JPH07612U - 両面加工用チップ付き孔明け工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 孔明け加工時において、同時に貫通孔の両端
部にそれぞれ面取りあるいは座ぐり加工を円滑にかつ確
実に施すことができる両面加工用チップ付き孔明け工具
を提供することを目的とする。 【構成】 ドリル本体１の先端の刃部２によって被削材
１０に孔明け加工を施し、両面加工用チップ６の表面面
取り用切刃６ｃにより表面部１１ａを加工すると共に、
貫通孔１１の内壁に両面加工用チップ６を押し付けるこ
とにより、両面加工用チップ６を付勢手段７に抗してド
リル本体１内の退避位置に収納して裏面側に位置させた
後、裏面加工用切刃６ｅ，６ｆにより裏面部１１ｂを加
工し、次いで、両面加工用チップ６を付勢手段７に抗し
てドリル本体１内の退避位置に収納して、貫通孔１１を
通して表面側に戻す。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、孔明け加工とともに、貫通孔の両端部にそれぞれ面取りあるいは座 ぐり加工を施す両面加工用チップ付き孔明け工具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、ドリルなどによって孔明け加工を行った場合には、ドリルが回転しな がら進行するのに伴って、被削材にあけられた貫通孔の両端部にバリが生じる。 そして、このようにして生じたバリ等を除去するために、従来から、上記貫通孔 の両端部にそれぞれ面取りあるいは座ぐり加工を施している。この場合、表面側 （入口側）の加工と裏面側（出口側）の加工とを別々の工具を用いて行う必要が ある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

このように、従来の切削工具を用いて、貫通孔を形成しかつ該貫通孔の両端部 の加工を行う場合には、複数種類の工具が必要でしかも工程が複数工程になると いう問題があった。

【０００４】 本考案は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、孔明 け加工時において、同時に貫通孔の両端部にそれぞれ面取りあるいは座ぐり加工 を円滑にかつ確実に施すことができ、１種類の工具を用いて１工程で処理ができ る両面加工用チップ付き孔明け工具を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、工具本体の先端に刃部が設けられてな る孔明け工具であって、上記工具本体の基端寄りに、両面加工用チップが、該工 具本体内に退避した退避位置から裏面加工用突出位置までの範囲内において回動 自在に設けられ、上記両面加工用チップに、該両面加工用チップを上記退避位置 から中立位置あるいは上記裏面加工用突出位置から中立位置にそれぞれ付勢する 付勢手段が設けられると共に、上記両面加工用チップの先端に、表面加工用切刃 と、該表面加工用切刃に連なる裏面加工用切刃とがそれぞれ形成されたものであ る。

【０００６】

【作用】

本考案の両面加工用チップ付き孔明け工具にあっては、工具本体を回転させな がら前進させて、工具本体の先端の刃部によって被削材に孔明け加工を施し、次 いで、付勢手段によって中立位置に設置された両面加工用チップの表面加工用切 刃を貫通孔の表面部に当接して該表面部を加工すると共に、工具本体の回転を停 止させた状態で、工具本体を前進させ、貫通孔の内壁に両面加工用チップを押し 付けることにより、両面加工用チップを付勢手段に抗して回動させ工具本体内の 退避位置に収納して、上記両面加工用チップを貫通孔を通して裏面側に位置させ た後、上記工具本体を回転させながら後退させることにより、付勢手段によって 中立位置に戻された両面加工用チップの裏面加工用切刃を貫通孔の裏面部に当接 し、かつ付勢手段に抗しながら両面加工用チップを中立位置から裏面加工用突出 位置に回動して貫通孔の裏面部を加工する。次いで、工具本体の回転を停止させ た状態で、工具本体を前進させ、両面加工用チップを中立位置に戻した後、工具 本体を後退させることにより、両面加工用チップを貫通孔の裏面加工部に当接し て、両面加工用チップを付勢手段に抗して回動させ工具本体内の退避位置に収納 して、貫通孔を通して表面側に戻す。

【０００７】

【実施例】

以下、図１ないし図９に基づいて本考案の一実施例を説明する。

【０００８】 図中符号１はドリル本体であり、このドリル本体１の先端には、回転中心近傍 に切刃のない形態のドリル刃部２が形成されている。そして、上記ドリル本体１ の中間部には、断面矩形状の空所３が形成されており、この空所３の先端寄りに はネジ孔４が形成されている。また、上記ネジ孔４には支持用ネジ５がねじ込ま れており、この支持用ネジ５には、超硬合金あるいはサーメットまたはハイスか らなる板状の両面加工用チップ６が、上記ドリル本体１の空所３内に退避した退 避位置から裏面加工用突出位置までの範囲内において回動自在に装着されている 。そして、上記両面加工用チップ６の基端部の円周面６ａに連なる一側面６ｂが 上記ドリル本体１の空所３の先端側の壁面３ａに当接することにより、上記両面 加工用チップ６の裏面加工用突出位置が規定されている。さらに、上記両面加工 用チップ６とドリル本体１との間には、該両面加工用チップ６を上記退避位置か ら中立位置あるいは上記裏面加工用突出位置から中立位置にそれぞれ付勢する一 対のスプリングなどの付勢手段７が設けられている。そして、上記両面加工用チ ップ６は、中立位置において、その先端部が基端部よりも上記ドリル本体１の基 端側に位置していると共に、両面加工用チップ６の先細状の先端部には、表面面 取り用切刃６ｃと、この表面面取り用切刃６ｃに当接用側面部６ｄを介して連な る裏面座ぐり用切刃６ｅと、この裏面座ぐり用切刃６ｅに連なる裏面面取り用切 刃６ｆとがそれぞれ形成されている。さらにまた、上記当接用側面部６ｄと上記 裏面座ぐり用切刃６ｅに連なる側面部６ｇとが鋭角に交差して構成されていると 共に、この交差している稜部６ｈは、曲率半径０．２ｍｍ以上０．８ｍｍ以下の 円弧面とされている。

【０００９】 上記のように構成された両面加工用チップ付き孔明け工具を用いて、被削材に 貫通孔を形成する場合には、まず、図１に示すように、ドリル本体１を回転させ ながら前進させて被削材１０に貫通孔１１を形成した後、付勢手段７によって中 立位置に設置された両面加工用チップ６の表面面取り用切刃６ｃを被削材１０の 貫通孔１１の表面部１１ａに当接して該表面部１１ａを加工する。次いで、図２ に示すように、ドリル本体１の回転を停止させた状態で、ドリル本体１を前進さ せ、貫通孔１１の内壁に両面加工用チップ６を押し付けることにより、両面加工 用チップ６を付勢手段７に抗して回動させドリル本体１内の退避位置に収納して 、上記両面加工用チップ６を貫通孔１１を通して裏面側に位置させた後、図３に 示すように、上記ドリル本体１を回転させながら後退させることにより、付勢手 段７によって中立位置に戻された両面加工用チップ６の裏面座ぐり用切刃６ｅを 貫通孔１１の裏面部１１ｂに当接し、かつ付勢手段７に抗しながら両面加工用チ ップ６を中立位置から裏面加工用突出位置に回動して、両面加工用チップ６の裏 面座ぐり用切刃６ｅ及び裏面面取り用切刃６ｆによって貫通孔１１の裏面部１１ ｂを加工する（図４参照）。続いて、図５に示すように、ドリル本体１の回転を 停止させた状態で、ドリル本体１を前進させ、両面加工用チップ６を中立位置に 戻した後、ドリル本体１を後退させることにより、両面加工用チップ１の先端を 貫通孔１１の裏面面取り部１１ｃに当接して、両面加工用チップ６を付勢手段７ に抗して回動させドリル本体１内の退避位置に収納して、貫通孔１１を通して表 面側に戻す（図６参照）。

【００１０】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案は、工具本体の先端に刃部が設けられてなる孔明 け工具であって、上記工具本体の基端寄りに、両面加工用チップが、該工具本体 内に退避した退避位置から裏面加工用突出位置までの範囲内において回動自在に 設けられ、上記両面加工用チップに、該両面加工用チップを上記退避位置から中 立位置あるいは上記裏面加工用突出位置から中立位置にそれぞれ付勢する付勢手 段が設けられると共に、上記両面加工用チップの先端に、表面加工用切刃と、該 表面加工用切刃に連なる裏面加工用切刃とがそれぞれ形成されたものであるから 、工具本体を回転させながら前進させて、工具本体の先端の刃部によって被削材 に孔明け加工を施し、次いで、付勢手段によって中立位置に設置された両面加工 用チップの表面加工用切刃を貫通孔の表面部に当接して該表面部を加工すると共 に、工具本体の回転を停止させた状態で、工具本体を前進させ、貫通孔の内壁に 両面加工用チップを押し付けることにより、両面加工用チップを付勢手段に抗し て回動させ工具本体内の退避位置に収納して、上記両面加工用チップを貫通孔を 通して裏面側に位置させた後、上記工具本体を回転させながら後退させることに より、付勢手段によって中立位置に戻された両面加工用チップの裏面加工用切刃 を貫通孔の裏面部に当接し、かつ付勢手段に抗しながら両面加工用チップを中立 位置から裏面加工用突出位置に回動して貫通孔の裏面部を加工し、さらに、工具 本体の回転を停止させた状態で、工具本体を前進させ、両面加工用チップを中立 位置に戻した後、工具本体を後退させることにより、両面加工用チップを貫通孔 の裏面加工部に当接して、両面加工用チップを付勢手段に抗して回動させ工具本 体内の退避位置に収納して、貫通孔を通して表面側に戻す。これにより、孔明け 加工時において、同時に貫通孔の両端部にそれぞれ面取りあるいは座ぐり加工を 円滑にかつ確実に施すことができ、１種類の工具を用いて１工程で処理ができる 。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の両面加工用チップ付き孔明け工具の一
実施例を用いて貫通孔の表面部を加工する状態を示す断
面図である。

【図２】貫通孔を通過している状態の両面加工用チップ
付き孔明け工具を示す断面図である。

【図３】貫通孔の裏面側に突出した状態の両面加工用チ
ップ付き孔明け工具を示す断面図である。

【図４】貫通孔の裏面部を加工する状態を示す断面図で
ある。

【図５】裏面面取り部に当接している状態を示す断面図
である。

【図６】貫通孔の内壁に当接している状態を示す断面図
である。

【図７】ドリル本体を示す正面図である。

【図８】ドリル本体を示す側面図である。

【図９】切削用チップを示す斜視図である。

【符号の説明】

１ ドリル本体 ２ ドリル刃部 ６ 両面加工用チップ ６ｃ 表面面取り用切刃 ６ｅ 裏面座ぐり用切刃 ６ｆ 裏面面取り用切刃 ７ 付勢手段 １０ 被削材 １１ 貫通孔 １１ａ 表面部 １１ｂ 裏面部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 工具本体の先端に刃部が設けられてなる
   孔明け工具であって、上記工具本体の基端寄りに、両面
   加工用チップが、該工具本体内に退避した退避位置から
   裏面加工用突出位置までの範囲内において回動自在に設
   けられ、上記両面加工用チップに、該両面加工用チップ
   を上記退避位置から中立位置あるいは上記裏面加工用突
   出位置から中立位置にそれぞれ付勢する付勢手段が設け
   られると共に、上記両面加工用チップの先端に、表面加
   工用切刃と、該表面加工用切刃に連なる裏面加工用切刃
   とがそれぞれ形成されたことを特徴とする両面加工用チ
   ップ付き孔明け工具。