JPH07611U - 両面加工用工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 １種類の工具を用いて１工程で処理ができ、
貫通孔の両端部に面取りあるいは座ぐり加工を円滑にか
つ確実に施すことができる両面加工用工具を提供するこ
とを目的とする。 【構成】 表面面取り用切刃６ｃによって貫通孔１１の
表面部１１ａを加工すると共に、貫通孔１１の内壁に切
削用チップ６を押し付けることにより、切削用チップ６
を付勢手段７に抗して工具本体１内の退避位置に収納し
て裏面側に位置させた後、裏面加工用切刃６ｅ，６ｆを
貫通孔１１の裏面部１１ｂに当接し切削用チップ６を中
立位置から裏面加工用突出位置に回動して貫通孔１１の
裏面部１１ｂを加工し、さらに、切削用チップ６を中立
位置に戻した後、貫通孔１１の裏面面取り部に当接して
付勢手段７に抗して回動させ工具本体１内の退避位置に
収納して、貫通孔１１を通して表面側に戻す。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、貫通孔が形成された被削材の該貫通孔の両端部にそれぞれ面取りあ るいは座ぐり加工を施す両面加工用工具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、ドリルなどによって孔明け加工を行った場合には、ドリルが回転しな がら進行するのに伴って、被削材にあけられた貫通孔の両端部にバリが生じる。 そして、このようにして生じたバリ等を除去するために、従来から、上記貫通孔 の両端部にそれぞれ面取りあるいは座ぐり加工を施している。この場合、表面側 （入口側）の加工と裏面側（出口側）の加工とを別々の工具を用いて行う必要が ある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

このように、従来の切削工具を用いて貫通孔の両端部の加工を行う場合には、 複数種類の工具が必要でしかも工程が２工程になるという問題があった。

【０００４】 本考案は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、１種 類の工具を用いて１工程で処理ができる上に、貫通孔の両端部にそれぞれ面取り あるいは座ぐり加工を円滑にかつ確実に施すことができる両面加工用工具を提供 することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、貫通孔が形成された被削材の該貫通孔 の両端部にそれぞれ面取りあるいは座ぐり加工を施す両面加工用工具であって、 工具本体の先端部に、切削用チップが、該工具本体内に退避した退避位置から裏 面加工用突出位置までの範囲内において回動自在に設けられ、上記切削用チップ に、該切削用チップを上記退避位置から中立位置あるいは上記裏面加工用突出位 置から中立位置にそれぞれ付勢する付勢手段が設けられると共に、上記切削用チ ップの先端に、表面加工用切刃と、該表面加工用切刃に連なる裏面加工用切刃と がそれぞれ形成されたものである。

【０００６】

【作用】

本考案の両面加工用工具にあっては、工具本体を回転させながら前進させて、 付勢手段によって中立位置に設置された切削用チップの表面加工用切刃を貫通孔 の表面部に当接して該表面部を加工すると共に、工具本体の回転を停止させた状 態で、工具本体を前進させ、貫通孔の内壁に切削用チップを押し付けることによ り、切削用チップを付勢手段に抗して回動させ工具本体内の退避位置に収納して 、上記切削用チップを貫通孔を通して裏面側に位置させた後、上記工具本体を回 転させながら後退させることにより、付勢手段によって中立位置に戻された切削 用チップの裏面加工用切刃を貫通孔の裏面部に当接し、かつ付勢手段に抗しなが ら切削用チップを中立位置から裏面加工用突出位置に回動して貫通孔の裏面部を 加工する。次いで、工具本体の回転を停止させた状態で、工具本体を前進させ、 切削用チップを中立位置に戻した後、工具本体を後退させることにより、切削用 チップを貫通孔の裏面加工部に当接して、切削用チップを付勢手段に抗して回動 させ工具本体内の退避位置に収納して、貫通孔を通して表面側に戻す。

【０００７】

【実施例】

以下、図１ないし図９に基づいて本考案の一実施例を説明する。

【０００８】 図中符号１は工具本体であり、この工具本体１の先端面は平坦面２とされてい る。そして、上記工具本体１の先端部には、断面矩形状の空所３が形成されてお り、この空所３の先端寄りにはネジ孔４が形成されている。また、上記ネジ孔４ には支持用ネジ５がねじ込まれており、この支持用ネジ５には、超硬合金あるい はサーメットまたはハイスからなる板状の切削用チップ６が、上記工具本体１の 空所３内に退避した退避位置から裏面加工用突出位置までの範囲内において回動 自在に装着されている。そして、上記切削用チップ６の基端部の円周面６ａに連 なる一側面６ｂが上記工具本体１の空所３の先端側の壁面３ａに当接することに より、上記切削用チップ６の裏面加工用突出位置が規定されている。さらに、上 記切削用チップ６と工具本体１との間には、該切削用チップ６を上記退避位置か ら中立位置あるいは上記裏面加工用突出位置から中立位置にそれぞれ付勢する一 対のスプリングなどの付勢手段７が設けられている。そして、上記切削用チップ ６は、中立位置において、その先端部が基端部よりも上記工具本体１の基端側に 位置していると共に、切削用チップ６の先細状の先端部には、表面面取り用切刃 ６ｃと、この表面面取り用切刃６ｃに当接用側面部６ｄを介して連なる裏面座ぐ り用切刃６ｅと、この裏面座ぐり用切刃６ｅに連なる裏面面取り用切刃６ｆとが それぞれ形成されている。さらにまた、上記当接用側面部６ｄと上記裏面座ぐり 用切刃６ｅに連なる側面部６ｇとが鋭角に交差して構成されていると共に、この 交差している稜部６ｈは、曲率半径０．２ｍｍ以上０．８ｍｍ以下の円弧面とさ れている。

【０００９】 上記のように構成された両面加工用工具を用いて、予めドリル等によって被削 材に形成された貫通孔の両端部に面取り及び座ぐり加工を施す場合には、まず、 図１に示すように、工具本体１を回転させながら前進させて、付勢手段７によっ て中立位置に設置された切削用チップ６の表面面取り用切刃６ｃを被削材１０の 貫通孔１１の表面部１１ａに当接して該表面部１１ａを加工する。次いで、図２ に示すように、工具本体１の回転を停止させた状態で、工具本体１を前進させ、 貫通孔１１の内壁に切削用チップ６を押し付けることにより、切削用チップ６を 付勢手段７に抗して回動させ工具本体１内の退避位置に収納して、上記切削用チ ップ６を貫通孔１１を通して裏面側に位置させた後、図３に示すように、上記工 具本体１を回転させながら後退させることにより、付勢手段７によって中立位置 に戻された切削用チップ６の裏面座ぐり用切刃６ｅを貫通孔１１の裏面部１１ｂ に当接し、かつ付勢手段７に抗しながら切削用チップ６を中立位置から裏面加工 用突出位置に回動して、切削用チップ６の裏面座ぐり用切刃６ｅ及び裏面面取り 用切刃６ｆによって貫通孔１１の裏面部１１ｂを加工する（図４参照）。続いて 、図５に示すように、工具本体１の回転を停止させた状態で、工具本体１を前進 させ、切削用チップ６を中立位置に戻した後、工具本体１を後退させることによ り、切削用チップ１の先端を貫通孔１１の裏面面取り部１１ｃに当接して、切削 用チップ６を付勢手段７に抗して回動させ工具本体１内の退避位置に収納して、 貫通孔１１を通して表面側に戻す（図６参照）。

【００１０】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案は、貫通孔が形成された被削材の該貫通孔の両端 部にそれぞれ面取りあるいは座ぐり加工を施す両面加工用工具であって、工具本 体の先端部に、切削用チップが、該工具本体内に退避した退避位置から裏面加工 用突出位置までの範囲内において回動自在に設けられ、上記切削用チップに、該 切削用チップを上記退避位置から中立位置あるいは上記裏面加工用突出位置から 中立位置にそれぞれ付勢する付勢手段が設けられると共に、上記切削用チップの 先端に、表面加工用切刃と、該表面加工用切刃に連なる裏面加工用切刃とがそれ ぞれ形成されたものであるから、工具本体を回転させながら前進させて、付勢手 段によって中立位置に設置された切削用チップの表面加工用切刃を貫通孔の表面 部に当接して該表面部を加工すると共に、工具本体の回転を停止させた状態で、 工具本体を前進させ、貫通孔の内壁に切削用チップを押し付けることにより、切 削用チップを付勢手段に抗して回動させ工具本体内の退避位置に収納して、上記 切削用チップを貫通孔を通して裏面側に位置させた後、上記工具本体を回転させ ながら後退させることにより、付勢手段によって中立位置に戻された切削用チッ プの裏面加工用切刃を貫通孔の裏面部に当接し、かつ付勢手段に抗しながら切削 用チップを中立位置から裏面加工用突出位置に回動して貫通孔の裏面部を加工し 、さらに、工具本体の回転を停止させた状態で、工具本体を前進させ、切削用チ ップを中立位置に戻した後、工具本体を後退させることにより、切削用チップを 貫通孔の裏面加工部に当接して、切削用チップを付勢手段に抗して回動させ工具 本体内の退避位置に収納して、貫通孔を通して表面側に戻す。これにより、１種 類の工具を用いて１工程で容易に処理ができる上に、貫通孔の両端部にそれぞれ 面取りあるいは座ぐり加工を円滑にかつ確実に施すことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の両面加工用工具の一実施例を用いて貫
通孔の表面部を加工する状態を示す断面図である。

【図２】貫通孔を通過している状態の両面加工用工具を
示す断面図である。

【図３】貫通孔の裏面側に突出した状態の両面加工用工
具を示す断面図である。

【図４】貫通孔の裏面部を加工する状態を示す断面図で
ある。

【図５】裏面面取り部に当接している状態を示す断面図
である。

【図６】貫通孔の内壁に当接している状態を示す断面図
である。

【図７】工具本体を示す正面図である。

【図８】工具本体を示す側面図である。

【図９】切削用チップを示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 工具本体 ６ 切削用チップ ６ｃ 表面面取り用切刃 ６ｅ 裏面座ぐり用切刃 ６ｆ 裏面面取り用切刃 ７ 付勢手段 １０ 被削材 １１ 貫通孔 １１ａ 表面部 １１ｂ 裏面部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 貫通孔が形成された被削材の該貫通孔の
   両端部にそれぞれ面取りあるいは座ぐり加工を施す両面
   加工用工具であって、工具本体の先端部に、切削用チッ
   プが、該工具本体内に退避した退避位置から裏面加工用
   突出位置までの範囲内において回動自在に設けられ、上
   記切削用チップに、該切削用チップを上記退避位置から
   中立位置あるいは上記裏面加工用突出位置から中立位置
   にそれぞれ付勢する付勢手段が設けられると共に、上記
   切削用チップの先端に、表面加工用切刃と、該表面加工
   用切刃に連なる裏面加工用切刃とがそれぞれ形成された
   ことを特徴とする両面加工用工具。