−イソブチル基、R3がN−(ジクロロベンジ
ルオキシカルボニル)インドール−3−イルメチル基、
4がメチル基、R5がメトキシカルボニル基、R6が水
素原子、R7が水素原子およびAが−NH−の場合、
【化14】 で示されるペプチド化合物または医薬として許容される
その塩が記載されている。
【0014】特開平4−283600号公報には、一般
式 R1−HX1DX2IX3 〔式中、X1はロイシン、アルギニン又はグルタミン残
基を表し、X2はイソロイシン又はバリン残基を表し、
3はトリプトファン、アミドトリプトファン又はD−
ナフチルアラニン残基を表し、そしてR1は残りの15
個のアミノ酸を表す〕で表されるペプチド誘導体が記載
されている。WO93/10144には、一般式
【化15】 〔式中、R3は水素または低級アルキルを、R4はピリジ
ル(低級)アルキルを、(1)R1はC3−C8アルキレ
ンアミノ,N,N−ジ(低級)アルキルアミノ,N−低
級アルキル−N−アリールアミノ,N−低級アルキル−
N−C3−C8シクロアルキルアミノまたはC5−C10
シクリックアルキレンアミノを、R2は低級アルキル
を、R5はオキソ,ピリジル(低級)アルキルアミノで
置換されていてもよいC3−C8アルキレンアミノ,N,
N−ジ(低級)アルキルアミノ,モルホリノ,チオモル
ホリノ,N,N−ジ(低級)アルキルヒドラジノ,モル
ホリノアミノ,低級アルキルピペラジニルアミノ,低級
アルコキシ(低級)アルキルアミノ,モルホリノ(低
級)アルキルアミノ,C3−C8アルキレンアミノ(低
級)アルキルアミノを、Aは低級アルキレンを、(2)
1はピペリジン−1−イル,低級アルキルピペリジン
−1−イル,オクタヒドロアゾシン−1−イル,インド
リン−1−イル,1,2,3,4−テトラヒドロキノリン
−1−イル,N,N−ジ(低級)アルキルアミノ,N−
低級アルキル−N−アリールアミノ,N−低級アルキル
−N−C3−C8シクロアルキルアミノまたはC5−C10
ビシクリックアルキレンアミノを、R2は低級アルキル
を、R5はアミノまたは低級アルキルアミノを、Aは低
級アルキレンを、(3)R1はピペリジン−1−イル,
オクタヒドロアゾシン−1−イル,N,N−ジ(低級)
アルキルアミノまたはC5−C10ビシクリックアルキレ
ンアミノを、R2は低級アルキルを、R5はアミノ,低級
アルキルアミノ,N,N−ジ(低級)アルキルアミノ,
3−C8アルキレンアミノまたはモルホリノを、Aは−
NH−を、(4)R1はヘキサヒドロ−1H−アゼピン
−1−イルを、R2はイソブチルを、R5はエチルアミノ
を、Aはメチレンを、
【0015】(5)R1はN−〔1−(ジメチルカルバ
モイル)−2,2−ジメチルプロピル〕アミノを、R2
イソブチルを、R5はアミノを、Aは−NH−を、
(6)R1はN,N−ジ(低級)アルキルアミノ,1,2,
3,4−テトラヒドロキノリン−1−イル,N−低級ア
ルキル−N−アリールアミノまたはN−低級アルキル−
N−C3−C8シクロアルキルアミノを、R2は低級アル
キルを、R5はヒドロキシ、またはCO−R5は保護され
たカルボキシを、Aは低級アルキレンを、(7)R1
5−C10ビシクリックアルキレンアミノを、R2は低級
アルキルを、R5はヒドロキシ、またはCO−R5は保護
されたカルボキシを、Aは低級アルキレンまたは−NH
−を、(8)R1はN−エチル−N−(1−エチルプロ
ピル)アミノ,N−エチル−N−イソプロピルアミノ,
N−エチル−N−ネオペンチルアミノまたはN−(1−
エチルプロピル)−N−プロピルアミノを、R2はイソ
ブチルを、R5はヒドロキシ、またはCO−R5は保護さ
れたカルボキシを、Aは−NH−を、(9)R1はピペ
リジン−1−イルを、R2はイソブチルを、R5はヒドロ
キシ、またはCO−R5は保護されたカルボキシを、A
はメチレンを、
【0016】(10)R1はヘキサヒドロ−1H−アゼ
ピン−1−イルを、R2はプロピルを、R5はヒドロキ
シ、またはCO−R5は保護されたカルボキシを、Aは
−NH−を示す〕で表される化合物またはその製薬上許
容される塩が記載されている。環状のペプチドとして
は、例えば特開平4−261198号公報に記載のペプ
チドが挙げられる。特開平4−261198には、一般
式 cyclo(-X1-X2-X3-X4-X5-) 〔式中、X1〜X5はそれぞれアミノ酸残基を示し、X1
はDPhe、DTyr、DTha、DTza、DNal、DBta、DTrp、DTrp
(0)、DTrp(CHO)又はDTrp((CH2)mCOR1)(式中、mは0〜
6を示し、R1は水酸基、C1〜C6アルコキシ基、アミ
ノ基又はC1〜C6モノアルキルアミノ基を示す。ただ
し、m=0のときR1は水酸基ではない)を示し、X1
DAsp、DGlu又はDCys(O3H)を示し、X3はPro、Hyp、Pip、
Thz、βAla又はα−アミノ基上の水素原子が、イミダゾ
リル基、カルボキシ基、スルホ基、水酸基からなる群よ
り選ばれる任意の基を有していてもよいC1〜C6アルキ
ル基若しくはC3〜C7シクロアルキル基で置換されてい
てもよい、Gly、Ala、αAba、Aib、Val、Nva、Leu、Il
e、aIle、Nle、Met、Met(O)、Met(O2)、Phe、Tza、Th
a、Tyr、Trp、His、Arg、Lys、Lys(CHO)、Orn、Orn(CH
O)、Asn、Gln、Asp、Glu、Cys(O2H)、Cys、Serもしくは
Thrを示し、X4はDAla、DThr、DαAba、DVal、DNva、DLe
u、DIle、DaIle、DNle、DtertLeu、DCpg、DChg、DDpg、
DPen、Aib、Ac3c、Ac4c、Ac5c、Ac6c、Ac7c又はα位の
水素原子がC1〜C3アルキル基で置換されていてもよい
DPhg、DThg、DFug、DTzgもしくはDItgを示し、X5はPr
o,Pip,Thz又はα−アミノ基上の水素原子がC1〜C6
アルキル基で置換されていてもよい、His、Ala、αAb
a、Val、Nva、Leu、Ile、aIle、Nle、Met、C3al、C4a
l、C5alもしくはC6alを示す〕で表される環状ペンタペ
プチド又はその製薬上許容される塩が記載されている。
【0017】環状および鎖状のペプチドを含有するもの
としては、例えば特開平4−288099号公報に記載
のペプチドが挙げられる。特開平4−288099に
は、一般式
【化16】 〔式中、Xaa1はTyr,Phe又はAlaを表わ
し:Xaa2はAsp又はGlyを表わし、そしてXa
3はTrp又はPheを表わす〕で表されるペプチド
が記載されている。また、上記したエンドセリンアンタ
ゴニストとしては、微生物から産生されるものも含ま
れ、このような例としては、例えばシクロデプシペプチ
ドであるコチンミシン〔ザ・ジャーナル・オブ・アンチ
バイオティクス(The Journal of Antibiotics) vol.4
5, No.11, 1709−1722(1992)〕が挙げられる。エンドセ
リンアンタゴニストのうち、ET−AあるいはET−B
の両方の受容体に拮抗するものの例としては、例えばヨ
ーロッパ特許公開528312号公報および特願平5−
278722に記載されている環状ペプチドが挙げられ
る。これを具体的に示せば、一般式
【化17】 〔式中、XおよびYはそれぞれα−アミノ酸残基を、A
はD−酸性−α−アミノ酸残基を、Bは中性−α−アミ
ノ酸残基を、CはL−α−アミノ酸残基を、Eは芳香環
基を有するD−α−アミノ酸残基を示す〕で表されるペ
プチドである。
【0018】一般式〔I〕において、XまたはYで表さ
れるα−アミノ酸残基の母体となるアミノ酸はα−アミ
ノ酸ならばどのようなアミノ酸でもよく、例えばアラニ
ン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シス
テイン、グルタミン、グルタミン酸、2−アミノマロン
酸、2−アミノアジピン酸、グリシン、ヒスチジン、イ
ソロイシン、ロイシン、リジン、オルニチン、2,4−
ジアミノ酪酸、メチオニン、フェニルアラニン、プロリ
ン、4−ヒドロキシプロリン、チオプロリン、アゼチジ
ン−2−カルボン酸、ピペコリン酸(ピペリジン−2−
カルボン酸)、インドリン−2−カルボン酸、テトラヒ
ドロイソキノリン−3−カルボン酸、セリン、スレオニ
ン、トリプトファン、5−メチルトリプトファン、チロ
シン、バリン、アロイソロイシン、ノルバリン、ノルロ
イシン、tert−ロイシン、γメチルロイシン、フェ
ニルグリシン、2−アミノ酪酸、システイン酸、ホモシ
ステイン酸、1−ナフチルアラニン、2−ナフチルアラ
ニン、2−チエニルグリシン、3−チエニルグリシン、
3−ベンゾチエニルアラニン、4−ビフェニルアラニ
ン、ペンタメチルフェニルアラニン、1−アミノシクロ
プロパン−1−カルボン酸、1−アミノシクロブタン−
1−カルボン酸、1−アミノシクロペンタン−1−カル
ボン酸、1−アミノシクロヘキサン−1−カルボン酸、
1−アミノシクロヘプタン−1−カルボン酸などが挙げ
られる。
【0019】これらのα−アミノ酸に官能基、例えば水
酸基、チオール基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル
基などがある場合、これらの官能基は適当な置換基で置
換されていてもよい。ここにおいて、置換された水酸基
としてはC1-6アルカノイルオキシ(例えばホルミルオ
キシ、アセトキシ、プロピオニルオキシなど)、C4-9
脂環状カルボニルオキシ(例えばシクロペンタンカルボ
ニルオキシ、シクロヘキサンカルボニルオキシなど)、
7-15アリールカルボニルオキシ(例えばベンゾイルオ
キシ、4−メチルベンゾイルオキシなど)、C8-16アラ
ルキルカルボニルオキシ(例えばフェニルアセトキシ、
2−フェニルプロピオニルオキシ、3−フェニルプロピ
オニルオキシ、ジフェニルアセトキシなど)、芳香族複
素環−アルキルカルボニルオキシ(例えばインドール−
2−イルアセトキシ、インドール−3−イルアセトキシ
など)、C1-6アルコキシ(例えばメトキシ、エトキ
シ、n−プロポキシ、tert−ブトキシなど)、C
3-8シクロアルコキシ(例えばシクロペンチルオキシ、
シクロヘキシルオキシなど)、C6-12アリールオキシ
(例えばフェニルオキシ、4−メチルフェニルオキシな
ど)、C7-15アラルキルオキシ(例えばベンジルオキ
シ、フェネチルオキシ、ジフェニルメトキシなど)など
が挙げられる。置換された水酸基を有するα−アミノ酸
としては、例えばO−アセチルセリン、O−アセチルス
レオニン、4−アセトキシプロリン、O−ベンゾイルセ
リン、O−ベンゾイルスレオニン、4−ベンゾイルオキ
シプロリン、O−フェニルアセチルセリン、O−フェニ
ルアセチルスレオニン、4−フェニルアセトキシプロリ
ン、O−エチルセリン、O−エチルスレオニン、4−エ
トキシプロリン、O−シクロヘキシルセリン、O−シク
ロヘキシルスレオニン、4−シクロヘキシルオキシプロ
リン、O−フェニルセリン、O−フェニルスレオニン、
4−フェノキシプロリン、O−ベンジルセリン、O−ベ
ンジルスレオニン、4−ベンジルオキシプロリン、O−
ジフェニルメチルセリン、O−ジフェニルメチルスレオ
ニン、4−ジフェニルメトキシプロリンなどが挙げられ
る。
【0020】置換されたチオール基としてはC1-6アル
カノイルチオ(例えばホルミルチオ、アセチルチオ、プ
ロピオニルチオなど)、C4-9脂環状カルボニルチオ
(例えばシクロペンタンカルボニルチオ、シクロヘキサ
ンカルボニルチオなど)、C7-15アリールカルボニルチ
オ(例えばベンゾイルチオ、4−メチルベンゾイルチオ
など)、C8-16アラルキルカルボニルチオ(例えばフェ
ニルアセチルチオ、2−フェニルプロピオニルチオ、3
−フェニルプロピニルチオ、ジフェニルアセチルチオな
ど)、C1-6アルキルチオ(例えばメチルチオ、エチル
チオ、n−プロピルチオ、tert−ブチルチオな
ど)、C3-8シクロアルキルチオ(例えばシクロペンチ
ルチオ、シクロヘキシルチオなど)、C6-12アリールチ
オ(例えばフェニルチオ、4−メチルフェニルチオな
ど)、C7-15アラルキルチオ(例えばベンジルチオ、フ
ェネチルチオ、ジフェニルメチルチオなど)などが挙げ
られる。置換されたチオール基を有するα−アミノ酸と
しては、例えばS−アセチルシステイン、S−ベンゾイ
ルシステイン、S−フェニルアセチルシステイン、S−
エチルシステイン、S−シクロヘキシルシステイン、S
−フェニルシステイン、S−ベンジルシステインなどが
挙げられる。
【0021】置換されたアミノ基としてはC1-6アルキ
ルアミノ(例えばN−メチルアミノ、N−エチルアミ
ノ、N−tert−ブチルアミノなど)、C3-8シクロ
アルキルアミノ(例えばN−シクロペンチルアミノ、N
−シクロヘキシルアミノなど)、C6-12アリールアミノ
(例えばN−フェニルアミノ、N−{4−メチルフェニ
ル}アミノなど)、C7-15アラルキルアミノ(例えばN
−ベンジルアミノ、N−フェネチルアミノ、N−{2−
クロロベンジル}アミノ、N−{3−クロロベンジル}
アミノ、N−{4−クロロベンジル}アミノ、N−{2
−メチルベンジル}アミノ、N−{3−メチルベンジ
ル}アミノ、N−{4−メチルベンジル}アミノ、N−
{2−メトキシベンジル}アミノ、N−{3−メトキシ
ベンジル}アミノ、N−{4−メトキシベンジル}アミ
ノなど)、芳香族複素環−C1-6アルキルアミノ(例え
ば2−フリルメチルアミノ、3−フリルメチルアミノ、
2−チエニルメチルアミノ、3−チエニルメチルアミ
ノ、インドール−2−イルメチルアミノ、インドール−
3−イルメチルアミノ)、C1-6脂肪族アシルアミド
(例えばホルムアミド、アセトアミド、プロピオンアミ
ドなど)、C4-9脂環状アシルアミノ(例えばシクロペ
ンタンカルボキサミド、シクロヘキサンカルボキサミド
など)、C7-15アリールアシルアミド(例えばベンズア
ミド、4−メチルベンズアミドなど)、C8-16アラルキ
ルアシルアミド(例えばフェニルアセトアミド、2−フ
ェニルプロピオンアミド、3−フェニルプロピオンアミ
ド、ジフェニルアセトアミド、1−ナフチルアセトアミ
ド、2−ナフチルアセトアミドなど)、芳香族複素環−
カルボキサミド(例えばインドール−2−イルカルボキ
サミド、インドール−3−イルカルボキサミドなど)、
芳香族複素環−アルキルカルボキサミド(例えばインド
ール−2−イルアセトアミド、インドール−3−イルア
セトアミドなど)、スルホニルアミド(例えばベンゼン
スルホニルアミド、パラトルエンスルホニルアミド、4
−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニ
ルアミドなど)などが挙げられる。置換されたイミノ基
またはイミド基における置換基は、それぞれ上記した置
換されたアミノ基またはアミド基の置換基と同様のもの
が用いられる。アミノ基が置換されたα−アミノ酸とし
ては、例えばN−メチルグリシン(サルコシン)、N−
エチルグリシン、N−メチルロイシン、N−エチルロイ
シン、N−メチルフェニルアラニン、N−エチルフェニ
ルアラニン、N(α)−メチルトリプトファン、N
(α)−エチルトリプトファン、N−シクロペンチルグ
リシン、N−シクロヘキシルグリシン、N−フェニルグ
リシン、N−フェニルロイシン、N−ベンジルグリシ
ン、N−ベンジルロイシン、N(π)−ベンジルヒスチ
ジン、N(τ)−ベンジルヒスチジン、N(π)−フェ
ナシルヒスチジン、N(π)−ベンジルオキシメチルヒ
スチジン、Ng−ベンゼンスルホニルアルギニン、Ng
パラトルエンスルホニルアルギニン、Ng−(4−メト
キシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル)ア
ルギニン、N(ε)−ベンゼンスルホニルリジン、N
(ε)−パラトルエンスルホニルリジン、N(ε)−
(4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスル
ホニル)リジン、Nin−メチルトリプトファン、Nin
エチルトリプトファン、Nin−ホルミルトリプトファ
ン、Nin−アセチルトリプトファン、N(ε)−ベンジ
ルリジン、N(ε)−(2−フリルメチル)リジン、N
(ε)−(2−チエニルメチル)リジン、N(ε)−
(インドール−3−イルメチル)リジン、N(ε)−フ
ェニルアセチルリジン、N(ε)−({2−フリル}ア
セチル)リジン、N(ε)−({2−チエニル}アセチ
ル)リジン、N(ε)−({インドール−3−イル}ア
セチル)リジン、N(ε)−ベンゾイルリジン、N
(ε)−(3−フェニルプロピオニル)リジン、N
(δ)−ベンジルオルニチン、N(δ)−(2−フリル
メチル)オルニチン、N(δ)−(2−チエニルメチ
ル)オルニチン、N(δ)−(インドール−3−イルメ
チル)オルニチン、N(δ)−ベンゾイルオルニチン、
N(δ)−フェニルアセチルオルニチン、N(δ)−
(3−フェニルプロピオニル)オルニチン、N(δ)−
({2−メチルフェニル}アセチル)オルニチン、N
(δ)−({3−メチルフェニル}アセチル)オルニチ
ン、N(δ)−({4−メチルフェニル}アセチル)オ
ルニチン、N(δ)−({2−クロロフェニル}アセチ
ル)オルニチン、N(δ)−({3−クロロフェニル}
アセチル)オルニチン、N(δ)−({4−クロロフェ
ニル}アセチル)オルニチン、N(δ)−({2−メト
キシフェニル}アセチル)オルニチン、N(δ)−
({3−メトキシフェニル}アセチル)オルニチン、N
(δ)−({4−メトキシフェニル}アセチル)オルニ
チン、N(δ)−(4−ビフェニルアセチル)オルニチ
ン、N(γ)−ベンジル−2,4−ジアミノ酪酸、N
(γ)−(2−フリルメチル)−2,4−ジアミノ酪
酸、N(γ)−(2−チエニルメチル)−2,4−ジア
ミノ酪酸、N(γ)−(インドール−3−イルメチル)
−2,4−ジアミノ酪酸、N(γ)−ベンゾイル−2,
4−ジアミノ酪酸、N(γ)−フェニルアセチル−2,
4−ジアミノ酪酸、N(γ)−(3−フェニルプロピオ
ニル)−2,4−ジアミノ酪酸、N(γ)−(2−フリ
ルアセチル)−2,4−ジアミノ酪酸、N(γ)−(2
−チエニルアセチル)−2,4−ジアミノ酪酸、N
(γ)−({インドール−3−イル}アセチル)−2,
4−ジアミノ酪酸などが挙げられる。
【0022】置換されたカルボキシル基としてはカルバ
モイル基(−CONH2)、C1-6アルキルカルバモイル(例
えばメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、{n−
プロピル}カルバモイル、tert−ブチルカルバモイ
ルなど)、C3-8シクロアルキルカルバモイル(例えば
シクロペンチルカルバモイル、シクロヘキシルカルバモ
イルなど)、C6-12アリールカルバモイル(例えばフェ
ニルカルバモイル、{4−メチルフェニル}カルバモイ
ルなど)、C7-15アラルキルカルバモイル(例えばベン
ジルカルバモイル、フェネチルカルバモイル、{1,2
−ジフェニルエチル}カルバモイルなど)、{芳香族複
素環−C1-6アルキル}カルバモイル(例えば〔2−
{インドール−2−イル}エチル〕カルバモイル、〔2
−{インドール−3−イル}エチル〕カルバモイルな
ど)、ピペリジノカルボニル、ピペラジンカルボニル、
4−C1-6アルキルピペラジンカルボニル(例えばN4
−メチルピペラジンカルボニル、N4−エチルピペラジ
ンカルボニルなど)、N4−C3-8シクロアルキルピペラ
ジンカルボニル(例えばN4−シクロペンチルピペラジ
ンカルボニル、N4−シクロヘキシルピペラジンカルボ
ニルなど)、N4−5〜7員異項環ピペラジンカルボニ
ル(例えばN4−ピリジルピペラジンカルボニル、N4
フリルピペラジンカルボニル、N4−チエニルピペラジ
ンカルボニルなど)、N4−C6-12アリールピペラジン
カルボニル(例えばN4−フェニルピペラジンカルボニ
ル、N4−{4−メチルフェニル}ピペラジンカルボニ
ルなど)、N4−C7-15アラルキルピペラジンカルボニ
ル(例えばN4−ベンジルピペラジンカルボニル、N4
フェネチルピペラジンカルボニル、N4−{1,2−ジ
フェニルエチル}ピペラジンカルボニルなど)、N4
{芳香族複素環−C1-6アルキル}ピペラジンカルボニ
ル(例えばN4−〔2−{インドール−2−イル}エチ
ル〕ピペラジンカルボニル、N4−〔2−{インドール
−3−イル}エチル〕ピペラジンカルボニルなど)、N
4−C1-6脂肪族アシルピペラジンカルボニル(例えばN
4−アセチルピペラジンカルボニル、N4−プロピオニル
ピペラジンカルボニルなど)、N4−C4-9脂環状アシル
ピペラジンカルボニル(例えばN4−シクロペンタンカ
ルボニルピペラジンカルボニル、N4−シクロヘキサン
カルボニルピペラジンカルボニルなど)、N4−C7-15
アリールアシルピペラジンカルボニル(例えばN4−ベ
ンゾイルピペラジンカルボニル、N4−{4−メチルベ
ンゾイル}ピペラジンカルボニルなど)、N4−C8-16
アラルキルアシルピペラジンカルボニル(例えばN4
フェニルアセチルピペラジンカルボニル、N4−{2−
フェニルプロピオン}ピペラジンカルボニル、N4
{3−フェニルプロピオニル}ピペラジンカルボニル、
4−ジフェニルアセチルピペラジンカルボニル、N4
{1−ナフチルアセチル}ピペラジンカルボニル、N4
−{2−ナフチルアセチル}ピペラジンカルボニルな
ど)、N4−{芳香族複素環−カルボニル}ピペラジン
カルボニル(例えばN4−{インドール−2−イルカル
ボニル}ピペラジンカルボニル、N4−{インドール−
3−イルカルボニル}ピペラジンアミドなど)、N4
{芳香族複素環−アルキルカルボニル}ピペラジンカル
ボニル(例えばN4−{インドール−2−イルアセチ
ル}ピペラジンカルボニル、N4−{インドール−3−
イルアセチル}ピペラジンカルボニルなど)、C1-6
ルキルオキシカルボニル(例えばメトキシカルボニル、
エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニルな
ど)、C3-8シクロアルキルオキシカルボニル(例えば
シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキ
シカルボニルなど)、C7-15アラルキルオキシカルボニ
ル(例えばベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキ
シカルボニル、1−フェニルエトキシカルボニル、ジフ
ェニルメトキシカルボニルなど)などが挙げられる。上
記したカルバモイル基のなかにはα−アミノ酸とのアミ
ドやオリゴペプチド(例えばジペプチド、トリペプチ
ド、テトラペプチドなど)とのアミドも含まれる。カル
ボキシル基が置換されたα−アミノ酸としては、例えば
4−メチルアスパラギン、N4−フェニルアスパラギ
ン、N4−ベンジルアスパラギン、N4−フェネチルアス
パラギン、N4−(2−{インドール−3−イル}エチ
ル)アスパラギン、N5−メチルグルタミン、N5−フェ
ニルグルタミン、N5−ベンジルグルタミン、N5−フェ
ネチルグルタミン、N5−(2−{インドール−3−イ
ル}エチル)グルタミン、アスパラギン酸β−メチルエ
ステル、アスパラギン酸β−シクロプロピルエステル、
アスパラギン酸β−ベンジルエステル、アスパラギン酸
β−フェネチルエステル、アスパラギン酸β−N4−フ
ェニルピペラジンアミド、アスパラギン酸β−N4
(2−メチルフェニル)ピペラジンアミド、アスパラギ
ン酸β−N4−(3−メチルフェニル)ピペラジンアミ
ド、アスパラギン酸β−N4−(4−メチルフェニル)
ピペラジンアミド、アスパラギン酸β−N4−(2−メ
トキシフェニル)ピペラジンアミド、アスパラギン酸β
−N4−(3−メトキシフェニル)ピペラジンアミド、
アスパラギン酸β−N4−(4−メトキシフェニル)ピ
ペラジンアミド、アスパラギン酸β−N4−(2−クロ
ロフェニル)ピペラジンアミド、アスパラギン酸β−N
4−(3−クロロフェニル)ピペラジンアミド、アスパ
ラギン酸β−N4−(4−クロロフェニル)ピペラジン
アミド、アスパラギン酸β−N4−(4−ニトロフェニ
ル)ピペラジンアミド、アスパラギン酸β−N4−(4
−フルオロフェニル)ピペラジンアミド、アスパラギン
酸β−N4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペ
ラジンアミド、アスパラギン酸β−N4−(2,3−ジ
メチルフェニル)ピペラジンアミド、アスパラギン酸β
−N4−(2−ピリジル)ピペラジンアミド、アスパラ
ギン酸β−N4−(2−ピリミジル)ピペラジンアミ
ド、グルタミン酸γ−メチルエステル、グルタミン酸γ
−シクロプロピルエステル、グルタミン酸γ−ベンジル
エステル、グルタミン酸γ−フェネチルエステルなどが
挙げられる。
【0023】一般式〔I〕において、XまたはYで表さ
れるα−アミノ酸残基の母体となるα−アミノ酸はD
体、L体、DL体のいずれでもよいが、X、Yのいずれ
もL体がより好ましい。Xは、好ましくは-Asp(R1)-を
示す。-Asp(R1)-は、
【化18】 を示し、ここにおいて、R1は部分構造式
【化19】 (式中、X1およびX2はそれぞれ水素原子、C1-6アル
キル基、C1-6アルコキシ基、ハロゲン原子またはニト
ロ基を示し、
【化20】 は、X1とX2とが結合して環を形成してもよい。)で表
される基を示す。X1およびX2で表されるC1-6アルキ
ル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、
iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、te
rt−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどが用い
られ、特にメチル、エチル、n−プロピル、iso−プ
ロピルなどのC1-3アルキル基などが好ましく、なかで
もメチルが好ましい。X1およびX2で表されるC1-6
ルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、n−
プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−
ヘキシルオキシなどが用いられ、特にメトキシ、エトキ
シ、n−プロポキシなどのC1-3アルコキシ基などが好
ましく、なかでもメトキシ、エトキシが好ましい。
【0024】X1およびX2で表されるハロゲン原子とし
ては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが用いら
れ、特に塩素が好ましい。X1とX2とが結合して環を形
成する場合、R1は、式
【化21】 で表される基が好ましい。環Qとしては、例えばO、
N、Sなどのヘテロ原子を1ないし3個程度含んでいて
もよい4ないし7員環(飽和炭素環、芳香族炭素環、飽
和複素環、芳香族複素環など)などが用いられる。上記
したもののなかでも、R1は、式
【化22】 (X11は水素原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ
基、ハロゲン原子またはニトロ基を示す。)で表される
基が好ましい。その具体例を挙げれば、例えば
【化23】 などである。上記-Asp(R1)-には、D体、L体、DL体
のいずれも含まれるが、なかでもL体が好ましい。
【0025】一般式〔I〕において、Aで表されるD−
酸性−α−アミノ酸残基の母体となるアミノ酸として
は、例えば側鎖にカルボキシル基、スルホ基またはテト
ラゾリル基のような酸性基を有するアミノ酸が挙げられ
る。その具体例としては、D−グルタミン酸、D−アス
パラギン酸、D−システイン酸、D−ホモシステイン
酸、D−β−(5−テトラゾリル)アラニン、D−2−
アミノ−4−(5−テトラゾリル)酪酸などが挙げられ
るが、特にD−グルタミン酸、D−アスパラギン酸、D
−システイン酸が好ましい。一般式〔I〕において、B
で表される中性−α−アミノ酸残基の母体となるアミノ
酸としては、例えばアラニン、バリン、ノルバリン、ロ
イシン、イソロイシン、アロイソロイシン、ノルロイシ
ン、tert−ロイシン、γ−メチルロイシン、フェニ
ルグリシン、フェニルアラニン、1−ナフチルアラニ
ン、2−ナフチルアラニン、プロリン、4−ヒドロキシ
プロリン、アゼチジン−2−カルボン酸、ピペコリン酸
(ピペリジン−2−カルボン酸)、2−チエニルアラニ
ン、2−チエニルグリシン、3−チエニルグリシン、1
−アミノシクロプロパン−1−カルボン酸、1−アミノ
シクロブタン−1−カルボン酸、1−アミノシクロペン
タン−1−カルボン酸、1−アミノシクロヘキサン−1
−カルボン酸、1−アミノシクロヘプタン−1−カルボ
ン酸、2−シクロペンチルグリシン、2−シクロヘキシ
ルグリシンなどのα−アミノ酸が挙げられる。上記の中
性−α−アミノ酸にL体とD体が存在する場合はD体の
方が好ましい。とりわけD−ロイシン、D−アロイソロ
イシン、D−tert−ロイシン、D−γ−メチルロイ
シン、D−フェニルグリシン、D−2−チエニルアラニ
ン、D−2−チエニルグリシン、D−3−チエニルグリ
シン、D−2−シクロペンチルグリシンがより好まし
い。これらの中性−α−アミノ酸のα−アミノ基はC
1-6アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピ
ル、tert−ブチルなど)で置換されていてもよい。
このようなα−アミノ酸としては、例えばN−メチルロ
イシン、N−メチルアロイソロイシン、N−メチル−t
ert−ロイシン、N−メチル−γ−メチルロイシン、
N−メチルフェニルグリシンなどが挙げられ、これらも
D体の方が好ましい。
【0026】上記Bは、好ましくは-NH-CHR2-CO-を示
す。ここにおいて、R2はC1-6アルキル基、C3-7シク
ロアルキル基、C3-7シクロアルキル−C1-3アルキル
基、C1-6アルキルチオ−C1-3アルキル基、C3-7シク
ロアルキルチオ−C1-3アルキル基、C1-6アルコキシ−
1-3アルキル基、C3-7シクロアルコキシ−C1-3アル
キル基、C1-6アルキルチオ基、C3-7シクロアルキルチ
オ基、C1-6アルコキシ基またはC3-7シクロアルコキシ
基を示す。R2で表されるC1-6アルキル基としては、例
えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピ
ル、n−ブチル、iso−ブチル、(1−メチル)プロ
ピル、tert−ブチル、n−ペンチル、(2−メチ
ル)ブチル、(3−メチル)ブチル、ネオペンチル、n
−ヘキシル、(2,2−ジメチル)ブチル、(3,3−
ジメチル)ブチルなどが用いられ、特にn−ブチル、i
so−ブチル、(1−メチル)プロピル、tert−ブ
チル、n−ペンチル、(2−メチル)ブチル、(3−メ
チル)ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどのC
4-6アルキル基が好ましい。R2で表されるC3-7シクロ
アルキル基としては、例えばシクロプロピル、シクロブ
チル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチ
ルが用いられ、特にシクロペンチル、シクロヘキシル、
シクロヘプチルなどのC5-7シクロアルキル基が好まし
い。
【0027】R2で表されるC3-7シクロアルキル−C
1-3アルキル基としては、例えばシクロプロピルメチ
ル、シクロブチルメチル、シクロブチルエチル、シクロ
ブチルプロピル、シクロペンチルメチル、シクロペンチ
ルエチル、シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメ
チル、シクロヘキシルエチル、シクロヘキシルプロピ
ル、シクロヘプチルメチル、シクロヘプチルエチルなど
が用いられ、特にシクロプロピルメチル、シクロブチル
メチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチ
ル、シクロヘプチルメチルなどのC3-7シクロアルキル
−メチル基などが好ましい。R2で表されるC1-6アルキ
ルチオ−C1-3アルキル基としては、例えばメチルチオ
メチル、メチルチオエチル、メチルチオプロピル、エチ
ルチオメチル、エチルチオエチル、n−プロピルチオプ
ロピル、iso−プロピルチオメチル、n−ブチルチオ
メチル、tert−ブチルチオメチル、n−ブチルチオ
エチル、tert−ブチルチオプロピル、(1,1−ジ
メチル)プロピルチオメチルなどが用いられ、特に、i
so−プロピルチオメチル、n−ブチルチオメチル、t
ert−ブチルチオメチル、(1,1−ジメチル)プロ
ピルチオメチルなどのC3-7アルキルチオ−メチル基な
どが好ましい。R2で表されるC3-7シクロアルキルチオ
−C1-3アルキル基としては、例えばシクロプロピルチ
オメチル、シクロプロピルチオエチル、シクロプロピル
チオプロピル、シクロブチルチオメチル、シクロブチル
チオエチル、シクロブチルチオプロピル、シクロペンチ
ルチオメチル、シクロペンチルチオエチル、シクロヘキ
シルチオメチル、シクロヘプチルチオメチルなどが用い
られ、特にシクロブチルチオメチル、シクロペンチルチ
オメチル、シクロヘキシルチオメチル、シクロヘプチル
チオメチルなどのC4-7シクロアルキルチオ−メチル基
などが好ましい。
【0028】R2で表されるC1-6アルコキシ−C1-3
ルキル基としては、例えばメトキシメチル、メトキシエ
チル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエ
チル、n−プロポキシメチル、n−プロポキシエチル、
iso−プロポキシメチル、iso−プロポキシエチ
ル、n−ブトキシメチル、n−ブトキシエチル、ter
t−ブトキシメチル、tert−ブトキシエチル、n−
ペンチルオキシメチル、n−ペンチルオキシエチル、
(1,1−ジメチル)プロポキシメチル、(1,1−ジ
メチル)プロポキシエチル、n−ヘキシルオキシメチ
ル、n−ヘキシルオキシエチルなどが用いられ、特にメ
トキシメチル、エトキシメチル、n−プロポキシメチ
ル、iso−プロポキシメチル、n−ブトキシメチル、
tert−ブトキシメチル、n−ペンチルオキシメチ
ル、(1,1−ジメチル)プロポキシメチルなどのC
1-6アルコキシ−メチル基が好ましく、なかでもiso
−プロポキシメチル、tert−ブトキシメチル、
(1,1−ジメチル)プロポキシメチル、n−ヘキシル
オキシメチルなどが好ましい。R2で表されるC3-7シク
ロアルコキシ−C1-3アルキル基としては、例えばシク
ロプロポキシメチル、シクロプロポキシエチル、シクロ
ブトキシメチル、シクロブトキシエチル、シクロペンチ
ルオキシメチル、シクロペンチルオキシエチル、シクロ
ヘキシルオキシメチル、シクロヘプチルオキシメチルな
どが用いられ、特にシクロプロポキシメチル、シクロブ
トキシメチル、シクロペンチルオキシメチル、シクロヘ
キシルオキシメチル、シクロヘプチルオキシメチルなど
のC3-7シクロアルコキシ−メチル基が好ましい。
【0029】R2で表されるC1-6アルキルチオ基として
は、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチ
オ、iso−プロピルチオ、n−ブチルチオ、tert
−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、(1,1−ジメチ
ル)プロピルチオ、n−ヘキシルチオなどが用いられ、
特に、n−プロピルチオ、iso−プロピルチオ、n−
ブチルチオ、tert−ブチルチオ、n−ペンチルチ
オ、(1,1−ジメチル)プロピルチオ、n−ヘキシル
チオなどのC3-6アルキルチオ基などが好ましい。R2
表されるC3-7シクロアルキルチオ基としては、例えば
シクロプロピルチオ、シクロブチルチオ、シクロペンチ
ルチオ、シクロヘキシルチオ、シクロヘプチルチオなど
が用いられ、特にシクロブチルチオ、シクロペンチルチ
オ、シクロヘキシルチオ、シクロヘプチルチオなどのC
4-7シクロアルキルチオ基などが好ましい。R2で表され
るC1-6アルコキシ基としては、例えばメトキシ、エト
キシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブト
キシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、
(1,1−ジメチル)プロポキシ、n−ヘキシルオキシ
などが用いられ、特にn−プロポキシ、iso−プロポ
キシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチ
ルオキシ、(1,1−ジメチル)プロポキシ、n−ヘキ
シルオキシなどのC3-6アルコキシ基が好ましい。
【0030】R2で表されるC3-7シクロアルコキシ基と
しては、例えばシクロプロポキシ、シクロブトキシ、シ
クロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘ
プチルオキシなどが用いられ、特にシクロブトキシ、シ
クロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘ
プチルオキシなどのC4-7シクロアルコキシ基が好まし
い。R2としてはC1-6アルキル基などが好ましく、なか
でもC4-6アルキル基(例えばn−ブチル、iso−ブ
チル、(1−メチル)プロピル、tert−ブチル、n
−ペンチル、(2−メチル)ブチル、(3−メチル)ブ
チル、ネオペンチル、n−ヘキシルなど)などが好まし
い。特に、R2としては、tert−ブチル、ネオペン
チルなどが好ましい。上記の-NH-CHR2-CO-で表されるα
−アミノ酸残基には、D体、L体、DL体のいずれも含
まれるが、なかでもD体が好ましい。一般式〔I〕にお
いて、Cで表されるL−α−アミノ酸残基の母体となる
アミノ酸としては、例えばグリシン、L−アラニン、L
−バリン、L−ノルバリン、L−ロイシン、L−イソロ
イシン、L−tert−ロイシン、L−ノルロイシン、
L−メチオニン、L−2−アミノ酪酸、L−セリン、L
−スレオニン、L−フェニルアラニン、L−アスパラギ
ン酸、L−グルタミン酸、L−アスパラギン、L−グル
タミン、L−リジン、L−トリプトファン、L−アルギ
ニン、L−チロシン、L−プロリンなど、通常一般に知
られているL−α−アミノ酸が挙げられ、特にL−ロイ
シン、L−ノルロイシン、L−トリプトファンが好まし
い。これらのL−α−アミノ酸のα−アミノ基はC1-6
アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、t
ert−ブチルなど)で置換されていてもよい。このよ
うなL−α−アミノ酸としては、例えばL−N−メチル
ロイシン、L−N−メチルノルロイシン、L−N(α)
−メチルトリプトファンなどが挙げられる。
【0031】一般式〔I〕において、Eで表される芳香
環基を有するD−α−アミノ酸残基の母体となるアミノ
酸としては、例えば側鎖に芳香環基を有するD−α−ア
ミノ酸が挙げられる。その具体例としては、D−トリプ
トファン、D−5−メチルトリプトファン、D−フェニ
ルアラニン、D−チロシン、D−1−ナフチルアラニ
ン、D−2−ナフチルアラニン、D−3−ベンゾチエニ
ルアラニン、D−4−ビフェニルアラニン、D−ペンタ
メチルフェニルアラニンなどが挙げられ、D−トリプト
ファン、D−5−メチルトリプトファンが好ましい。な
かでもD−トリプトファンがより好ましい。これらの芳
香環を有するD−α−アミノ酸のα−アミノ基はC1-6
アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、t
ert−ブチルなど)で置換されていてもよく、また、
D−トリプトファンのインドール環のアミノ基はC1-6
アルキル(例えばメチル、エチル、n−プロピル、te
rt−ブチルなど)、C3-8シクロアルキル(例えばシ
クロペンチル、シクロヘキシルなど)、C6-12アリール
(例えばフェニル、4−メチルフェニルなど)、C7-15
アラルキル(例えばベンジル、フェネチルなど)などの
炭化水素基やC1-6脂肪族アシル(例えばホルミル、ア
セチル、プロピオニルなど)、C4-9脂環状アシル(例
えばシクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボ
ニルなど)、C7-15アリールアシル(例えばベンゾイ
ル、4−メチルベンゾイルなど)、C8-16アラルキルア
シル(例えばフェニルアセチル、2−フェニルプロピオ
ニル、3−フェニルプロピオニル、ジフェニルアセチル
など)、C1-6アルコキシカルボニル(例えばメトキシ
カルボニル、エトキシカルボニルなど)などのアシル基
で置換されていてもよい。このようなα−アミノ酸とし
ては、例えばD−N(α)−メチルトリプトファン、D
−N−メチルフェニルアラニン、D−N−メチルチロシ
ン、D−Nin−メチルトリプトファン、D−Nin−エチ
ルトリプトファン、D−Nin−ホルミルトリプトファ
ン、D−Nin−アセチルトリプトファンなどが挙げられ
る。なかでもD−Nin−メチルトリプトファン、D−N
in−ホルミルトリプトファン、D−Nin−アセチルトリ
プトファンがより好ましい。
【0032】上記Eは、好ましくは-D-Trp(Nin-R3)-を
示す。ここにおいて、R3は、水素原子、C1-6アルキル
基、C3-7シクロアルキル基、−COR4(R4は水素原
子、C1-6アルキル基、C6-15アリール基、C6-15アリ
ール−C1-3アルキル基を示す)、−COOR5(R5
1-6アルキル基、C6-15アリール基またはC6-15アリ
ール−C1-3アルキル基を示す)または−CONHR
6(R6は水素原子、C1-6アルキル基、C6-15アリール
基またはC6-15アリール−C1-3アルキル基を示す)を
示す。ここで、R3はトリプトファン残基のインドール
基のN原子に結合している。R3で表されるC1-6アルキ
ル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、
iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、(1
−メチル)プロピル、tert−ブチル、n−ペンチ
ル、(2−メチル)ブチル、(3−メチル)ブチル、ネ
オペンチル、n−ヘキシル、(2,2−ジメチル)ブチ
ル、(3,3−ジメチル)ブチルなどが用いられ、特に
メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピルなど
のC1-3アルキル基が好ましい。R3で表されるC3-7
クロアルキル基としては、例えばシクロプロピル、シク
ロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘ
プチルが用いられ、特にシクロペンチル、シクロヘキシ
ル、シクロヘプチルなどのC5-7シクロアルキル基が好
ましい。
【0033】R4、R5およびR6で表されるC1-6アルキ
ル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、
iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、(1
−メチル)プロピル、tert−ブチル、n−ペンチ
ル、(2−メチル)ブチル、(3−メチル)ブチル、ネ
オペンチル、n−ヘキシル、(2,2−ジメチル)ブチ
ル、(3,3−ジメチル)ブチルなどが用いられ、特に
メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピルなど
のC1-3アルキル基が好ましい。R4、R5およびR6で表
されるC6-15アリール基としては、例えばフェニル、α
−ナフチル、β−ナフチルなどが用いられ、特にフェニ
ルが好ましい。R4、R5およびR6で表されるC6-15
リール−C1-3アルキル基としては、例えばベンジル、
フェニルエチル、フェニルプロピル、α−ナフチルメチ
ル、α−ナフチルエチル、α−ナフチルプロピル、β−
ナフチルメチル、β−ナフチルエチル、β−ナフチルプ
ロピルなどが用いられ、特にベンジル、α−ナフチルメ
チル、β−ナフチルメチルなどのC6-15アリールメチル
基が好ましい。具体的に、−COR4としては、例えば
ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブ
チリル、イソバレリル、ピバロイル、n−ペンチルカル
ボニル、ベンゾイル、フェニルアセチルなどが用いら
れ、−COOR5としては、例えばメトキシカルボニ
ル、エトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、ベン
ジルオキシカルボニルなどが用いられ、−CONHR6
としては、例えばカルバモイル、メチルアミノカルボニ
ル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカル
ボニル、iso−プロピルアミノカルボニル、n−ブチ
ルアミノカルボニル、iso−ブチルアミノカルボニ
ル、フェニルアミノカルボニル、ベンジルアミノカルボ
ニルなどが用いられる。
【0034】R3としては、特に水素原子、−COR
4(R4は水素原子、C1-6アルキル基、C6-15アリール
基、C6-15アリール−C1-3アルキル基を示す)などが
好ましい。具体的には、水素原子、ホルミル、アセチル
などが好ましい。一般式〔I〕で表わされるペプチドま
たはその塩の好ましい具体例は次のようなものである。
XがL体、YがL体、AがD−グルタミン酸、D−アス
パラギン酸、D−システイン酸およびD−テトラゾリル
アラニン残基からなる群から選ばれる基、BがD体、B
が1−アミノシクロプロパン−1−カルボン酸、1−ア
ミノシクロブタン−1−カルボン酸、1−アミノシクロ
ペンタン−1−カルボン酸、1−アミノシクロヘキサン
−1−カルボン酸および1−アミノシクロヘプタン−1
−カルボン酸残基からなる群から選ばれる基、BがD−
ロイシン、D−アロイソロイシン、D−tert−ロイ
シン、D−γ−メチルロイシン、D−フェニルグリシ
ン、D−2−チエニルグリシン、D−3−チエニルグリ
シン、D−2−シクロペンチルグリシン、D−フェニル
アラニン、D−2−チエニルアラニン、D−バリン、D
−2−フリルグリシンおよびD−3−フリルグリシン残
基からなる群から選ばれる基、CがL−ロイシン、L−
イソロイシン、L−バリン、L−ノルロイシンおよび芳
香族基を有するL−α−アミノ酸残基からなる群から選
ばれる基、EがD−トリプトファンもしくはその誘導
体、D−1−ナフチルアラニン、D−2−ナフチルアラ
ニン、D−ベンゾチエニルアラニン、D−4−ビスフェ
ニルアラニンおよびD−ペンタメチルフェニルアラニン
残基からなる群から選ばれる基、D−トリプトファンの
誘導体が、D−Nin−メチルトリプトファン、D−Nin
−ホルミルトリプトファンおよびD−Nin−アセチルト
リプトファン残基からなる群から選ばれる基である。さ
らに好ましい具体例は次のようなものである。AがD−
アスパラギン酸残基;Xがトリプトファン、L−(β−
4−フェニルピペラジンアミド)アスパラギン酸、L−
〔β−4−(2−メトキシフェニル)ピペラジンアミ
ド〕アスパラギン酸、L−N(δ)−フェニルアセチル
オルニチン(δは上付き、以下同様)、L−(N4
〔インドール−3−イル〕アセチル)オルニチン、L−
(4−ベンジルオキシ)プロリン、L−(N5−ベンジ
ル)グルタミンもしくはL−(N(δ)−〔インドール
−3−イル〕エチル)アスパラギン残基;YがL−ロイ
シン、L−アスパラギン酸もしくはL−O−ベンジルセ
リン残基;BがD−ロイシン、D−γ−メチルロイシ
ン、D−2−チエニルグリシンもしくはD−3−チエニ
ルグリシン残基;CがL−ロイシン、L−フェニルアラ
ニンおよびL−トリプトファン残基からなる群から選ば
れる基;およびEがD−トリプトファン残基である。
【0035】本発明における抗エンドセリン物質は、好
ましくは前述のヨーロッパ特許公開528312号公報
および特願平5−278722に記載されているペプチ
ドである。抗エンドセリン物質は、特に好ましくは以下
に示すペプチドである。 (1)cyclo〔-D-Asp-Asp(R1')-Asp-D-Thg(2)-Leu-D-Trp
-〕 (2)cyclo〔-D-Asp(OC2H5)-Asp(R1')-Asp(OC2H5)-D-Thg
(2)-Leu-D-Trp-〕 (3)cyclo〔-D-Asp-Asp(B7)-Asp-D-γMeLeu-Leu-D-Trp
-〕 〔式中、Aspはアスパラギン酸を、Asp(R1')はアスパ
ラギン酸β−4−フェニルピペラジンアミドを、Thg
(2)は2−チエニルグリシンを、Leuはロイシンを、Tr
pはトリプトファンを、Asp(B7)はアスパラギン酸β−4
−(2−メトキシフェニル)ピペラジンアミドを、γMe
Leuはγ−メチルロイシンを示す〕上記した抗エンドセ
リン物質、特にペプチドは塩として用いてもよく、好ま
しくは薬理学的に許容される塩が用いられる。このよう
な塩としては、例えば無機塩あるいは有機塩が挙げられ
る。無機塩の例としては、例えばアルカリ金属(例、ナ
トリウム,カリウムなど)、アルカリ土類金属(例、カ
ルシウム,マグネシウムなど),亜鉛,銅,アルミニウ
ム等の多価金属などの塩基との塩、無機酸(例、塩酸,
臭化水素酸,ヨウ化水素酸,硫酸,燐酸など)との塩が
挙げられる。有機塩の例としては、例えばカルボン酸
(例、ギ酸,酢酸,トリフルオロ酢酸,マレイン酸な
ど)、有機スルホン酸(例、メタンスルホン酸,ベンゼ
ンスルホン酸,トルエンスルホン酸など)、アミノ酸
(例、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸な
ど)などの有機酸との塩、アンモニウム塩や三級アミン
(例、トリメチルアミン,トリエチルアミン,ピリジ
ン,ピコリン,ジシクロヘキシルアミン,N−N’−ジ
ベンジルエチレンジアミンなど)などの有機塩基との塩
が挙げられる。抗エンドセリン物質がカルボキシル基な
どの酸性基を持つ場合には、ナトリウム塩、アルギニン
塩が好ましい。該抗エンドセリン物質がアミノ基などの
塩基性基を有する場合には塩酸塩、酢酸塩が好ましい。
上記した塩は、錯体であってもよい。このような錯体と
しては、例えばアルカリ金属(例、ナトリウム,カリウ
ムなど)、アルカリ土類金属(例、カルシウム,マグネ
シウムなど),亜鉛,銅,アルミニウム等の多価金属な
どとの錯体が挙げられる。錯体は、好ましくはアルカリ
土類金属(例、カルシウム,マグネシウムなど),亜
鉛,銅,アルミニウム等の多価金属との錯体であり、特
に好ましくは亜鉛錯体である。
【0036】上記一般式〔I〕で表されるペプチド、そ
のエステルまたはその塩のうち、一般式
【化24】 〔式中、A'はアルキル基でエステル化されたD-酸性-
α-アミノ酸残基を、他の記号は前記と同意義を示す〕
で表されるペプチドまたはその塩は、文献未記載の新規
化合物である。A'で表されるアルキル基でエステル化
されたD-酸性-α-アミノ酸残基におけるアルキル基と
しては、C1-6アルキル基、例えばメチル、エチル、n
−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−
ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシ
ルなどが用いられ、特にメチル、エチル、n−プロピ
ル、iso−プロピルなどのC1-3アルキル基などが好
ましい。ペプチド〔II〕またはその塩は、ペプチド
〔I〕またはその塩を自体公知のアルキルエステル化反
応に付すことにより製造される。ペプチド〔II〕または
その塩を用いて徐放性製剤を製造する場合、得られた徐
放性製剤は、薬物の初期放出が抑制され、定常的な薬物
放出を示す。
【0037】また、一般式〔I〕で表されるペプチドの
亜鉛塩は、文献未記載の新規化合物である。ペプチド
〔I〕の亜鉛塩は、ペプチド〔I〕またはその水溶性塩
(例、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩
等)と水溶性亜鉛塩とを水中で混合することにより製造
される。混合後、沈殿するペプチド〔I〕の亜鉛塩を遠
心分離等により単離する。このようにして得られた沈殿
物を蒸留水に分散させ、再び遠心分離を行う。これらの
操作を繰り返し、精製されたペプチド〔I〕の亜鉛塩を
得る。ついで、精製されたペプチド〔I〕の亜鉛塩を真
空乾燥、凍結乾燥等により乾燥させる。ペプチド〔I〕
と水溶性亜鉛塩との混合比(モル比)は、約10/1か
ら1/10、好ましくは約5/1から1/5である。両
者の水中における濃度は、それぞれ単独の溶解度範囲内
で、生成する複合体の溶解度以上の濃度であればよい。
上記水溶性亜鉛塩としては、例えばハロゲン化亜鉛
(例、塩化亜鉛,臭化亜鉛,ヨウ化亜鉛,フッ化亜鉛
等),硫酸亜鉛,硝酸亜鉛,チオシアン酸亜鉛等の無機
酸亜鉛塩、脂肪族カルボン酸亜鉛塩(例、酢酸亜鉛,グ
リコール酸亜鉛,乳酸亜鉛,酒石酸亜鉛等),芳香族酸
亜鉛塩(例、安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、フェノー
ルスルホン酸亜鉛等)等の有機酸亜鉛塩等が挙げられ
る。水溶性亜鉛塩は、好ましくは脂肪族カルボン酸亜鉛
塩であり、特に好ましくは酢酸亜鉛である。ペプチド
〔I〕の亜鉛塩を用いて徐放性製剤を製造する場合、得
られた徐放性製剤は、薬物の初期放出が抑制され、定常
的な薬物放出を示す。さらに薬物の取り込み率が高い。
【0038】本発明において、抗エンドセリン物質を持
続的に生体内に存在させるための手段としては、生体内
分解性ポリマーを利用した注射可能な徐放性製剤(例、
マイクロカプセル,マイクロスフィアー)、あるいは埋
め込み製剤(例えば針状などに成型)などが挙げられ
る。あるいは一定量の抗エンドセリン物質を持続的に放
出可能である電気駆動のポンプあるいは浸透圧を利用し
たポンプ(アルゼットなど)などがその例として挙げら
れる。あるいは非侵襲的な手法として皮膚(経皮吸収製
剤)、粘膜(経鼻投与製剤、経膣投与製剤など)、消化
管(経口製剤、直腸座剤など)などを投与部位とする製
剤が例として挙げられる。ここでいう徐放性製剤とは一
回の投与で作用が24時間以上持続し、またほぼ一定の
有効血中濃度を24時間以上続く製剤であればよく、好
ましくは一回の投与で72時間以上作用あるいは有効血
中濃度を持続できる製剤が好ましい。持続時間が短い経
口製剤の場合には投与回数を増やすことによっても有効
血中濃度を持続できるが、投与回数が増えることは患者
にとっては不便になるし、確実性が劣る。生体内分解性
ポリマーを使用したマイクロカプセル製剤が投与も簡便
であり、投与後の持続期間も長いため好ましい。該マイ
クロカプセル製剤に組み合わせられる抗エンドセリン物
質としてはエンドセリンアンタゴニストが好ましい。該
エンドセリンアンタゴニストの配合量は、エンドセリン
アンタゴニストの活性、対象とする疾患および効果の持
続期間などによって異なるが、基剤の生体内分解性ポリ
マーに対して約0.001%ないし約50%(w/w)
用いられる。好ましくは約0.01%ないし約30%
(w/w)用いられる。特に好ましくは約0.1%ない
し約20%(w/w)用いられる。
【0039】生体内分解性ポリマーとしては、例えば脂
肪族ポリエステル〔例、αーヒドロキシカルボン酸類
(例、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸等)、ヒド
ロキシジカルボン酸類(例、リンゴ酸等)、ヒドロキシ
トリカルボン酸(例、クエン酸等)等の1種以上から製
造された重合体、共重合体、あるいはこれらの混合
物〕、ポリーαーシアノアクリル酸エステル、ポリアミ
ノ酸(例、ポリーγーベンジルーLーグルタミン酸
等)、無水マレイン酸系共重合体(例、スチレンーマレ
イン酸共重合体等)などが挙げられる。これらは混合物
として用いてもよい。ここにおいて、重合の形式はラン
ダム、ブロック、グラフトの何れでもよい。生体内分解
性ポリマーは、好ましくは脂肪族ポリエステル類〔例、
αーヒドロキシカルボン酸類(例、グリコール酸、乳
酸、ヒドロキシ酪酸等)、ヒドロキシジカルボン酸類
(例、リンゴ酸等)、ヒドロキシトリカルボン酸(例、
クエン酸等)等の1種以上から製造される重合体、共重
合体、あるいはこれらの混合物〕である。
【0040】上記共重合体の例としてはグリコール酸と
他のαーヒドロキシ酸類との共重合体が挙げられ、該α
ーヒドロキシ酸としては例えば乳酸、2ーヒドロキシ酪
酸等が好ましい。該αーヒドロキシカルボン酸類はDー
体、Lー体、およびD、Lー体の何れでもよいが、Dー
体/Lー体(モル%)が約75/25〜約25/75の
範囲のものが好ましい。さらに好ましくは、Dー体/L
ー体(モル%)が約60/40〜約40/60の範囲の
ヒドロキシカルボン酸である。グリコール酸と2ーヒド
ロキシ酪酸の共重合体において、グリコール酸が約10
〜約75モル%、残りが2ーヒドロキシ酪酸である場合
が好ましい。さらに好ましくは、グリコール酸が約20
〜約75モル%である場合である。特に好ましくは、グ
リコール酸が約30〜約70モル%である場合である。
これらグリコール酸共重合体は、GPC測定法での重量
平均分子量が約2,000〜約50,000のものが用
いられる。好ましくは、GPC測定法での重量平均分子
量が約3,000〜約40,000の共重合体である。
さらに好ましくは、GPC測定法での重量平均分子量が
約8,000〜約25,000の共重合体である。これ
らのグリコール酸共重合体の分散度(重量平均分子量/
数平均分子量)は約1.2〜約4.0が好ましい。特に
好ましくは、分散度が約1.5〜約3.5の共重合体で
ある。本グリコール酸共重合体は、公知の製造法、例え
ば特開昭61−28521号公報に記載の方法に従って
製造できる。該共重合体は無触媒脱水重縮合で製造され
たものが好ましい。
【0041】上記したグリコール酸共重合体は、さらに
ポリ乳酸と混合して使用してもよい。該ポリ乳酸として
は、Dー体、Lー体およびこれらの混合物の何れでもよ
いが、Dー体/Lー体(モル%)が約75/25〜約2
0/80の範囲のものが好ましい。さらに好ましくは、
Dー体/Lー体(モル%)が約60/40〜約25/7
5の範囲のポリ乳酸である。特に好ましくは、Dー体/
Lー体(モル%)が約55/45〜約25/75の範囲
のポリ乳酸である。該ポリ乳酸は、GPC測定法での重
量平均分子量が約1,500〜約30,000のものが
好ましい。さらに好ましくは、GPC測定法での重量平
均分子量が約2,000〜約20,000の範囲のポリ
乳酸である。特に好ましくは、GPC測定法での重量平
均分子量が約3,000〜約15,000の範囲のポリ
乳酸である。また、ポリ乳酸の分散度は約1.2〜約
4.0が好ましい。特に好ましくは、分散度が約1.5
〜約3.5の場合である。
【0042】ポリ乳酸の製造法については、乳酸の二量
体であるラクタイドを開環重合する方法と乳酸を脱水重
縮合する方法が知られている。本発明で使用する比較的
低分子のポリ乳酸を得るためには、乳酸を直接脱水重縮
合する方法が好ましい。該方法は、例えば特開昭61−
28521号公報に記載されている。本グリコール酸共
重合体とポリ乳酸は、例えば約10/90〜約90/1
0(重量%)の混合比の範囲で使用される。混合比は、
好ましくは約20/80〜約80/20である。混合比
は、さらに好ましくは約30/70〜約70/30であ
る。グリコール酸と乳酸の共重合体の場合、その組成比
(乳酸/グリコール酸)(モル%)は約100/0〜約
40/60が好ましい。さらに好ましくは、組成比が約
90/10〜約45/55の場合である。上記グリコー
ル酸と乳酸の共重合体のGPC測定法での重量平均分子
量は、約4,000〜約25,000が好ましい。さら
に好ましくは、約5,000〜約20,000である。
また、グリコール酸と乳酸の共重合体の分散度(重量平
均分子量/数平均分子量)は約1.2から約4.0が好
ましい。さらに好ましくは、約1.5から約3.5であ
る。該グリコール酸と乳酸の共重合体は、公知の製造
法、例えば特開昭61−28521号公報に記載の方法
に従って製造できる。該共重合体は無触媒脱水重縮合で
製造されたものが好ましい。本発明において無触媒脱水
重縮合で製造される脂肪族ポリエステルは一般的に末端
に遊離のカルボキシル基を有する。
【0043】生体内分解性ポリマーは、さらに好ましく
は末端に遊離のカルボキシル基を有する脂肪族ポリエス
テル〔例、αーヒドロキシカルボン酸類(例、グリコー
ル酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸等)、ヒドロキシジカルボ
ン酸類(例、リンゴ酸等)、ヒドロキシトリカルボン酸
(例、クエン酸等)等の1種以上から製造された重合
体、共重合体、あるいはこれらの混合物〕である。末端
に遊離のカルボキシル基を有する生体内分解性ポリマー
は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定による
数平均分子量と末端基定量による数平均分子量とがほぼ
一致する重合体である。末端基定量による数平均分子量
は、以下のようにして算出される。約1g〜約3gの生
体内分解性ポリマーをアセトン(25 ml)とメタノール(5
ml)との混合溶媒に溶解し、フェノールフタレインを指
示薬としてこの溶液中のカルボキシル基を0.05 N アル
コール性水酸化カリウム溶液で室温での撹拌下、速やか
に滴定して末端基定量による数平均分子量を次式で算出
した。 末端基定量による数平均分子量=20000 A/B A:生体内分解性ポリマーの質量 (g) B:滴定終点までに添加した 0.05 N アルコール性水酸
化カリウム溶液(ml) 例えば、1種類以上のα-ヒドロキシ酸類から無触媒脱
水重縮合法で製造され、末端に遊離のカルボキシル基を
有する重合体では、GPC測定による数平均分子量と末
端基定量による数平均分子量とがほぼ一致する。これに
対し、環状二量体から触媒を用いて開環重合法で合成さ
れ、末端に遊離カルボキシル基を本質的には有しない重
合体では、末端基定量による数平均分子量がGPC測定
による数平均分子量を大きく上回る。この相違によって
末端に遊離のカルボキシル基を有する重合体は末端に遊
離カルボキシル基を有しない重合体と明確に区別するこ
とができる。末端基定量による数平均分子量が絶対値で
あるのに対してGPC測定による数平均分子量は各種分
析、解析条件(例えば移動相の種類、カラムの種類、基
準物質、スライス幅の選択、ベースラインの選択等)に
よって変動する相対値であるため、一義的な数値化は困
難であるが、例えばGPC測定による数平均分子量と末
端基定量による数平均分子量とがほぼ一致するとは、末
端基定量による数平均分子量がGPC測定による数平均
分子量の約0.5倍〜約2倍の範囲内であることをい
う。好ましくは、約0.8倍〜約1.5倍の範囲内であ
ることをいう。また、末端基定量による数平均分子量が
GPC測定による数平均分子量を大きく上回るとは、末
端基定量による数平均分子量がGPC測定による数平均
分子量の約2倍を越える場合をいう。本発明において
は、GPC測定による数平均分子量と末端基定量による
数平均分子量とがほぼ一致する重合体が好ましい。
【0044】本明細書でのGPC測定による重量平均分
子量および数平均分子量は、重量平均分子量が120,
000、52,000、22,000、9,200、
5,050、2,950、1,050、580、162
の9種類のポリスチレンを基準物質としてゲル浸透クロ
マトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算
の重量平均分子量および数平均分子量分子量を意味す
る。測定はGPCカラムKF804Lx2(昭和電工
製)、RIモニターLー3300(日立製作所製)を使
用、移動相としてクロロホルムを用いた。また、分散度
は、(重量平均分子量/数平均分子量)により算出され
る。本発明の徐放性製剤の製造法としては、例えば抗エ
ンドセリン物質を含む溶液を内水相とし、生体内分解性
ポリマ−を含む溶液を油相とするW/O型乳化物から徐
放性製剤を製造する方法が挙げられる。このような方法
としては、自体公知の方法、例えば水中乾燥法,相分離
法あるいは噴霧乾燥法あるいはこれに準じる方法等が挙
げられる。上記した製造法において、油相に用いられる
溶媒は、生体内分解性ポリマーを溶解する有機溶媒で、
沸点が120℃以下であることが好ましい。このような
溶媒としては、例えばハロゲン化炭化水素(例、ジクロ
ロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等)、アルコール
類(エタノール、メタノール)、アセトニトリル等が挙
げられる。これらは混合して用いられてもよい。溶媒
は、好ましくはジクロロメタン、アセトニトリル等であ
る。
【0045】本発明で用いられる抗エンドセリン物質が
カルボキシル基を有する場合、酸性である場合が多いた
め水への溶解度が低く、製薬学的に溶解度を上げるため
に無機あるいは有機塩として使用されることが多い。こ
のような無機あるいは有機塩として、好ましくはアルカ
リ金属塩(例、ナトリウム塩,カリウム塩等)であり、
特に好ましくはナトリウム塩である。しかしながら、上
記W/O型乳化物を調製する時の水相の体積は通常非常
に小さく、薬効を発現するために必要な量の薬物を封入
するには非常に高濃度の溶液を調製する必要がある。こ
の場合に薬物が水溶性であっても溶解度が低い場合には
薬物が溶解しきれず、乳化物調製の際に不均一に混合さ
れる可能性がある。この際、抗エンドセリン物質に有機
塩基性物質を混合して溶解することにより、水溶性であ
りながら溶解度の低い抗エンドセリン物質の均一な溶液
を作製することができる。また、有機塩基性物質を添加
することにより、生体内分解性ポリマーを用いて製造し
たマイクロカプセルからの放出が通常早い薬物の初期放
出を抑制し、所定の期間一定量の薬物を持続放出させる
ことができる。該有機塩基性物質は、好ましくは塩基性
アミノ酸である。有機塩基性物質は、特に好ましくはア
ルギニン、ヒスチジン、リジン等である。有機塩基性物
質として、さらに2個以上の塩基性アミノ酸からなるペ
プチド等(例、アルギニル−アルギニン等)も挙げられ
る。有機塩基性物質の配合割合は抗エンドセリン物質と
有機塩基性物質の重量比が1:1,000〜1,00
0:1、好ましくは1:100〜100:1、特に好ま
しくは1:10〜10:1である。また、生体内分解性
ポリマーと有機塩基性物質の重量比は1,000:1〜
5:1、好ましくは500:1〜10:1、さらに好ま
しくは100:1〜10:1である。
【0046】さらに、抗エンドセリン物質の徐放性製剤
に水溶性多価金属塩を含有させることにより、薬物の初
期放出を抑制し、所定の期間一定量の薬物を持続放出さ
せ、薬物取り込み率の高い徐放性製剤を得ることができ
る。水溶性多価金属塩は、水溶性であり、かつ生体内に
悪影響を及ぼさない多価金属塩であれば特に限定されな
い。水溶性多価金属塩は、好ましくは常温(20℃)で
水に対する溶解度が約20mg/ml以上、さらに好ましく
は約100mg/ml以上の多価金属塩である。水溶性多価
金属塩としては、無機酸あるいは有機酸の多価金属塩が
挙げられる。多価金属としては、例えばアルカリ土類金
属(例、カルシウム,マグネシウム等)、亜鉛(II
価)、鉄(II価,III価)、銅(II価)、スズ(II価,I
V価)、アルミニウム(II価,III価)等が挙げられる。
無機酸としては、例えばハロゲン化水素(例、塩酸,臭
化水素酸,ヨウ化水素酸,フッ化水素酸等)、硫酸、硝
酸、チオシアン酸等が挙げられる。また、有機酸として
は、例えば脂肪族カルボン酸(例、酢酸,グリコール
酸,乳酸,酒石酸等)、芳香族酸(例、安息香酸、サリ
チル酸、フェノールスルホン酸等)等が挙げられる。水
溶性多価金属塩は好ましくは水溶性亜鉛塩である。水溶
性亜鉛塩としては、例えばハロゲン化亜鉛(例、塩化亜
鉛,臭化亜鉛,ヨウ化亜鉛,フッ化亜鉛等),硫酸亜
鉛,硝酸亜鉛,チオシアン酸亜鉛等の無機酸亜鉛塩、脂
肪族カルボン酸亜鉛塩(例、酢酸亜鉛,グリコール酸亜
鉛,乳酸亜鉛,酒石酸亜鉛等),芳香族酸亜鉛塩(例、
安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、フェノールスルホン酸
亜鉛等)等の有機酸亜鉛塩等が挙げられる。水溶性多価
金属塩は、さらに好ましくは脂肪族カルボン酸亜鉛塩で
あり、特に好ましくは酢酸亜鉛である。
【0047】水溶性多価金属塩の配合割合は抗エンドセ
リン物質と水溶性多価金属塩の重量比が1:100〜1
00:1、好ましくは1:10〜10:1である。ま
た、生体内分解性ポリマーと水溶性多価金属塩の重量比
は1,000:1〜1:1、好ましくは100:1〜
2:1である。本発明においては、さらに抗エンドセリ
ン物質を直接生体内分解性ポリマーの有機溶媒溶液に溶
解あるいは懸濁してもよい。抗エンドセリン物質は有機
溶媒に溶解してもよいし、溶解しなくてもよい。溶解し
ない場合でも、抗エンドセリン物質が生体内分解性ポリ
マーの有機溶媒溶液に溶解する場合がある。有機溶媒
は、水と実質的に混和せず、生体内分解性ポリマーを溶
解し、得られるポリマー溶液がさらに抗エンドセリン物
質を溶解するものであればよい。有機溶媒は、好ましく
は、水に対する溶解度が常温(20℃)で3%以下であ
る溶媒である。また、有機溶媒の沸点は120℃以下で
あることが好ましい。有機溶媒としては、例えばハロゲ
ン化炭化水素(例、ジクロロメタン、クロロホルム、ク
ロロエタン、トリクロロエタン、四塩化炭素など)、エ
ーテル類(例、イソプロピルエーテルなど)、脂肪酸エ
ステル(例、酢酸ブチルなど)、芳香族炭化水素(例、
ベンゼン、トルエン、キシレンなど)等が挙げられる。
これらは2種類以上適宜の割合で混合して用いてもよ
い。有機溶媒は、好ましくはジクロロメタンである。抗
エンドセリン物質が溶解するとは、得られる溶液中にお
いて、常温(20℃)で目視観察する際に不溶の抗エン
ドセリン物質が認められない状態を示す。
【0048】本発明の徐放性製剤の好ましい製造法は、
例えば以下のような水中乾燥法あるいは相分離法によっ
てマイクロカプセル化する方法またはこれに準ずる方法
である。 (イ)水中乾燥法(w/o/w法) 抗エンドセリン物質を水に溶解する。抗エンドセリン物
質の水溶液中の濃度は例えば約0.1%(w/v)〜約
500%(w/v)である。好ましくは約1%(w/
v)〜約400%(w/v)、特に好ましくは約10%
(w/v)〜約300%(w/v)である。該水溶液中
に有機塩基性物質、好ましくは塩基性アミノ酸(例、ア
ルギニン等)あるいは2個以上の塩基性アミノ酸からな
るペプチド等(例、アルギニル−アルギニン等)を添加
してもよい。この際、使用される有機塩基性物質の水溶
液中の濃度は約0.01%(w/v)〜約500%(w
/v)である。好ましくは約0.1%(w/v)〜約4
00%(w/v)、特に好ましくは約1%(w/v)〜
約300%(w/v)である。また、該水溶液中に水溶
性多価金属塩を添加してもよい。この際、使用される水
溶性多価金属塩の水溶液中の濃度は有機塩基性物質の場
合と同様である。さらに、該水溶液中にはpH調節剤
(酢酸、塩酸、水酸化ナトリウム等)、安定化剤(血清
アルブミン、ゼラチン等)、保存剤(パラオキシ安息香
酸類)等を加えてもよい。このようにして得られた水溶
液をαーヒドロキシカルボン酸から合成される重合体、
共重合体などの生体内分解性ポリマーの有機溶媒溶液中
に乳化、分散を行いw/o型乳化物(エマルション)を
作る。該有機溶媒溶液中の生体内分解性ポリマーの濃度
は生体内分解性ポリマーの分子量、有機溶媒の種類によ
って異なるが、一般的には約0.01%〜約80%(w
/w)から選ばれる。さらに好ましくは約0.1%〜約
70%(w/w)である。特に好ましくは約1%〜約6
0%(w/w)である。水溶液と生体内分解性ポリマー
有機溶媒溶液の比率は1:1,000(v/v)〜1:
1(v/v)、好ましくは1:100(v/v)〜1:
5(v/v)、特に好ましくは1:50(v/v)〜
1:5(v/v)である。該乳化操作は、公知の分散方
法が用いられる。該方法は、例えばタービン型攪拌機、
ホモジナイザーなどを用いて行われる。
【0049】ついで、このようにして調製されたw/o
型エマルションをさらに水相中に加えて、w/o/wエ
マルションを形成させた後、油相中の溶媒を蒸発させマ
イクロカプセルを調製する。この際の水相体積は一般的
には油相体積の約1倍〜約10,000倍から選ばれ
る。さらに好ましくは、約2倍〜約5,000倍から選
ばれる。特に好ましくは、約5倍〜約2,000倍から
選ばれる。上記外水相中に乳化剤を加えてもよい。該乳
化剤は、一般的に安定なo/wエマルションを形成でき
るものであれば何れでもよい。具体的には、例えばアニ
オン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ポリオキシ
エチレンヒマシ油誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリ
ビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、レシ
チン、ゼラチン、ヒアルロン酸などが挙げられる。これ
らの中の1種類か、いくつかを組み合わせて使用しても
よい。使用の際の濃度は約0.001%〜約20%(w
/w)の範囲から適宜選択できる。さらに好ましくは約
0.01%〜約10%(w/w)の範囲で用いられる。
特に好ましくは約0.05%〜約5%(w/w)の範囲
で用いられる。このようにして得られたマイクロカプセ
ルは遠心分離あるいは濾過して分取した後、マイクロカ
プセルの表面に付着している遊離の抗エンドセリン物
質、乳化剤などを蒸留水で数回繰り返し洗浄し、再び蒸
留水などに分散して凍結乾燥する。その後、必要であれ
ば、減圧化加温してマイクロカプセル中の水分および有
機溶媒の除去をさらに行う。好ましくは、毎分10〜2
0℃の昇温速度の条件下で示差走査熱量計で求めた生体
内分解性ポリマーの中間点ガラス転移温度よりも5℃以
上高い温度で、一般的にはマイクロカプセル自体が所定
の温度に達した後、1週間以内あるいは2,3日以内、
より好ましくは24時間以内おこなう。
【0050】(ロ)水中乾燥法(o/w法) 抗エンドセリン物質を上記の抗エンドセリン物質の配合
量の定義で示した重量比率になるように生体内分解性ポ
リマーの有機溶媒溶液に加え、抗エンドセリン物質と生
体内分解性ポリマーとの有機溶媒溶液あるいは懸濁液を
作製する。この際、生体内分解性ポリマーの有機溶媒溶
液中の濃度は生体内分解性ポリマーの分子量、有機溶媒
の種類によって異なるが、一般的には約0.01〜約8
0%(w/w)から選ばれる。さらに好ましくは約0.
1〜約70%(w/w)である。特に好ましくは約1〜
約60%(w/w)である。また、該有機溶媒溶液ある
いは懸濁液中に水溶性多価金属塩を添加してもよい。つ
いで、このようにして調製された有機溶媒溶液あるいは
懸濁液をさらに水相中に加えて、o/wエマルションを
形成させた後、油相中の溶媒を蒸発させマイクロカプセ
ルを調製する。この際の水相体積は一般的には油相体積
の約1倍〜約10,000倍から選ばれる。さらに好ま
しくは、約2倍〜約5,000倍から選ばれる。特に好
ましくは、約5倍〜約2,000倍から選ばれる。上記
外水相中に乳化剤を加えてもよい。該乳化剤は、一般的
に安定なo/wエマルションを形成できるものであれば
何れでもよい。具体的には、例えばアニオン性界面活性
剤、非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンヒマシ
油誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコー
ル、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチ
ン、ヒアルロン酸などが挙げられる。これらの中の1種
類か、いくつかを組み合わせて使用してもよい。使用の
際の濃度は約0.001%〜約20%(w/w)の範囲
から適宜選択できる。さらに好ましくは約0.01%〜
約10%(w/w)の範囲で用いられる。特に好ましく
は約0.05%〜約5%(w/w)の範囲で用いられ
る。このようにして得られたマイクロカプセルは遠心分
離あるいは濾過して分取した後、マイクロカプセルの表
面に付着している遊離の抗エンドセリン物質、乳化剤な
どを蒸留水で数回繰り返し洗浄し、再び蒸留水などに分
散して凍結乾燥する。その後、必要であれば、減圧化加
温してマイクロカプセル中の水分および有機溶媒の除去
をさらに行う。好ましくは、毎分10〜20℃の昇温速
度の条件下で示差走査熱量計で求めた生体内分解性ポリ
マーの中間点ガラス転移温度よりも5℃以上高い温度
で、一般的にはマイクロカプセル自体が所定の温度に達
した後、1週間以内あるいは2,3日以内、より好まし
くは24時間以内おこなう。
【0051】(ハ)相分離法 相分離法によりマイクロカプセルを製造する場合には、
上記のw/oエマルションあるいは有機溶媒溶液にコア
セルベーション剤を攪拌下徐々に加え、生体内分解性ポ
リマーを析出、固化させる。該コアセルベーション剤は
w/oエマルションあるいは有機溶媒溶液の体積の約
0.01倍〜約1,000倍の体積量が加えられる。さ
らに好ましくは、約0.05倍〜約500倍の体積量で
ある。特に好ましくは、約0.1倍〜約200倍の体積
量である。コアセルベーション剤は、生体内分解性ポリ
マーの溶媒に混和する高分子系、鉱物油系または植物油
系の化合物で、ポリマーを溶解しないものであればよ
い。コアセルベーション剤としては、例えばシリコン
油、ゴマ油、大豆油、コーン油、綿実油、ココナッツ
油、アマニ油、鉱物油、nーヘキサン、nーヘプタンな
どが挙げられる。これらは2種以上混合して用いてもよ
い。このようにして得られたマイクロカプセルは、濾過
して分取した後、ヘプタン等により繰り返し洗浄し、コ
アセルベーション剤を除去する。さらに、水中乾燥法と
同様の方法で遊離薬物および溶媒の除去をおこなう。溶
媒を除去する方法は、自体公知の方法に従って行うこと
ができる。例えば、プロペラ型攪拌機あるいはマグネチ
ックスターラーなどで攪拌しながら常圧もしくは徐々に
減圧して溶媒を蒸発させる方法、ロータリーエバポレー
ターなどを用いて真空度を調節しながら溶媒を蒸発させ
る方法などが挙げられる。
【0052】水中乾燥法およびコアセルベーション法で
の製造では、粒子同士の凝集を防ぐために凝集防止剤を
加えてもよい。該凝集防止剤としては、例えばマンニト
ール、ラクトース、ブドウ糖、デンプン類(例、コーン
スターチ等)などの水溶性多糖、グリシン、フィブリ
ン、コラーゲン等のタンパク質等、塩化ナトリウム、リ
ン酸水素ナトリウム等の無機塩類などが挙げられる。噴
霧乾燥法によってマイクロカプセルを製造する場合に
は、上記の抗エンドセリン物質と生体内分解性ポリマー
を含むw/oエマルションあるいは有機溶媒溶液を、ノ
ズルを用いてスプレードライヤー(噴霧乾燥器)の乾燥
室内へ噴霧し、極めて短時間に微粒化液滴内の有機溶媒
を揮発させ、微粒状のマイクロカプセルを調製する。該
ノズルとしては、例えば二流体ノズル型、圧力ノズル
型、回転ディスク型等が挙げられる。この際、所望によ
り抗エンドセリン物質と生体内分解性ポリマーを含むw
/oエマルションあるいは有機溶媒溶液と同時にマイク
ロカプセルの凝集防止を目的として前述の凝集防止剤の
水溶液を別ノズルより噴霧することも有効である。この
ようにして得られたマイクロカプセルは、必要であれば
加温・減圧下マイクロカプセル中の水分および有機溶媒
の除去をさらに行う。上記したマイクロカプセルは、そ
のままあるいはマイクロカプセルを原料物質として種々
の剤形に製剤化し、非経口剤(例、筋肉内、皮下、臓器
などへの注射剤または埋め込み剤、鼻腔、直腸、子宮な
どへの経粘膜剤等)、経口剤(例、カプセル剤(例、硬
カプセル剤、軟カプセル剤等)、顆粒剤、散剤等の固形
製剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等の液剤等)などとし
て投与することができる。上述したマイクロカプセル以
外にも適当な方法で抗エンドセリン物質と生体内分解性
ポリマーを含むw/oエマルションあるいは有機溶媒溶
液から棒状、針状、ペレット状、フィルム状等に賦形
し、例えば筋肉内、皮下、臓器等への注射剤または埋め
込み剤、鼻腔・直腸・子宮などへの経粘膜剤、経口剤
(例、カプセル剤(例、硬カプセル剤、軟カプセル剤
等)、顆粒剤、散剤等の固形製剤、シロップ剤、乳剤、
懸濁剤等の液剤等)などとして投与することができる。
【0053】本発明の注射剤は、自体公知の方法により
製造することができる。該注射剤は、例えば上記したマ
イクロカプセル等の徐放性製剤を分散剤(例、Tween 8
0、HCO-60等の界面活性剤、カルボキシメチルセルロー
ス、アルギン酸ナトリウム等の多糖類など)、保存剤
(例、メチルパラベン、プロピルパラベンなど)、等張
化剤(例、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトー
ル、ブドウ糖など)等と共に水性懸濁剤とするか、ゴマ
油、コーン油などの植物油あるいは中鎖脂肪酸トリグリ
セリド(例、ミグリオール812等)等と共に分散して
油性懸濁剤とすることにより製造される。この際、徐放
性製剤の粒子径は、懸濁注射剤として使用する場合には
その分散度、通針性を満足する範囲であればよく、例え
ば粒子径として約0.1μmから約300μmの範囲が挙げら
れる。好ましくは、約1μmから約150μmの範囲の粒子
径である。さらに好ましくは、約2から約100μmの範囲
の粒子径である。徐放性製剤を無菌製剤にするには、製
造全工程を無菌にする方法、ガンマ線で滅菌する方法、
防腐剤を添加する方法等が挙げられるが、特に限定され
ない。本発明の徐放性製剤は、低毒性で哺乳動物(例、
ヒト,牛,豚,犬,ネコ,マウス,ラット,ウサギ等)
に対して安全に用いることができる。本発明の徐放性製
剤は、エンドセリンに起因する疾患、特に慢性疾患の治
療または予防に用いられる。このような疾患としては、
例えば心臓・脳循環疾患、腎疾患、高血圧(例、肺高血
圧等)、喘息、炎症、関節炎、肝癌、肝硬変、糖尿病由
来の慢性合併症などが挙げられる。本発明の徐放性製剤
は、特に動脈硬化、糖尿病性腎症、糖尿病性心筋症,糖
尿病性網膜症などの治療または予防に用いられる。徐放
性製剤の投与量は、主薬である抗エンドセリン物質の種
類と含量、剤形、抗エンドセリン物質放出の持続時間、
対象疾病(例、糖尿病性腎症)、対象動物などによって
種々異なるが、抗エンドセリン物質の有効量であればよ
い。主薬である抗エンドセリン物質の1回当たりの投与
量としては、例えば徐放性製剤が1カ月製剤である場
合、好ましくは、成人1人当たり約 0.01mg/kg体重〜
約100mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことができる。さ
らに好ましくは約 0.05mg/kg体重〜約50mg/kg体重の
範囲から適宜選ぶことができる。
【0054】1回当たりの徐放性製剤の投与量は成人1
人当たり好ましくは、約 0.1mg/kg体重〜約1000 mg/k
g体重の範囲から適宜選ぶことができる。さらに好まし
くは約 0.5mg/kg体重〜約500mg/kg体重の範囲から適
宜選ぶことができる。投与回数は、1週間に1回、数週
間に1回、1か月に1回、あるいは数か月に1回等、主
薬である抗エンドセリン物質の種類と含量、剤型、抗エ
ンドセリン物質放出の持続時間、対象疾病、対象動物な
どによって適宜選ぶことができる。本発明の製剤は他の
薬剤、例えば降圧剤など、従来使用されてきた糖尿病性
腎症の治療剤と併用されてもよい。本発明の製剤の保存
は常温あるいは冷所に保存されるが、好ましくは冷所で
ある。ここでいう常温あるいは冷所とは日本薬局方にお
いて定義されるものである。
【0055】
【実施例】以下に参考例、実施例および実験例を挙げて
本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明を
限定するものではない。 参考例1 cyclo〔−D−Asp−Asp(B7)−Asp−D−γMeLeu−Leu−D
−Trp−〕・2ナトリウム塩の製造 cyclo〔−D−Asp−Asp(B7)−Asp−D−γMeLeu−Leu−D
−Trp−〕(以下、ペプチドBと略する)4.4gをメタノ
ール50mlに溶解した後濃縮し、再びメタノール50mlに溶
解し氷冷した。これに0.1N水酸化ナトリウム水溶液46.
4mlを滴下し、さらに0.1N水酸化ナトリウム水溶液を加
えて、pH 7〜8とした後濃縮し、残留物に蒸留水を加
えて凍結乾燥した。ペプチドB・2ナトリウム塩(収量
4.5g) 元素分析値 C4761911Na2・CF3CO2Na・0.5CH3CO
2Na・3H2Oとして 計算値:C,49.18;H,5.65;N,10.32 実験値:C,49.08;H,5.50;N,10.33
【0056】実施例1 ヨーロッパ特許公開528312号公報に記載されてい
る下記環状ペプチドcyclo〔−D−Asp−Asp(R1')−Asp
−D−Thg(2)−Leu−D−Trp−〕〔式中、Aspはアスパ
ラギン酸を、Asp(R1')はアスパラギン酸β−4−フェ
ニルピペラジンアミドを、Thg(2)は2−チエニルグリ
シンを、Leuはロイシンを、Trpはトリプトファンを示
す〕(以下、ペプチドAと略する)の2ナトリウム塩51
mgとLーアルギニン(和光純薬)49mgを300μlの蒸留水
に溶解し、これを乳酸-グリコール酸共重合体(乳酸/
グリコール酸=75/25(モル%)、GPC測定による重量
平均分子量 14,000、GPC測定による数平均分子量 2,
000、末端基定量による数平均分子量 2,200、和光純薬
工業製 (lot. 920729))1.92gをジクロロメタン2mlに溶
解した液に加えホモジナイザー(ポリトロン)で攪拌
し、w/oエマルションを製造した。この溶液を17℃に
冷却した後、予め16℃に調節しておいた0.1%(w/w)ポ
リビニルアルコール(EG-40、日本合成化学製)水溶液
1,000 ml 中に注入し、タービン型ホモミキサーを用
い、7,000 rpm でw/o/wエマルションとした。この
w/o/wエマルションを室温で3時間撹拌してジクロ
ロメタンを揮散させ、油相を固化させた後、遠心分離機
(05PR-22、日立製作所)を用いて2,000 rpm で捕集し
た。これを再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行
い、遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロカプセ
ルは少量の蒸留水を加えて再分散した後、D−マンニト
ール 0.3gを加え、この分散液を凍結乾燥して粉末状の
マイクロカプセルを得た。 実施例2 実施例1で得られたマイクロカプセル約39mgを1.95mlの
注射用分散媒(2.5 mgのカルボキシメチルセルロース、
0.5 mg のポリソルベート 80、25 mg のマンニトールを
溶解した蒸留水)に分散して注射剤を製造した。
【0057】実施例3 乳酸-グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/2
5(モル%)、GPC測定による重量平均分子量15,03
8、GPC測定による数平均分子量 5,195、和光純薬工
業製)3.6gをジクロロメタン6.6g(5ml)に溶解した。
この溶液に、ペプチドAの2ナトリウム塩250mgとL−
アルギニン100mgとを蒸留水0.5mlに溶解した溶液を添加
した後、ホモジナイザー(ポリトロン)で約30秒間攪拌
し、w/oエマルションを製造した。このw/oエマル
ションを予め18℃に調節しておいた0.1%(w/w)ポリビ
ニルアルコール(EG-40、日本合成化学製)水溶液800ml
中に注入し、タービン型ホモミキサーを用い、6,000 rp
m でw/o/wエマルションとした。このw/o/wエ
マルションを室温で3時間撹拌してジクロロメタンを揮
散させ、油相を固化させた後、遠心分離機(05PR-22、
日立製作所)を用いて約2,000 rpm で捕集した。これを
再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行い、遊離薬物
を洗浄した。捕集されたマイクロカプセルにD−マンニ
トール100mgを加え、さらに少量の蒸留水を加えて再分
散した後、この分散液を凍結乾燥して粉末状のマイクロ
カプセルを得た。得られたマイクロカプセルを、30%
(v/v)アセトニトリルを含有する0.1M酢酸アンモニウ
ム溶液で3時間振とうして抽出し、高速液体クロマトグ
ラフィー(HPLC)で定量した。その結果、マイクロ
カプセル100mgあたりペプチドAの2ナトリウム塩5.2mg
を含有していた。
【0058】実施例4 L−アルギニンをL−アルギニル−アルギニン(国産化
学製)とする以外は実施例3と同様にして粉末状のマイ
クロカプセルを得た。マイクロカプセル100mgあたりペ
プチドAの2ナトリウム塩7.4mgを含有していた。 実施例5 cyclo〔−D−Asp(OC2H5)−Asp(R1')−Asp(OC2H5)−D−T
hg(2)−Leu−D−Trp−〕(ペプチドAのジエチルエステ
ル)の製造 エタノール10mlをドライアイス−アセトン浴で−10℃に
冷却し、2.6mlの塩化チオニルを少量ずつ加える。5分
後、ペプチドAの2ナトリウム塩1.0gをこれに加え、室
温で攪拌した。2時間後、エタノールと過剰の塩化チオ
ニルを減圧留去した。得られた油状物を少量のエタノー
ルに溶解し、再び溶媒を減圧留去した。この操作を3回
繰り返した後、少量のジエチルエーテルを加えて標記化
合物1.05gを得た。得られたペプチドAのジエチルエス
テルの分析結果は以下の通りであった。 1)質量分析(LSIMS法) [M+H]+=984 (理論値=984) [M+Na]+=1,006 (理論値=1,006) 2)元素分析値 C4961911S・2NaCl・2H2O・HClとし
て 計算値:C,50.20;H,5.67;N,10.75 実験値:C,50.35;H,5.75;N,10.81
【0059】実施例6 乳酸-グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=50/5
0(モル%)、GPC測定による重量平均分子量5,900、
GPC測定による数平均分子量 2,600、和光純薬工業
製)0.5gにジクロロメタン6.6g(5ml)を加えて溶解し
た。この溶液に実施例5で得られたペプチドAのジエチ
ルエステル0.15gを添加した後、ホモジナイザー(ポリ
トロン)で約30秒間攪拌し、s/oエマルションを得
た。このs/oエマルションを予め18℃に調節しておい
た0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG-40、日本合
成化学製)水溶液400ml中に注入し、タービン型ホモミ
キサーを用い、6,000 rpm でs/o/wエマルションと
した。このs/o/wエマルションを室温で3時間撹拌
してジクロロメタンを揮散させ、油相を固化させた後、
遠心分離機(05PR-22、日立製作所)を用いて約2,000 r
pm で捕集した。これを再び蒸留水に分散後、さらに遠
心分離を行い、遊離薬物を洗浄した。捕集されたマイク
ロカプセルにD−マンニトール50mgを加え、さらに少量
の蒸留水を加えて再分散した後、この分散液を凍結乾燥
して粉末状のマイクロカプセルを得た。得られたマイク
ロカプセルを、50%(v/v)アセトニトリルを含有する
0.1Mリン酸緩衝液で3時間振とうして抽出し、高速液
体クロマトグラフィー(HPLC)で定量した。その結
果、マイクロカプセル100mgあたりペプチドAのジエチ
ルエステル25.2mgを含有していた。 実施例7 ペプチドAの2ナトリウム塩 3.2gと7.28gの酢酸亜鉛
(2水和物)とをそれぞれ160mlの蒸留水に溶解させて
両者を混合した。混合液を4℃で一昼夜静置した後、遠
心分離機(05PR-22、日立製作所)を用いて約3,000 rpm
で遠心分離した。得られた析出物を再び蒸留水に分散
後、さらに遠心分離を行い、遊離薬物を洗浄した。捕集
された析出物に少量の蒸留水を加えて再分散した後、こ
の分散液を凍結乾燥し、粗ペプチドA亜鉛塩を2.81gの
乾燥粉末として得た。得られた乾燥粉末を、30%(v/
v)アセトニトリルを含有する50mMのエチレンジアミン
テトラアセテート(EDTA)溶液で3時間振とうして
抽出し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で定
量した。その結果、乾燥粉末中のペプチドAの含量は8
0.7%(w/w)であった。
【0060】実施例8 乳酸-グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/2
5(モル%)、GPC測定による重量平均分子量15,03
8、GPC測定による数平均分子量5,195、和光純薬工業
製)0.97gにジクロロメタン13.2g(10ml)を加えて溶解
した。この溶液に実施例7で得られた粗ペプチドA亜鉛
塩300mgを添加して溶解した後、ホモジナイザー(ポリ
トロン)で約30秒間攪拌し、s/oエマルションを製
造した。このs/oエマルションを予め18℃に調節して
おいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG-40、日
本合成化学製)水溶液400ml中に注入し、タービン型ホ
モミキサーを用い、6,000 rpm でs/o/wエマルショ
ンとした。このs/o/wエマルションを室温で3時間
撹拌してジクロロメタンを揮散させ、油相を固化させた
後、遠心分離機(05PR-22、日立製作所)を用いて約2,0
00 rpm で捕集した。これを再び蒸留水に分散後、さら
に遠心分離を行い、遊離薬物を洗浄した。捕集されたマ
イクロカプセルにD−マンニトール50mgを加え、さらに
少量の蒸留水を加えて再分散した後、この分散液を凍結
乾燥して粉末状のマイクロカプセルを得た。得られたマ
イクロカプセルを、30%(v/v)アセトニトリルを含有
する50mMのEDTA溶液で3時間振とうして抽出し、
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で定量した。
その結果、マイクロカプセル100mgあたり粗ペプチドA
亜鉛塩をペプチドAの2ナトリウム塩換算で、21.1mg含
有していた。 実施例9 ペプチドAの2ナトリウム塩をペプチドBの2ナトリウ
ム塩とする以外は実施例3と同様にして粉末状のマイク
ロカプセルを得た。マイクロカプセル100mgあたりペプ
チドBの2ナトリウム塩5.2mgを含有していた。
【0061】実施例10 乳酸-グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/2
5(モル%)、GPC測定による重量平均分子量13,58
5、GPC測定による数平均分子量 4,413、和光純薬工
業製)1.2gをジクロロメタン26.4g(20ml)に加えて溶
解した。この溶液にペプチドAの2ナトリウム塩400m
g、酢酸亜鉛(2水和物)400mgを蒸留水1.7mlに溶解し
た溶液を添加した後、ホモジナイザー(ポリトロン)で
約30秒間攪拌し、w/oエマルションを製造した。こ
のw/oエマルションを予め18℃に調節しておいた0.1
%(w/w)ポリビニルアルコール(EG-40、日本合成化学
製)水溶液800ml中に注入し、タービン型ホモミキサー
を用い、6,000 rpm でw/o/wエマルションとした。
このw/o/wエマルションを室温で3時間撹拌してジ
クロロメタンを揮散させ、油相を固化させた後、遠心分
離機(05PR-22、日立製作所)を用いて約2,000 rpm で
捕集した。これを再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離
を行い、遊離薬物を洗浄した。捕集されたマイクロカプ
セルにD−マンニトール50mgを加え、さらに少量の蒸留
水を加えて再分散した後、この分散液を凍結乾燥して粉
末状のマイクロカプセルを得た。得られたマイクロカプ
セルを、30%(v/v)アセトニトリルを含有する50mMの
EDTA溶液で3時間振とうして抽出し、高速液体クロ
マトグラフィー(HPLC)で定量した。その結果、マ
イクロカプセル100mgあたりペプチドAの2ナトリウム
塩12mgを含有していた。
【0062】実施例11 乳酸-グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/2
5(モル%)、GPC測定による重量平均分子量13,58
5、GPC測定による数平均分子量 4,413、和光純薬工
業製)1.4gにジクロロメタン6.6g(5ml)を加えて溶解
した。この溶液にペプチドAの2ナトリウム塩437mg、
酢酸亜鉛(2水和物)467mgを添加した後、ホモジナイ
ザー(ポリトロン)で約30秒間攪拌し、s/oエマル
ションを得た。このs/oエマルションを予め18℃に調
節しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG-4
0、日本合成化学製)水溶液800ml中に注入し、タービン
型ホモミキサーを用い、6,000 rpm でs/o/wエマル
ションとした。このs/o/wエマルションを室温で3
時間撹拌してジクロロメタンを揮散させ、油相を固化さ
せた後、遠心分離機(05PR-22、日立製作所)を用いて
約2,000 rpm で捕集した。これを再び蒸留水に分散後、
さらに遠心分離を行い、遊離薬物を洗浄した。捕集され
たマイクロカプセルにD−マンニトール50mgを加え、さ
らに少量の蒸留水を加えて再分散した後、この分散液を
凍結乾燥して粉末状のマイクロカプセルを得た。得られ
たマイクロカプセルを、30%(v/v)アセトニトリルを
含有する50mMのEDTA溶液で3時間振とうして抽出
し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で定量し
た。その結果、マイクロカプセル100mgあたりペプチド
Aの2ナトリウム塩12.2mgを含有していた。
【0063】比較例1 ペプチドAの2ナトリウム塩を用いないこと以外はすべ
て実施例3と同様にして粉末状のマイクロカプセルを製
造した。 比較例2 ペプチドAの2ナトリウム塩1.6gと酢酸亜鉛3.65gとを
それぞれ蒸留水80mlに溶解させて両者を混合した。混合
液を遠心分離機(05PR-22、日立製作所)を用いて約3,0
00 rpm で遠心分離した。得られた析出物を再び蒸留水
に分散後、さらに遠心分離を行い、遊離薬物を洗浄し
た。捕集された析出物に少量の蒸留水を加えて再分散し
た後、この分散液を凍結乾燥し、粗ペプチドA亜鉛塩を
1.23gの乾燥粉末として得た。
【0064】実験例1 実施例2で得られた注射剤を8週齢雄性SD系ラットの背
部皮下に投与した。投与後一定時間毎にラットを屠殺し
て投与部位に残存するマイクロカプセルを取り出し、こ
の取り出したマイクロカプセル中の薬物量を定量した。
同様な操作を繰り返すことにより、生体に投与されたマ
イクロカプセルからの薬物の放出の時間推移が求められ
る。図1にその結果を示す。ほぼ1ヵ月以上にわたり、
生体に投与されたマイクロカプセル中の薬物量が減少し
ていることから、抗エンドセリン物質を持続的に生体内
に存在させうることが示された。 実験例2 実施例1で得られたマイクロカプセル約 100mg を 2.5
ml の注射用分散媒(2.5 mg のカルボキシメチルセルロ
ース、0.5 mg のポリソルベート 80、25 mg のマンニト
ールを溶解した蒸留水)に分散して13週齢雄性Wistar
fatty ratの背部皮下に投与した。雄性Wistar fatty r
atは肥満および高血糖を遺伝的に発症するラットであ
り、高血糖の発症につれて尿への蛋白質およびアルブミ
ンの漏出が増加するのが特徴である。マイクロカプセル
を投与しない対照群とマイクロカプセル投与群の尿中蛋
白質およびアルブミンの測定結果を〔表1〕に示す。
【表1】 〔表1〕に示されるようにマイクロカプセル投与後約6
週間の間、尿中への蛋白質およびアルブミンの排泄量
は、投与開始時および対照群の値に比較して低値となっ
た。これらの結果から実験例1で示されたように抗エン
ドセリン物質が生体内に持続的に存在している期間に対
応して糖尿病性腎症の症状である蛋白質およびアルブミ
ンの尿中排泄が抑制されていることが明らかになり、糖
尿病性腎症の治療法としての本発明の有用性が示され
た。
【0065】実験例3 実施例3で得られたマイクロカプセル約190mgを1.5mlの
注射用分散媒(7.5mgのカルボキシルメチルセルロー
ス、1.5mgのポリソルベート 80、75mgのマンニトールを
溶解した蒸留水)に分散して8週齢雄性Wistar fatty r
atの背部皮下に18G注射針で投与した(ラット1匹あ
たりそれぞれ約10mgのペプチドAの2ナトリウム塩を投
与したことになる)。同様の投与を月1回、3ヵ月間お
こなった。対照群の8週齢雄性Wistar fatty ratの背部
皮下に比較例1で製造したペプチドAの2ナトリウム塩
を含まないマイクロカプセルを投与した。投与後一定時
間毎に排出尿を採取し、尿中アルブミン値を測定したと
ころ、〔表2〕に示すように、投与9および12週間後
において実施例2の製剤投与群の尿中アルブミン排泄量
は対照群に比して抑制された。
【表2】
【0066】実験例4 6週齢雄性Wistarラットをペントバルビタールで
麻酔し、左腎摘出後、デオキシコルチコステロン25mgを
皮下に留置した。その後1%(w/v)食塩水を自由摂取
させ、その3週間後に実施例3で得られたマイクロカプ
セルをそれぞれマイクロカプセルに含有されるペプチド
Aの2ナトリウム塩の濃度として100mg/mlとなるように
注射用分散媒(蒸留水0.5mlあたり2.5mgのカルボキシル
メチルセルロース、0.5mgのポリソルベート 80、25mgの
マンニトールを溶解して得られる溶液)に分散してペプ
チドAの2ナトリウム塩の投与量が100mg/kgとなるよう
にラットの背部皮下に18G注射針で投与した。同様な
手術を施した対照群には比較例1で製造したペプチドA
の2ナトリウム塩を含まないマイクロカプセルを投与し
た。実施例3の製剤投与群では投与1週間後より収縮期
血圧の低下傾向を示し、2および4週間後で対照群と比
べてそれぞれ収縮期血圧が28、25mmHg低くなる安定
した降圧作用を示した。抗エンドセリン物質を徐放させ
ることにより血圧を持続的に低下させうることが示され
た。
【0067】実験例5 ペプチドAの2ナトリウム塩45mgを封入した浸透圧ミニ
ポンプ(Alza社製、Model 2002)を5週齢雄性Wist
arラットの背部皮下に埋め込んだ後、モノクロタリン
(100mg/kg)を皮下投与した。ペプチドAの2ナトリウ
ム塩45mgを封入した浸透圧ミニポンプは2週間後に新し
いものと交換した(ミニポンプ中のペプチドAの2ナト
リウム塩残存量より計算すると、ペプチドAの2ナトリ
ウム塩の投与量は2.5mg/ラット/日であった)。対照
群としてペプチドAの2ナトリウム塩を含まない浸透圧
ミニポンプを埋め込んだ。モノクロタリン投与4週間後
にペントバルビタールで麻酔して人工呼吸下で開胸し、
安定期間をおいた後に右心室に挿入したカテーテルを介
して右心室内圧を測定したところ、ペプチドAの2ナト
リウム塩処置群は右心室内圧の上昇に対して抑制傾向
(対照群に比して26mmHg抑制)を示した。また、右心
室肥大に対しても抑制傾向(対照群に比して0.23mg
tissue/g体重抑制)を示した。抗エンドセリン物質を
持続的に血中に存在させることにより、肺高血圧症のモ
デルである本実験系において有用性が示され、抗エンド
セリン物質の徐放性製剤が肺高血圧症の治療に有用であ
ることが示された。 実験例6 実施例6で得られたマイクロカプセル約30mgを0.5mlの
注射用分散媒(2.5mgのカルボキシルメチルセルロー
ス、0.5mgのポリソルベート 80、25mgのマンニトールを
溶解した蒸留水)に分散して9週齢雄性SDラットの背
部皮下に20G注射針で投与した(ラット1匹あたり約
12.6mgのペプチドAジエチルエステルを投与したことに
なる)。投与後一定時間毎にラット尾部より採血し、血
清中のペプチドAの濃度を酵素免疫測定法(以下、EI
Aと略する)で測定したところ、〔表3〕に示すように
ほぼ一定の血中濃度が2週間持続した。
【表3】
【0068】実験例7 実施例8で得られたマイクロカプセル約50mgを0.5mlの
注射用分散媒(2.5mgのカルボキシルメチルセルロー
ス、0.5mgのポリソルベート 80、25mgのマンニトールを
溶解した蒸留水)に分散して6週齢雄性SDラットの背
部皮下に20G注射針で投与した(ラット1匹あたり粗
ペプチドA亜鉛塩をペプチドAの2ナトリウム塩換算で
約10mg投与したことになる)。投与後一定時間毎にラッ
ト尾部より採血し、血清中のペプチドAの濃度をEIA
で測定した。結果を〔表4〕に示す。表中、ペプチドA
亜鉛塩の量は、ペプチドAの2ナトリウム塩に換算した
量を示す。
【表4】 〔表4〕に示されるように実施例7の製剤投与群ではほ
ぼ一定の血中濃度が3週間持続した。対照として比較例
2で得られた粗ペプチドA亜鉛塩を注射用分散媒に分散
してラットに皮下投与した(ラット1匹あたり粗ペプチ
ドA亜鉛塩をペプチドAの2ナトリウム塩換算で約10mg
投与したことになる)ところ、投与3日目の血清中ペプ
チドAが検出限界程度に低下していた。
【0069】実験例8 実施例10で得られたマイクロカプセル約70mgを0.5ml
の注射用分散媒(2.5mgのカルボキシルメチルセルロー
ス、0.5mgのポリソルベート 80、25mgのマンニトールを
溶解した蒸留水)に分散して6週齢雄性SDラットの背
部皮下に20G注射針で投与した(ラット1匹あたり約
10mgのペプチドAの2ナトリウム塩を投与したことにな
る)。投与後一定時間毎にラット尾部より採血し、血清
中のペプチドAの2ナトリウム塩の濃度をEIAで測定
した。結果を〔表5〕に示す。
【表5】 〔表5〕に示されるように実施例10の製剤投与群では
ほぼ一定の血中濃度が3週間持続した。
【0070】実験例9 実施例11で得られたマイクロカプセル約70mgを0.5ml
の注射用分散媒(2.5mgのカルボキシルメチルセルロー
ス、0.5mgのポリソルベート 80、25mgのマンニトールを
溶解した蒸留水)に分散して6週齢雄性SDラットの背
部皮下に20G注射針で投与した(ラット1匹あたり約
10mgのペプチドAの2ナトリウム塩を投与したことにな
る)。投与後一定時間毎にラット尾部より採血し、血清
中のペプチドAの2ナトリウム塩の濃度をEIAで測定
した。結果を〔表6〕に示す。
【表6】 〔表6〕に示されるように実施例11の製剤投与群では
ほぼ一定の血中濃度が2週間持続した。
【0071】
【発明の効果】本発明の徐放性製剤は、抗エンドセリン
物質を持続的に放出し、エンドセリンに起因する疾患、
特に糖尿病由来の慢性合併症等の治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例1で得られた徐放性製剤のラット投与部
位におけるマイクロカプセル中の薬物残存率の時間推移
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 38/00 ABX ACF ACV ADN 9/107 F 9/52 N 47/34 D C A61K 37/02 ABU ABX ACF ACV ADN (72)発明者 山本 一路 奈良県奈良市あやめ池南1丁目7番10− 116号 (72)発明者 脇舛 光廣 大阪府大阪市淀川区新高6丁目14番9− 805号

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗エンドセリン物質および生体内分解性ポ
    リマーを含有してなる徐放性製剤。
  2. 【請求項2】抗エンドセリン物質がエンドセリンアンタ
    ゴニストである請求項1記載の徐放性製剤。
  3. 【請求項3】エンドセリンアンタゴニストがペプチドで
    ある請求項2記載の徐放性製剤。
  4. 【請求項4】エンドセリンアンタゴニストが一般式 【化1】 〔式中、XおよびYはそれぞれα-アミノ酸残基を、A
    はD-酸性-α-アミノ酸残基を、Bは中性-α-アミノ酸
    残基を、CはL-α-アミノ酸残基を、Eは芳香環基を有
    するD-α-アミノ酸残基を示す〕で表されるペプチド、
    そのエステルまたはその塩である請求項2記載の徐放性
    製剤。
  5. 【請求項5】ペプチドがcyclo[-D-Asp-Asp(R1')-Asp-D-
    Thg(2)-Leu-D-Trp-]〔式中、Aspはアスパラギン酸を、A
    sp(R1')はアスパラギン酸β−4−フェニルピペラジン
    アミドを、Thg(2)は2−チエニルグリシンを、Leuはロ
    イシンを、Trpはトリプトファンを示す〕である請求項
    4記載の徐放性製剤。
  6. 【請求項6】Aがアルキル基でエステル化されたD-酸
    性-α-アミノ酸残基である請求項4記載の徐放性製剤。
  7. 【請求項7】YがL-酸性-α-アミノ酸残基である請求
    項4記載の徐放性製剤。
  8. 【請求項8】Yがアルキル基でエステル化されたL-酸
    性-α-アミノ酸残基である請求項4記載の徐放性製剤。
  9. 【請求項9】ペプチドがcyclo[-D-Asp(OC2H5)-Asp(R1')
    -Asp(OC2H5)-D-Thg(2)-Leu-D-Trp-]〔式中、Aspはアス
    パラギン酸を、Asp(R1')はアスパラギン酸β−4−フェ
    ニルピペラジンアミドを、Thg(2)は2−チエニルグリシ
    ンを、Leuはロイシンを、Trpはトリプトファンを示す〕
    である請求項4記載の徐放性製剤。
  10. 【請求項10】塩が多価金属塩である請求項4記載の徐
    放性製剤。
  11. 【請求項11】多価金属塩が亜鉛塩である請求項10記
    載の徐放性製剤。
  12. 【請求項12】生体内分解性ポリマーが脂肪族ポリエス
    テルである請求項1記載の徐放性製剤。
  13. 【請求項13】脂肪族ポリエステルがグリコール酸と乳
    酸との共重合体である請求項12記載の徐放性製剤。
  14. 【請求項14】共重合体がゲル浸透クロマトグラフィー
    測定法で約2,000ないし約50,000の重量平均
    分子量を有する請求項13記載の徐放性製剤。
  15. 【請求項15】共重合体が約0.2ないし約4.0の分
    散度を有する請求項13記載の徐放性製剤。
  16. 【請求項16】さらに有機塩基性物質を含有してなる請
    求項1記載の徐放性製剤。
  17. 【請求項17】さらに多価金属塩を含有してなる請求項
    1記載の徐放性製剤。
  18. 【請求項18】エンドセリンに起因する疾患の治療用で
    ある請求項1記載の徐放性製剤。
  19. 【請求項19】疾患が慢性疾患である請求項18記載の
    徐放性製剤。
  20. 【請求項20】慢性疾患が糖尿病由来の慢性合併症であ
    る請求項19記載の徐放性製剤。
  21. 【請求項21】慢性合併症が糖尿病性腎症である請求項
    20記載の徐放性製剤。
  22. 【請求項22】請求項1記載の徐放性製剤を含有してな
    る注射剤。
  23. 【請求項23】一般式 【化2】 〔式中、XおよびYはそれぞれα-アミノ酸残基を、A'
    はアルキル基でエステル化されたD-酸性-α-アミノ酸
    残基を、Bは中性-α-アミノ酸残基を、CはL-α-アミ
    ノ酸残基を、Eは芳香環基を有するD-α-アミノ酸残基
    を示す〕で表されるペプチドまたはその塩。
  24. 【請求項24】XがL体である請求項23記載のペプチ
    ド。
  25. 【請求項25】YがL体である請求項23記載のペプチ
    ド。
  26. 【請求項26】A'がアルキル基でエステル化されたD
    −グルタミン酸またはD−アスパラギン酸残基である請
    求項23記載のペプチド。
  27. 【請求項27】BがD体である請求項23記載のペプチ
    ド。
  28. 【請求項28】BがD-ロイシン、D-アロイソロイシ
    ン、D-tert-ロイシン、D-γ-メチルロイシン、D
    -フェニルグリシン、D-2-チエニルグリシン、D-3-
    チエニルグリシン、D-2-シクロペンチルグリシン、D
    -フェニルアラニン、D-2-チエニルアラニン、D-バリ
    ン、D-2-フリルグリシンおよびD-3-フリルグリシン
    残基から選ばれる請求項23記載のペプチド。
  29. 【請求項29】CがL-ロイシン、L-フェニルアラニ
    ン、L-トリプトファン残基から選ばれる請求項23記
    載のペプチド。
  30. 【請求項30】EがD-トリプトファンもしくはその誘
    導体、D-1-ナフチルアラニン、D-2-ナフチルアラニ
    ン、D-ベンゾチエニルアラニン、D-4-ビスフェニル
    アラニンおよびD-ペンタメチルフェニルアラニン残基
    から選ばれる請求項23記載のペプチド。
  31. 【請求項31】Yがアルキル基でエステル化されたカル
    ボキシル基を有するα-アミノ酸残基である請求項23
    記載のペプチド。
  32. 【請求項32】式cyclo[-D-Asp(OC2H5)-Asp(R1')-Asp(O
    C2H5)-D-Thg(2)-Leu-D-Trp-]〔式中、Aspはアスパラギ
    ン酸を、Asp(R1')はアスパラギン酸β−4−フェニルピ
    ペラジンアミドを、Thg(2)は2−チエニルグリシンを、
    Leuはロイシンを、Trpはトリプトファンを示す〕で表さ
    れるペプチドまたはその塩。
  33. 【請求項33】一般式 【化3】 〔式中、XおよびYはそれぞれα-アミノ酸残基を、A
    はD-酸性-α-アミノ酸残基を、Bは中性-α-アミノ酸
    残基を、CはL-α-アミノ酸残基を、Eは芳香環基を有
    するD-α-アミノ酸残基を示す〕で表されるペプチドの
    亜鉛塩。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7879317B2 (en) 2001-10-18 2011-02-01 Samyang Corporation Polymeric micelle compositions with improved stability and methods of making thereof

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7879317B2 (en) 2001-10-18 2011-02-01 Samyang Corporation Polymeric micelle compositions with improved stability and methods of making thereof

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