JPH0753471Y2 - 培養・生育容器用蓋 - Google Patents

培養・生育容器用蓋

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JPH0753471Y2
JPH0753471Y2 JP1988008485U JP848588U JPH0753471Y2 JP H0753471 Y2 JPH0753471 Y2 JP H0753471Y2 JP 1988008485 U JP1988008485 U JP 1988008485U JP 848588 U JP848588 U JP 848588U JP H0753471 Y2 JPH0753471 Y2 JP H0753471Y2
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政博 上林
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Description

【考案の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本考案は、植物の培養、特に組織培養等に、あるいは酵
素、細菌、カビ、キノコ類等の好気性菌の培養・生育に
適した通気性を有する容器の蓋に関する。
(従来の技術) 従来、培養・生育容器内で目的とする菌を培養・生育す
る場合には、大気中から雑菌が培養・生育容器内へ侵入
するのを防止すること、及び培養・生育に必要な空気を
容器内へ供給すること等を目的として、空気の流通が可
能な蓋で培養・生育容器の開口部を塞ぐことが行われて
いる。
従来、上記培養・生育容器の開口部を塞ぐための蓋とし
て、一般には、綿栓、ゴム栓、アルミホイル栓、アルミ
栓、プラスチック栓などが使用されている。
ところが、綿栓は空気とともに雑菌も透過させてしまう
ので、雑菌の侵入防止に対する信頼性に欠ける。また、
綿栓は光をほとんど透過しないために、植物の培養容器
の栓に用いた場合には、植物の生育に必須である光を取
り入れることができないという欠点がある。
ゴム栓は、光を全く透過しないという欠点に加え、ゴム
栓は多孔性であるので、雑菌などが内部に溜まり易く、
かつこの雑菌をゴム栓から除去し難いので、このゴム栓
を介して別の培養・生育容器へ逆汚染される可能性もあ
る。
アルミホイル栓、アルミ栓、プラスチック栓は、これら
は本質的に通気性がないので、培養・生育容器の開口部
に若干の隙間が形成される状態で栓をする必要があり、
従って、その隙間から雑菌が侵入するおそれがある。
これらの各栓に対し、最近では雑菌の侵入を防止するた
めに、微孔性シート、いわゆるメインブレンフィルター
を培養・生育容器用の蓋に使用することが提案されてい
る。
(考案が解決しようとする課題) 上記微孔性シートは、そのシートの微孔を通して通気す
ることはできるが、雑菌を通過させることはないので、
容器内への雑菌等の侵入を防止することができ、雑菌に
対する信頼性を著しく向上させることができる。
しかしながら、微孔性シートを培養・生育容器の蓋に使
用した場合には、通気性を向上させると同時に透湿性も
増大させるので、容器内の培地が乾燥するという問題が
発生し、逆に培養収率を低下させる結果となった。しか
も、この微孔性シートは光透過率が低く、植物の生育に
必須である光を取り入れることができないという欠点も
あった。
本考案は上記従来の欠点を解決したものであり、その目
的とするところは、必要量の空気の換気が容易であり、
しかも外から雑菌やダニ類の侵入を防止することがで
き、また洗浄、滅菌が容易であるのは勿論のこと、光の
透過性が良好であり、しかも容器内が乾燥されることの
ない、微孔性シートの持つ欠点を改良した実用上極めて
優れた培養・生育容器用蓋を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本考案の培養・生育容器用蓋は、培養・生育容器の開口
部を通気性を有した状態で閉塞すべく該開口部に取付け
られる培養・生育容器用蓋であって、培養・生育容器の
開口部に配置され、通気口を有するプラスチック製の透
光性板と、該透光性板の通気口を閉塞するべく透光性板
に貼着された疎水性樹脂から成る多孔質膜と、透光性板
の外側に配置されて、周囲に設けられた周壁部を培養・
生育容器に装着することにより培養・生育容器の開口部
に着脱可能に取付けられる押え蓋とを有し、該押え蓋に
前記透光性板が着脱可能に装着されていると共に、押え
蓋に前記多孔質膜を外部に開放する開口部が形成されて
おり、そのことにより上記目的が達成される。
(実施例) 以下に本考案の実施例を図面に基づいて説明する。
実施例1 第1図に示すように、培養・生育容器用の蓋10は、培養
・生育容器4の開口部6に配置される通気栓1と、この
通気栓1の外側に配設され、中央部が大きく開口した押
え蓋3とを有している。通気栓1は押え蓋3の下面に着
脱可能に装着され、通気栓1と押え蓋3とを一体化した
状態で蓋10は培養・生育容器4の開口部6に着脱可能に
取付けられるようになっている。
前記通気栓1は円板状に形成される透光性板11と、この
透光性板11の中央部に穿設された円形状の通気口12を閉
塞するべく透光性板11の下面に貼着された多孔質膜2と
から構成されている。
透光性板11はその平面形状が円板状に形成され、透光性
板11の断面形状は中央部から周縁部に向かって緩やかに
下り傾斜した断面略円弧状に形成されている。このよう
な形状の透光性板11を有する通気栓1においては、中央
部が上方へ突出しているので、滅菌時や、培養・生育期
間中にこの通気栓1の表面に水滴が溜まることなく、雑
菌の着床を防止することができる。
透光性板11は光の透過率が20%以上であるプラスチック
製成形品にて形成するのが好ましい。この透光性板11の
光透過率が20%未満の場合には、光の透過性が悪いた
め、植物培養容器の通気性蓋10として用いる場合には、
植物の生育上好ましくない。透光性板11の具体例として
は、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン
等から成るプラスチック製成形品が挙げられる。透光性
板11に穿設された通気口12の大きさは特に限定されず、
用途や、その蓋10が要求される特性及び培養環境等によ
って変更される。例えば、通気口12の総面積は1〜10cm
2とすることができる。通気口12の総面積が10cm2より大
きすぎると、通気性が増すため培地が乾燥し過ぎるおそ
れがある。また、通気口12の総面積が1cm2より小さすぎ
ると、通気不足となるため培養不良を起こしたり、オー
トクレーブ滅菌時に容器4が変形する原因になるおそれ
がある。
前記透光性板11の下面には通気口12を閉塞するべく多孔
質膜2が配設され、多孔質膜2の周囲が通気口12の周囲
下面に全周に亘って気密的に貼着されている。多孔質膜
2の透光性板11への貼着手段としては、例えば超音波、
高周波あるいは熱による融着、接着剤あるいは両面粘着
剤を用いた接着等、何れでも採用することができるが、
特に熱融着によって接着させるのが好ましい。
多孔質膜2は、疎水性樹脂から成り、通気性が良く、か
つ雑菌、ダニ類、ゴミ等の不純物の侵入を阻止し、しか
も水分の通過を阻止して容器内が乾燥するのを防止する
機能を兼備しているものである。具体的には、多孔質膜
2はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
フッ素樹脂等の疎水性樹脂から成り、延伸、発泡等によ
り孔径0.01〜100μmの微孔が無数に形成されているも
のである。多孔質膜2は、その気孔率が15〜90%、厚さ
が20〜500μmのものが特に実用上好適である。この多
孔質膜2を形成する疎水性樹脂は、容器4内で培養する
菌の性質や環境条件等により適宜選定することができ
る。
多孔質膜2の上面に補強材5を熱融着により全面に亘っ
て接着させることもできる。
補強材5は多孔質膜2の通気度よりもその通気度が大き
く、且つ熱融着性を有するもので形成されている。補強
材5の具体例としては、例えば(a)ポリアミド、ポリ
エステル、ポリオレフィン等から成る不織布、あるいは
網目状多孔質膜、(b)延伸、発泡等により無数の微孔
が形成された熱融着性プラスチック多孔質膜(この熱融
着性プラスチック膜の微孔の径あるいは通気度は多孔質
膜2よりも大きく設定されている)、あるいは(c)プ
ラスチック多孔質膜に打ち抜き等により無数の通気孔を
形成した多孔質膜等が挙げられる。
このように補強材5を多孔質膜2に全面に亘って張り付
けることにより、多孔質膜2が補強され、多孔質膜2が
外部からの力で容易に破損するのを防止することができ
る。
前記押え蓋3は中央部に開口部30が形成されたリング板
状の押え部32から周壁部31を下方へ延出して形成され、
周壁部31の内径寸法は培養・生育容器4の開口縁の外径
寸法と略等しく設定されている。押え蓋3の周壁部31の
内径寸法は上記通気栓1の外形寸法と略等しく設定さ
れ、この押え蓋3の押え部32の下面に通気栓1を圧入し
て嵌合し、適宜通気栓1を押え蓋3から分離できるよう
になっている。押え蓋3の中央部に形成された開口部30
の開口寸法は前記多孔質膜2の外形寸法より大きく形成
されていて、押え蓋3の下面に通気栓1を装着した状態
では、多孔質膜2が開口部30の略中央に位置し、この多
孔質膜2が押え部32で覆われることなく外部へ露出する
ようになっている。押え蓋3を形成する材質としては、
耐熱性に優れ、オートクレーブで加熱、蒸気処理を受け
ても劣化、変形しない材質であり、さらに菌に対して無
害なものであれば特に限定されないが、一般にポリオレ
フィン系(例えば,三菱油化(株)製,商品名ラバロ
ン)、シリコーン系及びフッ素系等の弾性を有する形成
品(シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム状成形品を含
む)を使用することができる。
次に、上記のようにして構成される培養・生育容器用蓋
10を使用する場合について説明する。
第1図に示すように、押え蓋3の下面に通気栓を1を装
着させて押え部32下面に通気栓1を密接した状態とし、
次いでこの蓋10を、菌等が収容された容器4の開口部6
に被せる。押え蓋3の周壁部31は培養・生育容器4の開
口縁の外周面に弾性的に密接すると共に、押え蓋3の押
え部32下面と容器4の開口端面4aとの間で通気栓1の周
囲は挟持されて、蓋10は容器4に気密的に取付けられ
る。そして、この状態で容器4を恒温培養する。培養時
において、多孔質膜2部分は通気性を有しているため、
この多孔質膜2を通して容器4内部の空気の換気が行え
ると共に、容器4内で発生するエチレンガスを容易に排
出することもできる。この通気度の調節は、多孔質膜2
の通気部分の面積を変えることにより簡単に行うことが
できる。また、多孔質膜2は透光性板11下面の通気口12
の周囲に接着されていて、この多孔質膜2以外の個所は
気密性が保たれているので、外部から雑菌等が容器4内
に侵入することを完全に防止することができる。すなわ
ち、一般的に、大気中の雑菌は直下型の開口部より侵入
すると言われており、例えば実公昭58-5471号公報で示
されているように、上蓋とフィルムとを分離可能に構成
した蓋では、透光性板の通気口またはその付近に着床し
た雑菌は、世代交代を繰り返しながら透光性板とフィル
ムとの接合部から容器4内部に侵入し易い。一度、容器
4内部に雑菌が侵入すると、容器4内部は雑菌にとって
も培養環境が整っているため、中蓋とフィルムとが接着
されていたとしても、他の接合部から雑菌は更に内部に
侵入し、最終的には容器4内部を汚染してしまうのであ
る。このような従来の形状のものは、特に培養期間が長
期に亘る場合には不利となるのである。
また、植物組織を培養する際には、多数の試験管やフラ
スコ状の培養・生育容器4を横に並べ、上部よりライト
を当てることにより培養されるが、透光性板11を光が透
過して容器4内へ入ることが可能であるため、植物の光
合成を促進させることができる。なお、この通気性多孔
質膜2により光が遮断される部分はごくわずかであり、
他の透光性板1部分で上部からの光を取り込むことが充
分可能であり、通過性多孔質膜2によって培養効率が阻
害されることはない。
本考案で使用する多孔質膜2は、その内部に雑菌等が溜
まり難いものであるから、多孔質膜2を水等で洗浄する
ことにより簡単に雑菌等を除去することができて蓋10の
洗浄や滅菌も容易である。多孔質膜2は水分の通過を阻
止し、透湿性を増大させることがないから、容器4内の
培地が乾燥されることがなく、培養収率を低下させるこ
ともない。そして、恒温培養後、蓋10を容器4の開口部
6から取り外すことにより、容器4の開口部6を広く開
けた状態で作業を行うことができる。
上記構成によれば、プラスチック製の蓋10の押え蓋3の
周壁部31の内径を変えることにより、どのような容器4
の開口径に対しても、容易に対応することができると共
に、さらに広口容器4に対しても適用可能であるため、
培養作業の向上が充分期待できる。また、本考案の培養
・生育容器用蓋10は、通気栓1を押え蓋3下面から引き
剥がすことにより、簡単に通気栓1だけを取り外すこと
ができるから、長期間の使用によって通気栓1の通気機
能が低下した場合には、通気栓1のみを更新することに
より機能回復が可能となり、また逆に押え蓋3が破損し
た場合には押え蓋3だけを交換することもできるので、
ランニングコストを低減することも可能となる。
なお、上記実施例では押え蓋3の周壁部31及び/又は通
気栓1の弾性を利用し、押え蓋3の周壁部31内面に通気
栓1の周縁部を圧入嵌合することにより、該通気栓1を
押え蓋3下面に装着したが、押え部32の下面に係合突起
を設け、通気栓1に形成された係合凹部を係合突起に係
合させることにより、通気栓1を押え蓋3下面に装着し
ても良い。蓋10を培養・生育容器4に取付けるには、螺
合、あるいは蓋10の周壁部31内面に係合突起を設けると
共に、容器4の外面に係合凹溝を設けて、係合突起と係
合凹溝との係合により蓋10を容器4に取りつけるように
しても良い。透光性板11の周囲下面にパッキンを取付け
ても良い。
上記透光性板11に穿設した通気口12の大きさ、個数、形
状等は特に限定されず、また多孔質膜2の厚さ、形状、
寸法等も限定されず、培養する菌あるいは植物の種類や
容器4の大きさに応じて、また培養環境に応じて適宜選
択することができる。
(考案の効果) このように、本考案の培養・生育容器用の蓋は、透光性
板部分で光を透過させることができるので、容器内で植
物を培養させる場合に、培養効率が低下することがな
い。しかも、その透光性板に形成された通気口には、該
通気口を閉塞するべく、通気機能と雑菌の通過を防止す
る機能を備えた疎水性樹脂から成る多孔質膜が設けられ
ているので、この多孔質膜部分で通気性を確保でき、他
の部分で気密性を確保して雑菌やダニ類の侵入を完全に
防止でき、また蓋の洗浄や滅菌も容易であり、さらに容
器内の培地が乾燥されて培養収率を低下させることもな
い。
しかも、多孔質膜は透光性板に貼着されているので、外
部からの力が直接この多孔質膜に作用することがなく、
蓋を容器へ取付ける際等に多孔質膜が破れるおそれもな
い。さらに、多孔質膜が貼着される透光性板は押え蓋に
着脱可能に装着されているので、透光性板又は押え蓋の
いずれか一方を新しいものと交換して使用することがで
きる。従って、培養・生育容器用の蓋を長期間使用する
ことによって、多孔質膜の通気機能が低下したり、押え
蓋が破裂した場合には、それぞれの部品を交換するだけ
で、機能を回復させることができるので、蓋全体を交換
する必要はなく、使用上経済的である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の一実施例の培養・生育容器用蓋を容器
に取付けた状態を示す要部断面図である。 1……通気栓、2……多孔質膜、3……押え蓋、4……
培養・生育容器、11……透光性板、12……通気口、30…
…開口部、31……周壁部、32……押え部。

Claims (4)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】培養・生育容器の開口部を通気性を有した
    状態で閉塞すべく該開口部に取付けられる培養・生育容
    器用蓋であって、培養・生育容器の開口部に配置され、
    通気口を有するプラスチック製の透光性板と、該透光性
    板の通気口を閉塞するべく透光性板に貼着された疎水性
    樹脂から成る多孔質膜と、透光性板の外側に配置され
    て、周囲に設けられた周壁部を培養・生育容器に装着す
    ることにより培養・生育容器の開口部に着脱可能に取付
    けられる押え蓋とを有し、該押え蓋に前記透光性板が着
    脱可能に装着されていると共に、押え蓋に前記多孔質膜
    を外部に開放する開口部が形成されており、該透光性板
    が、中央部から周縁部に向かって緩やかに下り傾斜した
    断面略円弧状に形成されている、培養・生育容器用蓋。
  2. 【請求項2】前記押え蓋を培養・生育容器の開口部に取
    付けた際に、前記透光性板の周囲が、該押え蓋と培養・
    生育容器の開口端面との間で挟持される請求項1記載の
    培養・生育容器用蓋。
  3. 【請求項3】前記透光性板が、光透過率が20%以上を有
    する材質にて形成されている請求項1又は2記載の培養
    ・生育容器用蓋。
  4. 【請求項4】前記多孔質膜が透光性板の下面に貼着され
    た疎水性樹脂から成る多孔質膜である、請求項1ないし
    3いずれかの項に記載の培養・生育容器用蓋。
JP1988008485U 1988-01-26 1988-01-26 培養・生育容器用蓋 Expired - Lifetime JPH0753471Y2 (ja)

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