JPH07558Y2 - シールド掘進機のコンクリート加振装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は現場打ちコンクリートライニング工法により
コンクリートを打設しながら掘進するシールド掘進機の
コンクリート打設装置に関する。

（従来の技術） 現場打ちコンクリートライニング工法は、シールド掘進
機により掘削された直後のトンネルの内壁に沿って内型
枠を組立て、この内型枠とトンネル内壁の間に加圧した
コンクリートを注入してこれを加圧状態で硬化させるこ
とにより、トンネルの掘進とトンネル内壁の覆工を同時
に行う工法で、従来のセグメントにより覆工する工法に
比べて工事費が安く、かつ工期の短縮が図れるなどの利
点を有する。

またコンクリート打設装置によりトンネル内壁と内型枠
の間に打設したコンクリートが隙間なく短時間で充満さ
れるよう、従来では第５図及び第６図に示すようにプレ
スリングａのコンクリート吐出面側端板ｂ内面にバイブ
レータのような加振機ｃを取付けて、打設されたコンク
リートに振動を与えることにより、コンクリートの流動
性を向上させている。

（考案が解決しようとする課題） しかし従来のコンクリート加振装置では、質量の大きな
プレスリングａに加振機を取付けて、このプレスリング
ａを介してコンクリートを振動させているため，コンク
リートの流動性向上が小さいなど効率が悪い不具合があ
った。

（課題を解決するための手段及び作用） この考案は上記不具合を改善する目的でなされたもの
で、現場打ちコンクリートライニング工法によりトンネ
ル内壁と内型枠の間にコンクリートを打設しながらシー
ルド本体により掘進するシールド掘進機において、上記
シールド本体の後部に前後動自在に設けられたプレスリ
ングの端板内側に複数個の加振機を円周方向に間隔をお
いて取付け、該端板の開口部内に振動板を設け、振動板
の裏側にシール部材を挟着する裏当板を設け、シール部
材の周縁部を上記開口部内周面に摺動自在に当接し、該
板の内側には防振体及び固着具を介して弾性的に加振機
を取付けると共に、加振機を取付けている固着具は防振
体及び取付け板と裏当板の間に介在されたカラーの中心
部を貫通して振動板に螺合され、固着具を介して加振機
の振動を直接振動板へ伝達させるようにしたものであ
る。

従ってコンクリートに効率よく振動が加えられ、コンク
リートの流動性を向上させたシールド掘進機のコンクリ
ート加振装置が提供できる。

（実施例） この考案の一実施例を図面を参照して詳述する。

第１図は現場打ちコンクリートライニング工法により地
中へ掘進する泥水式シールド掘進機を示すもので、１は
シールド本体、２は該シールド本体１の前部に設けられ
たカッタヘッドで、回転駆動源11により回転されて、シ
ールド本体１前方の切羽を掘削するようになっている。

またシールド本体１の前部には隔壁1aが設けられてい
て、この隔壁1aによりシールド本体１内とカッタヘッド
２側が液密に区割され、隔壁1aより前側にはシールド本
体１内に配管された泥水管３により加圧された泥水が注
入されて、隔壁1aはと切羽の間に水圧が加えられている
と共に、カッタヘッド２により掘削された土砂は、注入
された泥水によりスラリー化されて、排泥管４によりシ
ールド本体１の後方へ排出されるようになっている。

一方シールド本体１内には、該シールド本体１を掘進す
る複数本のシールドジャッキ５が内壁に沿って配置され
ている。

これらシールドジャッキ５のシリンダ5a底部は、隔壁1a
後側に設けられたジャッキ取付け座1bにブラケット1cを
介して取付けられていると共に、シリンダ5aより後方へ
向けて突出されたピストン杆5bの先端には、環状のゲー
ジリング６が球軸受け７を介して取付けられている。

上記ゲージリング６は端面がシールド本体１の後部内壁
に沿って組立られた内型枠８に当接されていて、シール
ドジャッキ５によりシールド本体１を推進させる際、推
進反力を上記ゲージリング６を介して内型枠８で支持す
るようになっている。

また上記各シールドジャッキ５より外側にはシールドジ
ャッキ５と平行するよう複数本のプレスリングジャッキ
９が設けられている。

これらプレスリングジャッキ９のシリンダ9a底部は、上
記ジャッキ取付け座1bにブラケット1dを介して取付けら
れていると共に、シリンダ9aより後方へ向けて突設され
たピストン杆9bの先端側はシールド本体１の後部内に設
けられたプレスリング10の内外筒10a,10b間に突出され
ている。

上記プレスリング10はシールド本体１の内壁に沿って設
けられた外筒10bと、これより小径な内筒10a及びこれら
内外筒10a,10bの後端間に液密に固着された環状の端板1
0cより構成されていて、端板10cの前面に上記プレスリ
ングジャッキ９のピストン杆9a先端がブラケット10dを
介して取付けられており、これらプレスジャッキ９によ
りプレスリング10が第１図実線で示す位置より仮想線で
示す位置の範囲で前後動されるようになっている。

そして上記プレスリング10の端板10c内側に複数個の加
振機12が円周方向に間隔的に取付けられている。

すなわちプレスリング10の端板10cには第２図に示すよ
うに長方形状の開口部10dが開口されていて、この開口
部10d内にこれを塞ぐように振動板13が設けられてい
る。

上記振動板13の裏側にはゴムなどの弾性板により形成さ
れたシール部材14及び振動板13とほぼ同大の裏当板15が
設けられていて、裏当板15と振動板13の間でシール部材
14が挟着されていると共に、シール部材14の周縁部は開
口部10dの内周面に摺動自在に当接されていて、開口部1
0dの内周面と振動板13外周面との間に隙間からコンクリ
ートがプレスリング10内へ進入するのを阻止している。

また端板10cの内側にはゴム等の弾性体よりなる筒状の
防振体16及び固着具17を介して取付け板18が弾性的に取
付けられており、この取付け板18に上記加振機12が取付
けられている。

上記加振機12を取付けている固着具19は防振体16及び取
付け板18と裏当板15の間に介在されたカラー20の中心部
を貫通して先端部が上記振動板13に螺合され、これら固
着具19を介して加振機12の振動を直接振動板13へ伝達で
きるようになっている。

次に作用を説明すると、地中を掘進するシールド本体１
がピッチ前進する毎に、シールド本体１内においてすで
に組立られている内型枠８の先端に新たに内型枠が組立
られる。

その後トンネル内壁と内型枠８の間に加圧されたコンク
リートを注入すると同時に加振機12を動作させて、注入
されたコンクリートに接する振動板13を振動させ、コン
クリートに振動を与えてコンクリートの流動性を高め
る。

これによって注入されたコンクリートは空間の隅々まで
ゆきわたり、トンネル内面を覆工すると共に、注入され
たコンクリートは土圧や水圧より高い圧力で加圧された
まま硬化してゆくため、テールボイドに起因する地盤沈
下の発生もなく、また加圧脱水作用により水密性の高い
コンクリート覆工層が得られるようになる。

なお上記実施例ではエア供給管より供給したエアにより
振動を発生する加振機12を採用したが、油圧や水圧、電
力などで振動を発生する加振機を採用してもよい。

また加振機12の振動数及び振動力は加振機12へ供給する
エアなどの圧力や供給量を調整することにより任意に設
定することができるものである。

（考案の効果） この考案は以上詳述したように、プレスリングのコンク
リートと接触する面に振動板を設けて、この振動板を直
接加振機で振動させるようにしたことから、従来のプレ
スリング全体を加振機により振動させるものに比べて加
振機の振動を効率よくコンクリートへ伝達することがで
きる。

これによってトンネル内壁と内型枠の間に注入されたコ
ンクリートの流動性が一段と向上するため、コンクリー
トの充填率が高まってより強度が高く、かつ隙間のない
コンクリート覆工層が得られるようになる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、第１図はシールド掘
進機の断面図、第２図は加振機付近の拡大断面図、第３
図は第２図III方向からの矢視図、第４図は第３図IV方
向からの矢視図、第５図及び第６図は従来のものの説明
図である。 １…シールド本体 ８…内型枠 10…プレスリング 10c…端板 10d…開口部 12…加振機 13…振動板 15…裏当板 16…防振体 17…固着具 19…固着具 20…カラー

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】現場打ちコンクリートライニング工法によ
   りトンネル内壁と内型枠８の間にコンクリートを打設し
   ながらシールド本体１により掘進するシールド掘進機に
   おいて、上記シールド本体１の後部に前後動自在に設け
   られたプレスリング10の端板10c内側に複数個の加振機1
   2を円周方向に間隔をおいて取付け、該端板10cの開口部
   10d内に振動板13を設け、振動板13の裏側にシール部材1
   4を挟着する裏当板15を設け、シール部材14の周縁部を
   上記開口部10d内周面に摺動自在に当接し、端板10cの内
   側には防振体16及び固着具17を介して弾性的に加振機12
   を取付けると共に、加振機12を取付けている固着具19を
   防振体16及び取付け板18と裏当板15の間に介在されたカ
   ラー20の中心部を貫通して振動板13に螺合され、固着具
   19を介して加振板12の振動を直接振動板13へ伝達させる
   ようにしたことを特徴とする、シールド掘進機のコンク
   リート加振装置。