JPH0759200B2 - 緑藻類ドナリエラの高密度培養によるβ‐カロチンの製造方法 - Google Patents

緑藻類ドナリエラの高密度培養によるβ‐カロチンの製造方法

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JPH0759200B2
JPH0759200B2 JP22460692A JP22460692A JPH0759200B2 JP H0759200 B2 JPH0759200 B2 JP H0759200B2 JP 22460692 A JP22460692 A JP 22460692A JP 22460692 A JP22460692 A JP 22460692A JP H0759200 B2 JPH0759200 B2 JP H0759200B2
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到保 山岡
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、緑藻類ドナリエラから
のβ‐カロチンの製造方法に関するものである。さらに
詳しくいえば、本発明は、緑藻類ドナリエラの特定の無
機栄養塩類培地中での培養により、β‐カロチンを含ん
だ緑藻類ドナリエラを高密度に培養、成育させ、それか
ら多量のβ‐カロチンを回収する製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】わが国で化成品として許可されているβ
‐カロチンは多くの食品中にも含まれており、栄養生理
学的見地からもその効果と応用が期待されている。ま
た、老化抑制、解毒、ガン予防など、興味のあるβ‐カ
ロチン作用が明らかになり、安価なβ‐カロチンの大量
生産が要望されている。
【0003】従来のβ‐カロチンの製造は、ニンジンな
どの植物やドナリエラなどの緑藻類の培養物からの抽出
により行われているが、これらの生物を効率よく生育さ
せるための栄養元素についてその価格が高すぎ、経済的
に採算がとれないし、経済性を考えて無機の窒素、リン
だけによる単純な栄養分を用いるとβ‐カロチンが生育
しないため経済的にこれを大量生産することができなか
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来のβ‐カロチン製造法のもつ欠点を克服し、安価に
大量のβ‐カロチンを製造する方法を提供することを目
的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、β‐カロ
チンの製造法について種々研究を重ねた結果、緑藻類ド
ナリエラを特定の無機栄養塩類培地中で培養することに
より、大量のβ‐カロチンを製造しうることを見出し、
この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0006】すなわち、本発明は、窒素供給源及びリン
供給源を含有する栄養培地中で光を照射させながら緑藻
類ドナリエラを培養するに当り、培地中に鉄又はヒ素を
添加し、かつ連続的又は断続的に無機栄養塩類を補給し
て培地中の栄養元素濃度を漸次向上させることにより高
濃度のドナリエラを含む培養液を生成させたのち、この
培養液よりドナリエラを分離し、次いでこれよりβ‐カ
ロチンを回収することを特徴とするβ‐カロチンの製造
方法を提供するものである。
【0007】本発明方法に用いる緑藻類ドナリエラは単
細胞で細胞の大きさ20〜30μの、海洋に生育するプ
ランクトンであって、二酸化炭素、光エネルギー、無機
の窒素とリンで生育する光合成生物であり、容易に採取
することができる。
【0008】次に、本発明方法における栄養培地として
は通常海水が用いられるが、このものは栄養元素として
窒素及びリンを含有することが必要である。この窒素供
給源としては、硝酸ナトリウム、硝酸カリウムのような
水溶性硝酸塩を用いるのが好ましい。またリン供給源と
しては、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二
水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムのような水溶性
リン酸塩類が好適である。これらの栄養元素は、通常栄
養培地1l当り、それぞれ窒素又はリンに換算して1〜
5mgの範囲内で含有される。
【0009】本発明方法においては、このような栄養培
地に鉄又はヒ素を添加したものを用いることが必要であ
る。これらの元素は、水溶性塩の形で水に溶解し、培地
中に添加される。その添加量としては栄養培地1l当り
0.5〜20mgの範囲が適当である。これよりも添加
量が少ないとドナリエラ中のカロチン濃度の増大は認め
られないし、またこれよりも添加量が多くなるとドナリ
エラ中のカロチン濃度がむしろ低下する。
【0010】これらの元素を含む培地中でドナリエラを
培養すると、これらがドナリエラの細胞中に取り込まれ
ると同時に、細胞中のβ‐カロチン含量が著しく増大す
る。例えば鉄の場合、乾燥藻体1g中のβ‐カロチン含
量は300mgに達するし、ヒ素の場合は380mgに
達する。
【0011】次に、本発明方法においては、ドナリエラ
の培養中に、断続的に、無機栄養塩類を補給して、培地
中の栄養元素濃度を次第に高め、高濃度のドナリエラが
生育しうる条件を維持させることが必要である。この補
給は、連続的又は断続的に行われるが、ドナリエラの生
育に円滑に適応させるために、例えば点滴法などにより
できるだけ少量ずつ連続して行うのが望ましい。
【0012】図1は、所定の栄養塩類を断続的に添加補
給して高密度培養した際の、バイオマス量、β‐カロチ
ン含量と培養時間との関係を示すグラフである。
【0013】さらに、培養は、上記無機栄養塩類の豊富
な培地中で光エネルギーとしての照度、温度、培地中の
元素組成を適当に調整して行うのが好ましく、さらに光
連続照射、通気、撹拌条件下で実施することが望まし
い。例えば、培養条件として、照度15000ルックス
以上、温度20〜26℃とするのが好ましい。
【0014】本発明においては、前記した培養時に補給
培地を点滴で施し、さらに前記したように培養条件、特
に培地中の元素組成を変化させることにより、ドナリエ
ラへの刺激を強めると、β‐カロチンの含有率をさらに
増大させることができる。
【0015】ドナリエラの増殖が最大密度(通常は10
個/ml以上)に達したのち、ドナリエラを大量に含
んだ培養液を遠心分離することにより、培養液より効率
的にバイオマス(藻体)が沈殿濃縮される。
【0016】本発明においては、このようにして培養さ
れたβ‐カロチンを高含量で含んだドナリエラからβ‐
カロチンが分離される。この分離は、好ましくは抽出に
より行われる。抽出溶媒としては、低級アルコール系溶
媒、特にメタノール溶液が好ましい。メタノール溶液の
好適濃度は約90〜95%の範囲とするのがよい。
【0017】
【発明の効果】本発明方法によれば、β‐カロチンを高
含量で含む緑藻類ドナリエラを純粋に大量に培養でき、
培養物から多量のβ‐カロチンを抽出などで簡単に分離
回収できるので、β‐カロチンを高収率高純度で製造し
うるという顕著な効果を奏する。
【0018】
【実施例】次に、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明する。
【0019】実施例1 海水から分離したドナリエラ・サリナ培養液を、海水1
000ml、NaNO21mg、NaHPO13
mg、Fe1mgからなる無機栄養塩類培地を用い、2
4℃で15000ルックスの照度の下に、撹拌通気しな
がら6日間培養したのち、培養液を遠心分離機にかけて
湿藻体を分離し、次いで湿藻体をメタノールで抽出し
た。この抽出液をODS樹脂に吸着させ、メタノールで
展開してβ‐カロチン380mgを得た。
【0020】実施例2 実施例1の培地中のFe量を10mgとしたこと以外
は、実施例1と同様にしてβ‐カロチン300mgを得
た。
【0021】実施例3 実施例1の培地中のFe1mgをAs10mgに代えた
こと以外は、実施例1と同様にしてβ‐カロチン180
mgを得た。
【0022】比較例 実施例1の培地中のFe1mgを除いたこと以外は、実
施例1と同様にしてβ‐カロチン50mgを得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 所定の栄養塩類を断続的に添加補給して高密
度培養した際の、バイオマス量、β‐カロチン含量と培
養時間との関係を示すグラフ。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒素供給源及びリン供給源を含有する栄
    養培地中で光を照射させながら緑藻類ドナリエラを培養
    するに当り、培地中に鉄又はヒ素を添加し、かつ連続的
    又は断続的に無機栄養塩類を補給して培地中の栄養元素
    濃度を漸次向上させることにより高濃度のドナリエラを
    含む培養液を生成させたのち、この培養液よりドナリエ
    ラを分離し、次いでこれよりβ‐カロチンを回収するこ
    とを特徴とするβ‐カロチンの製造方法。
  2. 【請求項2】 栄養培地1l中の窒素含有量及びリン含
    有量をそれぞれ1〜5mgの範囲内にする請求項1記載
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 鉄又はヒ素を、栄養培地1l当り0.5
    〜20mgの割合で添加する請求項1又は2記載の製造
    方法。
JP22460692A 1992-07-30 1992-07-30 緑藻類ドナリエラの高密度培養によるβ‐カロチンの製造方法 Expired - Lifetime JPH0759200B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
BIORESOURCETECHNOLOGY,38.〜1991!P.233−236
PLANTPHYSIOLOGY(BETHESDA),72,〜1983!P.593−597

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