JPH0753944Y2 - 樹脂成形用金型型締め装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、一対の金型のキャビテ
ィ内に樹脂を注入して樹脂成形品を形成する際、金型を
型締めする樹脂成形用金型型締め装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】樹脂成形加工方法として、一対の金型に
より形成されるキャビティ内に流動状態の樹脂を充填
し、樹脂が固化した後取り出すことによって、キャビテ
ィと対応する形状の樹脂成形品を得るものがある。この
ような成形法では、加熱可塑化した樹脂を成形機でキャ
ビティ内に圧入し、冷却固化又は硬化させた後取り出す
射出成形が最も一般的である。又、エポキシ樹脂や不飽
和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂では、硬化剤を加
えた液体状態のプレポリマーを金型内に注入して硬化さ
せる成形方法もある。

【０００３】

【従来技術の課題】ところで、上記の如く金型によって
形成されるキャビティ内に樹脂を充填して成形するもの
であって特に粘度が低く流動性の良い樹脂を注入するも
のでは、キャビティ内の空気によって充填不良や気泡が
生じ易い。又、大きな成形品では、当然金型も大きく、
型開き量を大きくして製品の取り出しや型清掃の作業性
向上を図りたいものであるが、その為には型開閉のスト
ロークを大きくしなければならず、型締め装置の大型化
を招来し、延いては装置の設置に広いスペースを有する
という問題があった。

【０００４】

【考案の目的】本考案は、上記の如き事情に鑑み、粘度
が低く流動性の良い樹脂を低圧で注入するものでもキャ
ビティ内の空気による充填不良や気泡の発生部位を規制
することによりこれら成形不良の発生を防ぎ、又、型開
き量を大きくすることなく成形品の取り出しや型清掃を
容易とする樹脂成形用金型型締め装置の提供、を目的と
する。

【０００５】

【課景を解決する為の手段】上記目的達成の為、本考案
に係る樹脂成形用金型型締め装置は、チルトシリンダに
よって垂立状態から横倒し状態に揺動可能なベースフレ
ームと、ベースフレームの上方に、ベースフレームの揺
動方向と直交する方向に開閉可能に取り付けられたスイ
ングフレームと、ベースフレームに、クランプシリンダ
により昇降動可能に設けられた、一対の金型の一方を保
持する可動テーブルと、スイングフレームに、可動テー
ブルと対向する位置に設けられた、一対の金型の他方を
保持する固定テーブルと、を備え、可動テーブルをクラ
ンプシリンダにより固定テーブルに向けて昇動させて金
型の型締めを行うと共に、固定テーブルと可動テーブル
との間に金型を型締め保持したまま、チルトシリンダに
よってベースフレームを横倒しし、スイングフレームを
開成して成型品を取り出し得るよう構成されていること
を特徴とする。

【０００６】

【考案の実施例】次に、本考案の実施例を図面に基いて
説明する。図１は本考案に係る樹脂成形用金型型締め装
置の一実施例の平面図，図２は側面図，図３は平面図で
ある。図示金型型締め装置１は、床面に配設された支持
フレーム１０，１０によって揺動可能に枢支されたベー
スフレーム２０の上部に、スイングフレーム３０が揺動
可能に設けられて構成されている。

【０００７】支持フレーム１０は、断面形状Ｕ字状であ
って、ベースフレーム２０の左右両端部と対応する位置
に、開放側を上に向けて前後方向に配設されている。ベ
ースフレーム２０は、平面形状矩形のベースプレート２
１の上面略四隅に夫々支持柱２２…が立設されると共
に、前方側の左右両端部の下面に夫々脚部２３，２３が
突設されており、この脚部２３が支持フレーム１０のＵ
字状溝内に位置し、左右方向に挿通された揺動支点ピン
２４によって揺動可能に枢支されている。脚部２３は、
揺動支点ピン２４による支持部から更に外側斜め下方に
所定量延設され、その先端部に、後端が支持フレーム１
０の後方側端部に枢支されたチルトシリンダ４１のロッ
ド先端が枢支されている。

【０００８】チルトシリンダ４１は、油圧シリンダであ
って、図示しない供給源からの油圧の供給によってロッ
ドが伸縮駆動され、これによってベースフレーム２０が
揺動支点ピン２４を中心として前後方向に揺動可能とな
っている。ベースプレート２１には、その略四隅と対応
して四本のクランプシリンダ４２…がそのロッド突出側
を上側として直角に備えられており、該クランプシリン
ダ４２のロッドによって平面形状矩形の可動テーブル２
５が支持されている。クランプシリンダ４２は、油圧シ
リンダであって図示しない供給源からの油圧の供給によ
ってロッドが伸縮駆動され、これによって可動テーブル
２５が昇降駆動されるようになっている。

【０００９】スイングフレーム３０は、可動テーブル２
５と対応する平面形状矩形の固定テーブル３１の、ベー
スフレーム２０の支持柱２２…と対応する位置に夫々支
持アーム３２…が垂下延設されており、この一方側方の
支持アーム３２Ｌ，３２Ｌが夫々対応する支持柱２２
Ｌ，２２Ｌに前後方向に挿通された支点ピン３３によっ
て揺動可能に枢支され、他方の支持アーム３２Ｒ，３２
Ｒは対応する支持柱２２Ｒ，２２Ｒに抜き挿し可能に挿
通されたロックピン３４によって係脱可能となってい
る。この支持アーム３２Ｒがロックピン３４によって支
持柱２２Ｒに係止された状態で、固定テーブル３１はそ
の下面が可動テーブル２５の上面と平行となり、ロック
ピン３４による係止を解除すると図１中想像線で示す如
くスイングフレーム３０は支点ピン３３を中心として支
持アーム３２Ｒ側を幅（左右）方向上方に揺動開成可能
となっている。

【００１０】又、スイングフレーム３０が枢支される側
の支持柱２２Ｌの外側面に沿って、その下端がベースフ
レーム２０に枢支されたスイングシリンダー４３が、ロ
ッドの先端を支持アーム３２Ｒの側方に突設されたブラ
ケット３５に枢支されて設けられている。このスイング
フレーム３０は油圧シリンダであって図示しない供給源
からの油圧の供給によってロッドが伸縮駆動され、これ
によってスイングフレーム３０が揺動駆動されるように
なっている。

【００１１】固定テーブル３１の前方側端面の所定位置
には、ローラアーム３６がその端面に対して垂直に固定
され、該ローラアーム３６の先端に支持ローラ３７がそ
の回転軸方向の延長が支点ピン３３の中心を通る位置関
係で回転自在に設けられている。このローラアーム３６
及び支持ローラ３７は、チルトシリンダ４１によってベ
ースフレーム２０が（スイングフレーム３０も共に）揺
動支点ピン２４を中心として前方側に９０°揺動した際
（即ち、垂立状態にあったベースフレーム２０が水平状
態に横転した時）、支持ローラ３７が床面に敷設された
ガイドレール５０上に当接してそれ以上の揺動を規制
し、図２に想像線で示す如くベースフレーム２０を水平
状態に維持するようになっている。つまり、ベースフレ
ーム２０が支持ローラ３７がガイドレール５０に当接す
る迄揺動すると、ベースフレーム２０は横倒しに水平と
なるように設定されているものである。尚、ガイドレー
ル５０は、ベースフレーム２０が水平に揺動した状態
で、支点ピン３３を中心とするスイングフレーム３０の
揺動による支持ローラ３７の移動軌跡に沿って設けられ
ており、従って、スイングフレーム３０が揺動する際に
は支持ローラ３７はガイドレール５０の上を転回移動す
るようになっているものである。

【００１２】而して、上記の如く構成された金型型締め
装置１は、下記の如く作用する。金型装着時には、チル
トシリンダ４１，４１によってベースフレーム２０を垂
立状態とすると共にクランプシリンダ４２…によって可
動テーブル２５を最も低い位置とし、ロックピン３４，
３４を抜いてスイングシリンダー４３，４３によってス
イングフレーム３０を揺動開成する。そして、可動テー
ブル２５の上面に上下組み合さった状態の金型を載置
し、スイングシリンダー４３，４３によってスイングフ
レーム３０を閉成してロックピン３４，３４で固定した
後、クランプシリンダ４２…の駆動によって可動テーブ
ル２５を上昇させて上型の上面をスイングフレーム３０
の可動テーブル２５に当接させ、下型を可動テーブル２
５に固定すると共に、上型を固定テーブル３１に固定す
る。これにより、クランプシリンダ４２…の駆動による
可動テーブル２５の移動によって、金型の開閉が可能と
なると共に所定の圧力での型締めが可能となる。

【００１３】成形時には、クランプシリンダ４２…によ
る可動テーブル２５の駆動によって、金型を所定の圧力
で型締めし、金型のキャビティ内に樹脂を注入し、冷却
固化又は硬化させる。この時、チルトシリンダ４１，４
１の駆動により、スイングフレーム３０と一体のベース
フレーム２０（即ち型締めされた金型）を所定角度に傾
け、金型内の空気を予め定めた部位に導くことによって
成形品部分の充填不良や気泡の混入を防ぐことができ
る。成形終了後は、スイングフレーム３０と一体のベー
スフレーム２０を、支持ローラ３７が床面に設けられた
ガイドレール５０に当接する迄（即ち水平に）傾け、ク
ランプシリンダ４２…の駆動によって可動テーブル２５
を移動させて型締め解除，型開きを行ない、更に、この
状態でロックピン３４，３４を抜いて第３図中想像線で
示す如くスイングシリンダー４３，４３によってスイン
グフレーム３０を揺動開成し、成形品を取り出す。その
後、型清掃を行なった後、上記と逆の手順でスイングフ
レーム３０と一体のベースフレーム２０を垂立状態と
し、上記成形工程を繰返すものである。

【００１４】

【考案の効果】以上説明したように、本考案によれば、
金型を型締めした状態で傾斜させることにより、金型内
の空気を予め定めた部位に導くことによって成形品部分
の充填不良や気泡の混入を防ぐことができ、又、一対の
金型の一方を支持する固定支持部材を揺動開成すること
により、型開き量を大きくすることなく成形品の取り出
しや型清掃が容易となるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る樹脂成形用金型型締め装置の一実
施例の平面図。

【図２】その側面図。

【図３】その平面図。

【符号の説明】

１…金型型締め装置 ２５…可動テーブル（移動支持部材） ３１…固定テーブル（固定支持部材）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】チルトシリンダ（４１、４１）によって垂
   立状態から横倒し状態に揺動可能なベースフレーム（２
   ０）と、 該ベースフレーム（２０）の上方に、ベースフレーム
   （２０）の揺動方向と直交する方向に開閉可能に取り付
   けられたスイングフレーム（３０）と、 前記ベースフレーム（２０）に、クランプシリンダ（４
   ２、４２）により昇降動可能に設けられた、一対の金型
   の一方を保持する可動テーブル（２５）と、 前記スイングフレーム（３０）に、前記可動テーブル
   （２５）と対向する位置に設けられた、前記一対の金型
   の他方を保持する固定テーブル（３１）と、を備え、 前記可動テーブル（２５）を前記クランプシリンダ（４
   ２、４２）により前記固定テーブル（３１）に向けて昇
   動させて前記金型の型締めを行うと共に、 前記固定テーブル（３１）と可動テーブル（２５）との
   間に前記金型を型締め保持したまま、前記チルトシリン
   ダ（４１、４１）によって前記ベースフレーム（２０）
   を横倒しし、前記スイングフレーム（３０）を開成して
   成型品を取り出し得るよう構成されていること、 を特徴とする金型型締め装置。