JPH0765703A - 電子放出素子およびその製造方法 - Google Patents

電子放出素子およびその製造方法

Info

Publication number
JPH0765703A
JPH0765703A JP23596493A JP23596493A JPH0765703A JP H0765703 A JPH0765703 A JP H0765703A JP 23596493 A JP23596493 A JP 23596493A JP 23596493 A JP23596493 A JP 23596493A JP H0765703 A JPH0765703 A JP H0765703A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron
thin film
insulating substrate
electrodes
electron emission
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP23596493A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3147267B2 (ja
Inventor
Masahiro Okuda
昌宏 奥田
Hideyuki Sugioka
秀行 杉岡
Akira Asai
朗 浅井
Masanori Mitome
正則 三留
Shigeki Matsutani
茂樹 松谷
Yoshiyuki Osada
芳幸 長田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP23596493A priority Critical patent/JP3147267B2/ja
Publication of JPH0765703A publication Critical patent/JPH0765703A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3147267B2 publication Critical patent/JP3147267B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 素子の温度上昇が小さく、電子放出の素子間
のバラツキが小さく、電子放出の効率が良好な電子放出
素子及びその製造方法を提供する。 【構成】 絶縁性基板上の一対の電極間に導電性膜を有
し、該導電性膜に高抵抗状態の亀裂部が少なくとも1箇
所以上存在する電子放出素子において、前記導電性膜の
亀裂部の部分の絶縁性基板に溝部が形成されている電子
放出素子。絶縁性基板上の一対の電極間に導電性膜を形
成し、通電加熱して導電性膜に亀裂部を少なくとも1箇
所以上形成した後、前記導電性膜をマスクとしてエッチ
ングを行ない亀裂部の部分の絶縁性基板に溝部を形成す
る電子放出素子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子放出素子、および簡
単な製法で高効率に電子を放出できる電子放出素子の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子としては、熱電子源
と冷陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源
には電界放出型(FE)、金属/絶縁層/金属型(以
下、MIMと略す)や表面伝導型電子放出素子(SC
E)等がある。
【0003】電界放出型(FE)の例としては、W.
P.Dyke&W.W.Dolan,“Field e
mission”,Advance in Elect
ronPhysics、8、89(1956)および
C.A.Spindt、“Physical prop
erties of thin film−field
emission cathodes with mo
lybdenum cones”、J.Appl.Ph
ys.、47、5248(1976)等が知られてい
る。
【0004】MIM型の例としては、C.A.Mea
d、“The tunnel−emission am
plifier、J.Appl.Phys.、32、6
46(1961)等が知られている。
【0005】SCE型の例としては、M.I.Elin
son、Radio Eng. Electron P
ys.、10(1965)等がある。SCEは基板上に
形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すこ
とにより、電子放出が生ずる現象を利用するものであ
る。
【0006】この表面伝導型電子放出素子(SCE)と
しては、前記エリンソン等によるSnO2 薄膜を用いた
もの、Au薄膜によるもの[G.Dittmer:“T
hin Solid Films”、9、317(19
72)]、In23 /SnO2 薄膜によるもの[M.
Hartwell and C.G.Fonstad:
“IEEE Trans.ED Conf.”、519
(1975)]、カーボン薄膜によるもの[荒木久
他:真空、第26巻、第1号、22頁(1983)]等
が報告されている。
【0007】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な素子構成として前述のM.ハートウェルの素子構成を
図6に示す。図6(a)は素子の平面図、図6(b)は
AA線断面図である。同図において1は絶縁性基板であ
る。電子放出部形成用薄膜4は、スパッタで形成された
H型形状の金属酸化物薄膜等からなり、後述のフォーミ
ングと呼ばれる通電処理により電子放出部5が形成され
る。4は電子放出部を含む薄膜である。
【0008】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に電子放出部形成薄膜4を
予めフォーミングと呼ばれる通電処理によって電子放出
部5を形成するのが一般的であった。即ち、フォーミン
グとは、前記電子放出部形成用薄膜4の両端に電圧を印
加通電し、電子放出部形成用薄膜を局所的に破壊、変形
もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした電子
放出部5を形成することである。尚、電子放出部5は電
子放出部形成用薄膜4の一部に亀裂が発生し、その亀裂
付近から電子放出が行なわれる場合もある。以下、フォ
ーミングにより発生した電子放出部を含む電子放出部形
成用薄膜を電子放出部を含む薄膜4と呼ぶ。
【0009】前記フォーミング処理をした表面伝導型電
子放出素子は上述の電子放出部を含む薄膜4に電圧を印
加し、素子表面に電流を流すことにより、上述の電子放
出部5より電子を放出せしめるものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
様な従来の表面伝導型電子放出素子において、実用化、
特に、表示装置に対する実用化を妨げている問題点とし
て、下記の理由を挙げることができる。
【0011】1)電子放出が行われている状態において
も、素子を流れる電流はその一部が絶縁性基板1内を流
れるのでジュール熱の発生要因となっている可能性があ
る。 2)絶縁性基板1内を流れる電流は、絶縁性基板1内や
絶縁性基板1上に付着した不純物等に大きく影響を受け
るので素子間のバラツキが大きくなってしまう。 3)電子放出の効率があまり良くない。これは基板1内
を経由して流れる電流が大きいことによる可能性が1つ
の要因として考えられる。 以上のような問題点があるため、表面伝導型電子放出素
子は、素子構造が簡単であるという利点があるにもかか
わらず、産業上積極的に応用されるには至っていなかっ
た。
【0012】本発明は、この様な従来技術の問題点を解
決するためになされたものであり、電子放出が行われて
いる状態においても素子の温度上昇が小さく、電子放出
の素子間のバラツキが小さく、電子放出の効率が良好な
電子放出素子およびその製造方法を提供することを目的
とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、絶縁性
基板上の一対の電極間に導電性膜を有し、該導電性膜に
高抵抗状態の亀裂部が少なくとも1箇所以上存在する電
子放出素子において、前記導電性膜の亀裂部の部分の絶
縁性基板に溝部が形成されていることを特徴とする電子
放出素子である。
【0014】また、本発明は、絶縁性基板上の一対の電
極間に導電性膜を形成し、通電加熱して導電性膜に亀裂
部を少なくとも1箇所以上形成した後、前記導電性膜を
マスクとしてエッチングを行ない亀裂部の部分の絶縁性
基板に溝部を形成することを特徴とする電子放出素子の
製造方法である。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者
らは、上記問題点を鑑みて検討した結果、素子の電子放
出の際における絶縁性基板の影響を極力取り除くため
に、導電性薄膜あるいは微粒子の島状膜からなる導電性
膜からなる不連続状態膜を保持している絶縁性基板にお
いて、前記導電性膜の不連続部の位置の基板に溝部を形
状した構造の電子放出素子を見出した。
【0016】この新規な本発明に関わる電子放出素子の
基本的な構成と製造方法および特性について概説する。
図1は本発明にかかわる基本的な電子放出素子の構成を
示す構成図である。図1(a)は素子の平面図、図1
(b)はBB線断面図である。同図において、1は絶縁
性基板、2及び3は素子電極、4は電子放出材料で形成
される薄膜、5は電子放出部である。6は絶縁性基板に
加工された溝部を示す。
【0017】本発明における電子放出部を含む薄膜4の
うち電子放出部5としては粒径が数十Åの導電性微粒子
からなり、電子放出部5以外の電子放出部を含む薄膜4
は微粒子膜からなる。なお、ここで述べる微粒子膜と
は、複数の微粒子が集合した膜であり、その微細構造と
して、微粒子が個々に分散配置した状態のみならず、微
粒子が互いに隣接、あるいは重なり合った状態(島状も
含む)の膜をさす。またこれとは別に電子放出部を含む
薄膜4は、導電性微粒子が分散されたカーボン薄膜等の
場合がある。
【0018】電子放出部を含む薄膜4の具体例を挙げる
ならばPd,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,C
r,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属、Pd
O,SnO2 ,In23 ,PbO,Sb23 等の酸
化物、HfB2 ,ZrB2 ,LaB6 ,CeB6 ,YB
4 ,GdB4 等の硼化物、TiC,ZrC,HfC,T
aC,SiC,WC等の炭化物、TiN,ZrN,Hf
N等の窒化物、Si,Ge等の半導体、カーボン、Ag
Mg,NiCu,Pb,Sn等である。
【0019】そして、電子放出部を含む薄膜4は真空蒸
着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布法、デ
ィッピング法、スピナー法等によって形成される。
【0020】次に、本発明の電子放出素子の製造方法に
ついて説明する。本発明の電子放出部5を有する電子放
出素子の製造方法としては様々な方法があるが、その一
例の製造工程図を図2に示す。4は電子放出部形成用薄
膜で例えば微粒子膜が挙げられる。
【0021】以下、順をおって製造方法の説明を図2及
び第3図に基づいて説明する。 1)絶縁性基板1を洗剤、純水および有機溶剤により十
分に洗浄後、真空蒸着技術、フォトリソグラフィー技術
により絶縁性基板1の面上に素子電極2,3を形成する
(図2(a)参照)。素子電極の材料としては導電性を
有するものてあればどのようなものであっても構わない
が、例えばニッケル金属が挙げられ、素子電極間隔L1
は2μm、素子電極長さW1は300μm、素子電極
2,3の膜厚dは1000Åである。
【0022】2)絶縁性基板1上に設けられた素子電極
2と素子電極3との間に、素子電極2,3に掛かる様に
有機金属溶液を塗布して放置することにより、有機金属
薄膜を形成する。なお、有機金属溶液とは、前記Pd,
Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Z
n,Sn,Ta,W,Pd等の金属を主元素とする有機
化合物の溶液が用いられる。
【0023】この後、有機金属薄膜を加熱焼成処理し、
リフトオフ、エッチング等によりパターニングし、電子
放出部形成用薄膜4を形成する。(図2(b)参照)
【0024】3)つづいて、フォーミングと呼ばれる通
電処理を素子電極2,3間に電圧を不図示の電源により
印加し施すと、電子放出部形成用薄膜4の部位に構造の
変化した電子放出部5が形成される(図2(C)参
照)。この通電処理により電子放出部形成用薄膜4を局
所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、構造の変化した
部位を電子放出部5と呼ぶ。先に説明したように、電子
放出部5は金属微粒子で構成されていることを本出願人
らは観察している。
【0025】4)上記のような方法によって形成された
電子放出部5は薄膜4の一部に亀裂を有し、かつ亀裂内
が金属微粒子で構成された不連続状態となっている。さ
らにこの後に、前記電子放出部形成用薄膜4の島構造を
マスクとしてドライ・エッチング・プロセスまたはウエ
ット・エッチング・プロセス等により電子放出部5の部
分の絶縁性基板1を取り除くことによって溝部6を形成
して本発明の電子放出素子が作製される(図2(d)参
照)。
【0026】上述のような素子構成と製造方法によって
作成された本発明にかかわる電子放出素子の基本特性に
ついて図3、図4を用いて説明する。
【0027】図3は、図2で示した構成を有する電子放
出素子の電子放出特性を測定するための測定評価装置の
概略構成図である。図3において、1は絶縁性基板、2
及び3は素子電極、13は第1の薄膜、4は第2の薄
膜、5は電子放出部を示す。また、8は素子に電子電圧
Vfを印加するための電源、9は素子電極2,3間の電
子放出部を含む薄膜13,4を流れる素子電流Ifを測
定するための電流計、10は素子の電子放出部より放出
される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極、1
1はアノード電極10に電圧を印加するための高圧電
源、12は素子の電子放出部5より放出される放出電流
Ieを測定するための電流計である。
【0028】電子放出素子の上記素子電流If、放出電
流Ieの測定にあたっては、素子電極2,3に電源8と
電流計9とを接続し、該電子放出素子の上方に電源11
と電流計12とを接続したアノード電極10を配置して
いる。また、本電子放出素子及びアノード電極10は真
空装置内に設置され、その真空装置には不図示の排気ポ
ンプ及び真空計等の真空装置に必要な機器が具備されて
おり、所望の真空下で本素子の測定評価を行なえるよう
になっている。なお、アノード電極の電圧は1kV〜1
0kV、アノード電極と電子放出素子との距離は3mm
〜8mmの範囲で測定した。
【0029】図3に示した測定評価装置により測定され
た放出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfの関
係の典型的な例を図4に示す。なお、図4は任意単位で
示されており、放出電流Ieは素子電流Ifのおおよそ
1000分の1程度である。
【0030】図4からも明らかなように、本電子放出素
子は放出電流Ieに対する三つの特性を有する。まず第
一に、本素子はある電圧(しきい値電圧と呼ぶ、図4中
のVth)以上の素子電圧を印加すると急激に放出電流
Ieが増加し、一方しきい値電圧Vth以下では放出電
流Ieがほとんど検出されない。すなわち、放出電流I
eに対する明確なしきい値電圧Vthを持った非線形素
子である。
【0031】第二に、放出電流Ieが素子電圧Vfに依
存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御でき
る。第三に、アノード電極10に捕捉される放出電荷
は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。すなわ
ち、アノード電極10に捕捉される電荷量は、電子電圧
Vfを印加する時間により制御できる。以上のような特
性を有するため、本発明にかかわる電子放出素子は、多
方面への応用が期待できる。
【0032】また、素子電流Ifは素子電圧Vfに対し
て単調増加する(MI)特性の例を図4に示したが、こ
の他にも、素子電流Ifが素子電圧Vfに対して電圧制
御型負性抵抗(VCNR)特性を示す場合もある。なお
この場合も、本電子放出素子は上述した三つの特性を有
する。
【0033】なお、あらかじめ導電性微粒子を分散して
構成した表面伝導型電子放出素子においては、前記本発
明の基本的な素子構成の基本的な製造方法のうち一部を
変更しても構成できる。また、本発明者らが米国特許第
5066883号で技術開示したように、基板上の段差
の上下に素子電極を設け、該電極間に電子放出部を含む
薄膜を配置した垂直型表面伝導型電子放出素子において
も同様な特性を得ることができる。
【0034】
【作用】以上説明した本発明の電子放出素子において
は、素子で発生するジュール熱を少なくでき、その結果
素子の信頼性を向上することができる。さらに、素子間
のばらつきを抑さえ、電子放出の効率を上げることがで
きる。したがって、本発明の電子放出素子を多数個並べ
てパネル化し、表示素子の電子源として用いた場合に、
この表示装置の画像の均一性、表示装置の消費電力、信
頼性の向上に大きな効果が期待できる。
【0035】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。
【0036】実施例1 本実施例の電子放出素子として図1に示すタイプの電子
放出素子を作成した。図1(a)は本素子の平面図を、
図1(b)は断面図を示している。また、図1(a),
(b)中の1は絶縁性基板、2および3は素子に電圧を
印加するための素子電極、4は電子放出部を含む薄膜、
5は電子放出部を示す。なお、図中のL1は素子電極2
と素子電極3の素子電極間隔、W1は素子電極の幅、d
は素子電極の厚さ、W2は第1の導電性薄膜の幅を表し
ている。
【0037】図2を用いて、本実施例の電子放出素子の
作成方法を述べる。 1)絶縁性基板1として石英基板を用い、これを有機溶
剤により充分に洗浄後、該絶縁性基板1面上に、Niか
らなる素子電極2,3を形成した(図2(a))。この
時、素子電極間隔L1は3μmとし、素子電極の幅W1
を500μm、その厚さdを1000Åとした。
【0038】2)次に、素子電極2,3の間に有機パラ
ジウム(奥野製薬(株)製、ccp−4230)含有溶
液を塗布した後、300℃で10分間の加熱処理をし
て、酸化パラジウム(PdO)微粒子(粒径:8〜12
0Å、平均粒径:70Å)からなる微粒子膜を形成し、
電子放出部形成用薄膜4とした(図2の(b))。ここ
で電子放出部形成用薄膜4は、その幅(素子の幅)Wを
300μmとし、素子電極2と3のほぼ中央部に配置し
た。
【0039】また、この電子放出部形成用薄膜4の膜厚
は100Å、シート抵抗値は5×104 Ω/cm2 であ
った。なお、ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子
が集合した膜であり、その微細構造として、微粒子が個
々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣
接、あるいは重なりあった状態(島状も含む)の膜をさ
し、その微粒子の粒径8〜120Åとは、前記状態で粒
子形成が認識可能な微粒子についての径をいう。
【0040】3)次に、図2(c)に示すように、電子
放出部5を素子電極2及び3の間に電圧を印加し、電子
放出部形成用薄膜4を通電処理(フォーミング処理)す
ることにより形成した。フォーミング処理の電圧波形を
図5に示す。
【0041】図5中、TI及びT2は電圧波形のパルス
幅とパルス間隔であり、本実施例ではT1を1ミリ秒、
T2を10ミリ秒とし、三角波の波高値(フォーミング
時のピーク電圧)は5Vとし、フォーミング処理は約1
×10-6torrの真空雰囲気下で60秒間行った。こ
のように作成された電子放出部3は、パラジウム元素を
主成分とする微粒子が分散配置された状態となり、その
微粒子の平均粒径は30Åであった。
【0042】4)最後に図2(d)に示すように、パラ
ジウム(Pd)微粒子膜をマスクとしてリアクティブ・
イオン・エッチング(RIE)法によって絶縁性基板1
に溝部6を形成した。本発明では、溝部6の深さを限定
するものではないが、本実施例では200Åの深さのエ
ッチングを行なった。溝部の深さに関しては、あまり深
く形成しようとすると、超微粒子薄膜4にダメージを与
えてしまう危険性があり、またあまり浅すぎると、本発
明本来の効果が発揮されないため、20〜1000Å、
好ましくは100〜500Åの範囲にあることが望まし
い。
【0043】また、本実施例では絶縁性基板に溝部を設
けるためにRIE法を用いたが、本発明はこれに限定さ
れるものではなく、酸やアルカリ等によるウエット・エ
ッチング法を用いてもよい。
【0044】以上のようにして作成された素子につい
て、その電子放出特性の測定を行った。図3に測定評価
装置の概略構成図を示す。
【0045】図3においても、1は絶縁性基板、2及び
3は素子電極、4、13は電子放出部を含む薄膜、5は
電子放出部を示し、8は素子に電圧を印加するための電
源、9は素子電流Ifを測定するための電流計、10は
素子より発生する放出電流Ieを測定するためのアノー
ド電極、11はアノード電極10に電圧を印加するため
の高圧源、12は放出電流を測定するための電流計であ
る。電子放出素子の上記素子電流If、放出電流Ieの
測定にあたっては、素子電極2、3に電源8と電流計9
とを接続し、該電子放出素子の上方に電源11と電流計
12とを接続したアノード電極10を配置している。ま
た、本電子放出素子及びアノード電極10は真空装置内
に設置されており、その真空装置には不図示の排気ポン
プ及び真空計等の真空装置に必要な機器が具備れさてお
り、所望の真空下で本素子の測定評価を行えるようにな
っている。なお本実施例では、アノード電極と電子放出
素子間の距離を4mm、アノード電極の電位を1kV、
電子放出特性測定時の真空装置内の真空度を1×10-6
torrとした。
【0046】以上のような測定評価装置を用いて、本電
子放出素子の素子電極2及び3の間に素子電圧を印加
し、その時に流れる素子電流If及び放出電流Ieを測
定したところ、図4に示したような電流−電圧特性が得
られた。本素子では、素子電圧8V程度から急激に放出
電流Ieが増加し、素子電圧16Vでは素子電流Ifが
2.2mA、放出電流Ieが11uAとなり、電子放出
効率η=Ie/If(%)は0.08%であった。
【0047】また、同様な測定を同時に作製した数百個
の素子について行ったが、いずれも、素子電圧を16V
に保ったときの素子電流や、放出電流の値には大きな違
いはなかった。さらに素子の温度も基板に溝部のない場
合に比べて低くなり、電子放出素子を長時間にわたって
動作させたときの信頼性も良くなったことが確認され
た。
【0048】比較例1 実施例1において、絶縁性基板1上に溝部を形成しない
以外は、実施例1と同様に有機パラジウム(奥野製薬
(株)製、ccp−4230)含有溶液を用いて酸化パ
ラジウム(PdO)微粒子膜を形成して電子放出部を形
成した電子放出素子を得た。
【0049】実施例1と同様に、この電子放出素子の素
子電極間に素子電圧を印加し、その時に流れる素子電流
If及び放出電流Ieを測定したところ、電子放出効率
η=Ie/If(%)は0.05%であった。
【0050】以上説明した実施例中、電子放出部を形成
する際に、素子の電極間に三角波パルスを印加してフォ
ーミング処理を行っているが、素子の電極間に印加する
波形は三角波に限定することはなく、矩形波など所望の
波形を用いても良く、その波高値及びパルス幅・パルス
間隔等についても上述の値に限ることなく、電子放出部
が良好に形成されれば所望の値を選択することができ
る。
【0051】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、電
子放出が行われている状態においても素子の温度上昇が
小さく、電子放出の素子間のバラツキが小さく、電子放
出の効率が良好な電子放出素子を得ることができる。ま
た、本発明の製造方法によれば、上記の優れた特性を有
する電子放出素子を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかわる基本的な電子放出素子の構成
を示す構成図である。
【図2】本発明の電子放出素子の製造方法の一例を示す
工程図である。
【図3】本発明の電子放出素子の電子放出特性を測定す
るための測定手段を表わす説明図である。
【図4】本発明の電子放出素子の電流−電圧特性を示す
グラフである。
【図5】実施例1の電子放出素子のフォーミング処理の
電圧波形を示すグラフである。
【図6】従来の表面伝導型電子放出素子の構成図であ
る。
【符号の説明】
1 絶縁性基板 2,3 素子電極 4 薄膜 5 電子放出部 6 溝部 7 亀裂部を生じさせるためのパルス状電源 8 電子放出素子に電流を流すための電源 9 素子電流Ifを計測するための電流計 10 アノード電極 11 アノード電極に高電圧を印加するための高圧電源 12 放出電流Ieを測定するための電流計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三留 正則 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 松谷 茂樹 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 長田 芳幸 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性基板上の一対の電極間に導電性膜
    を有し、該導電性膜に高抵抗状態の亀裂部が少なくとも
    1箇所以上存在する電子放出素子において、前記導電性
    膜の亀裂部の部分の絶縁性基板に溝部が形成されている
    ことを特徴とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】 絶縁性基板上の一対の電極間に導電性膜
    を形成し、通電加熱して導電性膜に亀裂部を少なくとも
    1箇所以上形成した後、前記導電性膜をマスクとしてエ
    ッチングを行ない亀裂部の部分の絶縁性基板に溝部を形
    成することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記エッチングをドライ・エッチング・
    プロセスまたはウエット・エッチング・プロセスにより
    行なう請求項2記載の電子放出素子の製造方法。
JP23596493A 1993-08-30 1993-08-30 電子放出素子およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3147267B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23596493A JP3147267B2 (ja) 1993-08-30 1993-08-30 電子放出素子およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23596493A JP3147267B2 (ja) 1993-08-30 1993-08-30 電子放出素子およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0765703A true JPH0765703A (ja) 1995-03-10
JP3147267B2 JP3147267B2 (ja) 2001-03-19

Family

ID=16993825

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23596493A Expired - Fee Related JP3147267B2 (ja) 1993-08-30 1993-08-30 電子放出素子およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3147267B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1009009A2 (en) * 1998-12-08 2000-06-14 Canon Kabushiki Kaisha Electron-emitting device, electron source using the electron-emitting devices, and image-forming apparatus using the electron source
US6608437B1 (en) 1994-08-29 2003-08-19 Canon Kabushiki Kaisha Electron-emitting device, electron source and image-forming apparatus as well as method of manufacturing the same
US6992428B2 (en) 2001-12-25 2006-01-31 Canon Kabushiki Kaisha Electron emitting device, electron source and image display device and methods of manufacturing these devices
KR100721872B1 (ko) * 2004-04-23 2007-05-25 캐논 가부시끼가이샤 전자방출소자, 전자원, 화상표시장치 및 그들의 제조방법

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6608437B1 (en) 1994-08-29 2003-08-19 Canon Kabushiki Kaisha Electron-emitting device, electron source and image-forming apparatus as well as method of manufacturing the same
US7057336B2 (en) 1994-08-29 2006-06-06 Canon Kabushiki Kaisha Electron-emitting device, electron source and image-forming apparatus as well as method of manufacturing the same
US7234985B2 (en) 1994-08-29 2007-06-26 Canon Kabushiki Kaisha Method for manufacturing an electric emitting device with first and second carbon films
US7758762B2 (en) 1994-08-29 2010-07-20 Canon Kabushiki Kaisha Method for manufacturing an electron-emitting device with first and second carbon films
EP1009009A2 (en) * 1998-12-08 2000-06-14 Canon Kabushiki Kaisha Electron-emitting device, electron source using the electron-emitting devices, and image-forming apparatus using the electron source
EP1009009A3 (en) * 1998-12-08 2000-09-27 Canon Kabushiki Kaisha Electron-emitting device, electron source using the electron-emitting devices, and image-forming apparatus using the electron source
US6888296B2 (en) 1998-12-08 2005-05-03 Canon Kabushiki Kaisha Electron-emitting device, electron source using the electron-emitting devices, and image-forming apparatus using the electron source
US7291962B2 (en) 1998-12-08 2007-11-06 Canon Kabushiki Kaisha Electron-emitting device, electron source using the electron-emitting devices, and image-forming apparatus using the electron source
US6992428B2 (en) 2001-12-25 2006-01-31 Canon Kabushiki Kaisha Electron emitting device, electron source and image display device and methods of manufacturing these devices
KR100721872B1 (ko) * 2004-04-23 2007-05-25 캐논 가부시끼가이샤 전자방출소자, 전자원, 화상표시장치 및 그들의 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP3147267B2 (ja) 2001-03-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0708471B1 (en) Electron source and image forming apparatus as well as method of providing the same with means for maintaining activated state thereof
JPH0687392B2 (ja) 電子放出素子の製造方法
US6642649B1 (en) Electron-emitting device, electron source using the electron-emitting device, and image-forming apparatus using the electron source
JP2000311597A (ja) 電子放出素子の製造方法及び装置、駆動方法並びに調整方法
JP3437519B2 (ja) 電子放出素子の製造方法および調整方法
JP2000311586A (ja) 電子放出素子およびこれを用いた電子源およびこれを用いた画像形成装置
JP3323850B2 (ja) 電子放出素子およびこれを用いた電子源およびこれを用いた画像形成装置
JP2000311582A (ja) 電子放出素子およびこれを用いた電子源およびこれを用いた画像形成装置
US6876156B1 (en) Electron-emitting device, electron source using the same, and image forming apparatus using the same
JP3147267B2 (ja) 電子放出素子およびその製造方法
JP3372720B2 (ja) 電子源基板および画像形成装置ならびにそれらの製造方法
JP2678757B2 (ja) 電子放出素子およびその製造方法
JP3200270B2 (ja) 表面伝導型電子放出素子、電子源、及び、画像形成装置の製造方法
JPH06231678A (ja) 電子放出膜及び電子放出素子の作製方法
JPH0765702A (ja) 電子放出素子およびその製造方法
JP2961477B2 (ja) 電子放出素子、電子線発生装置及び画像形成装置の製造方法
JPH0765696A (ja) 電子放出素子
JP3450425B2 (ja) 電子源およびその製造方法、ならびに画像形成装置
JP3647299B2 (ja) 電子放出素子の駆動方法および製造方法
JPH05190077A (ja) 電子放出素子
JP3332673B2 (ja) 電子源基板および画像形成装置ならびにそれらの製造方法
JPH09330646A (ja) 電子放出素子、それを用いた電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法
JPH0945228A (ja) 電子源の製造方法
JPH07182970A (ja) 電子源の製造方法
JPH07130280A (ja) 電子源材料並びに電子源の製法並びに電子源並びに画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090112

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090112

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100112

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110112

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120112

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130112

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees