JPH0767547A - 反すう動物用飼料添加組成物 - Google Patents

反すう動物用飼料添加組成物

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JPH0767547A
JPH0767547A JP5219686A JP21968693A JPH0767547A JP H0767547 A JPH0767547 A JP H0767547A JP 5219686 A JP5219686 A JP 5219686A JP 21968693 A JP21968693 A JP 21968693A JP H0767547 A JPH0767547 A JP H0767547A
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JP5219686A
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Nobuyoshi Kitamura
信義 北村
Susumu Shibahara
進 柴原
Satoshi Ueda
智 上田
Haruo Hirauma
晴雄 平馬
Hiromi Suzuki
裕美 鈴木
Toru Ikeda
徹 池田
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生物学的活性物質を反すう動物の第1胃内で
安定に保護し、第4胃以下の下部消化器官で効率よく消
化吸収させる点にある。 【構成】 生物学的活性物質を含有する核を硬化した植
物性油脂、硬化した動物性油脂、融点40℃以上の脂肪
酸エステルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の物
質、及び水に接触することで溶解もしくは膨潤する天然
系高分子物質の微細粉末を含有する被覆組成物で被覆し
てなることを特徴とする。 【効果】第1胃中で優れた保護性と第4胃以下の下部消
化器官中での極めて優れた溶出性を兼ね備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は反すう動物用飼料添加組
成物に関する。さらに詳しくは、反すう動物の第1胃
(ル−メン)中では安定で、第4胃より下部の消化器官
で生物学的活性物質を放出することを可能にする被覆組
成物で生物学的活性物質を被覆し、第4胃より下部の消
化器官で生物学的活性物質を消化吸収させることを可能
にした反すう動物用飼料添加組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】牛や羊などの反すう動物ではアミノ酸、
ビタミン等の生物学的活性物質を直接経口投与すると、
第1胃中の微生物によって大部分が分解され、有効利用
されない。
【0003】したがって、これら生物学的活性物質を、
第1胃中では微生物の分解から保護し、第4胃より下部
の消化器官で消化、吸収させるような反すう動物用のル
−メンバイパス製剤は反すう動物用の飼料、栄養剤、動
物薬等の分野で重要である。
【0004】生物学的活性物質を含有する反すう動物用
飼料添加物としては、炭素原子数12以上の脂肪酸、硬
化動・植物油等で被覆することが以前より提案されてい
るが、これら油脂で被覆された粒子は第1胃内の保護性
は良いが、第4胃より下部の消化器官で生物学的活性物
質を溶出させることが難しい。
【0005】このため溶出性を促進するための物質を、
油脂等の保護物質中に添加して生物学的活性物質と共に
分散し粒状化する方法、特定条件下での溶出性を併せ持
った保護物質により生物学的活性物質を被覆する方法等
が提案されている。
【0006】保護物質に溶出性を促進するための物質を
生物学的活性物質と共に分散する方法としては、例えば
特開昭60−168351では生物学的活性物質と、炭
酸カルシウム20重量%以上、かつ炭素数14個以上の
脂肪族モノカルボン酸、硬化した油脂等を10重量%以
上含有し造粒する方法を提案している。また、特公昭5
9−10780では生物学的活性物質30〜50重量%
を、炭素数14〜22個を有する脂肪族モノカルボン酸
またはリシノ−ル酸の塩10〜35重量%及び残部を炭
素数14〜22個を有する脂肪族モノカルボン酸、リシ
ノ−ル酸、硬化した油脂等からなる保護物質中に分散す
る方法を提案している。
【0007】特定条件下での溶出性を併せ持った保護物
質で被覆する方法としては、例えば特開昭63−317
053では炭素数12〜24個を有する脂肪族モノカル
ボン酸、硬化した油脂とレシチン及びグリセリン脂肪酸
エステルからなる保護剤で生物学的活性物質を被覆する
方法を提案している。また、特公平3−31423では
中性条件下で安定であり、塩酸酸性下では崩壊または溶
出する物質と炭素数14以上の脂肪族モノカルボン酸及
びその塩、融点40℃以上の動物または植物油脂または
ロウからなる少なくとも1種の物質を含有する保護剤で
生物学的活性物質を被覆する方法を提案している。
【0008】しかしながら、保護物質中に生物学的活性
物質を分散する方法では、粒子表面近傍に生物学的活性
物質が存在する為、保護性を重視するためには生物学的
活性物質の含有率をかなり下げる必要がある。また水溶
性の生物学的活性物質の場合は第1胃内の滞留時間が1
0数時間〜数日間であることを考慮すると、保護物質中
の生物学的活性物質を十分に保護することが難しい。ま
たレシチン及びグリセリン脂肪酸エステルと油脂からな
る保護物質で被覆した場合、被覆層の強度が不十分で保
護性に問題が残る。また、レシチン及びグリセリン脂肪
酸エステルは油脂の乳化作用を期待したものではある
が、第4胃以降での消化器官を通過する時間を考える
と、単独では溶出性が十分であるとは言えない。また、
塩酸酸性下で崩壊または溶出する物質と炭素数14以上
の脂肪族モノカルボン酸及びその塩、融点40℃以上の
動物または植物油脂またはロウからなる少なくとも1種
の物質を含有する保護剤では第4胃以降での溶出性を高
めるために表層部分における上記酸感受性物質の含有量
が10%以上必要であり、それ以下では溶出性が十分で
あるとは言えない。
【0009】また、第1胃と第4胃のpHの差を利用
し、pH応答性の合成ポリマ−で被覆する方法も提案さ
れているが、被覆工程に有機溶剤を使用すること、被覆
剤自体の安全性が未確認であること等を考慮すると、十
分満足できる手段とは言えない。
【0010】この様に、反すう動物への経口投与を目的
とする場合、第1胃での生物学的活性物質の放出を防止
し、かつ第4胃より下部の消化器官で生物学的活性物質
的を溶出させる製剤設計が重要な問題である。
【0011】
【本発明が解決しようとする課題】本発明が解決しよう
とする課題は安全性が確認されている物質からなる組成
物を用いて、生物学的活性物質を一層または二層被覆
し、この被覆層により反すう動物の第1胃内で安定に生
物学的活性物質が保護され、第4胃以下の下部消化器官
で効率よく消化吸収される反すう動物用飼料添加組成物
を開発することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の目的
を達成するため鋭意努力した結果、生物学的活性物質を
含有する核を硬化動植物性油脂、脂肪酸エステルよりな
る群から選ばれた少なくとも1種の物質を被覆基材と
し、当該被覆基材の第4胃以下の下部消化器官における
崩壊を促進せしめる成分として水に接触することで溶解
もしくは膨潤する天然系高分子物質を微細粉末の形態で
含有してなる被覆組成物が第1胃中で優れた保護性と第
4胃以下の下部消化器官中での優れた溶出性を兼ね備え
ることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0013】即ち、生物学的活性物質を含有する核を、
(A)硬化動植物性油脂、融点40℃以上の脂肪酸エス
テルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の物質及び
(B)水に接触することで溶解もしくは膨潤する天然系
高分子物質の微細粉末を含有し、さらに(C)レシチ
ン、室温で液状の不飽和高級脂肪酸、硬化動植物性油脂
または脂肪酸エステルに溶解する非イオン性界面活性
剤、胆汁末から選ばれた少なくとも1種の物質を含有し
ない或いは含有する被覆組成物で被覆した粒状の反すう
動物用飼料添加組成物並びに該反すう動物用飼料添加組
成物の表面を上記(A)もしくは(A)及び(C)から
なる被覆組成物で更に被覆することを特徴とする2層被
覆反すう動物用飼料添加組成物である。以下に本発明を
詳細に説明する。
【0014】本発明において、生物学的活性物質として
は周知の各種の栄養物やこれらを含む飼料あるいは薬物
類、例えばアミノ酸及びその誘導体、アミノ酸のヒドロ
キシ同族化合物、タンパク質類、炭水化物類、ビタミン
類及び獣医薬類から選ばれる1種または2種以上の混合
物が挙げられるが、被覆基材との関連で水溶性の生物学
的活性物質が特に望ましい。
【0015】具体的には、リジン、メチオニン、トリプ
トファン、スレオニン等のアミノ酸類;N−アシルアミ
ノ酸、N−ヒドロキシメチルメチオニンのカルシウム
塩、リジン塩酸塩等のアミノ酸誘導体;2−ヒドロキシ
−4−メチルメルカプト酪酸及びその塩等のアミノ酸の
ヒドロキシ同族化合物;穀物粉末、羽毛粉末、魚粉等の
天然栄養物の粉末;カゼイン、トウモロコシタンパク、
馬鈴薯タンパク等のタンパク質;澱粉、ショ糖、ブドウ
糖等の炭水化物;ビタミンA、ビタミンA酢酸塩、ビタ
ミンAパルミチン酸塩、ビタミンB群、チアミン、塩酸
チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、ニコチン酸アミ
ド、パントテン酸カルシウム、パントテン酸コリン、塩
酸ピリドキシン、塩化コリン、シアノコバラミン、ビオ
チン、葉酸、p−アミノ安息香酸、ビタミンD2、ビタ
ミンD3、ビタミンE等のビタミン類及びそれに類する
機能を有する物質;テトラサイクリン系、アミノ配糖体
系、マクロライド系、ポリエ−テル系の抗生物質、ネグ
フォン等の駆虫剤、ピペラジン等の虫下し、エストロジ
ェン、スチルベスト−ル、ヘキセスト−ル、チロプロテ
ィン、ゴイトロジェン、成長ホルモン等のホルモン類;
アミラ−ゼ、プロテア−ゼ、キシラナ−ゼ、ペクチナ−
ゼ、セルラ−ゼ、ラクタ−ゼ、リパ−ゼ等の酵素類が使
用される。
【0016】生物学的活性物質を含有する核の調製法は
特に制限はなく、必要に応じて増粘剤、賦形剤等を添加
し、通常の造粒法、流動造粒法、撹はん造粒法等により
粒状、好ましくは球形に近い粒子を調製することにあ
り、その粒子径は3mm以下、1.0mm以上が好適で
ある。
【0017】増粘剤としては、ヒドロキシプロピルセル
ロ−ス、メチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−
スナトリウム等のセルロ−ス誘導体、ポリビニルアルコ
−ル、ポリビニルピロリドン等のビニル誘導体、アラビ
アゴム、グアガム、ポリアクリル酸ナトリウム、キサン
タンガム等が使用できる。
【0018】賦形剤としては、澱粉、タンパク質、結晶
セルロ−ス等を用いることができる。さらに必要であれ
ば、比重調製剤として、炭酸カルシウム、リン酸カルシ
ウム、タルク等を添加して比重を調製してもよく、通常
保護物質で被覆された粒子の比重は0.9〜1.4に調
製するのが望ましい。
【0019】前記生物学的活性物質を含有する核を被覆
する保護物質としては、硬化した植物性油脂、硬化した
動物性油脂、融点40℃以上の脂肪酸エステルよりなる
群から選ばれた少なくとも1種の物質が使用できる。
【0020】硬化植物油としては、硬化パ−ム油、硬化
パ−ム核油、硬化大豆油、硬化菜種油、硬化ひまし油等
が、硬化動物油としては、硬化牛脂、硬化豚脂等が使用
できる。脂肪酸エステルとしては、飽和または不飽和の
脂肪酸とグリセリンのモノエステルまたはジエステル、
脂肪酸の高級アルコールエステル等が使用できる。
【0021】本発明において、水に接触することで溶解
もしくは膨潤する天然系高分子物質は、動物または植物
及び微生物由来の蛋白質及び/または多糖類の中から選
ばれる。動物由来の蛋白質としては水への溶解性または
膨潤性を有する鶏卵アルブミン、牛血清アルブミン、ゼ
ラチン、カゼイン、乳清アルブミン、絹由来のセリシン
等が例示される。植物由来の蛋白質としては水への溶解
性または膨潤性を有する小麦グルテン、大豆蛋白、菜種
蛋白、トウモロコシ蛋白等が例示される。多糖類は、植
物及び微生物由来のものが一般的で、水への溶解性また
は膨潤性を有する寒天、アラビアガム、グアガム、キサ
ンタンガム、カラギーナン、タマリンド種子ガム、カラ
ヤガム、アルギン酸及びその塩、ペクチン、デキストリ
ン、馬鈴薯澱粉またはトウモロコシ澱粉及び澱粉グリコ
ール酸等の誘導体或いは澱粉グリコール酸ナトリウム等
の塩、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロ
ース誘導体が例示される。
【0022】本発明の反すう動物用飼料添加組成物は、
生物学的活性物質を当該天然系高分子物質の微細粉末を
含有する保護物質で被覆することを特徴とし、その効果
としては当該天然系高分子物質の微細粉末が水に接触す
ることで溶解もしくは膨潤することにより保護物質で被
覆された被覆層の破壊を促進することにある。即ち、反
すう動物の消化管内の滞留時間、特に第1胃での滞留時
間までは当該天然系高分子物質の微細粉末が唾液、第1
胃液などと接触し、溶解もしくは膨潤してもその程度は
被覆層の破壊に至らず、かつ第4胃以降の消化管に当該
粒子が到達した時点で当該粒子の被覆層の破壊が胆汁液
やパンクレアチンの乳化作用と相乗的に作用し、破壊効
果を促進する。その結果、生理学的活性物質が効率よく
反すう動物の消化吸収部位に到達し、吸収されるように
調節したものである。つまり、本発明の反すう動物用飼
料添加組成物は当該天然系高分子物質の微細粉末の物
性、使用量、粒径、被覆量をコントロールすることによ
り達成されるものである。
【0023】本発明の水に接触することで膨潤する天然
系高分子物質の微細粉末とは、当該微細粉末を第1胃相
当液、或いは水に一定時間浸漬した場合に吸水膨潤し、
その重量増が30%以上となる微細粉末を言う。即ち、
所定量の当該微細粉末と不膨潤無機粉体、例えばセライ
トの同重量とを混合し、水を加え1時間撹拌した後、吸
引ろ過し、回収した混合粉体の重量を測定する。2倍量
のセライトでも同操作を行い、得られた重量を前者より
差引き、当該微細粉末の吸水による重量増とする。ま
た、ろ液中の有機炭素を測定することにより、当該微細
粉末の溶出量が求められる。この操作で、その重量の5
%以上に相当する有機炭素が第1胃相当液、或いは水に
溶出した場合は溶解性を有するものと言う。
【0024】また当該天然系高分子物質の微細粉末の使
用量については、当該天然高分子物質の微細粉末の溶解
性もしくは膨潤性及び粒径によって異なり、例えば溶解
性もしくは膨潤性が著しく速い場合は使用量が少なく、
遅い場合は逆に使用量が多くなるがその使用量の範囲は
保護物質100重量部に対して0.3〜20重量部、好
ましくは0.5〜10重量部を使用すればよい。使用量
が上記範囲以下では第4胃以降での被覆層の破壊促進が
十分でなく、目的とする溶出性が得られない。また上記
範囲以上では第1胃通過までに被覆層の破壊が促進さ
れ、溶出した生理学的活性物質が第1胃内の微生物によ
り分解され、効率よく反すう動物に消化吸収されないの
で効果的でない。
【0025】また当該天然系高分子物質の微細粉末の粒
径としては、被覆組成物の平均被覆厚さを超えなければ
よく、その平均粒径は150μm以下、好ましくは10
0μm以下である。微細粉末の平均粒径が平均被覆厚さ
を超えた場合には、微細粉末の大部分が保護被覆層を貫
通した形で存在するため、第1胃内の水分により溶解も
しくは膨潤し、第1胃通過までに被覆層の破壊と生理学
的活性物質の溶出が促進され、大部分の生理学的活性物
質が第1胃内の微生物により分解されて反すう動物に効
率よく消化吸収されない。また平均粒径を1μm以下に
微細化することは作業性、経済性に劣り好適でない。
【0026】本発明の反すう動物用飼料添加組成物おい
て、保護物質の被覆量はできるだけ少ない方が生物学的
活性物質の含有率が大きくなり望ましいが、少なすぎる
と保護性が維持できないため、生物学的活性物質を含有
する核100重量部に対し10〜200重量部、具体的
には20μm〜150μmの保護物質を被覆するのが好
ましい。
【0027】本発明の反すう動物用飼料添加組成物は、
本発明の当該天然系高分子物質の微細粉末の他、レシチ
ン、室温で液状の不飽和高級脂肪酸、油脂または脂肪酸
エステルに溶解する非イオン性界面活性剤、胆汁末から
選ばれた少なくとも1種の物質を保護物質に含有するこ
とにより、さらに効果的になる。即ち、これら物質の添
加はこれら物質の乳化作用により第4胃以降の被覆層の
破壊がさらに促進されるためである。
【0028】レシチンとしては、大豆レシチン、菜種レ
シチン等の植物性レシチンが例示される。室温で液状の
不飽和高級脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、
リノレン酸等が例示される。非イオン性界面活性剤とし
ては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エ
ステル、プロピレングリコ−ル脂肪酸エステル、ショ糖
脂肪酸エステル、ステロ−ル、スフィンゴ脂質等が例示
される。これらの使用量は保護物質100重量部に対し
て0.1〜10重量部未満を使用すればよい。
【0029】本発明の反すう動物用飼料添加組成物の保
護物質の被覆組成物は前記被覆組成物により目的を達成
することができるが、より生理学的活性物質を反すう動
物に有効利用させるために、さらに当該天然系高分子物
質の微細粉末を含有しない保護物質で被覆し、当該天然
系高分子物質の微細粉末の溶解性もしくは膨潤性を制御
して保護性及び溶出性をコントロールすることができ
る。また必要に応じて溶出促進補助剤として、無機塩、
可塑剤等の物質を被覆層に添加することは何等差し支え
ない。
【0030】無機塩としてはリン酸水素カルシウム、炭
酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、
炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム等が例示され、可塑
剤としてはプロピレングリコール等が例示される。これ
らの溶出促進補助剤は一般に被覆量全体の10数重量パ
ーセント未満である。
【0031】本発明中の反すう動物用飼料添加組成物に
おける被覆方法は特に制限はなく、通常の被覆方法、例
えば流動コ−ティング法、パンコ−ティング法、溶融コ
−ティング法、撹拌コ−ティング法、スプレ−コ−ティ
ング法等で被覆することができる。
【0032】以下に、本発明を実施例及び比較例により
更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例
に限定されることはない。
【0033】第1胃内の保護性 調製した試料約1gを、300ml三角フラスコ中に投
入し、第1胃液に相当するMc Dougall緩衝液200ml
を注入して39℃で24時間振とうした。振とう終了
後、生物学的活性物質の溶出量を分析し、第1胃内での
保護性を算出した。 保護性=組成物中の生物学的活性
物質含量−生物学的活性物質の溶出量 尚、実施例中の生物学的活性物質であるアミノ酸の溶出
量は液体クロマトグラフィ−を用いて分析した。
【0034】*Mc Dougall緩衝液:水1000ml中に
以下の試薬を溶解した緩衝液。 炭酸水素ナトリウム :7.43g リン酸2ナトリウム・12水塩:7.00g 塩化ナトリウム :0.34g 塩化カリウム :0.43g 塩化マグネシウム・6水塩 :0.10g 塩化カルシウム :0.05g
【0035】第4胃内の溶出性 保護性試験終了後、回収したサンプルを300ml三角
フラスコに投入し、次に第4胃液に相当するClark-Lubs
緩衝液200mlを注入して39℃の温度下で1時間振
とうした。振とう終了後、生物学的活性物質の溶出量を
分析し、第4胃の溶出率を算出した。
【0036】*Clark-Lubs緩衝液:1000ml中に以
下の試薬を溶解した緩衝液。 塩化カリウム:3.73g 塩酸 :2.1ml
【0037】小腸内の溶出性 第4胃内の溶出性試験終了後、回収したサンプルを30
0ml三角フラスコに投入し、小腸液に相当する緩衝液
200mlを注入して39℃の温度下で7時間振とうし
た。振とう終了後、生物学的活性物質の溶出量を分析
し、小腸の溶出率を算出した。
【0038】上記第4胃相当液中での溶出率と小腸相当
液中での溶出率の合計値を第4胃より下部の消化器官の
溶出率(以下、消化器官相当溶出率と呼ぶ)とした。
【0039】
【実施例1】L−リジン塩酸塩325g、タルク17
2.5g、カルボキシメチルセルロ−スナトリウム2.
5g、水135gをニ−ダ−に投入して混練した後、
1.5mmфの目開きのスクリ−ンを有する押しだし造
粒機を用いて円柱状の顆粒を得た。得られた顆粒を球形
化装置(マルメライザ−、不二パウダル社製)を用いて
球形に近い顆粒とした。得られた球状顆粒を流動乾燥
し、粒径1.0mm〜2.5mmのL−リジン塩酸塩含
有の核を得た。得られた核をふるいで分別し、実施例に
用いた。
【0040】溶融した硬化牛脂92重量部に75μm以
下のキサンタンガム8重量部を添加した被覆組成物を流
動コ−ティング法により平均粒径1.5mmの核100
重量部に対し、33.3重量部の割合で核に被覆した。
この粒子の被覆厚さを電子顕微鏡を用いて測定した結
果、72〜85μmであった。得られた被覆粒子につい
て上記評価試験を行った結果を表1に示した。第1胃溶
出率18%、消化器官相当溶出率69%であった。
【0041】
【表1】
【0042】
【実施例2】溶融した硬化牛脂92重量部に75μm以
下のアラビアゴム8重量部を添加した被覆組成物を、L
−リジン塩酸塩の代わりにメチオニン375gを用いた
以外は実施例1と同様に調製した平均粒径1.5mmの
核100重量部に対し、33.3重量部の割合で核に被
覆した。この被覆粒子について上記評価試験を行った結
果を表1に示した。第1胃溶出率20%、消化器官相当
溶出率71%であった。
【0043】
【実施例3】溶融した硬化牛脂93重量部に45μm以
下の澱粉グリコール酸ナトリウム7重量部を添加した被
覆組成物を、実施例1と同様に平均粒径2.0mmの核
100重量部に対し、33.3重量部の割合で核に被覆
した。この被覆粒子について上記評価試験を行った結果
を表1に示した。第1胃溶出率17%、消化器官相当溶
出率68%であった。
【0044】
【実施例4】溶融した硬化牛脂92重量部に45μm以
下の小麦グルテン3重量部、レシチン5重量部を添加し
た被覆組成物を、実施例1と同様に平均粒径1.18m
mの核100重量部に対し、33.3重量部の割合で核
に被覆した。この被覆粒子について上記評価試験を行っ
た結果を表1に示した。第1胃溶出率16%、消化器官
相当溶出率74%であった。
【0045】
【実施例5】溶融した硬化牛脂92重量部に45μm以
下のカゼインナトリウム2重量部、レシチン3重量部、
オレイン酸3重量部を添加した被覆組成物を、実施例1
と同様に平均粒径1.18mmの核100重量部に対
し、33.3重量部の割合で核に被覆した。この被覆粒
子について上記評価試験を行った結果を表1に示した。
第1胃溶出率14%、消化器官相当溶出率78%であっ
た。
【0046】
【実施例6】溶融した硬化牛脂93.75重量部に45
μm以下のキサンタンガム1重量部、グリセリンモノス
テアレート0.25重量部、レシチン5重量部を添加し
た被覆組成物を平均粒径1.8mmの核100重量部に
対し、17.6重量部の割合で核に被覆した。さらに上
記被覆粒子に溶融した硬化牛脂95重量部、レシチン5
重量部を添加した被覆組成物を核100重量部に対し、
15.7重量部の割合で被覆粒子に被覆した。この被覆
粒子について上記評価試験を行った結果を表1に示し
た。第1胃溶出率12%、消化器官相当溶出率75%で
あった。
【0047】
【実施例7】溶融した硬化牛脂93.75重量部に45
μm以下のキサンタンガム1重量部、グリセリンモノス
テアレート0.25重量部、レシチン5重量部を添加し
た被覆組成物を平均粒径1.8mmの核100重量部に
対し、17.6重量部の割合で核に被覆した。さらに上
記被覆粒子に溶融した硬化牛脂95重量部を添加した被
覆組成物を核100重量部に対し、15.7重量部の割
合で被覆粒子に被覆した。この被覆粒子について上記評
価試験を行った結果を表1に示した。第1胃溶出率9
%、消化器官相当溶出率72%であった。
【0048】
【比較例1】溶融した硬化牛脂90重量部にレシチン5
重量部、グリセリンモノステアレート5重量部を添加し
た被覆組成物を、実施例1と同様に平均粒径1.5mm
の核100重量部に対し、33.3重量部の割合で核に
被覆した。この被覆粒子について上記評価試験を行った
結果を表2に示した。第1胃溶出率84%、消化器官相
当溶出率8%であった。
【0049】
【表2】
【0050】
【比較例2】 溶融した硬化牛脂92重量部に150μ
m以上のキサンタンガム8重量部を添加した被覆組成物
を、実施例1と同様に平均粒径1.5mmの核100重
量部に対し、33.3重量部の割合で核に被覆した。こ
の被覆粒子について上記評価試験を行った結果を表2に
示した。第1胃溶出率54%、消化器官相当溶出率36
%であった。
【0051】
【比較例3】溶融した硬化牛脂99.8重量部に75μ
m以下のアラビアゴム0.2重量部を添加した被覆組成
物を、実施例1と同様に平均粒径1.5mmの核100
重量部に対し、33.3重量部の割合で核に被覆した。
この被覆粒子について上記評価試験を行った結果を表2
に示した。第1胃溶出率3%、消化器官相当溶出率3%
であった。
【0052】
【比較例4】溶融した硬化牛脂94.8重量部に75μ
m以下のキサンタンガム0.2重量部、レシチン5重量
部を添加した被覆組成物を、実施例1と同様に平均粒径
1.5mmの核100重量部に対し、33.3重量部の
割合で核に被覆した。この被覆粒子について上記評価試
験を行った結果を表2に示した。第1胃溶出率14%、
消化器官相当溶出率32%であった。
【0053】
【比較例5】溶融した硬化牛脂89.8重量部に45μ
m以下の小麦グルテン0.2重量部、炭酸カルシュウム
10重量部を添加した被覆組成物を、実施例1と同様に
平均粒径1.5mmの核100重量部に対し、33.3
重量部の割合で核に被覆した。この被覆粒子について上
記評価試験を行った結果を表2に示した。第1胃溶出率
7%、消化器官相当溶出率12%であった。
【0054】以上の結果、本発明の実施例は第1胃中で
の保護性と第4胃より下部消化器官での溶出性に優れて
いることが明かである。また、天然系高分子物質の微細
粉末とレシチン等の併用及び天然系高分子物質の微細粉
末を含有しない外層をもうけることにより保護性と溶出
性が向上していることも判る。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、生物学的活性物質
を含有する核を、硬化した植物性油脂、硬化した動物性
油脂、融点40℃以上の脂肪酸エステルよりなる群から
選ばれた少なくとも1種の物質、及び水に接触すること
で溶解もしくは膨潤する天然系高分子物質の微細粉末を
含有する被覆組成物で被覆してなることを特徴とするこ
とによって、従来の技術に比べ、第1胃中の保護性、第
4胃より下部消化器官での溶出性に優れた効果を有する
反すう動物用飼料添加組成物が得られた。本発明は、生
物学的活性物質が反すう動物に有効に吸収されることを
可能にした飼料添加物を提供するものであり、産業上の
意義は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平馬 晴雄 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内 (72)発明者 鈴木 裕美 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内 (72)発明者 池田 徹 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生物学的活性物質を含有する核を、(A)
    硬化動植物性油脂、融点40℃以上の脂肪酸エステルよ
    りなる群から選ばれた少なくとも1種の物質及び(B)
    水に接触することで溶解もしくは膨潤する天然系高分子
    物質の微細粉末を含有し、さらに(C)レシチン、室温
    で液状の不飽和高級脂肪酸、硬化動植物性油脂または脂
    肪酸エステルに溶解する非イオン性界面活性剤、胆汁末
    から選ばれた少なくとも1種の物質を含有しない或いは
    含有する被覆組成物で被覆した粒状の反すう動物用飼料
    添加組成物。
  2. 【請求項2】請求項1の反すう動物用飼料添加組成物の
    表面を上記(A)もしくは(A)及び(C)からなる被
    覆組成物で更に被覆することを特徴とする2層被覆反す
    う動物用飼料添加組成物。
  3. 【請求項3】水に接触することで溶解もしくは膨潤する
    天然系高分子物質の微細粉末の平均粒径が1.0μm〜
    150μmであり、かつ被覆組成物の平均被覆厚さを超
    えないことを特徴とする請求項1または2記載の反すう
    動物用飼料添加組成物。
  4. 【請求項4】水に接触することで溶解もしくは膨潤する
    天然系高分子物質の微細粉末が植物性蛋白、動物性蛋
    白、植物または動物または微生物由来の多糖及び多糖を
    化学修飾した糊料から選ばれる少なくとも1種からなる
    ことを特徴とする請求項1ないし3記載の反すう動物用
    飼料添加組成物。
JP5219686A 1993-09-03 1993-09-03 反すう動物用飼料添加組成物 Pending JPH0767547A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1260145A1 (en) * 2001-05-25 2002-11-27 SILA S.r.l. Microencapsulated and/or microgranulated product for animal feeding with a base of powdered milk, its derivatives and vegetable fats and intended use of this product
US8642070B2 (en) 2004-04-30 2014-02-04 Bio Science Co., Ltd. Feed additive composition for ruminants, and feed containing the same, and method of fabricating such feed additive composition for ruminants

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1260145A1 (en) * 2001-05-25 2002-11-27 SILA S.r.l. Microencapsulated and/or microgranulated product for animal feeding with a base of powdered milk, its derivatives and vegetable fats and intended use of this product
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