JPH076790Y2 - 冷菓製造装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

この考案は、アイスクリーム、シャーベット等の各種冷
菓を製造する冷菓製造装置に関する。

【従来技術】

蓄冷剤が封入された蓄冷容器を使用して冷菓を製造する
冷菓製造装置として、例えば実公昭59-21672号に示すも
のが知られている。この冷菓製造装置は、蓄冷容器内に
投入された冷菓原料を回転する撹拌体により撹拌及び混
練して冷菓を製造している。

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記冷菓製造装置において製造された冷菓を取
出すには、先ず撹拌体を取出したのち、ヘラ等を使用し
て蓄冷容器の内面に付着した冷菓を取出さなければなら
ず、取出すのに時間がかかる問題を有している。このた
め、取出し時に製造された冷菓が温度上昇して過度に柔
かくなったりして冷菓の品質が悪くなっている。また、
蓄冷容器の内面及び撹拌体に付着した冷菓を効率的に取
出すことが困難であり、材料歩留りが悪かった。 本考案は、上記した従来の欠点を解決するために考案さ
れたものであり、その目的とするところは、製造された
冷菓をほぼ一定の温度状態に維持しながら短時間に取出
して冷菓の品質低下を防止することができると共に、蓄
冷容器内の冷菓をほぼ完全に取出して材料歩留りを向上
することが可能な冷菓製造装置を提供することにある。

【問題点を解決するための手段】

このため請求項１記載の考案は、内部に蓄冷剤が封入さ
れ、底面中央部の貫通孔に円筒部材が取付けられた蓄冷
容器と、前記円筒部材の下部開口を開閉する開閉部材
と、前記蓄冷容器内にて回転可能に支持された軸に、前
記円筒部材内にて回転するスクリュー、前記蓄冷容器の
内周面に沿い、かつ回転方向と反対の方向に向って徐々
に下降傾斜する掻き落し羽根、前記掻き落し羽根の下端
部と前記スクリューの上方に応じた軸との間にて前記円
筒部材の上部に設けられた爪部と噛合って回転し、長径
部が前記蓄冷容器の底面に近接する断面が楕円形状から
なる回転部材とが設けられた攪拌体と、前記攪拌体を所
要の方向へ回転駆動する駆動部材とからなることを特徴
としている。 また請求項２記載の考案は、内部に蓄冷剤が封入され、
底面中央部の貫通孔に円筒部材が取付けられた蓄冷容器
と、前記円筒部材の下部開口を開閉する開閉部材と、前
記蓄冷容器内にて回転可能に支持された軸に、前記円筒
部材内にて回転するスクリュー、前記蓄冷容器の内周面
に沿い、かつ回転方向と反対の方向に向って徐々に下降
傾斜する掻き落し羽根、前記掻き落し羽根の下端部から
前記スクリューの上方に応じた軸に対し、前記蓄冷容器
の底面に近接した状態で延出する掻き取り部材、及び前
記掻き落し羽根の下端部と前記スクリューの上方に応じ
た軸との間にて前記円筒部材の上部に設けられた爪部と
噛合って回転し、長径部が前記蓄冷容器の底面に近接す
る断面が楕円形状からなる回転部材とが設けられた攪拌
体と、前記攪拌体を所要の方向へ回転駆動する駆動部材
とからなることを特徴としている。

【考案の作用】

請求項１の考案は上記のように構成されるため、冷菓の
製造時に蓄冷容器の内周面に付着した冷菓原料を掻き落
し羽根により掻き落すと共に、蓄冷容器の底面に付着し
た冷菓原料を回転する回転部材により砕き取られ、該蓄
冷容器内にて冷菓原料を効率的に移動させながら撹拌及
び混練することができる。そして製造された冷菓は回転
するスクリューにより外部へ取出すことができ、取出し
作業を効率的に行い得る。また請求項２記載の考案は、
上記作用と共に、回転部材及び掻き取り部材により蓄冷
容器の底面に付着した冷菓原料を剥がし取って未冷却の
冷菓原料と効率的に混ぜ合せることができる。そして冷
菓製造後においては、回転部材及び掻き取り部材により
冷菓を蓄冷容器の中心部へ寄せ集めて円筒部材内へ導入
したのち、回転するスクリューにより外部へ取出すこと
が可能である。

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図面に従って説明する。 第１図は冷菓製造装置の概略を示す分解斜視図、第２図
は蓄冷容器内の撹拌体の取付け状態を示す一部破断斜視
図、第３図は冷菓製造装置の中央縦断面図、第４図は撹
拌体の概略を示す一部分解斜視図であり、冷菓製造装置
１は支持スタンド３と、駆動部５と、製造機本体７とか
ら構成されている。 前記支持スタンド３は作業台上に載置される平面部3aの
基端から上方に起立する支柱部3bが一体形成されてい
る。また、駆動部５のケース８には駆動部材としての電
動モータ９が内蔵され、該電動モータ９の回転軸には前
記ケース８に軸支された駆動軸11が歯車13を介して連結
されている。そして前記電動モータ９の駆動に従って前
記駆動軸11が所要の減速比にて回転駆動される。この駆
動部５は後述する蓋体15に対し、着脱可能に取付けられ
る。 前記製造機本体７は蓄冷容器17と、該蓄冷容器17の外周
側を覆う容器本体19と、これら蓄冷容器17及び容器本体
19の上部開口を覆う蓋体15及び該蓄冷容器17内にて回転
する撹拌体21とから構成されている。前記蓄冷容器17は
内周側が熱伝導率の高いアルミニウム、ステンレス等か
らなると共に、外周側が低い熱電動率からなる合成樹脂
製の二重容器構造からなり、内部に蓄冷剤23が封入され
ている。また、該蓄冷容器17の底面中央部には貫通孔17
aが形成され、該貫通孔17aには円筒部材を構成する合成
樹脂製のシリンダー25が挿嵌固定されている。該シリン
ダー25は支持孔25aが、後述するスクリュー35を回転可
能に支持するように形成されると共に、その上部外周に
は複数の係合爪25bが、軸線回りにて所要の間隔をおく
ように一体形成されている。そして該シリンダー25の下
端部には前記支持孔25aと連通する透孔27aを有したホル
ダ27が着脱可能に取付けられ、該ホルダ27には前記透孔
27aとほぼ一致する開口29a及び該透孔27aを閉鎖する平
面部を有した開閉板29が、軸線方向と直交する方向へ移
動可能に支持される。 前記蓄冷容器17が収容される容器本体19は低い熱電動率
の合成樹脂にて形成され、その底面には透孔19aが、前
記シリンダー25の下端部を挿通するように形成されてい
る。また、該容器本体19の上部には被係合部19bが形成
され、該被係合部19bに対して蓋体15の係合部15aを係合
することにより該容器本体19に対して蓋体15が着脱可能
に取付けられる。更に、前記容器本体19の側面には取付
け部19cが、前記支柱部3bに対して挿嵌可能に形成され
ている。なお、図中31は前記支柱部3bに対する取付け部
19cの挿入状態を固定するための締付けねじである。 前記容器本体19の上部には蓋体15が着脱可能に取付けら
れ、該蓋体15の中心部には前記撹拌体21の軸部33を挿通
するための透孔15bが形成されている。また、前記蓋体1
5の一部外周側には投入開口15cが形成され、該投入開口
15cを介して冷菓原料が前記蓄冷容器17内に投入され
る。更に、前記蓋体15の上面には前記駆動部５が着脱可
能に取付けるための係合部15dが形成されている。 前記蓄冷容器17内にて回転可能に支持される撹拌体21に
は軸部33が一体形成され、該軸部33の上部は前記駆動軸
11に挿嵌して回り止めされるように異形断面形状に形成
されている。また、前記軸部33の下部にはスクリュー35
が、前記支持孔25a内にて回転可能に形成されている。
前記軸部33の上部には第１及び第２アーム37・39が所要
の角度をおき、前記蓄冷容器17の内周面に向って延出す
るように一体形成されると共に、前記第１アーム37の先
端部には掻き落し羽根41が、前記蓄冷容器17の内周面に
沿い、かつ該撹拌体21の回転方向と反対方向に向って徐
々に下降するように一体形成されている。そして該掻き
落し羽根41の下端部には上下羽根43が、前記蓄冷容器17
の内周面に沿って前記第２アーム39の先端に至るように
形成されている。また、前記掻き落し羽根41の下端部に
は掻き取り板45が、その下端が前記蓄冷容器17の底面と
摺接して前記軸部33の下部に至るように形成されてい
る。この掻き取り板45はその中心部が先端部より回転方
向と反対の方向へ若干ずれ、冷菓原料あるいは製造され
た冷菓を軸部33側へ寄せるように形成されると共に、そ
の下端部には凹凸部45aが形成されている。前記スクリ
ュー35の上方に位置する軸部33にはボス47が形成され、
該ボス47と前記掻き落し羽根41下端部との間には回転部
材49が回転可能に支持されている。この回転部材49は断
面が小判形の楕円形状で、長径部が前記蓄冷容器17の底
面に当接するように形成されると共に、その中心部端面
には複数の係合突部49a前記係合爪25bと係合するように
形成されている。そして撹拌体21が第１図に示す実線矢
印のＡ方向へ回転されると、前記係合爪25bに対する係
合突部49aの係合により回転部材49が第１図に示す実線
矢印のＢ方向へ回転される。 次に、上記のように構成された冷菓製造装置１の作用を
第５図及び第６図に従って説明する。 第５図及び第６図は撹拌体21の回転状態を示す説明図で
あり、支持スタンド３の支柱部3bに対して取付け部19c
が挿嵌された容器本体19を上方へ持ち上げた状態にて締
付けねじ31を締め付けると、該容器本体19下面と作業台
との間に受け皿を挿入するための空間51（第３図に示
す）が形成される。支持スタンド３に取付けられた容器
本体19内に蓄冷容器17を収容したのち、該蓄冷容器17内
に対し撹拌体21が、そのスクリュー35が支持孔25a内に
位置するように装着される。蓋体15の上面の係合部15d
に対して駆動部５を取付けたのち、蓄冷容器17及び容器
本体19の上部開口を覆うように係合部15aを被係合部19b
に係合して蓋体15を取付ける。このとき、撹拌体21の上
端部に対して駆動軸11が連結されると共に、前記シリン
ダー25の下端部に取付けられたホルダ27には閉鎖板29
が、その平面部が透孔27aに位置するように移動されて
いる。これにより前記シリンダー25の下端部開口が閉鎖
されている。なお、前記蓄冷容器17は、予め冷蔵庫の冷
凍室内にて冷却され、封入された蓄冷剤23が所要の温度
で冷却されている。 上記状態にて電動モータ９を駆動したのち、冷菓原料が
投入開口15cを介して蓄冷容器17内に投入されると、撹
拌体21は第４図及び第５図に示す時計方向へ回転され
る。このとき、蓄冷剤23により冷却された蓄冷容器17内
周面に付着して冷却した冷菓原料は掻き落し羽根41によ
り掻き落されると共に、未冷却の冷菓原料は上下羽根43
により蓄冷容器17の内周面に付着され、その冷却が図ら
れる。また、同様に冷却に伴って蓄冷容器17の底面に付
着した冷菓原料は摺接する掻き取り板45により掻き取ら
れながら軸部33側へ移動される。このとき、撹拌体21の
回転に伴って係合爪25bに係合する係合突部49aにより回
転部材49が回転しながら、その長径部が蓄冷容器17底面
に当接し、冷却硬化した冷菓原料を砕いて剥がし取るた
め、掻き取り板45に対する硬化した冷菓原料の回転抵抗
を少なくしている。そして上記撹拌体21の回転に伴って
冷菓原料は蓄冷容器17の外周側から中心部に至るように
対流しながら撹拌されると共に、混練され、きめの細か
い冷菓に製造される。 上記動作により冷菓が製造されたのち、撹拌体21の回転
状態を維持しながら閉鎖板29を、その開口29aと透孔27a
とが一致するように移動してシリンダー25の下端開口を
開放させると、掻き落し羽根41により蓄冷容器17内周面
から掻き落されたのち、回転部材49の回転に伴って前記
蓄冷容器17の底面から砕き取られた冷菓は掻き取り板45
により軸部33側へ寄せ集められてシリンダー25内に導入
される。そして該シリンダー25内に導入された冷菓はス
クリュー35の回転に伴って下方向へ移動して外部へ排出
され、空間51内に差し込まれた受け皿に受承される。 このように本実施例は、冷菓の製造時には上下羽根43に
より冷菓原料を蓄冷容器17の内周面にほぼ一定の厚さで
張付けることにより効率的に冷却すると共に、張付けら
れて冷却された冷菓材料は掻き落し羽根41及び掻き取り
板45により剥がし取りながら回転する回転部材49により
未冷却の冷菓原料と混ぜ合せて冷却を促進することがで
き、冷菓原料を効果的に冷却させることができる。一
方、製造された冷菓を取出すには蓄冷容器17の内周面に
付着した冷菓を掻き落し羽根41により、また蓄冷容器17
の底面に付着した冷菓を回転部材49により砕いて掻き取
り板45により剥がし取り、そして蓄冷容器17の周面から
剥がし取られた冷菓を掻き取り板45により中心部へ寄せ
集めてシリンダー25内へ導入させることができる。この
結果、蓄冷容器17内の冷菓を冷却状態を維持しながら確
実に取出すことができる。 上記説明は、回転部材を楕円形状としたが、第７図に示
すように回転部材71の外周面に、多数の溝部71aを軸線
方向に延出し、かつ軸線回りに所要の間隔をおいて形成
してもよい。また、第８図に示すように回転部材81の外
周面に多数の突部81aを設けたものであってもよい。更
に、回転部材の外周面を凹凸状に形成してもよい。

【考案の効果】

このため本考案は、製造された冷菓をほぼ一定の温度状
態に維持しながら短時間に取出して冷菓の品質低下を防
止することができると共に、蓄冷容器内の冷菓をほぼ完
全に取出して材料歩留りを向上することが可能な冷菓製
造装置を提供することが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は冷菓製造装置の概略を示す分解斜視図、第２図
は蓄冷容器内の撹拌体の取付け状態を示す一部破断斜視
図、第３図は冷菓製造装置の中央縦断面図、第４図は撹
拌体の概略を示す一部分解斜視図、第５図及び第６図は
撹拌体の回転状態を示す説明図、第７図及び第８図は本
考案の変更実施例を示す斜視図である。 図中１は冷菓製造装置、９は駆動部材としての電動モー
タ、17は蓄冷容器、25は円筒部材としてのシリンダー、
25bは係合爪、21は撹拌体、33は軸部、35はスクリュ
ー、41は掻き落し部材、45は掻き取り部材、49は回転部
材、49aは係合突部である。

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】内部に蓄冷剤が封入され、底面中央部の貫
   通孔に円筒部材が取付けられた蓄冷容器と、 前記円筒部材の下部開口を開閉する開閉部材と、 前記蓄冷容器内にて回転可能に支持された軸に、前記円
   筒部材内にて回転するスクリュー、前記蓄冷容器の内周
   面に沿い、かつ回転方向と反対の方向に向って徐々に下
   降傾斜する掻き落し羽根、前記掻き落し羽根の下端部と
   前記スクリューの上方に応じた軸との間にて前記円筒部
   材の上部に設けられた爪部と噛合って回転し、長径部が
   前記蓄冷容器の底面に近接する断面が楕円形状からなる
   回転部材とが設けられた攪拌体と、 前記攪拌体を所要の方向へ回転駆動する駆動部材と、 を備えたことを特徴とする冷菓製造装置。
2. 【請求項２】内部に蓄冷剤が封入され、底面中央部の貫
   通孔に円筒部材が取付けられた蓄冷容器と、 前記円筒部材の下部開口を開閉する開閉部材と、 前記蓄冷容器内にて回転可能に支持された軸に、前記円
   筒部材内にて回転するスクリュー、前記蓄冷容器の内周
   面に沿い、かつ回転方向と反対の方向に向って徐々に下
   降傾斜する掻き落し羽根、前記掻き落し羽根の下端部か
   ら前記スクリューの上方に応じた軸に対し、前記蓄冷容
   器の底面に近接した状態で延出する掻き取り部材、及び
   前記掻き落し羽根の下端部と前記スクリューの上方に応
   じた軸との間にて前記円筒部材の上部に設けられた爪部
   と噛合って回転し、長径部が前記蓄冷容器の底面に近接
   する断面が楕円形状からなる回転部材とが設けられた攪
   拌体と、 前記攪拌体を所要の方向へ回転駆動する駆動部材と、 を備えたことを特徴とする冷菓製造装置。
3. 【請求項３】前記回転部材の外周面には軸線方向に向
   い、かつ軸線回りに所要の間隔をおいた多数の溝が形成
   された請求項１および２記載の冷菓製造装置。
4. 【請求項４】前記回転部材の外周面には多数の突部が形
   成された請求項１および２記載の冷菓製造装置。