JPH0753468Y2 - 排藁搬送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、二本の搬送チエンで排藁を搬送するようにし
たコンバイン等に装備される排藁搬送装置に係るもので
ある。

〔従来の技術〕

一般に、脱穀処理後の排藁を機体の後方に搬送するコン
バイン等に装備される排藁搬送装置には穂先側を挾持す
る穂先搬送チエンと株元側を挾持する株元搬送チエンと
を対向状に設け、共通の駆動軸に装着した駆動スプロケ
ットで回転駆動するようにしたものが知られている。そ
して排藁の搬送姿勢を修正するため、両搬送チエンの搬
送速度を違える場合には、上記駆動スプロケットの歯数
を変えるようにしている。

〔本考案が解決しようとする課題〕

ところが、駆動スプロケットの歯数を変えるようにした
のでは、チエンリンクのピン間隔がかなり広いことか
ら、一歯変えただけでも搬送チエンの速度が大きく変化
してしまい、両搬送チエンを所望する最適な速度化とす
ることができなかった。しかもスプロケットの歯数を変
えることにより、搬送チエンのリンク数等との関係か
ら、搬送チエンの張側と緩み側が周期をもつことがあ
り、このため搬送チエンに波打ち現象を起こして騒音発
生の原因になる等の欠点がある。

本考案は、上記の如き問題点を解消すべく創案されたも
のであって、穂先搬送チエンと株元搬送チエンの搬送速
度を、駆動スプロケットの歯数を変えることなく、変速
可能な動力伝動装置によって容易に所望する速度比に設
定できて、搬送チエンに波打ち現象が生ずることはな
く、しかも変速される動力伝動系を簡単にできる保守点
検の容易な排藁搬送装置を提供することを目的課題とし
たものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題を解決するため、本考案が講じた技術的手段
は、対向して設けたチエンフレームに、株元搬送チエン
と穂先搬送チエンとをそれぞれ支持させた排藁搬送装置
において、上記穂先搬送チエンの始端部を株元搬送チエ
ンの始端部よりも後方に配置して、前方に突出した株元
搬送チエンの始端部には、チエンフレームの外側に位置
して、株元搬送チエンに連動する変速可能な動力伝動装
置を設けると共に、上記動力伝動装置で変速される駆動
軸の先端を、株元搬送チエンのチエンフレームを貫通さ
せて穂先搬送チエンの始端部に連動連結し、動力伝動装
置の変速により両搬送チエンを異った搬送速度で駆動可
能に構成したことを特徴とするものである。

〔考案の作用〕

したがって本考案によれば、株元搬送チエンに連動して
動力伝動装置の駆動軸が、穂先搬送チエンを駆動するの
で、動力伝動装置を変速調整すれば、穂先搬送チエンを
変速して穂先搬送チエンと株元搬送チエンの速度を容易
に最適な速度比とすることができる。そして前方に突出
した株元搬送チエンの始端部に設けた動力伝動装置は、
変速される駆動軸の先端が穂先搬送チエンの始端部に連
動連結されているので、穂先搬送チエンと株元搬送チエ
ンとを始端側で連動させた簡単な動力伝動系とすること
ができる。

またチエンフレームの外側に設けた動力伝動装置は保守
点検が容易にでき、しかもチエンフレームを貫通した駆
動軸の取付部が対向した設けたチエンフレームを補強す
るものである。

〔実施例〕

次に本願考案の実施例を添付した図面に基いて詳述す
る。１はコンバインの穀稈供給チエン終端から、機体の
斜後方に向って配設された排藁搬送装置、２は排藁搬送
装置１の終端側下方に設けた排藁カッタ、３は排藁カッ
タ２の上面に設けた上下搖動自在の切換板であって、上
記切換板３を開けば、搬送される排藁Ａは排藁カッタ２
に落下供給され、切換板３を閉じたときには、切換板３
の上面に沿って後方の排出方向に搬送されるものであ
る。排藁カッタ２内には鋸刃状の切断刃を備えた鋸刃軸
４と、スターホイル状の掻込刃を備えた掻込軸５が株幅
方向に軸架されている。

排藁搬送装置１は次のように構成されている。すなわち
６は、伝動ケースであって、該伝動ケース６の回転軸７
に装着された株元駆動スプロケット８と、チエンフレー
ム９の先端に支持された遊動スプロケット10間に株元搬
送チエン11が懸回されている。12はチエンフレーム９と
対向して設けた穂先側のチエンフレームであって、該チ
エンフレーム12の先端に支持された遊動スプロケット13
と始端側の駆動スプロケット14間に穂先搬送チエン15が
懸回されている。そして第１図に示すように穂先搬送チ
エン15の始端部が株元搬送チエン11の始端部よりも後方
に配置されていて、前方に突出した株元搬送チエン15の
始端部には、チエンフレーム９の外側に動力伝動装置16
が設けられている。該動力伝動装置16は、前記回転軸７
に装着した伝動スプロケット17と駆動軸18に装着した伝
動スプロケット19間に駆動チエン20を懸架して構成され
ており、チエンフレーム９を貫通させた駆動軸18の先端
部が前記駆動スプロケット14に連結されて穂先搬送チエ
ン15が回転駆動される。駆動軸18は第７図に示すように
チエンフレーム9,12を連結する取付ブラケット21で支持
されたホルダ22に、ベアリング23,24を介して軸支され
ている。したがって、株元搬送チエン11と穂先搬送チエ
ン15とは、動力伝動装置16によって始端側が連動する簡
単な連動構造となっている。

そして伝動スプロケット17,19の組合せを変えるのみ
で、動力伝動装置16が変速し、穂先搬送チエン15の速度
を変えて株元搬送チエン11との速度比を自由に調節変更
できるようになっている。25はホルダ22の取付ボルトで
ある。

26は株元搬送チエン11の下方に位置する株元固定レー
ル、27は穂先搬送チエン15の下方に位置する穂先固定レ
ールであって、それぞれ排藁カッタ２の排藁投入口位置
まで配設されており、両レール26,27の対向間にチエン
間固定レール28が設けられている。29は挾持スプリン
グ、30は株元側延長レールである。また上記チエン間固
定レール28の内部に中間スライドレール31が摺動自在に
挿入され、株元固定レール26には株元スライドレール32
が挿入されている。両スライドレール31,32は切替ブラ
ケット33を介して連動連結されていて、該切替ブラケッ
ト33の作動により、株元固定レール26から排藁カッタ２
の上方に突出した株元スライドレール32が株元搬送チエ
ン11の下方に位置し、チエン間固定レール28から突出し
た中間スライドレール31は穂先搬送チエン15と株元搬送
チエン11の中間に位置するようになっている。34,35は
ガイドプレート、36はガイド杆である。

第９図〜第12図には、排藁の細断して圃場に放出する際
に、機体の後部に装着した散布機37からの肥料を排藁が
ない所に散布したり、排藁があるのに散布しなかったり
するのを無くすことができるコンバインソーワを示して
いる。すなわち、排藁搬送装置に排藁センサ38を設け、
自動スイッチ39をONとしたときには、排藁センサ38がON
かOFFかを判断し、更に一回前の排藁センサ38がONかOFF
かを判断して、ONの時は、直ちに散布を開始し、OFFの
ときはTIMFGに（１）を入れ、一定時間経過してからTIM
FGに（θ）を入れて散布を開始する。排藁センサ38がOF
Fのときは、この逆に作動するものである。また排藁セ
ンサ38がONの時は無段変速ポテンショ40に従ってステッ
ピングモータ41の回転速度が変るものであり、副変速ス
イッチ42がONの時は、OFFのときの２倍の速さでステッ
ピングモータ41を回転させる。

上記の如き構成において、脱穀部からの排藁Ａは、株元
搬送チエン11と穂先搬送チエン15により後方へ搬送さ
れ、切換板３を上動させたときには、両搬送チエン11,1
5の下方に位置する株元固定レール26および穂先固定レ
ール27と、その対向間に設けたチエン間固定レール28が
排藁カッタ２の排藁投入口位置まで配設されているの
で、排藁Ａを確実に挾持搬送して排藁カッタ２を供給す
る。そして、伝動スプロケット17,19の組合せを変える
のみで動力伝動装置16を変速させ、穂先搬送チエン15と
株元搬送チエン11との速度比を自由に調節することがで
きるので、穂先搬送チエン15が株元搬送チエン11よりも
早い最適な早さとすれば、脱穀部からの排藁が第６図
（イ）に示すように、穂先側に抵抗があって株元先行姿
勢となっていても、穂先搬送チエン15が穂先部を速く搬
送して、排藁姿勢を第６図（ロ）（ハ）に示すように鋸
刃軸４に平行、もしくは僅かに穂先が先行した適正な搬
送姿勢とすることができる。しかも動力伝動装置16を変
速調節するのみで、従来のように駆動スプロケットの歯
数を変えたりしないから、搬送チエンが波打ち現象を起
すことはない。また動力伝動装置16は、前方に突出した
株元搬送チエン11始端部のチエンフレーム12外側に設け
られているので、容易に保守点検作業を行うことがで
き、しかも動力伝動装置16で変速された駆動軸18がチエ
ンフレーム12を貫通して、その先端部が穂先搬送チエン
15の駆動スプロケット14に連結されているので、株元搬
送チエン11と穂先搬送チエン15とを互の始端側で連動さ
せることができて、動力伝動系を簡単にすることができ
る。さらにホルダ22を支持する取付ブラケット21がチエ
ンフレーム9,12を連結しているので、取付ブラケット21
でチエンフレーム9,12を補強することができる。

一方、切換板３を下動させて、排藁Ａをそのまま後方に
排出する際には、切替ブラケット33の作動により、チエ
ン間固定レール28と株元固定レール26から、中間スライ
ドレール31と株元スライドレール32が排藁カッタ２上に
突出するが、穂先固定レール27からはスライドレールが
突出しないので、穂先搬送チエン15の搬送力は減衰し、
穂先側が更に先行することはなく、最適な搬送姿勢を保
持したまま、後方へ搬送排出することができる。

また第９図〜第12図に示すコンバインソーワを装備した
ものでは、圃場に放出された細断後の排藁と、散布機37
からの肥料を確実に混合させることができて、肥料の無
駄を無くすことができる。

〔考案の効果〕

これを要するに本考案は、対向して設けたチエンフレー
ムに、株元搬送チエンと穂先搬送チエンとをそれぞれ支
持させた排藁搬送装置において、上記穂先搬送チエンの
始端部を株元搬送チエンの始端部よりも後方に配置し
て、前方に突出した株元搬送チエンの始端部には、チエ
ンフレームの外側に位置して、株元搬送チエンに連動す
る変速可能な動力伝動装置を設けると共に、上記動力伝
動装置で変速される駆動軸の先端を、株元搬送チエンの
チエンフレームを貫通させて穂先搬送チエンの始端部に
連動連結し、動力伝動装置の変速により両搬送チエンを
異った搬送速度で駆動可能に構成したから、穂先搬送チ
エンに連動した動力伝動装置からの駆動軸が穂先搬送チ
エンを駆動させるので、動力伝動装置を変速調節するの
みで、穂先搬送チエンと株元搬送チエンの速度を容易に
最適な速度比とすることができて、排藁を適正な搬送姿
勢に修正して搬送することができる。そして動力伝動装
置は、前方に突出した株元搬送チエン始端部のチエンフ
レーム外側に設けられているので、保守点検作業を容易
を行うことができる。しかも動力伝動装置で変速される
駆動軸を株元搬送チエンのチエンフレームを貫通させ
て、穂先搬送チエンの始端部に連動連結してあるので、
株元搬送チエンと穂先搬送チエンとを互の始端側で連動
させて動力伝達系を簡単にすることができるうえ、駆動
軸の取付部で対向して設けたチエンフレームを補強する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る排藁搬送装置の実施例を示すもので
あって、第１図は全体平面図、第２図は左側面図、第３
図は右側面図、第４図は縦断面図、第５図はスライドレ
ールの作動説明図、第６図は搬送状態を示す作用説明
図、第７図は駆動軸の縦断面図、第８図は取付ブラケッ
トの縦断面図、第９図はコンバインソワーの側面図、第
10図は同上システム構成図、第11図は同上メインフロー
図、第12図は同上遅延タイマサブルーチン図である。 図中、９……チエンフレーム、11……株元搬送チエン、
12……チエンフレーム、15……穂先搬送チエン、16……
動力伝動装置、18……駆動軸である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】対向して設けたチエンフレームに、株元搬
   送チエンと穂先搬送チエンとをそれぞれ支持させた排藁
   搬送装置において、上記穂先搬送チエンの始端部を株元
   搬送チエンの始端部よりも後方に配置して、前方に突出
   した株元搬送チエンの始端部には、チエンフレームの外
   側に位置して、株元搬送チエンに連動する変速可能な動
   力伝動装置を設けると共に、上記動力伝動装置で変速さ
   れる駆動軸の先端を、株元搬送チエンのチエンフレーム
   を貫通させて穂先搬送チエンの始端部に連動連結し、動
   力伝動装置の変速により両搬送チエンを異った搬送速度
   で駆動可能に構成したことを特徴とする排藁搬送装置。