JPH0763768A - カチオン測定具 - Google Patents

カチオン測定具

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JPH0763768A
JPH0763768A JP21560893A JP21560893A JPH0763768A JP H0763768 A JPH0763768 A JP H0763768A JP 21560893 A JP21560893 A JP 21560893A JP 21560893 A JP21560893 A JP 21560893A JP H0763768 A JPH0763768 A JP H0763768A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 バリノマイシン、ビス[(ベンゾ15-クラウン
5)4'-メチル]ピメレート等のイオノフォアと、カリウム
イオン、ナトリウムイオン等のカチオン(1)からなる
錯体、および銅(I)イオン、鉄(II)イオン等のカ
チオン(2)と錯体を形成することにより光吸収スペク
トルが変化するバソクプロイン、バソフェナントロリン
等の色素をo-ニトロフェニルオクチルエーテル、ジフェ
ニルエーテル等の難水溶難揮発性有機溶剤中に含有して
なることを特徴とするカチオン測定具。 【効果】 種々の測定態様を取ることにより液体試料中
の特定カチオンを選択性良く応答させることができ、誤
差の少ないカチオン濃度の定量が可能である。従来のカ
チオンとアニオンの共抽出を行い光吸収スペクトルを変
化させるカチオン測定具よりも光吸収スペクトルの変化
速度が速いため、迅速な測定を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶液中のイオン、特にカ
チオン濃度の定量を行う測定具に関する。
【0002】
【従来の技術】臨床検査分野においては血清中、尿中の
イオン濃度を測定することにより、患者の病態について
の有益な情報が得られることが知られている。このよう
なイオン濃度の測定には炎光光度法、イオン選択性電極
法、比色法など様々な方法が用いられてきた。この内、
比色法とは、様々な発色試薬を用いることにより、イオ
ンの濃度を特定の波長における吸光度、あるいは蛍光強
度として測定するものである。比色法は測定装置の構造
が簡単になるという特長を持つため、使い捨て型の測定
具も開発されている。
【0003】比色法のイオン濃度測定具として、イオノ
フォア、イオンとイオノフォアとの錯体形成に相互反応
して検出可能な応答を示す色素を含む有機液層を多孔質
担体マトリックスに担持させ、吸光度あるいは蛍光強度
として液体中のイオン濃度を測定する測定具がすでに知
られている。例えば、特開昭60-194360号公報に種々の
イオノフォアおよび、レポータ物質と呼ばれるpH感受性
色素を含む有機液層を多孔質担体に担持させたイオン濃
度測定具が記載されている。これらの測定具は特定のイ
オンを含む試料水溶液と接触させることにより、そのイ
オン濃度に応じてpH感受性色素の吸光スペクトルあるい
は蛍光スペクトルに変化を生じる。
【0004】しかし、シモンらによる研究により〔アナ
リティカル サイエンス( ANALYTICAL SCIENCE)1990
年715〜720ページ〕、上記測定具は測定対象となるイオ
ン以外に、pHの変化に対しても鋭敏に発色してしまうこ
とが示されている。そのためこれらのイオン濃度試験具
では厳密なpH緩衝を行う必要がある。また、レポータ物
質として使用できることが知られている物質は、pH感受
性色素のみであった。また、イオノフォアとしては一般
にクラウンエーテルが用いられる。クラウンエーテルに
ついては特にアルカリ金属に対して非常に良い選択性を
示すものが知られているのに対し、他のイオン、すなわ
ち亜鉛イオンや鉄イオンに対して選択的な錯体形成をす
るものはほとんど知られていない。そのため、それらの
イオンの測定をするには不適当である。
【0005】また、比色法により水中の重金属の濃度を
測定することが行われている。たとえばフェナントロリ
ンに代表されるように、特定の金属イオンと錯体を形成
すると発色する物質を測定試料中に混在させ、特定の波
長における吸光度を測定するのが一例として挙げられ
る。この原理を使用したイオン濃度試験具が「分析化
学」第40巻(1991年)227〜231ページにて
述べられている。この方法では、一価の銅イオンと特異
的に錯体を形成し発色するバソクプロインを可塑剤に溶
解させた膜を使用し、この膜を未知濃度の一価の銅イオ
ンを含有する水溶液に接触させることにより測定を行
う。水溶液中から膜内に共抽出された銅イオンと塩素イ
オンは、さらに膜内に拡散し、銅イオンはバソクプロイ
ンと錯体を形成して発色する。しかしながら、発色応答
は膜内でのイオンの拡散が律速となるため測定にかかる
時間が長くなるという短所があり、応答が終了するのに
1〜数時間かかると報告されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】比色法により、pHの
影響が小さく、液体中の種々のカチオン濃度を迅速かつ
簡便に測定することのできるカチオン測定具の開発を目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決しうる液体中のカチオン測定具を開発すべく鋭
意研究を重ねた。その結果、イオノフォアと、重金属イ
オンや金属イオンなどのカチオンと錯体形成能を有する
色素とを組み合わせることにより液体中のカチオン濃度
を比色法により測定することが可能であることを見いだ
した。
【0008】即ち、本発明は、イオノフォアとカチオン
(1)からなる錯体、およびカチオン(2)と錯体を形
成することにより光吸収スペクトルが変化する色素を難
水溶難揮発性有機溶剤中に含有してなることを特徴とす
るカチオン測定具(A)である。
【0009】他の発明は、イオノフォアとカチオン
(1)からなる錯体、およびカチオン(2)と錯体を形
成することにより光吸収スペクトルが変化する色素を難
水溶難揮発性有機溶剤中に含有した有機液層が、担体マ
トリックス中に包含されてなることを特徴とするカチオ
ン測定具(B)である。
【0010】更に他の発明は、上記カチオン測定具
(A)又は(B)を未知濃度のカチオン(3)および一
定濃度のカチオン(2)を含む検体溶液と接触させてカ
チオン(2)と色素の錯体を形成させ、次いで該錯体の
形成量に起因する吸光度を測定することにより検体溶液
中のカチオン(3)の含有量を決定することを特徴とす
るカチオンの定量方法である。
【0011】更に又、他の発明は、上記のカチオン測定
具を未知濃度のカチオン(2)および一定濃度のカチオ
ン(3)を含む検体溶液と接触させてカチオン(2)と
色素の錯体を形成させ、次いで該錯体の形成量に起因す
る吸光度を測定することにより検体溶液中のカチオン
(2)の含有量を決定することを特徴とするカチオンの
定量方法である。
【0012】イオノフォアとは特定のカチオンと錯体形
成をする性質をもったそれ自身は電荷を有しない化合物
である。本発明のイオノフォアとしては、環状ペプチド
化合物、環状または非環状ポリエーテル誘導体、ポタン
ド誘導体、カリックスアレン誘導体など公知のものが制
限なく使用できる。
【0013】好適に用いることができるイオノフォアの
具体例をあげれば、 リチウムイオノフォア; 6,6-ジベンジル-1、4、8、11-テ
トラオキサシクロテトラデカン、2、9-ジブチル-1、10-フ
ェナントロリン等、 ナトリウムイオノフォ; 5,11,17,23-テトラ-t-ブチル
-25,26,27,28- テトラキス(エトキシカルボニル)-メ
トキシ-カリックス[4]アレン、ビス[(12-クラウン-4)
メチル]メチルドデシルマロネート等、 カリウムイオノフォア; バリノマイシン、2、3-ナフ
ト-1、4、7、10、13-ペンタオキサシクロペンタデカ-2-エ
ン、ビス[(ベンゾ-15-クラウン-5)-4'-メチル]ピメレ
ート、バリノマイシン等、 カルシウムイオノフォア; ジエチル-N,N'-[(4R,5R)-
4,5-ジメチル-1,8-ジオキソ-3,6-ジオキサオクタメチレ
ン]ビス(12-メチルアミノドデカノエート)等、 マグネシウムイオノフォア; N,N'-ジヘプチル-N,N'-
ジメチルアスパルトアミド等、 銅イオンイオノフォア; ベンゾ-15-チアクラウン-4-
エーテル等が各々挙げられる。
【0014】この他にもカチオンと錯体を形成をするこ
とが知られている化合物は存在し、それらも使用するこ
とができる。該イオノフォアに関する文献としてはYosh
ihisa Inoue,George W.Gokel編「Cation Binding by Ma
crocycles」(MARCEL DEKKERINCORPORATION 1990
年)、武田裕行編著「機能性大環状化合物の分析化学へ
の応用」(株式会社アイピーシー1990年発行)アナリテ
ィカルケミストリー(ANALYTICAL CHEMISTRY)60巻20
13-2016ページ(1988年)などが挙げられる。
【0015】本発明のカチオン(1)は、上記イオノフ
ォアと錯体を形成するものならばどのようなカチオンで
も選択することができる。具体的にはナトリウムイオ
ン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオンや、銅イ
オン、銀イオン等の重金属イオンが挙げられる。
【0016】本発明のイオノフォアとカチオン(1)か
らなる錯体は、イオノフォアとカチオン(1)の塩を難
水溶難揮発性有機溶剤に溶解せしめることにより容易に
形成させることができる。
【0017】カチオン(1)の塩とは、上述の種々のカ
チオン(1)の塩化合物であり、具体的に例示すれば、
テトラフェニルボレートカリウム塩、テトラキス(4ーフ
ルオロフェニル)ボレート銀塩、テトラキス(4ークロロ
フェニル)ボレートカリウム塩、テトラキス[3,5-ビス
(トリフルオロメチル)フェニル]ナトリウム塩等が挙
げられる。
【0018】本発明のカチオン(2)と錯体を形成する
ことにより光吸収スペクトルが変化する色素(以下、単
に色素ともいう)とは、特定の金属イオン、重金属イオ
ンなどのカチオン(2)と錯体を形成する能力を持ち、
該カチオン(2)と錯体を形成することによりカチオン
の電子軌道状態に変化を生じ錯体の吸収スペクトルに変
化を生じる色素を指す。光吸収スペクトルの変化を生じ
るカチオン(2)と色素の組み合わせは限られているた
め、このような色素は、従来から液-液抽出による比色
法で特定のカチオン(2)を測定する場合に使用されて
いるものから選択し必要に応じて化学的な修飾をして難
水溶難揮発性有機溶剤に溶解できるようにする。
【0019】本発明にて使用する色素は難水溶難揮発性
有機溶剤に溶解できるものでなければならない。難水溶
難揮発性有機溶剤に不溶の場合は吸収スペクトルの変化
は起こらない。尚、光吸収スペクトルの変化は一般に発
色と呼ばれているが、本発明は必ずしも眼に見える可視
領域で光吸収スペクトルの変化が起こる場合に限定され
るものではなく、例えば紫外線領域で光吸収スペクトル
の変化が起こる場合にも適用できる。
【0020】好適に使用される色素を具体的に挙げれ
ば、バソクプロイン、バソフェナントロリン、2-(5-ブ
ロモ-2-ピリジルアゾ)-5-ジエチルアミノフェノール、2
-(2-ベンゾチアゾイルアゾ)-5-ジメチルアミノ安息香
酸、4-(2-ピリジルアゾ)レゾルシノール等がある。
【0021】本発明のカチオン(2)は上記色素と選択
的に錯体を形成し光吸収スペクトルが変化することがで
きるカチオンのことを指す。ただし、上記カチオン
(1)とは異なるカチオンを用いなければならない。
【0022】上記カチオン(2)として好適に使用され
る例を挙げれば、アルミニウムイオン(III)、マグ
ネシウム(II)イオンなどの金属イオン;銅(II)
イオン、鉄(II)イオン、ニッケル(II)イオン、
亜鉛(II)イオン、コバルト(III)イオン、カド
ミウム(II)イオンなどの重金属イオン等がある。
【0023】上記カチオン(2)と色素の好適に使用で
きる組み合わせの例を挙げれば、銅(I)イオンとバソ
クプロイン、鉄(II)イオンあるいは銅(I)イオン
あるいはルテニウム(II)イオンとバソフェナントロ
リン、銅(II)イオンあるいはニッケル(II)イオ
ンあるいはコバルト(II)イオンあるいは亜鉛(I
I)イオン等と2-(5-ブロモ-2-ピリジルアゾ)-5-ジエチ
ルアミノフェノール、ニッケル(II)イオンと2-(2-
ベンゾチアゾイルアゾ)-5-ジメチルアミノ安息香酸等が
ある。
【0024】本発明の難水溶難揮発性有機溶剤(以下、
単に有機溶剤という)としては、水に難溶かつ高沸点で
あり、イオン化し得る官能基を有しない、常温で液状の
有機化合物を用いる。具体的には沸点が摂氏100度以上
であり、水1lに対して溶解することのできる有機溶剤
が1g以下程度であることが安定した応答を得るために
望ましい。
【0025】好適に使用される有機溶剤の例を挙げれ
ば、アジピン酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、などの
高沸点エステル類、o-ニトロフェニルオクチルエーテ
ル、ジフェニルエーテルなどの高沸点エーテル類があ
る。
【0026】イオノフォアとカチオン(1)のモル比は
最大の感度を得るためには1:1であることが最も望ま
しい。これ以外のモル比でも光吸収スペクトルの変化応
答を得ることができるが、感度はやや劣るものになる。
一般的に使用することができるモル比を示せばイオノフ
ォア:カチオンが0.5:1から2:1である。
【0027】イオノフォアとカチオン(1)からなる錯
体、色素の有機溶剤中での濃度は、それぞれ使用する化
合物の溶解度によりその上限値が異なるために一概に限
定することはできない。また、下限値は、吸光度測定装
置が必要とする吸光度によっても異なる。好適に使用さ
れる範囲を示せば、0.1〜200mMであり、特に好適に使用
される範囲は5〜120mMである。濃度が低い場合には吸光
度応答あるいは蛍光応答が小さくなり測定が困難とな
る。また濃度が高すぎる場合にはイオノフォアまたは色
素の結晶析出が起き、測定はやはり困難となる。
【0028】また、イオノフォアと色素のモル比の最適
値は、カチオン(1)とカチオン(2)の価数及び1個
のカチオン(1)に配位するイオノフォアの数、及び1
個のカチオン(2)に配位する色素の数により決まる。
以下の式の係数kが1である場合に最も良い感度が得ら
れることが判明している。
【0029】
【化1】
【0030】しかし、これ以外のモル比であっても良
い。本発明において好適に使用されるイオノフォアと色
素のモル比は上記係数kが0.2〜5である。
【0031】たとえば、カチオン(1)としてカリウム
イオン、イオノフォアとしてカリウムイオンと1:1錯
体を形成するバリノマイシンを用い、カチオン(2)と
して銅(I)イオン、色素として銅(I)イオンと1:2錯体
を形成するバソクプロインを用いるとイオノフォアと色
素のモル比の最適値は次のようにして求められる。
【0032】 イオノフォア:色素 = 1 × 1 : k ×1 × 2 となり、kが1の時には イオノフォア:色素 = 1 : 2 となり、この時に最大の感度が得られる。
【0033】イオノフォアとカチオン(1)からなる錯
体、色素を有機溶剤に含有させる方法としてはとくに限
定されることなく種々の方法を用いることができる。
【0034】例えばフラスコなどの容器に有機溶剤、イ
オノフォア、カチオン(1)の塩、色素を入れ、振とう
することにより含有させることができる。イオノフォア
とカチオン(1)からなる錯体または色素の有機溶剤へ
の溶解度が小さい場合には有機溶剤を加熱撹拌すること
により溶解させ、含有させることができる。イオノフォ
アとカチオン(1)からなる錯体および色素はその少な
くとも一部分が有機溶剤に溶解していることが必要であ
る。特にイオノフォアとカチオン(1)からなる錯体お
よび色素の全てが有機溶剤に溶解しているときに、正確
かつ高感度な測定ができる。
【0035】本発明のカチオン(1)は有機溶剤中では
アニオンとイオン対を形成して塩として存在する。該ア
ニオンとしては、前出のカチオン(1)の塩由来のアニ
オンが通常使用される。このアニオンとしては疎水性ア
ニオンが好ましく、具体的にテトラフェニルボレートイ
オン、テトラキス(4-クロロフェニル)ボレートイオ
ン、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニ
ル]イオンなどが挙げられる。
【0036】更にまた、本発明のカチオン(2)と錯体
を形成することにより光吸収スペクトルが変化する色素
がスルホン酸等のアニオン性の基を有する場合には、該
色素を上記疎水性アニオンの供給源としても用いること
もできる。
【0037】本発明の有機液層とは、イオノフォアとカ
チオン(1)からなる錯体、カチオン(2)と錯体を形
成することにより光吸収スペクトルが変化する色素およ
び有機溶剤を含有し、さらに必要に応じて流動性や強度
などの物理的性質を改善するために添加剤を添加した液
状混合物をいう。
【0038】添加剤としては例えば、ポリ塩化ビニル、
ポリメタクリル酸メチルなどの高分子を添加することに
より有機溶剤の流動性を減少させ、物理的強度を向上さ
せることができる。これらの添加物としては有機溶剤に
溶解するものを使用することができ、その溶解度の上限
以下で使用することができる。
【0039】本発明の担体マトリックスには、多孔性を
有し、かつ、有機溶剤に溶解しないものが使用される。
好適に使用できるものを具体的に挙げれば、ガラスフィ
ルター、ガラス繊維ろ紙、メンブランフィルター、紙な
どである。
【0040】本発明において使用される担体マトリック
スは有機液層を包含した後にも試料水溶液をその内部に
浸透させることができる開口部を有するものであること
が必要がある。このため、包含される有機液層の量は多
孔質担体の空隙率によって異なり限定することはできな
いが、一般的に多孔質担体の重量に対して0.1〜2倍
の重量の有機液層が含浸される。
【0041】本発明の有機液層を担体マトリックスに包
含させる方法には公知の方法を使用することができる。
代表的には、有機液層を溶解することができる溶媒に一
旦溶解した後、該溶液を担体マトリックスに含浸させ、
次いで乾燥させる方法(以下キャスト法という)が好適
に使用される。
【0042】本発明のイオノフォアとカチオン(1)か
らなる錯体、およびカチオン(2)と錯体を形成するこ
とにより光吸収スペクトルが変化する色素を含有する有
機溶剤をカチオン測定具(A)とする態様は特に限定さ
れない。その代表的な方法を示せば以下の通りである。
【0043】即ち、イオノフォアとカチオン(1)から
なる錯体、およびカチオン(2)と錯体を形成すること
により光吸収スペクトルが変化する色素を含有する有機
溶剤をポリエステル、ポリプロピレンなどの樹脂板上に
塗布し数ミクロンから数百ミクロンの厚みを持つ膜を形
成させる方法である。
【0044】本発明のイオノフォアとカチオン(1)か
らなる錯体、およびカチオン(2)と錯体を形成するこ
とにより光吸収スペクトルが変化する色素を有機溶剤中
に含有した有機液層を担体マトリックス中に包含させた
カチオン測定具(B)の態様も特に限定されない。その
代表的な例を示せば以下の通りである。
【0045】即ち、まずイオノフォアとカチオン(1)
からなる錯体、およびカチオン(2)と錯体を形成する
ことにより光吸収スペクトルが変化する色素を含有する
有機溶剤を、該有機溶剤を溶解することのできる溶媒で
希釈した溶液を調製する。次に該溶液を担体マトリック
スに含浸させ、その後に有機溶媒を揮発させることによ
り有機溶剤が有機液層として担体マトリックス中に包含
される。該担体マトリックスを、両面テープにてポリエ
ステル、ポリプロピレンなどの樹脂板上に接着すること
によりカチオン測定具(B)を形成する方法である。
【0046】一定濃度のカチオン(2)あるいはカチオ
ン(3)をあらかじめ検体溶液中に含有させる方法には
種々の方法を用いることができ、簡便な方法として次に
述べる方法が好適に用いられる。即ち、一定濃度のカチ
オン(2)をあらかじめ検体溶液中に含有させる方法に
ついて述べると、一定量かつ既知濃度のカチオン(2)
水溶液を、一定量の検体溶液に添加し撹拌することによ
り行うことができる。このときの検体溶液中のカチオン
(2)の濃度は以下の式で表される。
【0047】 濃度=(添加濃度)/(検体体積+添加体積) もちろん、上記の式で添加後の濃度を知るためには、検
体中にはカチオン(2)が存在してはならない。そのた
めカチオン(2)としては、検体中に存在しないことが
判明しているカチオンを選ばなければならない。
【0048】本発明のカチオン測定具(A)又は(B)
を用いて未知濃度のカチオン(3)を測定する場合、カ
チオン(1)とカチオン(3)は同一のカチオンであっ
てもよいし、異なるカチオンであってもよい。ただし、
カチオン(1)とカチオン(3)が異なるカチオンであ
る場合には、イオノフォアとカチオン(3)の錯体の生
成定数はイオノフォアとカチオン(1)の錯体の生成定
数よりも大きく、かつ、カチオン(1)の検体溶液中で
の濃度は各測定毎に一定である必要がある。
【0049】その理由は次のとおりである。即ち、イオ
ノフォアとカチオン(1)の錯体の生成定数がイオノフ
ォアとカチオン(3)の生成定数よりも大きい場合に
は、検体溶液中のカチオン(3)は有機溶剤に取り込ま
れないので、その結果光吸収スペクトルの変化は起き
ず、測定できない。また、カチオン(1)の検体溶液中
での濃度が各測定毎に異なる場合には、カチオン(1)
の検体溶液中と有機溶剤との間の分配平衡により有機溶
剤から放出されるカチオン(1)の量が各測定で異な
り、このため有機溶剤に取り込まれるカチオン(3)の
量が各測定で異なる。その結果、有機溶剤中での色素の
光吸収スペクトルの変化も変動し、結果として測定に大
きな誤差を与える。
【0050】カチオン(1)とカチオン(3)の好適な
組み合わせの例を挙げれば、カリウムイオノフォアであ
るビス[(ベンゾ-15-クラウン-5)-4'-ヒドロキシメチ
ル]ピメレートを使用する場合、カチオン(1)とカチ
オン(3)が同一のカチオンである場合はカリウムイオ
ンを、また両者が異なる場合は、カチオン(1)にナト
リウムイオンあるいはリチウムイオンを用い、カチオン
(3)にカリウムイオンを用いることもできる。
【0051】カチオン(1)とカチオン(3)が同一の
カチオンである場合は以下の様にして光吸収スペクトル
が変化する。即ち、検体溶液と本発明のカチオン測定具
(A)又は(B)を接触させると、検体溶液中のカチオ
ン(2)が本発明のカチオン測定具内の色素を錯体形成
することにより有機溶剤中に取り込まれる。この時に色
素とカチオン(2)の錯体のが光吸収スペクトルが変化
する。と同時に、有機溶剤中の電気的中性を保つために
イオノフォアと錯体を形成しているカチオン(1)が検
体溶液中に放出される。ここで、有機溶剤および検体溶
液に存在するカチオン(1)の濃度には平衡関係が成立
する。そのため、カチオン(1)の有機溶剤中からの放
出は、検体溶液中に存在するカチオン(1)により抑制
される。この抑制の程度は検体溶液中のカチオン(1)
濃度に依存し、検体溶液中のカチオン(1)濃度が高い
ほど抑制の程度は大きい。カチオン(1)が放出されな
いかぎりカチオン(2)の有機溶剤中への取り込みがな
されないため、結果としてカチオン(2)が有機溶剤中
に取り込まれる量は検体溶液中のカチオン(1)の濃度
に依存する。即ち検体溶液中のカチオン(1)の濃度が
高いときには色素の吸光度は小さく、逆に検体溶液中の
カチオン(1)の濃度が低いときには色素の吸光度は大
きくなる。
【0052】カチオン(1)とカチオン(3)が異なる
カチオンである場合は以下の様にして光吸収スペクトル
が変化する。即ち、検体溶液と本発明のカチオン測定具
(A)又は(B)を接触させると、カチオン(3)が有
機溶剤中のイオノフォアと錯体を形成することにより、
有機溶剤中に取り込まれる。同時に検体溶液中のカチオ
ン(2)も有機溶剤中の色素と錯体を形成することによ
り有機溶剤中に取り込まれる。この時に有機溶剤中の電
気的中性を保つためにカチオン(1)が有機溶剤中から
放出される。検体溶液中から有機溶剤中に取り込まれる
カチオン(2)とカチオン(3)の比は検体溶液中での
カチオン(2)とカチオン(3)の濃度およびカチオン
(3)とイオノフォアの錯体の生成定数およびカチオン
(2)と色素の錯体の生成定数により決定される。一方
のカチオンの検体溶液中での濃度が高くなると、そのカ
チオンの取り込まれる量は多くなり、他方のカチオンが
取り込まれる量は少なくなる。また、取り込まれるカチ
オン(2)とカチオン(3)の総電荷量は放出されるカ
チオン(1)の総電荷量に等しい。放出されるカチオン
(1)の総量は検体溶液中のカチオン(1)濃度および
有機溶剤中のカチオン(1)の濃度とモル数および有機
溶剤と検体溶液との間のカチオン(1)の平衡分配係数
により決定される。たとえば、検体溶液中のカチオン
(1)の濃度が高ければ有機溶剤から放出されるカチオ
ン(1)の量は少なく、また、取り込まれるカチオン
(2)とカチオン(3)の総量も少なくなる。結果とし
て、色素の光吸収スペクトルの変化即ち、カチオン
(2)と色素の錯体の形成量は、検体溶液中のカチオン
(1)の濃度およびカチオン(2)の濃度およびカチオ
ン(3)の濃度により決定されるといえる。ここで検体
溶液中のカチオン(1)およびカチオン(2)の濃度を
一定にすれば、カチオン(3)の濃度の定量が行える。
【0053】本発明のカチオン測定具(A)又は(B)
を用いて未知濃度のカチオン(2)を測定する場合、カ
チオン(1)とカチオン(3)は同一のカチオンであっ
てもよいし、異なるカチオンであってもよい。ただし、
カチオン(1)とカチオン(3)が異なるカチオンであ
る場合には、イオノフォアとカチオン(3)の錯体の生
成定数はイオノフォアとカチオン(1)の錯体の生成定
数よりも大きく、かつ、カチオン(1)の検体溶液中で
の濃度は各測定毎に一定である必要がある。
【0054】カチオン(1)とカチオン(3)が同一の
カチオンである場合、光吸収スペクトルの変化は以下の
様にして起きる。検体溶液と本発明のカチオン測定具
(A)又は(B)を接触させると、検体溶液中のカチオ
ン(2)が本発明のカチオン測定具(A)又は(B)内
の色素と錯体形成することにより有機溶剤中に取り込ま
れる。この時に色素とカチオン(2)の錯体の光吸収ス
ペクトルが変化する。と同時に、有機溶剤中の電気的中
性を保つためにイオノフォアと錯体を形成しているカチ
オン(1)が検体溶液中に放出される。ところで、カチ
オン(1)が検体溶液中に存在する場合は、これまでに
述べた同じ理由により有機溶剤中からのカチオン(1)
の放出は抑制される。検体溶液中でのカチオン(1)の
濃度は一定にしてあるので、この放出抑制の程度は一定
である。そのため、カチオン(2)の濃度が高いときに
は色素の吸光度は大きく、逆にカチオン(2)の濃度が
低いときには色素の吸光度は小さくななる。
【0055】カチオン(1)とカチオン(3)が異なる
カチオンである場合、光吸収スペクトルの変化は以下の
様にして起きる。
【0056】吸光度即ち、カチオン(2)が有機溶剤に
取り込まれる量は、先に述べた同じ理由により、検体溶
液中のカチオン(1)の濃度およびカチオン(2)の濃
度およびカチオン(3)の濃度により決定される。ここ
で検体溶液中のカチオン(1)およびカチオン(3)の
濃度を一定にすれば、カチオン(2)の濃度の定量が行
える。即ち、カチオン(2)の検体溶液中での濃度が大
きいと、有機溶剤に取り込まれる量も大きいので、吸光
度も大きくなる。
【0057】本発明のカチオン測定具は、検体溶液に浸
す、あるいは検体溶液をカチオン測定具上に小量滴下す
る等の方法により検体溶液と接触させる。その結果、測
定具に光吸収スペクトル変化が生じる。このスペクトル
変化は反射光吸収スペクトル、透過光吸収スペクトル等
を測定することにより数値化することができる。具体的
な測定方法としては、例えば本発明のカチオン測定具を
用いて、測定対象とするカチオンの複数の既知濃度の検
体溶液を用意し各々の光吸収スペクトルを測定して、あ
らかじめカチオン濃度と特定の波長の吸光度との間の検
量線を作成しておく。その後未知濃度検体溶液吸光度の
測定を行うことにより、該吸光度から未知濃度検体溶液
中のカチオン濃度を知ることができる。
【0058】
【発明の効果】本発明のカチオン測定具の光吸収スペク
トルの変化機構については上記に述べた通りである。
【0059】本発明のカチオン測定具は、イオノフォア
とカチオン(1)からなる錯体、及びカチオン(2)と
錯体を形成することにより光吸収スペクトルが変化する
色素を含有した有機溶剤を用いるので、検体溶液中の特
定カチオンの濃度の定量を行うことができる。
【0060】また、特定のカチオンと選択的に錯体を形
成するイオノフォア及び色素を用いるので、検体溶液中
の他のイオンの妨害が少なく測定することができ、誤差
の少ない測定ができる。本発明のイオン濃度測定具は、
更に特定カチオンと錯体を形成することにより光吸収ス
ペクトルが変化する色素を用いるため、pHの影響を受け
にくい。
【0061】更にまた、有機溶剤と検体溶液との間のイ
オン交換を行い色素とカチオンの錯体を形成するため、
従来の抽出のみを利用したカチオン測定具よりも速く光
吸収スペクトルが変化し、測定を迅速に行うことができ
る。
【0062】特に、本発明のカチオン測定具は、その光
吸収スペクトルの変化応答の速度が大きいため、測定具
の光吸収スペクトルの変化応答は速やかに終了し、イオ
ン濃度の測定の結果を迅速に知ることができ、緊急性の
高い測定の場合、すなわち救急医療の現場や手術室にお
ける血中イオン濃度測定においては多大なる利益をもた
らす。また、一般の臨床検査においても限られた時間内
の血清あるいは尿検体の測定数を増大せしめることとな
り、作業の効率化および診断の円滑化をもたらす。
【0063】又、本発明のカチオン測定具はpHによる影
響を受けにくいため、尿検体のようにpHの変動が激しい
検体溶液を測定する際にも正確な結果を得ることができ
るという特長を有する。
【0064】以上の点で、本発明の工業的価値は極めて
大きい。
【0065】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するため、以下
に実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。
【0066】実施例1 カリウムイオノフォアとしてバリノマイシン5.2mg(4.6
μmol)、カチオン(1)を含む化合物としてカリウム
テトラキス(4-クロロフェニル)ボレート2.2mg(4.2μ
mol)、亜鉛(II)イオンと錯体を形成して光吸収スペクト
ルが変化する色素として2-(5-ブロモ-2-ピリジルアゾ)-
5-ジエチルアミノフェノール0.7mg(2.0μmol)、有機溶
剤としてo-ニトロフェニルオクチルエーテル80mg、添加
物としてポリ塩化ビニル8.0mgをテトラヒドロフラン2.0
mlに溶解させた。この溶液45μlを1.5cm角ろ紙(東洋ろ
紙株式会社 No.7)に含浸させた後に室温で乾燥させ、
カチオン測定具を作成した。このカチオン測定具を図1
に示す反射吸光スペクトル測定装置に装着し、塩化亜鉛
濃度1mM、塩化カリウム濃度0.1mMの水溶液50μlを滴下
し、そのときの波長550 nmでの反射吸光度変化を測定し
た。結果を図2に示した。滴下直後から、応答が終了す
るまでに要した時間は2分以内であった。
【0067】比較例1 亜鉛(II)イオンと錯体を形成して光吸収スペクトルが変
化する色素として2-(5-ブロモ-2-ピリジルアゾ)-5-ジメ
チルアミノフェノール0.7mg(2.0μmol)、有機溶剤とし
てo-ニトロフェニルオクチルエーテル80mg、添加物とし
てポリ塩化ビニル8.0mgをテトラヒドロフラン2.0mlに溶
解させた。この溶液を45μlを1.5cm角ろ紙(東洋ろ紙株
式会社 No.7)に含浸させた後に室温で乾燥させ、カチ
オン測定具を作成した。このカチオン測定具を図1に示
す反射吸光スペクトル測定装置に装着し、塩化亜鉛濃度
1mM、塩化カリウム濃度0.1mMの水溶液50μlを滴下し、
そのときの波長550 nmでの反射吸光度変化を測定した。
結果を図3に示した。滴下直後から2分経過しても吸光
度は変化し続け、応答は終了しなかった。
【0068】実施例1および比較例1から、イオノフォ
アとカチオン(1)からなる錯体、およびカチオン
(2)と錯体を形成することにより光吸収スペクトルが
変化する色素が有機溶剤に含有されている場合に、迅速
な光吸収スペクトルの変化応答が得られることが分かっ
た。
【0069】実施例2 ナトリウムイオノフォアとして5,11,17,23-テトラ-t-ブ
チル-25,26,27,28- テトラキス(エトキシカルボニル)
-メトキシ-カリックス[4]アレン2.3mg(2.3μmol)、カ
チオン(1)の塩としてナトリウムテトラキス[3,5-ビ
ス(トリフルオロメチル)フェニルボレート2.0mg(2.3μm
ol)、銅(I)イオンと錯体を形成して光吸収スペクトルが
変化する色素としてバソクプロイン0.8mg(2.3μmol)、
有機溶剤としてo-ニトロフェニルオクチルエーテル80m
g、添加物としてポリ塩化ビニル8.0mgをテトラヒドロフ
ラン2.0mlに溶解させた。この溶液45μlを1.5cm角ろ紙
(東洋ろ紙株式会社 No.7)に含浸させた後に室温で乾
燥させ、カチオン測定具を作成した。このカチオン測定
具を図1に示す反射吸光スペクトル測定装置に装着し、
各種濃度の銅(I)イオンおよび0.1mMの塩化カリウムを含
む水溶液50μlを滴下し、そのときの波長480 nmでの反
射吸光度を測定した。銅(I)イオンの水溶液は分析化学
第40巻(1991年)227〜231ページに従い調製し
た。吸光度と塩化銅濃度の関係を図4に示した。
【0070】0.1mMから10mMの濃度範囲で、吸光度と銅
(I)イオン濃度の間に正の相関があり、また、特にpH緩
衝を行う必要もなく、本発明のカチオン測定具を用いて
銅イオンの定量が行えることが分かった。
【0071】実施例3 カリウムイオノフォアとしてビス[(ベンゾ-15-クラウ
ン-5)-4'-ヒドロキシメチル]ピメレート3.4mg(4.6μmo
l)、カチオン(1)の塩としてナトリウムテトラキス
[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート4.0m
g(4.6μmol)、コバルト(II)イオンと錯体を形成して光
吸収スペクトルが変化する色素として2-(3,5-ジブロモ-
2-ピリジルアゾ)-5-ジエチルアミノフェノール0.9mg(2.
1μmol)、有機溶剤としてo-ニトロフェニルオクチルエ
ーテル80mg、添加物としてポリ塩化ビニル8.0mgをテト
ラヒドロフラン2.0mlに溶解させた。この溶液を45μlを
1.5cm角ろ紙(東洋ろ紙株式会社 No.7)に含浸させた
後に室温で乾燥させ、カチオン測定具を作成した。この
カチオン測定具を図1に示す反射吸光スペクトル測定装
置に装着し、1mMの塩化コバルト(II)、種々の濃度の塩
化カリウムまたは塩化ナトリウムを含む水溶液50μlを
滴下し、そのときの波長590 nmでの反射吸光度を測定し
た。吸光度と塩化銅濃度の関係を図5に示した。
【0072】おおよそ1mM〜100mMの濃度範囲で、吸光度
とカリウムイオン濃度の間に正の相関があり、本発明の
カチオン測定具を用いてカリウムイオン濃度の定量が行
えることが分かった。またナトリウムイオンに対しては
カリウムイオンよりも高濃度側でないと発色が起きず、
本発明のカチオン測定具は特定のイオンに対して選択的
に発色応答をすることが示された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例、比較例で用いた反射吸光度スペクト
ル測定装置の構成を示す概略図である。
【図2】 実施例1において測定した水溶液の滴下直後
から経過した時間と測定された吸光度との関係を示す図
である。
【図3】 比較例1において測定した水溶液の滴下直後
から経過した時間と測定された吸光度との関係を示す図
である。
【図4】 実施例2において測定した銅(I)イオン濃度
と測定された吸光度の関係を示す図である。
【図5】 実施例3において測定したナトリウムイオン
濃度およびカリウムイオン濃度と測定された吸光度の関
係を示す図である。
【符号の説明】
1 キセノンランプ 2 集光レンズ 3 投光用光ファイバー 4 台(ガラス板) 5 本発明のカチオン測定具 6 受光用光ファイバー 7 瞬間マルチ測光装置(大塚電子株式会社製 MCPD-1
000型) 8 データ処理装置(大塚電子株式会社製)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオノフォアとカチオン(1)からなる
    錯体、およびカチオン(2)と錯体を形成することによ
    り光吸収スペクトルが変化する色素を難水溶難揮発性有
    機溶剤中に含有してなることを特徴とするカチオン測定
    具(A)。
  2. 【請求項2】 イオノフォアとカチオン(1)からなる
    錯体、およびカチオン(2)と錯体を形成することによ
    り光吸収スペクトルが変化する色素を難水溶難揮発性有
    機溶剤中に含有した有機液層が、担体マトリックス中に
    包含されてなることを特徴とするカチオン測定具
    (B)。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のカチオン測定具
    を未知濃度のカチオン(3)および一定濃度のカチオン
    (2)を含む検体溶液と接触させてカチオン(2)と色
    素の錯体を形成させ、次いで該錯体の形成量に起因する
    吸光度を測定することにより検体溶液中のカチオン
    (3)の含有量を決定することを特徴とするカチオンの
    定量方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載のカチオン測定具
    を未知濃度のカチオン(2)および一定濃度のカチオン
    (3)を含む検体溶液と接触させてカチオン(2)と色
    素の錯体を形成させ、次いで該錯体の形成量に起因する
    吸光度を測定することにより検体溶液中のカチオン
    (2)の含有量を決定することを特徴とするカチオンの
    定量方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6372509B1 (en) * 1998-03-18 2002-04-16 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Navy Situ copper (I)

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