JP5733940B2 - 位相差画像検査の方法およびその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、生体細胞の核やガラス板中の微小欠陥、気泡など微細な位相物体の通常の顕微鏡では殆ど見えない微細な位相差を明確に可視化し、位相物体の形状や、物質中の異物、歪、屈折率変化や、マイクロクラックなどの微細な異常部分を、大視野で画像抽出して、検査をすることを可能にしたり、内部に核を持つ位相物体である細胞の形状別自動識別を可能にするなど、透明物体の位相差を用いて被検査物体の種類の識別や欠陥検査を行う、検査方法および装置に関するものである。
従来、生体細胞など透明な粒子状位相物体の観測や計測は、位相差顕微鏡[非特許文献1]を使って行われてきた。しかし、従来の位相差顕微鏡では、図1にその光学系構成の概要を示すように、照射光にリング絞りを入れて集光レンズで絞って狭い視野をつくり、試料の後に置かれた対物レンズの後焦点面にリング状の位相板を置いて観察するという複雑な光学系が用いられた。なお、図1の出所は位相差顕微鏡の使い方:ニコンインストルメンツカンパニー、Web Siteから引用したものである。
また、従来の位相差顕微鏡は、光源にコヒーレンシィ(可干渉性)のある光源が使われている訳ではなく、光源からの光の波連の位相が空間的にも時間的にも揃っていない。従って、光波の干渉縞は空間的にも時間的にも変動するために、生体細胞中にある核などのような位相差物体の干渉画像が必ずしも鮮明ではないという欠点があった。
なお、光源にレーザを使う位相差顕微鏡[特許文献1]であって、照射光の波連が空間的にも時間的にも揃っている光源を持つ位相差顕微鏡であっても、画像を鮮明にしようとしてリング状の照明を用いている位相差顕微鏡[特許文献1]では、従来の位相差顕微鏡と同じく視野が狭く浅く、多数の微細な対象を広い視界中で同時に観察することは困難であった。
また、従来の位相差顕微鏡に比べて、測定視界に大幅な自由度を確保するために位相差コンデンサ部の位相リングを除去しようとする試み[特許文献2]があったが、最終的には、画像を鮮明にするためにリング状の照明を用いているから、真の意味での広くて深い測定視界を持つ位相差顕微鏡は見当たらず、これまで開発されてきた何れの位相差顕微鏡でも、その視野が狭く浅く、多数の微細な対象を広い視界中で同時に観察することは困難であった。
更にまた、従来の位相差顕微鏡では、位相差を含めた異なる形状の複数形状粒子群を同一形状ごとに同時にその数や挙動を自動的に計測するという機能は持っていなかった。
なお、同一形状ごとの物体の数や挙動を自動的に計測する方法や装置は、多重マッチトフィルタ法とそれを用いた装置が開発されてきた[特許文献3]。しかし、従来の多重マッチトフィルタ法は、膨大な画像情報を並列実時間処理するには適するが、生体細胞のような位相物体の識別に対する画像処理の前処理などには特別な配慮がなされておらず、生体細胞等位相物体の識別は難しく、位相物体自動識別法は国内外で見当たらなかった。
特許第3455194号 特開2003−195180 特許第3802241号
「応用工学1」、3-8-2位相差法、(1990.7出版)培風館 鶴田匡夫著
従来の位相物体の計測に用いられてきた位相差顕微鏡[非特許文献1]では、位相差物体の干渉画像が必ずしも鮮明ではないという欠点があり、位相差物体画像の識別に困難が伴った。従って、位相差物体の鮮明な干渉画像が得られる位相差光学系の開発が求められている。本発明が解決しようとする課題の1つは、従来法では困難であった、位相物体の位相差の鮮明な干渉画像が得られる位相差画像取得光学系を開発することである。
また、従来の位相差顕微鏡(図1参照)では、リング状照明がレンズで絞られているために、測定視野が狭くかつ浅いという欠点があった。従って、広くて深い測定視界で観測できる位相差光学系の開発が求められている。本発明が解決しようとする課題の1つは、従来法にはない、広くて深い測定視界を持つ位相差画像取得光学系を開発することである。
さらに、従来の位相差顕微鏡では光学系が複雑で照射光のリング絞りと集光レンズの後焦点面のリング状の位相板の位置合わせを単純に行うことが困難であった。そこで、本発明が解決しようとする課題の1つは、従来法にはない、単純で効果的な、鮮明な位相差画像を取得可能な光学系を開発することである。
更にまた、本発明が解決しようとする課題の1つは、生体細胞のような位相物体の識別を容易にし、かつ、位相差を含めた複数の異なる形状の粒子群を同一形状ごとに同時にその数や挙動や位置を自動的に計測することを可能にする、多重マッチトフィルタ法を含んだ装置を開発することである。
なお、複数の異なる形状の粒子群を同一形状ごとに同時にその数や挙動や位置を自動的に計測可能にする従来の多重マッチトフィルタ法はあったが、位相差を含めて形状の異なる複数形状の粒子群を同一形状ごとに同時にその数や挙動や位置を自動的に計測可能にするという方法や装置は何処にも見当たらなかった。
前述の課題に対して本発明は、以下のことを目的とするものである。
(1)本発明は、広くて深い測定視界を持ち、位相差物体の干渉画像が鮮明に得られる、単純で簡便な位相物体の識別、検査の方法と装置を提供することである。
(2)本発明は、生体細胞のような位相物体の鮮明な光回折パターンの位相差干渉画像を得ることが可能な、簡便な位相物体干渉回折パターンの取得方法と装置を提供することである。
(3)本発明は、生体細胞のような位相物体の識別を容易にし、かつ、位相差を含めた異なる形状の複数形状粒子群を同一形状ごとに同時にその数や挙動とその位置を自動的に計測することを可能にする、多重マッチトフィルタを用いた、複数形状の位相物体を形状ごとに数や挙動や位置を自動計測する、方法や装置を提供することである。
以上の課題解決のため、本発明が採用した技術解決手段はつぎのとおりである。
(課題解決手段その1)
前記目的(1)の課題解決の手段は、
可干渉性レーザ光源、レーザ光拡大平行光構成光学系、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ、該フーリエ変換レンズの前側に設けられた物体導入手段、該フーリエ変換レンズの後焦点面に設けられてフーリエ変換像または光回折パターンの零次光だけを高次の回折光と異なる位相差光として通す位相フィルタと零次光の減光フィルタ、前記フーリエ変換レンズの後焦点面を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ、および、該逆フーリエ変換レンズの集光面に設置された電子カメラ、のそれぞれが、外乱振動からの防振のために1本の光学レール上または光学レール上の基盤に設置されて、位相差画像作成光学系を構成し、物体導入手段から投写される複数の被検査位相差形状群を大視野で簡便に観察を可能とすることを特徴とする、位相差画像検査装置、である。
(課題解決手段その2)
また、課題解決の手段は、
前記記載の位相差画像検査装置であって、
透過型LCOS(Liquid Crystal on Silicon、液晶ディスプレイ)を前記位相フィルタとして用いて、位相差を容易に制御できることを特徴とする、位相差画像検査装置、である。
(課題解決手段その3)
前記目的(2)の課題解決の手段は、
偏光板を通して偏光制御された可干渉性平行レーザ光束中に、フーリエ変換レンズと該フーリエ変換レンズの前側に物体導入手段を設けて、該物体導入手段に一つまたは複数の物体を入れて物体形状をレーザ光で写し出し、それを前記フーリエ変換レンズを通すことによって得られる物体形状のフーリエ変換(光回折)光を偏光ビームスプリッタに通し、前記フーリエ変換レンズの後焦点面上でフーリエ変換像(光回折パターン)を得、該フーリエ変換像(光回折パターン)の零次光を偏光板、位相板を通して反射鏡で反射させるか、あるいは、反射型LCOS(液晶ディスプレイ)を用いて前記零次光を偏光制御と位相制御をしながら反射させて、偏光ビームスプリッタ、偏光板、凹面鏡を通して平行な位相差参照光として構成し、該位相差参照光を前記フーリエ変換レンズの後焦点面で得られる前記フーリエ変換像(光回折パターン)と干渉させて、位相差干渉フーリエ変換像(光回折パターン)を前記フーリエ変換レンズの後焦点面で作成することを特徴とする、フーリエ変換像(光回折パターン)の位相差干渉像作成の方法、である。
(課題解決手段その4)
また、課題解決の手段は、
前記記載のフーリエ変換像(光回折パターン)の位相差干渉像作成の方法に加えて、
前記フーリエ変換レンズの後焦点面で得られたフーリエ変換像(光回折パターン)の位相差干渉像作成光を前記フーリエ変換レンズの後焦点面を前焦点面とする逆フーリエ変換レンズで集光し、該逆フーリエ変換レンズの集光面で位相差干渉像を結像させて、各位相物体の詳細な位相差画像を得ることを特徴とする、位相差干渉像作成の方法、である。
(課題解決手段その5)
さらに、課題解決の手段は、
レーザ光源、偏光板、レーザ光拡大平行光構成光学系、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ、該フーリエ変換レンズの前側に設けられた物体導入手段、前記フーリエ変換レンズの後に設置された偏光ビームスプリッタ、該偏光ビームスプリッタの後で該フーリエ変換レンズの後焦点面に設けられて零次光だけを位相差光として位相差を与え減光して反射させ高次の回折光とは位相を異なるものとする位相フィルタと減光フィルタおよび反射鏡あるいは反射型LCOS(液晶ディスプレイ)、該反射零次光を偏光ビームスプリッタ、偏光板、凹面鏡を通して平行な位相差参照光として構成する光学系、前記フーリエ変換レンズの後焦点面を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ、および、該逆フーリエ変換レンズの集光面に設置された電子カメラ、のそれぞれが、外乱振動からの防振のために1本の光学レール上または光学レール上の基盤に設置されて、位相差光学系を構成し、
前記物体導入手段に一つまたは複数の物体を入れて物体形状をレーザ光で写し出し、それを前記フーリエ変換レンズを通すことによって得られる物体形状のフーリエ変換 (光回折)光を偏光ビームスプリッタに通し、前記フーリエ変換レンズの後焦点面上で位相物体のフーリエ変換像(光回折パターン)を得、
前記位相差参照光を前記フーリエ変換レンズの後焦点面で得られる前記位相物体のフーリエ変換像(光回折パターン)と干渉させて、前記フーリエ変換レンズの後焦点面で位相差干渉フーリエ変換像(光回折パターン)を作成させ、さらに、該位相差干渉フーリエ変換像(光回折パターン)を前記逆フーリエ変換レンズを通して、前記逆フーリエ変換レンズの集光面で結像させ、前記電子カメラで一つ一つの物体の位相差干渉画像を鮮明に把握する、各位相差物体の詳細な位相差画像を得ることを特徴とする、フーリエ変換像(光回折パターン)の位相差干渉像作成装置、である
(課題解決手段その6)
課題解決の手段は、
レーザ光源、偏光板、レーザ光拡大平行光構成光学系、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ、該フーリエ変換レンズの前側に設けられた物体導入手段、前記フーリエ変換レンズの後に設置された偏光ビームスプリッタ、該偏光ビームスプリッタの後で該フーリエ変換レンズの後焦点面に設けられて零次光だけを位相差光として位相差を与え減光して反射させ高次の回折光とは位相を異なるものとする位相フィルタと減光フィルタおよび反射鏡あるいは反射型LCOS(液晶ディスプレイ)、該反射零次光を偏光ビームスプリッタ、偏光板、凹面鏡を通して平行な位相差参照光として構成する光学系、前記フーリエ変換レンズの後焦点面を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ、該逆フーリエ変換レンズの集光面に設置された電子カメラ、および、前記反射型LCOS(液晶ディスプレイ)の後で前記フーリエ変換レンズの後焦点面に設置された光導電プラスチックホログラム(PPH)作成器、のそれぞれが、外乱振動からの防振のために1本の光学レール上または光学レール上の基盤に設置されて、位相差光学系を構成し、
前記物体導入手段に一つまたは複数の基準形状物体を入れて前記光導電プラスチックホログラム(PPH)作成器上でホログラムを作成して多重マッチトフィルタとし、該多重マッチトフィルタで前記物体導入手段に入れた被識別物体の識別相関光を前記逆フーリエ変換レンズで集光し電子カメラで各形状識別領域ごとの相関光を撮り込んで、位相物体の複数形状を基準形状ごとにその位置と数を自動識別することを特徴とする、位相差物体の形状識別装置、である。
(課題解決手段その7)
また、課題解決の手段は、
レーザ光源、偏光板、レーザ光拡大平行光構成光学系、レーザ光拡大平行光中に設けられたハーフミラーで作成される参照光と物体光に分割する参照光作成光学系、物体光である可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ、該フーリエ変換レンズの前側に設けられた物体導入手段、前記フーリエ変換レンズの後に設置された偏光ビームスプリッタ、該偏光ビームスプリッタの後で該フーリエ変換レンズの後焦点面に設けられて零次光だけを位相差光として位相差を与え減光して反射させ高次の回折光とは位相を異なるものとする位相フィルタと減光フィルタおよび反射鏡あるいは反射型LCOS(液晶ディスプレイ)、該反射零次光を偏光ビームスプリッタ、偏光板、凹面鏡を通して平行な位相差参照光として構成する光学系、前記フーリエ変換レンズの後焦点面を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ、該逆フーリエ変換レンズの集光面に設置された電子カメラ、前記反射型LCOS(液晶ディスプレイ)の後に設置された光導電プラスチックホログラム(PPH)作成器、および、参照光作成光学系、のそれぞれが、外乱振動からの防振のために1本の光学レール上または光学レール上の基盤に設置されて、位相差光学系を構成し、
前記物体導入手段に一つまたは複数の基準形状物体を入れて前記フーリエ変換レンズの後焦点面で得られる、フーリエ変換像(光回折パターン)の位相差参照光との干渉像に、前記参照光作成光学系の光路から前記偏光ビームスプリッタを介して照射される参照光と二重に干渉させて、前記PPH作成器の乾板上でホログラムをつくって多重マッチトフィルタとし、
該多重マッチトフィルタで前記物体導入手段に入れた被識別物体の識別相関光を前記逆フーリエ変換レンズで集光し電子カメラで各形状識別領域ごとの相関光を撮り込んで、位相物体の複数形状を基準形状ごとにその位置と数を自動識別する、位相物体のフーリエ変換干渉像で作成された多重マッチトフィルタを用いて位相物体の複数形状を同時並列に識別することを可能にする、詳細な位相物体の自動形状識別を可能にすることを特徴とする、位相差物体の形状識別装置、である。
本発明の主たる効果は、微細な位相物体の計測に対して、簡便で小型の装置と方法を得ることができたことである。
具体的に述べるとつぎのようである。
(効果その1)
本発明によって、広くて深い測定視界を持ち、位相物体の干渉画像が鮮明に得られる、単純で簡便な位相物体の識別、検査の方法と装置を提供することができた。
(効果その1−1)
干渉画像が鮮明に得られ、かつ、単純で簡便で有効な位相差物体の識別、検査の方法と装置を提供することにある。
そのためには、光源として、可干渉性レーザ光を使う。
可干渉性レーザ光源から射出される光は、図2(b)に示すように、同一波長で光波の位相が空間的にも時間的にも揃っている。しかし、従来の位相差顕微鏡に用いられる一般的な照明光は、図2(a)に示すように波連の位相が空間的にも時間的にもばらばらで揃っていない。従って、一般的な光源を用いる従来法の位相差顕微鏡では、光波の干渉縞は空間的にも時間的にも変動して、鮮明な干渉縞は得られにくいという欠点があった。可干渉性レーザ光を照明光として使えば、照射光の位相は空間的にも時間的にも揃っていて、位相物体の位相差による干渉縞は物体の位相差に応じて濃淡が空間的に一定の形で現われ、時間的にも変動しない。従って、可干渉性レーザ光源を用いれば、従来法の照明による干渉縞の不鮮明さの制約から解放されて、位相差物体の干渉縞画像の鮮明さは飛躍的に向上するから、照明は光源として可干渉性レーザ光を用いる。本発明によって、位相差物体の干渉縞画像の鮮明さは飛躍的に向上した。
(効果その1−2)
なお、光源としての可干渉性レーザ光の照射光を平行光にする理由は、物体導入手段は平行光束の何処にでも置くことができ、しかも測定視界のサイズと深さを拡げることができるためである。可干渉性平行照射光の中にフーリエ変換レンズを設置したときに、物体位置が何処にあっても、同一形状物体ではそのフーリエ変換像(光回折パターン)の形状とサイズおよび結像位置は常に同一で変わらないから、そのために検査視界は広くて深くなることが分かる。
本発明によって、位相物体の識別、検査装置の測定視界は従来法に比べて著しく広く深くなり、発明の効果が顕れた。
測定視界の深さと広さは従来法に比べて遥かに広くて深いことがつぎのことでも証明される。すなわち、深さは、物体導入手段6がフーリエ変換レンズ7の前焦点距離に限定することなくレンズ7に近付けて設置しても、同一検査物体からのフーリエ変換像はフーリエ変換レンズ7の後焦点面では全く同一の形状サイズになることからも検査視界の深さが従来法に比べて極端に深いことが認められる。このことは、つぎのことによって確かめられる。図4中で、破線で示される、散乱光とフーリエ変換像の光路図は、フーリエ変換レンズの前焦点面に検査物体を置いた場合のものであり、従来のフーリエ変換画像処理法で示されているものである。検査物体導入手段がフーリエ変換レンズの前焦点面以外に在っても、実線でフーリエ変換像を示すように、フーリエ変換レンズの後焦点面に同じサイズと同じ形状で同位置にフーリエ変換像が出現する。このことからも、被検査物体の位置の許容度は光軸方向に深いことが分かる。従って、視界の深さが従来法に比べて極端に深いことが分かる。
なお、被検査物体位置が光軸の前後にずれた場合の逆フーリエ変換像の位置のずれは、カメラレンズにテレセントリックレンズを使うことによって解消される。
さらに、検査視界の広さは、被検査物体が光軸に対して直交方向に拡がっても、図4に示されるように、同一形状同サイズの物体の回折光像(光回折パターン)はフーリエ変換レンズ7の後焦点面で同じ位置に同じ形状で出現する。従って、測定視界の幅も広いことが確認できる。このように、測定視界の広さは、照射レーザ光束の広さとフーリエ変換レンズの口径に依存するので、照射レーザ光を広い平行光束とし、フーリエ変換レンズは通常の顕微鏡レンズよりも口径の大きいものを使うことによって、検査視界の広さは、従来法に比べて極端に広くなる。
したがって、検査装置の視界の深さと広さの確保は、本発明によって解決することになり、本発明は効果を発揮した。
(効果その1−3)
本発明の効果は、一つには装置の単純化である。幅の広い検査視野中で小さくて多くの物体群を検査可能にするために、口径がそれ程大きくないフーリエ変換レンズ、逆フーリエ変換レンズと位相板、減光フィルタを組み合わせて、検査物体導入手段とフーリエ変換レンズとの設定距離を短縮しつつ、大きくて深い測定視界を形づくることができ、比較的単純で有効な光学系が開発されたことである。そして、それを用いて位相物体を計測することができたことである。また、装置の単純化は、可干渉性平行光束中の物体のフーリエ変換像の零次光を参照光としたことによって達成された。フーリエ変換像の零次光を位相板と減光フィルタを用いて、位相物体像の参照光として位相物体の位相情報を濃淡の縞模様に変化させて可視化顕在化させることができ、本発明は、干渉画像を鮮明にすると共に、装置を単純化することができた。
図3に検査装置の概略を示した。レーザ光源1から照射された可干渉性光はレンズ2,3を通して平行光束として照射される。可干渉性平行光束中に置かれたフーリエ変換レンズ7の前側あるいはフーリエ変換レンズ7の前焦点面付近に設置された物体導入手段6に被検査物体を入れれば、そのフーリエ変換像(光回折パターン)はフーリエ変換レンズ7の後焦点面に形成される。該フーリエ変換像の零次光を位相板(λ/4板)20を通し光強度調整の減光フィルタ8を通して、フーリエ変換レンズ7の後焦点面を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9を通せば、逆フーリエ変換した物体光と位相変換して減光し平行光とされた零次参照光とが逆フーリエ変換レンズ9の集光面で位相差物体の干渉像として、電子カメラ10で撮像される。
本発明技術は、可干渉性平行レーザ光を検査物体の照射光として使ったために、検査法は極めて単純になり、従来法のように、照射光のリング絞りと集光レンズの後焦点面のリング状の位相板の位置合わせに労力を要しない。また、本発明の技術では、フーリエ変換レンズの後焦点面に位相板と減光フィルタを置くだけで、フーリエ変換像の零次光は確実に位相画像の参照光になって、位相物体の位相差が光強度画像情報に変えられるから、本発明は、位相画像の単純で効果的な鮮明化に効果を及ぼす。
従って、検査法と装置の単純化と検査画像の鮮明化という、この両者に対する解決法は、本発明によって解決することになり、本発明が効果を発揮した。
また、フーリエ変換像または光回折パターンの零次光だけを高次の回折光と異なる位相差光として通すために、図3にされるフーリエ変換レンズ7の後焦点面に設置された位相板(λ/4板)20を透過型のLCOS(Liquid Crystal on Silicon、液晶ディスプレイ)に代えて装置を構成することもできる。LCOSの零次光の当たる部分と高次光の当たる部分の位相を液晶の回転によって制御できるから、装置構成が単純になる。
従って、検査法と装置の単純化の一つの解決法は、本発明によって解決することになり、発明の効果が発揮された。
(効果その2)
本発明によって、生体細胞のような位相物体の鮮明な光回折パターンの位相差干渉画像を得ることが可能な、簡便な位相物体干渉回折パターンの取得方法と装置を提供することができた。
(効果その2−1)
簡便な位相物体干渉回折パターンの取得方法と装置はつぎのようであった。
図5に方法と装置の概要を示す。位相差光学系は、レーザ光源1、偏光板22、レンズ2とレンズ3で構成されるレーザ光拡大平行光構成光学系、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ7、該フーリエ変換レンズの前側に設けられた物体導入手段6、前記フーリエ変換レンズ7の後に設置された偏光ビームスプリッタ(PBS: Polarization Beam Splitter)4、該偏光ビームスプリッタ4の後で該フーリエ変換レンズ7の後焦点面に設けられて零次光だけを位相差光として位相差を与え減光して反射させ高次の回折光とは位相を異なるものとする位相フィルタと減光フィルタおよび反射鏡30あるいは反射型LCOS(液晶ディスプレイ)30、該反射零次光を偏光ビームスプリッタ4、偏光板5、凹面鏡12を通して平行な位相差参照光として構成する光学系、前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9または集光レンズ9、および、該逆フーリエ変換レンズ9の集光面に設置された電子カメラ10、のそれぞれが、外乱振動からの防振のために1本の光学レール24上または光学レール上の基盤25に設置されて、構成される。
前記物体導入手段6に一つまたは複数の物体を入れて物体形状をレーザ光で写し出し、それを前記フーリエ変換レンズ7を通すことによって得られる物体形状のフーリエ変換 (光回折)光を偏光ビームスプリッタ4に通し、位相物体のフーリエ変換像(光回折パターン)を得る。
前記位相差参照光を前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面で得られる前記位相物体のフーリエ変換像(光回折パターン)と干渉させて、前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面上でカメラによって位相差干渉フーリエ変換像(光回折パターン)を作成させることもできる。さらに、該位相差干渉フーリエ変換像(光回折パターン)を前記集光レンズ9を通して、前記集光レンズ9の集光面で結像させ、前記電子カメラ10で一つ一つの物体の位相差干渉画像を鮮明に把握する。この装置が、各位相差物体の詳細な位相差画像を得ることを特徴とする、フーリエ変換像(光回折パターン)の位相差干渉像作成装置、である。
この装置発明によって、生体細胞のような位相物体の鮮明な光回折パターンの位相差干渉画像を得ることが可能な、簡便な位相物体干渉回折パターンの取得方法と装置を提供することができ、本発明の効果が発揮された。
(効果その2−2)
さらに、位相物体干渉回折パターンを逆フーリエ変換することにより、簡便な位相物体干渉回折パターンから、位相物体の鮮明な像の取得方法と装置を提供することができ、本発明の効果が発揮された。
すなわち、位相物体の鮮明な像の取得方法と装置はつぎのようである。
装置の例を図5と図6示した。
位相物体の鮮明な像を取得するための装置の一つの例は図5に示されるものがある。
レーザ光源1、偏光板22、レンズ2,3により作成されるレーザ光拡大平行光構成光学系、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ7、該フーリエ変換レンズ7の前側に設けられた物体導入手段6、前記フーリエ変換レンズ7の後に設置された偏光ビームスプリッタ(PBS: Polarization Beam Splitter)4、該偏光ビームスプリッタ4の後で該フーリエ変換レンズ7の後焦点面に設けられて零次光だけを位相差光として位相差を与え減光して反射させ高次の回折光とは位相を異なるものとする位相フィルタと減光フィルタおよび反射鏡30あるいは反射型LCOS(液晶ディスプレイ)30、該反射零次光を偏光ビームスプリッタ4、偏光板5、凹面鏡12を通して平行な位相差参照光として構成する光学系、前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9、および、該逆フーリエ変換レンズ9の集光面に設置された電子カメラ10、のそれぞれが、外乱振動からの防振のために1本の光学レール24上または光学レール上の基盤25に設置されて、位相差光学系が構成されている。
前記物体導入手段6に一つまたは複数の物体を入れて物体形状をレーザ光で写し出し、それを前記フーリエ変換レンズ7を通すことによって得られる物体形状のフーリエ変換 (光回折)光を偏光ビームスプリッタ4に通し、前記フーリエ変換レンズ6の後焦点面上で位相物体のフーリエ変換像(光回折パターン)を得る。
これを、前記位相差参照光を前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面で得られる前記位相物体のフーリエ変換像(光回折パターン)と干渉させて、前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面で位相差干渉フーリエ変換像(光回折パターン)を作成させ、さらに、該位相差干渉フーリエ変換像(光回折パターン)を前記逆フーリエ変換レンズ9を通して、前記逆フーリエ変換レンズ9の集光面で結像させ、前記電子カメラ10で一つ一つの物体の位相差干渉画像を鮮明に把握すると、各位相物体の詳細な位相差画像を得ることができる。これが位相物体の詳細な位相差画像を得ることを特徴とする、フーリエ変換像(光回折パターン)の位相差干渉像作成装置、となる。
本発明は位相物体の鮮明な像を取得する方法と装置を提供したことになり、本発明の効果が発揮された。
(効果その3)
本発明によって、生体細胞のような位相物体の識別を容易にし、かつ、位相差を含めた異なる複数形状の粒子群を同一形状ごとに同時にその数や挙動を自動的に計測することができる、多重マッチトフィルタを用いた、位相物体の複数形状を形状ごとに数や挙動を自動計測する、方法や装置を提供することができた。
図7に、位相物体の複数形状を形状ごとに数や挙動を自動計測する、本発明の一つの方法と装置の概略を示す。
レーザ光源1、偏光板22、レンズ2,3を含むレーザ光拡大平行光構成光学系、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ7、該フーリエ変換レンズ7の前側に設けられた物体導入手段6、前記フーリエ変換レンズ7の後に設置された偏光ビームスプリッタ(PBS: Polarization Beam Splitter)4、該偏光ビームスプリッタ4の後で該フーリエ変換レンズ7の後焦点面に設けられて零次光だけを位相差光として位相差を与え減光して反射させ高次の回折光とは位相を異なるものとする位相フィルタと減光フィルタおよび反射鏡30あるいは反射型LCOS(液晶ディスプレイ)30、該反射零次光を偏光ビームスプリッタ4、偏光板5、凹面鏡12を通して平行な位相差参照光として構成する光学系、前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9、該逆フーリエ変換レンズ9の集光面に設置された電子カメラ10、および、前記反射型LCOS(液晶ディスプレイ)30の後に設置された光導電プラスチックホログラム(PPH)作成器21、のそれぞれが、外乱振動からの防振のために1本の光学レール24上または光学レール上の基盤25に設置されて、位相差光学系を構成する。
前記物体導入手段6に一つまたは複数の基準形状物体を入れてホログラムを作成して多重マッチトフィルタ21とし、該多重マッチトフィルタ21で前記物体導入手段6に入れた被識別物体の識別相関光を前記逆フーリエ変換レンズ9で集光し電子カメラ10で各形状識別領域ごとの相関光を撮り込んで、位相物体の複数形状を基準形状ごとにその位置と数を自動識別することができる。 これが、位相物体の複数形状の自動識別を可能とすることを特徴とする、位相差物体の形状識別装置、となる。
図8には位相物体の光回折パターンの違いをさらに鮮明にさせて、位相物体の複数形状の自動識別を可能にする方法を示した。レーザ光源1、偏光板22、レンズ2,3を含むレーザ光拡大平行光構成光学系、レーザ光拡大平行光中に設けられたハーフミラー13で作成される参照光と物体光に分割する参照光作成光学系、物体光である可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ7、該フーリエ変換レンズ7の前側に設けられた物体導入手段6、前記フーリエ変換レンズ7の後に設置された偏光ビームスプリッタ4、該偏光ビームスプリッタ4の後で該フーリエ変換レンズ7の後焦点面に設けられて零次光だけを位相差光として位相差を与え減光して反射させ高次の回折光とは位相を異なるものとする位相フィルタと減光フィルタおよび反射鏡30あるいは反射型LCOS(液晶ディスプレイ)30、該反射零次光を偏光ビームスプリッタ4、偏光板5、凹面鏡12を通して平行な位相差参照光として構成する光学系、前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9、該逆フーリエ変換レンズ9の集光面に設置された電子カメラ10、前記反射型LCOS(液晶ディスプレイ)30の後に設置された光導電プラスチックホログラム(PPH)作成器21、および、参照光作成光学系、のそれぞれが、外乱振動からの防振のために1本の光学レール上または光学レール上の基盤に設置されて、位相差光学系を構成する。
前記物体導入手段6に一つまたは複数の基準形状物体を入れて前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面で得られる。
そして、フーリエ変換像(光回折パターン)の位相差参照光との干渉像に、前記参照光作成光学系の光路から前記偏光ビームスプリッタ5を介して照射される参照光と二重に干渉させて、前記PPH作成器21の乾板上でホログラムをつくって多重マッチトフィルタとし、該多重マッチトフィルタで前記物体導入手段6に入れた被識別物体の識別相関光を前記逆フーリエ変換レンズ9で集光し電子カメラ10で各形状識別領域ごとの相関光を撮り込んで、位相物体の複数形状を基準形状ごとにその位置と数を自動識別することができる。これが、位相物体のフーリエ変換干渉像の多重マッチトフィルタを用いて位相物体の複数形状を同時並列に識別することを可能にする、詳細な位相物体の自動形状識別を可能にすることを特徴とする、位相差物体の形状識別装置、となる。
つぎに、複数形状識別の操作はつぎのように行われる。
多重マッチトフィルタ21で複数形状の同時識別を行う。なお、識別にあたっては参照光は用いない。被識別物体または被識別物体形状を識別形状物体導入手段または識別物体形状写出手段9に入れて、物体光でそれを読み出して多重マッチトフィルタ21に照射すれば、基準画像と同じ形状画像があれば
基準画像と同じ形状画像があれば、その形状に対応した再生参照光が相関光として集光レンズ9の後焦点面で集光される。再生参照光の集光点は物体導入手段6の形状設定領域で基準形状を設置した位置を中心に被検査物体と点対象の位置に輝点として、集光レンズ9の焦点面に現われる。なお、集光レンズ9は多重マッチトフィルタ21を前焦点面として設置されている。この相関輝点の領域と位置を電子カメラ10で撮影すれば、被識別物体の形状と位置が実時間的に把握される。
以上に示したように、複数形状の同時並列実時間識別が可能となり、課題が解決される。
図9は粒子の形状別識別を行った結果の一例を示す。この図では識別結果を示す相関光輝点は被測定画像位置と点対象の位置に出現していることが示されている。
なお、図9の識別結果を詳細に説明するとつぎのようである。図9中(a)は、図8、あるいは図7に示す装置図における図物体導入手段6に置かれた基準形状△、☆と○の配置である。この配置の基準画像に平行レーザ物体光を照射し、その物体光のフーリエ変換像(光回折パターン)をPPH(光導電プラスチックホログラム)乾板に物体光として照射し、参照光を同時にPPH乾板に照射してホログラムをつくる。そのホログラムが多重マッチトフィルタとなる。物体形状識別は、図(b)に示すように○、☆、△の形状を物体導入手段に入れるとそれらの光回折パターンが多重マッチトフィルタ上に投影されて、それぞれの物体光に対応した参照光が再生される。再生された参照光をホログラム面を前焦点面として設置された集光レンズの後焦点面で電子カメラで撮影すれば、物体形状の識別相関光が図(c)に示されるように現われる。
また、図9中の(d)と(e)は形状ごとの粒子の挙動を実時間的に計測した例を示している。図9の(d)は○、☆、△の形状粒子が物体導入手段の視界中でそれぞれ大きな丸、星、三角の形状に従って動き、図9(e)には、集光レンズ10の集光面でそれぞれの形状粒子を検出したことを示す相関光の輝点がそれぞれの移動軌跡を描いていることが示されている。
以上に示したように、複数形状の同時並列実時間識別が可能となり、課題が解決される。
従来の位相差顕微鏡システム光学系の一例、構成説明図:[非特許文献1]p259従来の位相差顕微鏡システム光学系の一例:位相差顕微鏡の使い方 (株)ニコン インストルメンツカンパニー、図7 位相差観察の構成 一般光の位相の揃わない波連とレーザ光源の可干渉性、を説明する図 可干渉性レーザ平行光照射フーリエ変換像零次光干渉による位相差干渉画像計測装置の光学系説明図 同一形状同一サイズの被検査粒子の異なる位置に対する光回折パターン構成位置と位相差画像撮影光学系を示す図 位相物体の鮮明な位相物体干渉回折パターンと光回折パターンの位相差干渉画像との取得方法と装置の概略を示す図 位相物体の鮮明な像を取得する反射型装置の概略を示す図 位相物体の鮮明な干渉回折パターンを得る装置構成の概略と位相物体の複数形状の自動識別を可能にする方法と装置を示す図 位相物体の複数形状の自動識別を可能にする方法と装置を示す図 多重マッチトフィルタを用いた複数形状の同時識別と形状ごとの粒子の挙動の同時測定結果の例 位相物体粒子のフーリエ変換像(光回折パターン)、フーリエ変換像(光回折パターン)と球面波零次光との干渉画像、の例
本発明の目的は、位相物体の計測のために、位相物体の位相差の干渉画像が鮮明に得られ、かつ、異なる形状の位相物体が基準形状ごとに同時並列に自動的識別される、単純で簡便な識別、検査の方法と装置を提供することにある。
実施例に示すように、本目的の一つ、位相物体の位相差の干渉画像が鮮明に得られる単純で簡便な識別、検査の方法と装置が、以下のように実施された。
位相物体の位相差の干渉画像を鮮明に得るために、本発明では、光源として、可干渉性レーザ光が使われた。なお、異なる形状の位相物体が基準形状ごとに同時並列に自動的に識別されるためにも、光源として、可干渉性レーザ光が使われる必要があった。それは後述する多重マッチトフィルタを用いる光学系は可干渉性レーザが光源として必要不可欠なものであるからである。
位相物体の位相差の干渉画像を鮮明に得るためだけにでも、光源としては可干渉性レーザ光が必要であって、それが用いられた。その理由は、可干渉性レーザ光源から射出される光は、図2(b)に示すように、同一波長で光波の位相が空間的にも時間的にも揃っている。しかし、従来の位相差顕微鏡に用いられる一般的な照明光は、図2(a)に示すように波連の位相が空間的にも時間的にもばらばらで揃っていない。従って、一般的な光源を用いる従来法の位相差顕微鏡では、光波の干渉縞は空間的にも時間的にも変動して、鮮明な干渉縞は得られにくいという欠点があった。
これに対して、可干渉性レーザ光を照明光として使えば、照射光の位相は空間的にも時間的にも揃っていて、位相物体の位相差による干渉縞は物体の位相差に応じて光強度の濃淡が空間的に一定の形で現われ、時間的にも変動しない。従って、可干渉性レーザ光源を用いれば、従来法の照明による干渉縞の不鮮明さの制約から解放されて、位相差物体の干渉縞画像の鮮明さは飛躍的に向上するから、照明は光源として可干渉性レーザ光を用いられた。本発明によって、位相差物体の干渉縞画像の鮮明さは従来法に比べて飛躍的に向上した。
可干渉性レーザ光を用いる本発明によって、図3、図4に光路図を示すように、広くて深い測定視界を持ち、位相物体の位相差干渉画像が鮮明に得られる、単純で簡便な位相物体の識別、検査の方法と装置が提示された。その装置は具体的に以下のような構成と機能を持った。
図3に検査装置の概略を示した。装置は、可干渉性レーザ光源1、顕微鏡用対物レンズとピンホールであるいは逆ガウシアンフィルタでほぼ均一強度分布光とする光学系、レンズ2および3によって構成されるレーザ光拡大平行光構成光学系、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ7、該フーリエ変換レンズ7の前側に設けられた物体導入手段6、該フーリエ変換レンズ7の後焦点面に設けられてフーリエ変換像または光回折パターンの零次光だけを高次の回折光と異なる位相差光として通す位相フィルタ20と零次光の減光フィルタ8、前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9、および、該逆フーリエ変換レンズ9の集光面に設置された電子カメラ10、のそれぞれが、外乱振動からの防振のために1本の光学レール24上または光学レール上の基盤に設置されて、位相差画像作成光学系を構成し、物体導入手段から投写される複数の被検査位相差形状群を大視野で簡便に観察を可能とすることを特徴とする、位相差画像検査装置、である。
作用はつぎのようになっている。レーザ光源1から照射された可干渉性光はレーザの後に設置された顕微鏡用対物レンズとピンホールであるいは逆ガウシアンフィルタでほぼ均一強度分布光とされ、レンズ2,3を通して平行光束として照射される。可干渉性平行光束中に置かれたフーリエ変換レンズ7の前側あるいはフーリエ変換レンズ7の前焦点面付近に設置された物体導入手段6に被検査物体を入れれば、そのフーリエ変換像(光回折パターン)はフーリエ変換レンズ7の後焦点面に形成される。該フーリエ変換像の零次光を位相板(λ/4板)20を通し光強度調整の減光フィルタ8を通して、フーリエ変換レンズ7の後焦点面を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9を通せば、逆フーリエ変換した物体光と位相変換して減光し平行光とされた零次参照光とが逆フーリエ変換レンズ9の集光面で位相差物体の干渉像として、電子カメラ10で撮像される。
本装置においては、光源レーザとしては、LD:λ=660nm、30mWが用いられた。レーザの平行光束は光束中でほぼ均一強度分布を保つようにレーザ光源の後に顕微鏡対物レンズとピンホールを組み合わせた光学系または逆ガウシアンフィルタ光学系が設置されている。なお、物体導入手段6の位置は、フーリエ変換レンズ7の前焦点面付近がよいが、フーリエ変換レンズ7の前側であればよく、フーリエ変換レンズ7の前焦点面あるいは前焦点面付近である必要はない。
測定視界の深さと広さは従来法に比べて遥かに深くて広いことがつぎのことでも証明された。すなわち、深さは、物体導入手段6がフーリエ変換レンズ7の前焦点距離に限定することなくレンズ7に近付けて設置しても、同一検査物体からのフーリエ変換像はフーリエ変換レンズ7の後焦点面では全く同一の形状サイズになることからも検査視界の深さが従来法に比べて極端に深いことが認められる。このことは、つぎのことによって確かめられる。図4中で、破線で示される、散乱光とフーリエ変換像の光路図は、フーリエ変換レンズの前焦点面に検査物体を置いた場合のものであり、従来のフーリエ変換画像処理法で示されているものである。検査物体導入手段がフーリエ変換レンズの前焦点面以外に在っても、実線でフーリエ変換像を示すように、フーリエ変換レンズの後焦点面に同じサイズと同じ形状で同位置にフーリエ変換像が出現する。このことからも、被検査物体の位置の許容度は光軸方向に深いといえる。従って、視界の深さが従来法に比べて極端に深いことが分かる。
さらに、検査視界の広さは、被検査物体が光軸に対して直交方向に拡がっても、図4に示されるように、同一形状同サイズの物体の回折光像(光回折パターン)はフーリエ変換レンズ7の後焦点面で同じ位置に同じ形状で出現する。従って、測定視界の幅も広いことが確認できる。このように、測定視界の広さは、照射レーザ光の広さとフーリエ変換レンズの口径に依存するので、照射レーザ光を広い平行光束とし、フーリエ変換レンズは通常の顕微鏡レンズよりも口径の大きいものを使うことによって、検査視界の広さは、従来法に比べて極端に広くなった。
なお、被検査物体位置が光軸の前後にずれた場合の逆フーリエ変換像の位置のずれは、カメラレンズにテレセントリックレンズを使うことによって解消された。
また、位相フィルタ20は、素通しのガラス基板上の中心に位相板として直径2mm程度のλ/4板を張りつけたもの、または、位相板としてのλ/4板の中心を零次光が透過するような直径2mm程度の穴を開け、その穴に減光フィルタを付けたものが使われた。なお、中心に零次光を通す穴だけを開けた位相板を使う場合には、減光フィルタは零次光だけを減光するものが用いられる。
前記記載の位相差画像検査装置において、位相フィルタ20に代えて、透過型LCOS(液晶ディスプレイ)20を前記位相フィルタとして用いて位相差画像検査装置を構成すれば、LCOSの中心部すなわちフーリエ変換零次光が当たる部分の液晶と高次光が当たる部分の液晶の通過光の位相差設定がLCOS制御によって容易に行える。従って、位相差画像検査装置の構成に、位相差を容易に制御できることを特徴とする透過型LCOS(液晶ディスプレイ)20を前記位相フィルタとして用いて、位相差を容易に制御できる装置とすることができた。
簡便な位相物体干渉回折パターンの取得方法と装置の実施例はつぎのようであった。
図5に位相物体干渉回折パターンの取得方法と装置の実施例の概要を示す。
位相差光学装置は、レーザ光源1、偏光板22、レンズ2とレンズ3で構成されるレーザ光拡大平行光構成光学系、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ7、該フーリエ変換レンズの前側に設けられた物体導入手段6、前記フーリエ変換レンズの後に設置された偏光ビームスプリッタ(PBS: Polarization Beam Splitter)4、該偏光ビームスプリッタ4の後で該フーリエ変換レンズ7の後焦点面に設けられて零次光だけを位相差光として位相差を与え減光して反射させ高次の回折光とは位相を異なるものとする位相フィルタと減光フィルタおよび反射鏡30あるいは反射型LCOS(液晶ディスプレイ)30、該反射零次光を偏光ビームスプリッタ4、偏光板5、凹面鏡12を通して平行な位相差参照光として構成する光学系、前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9または集光レンズ9、および、該逆フーリエ変換レンズ9の集光面に設置された電子カメラ10、のそれぞれが、外乱振動からの防振のために1本の光学レール24上または光学レール上の基盤25に設置されて、構成された。
前記物体導入手段6に一つまたは複数の物体を入れてレーザ平行光を照射すると物体形状を持つレーザ光が射出される。それを前記フーリエ変換レンズ7を通すことによって得られる物体形状のフーリエ変換 (光回折)光を偏光ビームスプリッタ4に通し、位相物体のフーリエ変換像(光回折パターン)を得ることができる。
前記位相差参照光を前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面で得られる前記位相物体のフーリエ変換像(光回折パターン)と干渉させて、前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面上で位相差干渉フーリエ変換像(光回折パターン)を作成させることができる。さらに、該位相差干渉フーリエ変換像(光回折パターン)を前記集光レンズ9を通して、前記集光レンズ9の集光面で結像させ、前記電子カメラ10で一つ一つの物体の位相差干渉画像を鮮明に把握する。この装置が、各位相差物体の詳細な位相差画像を得ることを特徴とする、フーリエ変換像(光回折パターン)の位相差干渉像作成装置、である。
この実施例に示す装置発明によって、生体細胞のような位相物体の鮮明な光回折パターンの位相差干渉画像を得ることが可能な、簡便な位相物体干渉回折パターンの取得方法と装置を提供することができた。
また、位相物体の鮮明な像の取得装置としては、図5で示される装置と多少異なった光路を持つ装置が提供された。図6にそれを示す。図6は図5に示される光学系を反射型にしたものである。
レーザ光源1、偏光板22、レンズ2,3により作成されるレーザ光拡大平行光構成光学系、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ7、該フーリエ変換レンズ7の前側に設けられた物体導入手段6、前記フーリエ変換レンズ7の後に設置された偏光ビームスプリッタ((PBS: Polarization Beam Splitter))4、該偏光ビームスプリッタ4の後で該フーリエ変換レンズ7の後焦点面に設けられて零次光だけを位相差光として高次の回折光と位相差を与える位相フィルタ5と零次光を減光させ反射させ、高次の回折光を減光させずに反射させる反射鏡30あるいは反射型LCOS(液晶ディスプレイ)30で構成される光学系、前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9、および、該逆フーリエ変換レンズ9の集光面に設置された電子カメラ10、のそれぞれが、外乱振動からの防振のために1本の光学レール24上または光学レール上の基盤25に設置されて、位相差光学系が構成されている。
前記物体導入手段6に一つまたは複数の物体を入れて物体形状をレーザ光で写し出し、それを前記フーリエ変換レンズ7を通すことによって得られる物体形状のフーリエ変換 (光回折)光と、前記位相差参照光とを前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面で干渉させて、前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面で位相差干渉フーリエ変換像(光回折パターン)を作成させ、さらに、該位相差干渉フーリエ変換像(光回折パターン)を前記逆フーリエ変換レンズ9を通して、前記逆フーリエ変換レンズ9の集光面で結像させ、前記電子カメラ10で一つ一つの物体の位相差干渉画像を鮮明に把握すると、各位相物体の詳細な位相差画像を得ることができる。これが反射型のフーリエ変換像(光回折パターン)の位相差干渉像作成装置、となる。
この光学装置を用いても位相物体の鮮明な像を取得することができた。
さらに、本発明によって、生体細胞のような位相物体の識別を容易にし、かつ、位相差を含めた異なる複数形状の粒子群を同一形状ごとに同時にその数や挙動を自動的に計測することができる、多重マッチトフィルタを用いた、位相物体の複数形状を形状ごとに数や挙動を自動計測する、方法や装置を提供した。
図7に位相差を含めた異なる複数形状の粒子群を同一形状ごとに同時にその数や挙動を自動的に計測することができる、方法や装置について述べる。
レーザ光源1、偏光板22、レンズ2,3を含むレーザ光拡大平行光構成光学系、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ7、該フーリエ変換レンズ7の前側に設けられた物体導入手段6、前記フーリエ変換レンズ7の後に設置された偏光ビームスプリッタ4、該偏光ビームスプリッタ(PBS: Polarization Beam Splitter)4の後で該フーリエ変換レンズ7の後焦点面に設けられて零次光だけを位相差光として位相差を与え減光して反射させ高次の回折光とは位相を異なるものとする位相フィルタと減光フィルタおよび反射鏡30あるいは反射型LCOS(液晶ディスプレイ)30、該反射零次光を偏光ビームスプリッタ4、偏光板5、凹面鏡12を通して平行な位相差参照光として構成する光学系、前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9、該逆フーリエ変換レンズ9の集光面に設置された電子カメラ10、および、前記反射型LCOS(液晶ディスプレイ)30の後に設置された光導電プラスチックホログラム(PPH)作成器21、のそれぞれが、外乱振動からの防振のために1本の光学レール24上または光学レール上の基盤25に設置されて、位相差光学系を構成する。
前記物体導入手段6に一つまたは複数の基準形状物体を入れてホログラムを作成して多重マッチトフィルタ21とし、該多重マッチトフィルタ21で前記物体導入手段6に入れた被識別物体の識別相関光を前記逆フーリエ変換レンズ9で集光し電子カメラ10で各形状識別領域ごとの相関光を撮り込んで、位相物体の複数形状を基準形状ごとにその位置と数を自動識別することができる。 これが、位相物体の複数形状の自動識別を可能とすることを特徴とする、位相差物体の形状識別装置、となる。
図8には位相物体の光回折パターンの違いをさらに鮮明にさせて、位相物体の複数形状の自動識別を可能にする方法を示した。レーザ光源1、偏光板22、レンズ2,3を含むレーザ光拡大平行光構成光学系、レーザ光拡大平行光中に設けられたハーフミラー13で作成される参照光と物体光に分割する参照光作成光学系、物体光である可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ7、該フーリエ変換レンズ7の前側に設けられた物体導入手段6、前記フーリエ変換レンズ7の後に設置された偏光ビームスプリッタ4、該偏光ビームスプリッタ4の後で該フーリエ変換レンズ7の後焦点面に設けられて零次光だけを位相差光として、位相差を与え減光して反射させ高次の回折光とは位相を異なるものとする機能を持たせる位相フィルタと減光フィルタおよび反射鏡をまとめた光学部品30あるいは反射型LCOS(液晶ディスプレイ)30、該反射零次光を偏光ビームスプリッタ4、偏光板5、凹面鏡12を通して平行な位相差参照光として構成する光学系、前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9、該逆フーリエ変換レンズ9の集光面に設置された電子カメラ10、前記反射型LCOS(液晶ディスプレイ)30の後に設置された光導電プラスチックホログラム(PPH)作成器21、および、参照光作成光学系、のそれぞれが、外乱振動からの防振のために1本の光学レール上または光学レール上の基盤に設置されて、位相差光学系を構成し、
前記物体導入手段6に一つまたは複数の基準形状物体を入れて前記フーリエ変換レンズ7の後焦点面で得られる。
そして、フーリエ変換像(光回折パターン)の位相差参照光との干渉像に、前記参照光作成光学系の光路から前記偏光ビームスプリッタ5を介して照射される参照光と二重に干渉させて、前記PPH作成器21の乾板上でホログラムをつくって多重マッチトフィルタとする。
該多重マッチトフィルタで前記物体導入手段6に入れた被識別物体の識別相関光を前記逆フーリエ変換レンズ9で集光し電子カメラ10で各形状識別領域ごとの相関光を撮り込んで、位相物体の複数形状を基準形状ごとにその位置と数を自動識別することができる。これが、位相物体のフーリエ変換干渉像の多重マッチトフィルタを用いて位相物体の複数形状を同時並列に識別することを可能にする、詳細な位相物体の自動形状識別を可能にすることを特徴とする、位相差物体の形状識別装置、となる。
この実施例に示すように、本発明によって、生体細胞のような位相物体の識別を容易にし、かつ、位相差を含めた異なる複数形状の粒子群を同一形状ごとに同時にその数や挙動を自動的に計測することができる、多重マッチトフィルタを用いた、位相物体の複数形状を形状ごとに数や挙動を自動計測する、方法や装置を提供した。
なお、図8、あるいは図7に示す装置図において、形状識別はつぎのように行われる。複数の識別したい形状があるときには、多重マッチトフィルタであるホログラムの作成時に、基準となる識別したい形状を識別領域が重ならないようにそれらを多少離して設置し、ホログラムをつくる。基準の物体形状を互いに離して設置してホログラムをつくる理由は、識別形状の識別領域がホログラム上でお互いに重なりあわないようにするためである。
すなわち、形状識別にあたっては、その物体導入手段6に基準物体を入れて、レーザ光で基準物体形状を読み出し、フーリエ変換レンズ7の光軸中心の後焦点面に設置された光導伝プラスチックホログラム(PPH)作成装置21の多重マッチトフィルタの作成材料すなわちホログラム乾板の面上に基準物体のフーリエ変換画像を投射して、多重マッチトフィルタ21をつくる。
つぎに、複数形状識別の操作はつぎのように行われる。
多重マッチトフィルタ21で複数形状の同時識別を行う。なお、識別にあたっては参照光は用いない。被識別物体を物体導入手段6に入れて、レーザ光照射された物体光を多重マッチトフィルタ21に照射すれば、基準画像と同じ形状画像があれば、その形状に対応した再生参照光が相関光として集光レンズ9の焦点面で集光される。再生参照光の集光点は物体導入手段6の基準形状を設置した位置を中心とした物体設置位置と点対象の位置に輝点として、集光レンズ9の焦点面に現われる。なお、集光レンズ9は多重マッチトフィルタ21を前焦点面として設置されている。この相関輝点の領域と位置を電子カメラ10で撮影すれば、被識別物体の形状と位置が実時間的に把握される。
なお、図9には、一般的な画像を用いて、多重マッチトフィルタによる複数形状の同時識別と形状ごとの粒子の挙動の同時測定が行われる例を示した。
図9に示した多重マッチトフィルタによる複数形状の同時識別と形状ごとの粒子の挙動の同時測定の手法を多少詳しく説明すれば、つぎのようである。
図9(a)は図7または図8中の物体導入手段6中に置かれた基準形状△、☆と○の配置である。この配置の基準形状粒子に平行レーザ物体光を照射し、その物体光のフーリエ変換像(光回折パターン)をPPH(光導電プラスチックホログラム)21の乾板に物体光として照射し、参照光を同時にPPH乾板に照射してホログラムをつくる。そのホログラムが多重マッチトフィルタとなる。物体形状識別は、図9 (b)に示すように○、☆、△の形状を物体導入手段に入れるとそれらの光回折パターンが多重マッチトフィルタ上に投影されて自動識別され、それぞれの物体光に対応した参照光が再生される。再生された参照光をホログラム面を前焦点面として設置された集光レンズ9の後焦点面で電子カメラ10で撮影すれば、物体形状の識別相関光が図(c)に示されるように、それぞれの基準形状設置を中心にして被検査物体位置と点対象の位置現われる。
なお、図9中の(d)と(e)は形状ごとの粒子の挙動を実時間的に計測した例を示している。図9の(d)は○、☆、△の形状粒子が物体導入手段の視界中でそれぞれ大きな丸、星、三角の形状に従って動き、図9 (e)には、集光レンズ10の集光面でそれぞれの形状粒子を検出したことを示す相関光の輝点がそれぞれの移動軌跡を描いていることが示されている。
図10には一例として、可干渉性平行光束中に置かれた杉花粉粒子、粒子のフーリエ変換像(光回折パターン)、およびフーリエ変換像(光回折パターン)干渉画像を示した。図10の、(A)は粒子画像、(B)はフーリエ変換像(光回折パターン)、(C)はフーリエ変換像(光回折パターン)と球面波零次光との干渉画像、を示す。
この例に示すように、可干渉性平行光束中の生体細胞などの位相差画像のフーリエ変換像(光回折パターン)干渉画像や位相差物体干渉画像が明確に把握された。
本発明は、生体細胞の核やガラス板中の微小欠陥の検査の分野に使われるだけでなく、光ファイバや光ファイバ束接合部の断面や側面での、クラック、マイクロクラック、欠損、汚れ、等の欠陥を、光学的に自動的に検査を行う分野でも用いられる。
1:光源(レーザ)
2:レンズ
3:レンズ
4:偏光ビームスプリッタPBS
5:偏光板
6:物体導入手段
7:フーリエ変換レンズ
8:減光フィルタ
9:逆フーリエ変換レンズ
10:電子カメラまたはCCDカメラ
12: 凹面鏡
13:ハーフミラー
14:ミラー
15:ミラー
16:レンズ
20:位相板またはλ/4板、あるいは、透過型LCOS(Liquid crystal on Silicon、液晶ディスプレイ)
21:光導伝プラスチックホログラム(PPH)作成器
22:偏光板
24:光学レール
25:光学ベース
30:ミラー、または、反射型LCOS(Liquid crystal on Silicon、液晶ディスプレイ)
31:電子カメラまたはCCDカメラ
32:PCまたはデータ演算機
111:リング絞り
112:コデンサレンズ
113:試料
114:対物レンズ
115:位相板
116:像面
117:物体像
118:背景

Claims (7)

  1. レーザ光源、可干渉性拡大平行レーザ光束を形成するレーザ光拡大平行光構成光学系、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ、該フーリエ変換レンズの前側に設けられた物体導入手段、該フーリエ変換レンズの後焦点面に設けられてフーリエ変換像光回折パターンを通す位相フイルタ、前記フーリエ変換レンズの後焦点面を前焦点面として設置され、位相フイルタを通過した高次の回折光および零次光を集光する逆フーリエ変換レンズ、および該逆フーリエ変換レンズの集光面に結像された光学像を撮影するために設置された電子カメラ、のそれぞれが光軸上に設置されて、から構成される、物体導入手段から投写される導入物体の位相差物体干渉像を形成する位相差画像作成光学系を備え、
    該位相差画像作成光学系は、前記フーリエ変換レンズが可干渉性拡大平行レーザ光束中に設置されて、前記フーリエ変換レンズの前焦点面導入物体の画像を前記逆フーリエ変換レンズの後焦点面に結像させる該後焦点面の位置に、前記フーリエ変換レンズの前焦点面上の光軸上および光軸から直角方向に外方に外れた位置の導入物体の位相差像を広い視野で撮り込むこと
    を特徴とする位相差画像表示装置。
  2. 請求項1に記載された位相差画像表示装置において、前記フーリエ変換レンズの前焦点面前後の物体の位相差画像を前記逆フーリエ変換レンズの後焦点面前後に結像させて撮り込むことを特徴とする位相差画像表示装置。
  3. 請求項1に記載された位相差画像表示装置において、該位相差画像作成光学系が、光回折パターンを形成する導入物体光の内の零次光を減光する減光フイルタを備え、前記逆フーリエ変換レンズが、減光フイルタで減光された零次光を集光することを特徴とする位相差画像表示装置。
  4. 請求項3に記載された位相差画像表示装置において、減光フイルタで減光された零次光を偏光板と位相板を通して反射鏡で反射させるか、あるいは反射型LCOSで偏光制御と位相制御とをして反射させ、偏光ビームスプリッタで、平行な位相差参照光とすることを特徴とする位相差画像表示装置。
  5. 請求項4に記載された位相差画像表示装置において、零次光を、偏光ビームスプリッタを通して平行な位相差参照光となし、二重に干渉させてホログラムが作成されて多重マッチトフイルタが構成され、導入物体の複数形状を同時並列して識別することを特徴とする位相差画像表示装置。
  6. レーザ光源、レーザ光拡大平行光構成光学系、可干渉性拡大平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ、該フーリエ変換レンズの前側に設けられた物体導入手段、該フーリエ変換レンズの後焦点面に設けられてフーリエ変換像光回折パターンを通す位相フイルタ、前記フーリエ変換レンズの後焦点面を前焦点面として設置され、位相フイルタを通過した高次の回折光および零次光を集光する逆フーリエ変換レンズ、および該逆フーリエ変換レンズの集光面に設置された電子カメラ、のそれぞれが光軸上に設置されて、物体導入手段から投写される導入物体の位相差物体干渉像を形成する位相差画像作成光学系構成され位相差画像表示装置による位相差画像表示方法において、
    前記フーリエ変換レンズが可干渉性拡大平行レーザ光束中に設置されて、前記フーリエ変換レンズの前焦点面導入物体の画像を前記逆フーリエ変換レンズの後焦点面に結像させる該後焦点面の位置に、前記フーリエ変換レンズの前焦点面上の光軸上および光軸から直角方向に外方に外れた位置の導入物体の位相差像を広い視野で撮り込み、および前記フーリエ変換レンズの前焦点面前後の物体の位相差画像を前記逆フーリエ変換レンズの後焦点面前後に結像させて撮り込むこと
    を特徴とする位相差画像表示方法。
  7. 請求項6に記載された位相差画像表示方法において、逆フーリエ変換レンズに、高次の回折光を位相フイルタを通過させ、零次光をλ/4の位相フイルタと減光フイルタを通過させることで光強度調整して導入物体の位相差物体干渉像を形成することを特徴とする位相差画像検査方法。
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