JPH0761266B2 - 変異ヒトプロウロキナ−ゼ - Google Patents

変異ヒトプロウロキナ−ゼ

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JPH0761266B2
JPH0761266B2 JP62036495A JP3649587A JPH0761266B2 JP H0761266 B2 JPH0761266 B2 JP H0761266B2 JP 62036495 A JP62036495 A JP 62036495A JP 3649587 A JP3649587 A JP 3649587A JP H0761266 B2 JPH0761266 B2 JP H0761266B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ヒトプロウロキナーゼ(以下ヒトPUK)を分
子構造物に修飾してなる変異ヒトPUK、およびその製造
方法、に関する。さらに詳しくは、遺伝子レベルにおい
て特定遺伝子の全領域もしくはその一部を欠失、させ、
該遺伝子を組み換えDNA技術を応用して発現させること
からなる変異ヒトPUKを提供する一連の技術に関する。
〔従来技術・発明が解決しようとする問題点〕
従来、線維素溶解酵素としてはウロキナーゼが著名であ
る。このものは、従来人尿おおび人腎細胞の培養液から
精製されていたが、近年DNA組み換え技術による生産も
可能となった(特開昭60−180591号明細書)。しかし、
本薬剤は大量に用いると、凝固・線溶諸因子の分解並び
に活性化を惹起し、出血傾向を誘起する欠点を有してい
る。他方、本発明者らは、人腎細胞によって産生される
ヒトウロキナーゼの不活性型前駆物質PUK〔特開昭60−6
2981号明細書,J.Biol.Chem.,260,12377(1985)〕が、
ウロキナーゼと異なり出血傾向を惹起することなく血栓
を溶解することを既に見出している(Cell Struc.Fun
c.,10,151(1985)〕。
このヒトPUKは、3つの機能ドメイン(domain)、すな
わち、エピダーマルグロースファクター(epidermal gr
owth factor、以下EGFと略称する。)ドメイン、クリン
グル(kringle)ドメイン、酵素活性ドメインから構成
されている(Hoppe-Seyler's Z.Physiol.Chem.,363,115
5(1982)〕。
ところが、本物質はウロキナーゼと同様血中での半減期
が短いため、血栓を溶解する目的のためには、比較的大
量に用いなければならないという問題点がある。
本発明の目的は、ヒトPUKよりも血中半減期が長く、し
かもヒトPUKと同様出血傾向の極めて低い線維素溶解酵
素、およびその製造方法を提供することである。
〔問題点を解決するための手段〕
かかる目的を達成するために本発明者らは種々研究を重
ねて来たところ、ヒトPUKのEGFドメインの全領域または
その一部が欠失している組み換え変異ヒトPUKはヒトPUK
よりも血中半減期が長く、しかもヒトPUKと同様出血傾
向の極めて低いことを見出した。
即ち、本発明はヒトPUKのEGFドメインの少なくとも10位
から42位のアミノ酸を欠失してなる変異ヒトPUK、およ
び当該変異ヒトPUKの製造方法に関する。
ところで、ヒトPUKの411アミノ酸残基のうち、N末のセ
リンより49番目のスレオニンまでがEGFドメインと報告
されている(Riccio,A.et al.Nucleic Acid Res.,13,27
59-2771(1985)〕。そこで本発明は、このEGFドメイン
の少なくとも10位から42位のアミノ酸を欠失してなる変
異ヒトPUKを生産する一連の技術を提供するものであ
る。
EGFドメインをコードする領域の欠失領域の好適な例と
して、Asn(アスパラギン)(10)〜Cys(システイン)
(42)、Asn(10)〜Asp(アスパラギン酸)(45)、As
n(10)〜Thr(スレオニン)(49)において行った。こ
れは、Cys(42)〜Thr(49)の領域が疎水−親水−疎水
と変化に富んでいることから、立体構造の変化を考慮し
て作製したものである。
欠失処理には、プロティンエンジニアリングとして知ら
れる方法が広く利用できるが、たとえばSite-directed
deletion(部位指定削除)法〔Nucl.Acids Res.,11、16
45(1983)]、Site-specific mutagenesis(部位特異
的変異)法、制限酵素処理と合成遺伝子の利用による方
法等がある。
欠失処理された変異PUKは、発現ベクター系に挿入し
て、発現用宿主・ベクター系を構築する。宿主・ベクタ
ー系は一般に宿主細胞とコンパーチブルな種から由来す
るレプリコンと制御配列を有するプラスミドベクター
と、この宿主を組み合わせて使用する。ベクターは一般
に複製部位を有しており、又形質転換細胞中で表現型の
選択が可能となるマーカーの配列を有している。例えば
大腸菌は通常pBR322を用いて形質転換されるが、このプ
ラスミドは大腸菌株由来である[Bolivar et al.Gene,
,95(1977)]。pBR322はアンピシリン耐性及びテト
ラサイクリン耐性の遺伝子を持っているので形質転換し
た細胞を検出する簡単な方法を与える。pBR322プラスミ
ドや、他の微生物プラスミドは微生物体が利用できて、
それが支配する蛋白質を発現させることが可能なプロモ
ーターを有するか、あるいはプロモーター配列を挿入し
てある。組み換えDNAの構成に通常使われるプロモータ
ーとしてはβ−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)やラク
トースプロモーター系[Chang etal.Nature,275,615(1
978);Itakura etal.Science,198,1056(1977);Goedde
l etal.Nature,281,544(1979)]あるいはトリプトフ
ァン(trp)プロモーター系〔Goeddel et al.,Nucl.Aci
ds Res.,,4057(1979);ヨーロッパ特許出願公開第0
036776号明細書〕がある。これらは最も一般的に使われ
ているが、他の微生物プロモーターも発見され、使用さ
れている。それらの塩基配列の詳細も発表されており研
究者はそれらをプラスミドベクターに機能的に導入する
ことが可能である〔Siebenlist et al.Cell,20,269(19
80)〕。そして宿主としては、大腸菌HB101−GCC株、C6
00株、W3110株などが用いられている。酵母ベクターに
おける適当なプロモーターとして3−ホスホグリセレー
トキナーゼ(PGK)のプロモーター〔Hitzeman et al.J.
Biol.Chem.,255,2073(1968)〕や他の解糖系酵素〔Hes
s et al.J.Adv.,Enzyme・Reg.,,149(1968);Holland
et al.Biochemistry,17,4900(1978)〕であるエノラ
ーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナー
ゼ(GAP−DH)、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボ
キシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6
−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセルリン酸ムタ
ーゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラ
ーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、グルコキナーゼ
の様な酵素のプロモーターである。これらの中でも、小
型化GAP−DHプロモーター、PGKプロモーターは有用であ
る。適当な発現ベクターを作製する場合、これらの遺伝
子に存在する転写終結配列も又発現したい遺伝子の3′
側に挿入し、mRNAのポリA化と転写終結が生じる様にす
る。増殖条件により、転写の制御ができる様な利点を有
するプロモーターとして、アルコールデヒドロゲナーゼ
2、イソチトクロムC、酸性ホスファターゼ、あるいは
窒素代謝に関連した分解酵素、前述のグリセルアルデヒ
ド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、あるいはマルトース
やガラクトースを使用するのに関連した酵素のプロモー
ターも使える。酵母のコンパーチブルプロモーター、複
製起点及び転写終結配列を含むすべてのプラスミドベク
ターが使える。そして宿主としては、Saccharomyces ce
revisiaeGRF18株、AH22株などを用いる。
さらに枯草菌の分泌発現ベクターとしては、プラスミド
pUB110の複製起点をもち、かつ、α−アミラーゼ遺伝子
のプロモーター、シグナルペプチド、ターミーネーター
を有するプラスミドが利用でき、この宿主としては
nattosabtilisなどが使用できる。近年脊椎動物
の細胞を培養して(組織培養)増やすことがルーチン化
している。[Tissue Culture,Academic Press,Kruse an
d Patterson,editors(1973)]宿主細胞株として有用
な例としてVERO、HeLa細胞、Chinese hamster ovary(C
HO)cell line,W138,BHK,COS-7,MDCK cell Line,C127,H
KG,human kidney cell lineなどがある。これらの細胞
の発現ベクターは通常、複製起点、発現する予定の遺伝
子上流に位置するプロモーター、リボソーム結合部位、
RNAスプライス部位、ポリA付加部位、転写終結配列を
有する。
哺乳動物細胞を使用する場合、発現ベクター上の制御機
能はウィルス由来であることが多い。例えば、一般的に
使われるプロモーターはポリオーマ、アデノウィルス2
型.2、あるいは最も多用されているシミアンウィルス40
(SV40)由来である。SV40ウィルスの初期及び後期プロ
モーターは特に有用である。というのはこれらはSV40の
複製起点を含む断片として容易にウィルスから得られる
からである。[Fiers et al.Nature,273,113(1978)]
ウィルスのHindIII部位から複製起点中のBglI部位まで
の約250bpを含む断片も使用できる。更に目的とする遺
伝子に関連したプロモーターや制御配列(エンハンサ
ー)も宿主とコンパーチブルならば使用できる。
動物細胞発現ベクターに用いるプロモーター・エンハン
サーとしては、SV40初期遺伝子又は後期遺伝子のプロモ
ーター・エンハンサーやアデノウィルスメジャーレート
・プロモーター領域、グロブリンエンハンサー・プロモ
ーター領域、RNAウィルスのLTR、メタロチオネインプロ
モーター領域、β−アクチンプロモーターなどが使用で
きる。複製起点はSV40や他のウィルス(ポリオーマ、ア
デノ、VSV、BPV等)由来のものをベクターに組み込んで
もよいし、宿主細胞染色体の複製機構を用いてもよい。
ベクターが宿主細胞の染色体に組み込まれるならば後者
で十分である。また、これ以外の高生産系として、DHFR
遺伝子を利用した遺伝子の増幅系を用いることが可能で
ある。以上、具体的な例を挙げて説明した本発明は、以
上に例として述べた宿主細胞・ベクター・発現系に限定
して解釈されるべきではない。
本発明においては、例えば好適な具体例として、SV40初
期プロモーター領域の下流に変異ヒトPUKをコードする
遺伝子を挿入して、動物細胞用発現ベクターを構築し
た。これらを例えば、COS7細胞あるいはCHOK1細胞に導
入して形質転換させた。本実験系では、50〜300IU/ml/
日の変異ヒトPUKを産生するクローンを得た。
変異ヒトPUKの精製は、既知のヒトPUKの精製法に準じて
おこなうことができる(特開昭60−62981)。本発明で
は、精製にはChelating Sepharose 6B,anti-UK IgG-Sep
harose 4B,p-amino-benzamidine-Sepharose 6Bのカラム
クロマトグラフィーを併用したが、特に、Chelating Se
pharose 6Bは粗精製に、anti-UK IgG-Sepharose 4Bは高
度精製に、さらにp-aminobenzamidine-Sepharose 6Bは
混入活性型ウロキナーゼの除去に各々有効である。
かくして得られた産生物を解析したところ、PUK活性に
おいては変異型及び非変異型で全く差はなく、変異型PU
Kは、分子量約45,000の一本鎖型のプロエンザイムであ
り、プラスミン処理により完全に活性型に変換した。さ
らにこの変異ヒトPUKの血中半減期を人腎細胞由来PUK
〔J.Biol.Chem.,260,12377(1985)〕のそれと比較した
ところ、変異ヒトプロウロキナーゼの血中半減期のほう
が有意に長かった。
〔実施例〕
実施例1: (動物細胞における発現ベクターの作製) 動物細胞においてヒトPUKを効率よく分泌生産できる発
現ベクターpSV−G1−preUKを作製した(第2図)。この
ベクターでは、SV40の初期遺伝子エンハンサー・プロモ
ーター領域の下流にヒトPUKcDNAが挿入され、さらにそ
の下流には、SV40の転写終結領域がおかれている(第3
図)。
なお、PUK cDNAのクローニングおよびその塩基配列、ま
たpSV−G1−preUKプラスミドの作製方法等については先
の特許出願(特開昭60−180591、欧州特許出願公開第15
4272号)に準じた。
(M13mp18RFプラスミドへのpreUKcDNAの挿入) 部位特異的変異(site-specific mutagenesis)法を用
いてヒトPUK遺伝子上に新たなユニーク制限酵素部位を
設けるために、まずプラスミドpSV−G1−preUKのKpnI断
片(fragment)をM13mp18RFプラスミドへ導入した(第
4図)。
まず、pSV−G1−preUKプラスミド10μgを制限酵素KpnI
30単位(units)を用い、37℃で完全に消化した。この
DNAを1%アガロースゲル電気泳動にかけ、ゲルより1.7
kbKpnI断片を回収した(これらの手法は全てT.Maniatis
等〔“Molecular Cloning"、Cold Spring Harbor Labor
atory(1982)に従った〕。次に、M13mp18RFプラスミド
1μgを3単位のKpnIで完全に消化し、その後、牛腸由
来アルカリフォスファターゼ(Calf intestinal alkali
ne phosphatase)(CIP)を用い、5′末端脱リン酸化
を行った。そして、このM13−KpnI消化プラスミドと、
先に調製したUK1.7kbKpnI断片とを混ぜ、T4DNAリガーゼ
(ligase)30単位を加えリゲーション(ligation)反応
を行った(上記T.Maniatis等の方法)。反応終了後、こ
のDNAを用い大腸菌JM105株を形質転換した。
〔部位特異的変異(site-specific mutagenesis)法を
用いたDNA塩基置換〕 部位特異的変異の方法は、Zoller,M.J等〔DNA,,479,
(1984)、及びWells,J.A等〔Gene,34,315(1985)〕の
方法に従って行った。
まず、M13−UK1RFプラスミド(図4)を含む大腸菌JM10
5形質転換体より、1本鎖DNAを調製した。この操作はSa
nger,F.等〔J.Mol.Biol.,143,161(1980)〕の方法に従
った。次に、この一本鎖M13−UK1DNA(SS.M13−UK1)10
μgとM13mp18KpnI消化断片10μgとを混ぜ、100℃、2
分間加熱後、徐々に65℃まで温度を下げ、SS・M13−UK1
とM13mp18−KpnIのマイナス鎖とをアニーリングさせた
後、氷中にて急冷した。その後、このDNAを0.8%アガロ
ースゲルにかけ、目的の二本鎖開環(open circular)
型DNA部分のDNA M13−UK1−OC(第5図)を回収した。
次に、塩基置換を行うため、2種類のオリゴヌクレオチ
ドを合成した。SacI部位導入用変異プライマー〔プライ
マーi)〕またはNdeI部位導入用変異プライマー〔プラ
イマーii)〕ともに22mer 2baseミスマッチ(mismatc
h)のヌクレオチドを合成した(表3)。
T4polynucleotide kinaseを用い、上述の2種類のオリ
コヌクレオチドプライマーの5′末端をリン酸化した
後、これら2種類のプライマー各100pmolと、M13−UK10
cDNA 1pmolとをアニーリング緩衝液(20mM Tris−HCl、
10mM MgCl2、50mM NaCl、1mM DTT、pH7.5)中に加え
た。55℃、10分間加熱した後、室温に20分間放置し、プ
ラスミドと2種類のプライマーとをアニーリングさせ
た。次に等容量のPol.I/リゲーション緩衝液〔20mM Tri
s−HCl、10mM MgCl2、10mM DTT、pH7.5、0.5mMdNTPs、1
mM rATP、10単位 T4DNAリガーゼ、5単位 coli DN
A polymeraseラージ断片(large fragment)〕を加え、
15℃、8時間反応させ、次にこの反応液を用い、大腸菌
JM105株を形質転換した(第6図)。数多くの形質転換
体の中から、ヒトPUK遺伝子中にSacI、及びNdeI部位が
導入されたプラスミドM13−UK2RFを有する株を選択する
ため、変異プライマー(mutagenesis primer)をハイブ
リダイゼーションプローブ(hybridizationprobe)とし
た、プラークハイブリダイゼーション(plaque hybridi
zation)を行った。
1プレート当たり200から300個のプラークをニトロセル
ロースフィルターに移した。このニトロセルロースフィ
ルターは、大腸菌JM105の一夜培養液を100倍に希釈した
溶液に5分間浸し、その後、風乾したものを用いた。こ
のフィルターをH寒天にプラーク面が上になるようにし
てのせ、37℃に一夜放置した。次に、Maniatis,T等の方
法(Molecular Cloning,1982)に従い、ファージDNAを
固定した。このフィルターをZoller,M.J等〔DNA、、4
79、(1984)〕が用いた方法に従い、前ハイブリダイゼ
ーション(prehybridization)、ハイブリダイゼーショ
ンを行った。ハイブリダイゼーションプローブとして
5′末端を(γ−32P)ATPで標識した2種類の変異プ
ライマーを用いた。各プローブを用い、ハイブリダイゼ
ーションした後、6XSSCにて洗浄した。洗浄の温度を25
℃、48℃、56℃、64℃と上げていくと、変異をおこした
DNAはハイブリダイズ(hybridize)したままだが、野性
型(wild type)は56℃以下で洗い落とされた。約1,000
プラークについてハイブリダイゼーションスクリーニン
グ(screening)を行った結果、64℃の洗浄(wash)で
も2種類のプローブどちらにもハイブリダイズしていた
クローンが7つ得られた。この7クローンをZoller,M.J
等〔DNA、、479、(1984)〕の方法に従いプラーク精
製を行った。各プラークをTEで希釈した後、大腸菌JM10
5培養液とともにH寒天培地にまいた。そして、各クロ
ーンについて10プラークをドットハイブリダイゼーショ
ン(Dot hybridization)した。このハイブリダイゼー
ションにも2種類の変異プライマーをプローブとして用
いた。次にドットハイブリダイゼーションで得られた陽
性(positive)クローンのDNA塩基配列を決定した。DNA
塩基配列の決定はSanger等〔Proc.Natl.Acad.Sci:USA、
74、5463(1977)〕のディデオキシ(dideoxy)法を用
いた。その結果、SacIとNdeI部位が導入されたクローン
が5つ得られた。このクローンのRFプラスミドをM13−U
K2RFと名付けた(第6図)。
(EGFドメイン欠失変異ヒトPUKの発現ベクター作製) M13−UK2RFプラスミド5μgをKpnI20単位を用い、消化
した。一方、pSVG1プラスミドのNdeI部位をフィーリン
グイン(filling in)することによって壊した後、この
プラスミド1μgをKpnI3単位を用いて消化した。次
に、これら両DNAを混ぜ、10単位のT4DNAリガーゼを用い
て、リゲーション反応を行った。このDNA溶液を用い、
大腸菌HB101株を形質転換した。この形質転換体(A
pγ)より目的のSacI、NdeI部位をもつプラスミドpSV−
UK10(第1図)を有するクローンHB101/pSV−UK10を得
ることができた。
次にプラスミドpSV−UK10を用い、Asn−10からAsp−45
までの36アミノ酸を除去した変異ヒトPUKの発現ベクタ
ー作製を試みた。pSV−UK10を制限酵素SacIとNdeIとで
消化すると、ヒトPUKのN末より4番目のロイシンから5
0番目のシステインまでが除去されたものができる(表4
A)。そこで両末端がSacI、NdeI消化末端となりかつHis
−5からSer−9さらにLys−46からCys−50をコードす
るオリゴヌクレオチド(表4B)を合成した。
合成した31merと37merのオリゴヌクレオチドを各50pmol
ずつ混合し、70℃で加熱後、室温に20分間放置しアニー
リングさせた。このDNAとプラスミドpSV−UK10のSacI、
NdeI消化断面1μgとを混ぜ、T4DNA30単位を用い、リ
ゲーションした。その結果、ヒトPUKのN末より10番目
のアスパラギンから45番目のアスパラギン酸までが除去
され、かつこの変異ヒトPUKを動物細胞で発現させるこ
とができるベクターpSV−UK11が作製できた(第7
図)。
同様の方法を用い、ヒトPUKのLeu−4からCys−50の間
を種々な形(アミノ酸の欠失、挿入、置換)に変換し、
これら変異ヒトPUKの発現ベクターを作製した。
(ヒトPUKクリングルドメインの誘導体作製) 上述と同様の部位特異的変異の方法により、AT(Ile
−44)をATに変換した。その結果Ile−44からAsp−45
をコードするDNA塩基領域にClaI制限酵素部位をもつ発
現ベクターpSV−UK50を作製した(第8図)。
pSV−UK50をClaIとBglII、またはClaIとBalI、BglIIとB
alIで消化し、この部位に先程と同様に、種々の合成オ
リゴヌクレオチドを挿入し、クリングルドメインの変異
ヒトPUK発現ベクターを作製した。
(動物細胞における変異ヒトPUKの生産) 種々の変異ヒトPUK発現ベクターをチャイニーズハムス
ター卵巣細胞(CHO−K1、ATCC CCL61)の染色体上に導
入した。宿主特異マーカー(Dominant Selective Marke
r)としてpSV−G1−Neoを用いた。pSV−G1−Neoの作製
および変異ヒトPUK発現ベクターとのCHO−K1細胞への共
感染(co-transfection)およびクローニング方法は特
開昭60−180591号明細書に記載の方法に準じた。
次にプラスミドpSV−UK11(Asn−10からAsp−45を欠
失)をもって形質転換されたクローンCHO−UK11株を培
養し、その培養上清中のプラスミノーゲンアクチベータ
ー活性を調べた。まずフィブリン寒天平板アッセイにか
けたところ培養上清に活性が認められ、また抗ヒトウロ
キナーゼ抗体によりその活性が中和された。さらにスク
リーニングによって変異ヒトPUK物質の産生量の高いと
思われるCHO−UK11−7株を得た。このクローンの培養
上清を用いて、産生された変異ヒトPUK蛋白の性状を検
討した。(CHO−UK11−7細胞株によって産生される変
異ヒトPUKの精製およびその性状) 5%牛胎児血清を含むHam's F−12培地5ml中に懸濁した
CHO−UK11−7細胞を、25cm2の培養フラスコ(Corning
♯25100)に5×105cells/フラスコで植え込み、3日間
培養後、Confluentになった時点で牛胎児血清を含まな
い上記培養液で数度洗浄した。以後、アプロチニン(ap
rotinin)(10KIU/ml)及び0.1%ヒト血清アルブミンを
含むHam's F−12培地を維持培地として用い、2〜3日
毎に培養液を交換した。本無血清培養上清1から、変
異ヒトPUKの精製を行った。培養上清に1NHClを添加し、
pHを5.5に補正した後、0.16Mリン酸ナトリウム/pH5.5に
懸濁したCM−セファデックス(Sephadex)C−50〔ファ
ルマシア(Pharmacia)社製、乾燥重量1.5gに相当する
量〕を投入し、4℃下、2時間攪拌した。ゲルをガラス
フィルター上に回収し、0.16Mリン酸ナトリウム/pH5.5
で洗浄後、2.5×10cmのカラムに充填し、0.16Mリン酸ナ
トリウム/pH8.5で溶出した。フィブリン寒天平板(fibr
in-agar plate)〔J.cell Biol.94、631(1982)〕上フ
ィブリン溶解活性を有する溶出活性画分を抗ウロキナー
ゼポリクローナル抗体〔本抗体はDEAEアフィゲルブルー
(Affi-Gel Blue)、p-アミノベンズアミジン−セファ
ロースあるいはリジンセファロースに通すことによりプ
ロテアーゼ活性を除去してある〕を固定したセファロー
ス4B(ゲル容量9ml)を充填した1.5×10cmのカラムに注
入した。0.5M NaCl/0.1Mリン酸ナトリウム/pH7.0で抗体
カラムを洗浄後、0.2Mグリシン−HCl/0.5M NaCl/pH2.5
で溶出した。フィブリン寒天平板上、フィブリン溶解活
性を有する活性画分を回収し、これに1MTris水溶液を滴
下することにより、pHを7.0に補正し、以下の性状分析
に供した。
分子量 SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(Nature,227,
680(1970)〕を用いて、CHO−UK11−7細胞由来の変異
ヒトPUKの分子量を測定したところ、非還元のみならず
還元条件下でも同一の分子量約4.5万ダルトンであっ
た。上記結果はCHO−UK11−7細胞由来の変異ヒトPUKは
分子量約4.5万ダルトンを有する一本鎖構造をとってい
ることを示した。
酵素感受性 ウロキナーゼ活性測定用合成基質S−2444(Kabi社製)
に対するアミド分解能を測定することにより、CHO−UK1
1−7細胞由来の変異ヒトPUKのウロキナーゼ活性を測定
した。なお対照として人尿ウロキナーゼを用いた。CHO
−UK11−7細胞由来の変異ヒトPUK、もしくは人尿ウロ
キナーゼ1μg/mlを含む0.05M Tris−HCl/0.038MNaCl/
0.2%BSA/pH8.8溶液を調製し、これに各濃度のプラスミ
ンを37℃下1時間作用させた後に発現されるウロキナー
ゼ活性を、合成基質S−2444を用いて測定した〔J.Bio
l.Chem.,260,12377(1985)〕。CHO−UK11−7細胞由来
の変異ヒトPUKは、それ自身はウロキナーゼ活性を示さ
なかった。しかし、プラスミン処理をすることによりウ
ロキナーゼ活性を発現した(表5)。本酵素活性は抗ウ
ロキナーゼポリクローナル抗体により失活された。この
ことから、CHO−UK11−7細胞由来の変異ヒトPUKはプラ
スミンによってウロキナーゼ活性を発現する不活性型酵
素であることが判明した。
血中半減期 CHO−UK11−7細胞由来の変異ヒトPUKと人腎細胞由来PU
K〔J.Biol.chem.,260,12377(1985)〕の血中半減期を
ラットにおいて比較した。ラットをエーテル麻酔後、そ
の頸動脈にカニューレを挿入した。尾静脈にI標識CHO
−UK11−7細胞由来の変異ヒトPUKもしくは人腎細胞由
来PUK106cpm投与後、頸動脈に挿入したカニューレから
血液を経時的に一部採取し、ラット血液に含まれる放射
活性をガンマカウンターを用いて測定した。ラット血中
の放射活性の減衰曲線から求めたCHO−UK11−7細胞由
来の変異ヒトPUKの一次血中半減期は約10分であり、他
方対照の人腎細胞由来のヒトPUKのそれ(約4分)より
も有意に長かった。
実施例2 (EGFドメイン欠失変異ヒトPUK遺伝子の作製) Asn-10〜Cys-42とAsn-10〜Asp-45とAsn-10〜Thr-49の3
種類のEGFドメイン領域を除去したヒトPUKの発現ベクタ
ーを作製した。ヒトPUK遺伝子からのEGFドメインコーデ
ィング領域の除去方法、及びそれらの動物細胞における
発現ベクターの構築方法の概略を図9に示した。
ヒトPUK遺伝子からのEGFドメインコーディング領域の近
傍にあるNcoIとTaqI部位を利用し、これらの領域の除去
を試みた。まずヒトPUK発現ベクターpSV−G1−preUKをH
indIIIとTaqIで消化し、N末から10番目のAsnまでのコ
ーディング領域を含む部分ヒトPUK遺伝子フラグメント
を取り出し、これをプラスミドpBR322に挿入してプラス
ミドpUH1を作製した。次に、ヒトPUKのAsn-54からMet-6
7の領域をコードし、かつ両末端がClaIおよびEcoRI部位
である合成遺伝子を作り、これをプラスミドpUH1に挿入
することにより、プラスミドpUH2を作製した。また、こ
の合成遺伝子上には特異的な制限酵素であるSfiI部位を
設けた。
合成遺伝子上のSfiI部位だけを含むBamHI−EcoRIフラグ
メントをBLUESCRIBEプラスミドに挿入して、プラスミド
pUH3を作製した。このpUH3のSfiI−ClaI部位に、Cys50
〜Gly-53とLys-46〜Gly-53とGlu-43〜Gly-53をコード
し、かつ両末端がClaIおよびSfiI部位である3種類の合
成遺伝子を挿入することにより、EGFドメイン領域が除
去された部分ヒトPUK(N末〜Met-67)遺伝子を有する
3種類のプラスミドpUH4〜6を作製した。次にこれらの
EGFドメインを除去した領域を発現ベクターに組み込む
ため、まずpUH4〜6のBamHI−NcoIフラグメントとpSV−
G1−preUKのHindIII-BamHIを連結した。その後、これら
のフラグメントをpSV−G1−preUKのHindIII-NcoI領域に
挿入して、3種類のEGFドメイン欠失変異ヒトPUK用発現
ベクターpUH7〜9を作製した。これら発現ベクター作製
の詳細を以下に述べる。
なお本実施例においてDNAの制限酵素による消化は、特
に記さない限り、37℃一夜の反応にて行った。アルカリ
変性法(mini-prep)により調製したDNAの消化は、1μ
gのDNA当り5unitsの制限酵素を用いて行った。各制限
酵素のbuffer組成については各々のメーカー指定に準じ
た。又リゲーションはDNA 1igation kits(タカラ酒
造)を用い、Reaction mix.2により16℃、1〜2時間反
応した。Reaction mix.2 DNA fragment 5.0μl(500ng) ベクターDNA 2.5μl(250ng) bufferA 60.0μl bufferB 7.5μl 75.0μl さらに塩基配列の決定は、アルカリ変性法により得たプ
ラスミドを用いて、Dideoxy Sequencing法によりDNAの
塩基配列を決定した。
(イ)オリゴヌクレオチドの合成 自動DNA合成機を用いて9種類のオリゴヌクレオチドを
合成した。その内1つは、シークエンス用プライマーと
して利用し、残りは全て合成遺伝子として用いた。合成
したオリゴヌクレオチドは脱保護処理後、変性ゲル電気
泳動にかけ分離・精製した。精製したオリゴヌクレオチ
ドの一部をとり、その5′末を32P標識して、その純度
を調べた。その結果、いずれの大きさのオリゴヌクレオ
チドも単一のバンドとしてみられた。
(ロ)アニーリング 互いに相補な配列をもつ合成オリゴヌクレオチドを以下
の条件でアニーリングし、4種類の合成遺伝子を作製し
た。このアニーリング反応は、Reaction mix.1により75
℃で10分間加熱後、3時間かけて20℃まで徐冷すること
により行った。Reaction mix.1 オリゴヌクレオチドa 10μl(100poml) オリゴヌクレオチドb 10μl(100pmol) 10 x bufferA* 3μl 再蒸留水 7μl 30μl 10 x bufferA* 100mM Tris-HCl,pH7.6 5mM MgCl2 32 Pでそれぞれ5′末端を標識した56-merと54-merのオ
リゴヌクレオチドを等モル混合し、75℃から20℃に徐冷
した後、電気泳動にかけ、そのアニーリング状態を調べ
た。その結果、フリーの一本鎖DNAはほとんど存在せ
ず、大半が二本鎖型となっていた。そこで、他のオリゴ
ヌクレオチドも同様の条件でアニーリングして部分遺伝
子を作製し、種々のプラスミドへ挿入した。
(ハ)プラスミドpUH1〜3の作製 プラスミドpSV−G1−preUK上には、TaqI部位が多数存在
し、1回の制限酵素処理では、EGFドメイン近傍のTaqI
部位だけを切断することは困難である。そこでまずこの
TaqI部位を含むDNAフラグメントを取り出した。pSV−G1
−preUKを制限酵素HindIIIとBglIIで消化し、アガロー
スゲル電気泳動によりそのDNAを調べた。泳動後ゲルよ
りEGFドメインコーディング領域を含む1.1kbのDNAフラ
グメントをゲルから切り出し、そのDNAを回収した。次
に、このフラグメントをTaqIで部分消化し、ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動にかけた。目的の760bpのバンド
の存在を確認した後、このDNAフラグメントを回収し
た。
一方、プラスミドpBR322をHindIIIとClaIで消化し、4.3
kbのDNAフラグメントを得た。そしてこのDNAと先に調製
した760bp HindIII-TaqI DNAフラグメントをリゲーショ
ンした。このリゲーションにより、760bpフラグメント
の3′末端上に存在するTaqI部位は、ClaI部位へと変換
した。反応後、この溶液を用いて大腸菌HB101株をトラ
ンスフォームした。得られたトランスフォーマント24株
より調製したDNAをそれぞれClaI及びNcoIで消化した。
目的のプラスミドpUH1(図9)であれば、ClaI及びNcoI
で共に一か所でのみ切断される。電気泳動にかけ調べた
ところ、6クローンが目的のプラスミドであった。
このpUH1をEcoRIとClaIで消化し、アガロースゲル電気
泳動にかけた。ゲルより約5.0kbのDNAフラグメントを回
収し、このDNAと(イ)、(ロ)で調製した56-merと54-
merの合成オリゴヌクレオチドのアニーリング産物とを
リゲーションした。そして、この反応液を用い、大腸菌
HB101をトランスフォームした。得られたトランスフォ
ーマント20株よりDNAを調製して、このDNAをNcoI及びEc
oRIとHindIIIで消化した。目的プラスミドpUH2であれ
ば、NcoI消化により約700bpのDNAフラグメントが、また
EcoRIとHindIIIの消化により、約810bpのDNAフラグメン
トが生じる。泳動の結果、4クローンが目的のプラスミ
ドであった。
次にpUH2にはSfiI部位が2か所隣接して存在することか
ら、合成遺伝子由来のSfiI部位を含むBamHI-EcoRIフラ
グメントを他のベクターへ移した。まず、pUH2をBamHI
とEcoRIを用いて消化した。これをポリアクリルアミド
ゲル電気泳動にかけ、ゲルより330bpのDNAフラグメント
を切取り、エレクトロエリューションにてDNAを回収し
た。
一方、プラスミドBLUESCRIBE(VECTORCLONING SYSTEMS
製)をBamHIとEcoRIで消化し、得られた約3.1kbのDNAフ
ラグメントと先に調製した330bpのBamHI-EcoRIフラグメ
ントとをリゲーションした。そして、この反応液を用い
て、大腸菌JM105株をトランスフォームした。得られた
トランスフォーマントより12株を選びそのDNAを調製しS
fiI及びClaIで消化した。目的のプラスミドpUH3であれ
ば、SfiI及びClaIで共に一か所でのみ切断される。電気
泳動の結果、8クローンが目的のプラスミドを有してい
た。
(ニ)プラスミドpUH4〜9の作製 プラスミドpUH3のClaI-SfiI領域に3種類の合成遺伝子
をそれぞれ挿入することにより、EGFドメインを除去し
たヒトPUKの部分遺伝子を有するプラスミドpUH4〜6の
作製を試みた。先ず、pUH3をClaIとSfiIで消化し、アガ
ロースゲル電気泳動にかけ、エレクトロエリューション
にて約3.1kbのDNAフラグメントを回収した。このフラグ
メントと3種類の合成遺伝子とをそれぞれリゲーション
した。これらの反応液を用いて、大腸菌JM105株をトラ
ンスフォームした。得られたトランスフォーマントから
それぞれ10株ずつ選び、DNAを調製した後、BamHIとEcoR
Iで消化した。目的のプラスミドpUH4〜6であれば、制
限酵素消化により、pUH4では360bpのフラグメントが、
またpUH5では350bpが、pUH6では340bpのフラグメントが
生じる。アクリルアミドゲル電気泳動の結果、pUH4を2
クローン、pUH5を2クローン、pUH6を3クローン得るこ
とができた。
そこで、これらのプラスミドを用いて、EGFドメイン領
域のDNA塩基配列を決定した。その結果、それぞれ予定
していた領域が除去されており、またその他のアミノ酸
配列には変化がなかった。
次に、これらpUH4〜6のプラスミドよりそれぞれSV40初
期遺伝子プロモーター領域−EGFドメイン欠失変異ヒトP
UKの部分遺伝子を切り出し、動物細胞用ヒトPUK発現ベ
クターpSV-G1-preUKへの導入を試みた。pUH4〜6をそれ
ぞれNcoIで切断後CIP処理をおこない、5′末端を脱リ
ン酸化した。次に、これらのDNAをBamHIで消化した後ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、pUH4からは360b
pのDNAフラグメントを、pUH5からは350bp、pUH6からは3
40bpのDNAフラグメントを切り出し、エレクトロエリュ
ーションにてDNAを回収した。さらにこのDNAと別途調製
したプラスミドpSV-G1-preUKの400bp BamHI-HindIIIフ
ラグメントとをリゲーションし、反応終了後エタノール
沈澱によりDNAを回収した。
一方、pSV-G1-preUKをHindIIIとNcoIで消化し、電気泳
動にかけた。ゲルから約4.2kbのDNAフラグメントを切り
出し、エレクトロエリューションにてDNAを回収した。
そして、上述の3種類のリゲーションサンプルそれぞれ
と、この4.2kb HindIII-NcoI DNAフラグメントを再びリ
ゲーションした。各反応液を用いて、大腸菌HB101株を
トランスフォームした。各反応液から得られたトランス
フォーマントより16株ずつ選んでDNAを抽出し、各DNAを
HindIII及びHindIIIとBglIIで消化した。目的のプラス
ミドpUH7〜9であれば、HindIII消化からは約4.9kbのDN
Aフラグメントが、またHindIIIとBglIIとの消化からは
約1.0kbのフラグメントがみられる。電気泳動の結果、p
UH7が3クローン、pUH8が3クローン、pUH9が5クロー
ン得られた。そこで各プラスミドごとに1クローンずつ
選んで、それぞれのプラスミドを大量調製し、さらに詳
しくそれらの構造を分析した(表6)。その結果、種々
の制限酵素消化により得られるフラグメントの大きさ
は、予想値と完全に一致した。このようにして、3種類
のEGFドメイン欠失変異ヒトPUK用発現ベクターpUH7〜9
を作製した。
上記の制限酵素処理断片の測定から、EGFドメイン以外
の部分には大きな欠失はないと考えられる。また、除去
した部分付近をシークエンスしたところ、塩基配列に変
化はなかった。以上のことから、目的領域以外の箇所に
は、欠失や変異は起こっていないと推定される。
(ホ)COS7細胞によるEGFドメイン欠失変異ヒトPUKの生
産 pUH7〜9の3種類の発現ベクター各々20μgをそれぞれ
COS7細胞(3x106 cells)に導入して、各発現産物の活
性及び生産量を調べた(表7)。DNAを導入後、COS細胞
は10%FCS(GIBCO)を含むD-MEM(日水製薬)および10K
IU/mlのアプロチニン(SIGMA)を含む無血清培地で培養
して、それぞれ72時間後にサンプリングし、フィブリン
寒天平板法によりプラスミノーゲンアクチベータ活性
を、またRPHA assay法によりその抗原量を調べた。その
結果、各クローン共に血清の有無にかかわらず約200IU/
mlの産生量を示し、また生物活性値と抗原量から換算し
た活性値との間に大差がなかった。以上のことから、EG
Fドメインを除去してもプラスミノーゲンアクチベータ
活性の発現には影響がでないことが示唆された。
(ヘ)EGFドメイン欠失変異ヒトPUK発現ベクターのCHO
細胞への導入 3種類の変異ヒトPUK発現ベクターpUH7〜9をCHO K1細
胞(ATCC,CCL61)に導入した。
プラスミドpUH7〜9をDNA-リン酸カルシウム沈澱法にて
pSV-G1-neoと共にCHO K1細胞に導入した後、G418耐性コ
ロニーを含む培地中で培養した。得られたG418耐性コロ
ニーをそれぞれクローニングシリンダー法で96穴プレー
トへと移した。各プラスミドの導入効率は、pUH7が1.2x
10-5(colonies/μg/dish)、pUH8が3.2x10-4(colonie
s/μg/dish)、pUH9が3.9x10-4(colonies/μg/dish)
であり、3プラスミドの間に大きな差はなかった。
次に、トランスフェクションにより得られたG418耐性コ
ロニーの96穴プレート培養上清中のPlasminogen Activa
tor (PA)活性をフィブリン寒天平板法で調べた。各プ
ラスミドごとに約130クローンのPA産生量を調べたとこ
ろ、25IU/ml以上の産生を示したクローンがpUH7では10
クローン、pUH8では8クローン、pUH9では16クローン得
られた。特にpUH9では100IU/ml以上の高産生を示すもの
も得られた。しかし、96穴プレート中では、各クローン
の増殖状態に差があり、正確な産生量の比較はできなか
った。そこで、これらクローンをscale-upし、産生量を
比較した。各クローンともに10%FCSを含むHam′sF12培
地で培養し、confluentになった状態での産生量を調べ
た。その結果、pUH7のトランスフェクションからは、最
高約100IU/ml/dayの産生量を示すクローンU7-2株が、ま
たpUH9からは、約130IU/ml/dayの産生量を示すクローン
U9-25株が得られたが、pUH8からは、30IU/ml/dayの産生
量のクローンU8-65株しか得られなかった。また、これ
らクローンの培養上清中のPA活性は、全て抗ウロキナー
ゼポリクロナール抗体で完全に中和された。3種類の変
異ヒトPUK高産生株U7-2,U8-65,U9-25をしばらく培養を
続け、産生量の変化を調べたところ、U9-25株は約1か
月間その産生量に変化はなかった。これらの高産生株に
ついて、再スクリーニングをおこなった結果、U7-2株か
らは222IU/ml/dayの高産生を示すクローンU7-2-23株
が、U8-65株からは52IU/ml/dayの産生を示すクローンU8
-65-34株が、U9-25株からは、200IU/ml/dayの高産生を
示すクローンU9-25−6株が得られた。また、これら再
スクリーニングにより得られた株は全て、約1か月間の
継代後も産生量の低下はみられなかった。
(ト)培養方法 C-68-53細胞及び変異ヒトPUKを産生するCHO細胞は、FCS
を10%含むHam′sF12培地で継代した。性状分析用、活
性測定用として以下のような培養を行った。まず、FCS
を10%含むHam′sF12培地でconfluentになるまで細胞を
増殖させ、次に血清を含まない同培地で2〜3回細胞を
よく洗浄し、血清成分をできる限り除いた。その後、血
清を含まない同培地及び1%FCSを含む同培地で2〜3
日間維持培養した。また、プロテアーゼ阻害剤を添加す
る場合は、アプロチニンを10KIU/mlになるように加え
た。培養終了後、培養上清をとり、遠心(3,000rpm,5分
間,日立05P-2113卓上遠心機)にかけ、使用直前まで‐
40℃で凍結保存した。
各変異ヒトPUK産生CHO細胞株の無血清培養における培地
及び添加剤の効果を調べる実験は、以下の方法で行っ
た。FCSを5%含むHam′sF12培地、F12-MW培地(Ham′s
F12とModified Waymouthの混合培地)、RITC培地に各細
胞を懸濁し、75cm2フラスコ当り、2x106の細胞を植え込
んだ。培養2日後、各無血清培地で3回洗浄した後、各
種添加剤を含む無血清培養液を25mlフラスコに注入し
た。以後、2日毎に新鮮な培養液に交換した。
(チ)変異ヒトPUKの性状分析 各細胞をconfluentになるまで増殖させた後、1%FCSを
含む培地、無血清培地、無血清培地に更にアプロチニン
を添加した培地の3種類を用いて維持培養し、そしてこ
れらの培養上清をFibrinautographyにかけた。その結
果、全変異ヒトPUK産生株の培養上清から分子量45,000
付近にPA活性を示すバンドがみられた。また、無血清培
養の上清からは、分子量45,000付近にのみバンドがみら
れたが、1%FCS存在下で培養した上清からは、僅かで
はあるが低分子を示すバンドと高分子複合体を示すバン
ドがみられた。
次に、上述と同じ培養上清を用いてWestern Blottingを
行った。各培養上清をそれぞれSDS-ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動にかけ、その後抗ウロキナーゼポリクロナ
ール抗体を用いてWestern Blotting解析した。その結
果、U7-2,U8-65,U9-25株の培養上清からは、主に分子量
45,000付近に抗体と反応するバンドがみられた。また、
還元処理をおこなっても、これらのバンドの低分子側へ
の移行は認められなかった。一方、天然型ヒトPUKの産
生細胞であるC-68-53の培養上清からは、分子量50,000
付近に還元、非還元ともに単一のバンドがみられ、尿由
来の高分子型ウロキナーゼからは非還元時には分子量5
0,000、還元時には分子量33,000のところに単一のバン
ドがみられた。
以上の結果、CHO細胞より産生された3種類の変異ヒトP
UKは、全て分子量約45,000の一本鎖型として産生されて
いることが判明した。また、天然型ヒトPUKとの分子量
約5,000の差は、除去したEGFドメイン領域のアミノ酸数
(約40個)から換算される分子量の値と一致した。
無血清培養及び10%FCSを含む培養の各培養上清を用い
てFibrin-agar plate法により,PA活性を、RPHA法により
その抗原量を調べた。その結果、各クローンともに血清
の有無にかかわらず、生物活性値と抗原量から換算した
活性値との間に大差はなかった(表8)。
以上のことから、EGFドメインを除いてもPA活性の発現
には影響がでないことが示唆された。
次に、CHO細胞より産生された3種類の変異ヒトPUKがプ
ロエンザイムであるか、またプラスミンにより天然型ヒ
トPUKと同様の活性化が起こるかについて調べた(表
9)。その結果、各クローンともにプラスミン未処理の
場合は、ウロキナーゼ活性が検出できなかった。さら
に、天然型ヒトPUKの活性化と同条件のプラスミン処理
により、全クローンともフィブリン寒天平板法で得られ
た活性値と同程度にまでウロキナーゼ活性が上昇した。
以上のことから、これら変異ヒトPUKは全てプロエンザ
イムとして産生され、さらに、天然型ヒトPUKと同条件
のプラスミン処理で充分活性型に変換されることが判明
した。
(リ)精製方法 Chelating Sepharose 6B(100ml)を2.5x20cmのカラム
に充填して500mlの0.05M EDTA-NaOH,pH8.0,500mlのH2O
で順次洗浄後、500mlの0.035M ZnCl2,pH4.2を注入してZ
n2+イオンをゲルに結合させた。未結合Zn2+イオンをH2O
で洗い流した後、カラムは0.02M Tris-HC1,1M NaCl,apr
otinin(10KIU/ml),0.01%Tween80,pH7.5(bufferA)
で平衡化した。次いで変異ヒトPUKを産生するCHO細胞の
無血清培養上清を、ペリスタポンプを用いて流速200ml/
hr(40ml/hr/cm2)でカラムに注入した。試料をチャー
ジしたカラムは一旦bufferAで洗浄したのち、bufferA,1
20mlと0.05M imidazoleを含むbufferA,120mlから成るim
idazoleの直線濃度勾配により、変異ヒトPUKを溶出し
た。同様の実験をChelating Sepharose Fast Flow Colu
mn(100ml,2.5x20cm)を用いても行った。但し、この場
合、カラムへの変異ヒトPUKを産生するCHO細胞の培養上
清の注入流速は400ml/hr(80ml/hr/cm2)とした。次
に、Chelating Sepharose6B column溶出活性画分を、an
ti-UK IgG-Sepharose4B column(8ml,1.5x4cm)に注入
した。このカラムを0.5M NaCl,0.1M sodium phosphate,
0.01%Tween80,pH7.0で洗浄した後、変異ヒトPUKを0.5M
NaCl,0.2M glycine-HCl,0.01%Tween80,pH2.5で溶出し
た。溶出活性画分は固型Trisを加え、pHを7.0に補正
後、更にp-aminobenzamidine-Sepharose6B column(20m
l,5x10cm)に注入した。このカラムを0.4M NaCl,0.1M s
odium phosphate,0.01%Tween80,pH7.0で洗浄したの
ち、0.4M NaCl,0.1M sodium acetate,0.01%Tween80,pH
4.0で吸着物質を溶出した。この操作により、変異ヒトP
UKは非吸着画分に回収された。
以上により、比活性27IU/A280の無血清培地中の変異ヒ
トPUKは比活性6.9x104IU/A280にまで精製され、その精
製度は2,411倍で回収率は71%であった。
(ヌ)変異ヒトプロウロキナーゼのアミノ酸配列 U7-2細胞株(プラスミドpUH7を導入したCHO K1細胞
株)、U8-65-34細胞株(プラスミドpUH8を導入したCHO
K1細胞株)およびU9-25細胞株(プラスミドpUH9を導入
したCHO K1細胞株)の産生する各種変異ヒトPUKのアミ
ノ末端領域のアミノ酸配列を気相プロテインシークエン
サーを用いて明らかにし、それを人腎細胞由来PUKのア
ミノ酸配列〔Kasai,S.,et al.,J.Biol.Chem.260,12382
(1985)〕と比較した(表1)。
その結果、U7-2細胞株、U8-65-34細胞株およびU9-25細
胞株由来変異ヒトPUKは、人腎細胞由来PUKのAsn-10-Cys
-42,Asn-10-Asp-45およびAsn-10-Thr-49の領域をそれぞ
れ欠失していることが判明した。さらにこれら変異ヒト
PUKの分子量は約45,000であり、人腎細胞由来PUKの分子
量約50,000よりも約5,000小さかった。この分子量差は
変異ヒトPUKの欠失アミノ酸数33-40と一致した。以上の
結果からも、Asn-10-Thr-49の領域以外には欠失、変異
などが起こっていないと推定される。
(ル)血中半減期 実施例1に準じて同様に本実施例で得られた変異ヒトPU
Kの血中半減期をもとめたところ、下記の通りであっ
た。
上の結果から、EGFドメイン領域を欠失した変異ヒトPUK
は人腎細胞由来PUKよりも血中半減期が長いことがわか
った。同様な結果をウサギにおいても得た。これらの結
果はPUK分子中のEGFドメイン領域はPUKの体内での消長
に大きく関与していることを示唆する。さらに上記結果
はEGFドメイン領域に存在するアミノ酸残基を他のアミ
ノ酸残基で置換することにより、PUK分子中のEGFドメイ
ンの機能を損なった変異ヒトPUKについても血中半減期
の延長が期待されることを示唆する。
実施例3〜5 図10〔大腸菌用変異ヒトPUK(Asn-10〜Asp-45欠失)発
現ベクターの作製〕、図11〔枯草菌用変異ヒトPUK分泌
発現ベクターの作製〕、および図12〔酵母用変異ヒトPU
K発現ベクターの作製〕に示したように、各々大腸菌用
変異ヒトPUK〔Asn(10)〜Asp(45)欠失〕発現用ベク
ター、枯草菌用発現ベクター、酵母用発現ベクターを作
製した。
なお、プラスミンによる活性化反応は、0.4CU/mlのプラ
スミン濃度で37℃下30分間の加温によりおこなった。ま
ず、プラスミン未処理及び処理サンプル100μlにアプ
ロチニン(2×104KIU/ml)5μlを添加して活性化に
用いたプラスミンを失活させた。続いてbufferA(0.05M
Tris-HCl,0.038M NaCl,0.2% BSA,pH8.8)695μlとS-
2444水溶液(1.5mg/ml)100μlを加え、405nmに於ける
吸光度変化を測定した。既知濃度の尿由来ウロキナーゼ
(Reference Standard GCC,1,150IU/ampole)の吸光度
変化値と比較することにより、各サンプルのウロキナー
ゼ活性値を求めた。
〔作用・効果〕
本発明により、Asn-10〜Cys-42の33アミノ酸の中に、血
中半減期(主として肝細胞への取り込み)に関与する領
域(アミノ酸配列)があると示唆された。
この領域は、構造からみてAsn-10〜Cys-19とVal-20〜As
n-32とCys-33〜Cys-42の3つの部分に分けることができ
る。Asn-10〜Cys-42のChou and Fasman法による2次構
造分析および、この領域とホモロジーがあるエピダーマ
ルグロースファクター(EGF)とそのレセプターとの結
合に関する報告〔Blomquist,M.C.,et al.,Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA,81,7363,(1984)〕等から、肝細胞への取
り込みに関係する領域はVal-20〜Cys-42の中にあると考
えられる。更に、Asn-10〜Cys-42のなかでCys-33〜Cys-
42だけが親水性の高いアミノ酸領域であること、またエ
ピダーマルグロースファクターのアミノ酸配列の中でこ
のCys-33〜Cys-42部分とホモロジーが高い領域(Cys-33
〜Cys-42)が、エピダーマルグロースファクターレセプ
ターとの親和性(結合)に関与しているという報告〔Ne
stor,J.J.,et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,129,2
26(1985)〕等から、このヒトプロウロキナーゼのCys-
33〜Cys-42部分が肝細胞への取り込みに関与していると
推定される。
それゆえ、本発明においては、ヒトPUKのVal-20〜Cys-4
2の全領域もしくはその一部を欠失、またはその一部を
他のアミノ酸残基で置換されている変異ヒトPUK、ヒトP
UKのCys-33〜Cys-42の全領域もしくはその一部を欠失、
またはその一部を他のアミノ酸残基で置換されている変
異ヒトPUKも又好適な対象となりうると示唆される。
本発明によりウロキナーゼの前駆体型の生理的意義を有
した変異ヒトPUKを提供可能にし、しかも該変異ヒトPUK
は、既知ヒトPUK、ウロキナーゼに比して血中内半減期
を有意に延長可能とするものである。このため本発明
は、より理想的な線維素溶解酵素を提供するものであ
り、医療分野への大きな効果が期待される。
【図面の簡単な説明】
第1図は、新しい制限酵素部位をもつヒトPUKの発現ベ
クターpSV−UK10の作製を示し、第2図は、pSV−G1−pr
eUKの制限酵素地図を示し、第3図は、pSV−G1−preUK
のpreUKcDNA近辺構造を示し、第4図は、preUKcDNA断片
のM13mp18RFプラスミドへの挿入を示し、第5図は開環
プラスミドM13−UK1−OCの作製を示し、第6図はヒトPU
K遺伝子へのSacI部位とNdeI部位の導入工程を示し、第
7図は、変異PUK発現ベクターpSV−UK11の構造を示し、
第8図はプラスミドpSV−UK50の制限酵素地図を示し、
第9図はpUH7〜9の調製工程を示し、第10図は大腸菌
用、第11図は枯草菌用、第12図は酵母用の発現ベクター
を各々示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒトプロウロキナーゼのエピダーマルグロ
    ースファクター(epidermal growth factor)ドメイン
    (domain)の少なくとも10位〜42位のアミノ酸を欠失し
    てなる変異ヒトプロウロキナーゼ。
  2. 【請求項2】ヒトプロウロキナーゼのエピダーマルグロ
    ースファクター(epidermal growth factor)ドメイン
    (domain)の少なくとも10位〜42位のアミノ酸を欠失し
    てなる変異ヒトプロウロキナーゼをコードするDNA配列
    が組み込まれたプラスミドによって形質転換された宿主
    を発現させることからなる変異ヒトプロウロキナーゼの
    製造方法。
  3. 【請求項3】宿主が動物細胞または酵母細胞である特許
    請求の範囲第(2)項記載の製造方法。
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