JPH0761503B2 - 曲げ加工機の金型クランプ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、曲げ加工機の金型クランプ装置に関し、更に
詳しくは、下部金型と協働して被加工物をＶ字形に折り
曲げる上部金型を支持部材にクランプする装置に関す
る。

［従来の技術］ 従来、プレス工程で被加工物を曲げ加工する機械ににお
いて、下部金型と協働して被加工物をＶ字形状に折り曲
げるため、いわゆるプレスブレーキはＶ字形の凸形形状
を形成した上部金型を備えている。

この上部金型は、プレス機本体の上部に装着した固定エ
プロンの下端部に設けた支持部材と締め金を複数個の締
結部材（例えばボルト等）により挾持固着していた。

［発明が解決しようとする課題］ 上述のごとき従来のクランプ型式にあっては、金型変換
時に支持部材より取外しまたは取付けを行うので、機械
が大型となればなるほど多くの締め金を操作する必要が
ある。

この締め金を固着する締結ボルトも多量となり、締めた
り弛めたりする作業に多大の時間を要した。

このような問題点を解決するために、油圧シリンダを使
用して金型をクランプあるいはアンクランプする方法も
考えられているが、シリンダ本体が締め金より突出し、
折り曲げ時に被加工物が当る等の不都合があるのが現状
である。

本発明は上述した問題点に鑑み創案されたものである。

従って本発明の目的は、上部金型のクランプ方法とし
て、流体圧を使用した袋体の作動によって、締め金をク
ランプあるいはアンクランプすることにより、工数の大
幅な削減を図った曲げ加工機の金型クランプ装置を提供
することにある。

［課題を解決するための手段］ 前述のごとき従来の問題に鑑みて、本発明は、曲げ加工
機における上部エプロンの下部に装着した支持部材の前
側に前側の締め金を前後方向へ揺動自在に装着して設
け、この前側の締め金の下部と前記支持部材との間に上
部金型を挾持固定自在に設け、前記前側の締め金の上部
と前記支持部材との間に、作動流体の供給を受けて前側
の締め金の上部を前側へ押圧する袋体を設けてなる金型
クランプ装置にして、前記支持部材を前後動自在に貫通
した係合ピンの前端部に前記前側の締め金を揺動自在に
支承して設け、かつ上記係合ピンの後端部に後側の締め
金を揺動自在に支承して設けると共に後側の締め金と支
持部材との間にスペーサ又は上部金型を挾持可能に設
け、前側の締め金と後側の締め金とを前記係合ピンを介
して連動する構成としてなるものである。

［実施例］ 以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ具体的に説明
する。

例えば第９図および第10図は本発明を実施したプレスブ
レーキで、機体１の下部に油圧シリンダ３によって上下
動する可動エプロン５を設け、この可動エプロン５の上
部に支持部材７を介し下部金型９を固着する。

更に、機体１の上部に装着した固定エプロン11の下端部
に支持部材13を介し上部金型15が固着され、この上部金
型15と前記下部金型９との間で協働して被加工物Ｗの曲
げ加工を行なう。

なお、上部金型15および下部金型９を固着するためのク
ランプ装置17および19が複数個所配設してある。

次に本実施例に係るクランプ装置17について、第１図乃
至第７図に示した一実施例について更に詳細に説明す
る。

図外の機体１の上部に装着した固定エプロン11（一部図
示省略）の下端部に、支持板21を介し支持部材13をボル
ト23等にて固着し、この支持部材13の表側（第２図にお
いて右側）長手方向に弾性体で成形された袋体25（例え
ばゴムチューブ等）を内設してある。

この袋体25の両端開口部は、フランジ27を備えフランジ
27の外周に厚肉のシール部29を形成してある。

なお、袋体25に設けたシール部29は、支持部材13の両端
に固着したスペーサ31と、給油口33およびプラグ35を備
えたフランジ37および39との間に狭圧装着され、作動流
体としての圧油の漏れを防ぐ構成となっている。

表側（第２図にて右側）の締め金41Aは、裏側の締め金4
1Bと協働して上部金型15を挾持する。

挾持構成は、支持部材13に内設した袋体25の下方に、且
つ、締め金41A,41Bの中央附近（第２図参照）に、複数
個の係合ピン43が支持部材13を貫通してある。

この係合ピン43に螺着したボルト45により締め金41Aが
装着されるが、ボルトの頭部に球面状をした球面座47を
備え、この球面座47と摺接する球面状の曲面49を締め金
41Aに設けて係止されている。

また、締め金41Bは、係合ピン43の先端に設けた球面座5
1と摺動自在に係合した曲面53を設けて係止されてい
る。

表側（第２図にて右側）の締め金41Aの構成は、締め金4
1Aの上部裏側に凸部55が設けてあり、この凸部55はスペ
ーサ57を介し袋体25と接離自在となり、この凸部55とス
ペーサ57との間隔調整用としてビス59が締め金41Aに複
数個設けてあり、当接限界位置の設定がなされる。（第
３図参照） また、締め金41Aと支持板21との間には、位置調整用の
ビス61が支持板21に複数個設けられ、更に複数個の弾機
63がビス61と同列に配設されている。

そして常時締め金41Aを、前記係合ピン43に螺着したボ
ルト45の球面にそって揺動させ、スペーサ57を介し袋体
25を押圧するよう付勢してある。

また、支持部材13には、係合ピン43の中心水平線上に複
数個の弾機65が内装され、常に締め金41Aに設けた曲面4
9とボルト45に設けた球面座47とが当接するよう付勢し
てある。（第３図参照） 更に、締め金41Aの下部近傍に上部金型15を挾持する当
接面67と、金型落下防止装置69が設けられている。

この金型落下防止装置69は、上部金型15に設けれた係止
溝71に係合する止め板73が、締め金41Aに設けた溝内を
移動自在に装着され、締め金41Aに内設した弾機75によ
り止め板73を常に上部金型15と係合する方向に付勢して
いる。

なお、上部金型15との離脱手段は、ハンドル77を前面側
に引張り弾機75を圧縮することにより止め板73が上部金
型15の係止溝71より離脱できる。

このハンドル77の止め用としてピン78が締め金41Aに設
けてある。

裏側（第２図にて左側）の締め金41Bの構成は、下部に
スペーサ79を係止する凹部81および当接面83を備えてい
る。

更に、締め金41Bの上部裏面（第２図にて右面）には、
支持部材13に当接するピン85が溝内に固着されている。

このピン85の近傍に複数個所に弾機87が設けられ、この
弾機87は、締め金41Bに設けた孔89の底部91と支持部材1
3に取付けたボルト93に挿入されたワッシャ95との間に
設けられ、常に締め金41Bを支持部材13側に付勢してい
る。

また、前述した締め金41Aと同様に支持部材13には、係
合ピン43の水平中心線上近傍に弾機97が内装され、常に
締め金41Bに設けた曲面53と係合ピン43に設けた球面座5
1とが当接するよう付勢してある。

更に、支持部材13の上面と固定エプロン11との間には楔
99が嵌挿され、この楔99を移行させることにより、プレ
ス時の応力による機械的歪とか、被加工物の塑性、弾性
と関係してプレスされた被加工物Ｗに発生する撓み等を
修正することができる。

以上の構成によりその作用として第８図に示す油圧回路
図を含めて説明する。

上部金型15をクランプする場合。

金型落下防止装置69のハンドル77を操作し、上部金型15
に設けた溝71へ止め板73を挿入させ支持部材13に上部金
型15を仮止めする。

次にポンプ101を始動すると、同時に電磁弁103のソレノ
イド1aがONとなり、作動流体としての圧油は管路を通り
可撓管105を経て支持部材13に設けたフランジ37の給油
口33より袋体25の内部に供給される。

袋体25は流入油により膨脹し、スペーサ57を介し弾機63
の押力に抗して締め金41Aの上部を前側へ押圧する。

この締め金41Aはボルト45の頭部に設けた球面座47によ
り揺動し、第２図にて時計回り方向へ動き支持部材13と
締め金41Aの当接面67との間に挿入された上部金型15を
押圧する。

更に、締め金41Aの上部が押されると、ボルト45と一体
的に締結された係合ピン43が引張られ、締め金41Bはピ
ン85を支点として第２図にて反時計回り方向へ揺動し、
弾機87の押力に抗して挿着されたスペーサ79を押圧固着
する。

更に流体圧を上昇させると、袋体25内に充満した圧力の
すべてが締め金41Aに附加されるので上部金型15を強固
に装着することができる。

なお、設定圧力に達すると圧力スイッチ107によりポン
プ101は停止し、ソレノイド1aはOFFとなり電磁弁103は
中立の位置に戻る。

然し、管路内の圧力が設定値以下となると、圧力スイッ
チ107により再度ポンプ101は始動して常に所定の圧力を
保持する。

上部金型15をアンクランプする場合。

電磁弁105のソレノイド1bをONとし電磁弁回路を切換
え、管路内の圧油をタンク109に戻す。

管路内の圧油が抜けることにより袋体25内の圧油も抜け
るので、締め金41Aは弾機63の押力により旧位置に押し
もどされる。

また、締め金41Bも弾機87の押力により旧位置に押しも
どされるので、上部金型15およびスペーサ79は圧着より
解放される。

然し、上部金型15は金型落下防止装置69により、また、
スペーサ79も締め金41Bに設けた凹部81により落下する
ことはない。

上記実施例の外に、表裏に設けた締め金を反対にするこ
とにより、上部金型を反作業者側（裏側）に取付けるこ
とが可能となり、また、下部金型のクランプ装置19とし
て使用することも可能である。

この場合、第８図の油圧回路図に示す如く、下部金型19
用の電磁弁111を設け、ポンプ101と回路を結ぶソレノイ
ド2a,2bの切換により、上述した上部金型と同様にクラ
ンプあるいはアンクランプを行なうことができる。

更に本実施例においては、下部金型が上昇して曲げ加工
を行なう型式の場合について説明したが、上部金型が下
降して曲げ加工を行なう場合に使用することも可能であ
り、一般機械の例えばワーク等の挾持手段としても使用
できることは勿論である。

［発明の効果］ 以上のごとき実施例の説明より理解されるように、要す
るに本発明は、曲げ加工機における上部エプロン11の下
部に装着した支持部材13の前側に前側の締め金41Aを前
後方向へ揺動自在に装着して設け、この前側の締め金41
Aの下部と前記支持部材13との間に上部金型15を挾持固
定自在に設け、前記前側の締め金41Aの上部と前記支持
部材13との間に、作動流体の供給を受けて前側の締め金
41Aの上部を前側へ押圧する袋体25を設けてなる金型ク
ランプ装置にして、前記支持部材13を前後動自在に貫通
した係合ピン43の前端部に前記前側の締め金41Aを揺動
自在に支承して設け、かつ上記係合ピン43の後端部に後
側の締め金41Bを揺動自在に支承して設けると共に後側
の締め金41Bと支持部材13との間にスペーサ79又は上部
金型15を挾持可能に設け、前側の締め金41Aと後側の締
め金41Bとを前記係合ピン43を介して連動する構成とし
てなるものである。

上記構成より明らかなように、本発明においては、支持
部材13の前後両側に締め金41A,41Bを備えた構成である
から、被加工物の曲げ形状に対応して上部金型15の前後
を反転して支持部材13の前側あるいは後側に工具を用い
ることなしに容易に装着することができるものである。
この場合、前後の締め金41A,41Bは係合ピン43を介して
連動してあるから、上部金型15を締付けるための駆動源
としては唯一の袋体25でよいものであり、構成が簡単な
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第７図は本発明に係るクランプ装置の実施例
を示し、第１図は正面図、第２図は第１図のII−II線矢
視における断面図、第３図は第１図のIII−III線矢視に
おける断面図、第４図は第１図のIV−IV線矢視における
一部断面を含む下面図、第５図は第１図のＶ−Ｖ線矢視
における側面図、第６図は裏面図、第７図は第２図の拡
大断面図、第８図は本発明に係る油圧回路説明図、第９
図および第10図は本発明を実施したプレスブレーキを示
し、第９図は正面図、第10図は第９図のＸ−Ｘ線矢視に
おける断面図である。 図面の主要な部分を表わす符号の説明 ９……下部金型、13……支持部材、15……上部金型、25
……袋体、41A,41B……締め金、Ｗ……被加工物

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】曲げ加工機における上部エプロン（11）の
   下部に装着した支持部材（13）の前側に前側の締め金
   （41A）を前後方向へ揺動自在に装着して設け、この前
   側の締め金（41A）の下部と前記支持部材（13）との間
   に上部金型（15）を挟持固定自在に設け、前記前側の締
   め金（41A）の上部と前記支持部材（13）との間に、作
   動流体の供給を受けて前側の締め金（41A）の上部を前
   側へ押圧する袋体（25）を設けてなる金型クランプ装置
   にして、前記支持部材（13）を前後動自在に貫通した係
   合ピン（43）の前端部に前記前側の締め金（41A）を揺
   動自在に支承して設け、かつ上記係合ピン（43）の後端
   部に後側の締め金（41B）を揺動自在に支承して設ける
   と共に後側の締め金（41B）と支持部材（13）との間に
   スペーサ（79）又は上部金型（15）を挾持可能に設け、
   前側の締め金（41A）と後側の締め金（41B）とを前記係
   合ピン（43）を介して連動する構成としてなることを特
   徴とする曲げ加工機の金型クランプ装置。