JPH0765461B2 - シールドチャンバー内の監視装置 - Google Patents

シールドチャンバー内の監視装置

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JPH0765461B2
JPH0765461B2 JP2027949A JP2794990A JPH0765461B2 JP H0765461 B2 JPH0765461 B2 JP H0765461B2 JP 2027949 A JP2027949 A JP 2027949A JP 2794990 A JP2794990 A JP 2794990A JP H0765461 B2 JPH0765461 B2 JP H0765461B2
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shield chamber
density
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、密閉型シールド工法により切羽を掘削する際
に、シールドチャンバー内の充填物の密度または水分量
を測定する監視装置に関する。
[従来の技術] 密閉型シールド工法は、シールドの前部に隔壁を設け、
切羽側にトンネル構内と隔絶された密閉空間、すなわち
シールドチャンバーを作る。そして、このシールドチャ
ンバー内に、泥水や掘削土砂を充満し、その圧力を調整
することにより、切羽の安定を保持するよう構成されて
いる。
この密閉型シールド工法は、切羽を安定状態に保持しな
がら掘削できるという優れた特徴を有していることか
ら、市街地におけるトンネル構造物、大口径のトンネル
構造物、およびその他各種トンネル構造物の構築に幅広
く用いられている。
周知のように、密閉型シールド工法としては、シールド
チャンバー内に泥水を充満する泥水式シールドと、掘削
土砂を満たす土圧式シールドとが広く知られている。い
ずれの工法を用いる場合でも、掘進管理上で重要なこと
は、シールドチャンバー内における土砂などの充填物充
満状態を正確に把握し、掘削土量と掘進速度のバランス
を採ることである。
これは、例えば掘進速度に対して過度に地山土砂を取り
込むと、地山に空隙が発生し、地盤沈下の原因となった
り、シールド機内に閉塞現象が生じたりするからであ
る。逆に、掘削土量に対して過度に掘進速度を大きくす
ると、ビットや推進ジャッキの負担が大きくなり、機械
的なトラブルが発生するからである。
シールドチャンバー内における充填物充満状況を正確に
把握するためには、土圧計等を用いて充満土砂の圧力を
測定するばかりでなく、密度計を用いて充満土砂の密度
や水分量測定を行うことが好ましい。
特に、土圧式シールド工法では、チャンバー内に掘削土
砂が詰まったり、高水圧下の砂地盤を掘削する場合に、
スクリューコンベアから土砂が地下水と共に噴出しない
よう、チャンバー内に加泥剤を注入しながら掘削土砂の
流動性と止水性を促進させることが行われている。この
ため、シールドチャンバー内において、その充填物の水
分量や密度等から、加泥剤が掘削土砂と均一に混合され
ているか否かを監視することが、切羽の安定を図る上で
極めて重要な問題となる。
また、泥水式シールド工法の場合には、チャンバー内で
泥水と土砂とを混合しスラリー化して排出するため、シ
ールドチャンバー内における泥水密度を正確に測定する
ことが、排泥量、ひいては掘削土量の計測を行う上で重
要な問題となる。
[発明が解決しようとする問題点] 従来、土圧式シールド工法では、シールドチャンバー内
における充填物の密度または水分量を正確に測定でき
ず、チャンバー内における掘削土砂と加泥剤との混合状
況を監視することができなかった。
また、泥水シールド工法では、チャンバーからスラリー
化して排出される泥水密度等を差圧密度計を用いて測定
していた。しかし、差圧密度計は、土砂が均一に攪拌さ
れている場合にしか密度を正確に測定できず、泥水内に
粒径の大きな礫等が多量に混入している場合には、密度
測定値に含まれる誤差が大きくなり、チャンバー内の土
砂充満状況を正確に把握することができないという問題
があった。
さらに、大口径のトンネルを掘削する場合には、トンネ
ル口径に合わせてチャンバーも大きなものとなる。しか
し、この場合には、チャンバー内における泥水の密度や
水分量は必ずしも均一でない。このため、単にチャンバ
ーから排出される泥水の密度や水分量を測定しただけで
は、チャンバー内における充填物の充満状況を正確に測
定できず、その有効な対策が望まれていた。
本発明は、このような従来の課題に鑑みなされたもので
あり、各種タイプの密閉型シールド工法に適用でき、シ
ールドチャンバー内の充填物密度や水分量を正確に測定
し、充填物の充満状況を把握することができるシールド
チャンバー内の監視装置を提供することにある。
[問題点を解決するための手段] 前記目的を達成するため、本発明のシールドチャンバー
内の監視装置は、シールドチャンバーの隔壁部に設けら
れた開口部と、 前記隔壁部のシールドチャンバー側に前記開口部に対向
するよう密接固定された第1の保護キャップと、 前記第1の保護キャップ内に、トンネル構内側から前記
開口部を介して着脱自在に挿入固定され、検出領域が第
1の保護キャップ内に密着して位置するRIセンサと、 前記隔壁部のトンネル構内側に前記開口部に対向して着
脱自在に固定され、前記RIセンサを保護する第2の保護
キャップとを有し、 トンネル構内側から取替え自在に取り付け固定され、前
記検出領域が前記シールドチャンバー内に突出する前記
RIセンサによってシールドチャンバー内の充填物の密度
または水分量を測定することを特徴とする。
ここににおいて充填物の密度を測定する場合、 前記RIセンサは、 ガンマ線源と、 ガンマ線検出部と、 前記ガンマ線源から直接ガンマ線検出部に入射する1次
ガンマ線を遮断するシールド部とが 直線的に配置された検出領域を含む密度センサとして形
成され、前記シールドチャンバー内の充填物により2次
散乱されたガンマ線を前記ガンマ線検出部を用いて検出
し、その検出値に基づきシールドチャンバー内の充填物
密度を測定することが好ましい。
また、充填物の水分量を測定する場合、 前記RIセンサは、 中性子線源と、 熱中性子を検出する中性子線検出部とが 直線的に配置された検出領域を含む水分量センサとして
形成され、前記中性子線源から放出された速中性子が、
シールドチャンバー内の充填物との相互作用によりエネ
ルギーを失い生成された熱中性子を、前記中性子線検出
部を用いて検出し、その検出値に基づきシールドチャン
バー内の充填物を水分量を測定することが好ましい。
[作 用] 本発明では、シールドチャンバー内にRIセンサが設けら
れ、シールドチャンバーの内の充填物の密度または水分
量を非接触、非破壊で測定している。
一般に、シールドチャンバー内は、取り込んだ土砂等が
撹拌された状態となっており、検出環境として非常に劣
悪である。本発明のRIセンサは隔壁の外に突出すること
によって、良好な検出精度を得るとともに、突出したRI
センサを強固な第1の保護キャップの中に、シールドチ
ャンバーの隔壁のトンネル構内側から着脱自在に、密着
固定することによって、本発明のRIセンサはシールドチ
ャンバー内の劣悪な環境のもとでも破損等を受けず、修
理や交換はシールドチャンバーの隔壁のトンネル構内側
から比較的容易に行うことができる。
例えば、このRIセンサを用いて、シールドチャンバー内
の充填物密度を測定する場合には、該RIセンサを請求項
(2)に示すよう、密度センサとして形成することが好
ましい。
これにより、前記RIセンサは、ガンマ線源からシールド
チャンバー内に放射されたガンマ線が、該シールドチャ
ンバー内の充填物により二次散乱され、ガンマ線検出部
に入射する。ガンマ線検出部は、このように二次散乱ガ
ンマ線を検出し、その検出量に基づきシールドチャンバ
ー内の充填物密度を測定する。
このように、本発明によれば、シールドチャンバー内の
充填物密度をリアルタイムで簡単に測定することがで
き、しかもその測定精度が高いため、チャンバー内の土
砂充満状況を正確に把握することができる。
また、前記RIセンサを用いてシールドチャンバー内の充
填物の水分量を測定する場合には、前記RIセンサを請求
項(3)に示すよう構成することが好ましい。
これにより、前記RIセンサは、中性子線源からシールド
チャンバー内に放射された速中性子が、該シールドチャ
ンバー内の充填物中でエネルギーを失いながら拡散さ
れ、熱中性子となって中性子線検出部に入射する。中性
子線検出部は、このようにエネルギーを失って入射する
熱中性子を検出し、その検出量に基づきシールドチャン
バー内の充填物の水分量を測定する。
このように、本発明によれば、シールドチャンバーの充
満土砂等の充填物の水分量をリアルタイムで簡単に測定
することができ、しかもその測定精度が高いため、チャ
ンバー内の土砂充満状態を正確に把握することできる。
このように、本発明によれば、RIセンサを用いて、シー
ルドチャンバー内の充填物の密度,水分量等を非破壊,
非接触で測定することができるため、泥水式シールドチ
ャンバー内のみならず、土圧式シールドチャンバー内の
充填物の密度,水分量を正確に測定でき、汎用性の高い
監視装置を得ることができる。
これに加えて、本発明によれば必要に応じてRIセンサを
シールドチャンバー内の複数箇所に設け、チャンバー内
の充填物密度分布または水分量分布をも正確に測定する
ことができ、例えば大口径トンネル掘削用シールドチャ
ンバー内の土砂充満状況を把握する上で極めて好適なも
のとなる。
[実施例] 次に本発明の好適な実施例を図面に基づき詳細に説明す
る。
第1実施例 第1図には、本発明が適用された泥水式シールド掘進機
の好適な一例が示されている。
実施例の泥水式シールド掘進機は、シールド10の前部に
隔壁12を設け、この隔壁12の切羽20側に、トンネル構内
22と隔絶された密閉空間をシールドチャンバー14として
形成する。このシールドチャンバー14内は、パイプ16a
から供給される泥水により満たされている。
そして、切羽20の掘削は、図示しない駆動装置により回
転駆動される回転式カッター18により行われ、削り採ら
れた土砂はシールドチャンバー14内に取り込まれる。そ
して、取り込まれた土砂はチャンバー14内において、泥
水と撹拌され、スラリー化された泥水としてパイプ16b
から排出される。
このとき切羽20の安定は、シールドチャンバー14内の泥
水の濃度と加圧力により管理される。
本発明の特徴は、シールドチャンバー14内にRIセンサを
設け、該シールドチャンバー14内の充填物の密度または
水分量の測定を行うことにある。
実施例では、前記RIセンサを、RI密度センサ30として形
成し、シールドチャンバー14内の土砂密度の測定を行っ
ている。
前記RI密度センサ30は、チャンバー14の隔壁12に、第2
図に示すよう取付けられ、しかもトンネル構内22側から
着脱自在に形成されている。
すなわち、本実施例の装置では、シールドチャンバー14
側から隔壁12に、RI密度センサ30の先端部分を挿入する
筒状の第1の保護キャップ50を取付け固定している。こ
の保護キャップ50は、シールドチャンバー14内に充満さ
れる土砂や泥水と直接接触する部分であるので、十分な
強度をもつように形成しておく。また、この保護キャッ
プ50の内周面には、ネジ溝52が形成されている。
また、前記隔壁12には、トンネル構内22側から取付孔56
を介し前記保護キャップ50と相対向するよう、筒状の第
2の保護キャップ54が着脱自在に取付け固定される。
そして、RI密度センサ30の取付けは、まず第2の保護キ
ャップ54を取外し、RI密度センサ30の先端をトンネル構
内22側から取付孔56に挿入し、第1の保護キャップ50の
開口部と位置合せする。そして、RI密度センサ30を回転
し、そのネジ34を第1の保護キャップ50のネジ溝52と螺
合させながら、RI密度センサ30を第1の保護キャップ50
内へ挿入する。挿入終了後、第2図に示すようトンネル
構内22側から第2の保護キャップ54を隔壁12へ取付け、
RI密度センサ30の取付けを終了する。
また、このRI密度センサ30の取外しは、前述と逆の手順
で行えばよい。
第3図には、実施例のRI密度センサ30の基本的な構成が
示されている。実施例のRI密度センサ30は、その先端側
外周にネジ34が形成されたケーシング32と、このケーシ
ング32の内部に設けられたガンマ線源36、ガンマ線検出
部としてのシンチレーションカウンタ42、シールド鉛3
8,40とを含む。前記シールド鉛38,40は、ガンマ線源36
の両側に配置され、特にシールド鉛40は、ガンマ線源36
からシンチレーションカウンタ42に直接入射する一次ガ
ンマ線を遮断するために設けられている。
前記RI密度センサ30は、第5図に示すガンマ線束φと物
質密度ρとの関係が予め較正試験によって求められてい
る。これにより、以下の詳述するようシンチレーション
カウンタ42により測定されるガンマ線束φの値に基づき
シールドチャンバー14内における充満土砂の密度ρを測
定できる。
第4図,第5図には、本実施例のRI密度計30を用い、シ
ールドチャンバー14内における充満土砂の密度を測定す
る原理が示されている。
まず、実施例のRI密度センサ30を、第4図に示すよう土
砂10内に設置する場合を想定する。このとき、ガンマ線
源36からシンチレーションカウンタ42に直接入射しよう
とするガンマ線はシールド鉛40より遮断される。このた
め、シンチレーションカウンタ42に入力されるガンマ線
は、図中1点鎖線で示すよう土砂100内において散乱さ
れた二次散乱線である。このとき、シンチレーションカ
ウンタ42で検出されるガンマ線束φは図式で与えられ
る。
ただし、φ:ガンマ線束(ガンマ線数/cm2・sec) S:線源強度(ガンマ線数/sec) B:ビルドアップ係数 Σ:質量吸収係数(cm2/g) γ:線源と検出器間の距離(cm) ρ:物質の密度(g/cm2) ここでBは単なる定数ではなく、実験によれば、次式で
近似できることが知られている。
B=K(Σργ) …(2) K:比例定数 n:1〜2 式(2)を(1)に代入すれば、(但しK=1とする) となる。
式(3)から、Σ,γを一定として、横軸にρを、縦軸
にφをとってプロットすると、第5図に示すような特性
曲線となる。この特性曲線は、初めは、単調に増加しな
がら極値に達し、その後はまた単調に減少する関数であ
ることが分る。
極値を示すときの密度ρは、一次ガンマ線のエネルギ
ー線源36と、検出器42との間の距離および検出器長によ
って定まる。
測定では、特殊な場合を除いて、第5図に示す特性の単
調に減少する部分を用いることが好ましい。密度計の設
計においては、測定の対象となる密度範囲を考慮しても
最も高い分解能が得られるように上記のパラメータの選
択を行う。
さて、ガンマ線と測定対象物との相互作用に係わる情報
は、Σに含まれており、式(3)に示されるように、密
度測定の原理上重要なことは、φがρのみに依存するこ
とであり、従ってΣがほぼ一定であることが条件とな
る。
ところで、質量吸収係数Σは、媒質原子1個に対する全
微分断面積(相互作用の確立)をσ(cm2)アボガドロ
数をN0,原子量をAとすれば によって関数づけられる。σは、光電効果の微分断面積
σ(cm2)とコンプトン散乱の微分断面積σ(cm2
の和である。
σ=σ+σ …(5) 測定される物質が数種の元素から構成されるときは、そ
れぞれの構成元素の質量吸収係数 の寄与が加算され、物質全体のΣは次式で表わされる。
ただし、piはi番目の元素の重合含有比である。
一定の媒質においてはΣは定数になるので、式(3)か
らφはρのみによって変化することになる。従って、予
め較正試験によって第5図に示すφとρとの関係を求め
ておけば、逆に密度未知の媒質に対しては、φを測定す
ることによってその密度ρを知ることができるわけであ
る。
このことから、本実施例に用いられるRI密度センサ30
の、第5図に示すガンマ線束φと物質密度ρとの関係を
予め較正試験によって求めておくことにより、シンチレ
ーションカウンタ42により測定されるガンマ線束φの値
に基づきシールドチャンバー14内における充満土砂の密
度ρを測定可能であることが理解されよう。
このため、実施例の装置では、第2図に示すよう、RI密
度センサ30のシンチレーションカウンタ42により検出さ
れたガンマ線束φの測定値をリード線44を介して測定機
46に入力している。
測定機46内には、予め較正試験によって測定されたRI密
度センサ30の第5図に示すようなφとρとの関数がイン
プットされている。そして、この測定機46は、RI密度セ
ンサ30のシンチレーションカウンタ42から出力されるガ
ンマ線束φの値に基づき、シールドチャンバー14内の充
満土砂密度ρを測定している。
このように本実施例によれば、隔壁12に取付けられたRI
密度センサ30を用いることにより、シールドチャンバー
14内の充満土砂の密度ρをほぼリアルタイムで正確に測
定することができるため、シールドチャンバー14内にお
ける土砂充満状況の把握を迅速にかつ適確に行うことが
可能となる。
さらに、本実施例によれば、測定操作が極めて簡単であ
るため測定値に個人差が入り込む余地がない。
また本実施例によれば、トンネル構内22側からRI密度セ
ンサ30の交換を簡単に行うことができる。
また、本実施例のような泥水式シールド掘進機を用い、
大口径のトンネル構造物を形成する場合には、トンネル
断面で土層が何層にわたっても変化し、シールドチャン
バー14内の土砂密度が不均一になることが多い。このよ
うな場合に、本発明によれば、RI密度センサ30を隔壁12
の複数箇所に設け、シールドチャンバー14内の土砂密度
を多点測定することにより、チャンバ14内における土砂
充満状況をより正確に把握し、切羽を安定状態に保持し
ながら掘削を行うことが可能となる。
第2実施例 第6図には、本発明が適用された土圧式シールド掘進機
の好適な一例が示されている。なお、前記第1実施例に
示す泥水式シールド掘進機と対応する部材に同一符号を
付しその説明は省略する。
実施例の土圧式シールド掘進機は、シールド10の前部に
隔壁12を設け、この隔壁12の切羽20側に、シールドチャ
ンバー14としてトンネル構内22と隔絶された密閉空間を
形成する。
このシールドチャンバー14内には、加泥剤注入管26から
加泥剤が注入される。
そして、切羽20の掘削は、図示しない駆動装置により回
転駆動される回転式カッター18により行われ、削り取ら
れた土砂はシールドチャンバー14内に取込まれる。取込
まれた土砂はチャンバー14内において、加泥剤と攪拌混
合され、掘削土砂の流動性と止水性が促進され、スクリ
ューコンベア28により外部へ排出される。
このとき切羽20の安定は、シールドチャンバー14内に取
込まれ流動化した掘削土砂の土圧により管理される。
これにおいて重要なことは、シールドチャンバー14内に
おいて、掘削土砂と加泥剤とを良好に攪拌混合し、掘削
土砂の流動性と止水性を十分促進させることである。シ
ールドチャンバー14内における、掘削土砂と加泥剤との
攪拌混合状態は、シールドチャンバー14内における充填
物、すなわち掘削土砂と加泥剤の混合物の水分量を測定
することにより把握できる。
本実施例の特徴は、シールドチャンバー14内にRI水分量
センサ60を設け、該シールドチャンバー14内の充填物水
分量の測定を行うことにある。
本実施例では、RI水分量センサ60を、隔壁12の複数箇所
に設け、シールドチャンバー14内の充填物水分量を多点
測定し、チャンバー14内における掘削土砂と加泥剤との
混合状態を正確に観測できるよう形成されている。
前記各RI密度センサ60は、第7図に示すよう、チャンバ
ー14の隔壁12に、トンネル構内22側から着脱自在に取付
けられている。このとき、このセンサ60の取付け部材
は、前記第1実施例と同様な構造をもった第1の保護キ
ャップ50と、第2の保護キャップ54とから構成されてい
る。
第8図には、実施例のRI水分量センサ60の基本的な構成
が示されている。実施例のRI水分量センサ60は、その先
端側外周にねじ64が形成されたケーシング62と、このケ
ーシング62の内部に設けられた中性子線源66と,熱中性
子線検出部としての3He比例計数管68とを含む。
このRI水分量センサ60は、熱中性子線の密度と物質水分
量との関数が予め較正試験によって求められている。こ
れにより以下に詳述するよう3He比例計数管68により測
定される熱中性子線の密度に基づき、シールドチャンバ
ー14内における充填物水分量を測定できる 第9図には、本実施例のRI水分量センサ60を用い、シー
ルドチャンバー14内における充填物水分量を測定する原
理が示されている。
まず、実施例のRI水分量センサ60を、第9図に示すよう
土砂および加泥剤の混合物からなる充填物110内に設置
する場合を想定する。このとき、中性子線源66から放出
される中性子は、MeVオーダーの連続エネルギースペク
トルをもっており、いわゆる速中性子と呼ばれている。
この水分量センサの原理は、中性子線源66から放出され
た速中性子が、充填物110を構成する元素の原子核と相
互作用(主に弾性散乱)を引起す結果、媒質中でエネル
ギーを失いつつ拡散し、熱中性子(平均エネルギー1/40
MeV)が形成される過程において、水素原子核の中性子
に対する減速能は、他の核種に比べて非常に大きいこと
を利用するものである。すなわち、媒質中で生成される
熱中性子の密度は、その中に含まれる水素濃度よって、
ほぼ決定されることになる。
シールドチャンバー14内の充填物110の水素濃度は、大
部分H2Oの形で含まれる含水量であり、従って、予め既
知の含水量に対し、熱中性子束(これは水分計の計数率
に比例する)を較正しておけば、3He比例計数管68の数
から、充填物110の水分量を測定可能であることが理解
されよう。
このため、実施例の装置では、第7図に示すよう、RI水
分量センサ60の3He比例計数管68により検出された熱中
性子線の測定値をリード線44を介し測定機46に入力して
いる。
測定機46内には、予めRI水分量センサ60の較正試験によ
り測定された熱中性子線と含水量との関係がインプット
されている。そして、この測定機46は、RI水分量センサ
60の計数管68から出力される熱中性子線の密度に基づ
き、シールドチャンバー14内の充填物水分量を測定して
いる。
このとき、前記水分計数率は、土中含水量の増加関数と
なり、通常2次関数による回帰式が用いられる。
このように、本実施例によれば隔壁12に取付けられたRI
水分量センサ60を用いることにより、シールドチャンバ
ー14内の充填物水分量をほぼリアルタイムで正確に測定
することができるため、シールドチャンバー14内におい
て掘削土砂と加泥剤等との攪拌混合状態を正確に監視す
ることが可能となる。
なお、本実施例ではシールドチャンバー14内に加泥剤を
注入するタイプの土圧式シールド掘進機を例にとり説明
したが、本発明はこれに限らずこれ以外に各種の土圧式
シールド掘進機に対しても適用可能であり、例えば加泥
剤の代りに気泡を注入するよう構成された土圧式シール
ド掘進機に対しても適用可能であることは言うまでもな
い。
また、本発明は前記各実施例に限定されるものではな
く、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能であ
る。
例えば、前記第1実施例に示す泥水式シールド掘進機で
は、RI密度センサ30の代りに、RI水分量センサ60を用
い、シールドチャンバー14内の充填物水分量を測定する
よう形成してもよく、またこれら両センサ30,60を用
い、シールドチャンバー14内における充填物の密度およ
び水分量を同時に測定するよう形成してもよい。
同様に、前記第2実施例にかかる土圧式シールド掘進機
では、RI水分量センサ60の代りに、RI密度センサ30を用
いシールドチャンバー14内の充填物密度を測定するよう
形成してもよく、またこれら両センサ30,60を設け、チ
ャンバー14内における充填物密度および水分量を同時に
測定するよう形成してもよい。
また、前記実施例においては、RI密度センサ30を隔壁12
に取付ける場合を例にとり説明したが、本発明はこれに
限らず、必要に応じてシールドチャンバー14内の任意の
位置に取付けることができる。
また、前記各実施例においては、第3図に示すようなRI
密度センサ30や、第8図に示すようなRI水分量センサ60
を用いた場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限
らず、必要に応じて各種タイプのRIセンサを用いること
ができる。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明のシールドチャンバー内の
監視装置は、取り込んだ土砂等が撹拌された状態となっ
ているシールドチャンバー内の劣悪な検出環境にもかか
わらず、シールドチャンバー内の充填物の密度または水
分量を良好な精度で検出でき、破損等を受けにくく、修
理や交換はシールドチャンバーの隔壁のトンネル構内側
から比較的容易に行うことができる。
また、本発明のシールドチャンバー内の監視装置によれ
ば泥水式シールド工法,土圧式シールド工法等、各種タ
イプの密閉型シールド工法に幅広く適用でき、しかもシ
ールドチャンバー内の充填物の密度または水分量をほぼ
リアルタイムで非接触,非破壊測定することができ、シ
ールドチャンバー内の充填物の状況をリアルタイムで正
確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明にかかるシールドチャンバー内の監視
装置が設けられた泥水式シールド掘進機の一例を示す説
明図、 第2図は、本実施例において、隔壁へのRI密度計の取付
け状態を示す説明図、 第3図は、本実施例に用いられるRI密度計の基本的な構
成を示す説明図、 第4図および第5図は本発明の原理説明図であり、 第4図は、第3図に示すRI密度計を土砂内に設置した場
合におけるガンマ線の散乱状態の説明図、 第5図は、RI密度計を用いて測定したガンマ線束φと土
砂密度ρとの関係を示す説明図、 第6図〜第9図は、本発明を土圧式シールド掘進機に適
用した場合の一例を示す説明図であり、 第6図は、本発明にかかる監視装置が設けられた土圧式
シールド掘進機の一例を示す断面説明図、 第7図は、実施例において隔壁へのRI水分量センサの取
付け状態を示す説明図、 第8図は、本実施例に用いられるRI水分量センサの基本
的な構成を示す説明図、 第9図は、本実施例のRI水分量センサの原理説明図であ
る。 12……隔壁、14……シールドチャンバー、 30……RI密度センサ、36……ガンマ線源、 42……シンチレーションカウンタ、 60……RI水分量センサ。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シールドチャンバーの隔壁部に設けられた
    開口部と、 前記隔壁部のシールドチャンバー側に前記開口部に対向
    するよう密接固定された第1の保護キャップと、 前記第1の保護キャップ内に、トンネル構内側から前記
    開口部を介して着脱自在に挿入固定され、検出領域が第
    1の保護キャップ内に密着して位置するRIセンサと、 前記隔壁部のトンネル構内側に前記開口部に対向して着
    脱自在に固定され、前記RIセンサを保護する第2の保護
    キャップとを有し、 トンネル構内側から取替え自在に取り付け固定され、前
    記検出領域が前記シールドチャンバー内に突出する前記
    RIセンサによってシールドチャンバー内の充填物の密度
    または水分量を測定することを特徴とするシールドチャ
    ンバー内の監視装置。
  2. 【請求項2】請求項(1)において、 前記RIセンサは、 ガンマ線源と、 ガンマ線検出部と、 前記ガンマ線源から直接ガンマ線検出部に入射する1次
    ガンマ線を遮断するシールド部とが 直線的に配置された検出領域を含む密度センサとして形
    成され、前記シールドチャンバー内の充填物により2次
    散乱されたガンマ線を前記ガンマ線検出部を用いて検出
    し、その検出値に基づきシールドチャンバー内の充填物
    密度を測定することを特徴とするシールドチャンバー内
    の監視装置。
  3. 【請求項3】請求項(1)において、 前記RIセンサは、 中性子線源と、 熱中性子を検出する中性子線検出部とが 直線的に配置された検出領域を含む水分量センサとして
    形成され、前記中性子線源から放出された速中性子が、
    シールドチャンバー内の充填物との相互作用によりエネ
    ルギーを失い生成された熱中性子を、前記中性子線検出
    部を用いて検出し、その検出値に基づきシールドチャン
    バー内の充填物を水分量を測定することを特徴とするシ
    ールドチャンバー内の監視装置。
  4. 【請求項4】請求項(1)〜(3)のいずれかにおい
    て、 前記RIセンサは、シールドチャンバーの複数箇所に設け
    られ、シールドチャンバー内の充填物の密度または水分
    量を多数測定することを特徴とするシールドチャンバー
    内の監視装置。
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