JPH0761981B2 - メタクリル酸蒸留缶残液の処理方法 - Google Patents

メタクリル酸蒸留缶残液の処理方法

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JPH0761981B2
JPH0761981B2 JP62029716A JP2971687A JPH0761981B2 JP H0761981 B2 JPH0761981 B2 JP H0761981B2 JP 62029716 A JP62029716 A JP 62029716A JP 2971687 A JP2971687 A JP 2971687A JP H0761981 B2 JPH0761981 B2 JP H0761981B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はメタクリル酸蒸留残液の処理方法に関する。さ
らに詳しくはメタクリル酸を主成分として含有する蒸留
缶残液からメタクリル酸をメタクリル酸メチルとして有
効に回収するためのメタクリル酸蒸留缶残液の処理方法
に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする問題点〕
イソブチレン、第3級ブタノール、メタクロレインまた
はイソブチルアルデヒドを、水蒸気の存在下に分子状酸
素で1段または2段の反応で接触酸化して得られるメタ
クリル酸は、抽出及び蒸留などの通常の精製手段で高純
度の製品とすることをができる。
しかし、最終的にメタクリル酸を得るまでには、メタク
リル酸水溶液からアルデヒト類およびケトン類等の軽沸
騰点成分の除去、抽出処理後の溶剤回収、メタクリル酸
より低沸点の酸の分離、そして高沸点成分の分離工程
等、幾度となく加熱状態に曝される。そのため各工程の
処理は、フェノチアジン、ベンゾフェノチアジン、ハイ
ドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチ
レンブルーおよび分子状酸素などの従来公知の重合禁止
剤の存在下に遂行されてはいるが、メタクリル酸等の重
合を完全に抑制することはできず、工程を経るごとに高
沸点成分、メタクリル酸等の重合物および重合禁止剤等
が徐々に蓄積され、最終工程では無視できない量となっ
ている。
このような缶残液中の高沸点成分としては、マレイン
酸、シトラコン酸、安息香酸、トルイル酸、トリメリッ
ト酸等の酸類、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド等の
アルデヒド類が含まれ、また重合物としてはメタクリル
酸やメタクロレインの重合物が含まれる。メタクリル酸
を精留留去した後の缶残液中にはこれらの高沸点成分、
重合物、重合禁止剤等が相当量存在するため、メタクリ
ル酸の留出率、すなわち、留出量/供給量の割合を高く
しすぎると、メタクリル酸の純度が低下し、同時に缶部
の液粘度が上昇し、塔底リボイラーの熱効率の悪化、さ
らにはメタクリル酸等の重合を助長する結果となる。特
に高沸点酸類は缶部で結晶化して析出し易く安定な操業
を妨げる結果となる。
そこで、必然的にメタクリル酸の留出率をある範囲以下
に抑えることにより、缶残液として重合物を含む高沸点
成分と共に相当量のメタクリル酸を排出することにな
る。したがって、該缶残液を廃棄または焼却することは
メタクリル酸の損失をまねき、ひいては原単位の悪化お
よびコスト増につながるために、何等かの方法でこれら
のメタクリル酸の回収を計らなければならなかった。
従来、一般的な方法として、蒸発缶等による缶残液の再
蒸発によりメタクリル酸を回収するか、または有機溶剤
抽出によりメタクリル酸を回収する方法が考えられてき
た。しかし、前者は回収率の悪さやメタクリル酸の重合
に起因する操作上の問題などがあり、また後者は抽出溶
剤により多量の浮滓が生成し、エマルジョン化や抽出塔
のフラッディングが発生するなど、いずれも有効な方法
とは言えない。
〔問題を解決するための手段〕
本発明者らは上記した問題点に着目し、メタクリル酸を
蒸留分離した後の重合物および高沸点成分を含む缶残液
からメタクリル酸を効果的に回収する方法について鋭意
検討した結果、本発明に係る特有の不純物を含む缶残液
に対しては、メタクリル酸メチルとして回収する方法が
優れていることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明はイソブチレン、第3級ブタノール、
メタクロレインまたはイソブチルアルデヒドを水蒸気の
存在下に分子状酸素を含有するガスにより接触酸化し、
この酸化生成物を冷却することによって得られるメタク
リル酸水溶液から溶媒によりメタクリル酸を抽出し、該
溶媒を分離回収したのち軽沸点成分を次いでメタクリル
酸を蒸留分離し、なほ缶残液に残存するメタクリル酸を
回収するに当り、メタクリル酸60〜95重量%、高沸点物
3〜30重量%および重合物1〜10重量%からなる缶残液
を強酸性陽イオン交換樹脂の存在下にメタクリル酸に対
して2〜5倍モル量のメタノールにより85〜95℃でエス
テル化し、生成したメタクリル酸メチルを蒸留回収する
ことを特徴とするメタクリル酸蒸留缶残液の処理方法で
ある。
〔発明の具体的説明〕
本発明の方法が対象とする缶残液は、イソブチレン、第
3級ブタノール、メタクロレイン、またはイソブチルア
ルデヒドを水蒸気の存在下に分子状酸素を含有するガス
により常法により接触酸化し、この酸化生成物を冷却す
ることによって得られるメタクリル酸水溶液を、溶媒に
よるメタクリル酸の抽出、溶媒の回収、軽沸騰点成分の
除去等を行った粗メタクリル酸から常法によってメタク
リル酸を蒸留分離した缶残液である。
本発明の方法における缶残液の組成は、メタクリル酸60
〜95重量部、高沸点物3〜30重量部および重合物1〜10
重量部の範囲の全体として100重量部となる割合のもの
である。
本発明の方法は小量の缶残液を回分処理する際にも適用
できるが、一般には工業的に大量規模で行なわれるメタ
クリル酸製造プロセスにおいて排出される缶残液を、連
続処理する方法として特に優れている。
本発明の目的は、缶残液中のメタクリル酸を有害不純物
を含むことなくワンパスで効率よく回収することであ
り、さらには高沸点ないし非発揮性残査を、例えば缶出
液として排出する際の工程トラブルを起こすことなく高
濃度に排出させることにある。そのためには缶残液中の
カルボン酸類を高い転化率でメチルエステル化すること
が必要である。本発明の方法によれば有害不純物をほと
んど含まないメタクリル酸メチルが高収率で蒸留回収で
きると同時に缶残液の性状が改良されトラブルなく安定
操業が可能となる。
本発明において使用する強酸性陽イオン交換樹脂はスル
ホン酸基を有するイオン交換樹脂であり、母体構造はス
テレン系で、マクロポーラス型であることが好ましく、
例えばダイヤイオンPK228,PK221,PK−216(三菱化成
(株))、レバチットSP−120,SP−112(バイエル
社)、アンバーライト252(ロームアンドハース社)等
の商品名を挙げることができる。そしてこれらの樹脂は
通常、空間速度として0.5〜2.0hr-1の速度の反応液と接
触させてエステル化反応させることができる。
エステル化反応におけるメタノールの使用量は、缶残液
の組成にもよるが通常、缶残液中のメタクリル酸に対し
て2〜5倍モル量の範囲で使用する。反応温度は85〜95
℃で行う必要があり、85℃未満では転化率が低くまた95
℃を越える場合に強酸性陽イオン交換樹脂の劣化を早め
るため採用できない。したがって反応は通常2.5〜3.5KG
/cm2の加圧下に液状で行なわれる。
即ち、本発明においては上記エステル化反応によって該
缶残液中に存在する前記高沸点成分である酸類も同様に
エステル化されるが、周知の通り通常のエステル化反応
の平衡恒数は余り大きな数ではなく、本発明におけるメ
タクリル酸および高沸点の酸類のエステル化も略同様で
ある。本発明者らの検討では、メタノールによるメチル
エステル化の場合には、メタクリル酸をメチルエステル
化する為の通常の反応条件において、メタクリル酸のエ
ステル化率より高沸点の酸類のエステル化率の方が大で
あることが見出されている。したがってメタクリル酸の
エステル化率を高めるために前記反応温度が特に設定さ
れる。この条件においては高沸点成分の酸類はよりエス
テル化率が進み缶残液はエステル生成物が主成分となる
ため、液性が改善されその後の取扱いも容易となる。一
方、イオン交換樹脂を高温域で使うことは一般に好まし
くないが、本発明の如き挟雑物の多い缶残液を処理する
場合は、該樹脂の触媒活性点が著しく阻害されるため特
に本発明の温度設定が重要となる。
エステル化反応した缶残液は、常法に従って蒸留するこ
とによりメタクリル酸メチル、メタノールおよび水を主
成分とする流出液として回収することができる。この蒸
留液中にはメタクリル酸メチルとの分離が困難な物質は
ほとんど留出しない。エステル化反応後蒸留によって回
収したメタクリル酸メチルを主成分とする留出液は、メ
タクリル酸からのメタクリル酸メチルを生産する工程の
適所、たとえばエステル化塔(槽)から排出される流れ
に供給することによりメタクリル酸メチル、メタノー
ル、および水を分離し精製することができる。またメタ
クリル酸メチルを蒸留回収したあとの缶残液は適度の流
動性を有するので容易に排出することができる。
〔発明の効果〕
本発明の処理方法によれば、従来缶残液として高沸点成
分および重合物とともに廃棄または焼却されていたメタ
クリル酸をメタクリル酸メチルとして容易に、かつ効率
良く回収することができる。さらに、缶残液中のメタク
リル酸は有害不純物をほとんど含むことなく回収でき、
また最終的に得られる缶出液は配管閉鎖等のトラブルを
起すことなく、液状で安定して排出することができる。
〔実施例〕
強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化成工業(株)製、ダイ
ヤイオンPK−228)を常法により塩酸を用いて水素型に
イオン交換したのちエステル化反応器に2充填した。
イソブチレンの接触酸化反応によって得られた粗メタク
リル酸を、精密蒸留した缶残液(メタクリル酸88.84
%、安息香酸2.01%、パラトルイル酸0.86%、その他揮
発成分0.71%、重合禁止剤4.88%、非揮発成分2.69%、
各重量%)に、該缶残液中のメタクリル酸に対して3倍
モル量のメタノールを混合した第1表のフィード原液を
エステル化反応器へ空間速度1.0hr-1で供給し、90℃で
エステル化反応を行い、同じく第1表に示す組成のエス
テル化反応生成物を得た。
エステル化反応器からとり出された反応生物を塔径25m
m,段数20段のガラス製オールダーショウ型蒸留塔に供給
し、メタクリル酸メチルを回収し第2表に示す組成の留
出液を得た。
比較例1 温度を種々変えた以外は実施例1と同様の方法でエステ
ル化を行い、同じく第3表に示す組成のエステル化反応
物を得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 57/07 67/48 (72)発明者 梶栗 勉 大阪府高石市西取石3−8−7−716 (72)発明者 磯部 剛士 大阪府高石市綾園7−4−33 (56)参考文献 特開 昭49−45020(JP,A) 特公 昭46−15606(JP,B1) 特公 昭48−1369(JP,B1)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イソブチレン、第3級ブタノール、メタク
    ロレインまたはイソブチルアルデヒドを水蒸気の存在下
    に分子状酸素を含有するガスにより接触酸化し、この酸
    化生成物を冷却することによって得られるメタクリル酸
    水溶液から溶媒によりメタクリル酸を抽出し該溶媒を分
    離回収したのち軽沸点成分を次いでメタクリル酸を蒸留
    分離し、なお缶残液に残存するメタクリル酸を回収する
    に当り、メタクリル酸60〜95重量%、高沸点物3〜30重
    量%および重合物1〜10重量%からなる缶残液を強酸性
    陽イオン交換樹脂の存在下にメタクリル酸に対して2〜
    5倍モル量のメタノールにより85〜95℃でエステル化
    し、生成したメタクリル酸メチルを蒸留回収することを
    特徴とするメタクリル酸蒸留缶残液の処理方法。
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