JPH0766475A - 炭酸ガスレーザ装置及びその運転方法 - Google Patents

炭酸ガスレーザ装置及びその運転方法

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JPH0766475A
JPH0766475A JP21650093A JP21650093A JPH0766475A JP H0766475 A JPH0766475 A JP H0766475A JP 21650093 A JP21650093 A JP 21650093A JP 21650093 A JP21650093 A JP 21650093A JP H0766475 A JPH0766475 A JP H0766475A
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laser
gas
carbon dioxide
catalyst
laser gas
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JP21650093A
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English (en)
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Masami Toshikuni
正美 歳国
Tadashi Sasaki
忠志 佐々木
Setsuo Shibata
節夫 柴田
Tsutomu Toida
努 戸井田
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JGC Corp
Original Assignee
JGC Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 炭酸ガスレーザを長期間安定して高出力で発
振させる。 【構成】 炭酸ガスレーザ発生機のレーザガス循環系1
0内に、多孔質担体に貴金属や酸化マンガン等のCO酸
化活性のある触媒を担持された触媒体3を設置し、系内
を減圧するか、系内に不活性ガスまたはCO2,N2,H
e等のレーザガスを流して触媒体3を加熱し、多孔質に
吸着した水分、および系内器壁に付着している水分を追
い出した後、所定のレーザガスを張り込むことにより、
触媒体3の水分をレーザガス循環系内に持込むことを防
止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭酸ガスレーザ装置及
びその運転方法に関し、より詳細には、炭酸ガスレーザ
装置のガス循環系内を循環するレーザガスが、レーザ発
振時に組成変化するので、その組成変化したガス成分
を、触媒を用いて元のレーザガス組成に戻すため、炭酸
ガスレーザ装置において、前記触媒に吸着した水分、又
は循環路内壁面等に予め含まれていた水分を除去する、
すなわちガス再生器を有する炭酸ガスレーザガス装置及
びその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】CO2(炭酸ガス)分子の振動や回転エ
ネルギー準位を利用した炭酸ガスレーザは遠赤外域で発
振し、高効率で高出力のレーザを連続又は高パルスで発
振する。用途は、原子力関係、例えば、ウラン同位体分
離に利用することが研究され、また、現状では、各種の
物質を局所的に加熱して切断,溶接,焼入,又は表面処
理等の加工をし、或いは医療用のレーザメス,測量,位
置決め等の多方面に実用化されている。
【0003】CO2,N2(窒素)およびHe(ヘリウ
ム)ガスからなる混合ガスをレーザガスとして高速で再
循環するレーザガス循環系中で、直流高電圧が印加され
た陽極と陰極との間にグロー放電したとき、CO2の分
子は基底状態から高位エネルギー状態にポンプされる。
十分なポンピングが行われ、しかも循環系内の損失が十
分に低ければ、主として上位順位(001)と下位順位(1
00)との間に分布反転が生じ、波長10.6μmの遠赤外
線のレーザ発振が開始される。CO2レーザは、このよ
うなレーザ発振に基づくものである。
【0004】レーザガスに含まれるHeは、CO2の下位
順位(100)から基底順位への遷移を助けてレーザの効
率を増加させるのに役立つ。N2は、励起され共鳴衝突
により、CO2分子にエネルギーを与え、CO2の上位順
位(001)へ遷移するエネルギーを与えるもので、Heと
同様にレーザの効率を増加させる作用がある。レーザガ
スは、He,N2ガスをCO2ガス中に所定割合混合した
混合ガスである。
【0005】炭酸ガスレーザ装置として実用化されてい
るものは、CW(Continuous Wave)型レーザとTEA
(Transversely Excited Atomosheric)型レーザとがあ
る。CW型レーザは、TEA型レーザに比べて出力が小
さい所で使用され、レーザガスのガス分解が少なく、長
寿命であると言われているが、1週間以上、レーザガス
の交換無しに連続運転できる状況ではない。これらの炭
酸ガスレーザでは、レーザ発生運転中に炭酸ガスが分解
してCO,O2およびNOx(窒素酸化物)が生成し、そ
の中でもO2はレーザ発生効率を低下させたり、アーク
放電により電極を破損することがあるので、レーザガス
を長時間に亘ってリサイクルして使用することには制限
があった。
【0006】また、上記レーザガス中にはレーザガス封
入時またはレーザガスを冷却する冷却器等の管壁を通っ
て水蒸気(H2O)が含まれることがあり、完全に除去
することは困難である。しかし、H2Oは、CO2の上位
順位(001)を直接に基底状態に緩和させ、10.6μm
帯の反転分布密度を下げるマイナス効果もあり、特に、
Heを含むレーザガス中にH2Oが含まれると、レーザ発
振効率を低下させるので、レーザガス中へのH2Oの混
入濃度を極力小さくするようにしている。レーザ発振の
効率を下げずに安定に運転するためには、レーザガス中
に含まれるH2Oを除去すること、およびCO2が分離し
て生成されるCOとO2又はNOxを元のレーザガス組成
に戻すことが必要であり、従来多くの提案がなされてい
る。これらの中で、下記従来例〜について述べる。
【0007】従来例:特開昭60−60793号公報
による「ガスレーザ装置」には、レーザガス循環ライン
にモレキュラーシーブの如き乾燥剤を備えて系内に存在
する水分を除去し、レーザガス中の到達露点を−30℃
〜−70℃に保って動作させるレーザ発生装置が開示さ
れる。
【0008】従来例:特開昭60−3169号公報に
よる「ガスレーザ発振器」には、レーザガス循環ライン
中に配設された乾燥剤を簡単に交換できる構造の箱体を
有するガスレーザ発振器が開示されている。また、本出
願人は、レーザガス再生方法に関し、下記従来例,
を提案している。
【0009】従来例:特開平3−84980号公報に
よる「炭酸ガスレーザ用のガスを再生する方法および装
置」において、レーザガスを予熱した後、生成されたC
OとO2を触媒上で接触反応させ、元のCO2に戻すガス
再生方法が開示されている。
【0010】従来例:特開平4−286171号公報
による「炭酸ガスレーザ用のガスを再生する方法および
装置」において、CO,O2を再結合させて元のCO2
戻し、NOxを還元してN2に戻すために、レーザガス循
環系に触媒を設置させたもので、必要に応じて反応温度
を調整するガス加熱装置を備えている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】(1)上記従来例,
は、レーザガス中の水分(H2O)がレーザ発生効率
を低下させることを述べ、H2Oの混入源として、ガス
を冷却する熱交換器より壁を透過するものと、器壁に吸
着しているH2Oがあるとしている。理由は不明である
が、継続的にH2Oがレーザガス循環系内に浸入するた
めに、乾燥剤の寿命が短かく、短時間で交換が必要にな
る。従来例は、乾燥剤の交換を容易にする提案であ
る。また、H2Oを取りすぎると、電極の損傷が大きく
なり、電流密度を上げることができない。このため、露
点を−70℃以下にしないよう、乾燥剤に適当な水分を
添加することが述べられている。 (2)従来例,は、レーザガス中のCO2が分解して
レーザガス循環系内に蓄積されるCO,O2,NOxを減
少させ、レーザ発生効率の低下を抑えるものであるが、
水分の除去については述べていない。 (3)従来例ととにより、レーザガス中のH2Oを
所定露点範囲内に制限して、従来例とを組合せてCO
2分解を抑えることを試みたが、レーザガスの寿命は2
〜3日であり、不満足なものであった。 (4)従来例,およびを組合せて、レーザガス中
の水分を取り除き、且つCO,O2,NOxを再結合して
元のレーザガスCO2とN2に戻すことにより、レーザ発
生効率の低下を抑えることが可能となる。しかし、この
ためには、どのようにすればよいか、又はどのような問
題があるかは、従来例,,では提示されていない。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、(1)炭酸ガスレーザ装置の循環系内に
収容されたCO2,N2,He等の組成からなるレーザガス
を前記循環系内で循環させる送風手段と、前記循環系内
に配設され、前記炭酸ガスレーザ装置の放電運転により
前記レーザガスが一部分解反応して生成されたCO,O
2およびNOxを前記レーザガスの組成に戻す触媒体とか
らなるレーザガス再生型の炭酸ガスレーザ装置におい
て、前記触媒体又はレーザガスを加熱するレーザガス再
生器を有すること、更には、(2)前記(1)におい
て、前記レーザガス再生器は、電気抵抗線と、該電気抵
抗線を被覆し、該電気抵抗線と前記触媒体又はレーザガ
スとを絶縁する耐熱絶縁体と、該耐熱絶縁体の外周を被
覆する金属,ガラス又はセラミックスとから構成したこ
と、更には、(3)前記(1)において、前記レーザガ
ス再生器は、加熱体と、該加熱体上面に塗布された多孔
質体と、該多孔質体に担持された触媒とからなること、
更には、(4)前記(1)において、前記触媒体を、ア
ルミナ基板上に貴金属薄膜を形成した貴金属/アルミナ
又はシリカ・アルミナ基板上に貴金属薄膜を形成した貴
金属/シリカ・アルミナ、又は、ポプカライト等の金属
酸化物としたこと、或いは、(5)炭酸ガスレーザ装置
のレーザガス循環系内に触媒体を新規に装填して運転を
開始する時に、前記循環系内を真空にし、あるいは不活
性ガス、またはレーザガスを供給して前記触媒体及び/
又は前記不活性ガスまたはレーザガスを加熱すること、
或いは、(6)炭酸ガスレーザ装置の運転中は、レーザ
発生にともない温度上昇したレーザガスを触媒体に通
し、温度上昇したレーザガスを熱源として再生反応を行
い、触媒体加熱ヒータを使用しないこと、或いは、
(7)触媒活性が低下したと判断されたとき、レーザガ
ス循環量を少なくして、触媒体加熱用ヒータに電気を流
し、触媒体を150℃以上、好ましくは200℃以上に
加熱して、触媒体に吸着蓄積し通常運転時には反応しな
い物質を反応させること、更には、(8)前記(1)に
おいて、触媒体が水分を吸着する可能性のある操作をし
た場合、継続使用する時でも、前記レーザガス循環系内
を真空にする真空吸引あるいは不活性ガスまたはレーザ
ガスを供給して、触媒体および前記不活性ガスまたはレ
ーザガスを加熱し、触媒体およびレーザ発生装置器壁内
面に吸着して水分を除去する触媒体及びガス加熱を行う
ことを特徴とするものである。
【0013】
【作用】炭酸ガスレーザ装置のレーザガス循環系内に、
多孔質担体に貴金属,酸化マンガン等のCO酸化活性の
ある触媒を担持させた触媒体を設置し、レーザガス循環
系内を減圧するか、不活性ガスまたはレーザ用ガス(C
2,N2,He,CO)を流して、触媒体を加熱し、多
孔質である触媒担持体に吸着した水分、及びレーザガス
循環系内器壁に付着している水分を追い出した後、所定
のレーザガスを張り込むことにより、触媒によるレーザ
ガス循環系内への水分持込みを防止する。また、触媒体
自身を発熱体にすることにより、触媒からの水分除去を
容易にする。
【0014】
【実施例】図1は、本発明による炭酸ガスレーザガス再
生器を有する炭酸ガスレーザ装置の一例を説明するため
の構成図であり、図中、1は電極・放電部、2はガス予
熱器、3は触媒体、4はガス冷却器、5はガス循環ブロ
ア、6は触媒体加熱用ヒータ、7,8はガス補給または
抜出口、9は乾燥器、10はレーザガス循環系である。
【0015】図1に示すように、レーザガス循環系10
内には、陽極と陰極とからなる炭酸ガスレーザを発振す
る電極・放電部1内にCO2,H2およびHe,更にはC
2の分解を抑制する効果を与えるCOからなるレーザ
ガスが高速度で再循環している。電極放電部1を通過し
た上記レーザガスは、ガス予熱器2で200℃以上に加
熱され、触媒体3を通過後、ガス冷却器4で冷却され
る。冷却されたレーザガスは、ガス循環ブロア5により
上述のレーザガス循環系10内を循環する。
【0016】また、触媒体3には、触媒体加熱用ヒータ
6が配設され、レーザガス循環系10には、ガス補給ま
たは抜出口7a,8aを有するガス補給または抜出管
7,8を介して乾燥器9がバイパスして取り付けられて
いる。
【0017】レーザガス循環系10内のレーザガスに多
量の、例えば50ppm以上のNOxが発生すると温度が2
00℃以下の反応では触媒体3の活性が数時間で低下す
る。このため、NOx等を多量に含む劣化ガスは、ガス
予熱器2を用いて200℃以上に加熱してから触媒体3
に送られ、反応させる。なお、ガス予熱器2がある場合
は、レーザガスの流れによって触媒体3の温度は200
℃以上に上がるので、触媒体3に含まれる水分を除去で
きる。この場合は、触媒体加熱用ヒータ6を省くことが
できる。
【0018】レーザガス中にNOxが無いか、少量しか
発生していない場合は、触媒体3を設けないか、設けて
も通常運転中には使用せず、レーザ発生運転にともない
昇温される温度(200℃以下)で再生反応を行う。触
媒体3の活性が低下したり、新規に触媒を装着したり、
運転後装置を開放して触媒体3が空気中の水分を吸着し
た可能性のある場合等、触媒体3の温度を上げて触媒体
3に吸着した水分を除去しなければならない。この必要
が生じたとき、ガスを流しながらガス予熱器3または触
媒体加熱用ヒータ6によって触媒体3を加熱して、活性
劣化原因物質を脱離/反応させ、また、水分を追い出
し、また、レーザガス循環系10外に排出する。また、
レーザガス循環系10内を真空に引きながら、触媒体加
熱用ヒータ6によって触媒体3を加熱して、触媒に吸着
した劣化原因物質または/及び水分を追い出すことがで
きる。
【0019】また、前処理時にレーザガスを循環しなが
ら、レーザガス循環系10内の水分を除去する場合は、
レーザガスをレーザガス循環系10にバイパスする乾燥
器9を通過させる。
【0020】触媒体3又はレーザガスを加熱するガス予
熱器2は、電気抵抗線を加熱体とするものである。この
ため、電気抵抗線は、触媒体3とレーザガスとに高温状
態で接触するので、絶縁抵抗が低下し、漏電の危険があ
る。このため、電気抵抗線はポリイミド樹脂やセラミッ
クス等の耐熱絶縁体で被覆され、更に熱伝導率を低下さ
せないため、電気抵抗線を耐熱絶縁体で被覆した外部を
金属またはガラスやセラミックスで被覆される。
【0021】また、図1において、ガス予熱器2と触媒
体3とは分離して図示したが、これを一体に形成するこ
とも可能である。例えば、Al23(アルミナ)やAlN
(窒化アルミニウム)の基板上にPt−Pd(白金−パラ
ジウム)ペーストをパターン印刷して焼き付けて抵抗体
を形成し加熱体とし、この加熱体上に、セラミックス等
の多孔物質をコーティングし、更に、多孔質セラミック
ス上にPt,Pd,Rh(ロジウム)等触媒充填層を担持
させることにより、ガス予熱器2と触媒体3とを一体に
することができる。
【0022】なお、触媒体3としては、Al23の基板
上に上記Pt,Pd,Rh等の貴金属を担持させたもの、
又はSiO2(シリカ)とAl23の基板上に前記貴金属
を担持させたもの、或いはポプカライト等の金属酸化物
が用いられる。次に、本発明による炭酸ガスレーザ装置
を運転した実施例を、従来例と比較するため、参考例に
基づいて説明する。
【0023】図2は、炭酸ガスレーザ発生率の変化状況
を示す図であり、横軸に運転時間(min)、縦軸にレー
ザ出力相対比が示されている。
【0024】参考例−1 図2−曲線Aは、CW型炭酸ガスレーザ装置のレーザガ
ス循環系内の圧力を10-6torrまで減圧にしてから、レ
ーザガスCO2,N2,Heの混合ガスを60torrの圧力
で封入し、レーザ発振したときの特性曲線で、図−1A
に示すように運転時間の経過に従って、出力低下が大き
いことが判る。
【0025】参考例−2 図2−曲線Bは、参考例−1のレーザガス循環系内に乾
燥剤としてモレキュラシーブ100gを設置したときの
特性曲線で、運転時間の経過と出力の変化は、水分除去
効果があることは明らかであり、参考例−1の曲線Aに
較べると出力の低下が少なくなっているが、継続的な出
力低下が認められる。
【0026】参考例−3 図2−曲線Cは、参考例−1のレーザガス循環系内に触
媒1L(リッタ)を装填し、触媒体を加熱せず、参考例
−1と同様にレーザ発振を行ったところ、運転開始直後
出力低下は大きいが、その後、安定した出力が得られ
た。レーザ発振を停止し、ガス循環を継続して30分後
に再びレーザ発振を再開すると、図−2Cの経時変化に
示すように、出力は初期値に復帰した。
【0027】実施例−1 図2−曲線Dは、本発明に係る実施例による特性曲線
で、上記参考例−3において、レーザガス循環系内のガ
スを減圧にして残留ガスを排出するとき、触媒体を15
0℃に加熱したときの曲特性を示すものである。その他
の運転操作は、参考例−3と同試験をしたものである。
運転開始直後の出力低下は小さく、その後、出力低下は
殆ど見られず、高効率を維持できることが判った。レー
ザ発振停止後、再び運転を開始した時の傾向も同じであ
った。
【0028】参考例−4 図2−Eの特性曲線は、レーザガス循環ラインの冷却器
後流に、乾燥剤(モレキュラシーブ)100gを装填
し、参考例−3と同様の試験結果を示したもので、この
結果、上記実施例−1とほぼ同じ傾向が得られた。
【0029】実施例−2 実施例2は、実施例−1と同様に処置した後、レーザ出
力を倍に上げて試験をしたときのレーザ出力相対比の運
転時間経過を図3に基づいて説明する。
【0030】図3は、本発明による実施例2を説明する
ための触媒体加熱の効果を示す図であり、横軸に運転時
間、縦軸にレーザ出力相対比を示す。
【0031】(1)曲線Aは、試験開始直後の特性を示
すもので、時間経過とともに出力が低下した。この低下
した時のガス組成を分析したところ、約10ppmほどの
NOx生成がみられた。この出力は時間経過とともに僅
かずつではあるが低下する傾向がみられた。これは、チ
ャンバー内のNOx濃度が増加する傾向と反比例するこ
とが判った。即ち、反応温度が低いため、NOxが触媒
活性点に吸着し、活性を劣化させたものと考えられる。 (2)曲線Bは、曲線Aに示したレーザ発振を停止し、
レーザガス循環を30分継続した後、レーザ発振を再開
したときの特性を示すもので、レーザ出力は多少回復し
たが、直ちに運転停止前の出力まで低下した。
【0032】(3)曲線Cは、曲線Bによるレーザ発振
を停止してから触媒加熱器で触媒層を200℃に加熱し
て、30分間レーザガスを循環した後、加熱を止め、ガ
ス循環を継続して触媒体を冷却し、レーザガス循環系内
の温度を室温まで下げた後、レーザ発振を再開したとき
の特性を示す曲線で、初期のレーザ出力の位置に戻り、
その後、初期の曲線Aと同じ出力低下傾向を示した。 (4)曲線Dは、触媒体の温度を200℃にした状態で
レーザ発振したときの特性を示すもので、図2の特性曲
線Dと同じ傾向を示した。以上に説明した参考例1〜4
および実施例1,2とから、下記の推定がなされる。
【0033】(1)レーザガス循環系内に挿入される乾
燥剤のみの水分除去対策では、出力低下を抑えきれずに
継続的な出力低下があり、触媒再生では、継続的な劣化
が抑えられることから、低出力運転を行ってもCO2
分解が起きることが推定される。しかし、NOxの生成
量が少ないために、短時間では触媒体の触媒活性の低下
が見られない。 (2)レーザ発振出力を大きくすると、触媒体を再生し
ても出力低下が継続的に起きるが、触媒体温度を上げる
と活性が元に戻ることから、単にCO,O2が発生して
いるだけでなく、NOxの如き反応阻害物質が低温で吸
着するためと考えている。
【0034】(3)触媒体再生運転時の初期におけるレ
ーザ出力低下は、レーザ発振により温度が上昇し、水分
が系内器壁,触媒体等から気相に蒸発するためと考えて
いる。一旦レーザ発振を中断し、レーザガス循環系内の
温度が低下すると、再び水分が器壁,触媒体等に吸着
し、運転再開時には初期の出力に戻るものと考えてい
る。 (4)触媒体を加熱・減圧して水分を追い出した場合
と、加熱しないで減圧だけで水分を除去した場合のレー
ザ発振出力の相異は、単に水分蒸発量の違いによるもの
と考えられる。 (5)以上の結果から、初期の水分除去を行えば、継続
的に水分の増加が無いために、安定した性能が得られる
ことが判明した。
【0035】
【効果】以上の説明から明らかなように、CW型炭酸ガ
スレーザにおいて、触媒体によるガス再生実験を行った
結果、 (1)触媒体だけでレーザガスの再生を行っても、レー
ザガス循環系内水分が多いと、レーザ発生効率が低い。 (2)乾燥剤をレーザガス循環系内に挿入して水分を除
去し、露点を調整したというだけでは、CO2の分解に
よってCO,O2が発生してレーザ発生効率が低下す
る。 (3)レーザガス中にCOを添加して、乾燥剤を設置し
ても、無触媒では生成したO2とCOとの反応が促進さ
れないため、レーザ発生効率が低下することが判明し
た。 以上の結果に対して、本発明によると、触媒の担体が多
孔質で、乾燥剤の働きをすることに着目し、触媒体を予
め乾燥処理・活性化処理をして、レーザ発生器のレーザ
ガス循環系内に設置したところ、露点が低くなっても電
極の損傷が少なく、レーザ発生効率の低下が殆んどなく
なり、長期間安定した高出力のレーザ発振が可能となっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による炭酸ガスレーザガス再生器を有
する炭酸ガスレーザ装置の一例を説明するための構成図
である。
【図2】 炭酸ガスレーザ発生率の変化状況を示す図で
ある。
【図3】 本発明による実施例2を説明するための触媒
体加熱の効果を示す図である。
【符号の説明】
1…電極・放電部、2…ガス予熱器、3…触媒体、4…
ガス冷却器、5…ガス循環ブロア、6…触媒加熱用ヒー
タ、7,8…ガス補給または抜出口、9…乾燥器、10
…レーザガス循環系。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸井田 努 茨城県東茨城郡大洗町成田町2205 日揮株 式会社大洗原子力技術開発センター内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭酸ガスレーザ装置の循環系内に収容さ
    れたCO2,N2,He等の組成からなるレーザガスを前記
    循環系内で循環させる送風手段と、前記循環系内に配設
    され、前記炭酸ガスレーザ装置の放電運転により前記レ
    ーザガスが一部分解反応して生成されたCO,O2およ
    びNOxを前記レーザガスの組成に戻す触媒体とからな
    るレーザガス再生型の炭酸ガスレーザ装置において、前
    記触媒体又はレーザガスを加熱するレーザガス再生器を
    有することを特徴とする炭酸ガスレーザ装置。
  2. 【請求項2】 前記レーザガス再生器は、電気抵抗線
    と、該電気抵抗線を被覆し、該電気抵抗線と前記触媒体
    又はレーザガスとを絶縁する耐熱絶縁体と、該耐熱絶縁
    体の外周を被覆する金属,ガラス又はセラミックスとか
    ら構成したことを特徴とする請求項1記載の炭酸ガスレ
    ーザ装置。
  3. 【請求項3】 前記レーザガス再生器は、加熱体と、該
    加熱体上面に塗布された多孔質体と、該多孔質体に担持
    された触媒とからなることを特徴とする請求項1記載の
    炭酸ガスレーザ装置。
  4. 【請求項4】 前記触媒体を、アルミナ基板上に貴金属
    薄膜を形成した貴金属/アルミナ又はシリカ・アルミナ
    基板上に貴金属薄膜を形成した貴金属/シリカ・アルミ
    ナ、又は、ポプカライト等の金属酸化物としたことを特
    徴とする請求項1記載の炭酸ガスレーザ装置。
  5. 【請求項5】 炭酸ガスレーザ装置のレーザガス循環系
    内に触媒体を新規に装填して運転を開始する時に、前記
    循環系内を真空にし、あるいは不活性ガス、またはレー
    ザガスを供給して前記触媒体及び/又は前記不活性ガス
    またはレーザガスを加熱することを特徴とする炭酸ガス
    レーザ装置の運転方法。
  6. 【請求項6】 炭酸ガスレーザ装置の運転中は、レーザ
    発生にともない温度上昇したレーザガスを触媒体に通
    し、温度上昇したレーザガスを熱源として再生反応を行
    い、触媒体加熱ヒータを使用しないことを特徴とする請
    求項5記載の炭酸ガスレーザ装置の運転方法。
  7. 【請求項7】 触媒活性が低下したと判断されたとき、
    レーザガス循環量を少なくして、触媒体加熱用ヒータに
    電気を流し、触媒体を150℃以上、好ましくは200
    ℃以上に加熱して、触媒体に吸着蓄積し通常運転時には
    反応しない物質を反応させることを特徴とする炭酸ガス
    レーザ装置の運転方法。
  8. 【請求項8】 触媒体が水分を吸着する可能性のある操
    作をした場合、継続使用する時でも、前記レーザガス循
    環系内を真空にする真空吸引あるいは不活性ガスまたは
    レーザガスを供給して、触媒体および前記不活性ガスま
    たはレーザガスを加熱し、触媒体およびレーザ発生装置
    器壁内面に吸着して水分を除去する触媒体及びガス加熱
    を行うことを特徴とする請求項1記載の炭酸ガスレーザ
    装置の運転方法。
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