JPH0759841A - 細胞侵入性医用材料 - Google Patents

細胞侵入性医用材料

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JPH0759841A
JPH0759841A JP5210275A JP21027593A JPH0759841A JP H0759841 A JPH0759841 A JP H0759841A JP 5210275 A JP5210275 A JP 5210275A JP 21027593 A JP21027593 A JP 21027593A JP H0759841 A JPH0759841 A JP H0759841A
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cell
collagen
atelocollagen
copper
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JP5210275A
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Mikio Koide
幹夫 小出
Takeshi Uematsu
健 植松
Ko Oyamada
香 小山田
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Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】再構成された繊維化アテロコラーゲン溶液にア
スコルビン酸及び銅を添加した後、前記再構成された繊
維化アテロコラーゲン溶液を濃縮して得るコラーゲンマ
トリックスからなる細胞侵入性医用材料。 【効果】細胞・組織に対する親和性が良好で、また安定
性が高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人工皮膚、人工血管、
人工骨等に適用できる細胞侵入性医用材料に関する。
【0002】
【従来の技術】生体組織に何らかの異常が生じた場合、
自己の他部位の組織あるいは、親族などの免疫原性の少
ない個体からの同種移植が好ましいが、その様な供給が
困難な場合には人工物をもってそれに代替するという発
想は古くから存在した。しかし、当然免疫拒絶反応の対
象となるケースが多く、そのため組織や免疫系細胞から
不感作であるような、いわゆる組織反応が低い物質を求
める努力が続けられている。ポリウレタンを代表とする
合成高分子をより疎水化させる方向の研究などはその一
例である。また、これとは全く正反対に、免疫反応を引
き起こす前に速やかに物質が組織と同化してしまうこと
により器官としての機能を付与するという考え方があ
る。人工物としては、生体由来材料であるコラーゲン等
を選択し、線維芽細胞を早期に侵入させて、結合組織様
の組織を構築させて目的の組織を覆わせて免疫反応を免
れる考え方で、後者の方がより理想に近い形である。
【0003】コラーゲンを用いた人工材料は生体由来材
料であるため、確かに細胞組織に対する親和性は大きい
と考えられるものの、生体内でコラゲナーゼにより容易
に分解・吸収されるものである。そこで利用するにあた
っては、適当な方法で架橋を導入し、物性面の強化を図
る工夫が成されたものが用いられる。架橋の方法として
は、加熱による脱水架橋、薬品を用いる化学架橋等を採
用したものが開発されている。このうち熱脱水架橋は薬
品処理に比べ安全性が高いが、物性的にコラゲナーゼ、
酵素に対する耐性が化学的架橋に対し低いため、通常化
学架橋を熱架橋と併用させたり、または化学的架橋単独
で用いる方法が選択されており、こうした架橋を導入し
た人工材料を用いる場合、上記以外に物性面で性質が著
しく向上する等の優れた効果を奏するものである。
【0004】例えば110℃の温度で真空下に24時間
置いて熱的な架橋を導入した場合、該人工材料の検体で
はコラゲナーゼ3unit/ml中に37℃下で静置す
ると1日以内に該人工材料中のコラーゲンが溶解するの
に対し、イソシアネート系の薬品を用いた化学的架橋の
みを施した該人工材料の検体ではコラゲナーゼ100u
nit/ml中に37℃下で7日経過しても形態に変化
が見られない。しかしながら、前記人工材料を人工皮膚
として使用する場合、強固な架橋を導入すると、導入前
にコラーゲンが有していた細胞、組織に対する親和性が
大幅に低下し、細胞侵入が阻止される傾向が出現する。
また、生体的反応を利用する架橋が試みられており、コ
ラーゲン溶液を風乾して得られたフィルムをリボースで
架橋する方法が検討されている(夏目 徹 他、人工臓
18(1),72〜75(1989))。
【0005】その他の先行技術としては、蛋白質および
/またはペプチドを含有する溶液にトランスグルタミナ
ーゼを添加して得られた膜は、引張強度、伸度、柔軟
性、酸素透過性、水蒸気透過性、生体適合性に優れてい
ることが、開示されている(特開昭62−74360
号)。一方、細胞侵入性の良好なコラーゲン−変性コラ
ーゲンマトリックスを形成してなる前記コラーゲンを用
いた人工材料も開発されており(特開平1−23036
6号)、早期に好中球やマクロファージが湿潤し、さら
に線維芽細胞が侵入することができる。しかしながら、
当該人工材料では開放創と同様に創収縮を生じる欠点を
有している。つまり、これらの人工材料において、物性
面の強化と細胞、組織に対する親和性という生物学的性
能の向上とは両立が困難な相反する事象であり、双方を
満足する細胞侵入性材料が強く望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、コラーゲンに架橋を施して物理的強度を保持しなが
ら、早期に好中球やマクロファージが浸潤し、更に線維
芽細胞が侵入しやすいコラーゲンマトリックスを提供す
ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は生体内に埋入ま
たは創傷面に被覆した際に生体内の分解酵素に対して抵
抗性を有し、一定期間必要な機械的強度を保持し、かつ
細胞,組織に対する親和性が良好で増殖した細胞が容易
にその内部に入り込みやすい医用材料を提供することに
ある。
【0008】上記目的は以下の構成による本発明のより
達成される。 (1)再構成された線維化アテロコラーゲン溶液にアス
コルビン酸及び銅を添加させた後、前記再構成された線
維化アテロコラーゲン溶液を濃縮することにより得られ
るコラーゲンマトリックスからなる細胞侵入性医用材
料。 (2)前記線維化アテロコラーゲンは、牛真皮由来のコ
ラーゲンを原料とし、プロクターゼ又はペプシンにより
分子末端の抗原基のテロペプチドを除去したアテロコラ
ーゲンに中性緩衝液を加えることにより、再構成された
線維化アテロコラーゲンである上記(1)記載の細胞侵
入性医用材料。
【0009】(3)再構成された線維化アテロコラーゲ
ンに添加されるアスコルビン酸及び銅イオンの割合が、
前記再構成した線維化アテロコラーゲン100重量部に
対してアスコルビン酸0.1〜10重量部、銅イオン0.
01〜1.0重量部である上記(1)記載の細胞侵入性
医用材料。 (4)アテロコラーゲンの酸性溶液にpH7〜8の中性
緩衝液を加えて、37℃で1〜8時間加温して得られる
線維状のコラーゲン溶液にアスコルビン酸と銅を添加
し、5分間以上処理して得られる(1)記載の細胞侵入
性医用材料。
【0010】また、本発明は下記の構成により達成され
る。 (5)水蒸気透過調節層と細胞侵入性層からなる人工皮
膚であって、前記細胞侵入性層は、線維化アテロコラー
ゲン溶液にアスコルビン酸及び銅を添加させた後、前記
線維化アテロコラーゲン容液を濃縮し、更に変性アテロ
コラーゲンを添加させることにより得られるコラーゲン
マトリックスからなる細胞侵入性基材からなることを特
徴とする人工皮膚。 (6)水蒸気透過調節層と細胞侵入性層からなる人工皮
膚であって、前記細胞侵入性層は、線維化アテロコラー
ゲン・ヘパリン複合体溶液にアスコルビン酸及び銅を添
加させた後、前記線維化アテロコラーゲン・ヘパリン複
合体溶液を濃縮し、更に変性アテロコラーゲンを添加さ
せることにより得られるコラーゲンマトリックスからな
る細胞侵入性基材からなることを特徴とする人工皮膚。
【0011】(7)水蒸気透過調節層と細胞侵入性層か
らなる人工皮膚であって、前記細胞侵入性層は、線維化
アテロコラーゲン・ヘパリン複合体溶液にアスコルビン
酸及び銅を添加させた後、前記線維化アテロコラーゲン
・ヘパリン複合体溶液を濃縮し、更に変性アテロコラー
ゲンを含有させることにより得られるコラーゲンマトリ
ックスからなる細胞侵入性基材からなり、前記細胞侵入
性層と水蒸気透過調節層に連続した2.0mm以上の貫
通孔があることを特徴とする上記(6)記載の人工皮
膚。 (8)前記水蒸気透過調節層はシリコーンエラストマー
である上記(5)〜(7)記載の人工皮膚。 (9)前記変性コラーゲンは、牛真皮由来のコラーゲン
を原料とし、抗原基を除去し、それを40〜90℃の温
度範囲で熱変性させることにより得られる熱変性アテロ
コラーゲンである上記(5)〜(7)記載の人工皮膚。
【0012】本発明の細胞侵入性医用材料は、アテロコ
ラーゲンの酸性溶液に中性緩衝液を添加して得られる再
構成された線維化アテロコラーゲン溶液に、アスコルビ
ン酸及び銅を添加した後、前記溶液を濃縮した懸濁液と
して使用するものであり、更に前記濃縮した懸濁液を凍
結乾燥してスポンジの状態でも使用可能である。濃縮す
る方法としては、特に限定しないが、具体的には遠心分
離、透析等が挙げられる。
【0013】本発明において、細胞侵入性医用材料を懸
濁液として用いる場合、溶液を3000rpmで10分間
程遠心分離を行い2層に分離させ、下層の初期のコラー
ゲン濃度より約10倍位濃縮されたものを使用する。本
発明において、アスコルビン酸及び銅は特に限定しない
が、アスコルビン酸及び銅を一つの溶液にしたもの、ま
たは各々の溶液を用いることが好ましい。また、本発明
において銅とは特に限定しないが、溶解性を考慮して、
塩化銅、硫酸銅等の銅化合物を用いることが好ましい。
【0014】本発明において、再構成された線維化アテ
ロコラーゲンは、特に限定しないが牛真皮由来のコラー
ゲンを原料として用いることが好ましく、該コラーゲン
をプロクターゼ又はペプシンにより分子末端の抗原基の
テロペプチドを除去したアテロコラーゲンに中性緩衝液
を加えることにより得られるものが好ましい。本発明に
おいて、再構成された線維化アテロコラーゲンにアスコ
ルビン酸及び銅イオンを添加する割合は、前記再構成し
た線維化アテロコラーゲン100重量部に対してアスコ
ルビン酸0.1〜10重量部、銅イオン0.01〜1.0
重量部であることが好ましい。
【0015】本発明において、細胞侵入性医用材料の精
製方法は、アテロコラーゲンの酸性溶液にpH7〜8の
中性緩衝液を加えて、37℃で1〜8時間加温して得ら
れる線維状のコラーゲン溶液にアスコルビン酸と銅を添
加して5分間以上処理して得ることが好ましい。酸性溶
液としては特に限定しないが、塩酸溶液等が挙げられ、
中性緩衝液としては特に限定しないが、りん酸緩衝液等
が挙げられる。
【0016】本発明の細胞侵入性医用材料の使用形態の
一例としては人工皮膚が挙げられる。前記人工皮膚は、
本発明の細胞侵入性医用材料からなる細胞侵入性層と、
該細胞侵入性層の表皮面に水蒸気透過調節層が設けられ
てなる。前記人工皮膚において細胞侵入性層は、線維化
アテロコラーゲン・ヘパリン複合体溶液にアスコルビン
酸及び銅を添加した後、前記線維化アテロコラーゲン・
ヘパリン複合体を濃縮し、更に変性アテロコラーゲンを
添加させることにより得られるコラーゲンマトリックス
からなる細胞侵入性基材であってもよい。前記変性コラ
ーゲンとしては、牛真皮由来のコラーゲンを原料とし、
抗原基を除去し、それを40〜90℃の温度範囲で熱変
性させることにより得られる熱変性アテロコラーゲンが
挙げられる。前記人工皮膚において、水蒸気透過調節層
は、連続した2.0mm以上の貫通孔を有することが好
ましく、材質としてははシリコーンエラストマー等が挙
げられる。
【0017】また、本発明において濃縮した懸濁液の状
態の細胞侵入性医用材料は、凍結乾燥してスポンジの状
態で使用すると、何と驚くべきことに、蒸留水あるいは
生理食塩水中に浸してもスポンジは崩れることはなかっ
た。これはアスコルビン酸−銅を添加することにより、
コラーゲンの架橋が起こったものと思われる。更に凍結
後も架橋が進行して、凍結乾燥して得られたコラーゲン
スポンジにも架橋が導入されていると思われる。同様な
反応は特開昭53−32996に開示されており、コラ
ーゲン溶液にグルタルアルデヒド等のなめし用剤を添加
し、0〜−20℃で凍結し、該凍結スラリーを溶かすと
コラーゲン性スポンジが得られることが示されている。
【0018】本発明との大きな相違点は、グルタルアル
デヒド等のなめし剤はコラーゲンを架橋するが、なめし
剤自身がコラーゲン分子の橋かけ剤として使用される
が、本発明のアスコルビン酸−銅はコラーゲンの分子内
あるいは分子間の架橋を促進する触媒として働き、コラ
ーゲンと直接結合していない。このことは線維化アテロ
コラーゲン溶液にアスコルビン酸−銅を処理した後、コ
ラーゲン溶液を濃縮した時の上澄み液中に添加したアス
コルビン酸と銅濃度のほぼ同量が存在することからもわ
かる。
【0019】一方、アテロコラーゲンを酸性溶液に溶か
し、中性緩衝液を添加する前にアスコルビン酸−銅を添
加するとコラーゲンは線維化がおこらなかった。また銅
溶液だけを添加してもコラーゲンは線維化がおこらない
ことから、分子状のコラーゲンと銅が結合することによ
り、線維化がおこらなかったものと思われる。したがっ
て、本発明は、アテロコラーゲンの酸性溶液にpH7〜
8の緩衝液を加えて、37℃で1〜8時間加温して得ら
れる線維状のコラーゲン溶液にアスコルビン酸と銅を添
加して5分間以上処理して得られることを特徴とする。
また、本発明の細胞侵入性医用材料は上記人工皮膚以外
にも人工骨,人工軟骨にも使用することができる。以
下、実施例を示し、本発明を更に詳細に説明する。
【0020】
【実施例】
(実施例1)アテロコラーゲン粉末(高研(株)製)を
0.3(w/v)%となるようにpH3塩酸溶液に溶解さ
せた。この溶液を4℃の恒温槽に入れ攪拌しながら、り
ん酸緩衝液を加え、終濃度が0.2(w/v)%アテロコラー
ゲン、30mM Na2HPO4,100mM NaClである
コラーゲン溶液を調製した。次いで、37℃の恒温槽に
4時間浸漬し、線維化アテロコラーゲンを得た。この溶
液に塩化第2銅溶液(最終濃度:10μM)とアスコル
ビン酸溶液(最終濃度:1mM)を添加し、60分間攪
拌した。更に上記のコラーゲン溶液を3000rpm,1
0分間遠心分離を行うことにより、最終濃度が2.5
(w/v)%になるまで濃縮し、細胞侵入性医用材料を
得た。
【0021】得られた細胞侵入性医用材料について、電
気泳動を行った。未処理のコラーゲンに比べてα,β,
γ成分が減少し、γ成分より高分子量の高架橋成分が増
加した。更に凍結乾燥して得られたコラーゲンスポンジ
を生理食塩水に浸してもスポンジは崩れず形状を保持し
ていた。
【0022】(実施例2)上記実施例1と同様な方法で
得られた線維化アテロコラーゲンに塩化第2銅溶液とア
スコルビン酸を最終濃度がそれぞれ10μMと100μM
になるように添加し、3000rpm,10分間遠心分離
を行うことにより、最終濃度が2.5(w/v)%にな
るまで濃縮し、細胞侵入性医用材料を得た。。また上記
の方法で電気泳動を行った結果、実施例1と同様にコラ
ーゲンのα,β,γ成分が減少し、高架橋成分が増加し
た。更に凍結乾燥して得られたコラーゲンスポンジを生
理食塩水に浸してもスポンジは崩れず形状を保持してい
た。
【0023】(比較例1)アテロコラーゲン粉末(高研
(株)製)を0.3(w/v)%となるようにpH3塩酸溶液に溶
解させた。この溶液を4℃の恒温槽に入れながらりん酸
緩衝液(最終濃度:30mM Na2HPO4,100mM N
aCl)、アスコルビン酸(最終濃度:1mM)と塩化第
2銅(最終濃度:10μM)を添加し、次いで37℃の
恒温槽に4時間浸漬したが、コラーゲンは線維化せず、
白濁にならなかった。上記と同様な方法で電気泳動を行
なった結果、α,β,γ成分が減少し、γ成分より高分
子量の高架橋成分が多少増加した。更に凍結乾燥して得
られたコラーゲンスポンジを生理食塩水に浸したら、ス
ポンジは崩れて形状は保持できなかった。
【0024】(試験例1)ラット皮膚欠損創への移植試
上記の実施例1〜2と比較例1で得られたマトリックス
をラット背部皮膚に移植した。Wistarラット(1
80〜220g)をネンブタール麻酔下で除毛し、イソ
ジン消毒したラット背部に皮下筋膜を創面とする全創皮
膚欠損創を生検用パンチ(φ=6mm,トレパン)で作製
し、止血乾燥した後、検体を創面に埋めこみ、その上に
オプサイト(スミス アンド ネフュー社製)をのせ、
更にエラスチコン等の伸縮性絆創膏で胴巻きにし、圧迫
固定した。経時的に観察すると、1日目ではいずれも創
面は閉鎖していないが、3日目の観察では比較例1だけ
が閉鎖していたが、創面は非常に拘縮していた。
【0025】(実施例3)アテロコラーゲン粉末(高研
(株)製)を4℃の温度下でpH3.0の希塩酸に溶解して
0.3〜0.4(w/v)%に調製した。この溶液を4℃に維
持しつつ攪拌しながらpH7.4のりん酸緩衝液を加え、
最終濃度が0.2(w/v)%(30mM Na2HPO4,10
0mM NaCl)であるコラーゲン溶液とした。次いで
37℃の恒温槽内に4時間放置し、線維化アテロコラー
ゲン溶液を調製した。更にこの溶液に塩化第2銅溶液
(最終濃度:10μM)とアスコルビン酸溶液(最終濃
度:1mM)を添加し、60分間攪拌した。この溶液を無
菌条件下で3000rpm,10分間遠心分離を行うこと
により、濃度2.5(w/v)%にまるまで濃縮した。
【0026】一方、0.3〜0.4(w/v)%となるよう再
溶解し、これを60℃の恒温槽内に30分間放置して熱
変性させ変性アテロコラーゲン(HAC)溶液とした。
上記FC100重量部に対してHACが10重量部とな
るように混合した。この溶液をステンレスパットに注入
し、−30℃以下で急速冷却して十分凍結させた後、−
40℃/0.1トール未満の真空下で凍結乾燥した。次
にテフロン板上に67%のメディカルサイラステックス
シリコーン(接着シリコーンタイプA、ダウコーニング
株式会社製)のヘキサン溶液を精密被覆用具(アプリケ
ーター)を用いて塗布して製膜し、塗布した直後にその
湿層上に上記のコラーゲンマトリックスを載せ、室温で
10分間放置した後、60℃で少なくとも1時間、オー
ブンで硬化させて人工皮膚を作製した。
【0027】(実施例4)アテロコラーゲン粉末(高研
(株)製)を4℃の温度下でpH3.0の希塩酸に溶解して
0.3〜0.4(w/v)%に調製した。この溶液を4℃に維
持しつつ攪拌しながらpH7.4のりん酸緩衝液を加
え、最終濃度が16μg/mlになるようにヘパリン−ナト
リウム溶液(ブタ小腸粘膜由来)を加えた。その後、3
7℃で4時間加熱処理してコラーゲン・ヘパリン複合体
の懸濁液を得た。更にこの溶液に塩化第2銅溶液(最終
濃度:10μM)とアスコルビン酸溶液(最終濃度:1m
M)を添加し、10分間攪拌した。この溶液を無菌条件
下で3000rpm,10分間遠心分離を行うことによ
り、濃度2.5(w/v)%になるまで濃縮した。
【0028】一方、0.3〜0.4(w/v)%となるよう再
溶解し、これを60℃の恒温槽内に30分間放置して熱
変性させ変性アテロコラーゲン(HAC)溶液とした。
上記FC・Hp100重量部に対してHACが10重量
部となるように混合した。この溶液をステンレスパット
に注入し、−30℃以下で急速冷却して十分凍結させた
後、−40℃/0.1トール未満の真空下で凍結乾燥し
た。次にテフロン板上に67%のメディカルサイラステ
ックスシリコーン(接着シリコーンタイプA、ダウコー
ニング株式会社製)のヘキサン溶液を精密被覆用具(ア
プリケーター)を用いて塗布し製膜し、塗布した直後に
その湿層上にコラーゲンマトリックスを載せ、室温で1
0分間放置した後、60℃で少なくとも1時間硬化させ
て人工皮膚を作製した。
【0029】(実施例5)実施例4と同様な方法で作製
した人工皮膚に生検用パンチ(φ=3mm,トレパン)を
用いて1.5cmの等間隔で貫通孔を作り、人工皮膚を得
た。
【0030】(比較例2)比較例1と同様な方法で作製
したコラーゲンマトリックスを、予めテフロン板上で成
膜したシリコーン上に載せ、人工皮膚を得た。
【0031】(試験例2)人工皮膚のラット皮膚欠損創
への移植試験 上記の実施例3〜5と比較例2で得られた人工皮膚をラ
ット背部皮膚に移植して試験した。Wistarラット
(200〜400g)をネンブタール麻酔下で除毛し、
イソジン消毒したラット背部皮膚に皮下筋膜を創面とす
る20×20mmの全創皮膚欠損創を作製し、止血乾燥し
た後、生食を含ませた検体を貼付した。シリコーン膜辺
縁を縫合糸で16ケ所結紮固定した。その上にソルフレ
ン(テルモ(株)製)を4枚重ね、更にエラスチコン等
の伸縮製絆創膏で胴巻きにし、圧迫固定した。移植後4
週間後の肉眼による観察によると、実施例3〜5のマト
リックスではほとんど拘縮しないのに対して、比較例2
では収縮がおこり、創が閉鎖していた。
【0032】
【発明の効果】本発明の細胞侵入性医用材料は生体成分
であるコラーゲンからなることから、生体特に皮膚部位
に優れた親和性を有し、更にアスコルビン酸−銅で処理
することによって生体への安定性が増大し、創傷,熱
傷,褥瘡等により皮膚が損傷を受けた際に、損傷面に適
応すると、早期に線維芽細胞が誘導され、損傷部位の早
期治癒に有効である。また、本発明はアスコルビン酸−
銅で処理した線維化アテロコラーゲンと熱変性アテロコ
ラーゲンを含有したマトリックスの創傷接触層と水蒸気
透過調節層とが積層されている人工皮膚として用いた場
合、創傷,熱傷,褥瘡により皮膚が損傷を受けた際に、
損傷面に適用され、真皮成分の欠損部位の治癒に有効で
ある。
【0033】また本発明に係わる人工皮膚は細胞侵入性
が良好で、アスコルビン酸−銅で処理した線維化アテロ
コラーゲン・ヘパリンと熱変性アテロコラーゲンを含有
したマトリックスの創傷接触層と水蒸気透過調節層とが
積層されている人工皮膚からなり、創傷,熱傷,褥瘡等
により皮膚が損傷を受けた際に、損傷面に適用され、真
皮成分の欠損部位の治癒に有効である。更に、本発明の
人工皮膚は創傷治癒層が細胞侵入性を有するので、創面
に適用された際に、線維芽細胞が早期に創傷接触層に侵
入し、更に真皮様の結合組織を構築するので創傷の治癒
が促進され、更に移植して一定の期間保持した後、上層
の水蒸気透過調節層を剥がして、自家植皮を移植して生
着することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 再構成された線維化アテロコラーゲン溶
    液にアスコルビン酸及び銅を添加させた後、前記再構成
    された線維化アテロコラーゲン溶液を濃縮することによ
    り得られるコラーゲンマトリックスからなる細胞侵入性
    医用材料。
JP5210275A 1993-08-25 1993-08-25 細胞侵入性医用材料 Pending JPH0759841A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014126196A1 (ja) * 2013-02-15 2014-08-21 国立大学法人大阪大学 コラーゲンスポンジ

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