JPH0757431B2 - 空缶の圧潰、選別方法及び空缶供給装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、空缶の圧潰、選別方法
及び空缶供給装置に係り、さらに詳しくは、飲料用など
の各種の空缶を軸方向へ扁平となるよう圧潰すると同時
にこの圧潰した缶を磁性缶と非磁性缶とに自動的に区分
けできるようにした空缶の圧潰、選別方法及び空缶供給
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】飲用などに供された缶容器はそのまま捨
てられることが多く、これが巷間に散乱することにより
環境上はもとより公害問題を引起しているのであり、こ
れの経済的により秀れ、かつ円滑な圧潰、処理の必要が
切望されているところである。ところで、従来からこの
空缶は、再生するに際し一般に小形体となるよう変形、
圧潰した上で処理されているのであり、然してその処理
手段はさまざまであるが、大別すると多数の空缶をまと
めて一塊となるように小形体に圧縮させる他、個々の空
缶を個別的に圧潰させる手段がとられている。そして前
者の一塊とする手段によるときは個々の缶が無造作に破
断して種々の形体に変形圧潰されるのであり、さらに後
者の個別処理も個々の缶を胴部の側方から圧潰させるの
と、軸方向両端から恰も提灯を折りたたむように押圧し
て扁平に圧潰させる手段が採られているのである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、前記した空
缶を個々に軸方向両端から圧潰させる場合はともかく、
他の多くの手段によるときは、圧潰後において夫々の缶
が胴部で破断することで破れ疵が千差万別に生じて運搬
などの爾後処理に危険を伴うことになる。また、前記軸
方向から形よく圧潰させる場合であっても、各空缶の鉄
とアルミなどの材料別の仕分けは、通常圧潰作業を行う
以前か、圧潰後の別工程で選別させているため作業が面
倒となり、処理能率を著しく阻害する原因となっている
のである。

【０００４】本発明は、かかる実情に対処してなしたも
ので、個々の空缶を順次、軸方向両端から扁平となるよ
う押圧圧潰させると共に、この圧潰直後において、鉄の
ような磁性缶と、アルミのような非磁性缶とに自動的に
区分けして収集させる方法ならびにその方法に用いて好
適な空缶の上記圧潰部への供給装置の提供を課題とす
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明は次のようにしたことを特徴とする。

【０００６】まず、本発明の第１請求項に係る発明（以
下、第１発明という）は、固定体と該固定体に対し接
近、離反しうるよう対向面を平行に対接させた非磁性材
からなる可動体との間に、この可動体の進退方向へ軸心
を添わせた状態として空缶を供給し、該空缶を前端部に
磁石を備えしめた押圧体の接圧前進により上記可動体を
介して固定体との間で軸方向に圧潰させ、次いで上記可
動体を伴なわせて押圧体を後退させると共に、この後退
途中で該押圧体から可動体を離反させることにより該押
圧体の前記後退初期と後退途中の何れかの位置で上記圧
潰した空缶を落下させることを特徴とする。

【０００７】また、本願の第２請求項に係る発明（以
下、第２発明という）は、上記第１発明の方法に関連し
て空缶を一定の向きに揃えて所定位置に供給するための
装置として、底部が一方へ傾斜したバケットの傾斜がわ
端部を中間部上方に放出口を設けしめた斜板により閉塞
し、さらに該斜板の内側面に沿わせるようにして、空缶
の両端部を回転方向の前後部間へ介在させうる数ケの切
込を円周方向へ等間隔に形成し、かつ該切込が回転時に
上記放出口と順次重合しうるようにした分配車を軸設す
ると共に、上記斜板の放出口には、該分配車が間歇回転
して切込が上記放出口位置を通過したとき上部端が斜下
向きとなる角度まで回動して上記空缶を圧潰部上へ案内
させるシャッターを開閉可能に備えしめたことを特徴と
する。

【０００８】

【作用】第１発明によれば、可動体の進退方向に軸心を
沿わせるようにして該可動体と固定体との間に空缶を供
給し、次いでこの可動体を後部の押圧体により固定体が
わへ前進させると、上記空缶は対向面が平行とされた可
動体と固定体との間で恰も提灯を折りたたむよう軸方向
へ扁平に圧潰されることになる。次に可動体を伴わせて
押圧体を後退させると、上記固定体と可動体との間で圧
潰された空缶がアルミのような非磁性材製の缶であると
きは、押圧体に備えた磁石の吸引力が当該空缶に作用し
ないことにより上記押圧体の後退直後に固定体と可動体
から離反して落下するのである。また空缶が鉄のような
磁性材製の缶であるときには、上記押圧体に備えた磁石
の吸引力が可動体を介して圧潰された空缶に働くことに
より該空缶が可動体の前面に吸着された状態で押圧体と
ともに後退し、この後退途中で可動体が押圧体から離反
すると該可動体が非磁性材製とされているので上記離反
直後に空缶が落下するのであり、以上の動作を繰り返す
ことで圧潰直後の空缶を順次材料別に選別しうることに
なる。

【０００９】また、第２発明に係る供給装置によるとき
は、バケット内へ多数の空缶を投入しておくと、傾斜が
わ下方の斜板に沿って間歇回転するように設けた分配車
の切込により個々の空缶が該分配車の回転前後方向へ軸
心が沿わせられた体勢に整理されて順次掻き上げられる
のであり、この切込内の空缶が上記斜板上部の放出口位
置に達すると該空缶は一旦この放出口に備えたシャッタ
ーで受け止められ、次いで分配車が間歇回転して切込が
放出口位置を通過したとき該シャッターが開いて上記シ
ャッターにより当該空缶が外部下方に設けた圧潰部上へ
案内されて所要の圧潰作業がなされるのである。

【００１０】

【実施例】以下、本発明を図の実施例に基づいて説明す
る。

【００１１】図１の紙面右部分および図２〜図６に示す
ように、空缶の圧潰選別部１０は、前端部に設けた板状
の固定体１１に対し、該固定体との間、および中間位置
に各空所（i ），（ii）を設けしめて夫々横断面が略樋
状をなし、かつ底部の長手方向に溝１２ａ，１３ａを形
成した前部ガイド１２と後部ガイド１３が何れも図示し
ない機枠により同一軸線上の前後部に設置されていて、
一方の後部ガイド１３上には、開口がわ後端１４ａを後
部に設けた基壁１５に当接させることで阻止せしめた図
１，図２に示す後退位置から上記前部ガイド１２上に向
けて軸方向へ前進しうる可動体１４を支持させている。

【００１２】上記可動体１４は、例えばステンレスのよ
うな非磁性材により底部面が上記固定体１１と平行に対
向するようコップ形に形成すると共に、内部には後部が
わ基壁１５の背部に設けしめた油圧シリンダ１６のロッ
ド１６ａにより前後動し、かつ前端部に永久磁石１７ａ
を埋設したピストン状の押圧体１７が前後に摺動しうる
よう装入せしめられ、さらに該可動体１４は円周部下面
に前記した溝１３ａ，１２ａと摺動可能に齧合する突縁
１４ｂが形成されている。また上記押圧体１７には、可
動体１４の上部面へ軸方向に形成した長穴１４ｃから上
方に臨出するピン１７ｂが植設されていて、該ピンと、
上記長穴４ｃの前方にして可動体１４の円周部上に突設
したピン１４ｄとの間に引張りバネ１９が張架されてい
る。なお、上記可動体１４に設けた突縁１４ｂの下面に
は後述する駆動用のラック１４ｅが形成されているので
ある。

【００１３】上記した圧潰選別部１０は、油圧シリンダ
１６の作動により押圧体１７が図１，図２に示す後退位
置から可動体１４内を前進し、次いで磁石１７ａを備え
た前端部で該可動体１４を前部ガイド１２上に向けて前
進させるのであるが、この前進直前に上記前部ガイド１
２上へ筒形をなす空缶Ｘを軸心を前後方向に沿わせて供
給しておくと、該空缶は上記可動体１４の前進により固
定体１１との間で軸方向へ扁平となるよう挟圧、圧潰さ
れることになる（図３）。この圧潰が終り上記押圧体１
７が後退し始めると前後のピン１７ｂ，１４ｄに張架し
たバネ１９を介して可動体１４も該押圧体と共に後退す
ることになって上記空缶に対する固定体１１と可動体１
４の挟圧から解放されるのであるが、この可動体１４の
後退時に際し、上記空缶がアルミのような非磁性缶であ
るとき、該空缶は上記後退初期において下方の空所（i
）に落下するのである（図３はその直前の状態を示
す）。然して上記空缶が鉄のような磁性缶であるとき
は、空缶に押圧体１７の磁石１７ａによる吸着力が可動
体１４を介して作用することにより当該空缶は可動体１
４に吸着した状態で後退し（図４の状態）、該可動体１
４の後端１４ａが基壁１５に受止されたのち、さらに上
記押圧体１７が図２の位置まで後退して磁石１７ａが可
動体１４の内底部から離れると空缶に対する上記吸着力
がなくなって、該空缶は後方の空所（ii）に落下するの
である。

【００１４】次に、図１の紙面左部分と図７に示す第２
発明の実施例に係る空缶の供給装置２０は、底部が凹円
弧状をなし、かつ一側方の傾斜がわ端部を、中間部上方
に放出口２１ａを有する斜板２１により閉塞させたバケ
ット２２と、該バケットの上記底部および斜板２１の内
側面に外円周部と内面を各沿わせるようにして可転的に
軸支した分配車２３、ならびに上記放出口２１ａに設け
た出口部２１ｂの傾斜下端に、該出口部２１ｂを閉鎖す
る立上り位置から図７の鎖線に示す斜下向きとなる角度
まで回動させるようにしたシャッター２４を設けてい
る。

【００１５】然して上記分配車２３は、回転によりバケ
ット２２内に収容させた個々の空缶を該缶の軸方向両端
部を分配車２３の回転方向前後間に沿わせて介在させう
る数ケ（図例では５ケ所）の切込２３ａ・・・が円周方
向へ等間隔に形成されていて、該分配車２３は、斜板２
１の外部に設けた傘歯車２５により間歇回転して上記各
切込２３ａが斜板２１に設けた放出口２１ａに順次重合
しうるようにされており、さらにシャッター２４は、上
記切込２３ａが放出口２１ａに重合しているとき図１お
よび図７の実線に示す立上り位置にあり、該切込２３ａ
が放出口２１ａに重なる位置を通過したとき図７の鎖線
角度位置まで回動しうるようになされているのである。

【００１６】そして上記分配車２３を間歇回転させる傘
歯車２５は、図７に示しているように、シャッター２４
の下方部に横設軸支され、かつ一端の前記した可動体１
４の突縁１４ｂに形成したラック１４ｅと齧合するピニ
オン２６を介して該可動体の前後動により前後へ交互に
回転させるようにした原動軸２７における例えば一方へ
のみ回転を伝達させる周知の刻み送り機構（図示なし）
を内蔵した駆動用の歯車２８によって一方向へ回転され
るのであり、また、前記シャッター２４は、該シャッタ
ーのブラケット２４ａと原動軸２７に固着した回転板２
９の偏芯部２９ａとを連杆３０により連結させることに
より上記可動体１４の前後動に関連して上下に扇動しう
るようにされている。

【００１７】然して前記した供給装置２０は、押圧体１
７の進退により可動体１４が前部ガイド１２上を前後動
するとき、該可動体の突縁１４ｂに設けたラック１４ｅ
がピニオン２６に齧合して原動軸２７を前後へ交互に回
転させるのであり、そして上記可動体１４が前部ガイド
１２上を前進して圧潰作業を行う直前、回転板２９の偏
芯部２９ａが上動して連杆３０によりシャッター２４を
上方へ押し上げて出口部２１ｂを閉鎖させると共に、駆
動用の歯車２８により傘歯車２５を介して分配車２３を
一ピッチ分回転させることにより上方に移動した該分配
車の切込２３に保持させていた空缶を図７のように放出
口２１ａを通じて上記シャッター２４の手前位置に送り
こむのである。次に可動体１４が前部ガイド１２上を後
退するとき、原動軸２７により回転板２９が前記とは逆
方向に回転することでシャッター２４を開かせて、該シ
ャッターにより前記空缶を前部ガイド１２の圧潰部上へ
転動させ乍ら供給させるのであり、このとき駆動用の歯
車２８は遊転して傘歯車２５ならびに分配車２３は停止
することになるのであって、爾後上記と同様の動作を繰
り返すのである。

【００１８】

【発明の効果】以上のように、第１発明によれば、可動
体の前後動方向に軸心を沿わせて前部ガイド上へ供給さ
れた空缶は、上記可動体の前進により該可動体と固定体
との間で軸方向へ扁平となるよう圧潰されて該可動体の
後退により落下させる際、当該空缶を非磁性缶と磁性缶
とに区分けして落下させることができるので、空缶の材
料による選別作業が不要となって形の統一させた空缶の
圧潰とその選別作業を能率よく行わせうるのである。

【００１９】また、第２発明に係る空缶供給装置は、多
くの空缶をバケット内へ無造作に投入しておくことで、
夫々の缶を一定の向きに揃えしめた状態で所定の圧潰位
置へ順序よく供給させうるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施例を示す平面図。

【図２】 図１のＡ−Ａ線の拡大断面図。

【図３】 図２の工程途中の断面図。

【図４】 図２の工程終了前の断面図。

【図５】 図２のＢ−Ｂ線の拡大断面図。

【図６】 図２のＣ−Ｃ線の拡大断面図。

【図７】 図１のＤ−Ｄ線の拡大断面図。

【符号の説明】

１１ 固定体 １２ 前部ガイド １３ 後部ガイド １４ 可動体 １７ 押圧体 １７ａ 磁石 Ｘ 空缶 ２１ 斜板 ２１ａ 放出口 ２２ バケット ２３ 分配車 ２３ａ 切込 ２４ シャッター

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定体と該固定体に対し接近、離反しう
   るよう対向面を平行に対接させた非磁性材からなる可動
   体との間に、この可動体の進退方向へ軸心を添わせた状
   態として空缶を供給し、該空缶を前端部に磁石を備えし
   めた押圧体の接圧前進により上記可動体を介して固定体
   との間で軸方向に圧潰させ、次いで上記可動体を伴なわ
   せて押圧体を後退させると共に、この後退途中で該押圧
   体から可動体を離反させることにより該押圧体の前記後
   退初期と後退途中の何れかの位置で上記圧潰した空缶を
   落下させることを特徴とする空缶の圧潰、選別方法。
2. 【請求項２】 底部が一方へ傾斜したバケットの傾斜が
   わ端部を中間部上方に放出口を設けしめた斜板により閉
   塞し、さらに該斜板の内側面に沿わせるようにして、空
   缶の両端部を回転方向の前後部間へ介在させうる数ケの
   切込を円周方向へ等間隔に形成し、かつ該切込が回転時
   に上記放出口と順次重合しうるようにした分配車を軸設
   すると共に、上記斜板の放出口には、該分配車が間歇回
   転して切込が上記放出口位置を通過したとき上部端が斜
   下向きとなる角度まで回動して上記空缶を圧潰部上へ案
   内させるシャッターを開閉可能に備えしめたことを特徴
   とする空缶供給装置。