JPH075900U - 車両用シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両衝突時に乗員のサブマリン現象を防止し
て、乗員を確実に保護する車両用シートを提供する。 【構成】 車両のシートレール１に作動レバー４の上端
が枢着され、横棒９に後端が連結されたパイプ７がフロ
ントサイドメンバ５内を通ってフロントバンパ８の直後
にまで延びており、車両の衝突時に車両前部が圧壊すれ
ば、パイプ７が後方に押し込まれて作動レバー４を起立
させ、シートレール１が後部の枢支点を中心として回動
し、フロントシート２のシートクッション３前部が持ち
上げられるように構成されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両に使用されるシート、とくに、車両衝突時に乗員を保護するこ とのできるシートに関する。

【０００２】

【従来の技術】

車両衝突時に乗員を保護するため、車両用シートにはシートベルトが装備され ているが、衝突時には、シートベルトのたるみやシートベルト自身の伸びのため に、乗員の拘束に時間遅れが生じることは避けられず、また、シートベルトの下 方から乗員の腰部が前方へずれる、いわゆるサブマリン現象が起こるので、特開 平１−２７５２３０号公報や特開昭５８−５３５２５号公報に記載されているよ うに、シートクッシヨンの前部に持ち上げ装置を内蔵させ、車両の衝突時に上記 持ち上げ装置を作動させてシートクッシヨンの前部を持ち上げ、乗員の腰部が過 度に前方へ移動しないようにするものが存在しているが、持ち上げ装置がシート クッシヨン前部に内蔵されているため、シートのクッシヨン性を損なうおそれが あると共に、シートクッシヨンを部分的に上方へ突出させるように構成するため 、シートの製作に困難を伴ってそのコスト上昇を招く不具合があった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、車両用シートにおいて、車両衝突時に乗員のサブマリン現象を防止 し、乗員を確実に保護しようとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

このため、本考案にかかる車両用シートは、シートクッシヨンの下方に設置さ れた作動部材及び車両のほぼ前後方向に配置され前端が車両前部にまで延びて後 端が上記作動部材に連結もしくは上記作動部材の近傍に位置する連動部材を有し 、車両衝突時上記連動部材がその前端を後方へ押されて変位することにより、上 記作動部材が作動して上記シートクッシヨンの前部を持ち上げるように構成され ている。

【０００５】 また、本考案にかかる車両用シートは、シートクッシヨンの下方に設置され上 部がシートレールの前部もしくは上記シートクッシヨンの前部に枢着された作動 部材及び車両のほぼ前後方向に配置され前端が車両前部にまで延びて後端が上記 作動部材に連結もしくは上記作動部材の近傍に位置する連動部材を有し、車両衝 突時上記連動部材がその前端を後方へ押されて変位することにより、上記作動部 材の下部が押されて上記作動部材がその枢着点を中心として回動し、上記シート クッシヨンの前部が持ち上げられるように構成されている。

【０００６】 さらに、本考案にかかる車両用シートは、シートクッシヨンの下方において枢 支され上部がシートレールの前部もしくは上記シートクッシヨンの前部に当接し た作動部材及び車両のほぼ前後方向に配置され前端が車両前部にまで延びて後端 が上記作動部材に連結もしくは上記作動部材の近傍に位置する連動部材を有し、 車両衝突時上記連動部材がその前端を後方へ押されて変位することにより、上記 作動部材の下部が押されて上記作動部材がその枢支点を中心として回動し、上記 シートクッシヨンの前部が持ち上げられるように構成されている。

【０００７】

【作用】

従って、車両が衝突してその前部が圧壊されたときには、車両前部にまで延び ている連動部材の前端が後方へ押し込まれるので、連動部材の変位によりシート クッシヨン下方の作動部材が作動してシートクッシヨンの前部が持ち上げられて 、乗員を時間遅れなく拘束できると共に、乗員のサブマリン現象を防止できるが 、この場合、シートクッシヨンの移動が衝突に伴う車両前部の変形によって行わ れ、かつ、車両の衝突が激しい程連動部材の後方変位が大きいので、連動部材及 び作動部材によりシートクッシヨンの前部をきわめて確実に持ち上げることがで きると共に、シートクッシヨンの移動によって衝突エネルギの一部を吸収させる ことができる。

【０００８】

【実施例】

以下、図面に示す本考案の実施例について説明する。 図１において、車室内の各シートレール１上に左右のフロントシート２が装架 され、各フロントシート２のシートレール１または各フロントシート２のシート クッシヨン３の前部両側にそれぞれ作動レバー４の上端が枢着され、作動レバー ４の下端は車室床面上に接している一方、シートレール１の後部が車室床面に枢 支されている。

【０００９】 また、車体の左右両側には、それぞれ前後方向に延びる四角形閉断面のフロン トサイドメンバ５が設けられ、その内部には前後方向に間隔をおいて隔壁６が取 り付けられ、フロントサイドメンバ５内に前後方向に延びるパイプ７が各隔壁６ を挿通することにより支持されて、パイプ７の前端はフロントバンパ８の直後に まで延び、パイプ７の後端はほぼ車幅一杯に延びる横棒９の左右両側部にそれぞ れ固着され、横棒９はシートレール１または各シートクッシヨン３の両側におけ る作動レバー４の下端をそれぞれ枢着、もしくは、作動レバー４の下端にそれぞ れ近接し、さらに、作動レバー４後方の車室床面上にはほぼ車幅一杯に延びるス トッパ１０が固定されている。

【００１０】 上記車両が衝突したとき、図２に示されているように、フロントサイドメンバ ５が蛇腹状に座屈変形する等のように車両の前部が圧壊されれば、フロントバン パ８と共にパイプ７の前端が後方へ押し込まれるので、パイプ７の後端が横棒９ を後方へ押しながら移動し、従って、シートレール１または各シートクッシヨン ３の両側におけるそれぞれの作動レバー４の下端も車室床面に沿って後方変位す るため、作動レバー４はシートレール１または各シートクッシヨン３との枢着点 を中心として図２の反時計方向に回動する。

【００１１】 上記作用により、シートレール１が後方の枢支点を中心として図２の時計方向 に回動させられ、作動レバー４の下端がストッパ１０に突き当たって作動レバー ４が起立するため、シートレール１上に装架された各フロントシート２の前部が 持ち上げられるので、フロントシート２上に座っていた乗員の腰部が車両衝突時 の慣性によって前方へ移動することは、持ち上げられたシートクッシヨン３の前 部により時間遅れなく直接的に抑止されるので、乗員に対する確実な拘束、膝荷 重の低減、腹部障害の低減及びサブマリン現象の防止を容易に実現することがで き、また、前部が持ち上げられたシートクッシヨン３により乗員の大腿部等が保 持されて、乗員の運動エネルギの一部が吸収されると共に、フロントサイドメン バ５等の座屈変形やシートクッシヨン３前部の持ち上げ作用によって車両の衝突 エネルギの一部が吸収されるので、乗員を確実に保護して、その安全性を容易に 高めることができる。

【００１２】 しかも、シートクッシヨン３前部の持ち上げ作用は、車両の衝突エネルギを利 用して行われるので、その作動は常に確実で誤作動がないため、フロントシート ２前部の持ち上げ機構として信頼性が非常に高い。

【００１３】 また、シートクッシヨン３の前部を持ち上げるための作動レバー４、ストッパ １０等がシートクッシヨン３の下方に配置されているため、これらの機構によっ てシートクッシヨン３の乗り心地が損なわれることは全くなく、かつ、従来の車 両用シートにも容易に適用することができる長所がある。

【００１４】 なお、上記実施例では、車両の衝突時にシートレールとシートクッシヨンの前 部を共に持ち上げるようにしているが、フロントシートの後部をシートレール上 に枢支すると共に作動レバーの上端をフロントシートの前部に枢着し、車両の衝 突時にはシートレールに対するフロントシートの前後方向スライド距離以上に上 記パイプが後方へ変位できるようにして、フロントシートのいかなるスライド位 置においてもパイプの後端が作動レバーを起立させることにより、シートレール と切り離してフロントシートの前部を持ち上げるようにすることもできるもので ある。

【００１５】 また、フロントシートのシートクッシヨン下方において作動レバーの中間部を 枢支し、作動レバーの上部をシートレールまたはシートクッシヨンの前部に当接 させると共に、作動レバーの下部が車両の衝突時にパイプによって変位させられ ることにより作動レバーが上記枢支点の回りに回動し、シートレールと共にまた はシートレールと切り離してシートクッシヨンの前部が持ち上げられるように構 成しても、上記実施例と同等の効果を奏することができ、さらに、前記作動レバ ーやパイプ等は必要に応じて適宜変形させ、あるいは、代替手段をとりうること はいうまでもない。

【００１６】

【考案の効果】

本考案にかかる車両用シートにおいては、車両が衝突してその前部が圧壊され たときには、車両前部にまで延びている連動部材の前端が後方へ押し込まれるの で、連動部材の変位によりシートクッシヨン下方の作動部材が作動してシートク ッシヨンの前部が持ち上げられ、この場合、シートクッシヨンの移動が衝突に伴 う車両前部の変形によって行われるので、シートクッシヨンの前部をきわめて確 実に持ち上げることができて、乗員は時間遅れなく拘束され、かつ、乗員のサブ マリン現象が防止されて、乗員を確実に保護することができると共に、シートク ッシヨン前部を持ち上げるための作動部材がシートクッシヨンの下方に設置され ているため、この作動部材によってシートクッシヨンの乗り心地が損なわれるこ とは全くなく、かつ、従来の車両用シートにも容易に適用することができる実用 的な長所がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例における要部の概略縦断面図。

【図２】上記実施例の作用説明図。

【符号の説明】

１ シートレール ２ フロントシート ３ シートクッシヨン ４ 作動レバー ７ パイプ ９ 横棒 １０ ストッパ

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートクッシヨンの下方に設置された作
   動部材及び車両のほぼ前後方向に配置され前端が車両前
   部にまで延びて後端が上記作動部材に連結もしくは上記
   作動部材の近傍に位置する連動部材を有し、車両衝突時
   上記連動部材がその前端を後方へ押されて変位すること
   により、上記作動部材が作動して上記シートクッシヨン
   の前部を持ち上げるように構成された車両用シート。
2. 【請求項２】 シートクッシヨンの下方に設置され上部
   がシートレールの前部もしくは上記シートクッシヨンの
   前部に枢着された作動部材及び車両のほぼ前後方向に配
   置され前端が車両前部にまで延びて後端が上記作動部材
   に連結もしくは上記作動部材の近傍に位置する連動部材
   を有し、車両衝突時上記連動部材がその前端を後方へ押
   されて変位することにより、上記作動部材の下部が押さ
   れて上記作動部材がその枢着点を中心として回動し、上
   記シートクッシヨンの前部が持ち上げられるように構成
   された車両用シート。
3. 【請求項３】 シートクッシヨンの下方において枢支さ
   れ上部がシートレールの前部もしくは上記シートクッシ
   ヨンの前部に当接した作動部材及び車両のほぼ前後方向
   に配置され前端が車両前部にまで延びて後端が上記作動
   部材に連結もしくは上記作動部材の近傍に位置する連動
   部材を有し、車両衝突時上記連動部材がその前端を後方
   へ押されて変位することにより、上記作動部材の下部が
   押されて上記作動部材がその枢支点を中心として回動
   し、上記シートクッシヨンの前部が持ち上げられるよう
   に構成された車両用シート。