JPH0768289B2 - 塩化ビニル重合体製造用の重合反応器 - Google Patents

塩化ビニル重合体製造用の重合反応器

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JPH0768289B2
JPH0768289B2 JP2054973A JP5497390A JPH0768289B2 JP H0768289 B2 JPH0768289 B2 JP H0768289B2 JP 2054973 A JP2054973 A JP 2054973A JP 5497390 A JP5497390 A JP 5497390A JP H0768289 B2 JPH0768289 B2 JP H0768289B2
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Description

【発明の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本発明は、塩化ビニル重合体製造用の重合反応器に関
し、特に重合反応器上でのスケールの蓄積を排除しまた
ポリ塩化ビニルの品質を高め得る新しい重合反応器に関
する。
《従来の技術とその問題点》 塩化ビニル重合体又は共重合体の製造に際して、懸濁重
合,乳化重合,微粒子懸濁重合,溶液重合,塊状重合及
び気体重合のような従来の重合反応においては、反応体
の諸性質、単量体の極性、反応器壁の平滑性及び攪拌機
構の機能のような各種の要素が、重合反応の結果に影響
を及ぼす。しかしながら、公知の方法及び装置に付随し
て起きる障害は、壁,バッフル,攪拌軸,攪拌翼などの
ような装置の表面に望ましからざる推積物を生成するこ
とである。かかる堆積物は、一つには反応器内部への及
び内部からの熱の効率的な移動を不利に妨げ、また一つ
には反応混合物及びその製品への混入の結果、質を低下
させ、部分的な分解を起こす原因となり、また一つには
重合反応器の死角域に生じる堆積物を手作業で除去する
必要を生じ、また一つには人の健康に有害である。
重合反応器上での堆積物の蓄積を妨げる過去の標準的な
方法の一つは、単層又は多層のスケール抑制組成物を、
反応混合物が接触する装置の表面に塗布することであ
る。その他の方法は、スケール抑制組成物を反応混合物
に混合することである。前者の方法に適したスケール抑
制組成物は、有機化合物,有機染料,及び種々の金属化
合物と無機化合物の混合物、例えば酸化物,水酸化物,
オキシ酸及びオキシ酸塩である。更に、この組成物は、
ポリアミド,ポリエチレンイミン,ジアミノナフタレ
ン,ビスフェノールA,ピリジン,アミノベンゼンスルホ
ン酸,ポリスルフィド,ベンゾフェノン,ポリアセター
ル,ポリアクリル酸,アニリンアセテート,ソルビタン
ヘキサメタリン酸塩,ポリオキシエチレンソルビタン三
リン酸塩,ポリアゾ染料,キノン,アニリンブラック,
酸ブラックNo.2,ホウ酸,リン酸及びそれらの塩から選
ばれる。上記の化合物を混合又は共重合させ、それを
水,アルコール又はアセトンに溶解した後、これらの化
合物の一つを、低圧ガスを用いて、重合反応器の内部表
面に塗布する。後者の方法に用いられる適当なスケール
抑制組成物は、分散助剤及び有機酸,無機酸の塩、例え
ば硫酸カリウム,硫酸ナトリウム,硫酸カルシウム,硝
酸カリウム,硝酸ナトリウム,亜硫酸ナトリウム,リン
酸カルシウム,ヘキサメタリン酸カリウム,トリメタリ
ン酸ナトリウム,塩化鉄,塩化ホウ酸,ステアリン酸カ
ルシウムなどである。
しかしながら、被覆の方法に使用される製法又は処理方
法が適当でない場合には、含有される被覆剤が最終製品
に混入し、望ましい目的を達成することができない。そ
の上、被覆剤及び被覆された表面との間の接着が極めて
弱く、重合工程後、被覆剤を再度施さなければならな
い。反応体にスケール抑制剤を添加すると、最終製品の
性質に悪い影響を及ぼす。重合反応器の内部表面上での
スケールの堆積を妨げるために多価フェノールの縮合体
を使用することは、米国特許第4,080,173号の明細書に
開示されている。その他のスケール抑制化合物は、米国
特許第4,024,330、4,081,248、4,267,291、4,320,215、
4,181,787及び4,661,596号の明細書に開示されている。
これらの特許に開示されたスケール抑制化合物は、スケ
ールの蓄積を減少させ得るけれども、スケール抑制の被
覆は、1ないし5回の反応後に再度施す必要がある。先
行技術では、反応器と被覆剤の接着力を増加させるため
に、被覆剤上に架橋剤を更に用いるものもある。しか
し、架橋剤を含む被覆剤は、反応器の表面に均一に塗布
することができない。更に、重合反応器に使用される攪
拌機構も、生成するスケールの量に影響を及ぼす。
《発明の概要》 本発明の主要な目的は、多量のスケールが重合反応器に
蓄積することのない塩化ビニル重合体又は共重合体製造
用の重合反応器を提供することである。本発明の新しい
重合反応器は、懸濁重合、乳化重合及び溶液重合のよう
な従来の重合反応に用いるのに適している一方で、従来
技術の欠点を克服するものである。
本発明の別の目的は、重合反応器内のバッフルの使用を
省略するものである。重合反応器に配置されるバッフル
は不必要となるので、反応器は、上昇及び下降の流動の
対流を増加し、死角域を無くし、反応体と重合反応器間
の衝突力を減少する。従って、生成するスケールは明ら
かに減少する。本発明の、更なる別の目的及び利点は、
以下の記載及び添付図面によって明らかになるであろ
う。
《実施例》 第1図は、本発明の好適な実施例を示す重合反応器の断
面の略正面図である。
第1図を参照すると、重合反応器は、反応容器1及び二
つの攪拌軸2,3よりなり、第1の軸2の一方の端は反応
容器1の上部に固定されており、第2の軸3の一方の端
は反応容器1の底部に固定されている。軸2,3は、反応
容器1の垂直軸に平行になっている。攪拌軸2,3間の距
離の、反応ハウジング(容器)1の内径に対する比は、
0.1〜0.8であり、0.25〜0.50がより好ましい。二つの攪
拌翼4,5は、その一方4は軸2の他端に、他の一方5は
軸3の他端に、軸とともに回転可能に固定され、最大の
流速が得られるように反対方向に回転する。従って、攪
拌が行なわれている間は、反応容器1内に生ずる死角及
び境界はなくなる。攪拌翼の直径の、反応容器1の内径
に対する割合は0.1〜0.5であり、0.2〜0.4がより好まし
い。スケール抑制組成物の被覆6が、反応容器1の内
部,攪拌軸2,3及び攪拌翼4,5に施される。加熱ジャケッ
ト7は反応容器1の外部に配置される。
スケール抑制組成物の被覆6は、主要な成分として,−
NH2,−SO3H及び−OHを含む群から選ばれた、特異な官
能基を有するアリール環の重合体よりなる。本スケール
抑制組成物において使用するに適当な重合体は、多価フ
ェノール,ポリアリールアミン,及び多価フェノールと
エポキシ体との混合物から選ばれる。スケール抑制の被
覆として使用するに適した溶媒は、水.アルコール及び
ケトンのような有機溶媒から選ばれる。スケール抑制の
被覆溶液濃度は、5〜6000ppmである。被覆剤のスケー
ル抑制効果を高めるために適当な架橋剤は、OCN−R−N
CO,R(CHO)及びMe(OR)から成る群より選ばれ、
上記式中、Rは炭素原子数1〜18の脂肪族基、Meは金属
原子であり、nは1〜8の整数である。架橋剤の例とし
ては、テトライソプロピルチタネート、チタニウムアセ
チルアセトネート、2,4−ジシアノトルエンが挙げられ
る。架橋剤は、被覆組成物の5〜85重量%、好適には10
〜40重量%である。架橋反応の温度は、30〜100℃、好
適には50〜100℃の範囲である。
本発明の重合反応器は、塩化ビニル重合体又は共重合体
製造用の従来の重合反応、例えば懸濁重合,乳化重合,
微粒子懸濁重合及び溶液重合と共通して使用することが
できる。重合反応の反応体質は、塩化ビニル単量体、重
合した単量体及び脱イオン水である。一般に、単量体及
び脱イオン水の比は、25〜100%である。本発明におい
て用いられるのに適当な単量体、重合開始剤及びその他
の反応体は、従来技術でのものと同様である。
実施例1〜7 何れの場合にも、第1図に示した重合反応器を使用し
た。これらの実施例に使用した重合反応器は、200リッ
トル容量で、各部の寸法関係を表1に示す。重合開始
前、部分的に鹸化したポリビニルアセテート(PVA)
[表面張力:46dyne/cm;粘度:6.5cps(4%)及び塩化ビ
ニル単量体の500重量ppm]及びヒドロキシメチルプロピ
ルセルロース(HMPC)[表面張力:49dyne/cm;粘度:400c
ps(4%)及び塩化ビニル単量体の300ppm]を含む脱イ
オン水93kgを、重合反応器に添加した。次いで、2,2′
−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)及びビス
(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネートの、
塩化ビニル単量体の560重量ppmを、重合開始剤として重
合反応器に加えた。重合開始剤の添加後、重合反応器の
圧力を100mm Hgabsに下げ、更に塩化ビニル単量体56kg
を重合反応器に加えた。重合反応器内の混合物を10分間
攪拌し、反応器の加熱ジャケットに熱水を通して反応器
の反応温度を58℃に加熱した。反応圧が7kg/cm2 Gに低
下するまで、この温度を維持した。重合反応の終了後、
未反応の塩化ビニル単量体残留部の圧力は150mm Hgabs
に戻った。
重合反応器に添加したスケール抑制被覆剤及び架橋剤の
影響を比較するため、重合反応器の試験を以下のように
実施した: 重合反応前、 試験1.重合反応器の内壁にはスケール抑制剤及び架橋剤
のどちらも被覆しなかった。
試験2.重合反応器の内壁をスケール抑制剤の層のみで被
覆し、60℃で乾燥した。
試験3.最初に、重合反応器の内壁にスケール抑制剤の層
を施し、60℃で乾燥した。次いで、架橋剤の層をスケー
ル抑制剤の層の上に施し、80℃で乾燥した。
重合反応後、 試験1.本試験に使用したすべてのバッチは、次の使用の
ために手作業でスケール残渣を除去する必要があった。
試験2.本試験に使用したすべてのバッチを水洗し、手作
業で四バッチのすべてのスケール残渣を除去する必要が
あった。
試験3.本試験に使用した全てのバッチは、水洗によって
容易に清浄することができた。20回の反応後、重合反応
器を検査のために開く必要があった。
上記の試験結果を、表2に示す。
比較例1〜6 本比較例に使用した重合の方法及び組成物は、実施例1
〜7で用いられたものと同様であった。但し、攪拌翼の
形状及び寸法は異なっており、これらを表3に示す。ま
た比較例の結果も、表2に示す。
実施例8〜10 重合反応器及び本実施例で使用した攪拌機構は、実施例
1で用いられたものと同様であった。本実施例は乳化重
合を採用した。本重合操作において、セチル硫酸ナトリ
ウム37.5g、重亜硫酸ナトリウム90g及びシードラテック
ス(0.32μ,固形分:32%)15kgを含む脱イオン水60kg
を反応器に添加した。次いで、反応器の圧力を150mm Hg
absに低下させ、塩化ビニル単量体65kgを反応器に加
え、10分間攪拌した。加熱ジャケットに熱水を通して反
応器の温度が反応温度、即ち49℃に達した後、水500gに
溶解した過硫酸アンモニウム15gを、4時間以内に反応
器に連続的に加えた。1時間反応を行った後、反応器の
圧力が1kg/cm2になるまで水22.5kgに溶解したミリスチ
ン酸1.2kgを加えた。重合反応後、安定な製品が生成す
るまで、未添加の石鹸を更に加えた。
これらの実施例の結果を表4に示す。
比較例7〜9 重合の方法及び使用した組成物は、実施例8〜10で用い
られたものと同様であった。攪拌翼の形状は、比較例1
のものと同様であった。反応の結果を表4に示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の好適な態様を示す重合反応器の断面
の略正面図である。 1……反応容器 2,3……攪拌軸 4,5……攪拌翼

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル重合体製造用の重合反応器にお
    いて、反応容器に攪拌機構が配設され、該攪拌機構は第
    1及び第2の攪拌軸と第1及び第2の攪拌回転翼とを有
    し、該第1の攪拌軸は上端を該反応容器の上部に配置さ
    れてそこから下方に伸びるとともに、該第2の攪拌軸は
    下端を該反応容器の底部に配置されてそこから上方に該
    第1の攪拌軸と平行に伸びており、更に、該第1の攪拌
    軸の下端には第1の攪拌回転翼が、該第2の攪拌軸の上
    端には第2の攪拌回転翼が、それぞれ回転可能に配置さ
    れており、両該攪拌回転翼は互いに逆方向に回転される
    ものであって、更に、該反応容器の内部及び該攪拌機構
    は、−NH2、−SO3H及び−OHよりなる群から選ばれた特
    異な官能基を有するアリール環の重合体を含むスケール
    抑制組成物で被覆されている、塩化ビニル重合体製造用
    の重合反応器。
  2. 【請求項2】該二つの攪拌軸間の距離の、該反応容器の
    内径に対する比が、0.10〜0.80である請求項1記載の重
    合反応器。
  3. 【請求項3】該攪拌回転翼の直径の、該反応容器の内径
    に対する比が、0.10〜0.50である請求項1記載の重合反
    応器。
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