JPH0760216B2 - 顕微試料の画像処理方法及び装置 - Google Patents

顕微試料の画像処理方法及び装置

Info

Publication number
JPH0760216B2
JPH0760216B2 JP24056288A JP24056288A JPH0760216B2 JP H0760216 B2 JPH0760216 B2 JP H0760216B2 JP 24056288 A JP24056288 A JP 24056288A JP 24056288 A JP24056288 A JP 24056288A JP H0760216 B2 JPH0760216 B2 JP H0760216B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
image information
image
sample
phase difference
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP24056288A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0289015A (ja
Inventor
茂夫 南
聡 河田
友也 埜田
Original Assignee
茂夫 南
聡 河田
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 茂夫 南, 聡 河田 filed Critical 茂夫 南
Priority to JP24056288A priority Critical patent/JPH0760216B2/ja
Publication of JPH0289015A publication Critical patent/JPH0289015A/ja
Publication of JPH0760216B2 publication Critical patent/JPH0760216B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Microscoopes, Condenser (AREA)
  • Image Processing (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、顕微試料の画像処理方法及び装置に関し、よ
り詳しくは、顕微試料を観測して得た画像情報をコンピ
ュータにより処理して修正された位相分布(屈折率分
布)の画像を得ることができる顕微試料の画像処理装置
方法及び装置に関する。
(従来の技術とその問題点) 顕微試料のうち、生物試料や生体組織は無色透明に近
く、すなわち、吸収が余りなく、屈折率のみが場所によ
り異なるものが多い。このような試料を観測するために
は、従来から染色法がよく用いられてきた。これは、組
織によって染まり方に違いがでることを利用して、組織
を可視化することによって、その吸収率の分布を測定す
る方法である。しかし、染色という処理は、生物を殺し
てしまうため、生きたままでの観測には適さない。
一方、無染色で生物試料を観測するための手法として
は、試料の持つ屈折率分布(透過光の位相分布)を測定
する方法が、従来からいろいろ考案されている。ところ
が、多くの手法は、1)吸収分布がなく(分布があって
も無視できる程度、すなわち弱吸収近似)、かつ2)位
相分布の変化量が少ないこと(弱位相近似)を仮定して
いる。ツェルニケの位相差法は、この2つの仮定が成り
立つ条件下においてのみ位相差を近似的に光強度分布に
変換することにより位相分布を定量することができる。
しかしながら、この条件から外れた場合、得られる強度
分布は正しい位相分布を表わさない。
(発明の目的・問題点を解決するための手段) そこで、本発明は、顕微試料において弱吸収近似及び弱
位相近似を用いることなくその正しい位相分布を知るこ
とができる新規な手法を提供することを目的とする。
このため、本発明に係る手法は、新規に導出した下記の
式(I),(II)に基づき、 UB=UN−+α・exp{jε} …(I) UD=UN−+α・exp{−jε} …(II) ここに、 UN:試料の複素振幅透過率、 :UNの平均値、 UB:位相差顕微鏡におけるブライト・コントラスト像に
係る複素振幅、 UD:位相差顕微鏡におけるダーク・コントラスト像に係
る複素振幅、 α:位相差顕微鏡の位相板の振幅透過率(0<α<
1)、 ε:位相差顕微鏡の位相板の位相シフト量(0<ε)、 j :虚数単位であり、上記UN,UB,UD,εの変数は2次
元の直交座標(x,y)である。
位相差顕微鏡により得られるブライト・コントラスト像
またはダーク・コントラスト像の少なくともいずれか一
方の画像情報に、通常の顕微鏡(試料物体を透過照明で
観察する透過型生物顕微鏡など)により得られる吸収画
像情報を適用して、コンピュータにより所定の演算を行
うことによって、前記位相差に係る画像情報(位相分布
の情報と吸収分布の情報の両者が含まれている)から吸
収分布の情報を取り除いた位相分布の情報のみを分離し
て得るものである。
試料における位相の変化量が小さい場合には、1つの位
相差画像情報と1つの吸収画像情報の2枚の画像を用い
ることにより、真の位相分布を求めることができる。し
かし、位相の変化量が大きい場合や、測定雑音の影響を
軽減するためには、異なる2種以上の位相差画像をもち
い、合計3枚以上の画像を用いることによって、より精
度の高い真の位相分布を求めることができる。
以下に、本手法の原理的背景とともに実施例を示し、本
発明を具体的に説明する。
(本発明の原理) はじめに、位相差法の結像原理を説明するために、一例
として、ツェルニケ型の位相差顕微鏡の基本構造を第1
図に示す。
ツェルニケ型の位相差顕微鏡では、ケーラー照明系
(1)の光源面(2)の光軸(3)上に点光源(4)を
設け(コヒーレント照明)、対物レンズ(12)の瞳面
(6)の光軸上に零次回折光に位相シフトを与えるため
の位相板(7)が設けられる。第1図の系では、左側か
ら順に、光源面(2)(μ軸)、第1レンズ(11)、試
料面(8)(X軸)、対物レンズである第2レンズ(1
2)、瞳面(6)(μ軸)、接眼レンズである第3レン
ズ(13)、結像面(9)(X軸)が距離fで並んでい
る。fは第1,第2,第3レンズ(11),(12),(13)の
焦点距離であり、すなわちケーラー照明系(1)にテレ
セントリック系(21)を組み合わせた系をなしている。
試料物体(10)の複素振幅透過率と複素屈折率との関係
について考える。以下、簡単のためすべて1次元で説明
する。
物体の複素振幅透過率をt(x)とする。t(x)は各
点xでの複素屈折率を を1としたとき、 と表される。
実数部(位相部)と虚数部(吸収部)に分け、 とすると、t(x)は、 t(x)=exp{−k(x)}・exp{j(1−n
(x))} =exp{−k(x)}・exp{jφ(x)} …
(3) となる。ここで、φ(x)が物体の位相分布である。
対象となる光学系は前述した系(第1図)であり、軸上
に点光源と位相板を持つタイプの位相差光学系とする。
軸上点光源を仮定しているので、点光源(4)の光源面
(2)での複素振幅US(μ)は、(4)式のようにデル
ダ関数で表わされる。
Us(μ)=δ(μ) …(4) この光が伝播して、試料面(8)に達するとその複素振
幅uo(x)は、(4)式の逆フーリエ変換で与えられ、 uo(x)=F−1[Us(μ)] =1 …(5) となる。ここで、F[・]はフーリエ変換の操作を表わ
す。この光が物体を通過すると、通過直後の光の複素振
幅uo′(x)は、 uo′(x)=uo(x)・t(x) =t(x) …(6) となる。瞳面(6)における複素振幅Up(μ)は、
(6)式をフーリエ変換して、 Up(μ)=F[uo′(x)] =T(μ) …(7) となる。ただし、T(μ)はt(x)のフーリエ変換で
ある。ブライト・コントラストの位相差光学系では、こ
こで瞳面にある位相板(7)によって、原点を通る光だ
けがその位相をπ/2遅らされ、かつ光強度が落とされ
る。すなわち、位相板の振幅透過率をα(0<α<1)
とすると、位相板通過直後の光波の複素振幅Up′(μ)
は、 Up′(μ)=T(μ)−T(O)+jαT(O) …
(8) となる。結像面(9)における光波の複素振幅uB(x)
は、(8)式を再び逆フーリエ変換して、 uB(x)=F−1[Up′(μ)] =t(x)−+jα …(9) となる。
また、ダーク・コントラストの位相差光学系では、瞳面
にある位相板によって、原点を通る光だけがその位相を
π/2進まされる。すなわち、ダーク・コントラストの位
相差光学系の結像面で得られる複素振幅uD(x)は、 uD(x)=t(x)−−jα …(10) となる。ただし、はt(x)の平均値であり、次式で
表される複素数である。
=∫t(x)dx …(11) よって、結像面で観測される光の強度分布I(x)は、
ブライト・コントラストの場合(IB(x))、 IB(x)=uB(x)uB (x) =(t(x)−)+(α) …(1
2) となる。ダーク・コントラストの場合(ID(x))で
は、 ID(x)=uD(x)uD (x) =(t(x)−)−(α) …(1
3) となる。
ここで、この式の意味をグラフを用いることにより、簡
単に説明してみる。
複素振幅透過率t(x)を複素平面上でベクトル表示す
ると、第2図のようになる。この表示法では、矢印の長
さが吸収率を表し、軸とのなす角が位相を表している。
純吸収物体(吸収分布のみをもち、位相遅れ量は空間的
に全ての点について一定値をとるもの)の場合、同図
(a)に示すように、各点xに対応する複素振幅透過率
を示すベクトルの先端は、原点を通る1つの半直線上に
のみ存在し(太線の部分)、吸収が小さいところが太線
の上部、吸収の大きいところが太線の下部にに対応す
る。また、純位相物体(位相分布のみをもち、吸収率は
せべての点について一定値をとるもの)の場合は、同図
(b)に示すように各点xに対応する複素振幅透過率を
示すベクトルの先端は、原点を中心とする円弧上にのみ
存在し(太線の部分)、位相が遅れているところが実軸
Reの右側、位相が進んでいるところが実軸Reの左側に対
応する。より一般の物体(吸収・位相物体)の複素振幅
透過率t(x)は、例えば同図(c)のように表示で
き、各点xに対応する複素振幅透過率を示すベクトルの
先端は、斜線部に存在する。
この表示法を用いて、(9)式,(10)式を書き表わし
てみる。いま、ある試料の複素振幅透過率t(x)の存
在域が第3図の斜線の部分であるとする。
ブライト・コントラストの場合、(9)式が示すよう
に、結像面での複素振幅uB(x)はt(x)からt
(x)の平均ベクトルであるを引き、jαベクトル
を加えたものである。ただし、jαベクトルはαベ
クトルを右回りに90°回転させたベクトルである。この
結果、各々の点にこの操作を加えると斜線の部分で表わ
されている試料の複素振幅透過率t(x)は網線の部分
に写像され、これがブライト・コントラストの位相差光
学系の結像面で得られる複素振幅分布uB(x)を表わす
ことになる。
ダーク・コントラストの場合には、(10)式が示すよう
に、ベクトルt(x)からベクトルを引きベクトルj
αを引いたものとなる。(第4図)。
ここで、このベクトル演算を座標演算にに置き換えて考
えてみる。第3図のブライト・コントラストの場合、ベ
クトルt(x)からベクトルを引きベクトルjαを
加えるという操作は、座標原点を−jαだけ動かす
操作第5図(a)と同等である。同じく、ダーク・コン
トラストの場合は、同図(b)の座標変換として考える
ことができる。
さて、実際に位相差像として観察されるのは、(12)式
で示されるとおり、複素振幅uB(x)の絶対値の2乗で
あり、第5図(a)のuBの長さ|uB|が求まる。
ブライト・コントラストの位相差光学系で得られる画像
の光強度を、第3図を用いて考察する。前述したよう
に、同図の斜線の部分で表されている物体の振幅透過率
の内、位相の進んでいる部分が実軸Reの右側、遅れてい
る部分が左側に対応する。斜線の部分が網線の部分に写
像されると、位相の進んでいる部分は、網線の部分の右
側となる。従って、uB(x)の絶対値が大きくなり、位
相差像では、明るく表される。位相の遅れている部分
は、網線の部分の左側となり、uB(x)の絶対値が小さ
くなって、位相差像では、暗く表わされる。すなわち、
位相差光学系で得られる画像の強度分布は、近似的に、
試料物体の位相分布φ(x)を表している。しかし、厳
密には、吸収の全くない物体であっても、位相分布をそ
のまま表わしてはいない。
前述したように、位相差光学系によって得られる複素振
幅は物体通過直後の複素振幅を座標変換したものと考え
ることができる。そこで、ここではこれらの複素振幅の
絶対値が、試料物体を透過照明で観察する通常の顕微鏡
(透過型生物顕微鏡)、及び位相差顕微鏡により測定で
きる点に注目して、位相分布を弱吸収・弱位相近似を用
いずに求める本発明の方法についてより具体的に説明す
る。
本手法で用いる情報は次の3つの画像の強度情報であ
る。3つとは、1)通常の顕微鏡で観察できる画像(以
後、吸収像という)、2)位相差顕微鏡で得られるブラ
イト・コントラスト像(以後、ブライト像という)、及
び3)ダーク・コントラスト像(以後、ダーク像とい
う)である。
透過型生物顕微鏡では、試料面と結像面は完全に結像関
係になっており、試料通過直後の複素振幅はそのまま結
像面に再現される。結像面における複素振幅uN(x)
は、 uN(x)=t(x) …(14) となり、試料の複素振幅透過率と同じになる。観測でき
る結像面の各点の強度IN(x)は、それに対応する点の
複素振幅uN(x)の絶対値の2乗|uN(x)|であ
り、各点の強度の平方根を計算することにより、対応す
る複素振幅の絶対値を求めることができる。
一方、ブライト・コントラストの位相差顕微鏡におい
て、観察面において得られる複素振幅uB(x)は、(1
2)式及び(14)式より、 uB(x)=uN(x)−+jα …(16) となる。ただし、はuNの平均値であり、 ==∫uN(x)dx …(17) である。
ダーク・コントラストの位相差像の複素振幅uD(x)
は、同様にして、 uD(x)=uN(x)−−jα …(18) となる。ただし、以上の考察では、試料面から結像面へ
の伝播に対応する位相の遅れは無視して考えている。
以上のように、|uN(x)|,|uB(x)|,|uD(x)|が
求められるので、最後に、(11)式、(17)式で示され
る物体の複素振幅透過率の平均値(=)がわかれば
物体の複素振幅透過率を求めることができ、位相分布φ
(x)が求まる。
計算を簡単にするために、この3つの複素振幅の関係を
整理してみる。uNと、uBと、uDの関係を示したのが第6
図(a)である。これは第5図(a)において、t
(x)をuN(x)に書き換えたものと同じである。ここ
で、いま求めたい量は位相の相対量であるから原点を中
心として回転移動しても同等である。そこで、簡単のた
めにベクトルが軸に重なるように回転移動してみる
と、同図(b)のようになる。実際に測定できるのはそ
れぞれのベクトルの長さである。ダーク像に関しては、
同図(c)のようになる。さて、第6図(b)におい
て、原点を中心とする半径|uN|の円と−jαの点
を中心とする半径|uB|の円の交点と、原点を結ぶ直線
が軸となる角φを求めれば、xにおける位相が求まるこ
とが分かる。
第7図に、角度φの求め方を図示する。同図から明らか
なように、半径|uN|の円と、半径|uB|の円の交点は
2点存在する。位相の変化が余り大きくないような試料
においては、この2つの交点のうち実軸Reに近い方の角
度が求めるφであると見なせる。これは、得られた位相
差像がコントラストの反転現象を起こしていないという
仮定の下で成り立つ。実軸Reに近い方の交点を各画素毎
に求めることによって全体の位相分布が求まる。第7図
より、位相角φは、 となる。
画像内に位相の変化が大きい部分を含む場合、その部分
において位相差像がコントラストの反転を起こし得る。
このとき、求めるべき点Pが必ず実軸Reに近い方の交点
であるとは限らない。そこで、2つの交点のうちどちら
が求めるべき点Pであるかを決める必要がある。この場
合、吸収像、ブライト像、ダーク像の3つの画像を用い
る。第8図は、第7図にダーク像の振幅uDを加えたもの
である。ベクトルuDの起点は、実軸Reに対してベクトル
uBの起点と対称の位置にある。いま、各画素においてベ
クトルの長さ|uN|、uB、uDは吸収像、ブライト像、ダ
ーク像から、それぞれの強度の平方根として求まる。ま
た、uNの起点は原点で、uB及びuDの起点は、=∫uNdx
を知ることにより求まる。結局uN=t(x)のベクトル
は、これら半径|uN|、|uB|、|uD|の円の交点を求
めることにより一意的に決まる。すなわち、試料通過直
後の複素振幅が求まり、試料の位相分布が求まる。
以上をまとめると、通常の顕微鏡によって得られる吸収
像の強度の平方根(複素振幅のの絶対値)を|uN|、位
相差顕微鏡によって得られるブライト・コントラスト像
の強度の平方根(複素振幅の絶対値)を|uB|、ダーク
・コントラスト像の強度の平方根(複素振幅の絶対値)
を|uD|とし、複素振幅uNの平均値をとするとき、物
体通過直後の光波の複素振幅を示すベグトルは、原点O
を中心とする半径|uN|の円と、ブライト像に対する原
点である点B(−α,)を中心とする半径|uB|の
円と、ダーク像に対する原点である点D(α,)を
中心とする半径|uD|の円の3つの円の交点Pと原点O
とを結ぶベクトル(uN)である(第8図参照)。ただ
し、αは位相板の振幅透過率であり、既知量である。こ
のベクトルuNが軸となす角φを求めることによりその点
xでの相対位相量が求まる。この計算を2次元平面の各
点(x,y)について行えば修正・回復された位相分布を
求まる。
本手法を用いることによって改善されるもう1つの点
は、位相板の位相シフト量がπ/2以外の値であってもよ
り点である。従来の位相差顕微鏡の結像理論(近似法)
では、位相板の位相シフト量は正確にπ/2でなくてはな
らなかった。そのため、測定できる光の波長は通常1つ
に限定されていた。しかし、本手法においては位相シフ
ト量が分かっているならばπ/2である必要はない。なぜ
ならば、位相シフト量がε(ε>0)である場合には、
(16)式、(18)式は、 uB(x)=uN(x)−+α・exp{jε} …(20) uD(x)=uN(x)−+α・exp{−jε} …(2
1) と、置き換えることにより対処できる。これは、図示す
ると第9図(a)および(b)のようになる。そこで、
測定する全ての波長における位相板の位相シフト量を予
め測定しておくことにより、単一の位相差対物レンズ
(位相板を組み込んだユニットとしてのレンズ系)を用
いて、多波長の屈折率と吸収率の測定ができる。
コンピュータに取り込んだ画像データには、ディテクタ
や処理系(カメラ、量子化誤差)の雑音が含まれてい
る。そのため、先ほど述べた3つの円は、1つの点では
交っわらず、3つの円のお互いの交点が合計6つ存在す
る。しかし、雑音の分散が信号のコントラストに比べて
小さいときは、この内の3点は比較的近傍に存在してお
り、技術の実際上、簡単化して、接近している3点の中
心を点Pとして求めるのが実用的である。
雑音の影響を軽減するためには、位相分布の推定に使用
する情報量を増やすことが考えられる。すなわち、より
多くの画像を用いることにする。位相差光学系に使用し
ている位相板の透過率や位相シフト量を変えることによ
り、得られた位相差像と吸収像の複素振幅間の関係をい
ろいろな状態にすることが可能である。これは、第8図
の点B,Dの位置を複素平面内でいろいろに変えることに
相当する。これらの点(B,D等)と点Pまでの距離が雑
音を含む量として全て測定できる。例えば、この距離を
半径とした円を描き、いま描いたいろいろな円に近い点
を求めると最も適した点Pを求めることができる。以上
のようにして雑音の影響を大幅に軽減することができ
る。
以下には、本手法を用いて実際の試料の位相分布を求め
るために構築した装置システム、画像処理の実際、及び
これを用いて得た結果について説明する。
(実施例) 本手法を実現するために構築した装置システムを第10図
にブロック図で示す。顕微鏡(31)は、ニコン社製の生
物顕微鏡OPTIPHOTを用いた。その対物レンズ系の3種を
切り替える、あるいはポーランレット対物レンズを利用
することにより、通常の吸収像、ブライト像、ダーク像
の3枚の画像を得ることができる。この顕微鏡(31)の
CマウントにCCDカメラ(32)、例えばNEC製CCDカメラT
I−23A(25万画素)を取り付けた。CCDカメラ(32)か
ら出力されるTV信号は、画像取り込み装置(33)、例え
ばシバソク社製画像取り込み装置VM01B1(512×512画
素,256階調)内で、A/D変換された後、メモリにディジ
タル量として記憶され、DMAを介してコンピュータ(3
4)、例えばDEC社製スーパー・マイクロコンピュータMi
croVAXIIに転送される。MicroVAXII(34)内で、真の位
相分布を求める画像処理の演算を行なう。演算結果は再
びDMAを介してフレームグラバと称される画像取り込み
装置(33)、VM01B1に送られ、ディスプレイモニタ(3
5)に表示される。画像の取り込み、データの転送、及
び結果の表示はすべてコンピュータ(34)、MicroVAXII
により制御される。この制御の指令は、端末(36)から
入力する。なお、コンピュータ(34)は、一般市販のパ
ーソナルコンピュータであってもよい。また、位相差顕
微鏡の位相板の位相シフト量はε=π/2とした。
コンピュータ(34)内で行う画像処理の流れを第11図に
示す。演算等の具体的な詳細は、本手法の原理的な説明
のところで示されている。第12図は複素振幅の推定処理
ステップ(40)の一具体例を示している。
本手法を実際の顕微試料に適用した結果を示す。試料
は、アオミドロである。この試料の3枚の観測像と、本
発明の手法によって求められた位相分布を第13図に写真
で示す。(a)が通常の吸収像、(c)がブライト像、
(d)がダーク像であり、各々128×128画素の情報とし
てコンピュータに取り込んだ。この測定に用いた対物レ
ンズの倍率は40倍であり、この画像は実際には30×30μ
mの広さとなる。(b)は、(a),(c),(d)か
ら求められた位相分布である。ここで、明るい部分は位
相の遅れを、逆に暗い部分は位相の進みを表している。
(c),(d)と、(b)の比較から、(c),(d)
の位相差像はかなり吸収分布の影響を受けていたことが
分かる。特に中心部に存在している核や、その上下にあ
る螺旋状の葉緑体の所々に存在する強い吸収の影響のた
め、ブライト像ではこれらに対応する部分が明るくなっ
ており、核や螺旋部にかなりの濃淡が見られる。(b)
の結果ではこれらの部分は一様に明るい。すなわち、こ
の部分は周りに比べ位相が遅れている。その位相遅れ量
は螺旋部のどの部分もほぼ同程度になっている。この結
果これらの部分はその他の部分とはっきり区別できる。
また、試料がミドリムシの場合の処理結果を第15図に示
す。(a)は通常の吸収像、(c)はブライト像、
(d)はダーク像であり、(b)が本発明の手法により
求めた真の位相分布の画像である。
(発明の効果) 本発明は、顕微試料の空間的屈折率の変化や吸収率の変
化、すなわち位相分布と吸収分布を、通常の顕微鏡及び
位相差顕微鏡を用いて観測した画像情報から求める新た
な手法である。この手法によれば、従来から問題であっ
た位相差像における吸収分布の影響を取り除くことがで
きる。また、従来の位相差法のように弱位相近似を用い
ていないため、大きな位相変化をも定量測定することが
可能である。
本手法では、位相変化量が少ない場合は基本的に2枚の
画像を用いることにより真の位相分布を求めることがで
きる。位相変化量が大きい場合や、測定雑音の影響を軽
減するためには3枚以上の画像を用いて、精度の高い真
の位相分布を求めることができる。すなわち、位相差顕
微鏡における位相板の位相シフト量や透過率をいろいろ
な値にした対物レンズ系を用いれば耐雑音性を大幅に改
善することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はツェルニケ型の位相差顕微鏡の光学系の説明図
である。 第2図(a),(b),(c)のそれぞれは複素振幅透
過率のベクトル表示の説明図である。 第3図はブライト・コントラストの場合における複素振
幅の写像の説明図である。 第4図はダーク・コントラストの場合における複素振幅
の写像の説明図である。 第5図(a),(b)のそれぞれはベクトル演算と座標
変換の関係を示す説明図である。 第6図(a),(b),(c)のそれぞれは回転可能移
動による簡略化を説明するための図である。 第7図は角度φの求め方を図解した説明図である。 第8図は第7図にさらにダーク像の情報を加えて角度φ
の求め方を図解した説明図である。 第9図(a),(b)のそれぞれは位相板の位相シフト
量とその座標変換の関係を示す説明図である。 第10図は本発明の一実施例に係る装置システムのブロッ
ク図である。 第11図は本発明の一実施例に係る画像処理の概要を示す
フローチャートである。 第12図は複素振幅の推定処理ステップの一例を詳しく示
したフローチャートである。 第13図は試料がアオミドロの場合における生物の形態に
係る図面に代わる写真である。 第14図は第13図中における配列の対応関係を示した説明
図である。 第15図は試料がミドリムシの場合における生物の形態に
係る図面に代わる写真である。 第16図は第15図中における配列の対応関係を示した説明
図である。 7…位相板、10…試料、12…対物レンズ、13…接眼レン
ズ、31…顕微鏡、32…CCDカメラ、33…画像取り込み装
置(フレームグラバ)、34…コンピュータ、35…ディス
ブレイモニター、36…制御端末。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G06T 1/00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料物体を透過照明で観察する顕微鏡によ
    り試料を観測してその吸収画像情報を記憶し、 位相差顕微鏡により前記試料を観測してその位相差画像
    情報を記憶し、 記憶された前記吸収画像情報と前記位相差画像情報とを
    データとして、下記第(I)式または第(II)式の少な
    くともいずれか一方の式に基づく演算により、観測され
    た前記位相差画像情報に固有に含まれる吸収分布の情報
    を位相差画像情報から分離し、 UB=UN−+α・exp{jε} …(I) UD=UN−+α・exp{−jε} …(II) ここに、 UN:試料の複素振幅透過率、 :UNの平均値、 UB:位相差顕微鏡におけるブライト・コントラスト像に
    係る複素振幅、 UD:位相差顕微鏡におけるダーク・コントラスト像に係
    る複素振幅、 α:位相差顕微鏡の位相板の振幅透過率(0<α<
    1)、 ε:位相差顕微鏡の位相板の位相シフト量(0<ε)、 j :虚数単位、 そして、前記演算により得た結果の画像情報をモニタに
    表示する顕微試料の画像処理方法。
  2. 【請求項2】前記位相差顕微鏡に用いる位相板の位相シ
    フト量εがπ/2とは異なる任意の値である、特許請求の
    範囲第(1)項記載の顕微試料の画像処理方法。
  3. 【請求項3】前記位相差顕微鏡に用いる位相板の位相シ
    フト量εがπ/2である、特許請求の範囲第(1)項記載
    の顕微試料の画像処理方法。
  4. 【請求項4】顕微試料の吸収分布のみを観測する第1の
    手段と、 前記顕微試料の位相差の分布を近似的に明暗の差の分布
    にかえて観測する第2の手段と、 前記第1の手段により得られた吸収画像情報と前記第2
    の手段により得られた位相差画像情報とを記憶する手段
    と、 前記記憶手段に記憶された吸収画像情報と位相差画像情
    報に基づいて、観測された位相差画像情報に固有に含ま
    れる吸収分布の情報をこの位相差画像情報から分離して
    真の位相差分布の情報を演算する手段と、 前記演算手段により得られた演算結果の情報を記憶する
    手段と、 この記憶手段に記憶された演算結果の情報を画像として
    表示する手段と、 所定の入力に基づいて前記の各手段をそれぞれに又は相
    互に制御する手段とを備えた顕微試料の画像処理装置。
  5. 【請求項5】前記の演算手段には、下記第(I)式また
    は第(II)式の少なくともいずれか一方の式に基づく演
    算により、観測された前記位相差画像情報に固有に含ま
    れる吸収分布の情報をこの位相差画像情報から分離する
    ための処理手段を含む、特許請求の範囲(4)項記載の
    顕微試料の画像処理装置。 UB=UN−+α・exp{jε} …(I) UD=UN−+α・exp{−jε} …(II) ここに、 UN:試料の複素振幅透過率、 :UNの平均値、 UB:位相差顕微鏡におけるブライト・コントラスト像に
    係る複素振幅、 UD:位相差顕微鏡におけるダーク・コントラスト像に係
    る複素振幅、 α:位相差顕微鏡の位相板の振幅透過率(0<α<
    1)、 ε:位相差顕微鏡の位相板の位相シフト量(0<ε)、 j :虚数単位、
JP24056288A 1988-09-26 1988-09-26 顕微試料の画像処理方法及び装置 Expired - Lifetime JPH0760216B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24056288A JPH0760216B2 (ja) 1988-09-26 1988-09-26 顕微試料の画像処理方法及び装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24056288A JPH0760216B2 (ja) 1988-09-26 1988-09-26 顕微試料の画像処理方法及び装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0289015A JPH0289015A (ja) 1990-03-29
JPH0760216B2 true JPH0760216B2 (ja) 1995-06-28

Family

ID=17061373

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24056288A Expired - Lifetime JPH0760216B2 (ja) 1988-09-26 1988-09-26 顕微試料の画像処理方法及び装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0760216B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011154042A (ja) * 2004-03-11 2011-08-11 Icos Vision Systems Nv 波面操作および改良3d測定方法および装置

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5446540A (en) * 1992-10-30 1995-08-29 International Business Machines Corporation Method of inspecting phase shift masks employing phase-error enhancing
US5751475A (en) * 1993-12-17 1998-05-12 Olympus Optical Co., Ltd. Phase contrast microscope
JP5733940B2 (ja) * 2010-10-07 2015-06-10 有限会社 高度技術研究所 位相差画像検査の方法およびその装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011154042A (ja) * 2004-03-11 2011-08-11 Icos Vision Systems Nv 波面操作および改良3d測定方法および装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0289015A (ja) 1990-03-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8998411B2 (en) Light field camera for fundus photography
US7564622B2 (en) Methods for implement microscopy and microscopic measurement as well as microscope and apparatus for implementing them
US20140334745A1 (en) Resolution light-field imaging
JP4071186B2 (ja) 生物標本内の関心対象を識別するための方法及びシステム
EP3175302A2 (en) Device and method for iterative phase recovery based on pixel super-resolved on-chip holography
LePage et al. Cross polarization for improved digital image correlation
JP6865507B2 (ja) 多能性幹細胞の無染色評価支援方法、プログラム、演算装置
JP2015192238A (ja) 画像データ生成装置および画像データ生成方法
EP3926312A1 (en) Microscope for quantitative wavefront measurements, microscope module and kit, method and computer program for computational wavefront reconstruction
CN112327473A (zh) 无透镜显微成像系统及基于平均投影迭代的图像重构方法
Ge et al. Millisecond autofocusing microscopy using neuromorphic event sensing
WO2012073912A1 (ja) 画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムおよびバーチャル顕微鏡システム
JP2010156612A (ja) 画像処理装置、画像処理プログラム、画像処理方法およびバーチャル顕微鏡システム
CN113298700B (zh) 一种在散射场景中的高分辨图像重构方法
JPH0760216B2 (ja) 顕微試料の画像処理方法及び装置
CN111982825B (zh) 一种全偏振快速动态斯托克斯成像的方法
Heintzmann et al. Reconstruction of axial tomographic high resolution data from confocal fluorescence microscopy: a method for improving 3D FISH images
Boyde et al. Mapping and measuring surfaces using reflection confocal microscopy
KR102602369B1 (ko) 매끄러운 표면을 지닌 측정 대상물의 광학 측정 영상 처리 방법 및 그 측정 시스템
Shaw Three‐dimensional optical microscopy using tilted views
WO2018211902A1 (ja) 制御装置、制御方法、及びプログラム
JP2015191362A (ja) 画像データ生成装置および画像データ生成方法
US20210174147A1 (en) Operating method of image processing apparatus, image processing apparatus, and computer-readable recording medium
Preza et al. Image reconstruction for three-dimensional transmitted-light DIC microscopy
CN112346233A (zh) 一种用于显微镜的增强现实模块

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 13

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080628

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 14

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090628

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090628

Year of fee payment: 14