JPH0755495Y2 - ガスクロマトグラフのプリコンデイシヨナ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、ガスクロマトグラフのプリコンディショナ装
置に関する。

［従来の技術］ 石油化学プロセスや鉄鋼プロセスなどにおいて、プロセ
スガスの成分分析を行い、その分析結果に基づいて各プ
ロセス工程を監視したり各種の制御を行ったりするため
の検出装置として、ガスクロマトグラフが従来から一般
に用いられている。この種のガスクロマトグラフは、プ
ロセス工程から採取したサンプルガスをプリコンディシ
ョナ装置を経てアナライザに送り込み、サンプルガスを
各ガス成分に分離し、検出するものである。プリコンデ
ィショナ装置としては、サンプルガス中の高沸点成分を
完全に気化し、その凝縮を防止するペーパライザ、アナ
ライザに導入するサンプルガス中の固形異物を除去する
フィルタ、サンプルガスおよび標準ガスの流量を測定す
るロータメータ、サンプルガスの流量を調整するニード
ル弁、サンプルガスと標準ガスの流路を切り替える切替
スイッチ等で構成され、これらをハウジングに組み込ん
でいる。一方、アナライザは恒温槽、カラム、検出器等
を備えている。

ところで、プリコンディショナ装置の一構成部品である
フィルタの取付構造としては、通常第３図に示すように
構成されている。これを概略説明すると、１はステンレ
ス等の焼結金属によって円筒状に形成されたフィルタ、
２はフィルタ１を収納するハウジングで、このハウジン
グ２の内部にはハウジング２の両側面に開口するサンプ
ルガス流通路３が形成され、また上面には前記サンプル
ガス流通路３に連通するフィルタ取付用の有底孔４が形
成されている。有底孔４の底面はパッキン５が設置され
るパッキン設置面６を形成している。７はフィルタ１の
上面にパッキン８を介して設置され前記有底孔４を塞ぐ
鍔付キャップ、９はナットで、ハウジング２の上側外周
面に形成された雄螺子部10に螺合されることによりキャ
ップ７の鍔部7Aをハウジング２の上面に押し付けてい
る。11はサンプルガス流通路３の入口で図示しないベー
パライザに接続されている。12はサンプルガス流通路３
の出口で、同じく図示しないアナライザに接続されてい
る。

フィルタ１を取り付けるには、予めナット９と鍔付キャ
ップ７をハウジング２から外しておき、フィルタ１をパ
ッキン5,8とともに有底孔４内に挿入してパッキン設置
面６上に設置し、しかる後鍔付キャップ７をパッキン８
上に載置し、ナット９を雄螺子部10に螺合してキャップ
７をハウジング２の上面に押し付ける。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、このような従来のプリコンディショナ装
置におけるフィルタ１の取付構造にあっては、ナット９
およびキャップ７をハウジング２から外しても、フィル
タ１の頭部が有底孔４の開口端より奥にあるため、指で
フィルタ１を把持することが難しく、フィルタ１の交換
作業が面倒であるという問題があった。

そこで、ナット９とキャップ７をハウジング２の下面側
に設けることも考えられるが、そうするとフィルタ１の
取付時にフィルタ１、パッキン5,8、キャップ７等の位
置関係が定まり難いという問題があった。

したがって、本考案は上記した従来の問題を解決するた
めになされたもので、その目的とするところは、比較的
簡単な構造で、フィルタの点検、交換時の作業を容易に
且つ迅速に行うことができ、またフィルタを正しい位置
に取り付けることができるようにしたガスクロマトグラ
フのプリコンディショナ装置を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 本考案は上記目的を達成するために、ハウジング内にサ
ンプルガスをアナライザに導くサンプルガス流通路を形
成し、このサンプルガス流通路中にフィルタを設けたガ
スクロマトグラフのプリコンディショナ装置において、
前記ハウジングに前記フィルタが挿入される有底孔を前
記サンプルガス流通路に連通させて形成し、この有底孔
の開口部をキャップで閉塞し、前記フィルタの両端部に
パッキンをそれぞれ密嵌し、キャップ側のパッキンをキ
ャップの中心孔で保持し、ハウジング側のパッキンを前
記有底孔の孔底部に当接したことを特徴とする。

また、本考案は、ハウジング内にサンプルガスをアナラ
イザに導くサンプルガス流通路を形成し、このサンプル
ガス流通路中にフィルタを設けたガスクロマトグラフの
プリコンディショナ装置において、前記ハウジングに前
記フィルタが挿入される有底孔を前記サンプルガス流通
路に連通させて形成し、この有底孔の開口部をキャップ
で閉塞し、前記フィルタの一端部にパッキンを嵌合して
前記キャップに設けた中心孔の孔底部に当接し、他端部
にパッキンを密嵌して前記ハウジングの有底孔に当接
し、かつ前記フィルタを前記有底孔より長く形成し、そ
のキャップ側端を有底孔の開口部よりも外側において前
記中心孔内に位置させたことを特徴とする。

さらに本考案は、ハウジングの有底孔とキャップの中心
孔の孔底部をそれぞれ円錐形に形成し、前記フィルタの
両端部に設けられる各パッキンの前記有底孔と中心孔の
孔底部に当接する面を前記円錐形と同一形状の円錐形に
形成したことを特徴とする。

［作用］ 請求項１の考案において、フィルタの両側部にはパッキ
ンが密嵌されており、一端部がパッキンを介してキャッ
プの中心孔によって保持されている。キャップをハウジ
ングの有底孔から取り外すと、フィルタもキャップと一
体に抜き出される。

請求項２の考案において、フィルタは、一端部にパッキ
ンが嵌合され、他端部に別のパッキンが密嵌される。ま
た、フィルタはハウジングの有底孔より長く形成され、
そのキャップ側端が有底孔の開口部よりも外側において
前記中心孔内に位置している。キャップをハウジングの
有底孔から取り外すと、キャップ側フィルタはフィルタ
とともにハウジング側に残るが、フィルタは有底孔より
外部に突出しており、把持を容易にする。

請求項３の考案において、ハウジングの有底孔とキャッ
プの中心孔の孔底部をそれぞれ円錐形に形成し、フィル
タの両端にそれぞれ取り付けられる各パッキンの前記有
底孔とキャップの中心孔の孔底部に当接する面を前記円
錐形と同一形状の円錐形に形成すると、キャップを有底
孔に螺合した時、楔効果によりフィルタは芯出しされ、
フィルタを正しい位置に取り付ける。また、パッキンは
圧縮され易いことで有底孔、キャップ等の加工公差を吸
収する。

［実施例］ 以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明
する。

第１図は本考案に係るガスクロマトグラフのプリコンデ
ィショナ装置の一実施例を示す要部の断面図、第２図は
フィルタとパッキンの斜視図である。なお、第３図と同
一構成部品のものに対しては同一符号をもって示し、そ
の説明を省略する。これらの図において、本考案は、ハ
ウジング２の一側面2aにサンプルガス流通路３に連通す
る水平な有底孔４を形成し、この有底孔４を塞ぐキャッ
プ20の先端面中央部に不貫通孔からなる中心孔21を形成
し、この中心孔21の奥部でフィルタ１の一端部側に設け
られたパッキン８を保持し、他端側に設けられたパッキ
ン５を前記有底孔４のパッキン設置面６、言い換えれば
孔底部に当接させている。

パッキン5,8は同一形状（もしくは相似形）に形成され
るもので、基部が円筒状で、先端部が截頭円錐形をなす
台形状に形成され、中心に前記サンプルガス流通路３に
連通する挿通孔22がそれぞれ貫通して形成されている。
また、前記挿通孔22の円錐部23側とは反対側開口端には
フィルタ１の端部外周面が密嵌する嵌合凹部24A,24Bが
それぞれ形成されている。これはパッキン5,8をフィル
タ１に一体的に結合し、フィルタ１を取り出す際パッキ
ン5,8と一体に取り出すためである。前記有底孔４のパ
ッキン設置面６は、前記パッキン５の円錐部23と同一の
傾斜角度からなる凹状の円錐面とされる。

前記キャップ20の中心孔21の穴径Ｄはパッキン８の外径
と略等しいかこれより若干小さく設定されることによ
り、パッキン８を保持する。中心孔21の孔底部は、前記
パッキン設置面６と同様に、パッキン８の円錐部23が密
接する円錐面21aに形成される。そして、キャップ20
は、前記有底孔４の開口端側内周面に形成された雌ねじ
部25にＯリング26を介して螺合されることにより、パッ
キン５を有底孔４の孔底部に押し付け、これにより有底
孔４の気密を図っている。この状態において、フィルタ
１は両端がキャップ5,8によって保持され、そのキャッ
プ側端が有底孔４の開口端より外側に位置されている。
また、キャップ８は中心孔21によって保持される。

このような構造からなるプリコンディショナ装置におけ
るフィルタ１の取付構造においては、フィルタ１の両端
にパッキン5,8を密嵌し、パッキン８を中心孔21によっ
て保持しているので、キャップ20をハウジング２から取
り外すと、フィルタ１およびパッキン5,8を有底孔４か
らキャップ20と一体に抜き出すことができ、フィルタ１
の点検、交換作業が容易である。

ここで、本考案においては、フィルタ１を有底孔４より
長く形成しておき、パッキン８をフィルタ１の一端部に
緩く嵌合して中心孔21の孔底部に当接させ、パッキン５
をフィルタ１の他端部に密嵌させて有底孔４の孔底部に
当接させるようにしてもよい。この場合は、キャップ20
を外すと、フィルタ１およびパッキン5,8がハウジング
２側に残ることが考えられる。しかしながら、この場合
においては、フィルタ１の一端部が有底孔４の開口部か
らハウジング２の外部に突出しているので、この突出端
部を把持すると簡単に抜き出すことができる。

また、パッキン5,8の一端面は円錐形に形成されてお
り、キャップ20を雌ねじ部25にねじ込んでいくと、楔効
果によりパッキン設置面６と、円錐面21aに密接して軸
線が有底孔４の軸線と一致するため、フィルタ１を多少
軸線がずれた形で取り付けていても正しく芯出しして所
定位置に配置することができる。また、円錐形に形成し
ておくと、楔効果によりパッキン5,8が圧縮し易く、有
底孔４や中心孔21の深さ、キャップ20の加工公差等を吸
収することができる。

加えて、有底孔４はハウジング２の一側面2aに略水平に
形成されているので、フィルタ１を中心孔21に挿入した
状態でキャップ20を雌ねじ部25に螺合する際、自重でフ
ィルタ１がキャップ20から抜け落ちることもない。

なお、パッキン５の嵌合凹部24Aにフィルタ１を緩く嵌
合し、パッキン８の嵌合凹部24Bにきつく密嵌した場合
は、交換時にキャップ20を外した際、フィルタ１がパッ
キン８とともに抜き出されて、パッキン５が有底孔４内
に残るおそれがあるので好ましくない。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案に係るガスクロマトグラフの
プリコンディショナ装置は、フィルタの両端部にパッキ
ンをそれぞれ密嵌し、フィルタの一端部側に密嵌された
パッキンをキャップの中心孔によって保持するように構
成したので、キャップを有底孔から取り外すと、フィル
タおよびパッキンをキャップとともに取り外すことがで
きる。したがって、フィルタの点検、交換作業等を容易
にかつ迅速に行うことができ、作業性を向上させること
ができる。

また、本考案は、フィルタの一端部にパッキンを嵌合
し、他端部にパッキンを密嵌し、フィルタを有底孔より
長く形成してその一端部を有底孔から突出させてキャッ
プの中心孔内に位置させたので、キャップを取り外した
際、フィルタが有底孔内に残るが、この場合はキャップ
の一端部が有底孔から突出しているので、その突出端部
を手で把持すると簡単に抜き出すことができる。

さらに、本考案は、ハウジングの有底孔とキャップの中
心孔の孔底部をそれぞれ円錐形に形成し、フィルタの両
端にそれぞれ嵌合される各パッキンの前記有底孔とキャ
ップの中心孔の孔底部に当接する面を前記円錐形と同一
形状の円錐形に形成したので、楔効果によりフィルタを
所定の位置に正しく取り付けることができ、またパッキ
ンは圧縮され易くなり、有底孔、キャップ等の加工公差
を吸収する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るガスクロマトグラフのプリコンデ
ィショナ装置の一実施例を示す要部の断面図、第２図は
フィルタとパッキンの斜視図、第３図はプリコンディシ
ョナ装置の従来例を示す要部断面図である。 １……フィルタ、２……ハウジング、３……サンプルガ
ス流通路、４……有底孔、５……パッキン、６……パッ
キン設置面、７……キャップ、８……パッキン、９……
ナット、20……キャップ、21……中心孔、22……挿通
孔、24A、24B……嵌合凹部。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ハウジング内にサンプルガスをアナライザ
   に導くサンプルガス流通路を形成し、このサンプルガス
   流通路中にフィルタを設けたガスクロマトグラフのプリ
   コンディショナ装置において、前記ハウジングに前記フ
   ィルタが挿入される有底孔を前記サンプルガス流通路に
   連通させて形成し、この有底孔の開口部をキャップで閉
   塞し、前記フィルタの両端部にパッキンをそれぞれ密嵌
   し、キャップ側のパッキンをキャップの中心孔で保持
   し、ハウジング側のパッキンを前記有底孔の孔底部に当
   接したことを特徴とするガスクロマトグラフのプリコン
   ディショナ装置。
2. 【請求項２】ハウジング内にサンプルガスをアナライザ
   に導くサンプルガス流通路を形成し、このサンプルガス
   流通路中にフィルタを設けたガスクロマトグラフのプリ
   コンディショナ装置において、前記ハウジングに前記フ
   ィルタが挿入される有底孔を前記サンプルガス流通路に
   連通させて形成し、この有底孔の開口部をキャップで閉
   塞し、前記フィルタの一端部にパッキンを嵌合して前記
   キャップに設けた中心孔の孔底部に当接し、他端部にパ
   ッキンを密嵌して前記ハウジングの有底孔に当接し、か
   つ前記フィルタを前記有底孔より長く形成し、そのキャ
   ップ側端を有底孔の開口部よりも外側において前記中心
   孔内に位置させたことを特徴とするガスクロマトグラフ
   のプリコンディショナ装置。
3. 【請求項３】請求項１または２記載のガスクロマトグラ
   フのプリコンディショナ装置において、ハウジングの有
   底孔とキャップの中心孔の孔底部をそれぞれ円錐形に形
   成し、前記フィルタの両端部に設けられる各パッキンの
   前記有底孔と中心孔の孔底部に当接する面を前記円錐形
   と同一形状の円錐形に形成したことを特徴とするガスク
   ロマトグラフのプリコンディショナ装置。