JPH0753381B2 - ポリオレフィン系樹脂型内成形体及びその製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂型内成形体及びその製造方法

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JPH0753381B2
JPH0753381B2 JP2270347A JP27034790A JPH0753381B2 JP H0753381 B2 JPH0753381 B2 JP H0753381B2 JP 2270347 A JP2270347 A JP 2270347A JP 27034790 A JP27034790 A JP 27034790A JP H0753381 B2 JPH0753381 B2 JP H0753381B2
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康 上田
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、無機・有機質の微粉末である改質材を粒子の
表面に定着させた発泡粒子に依るポリオレフィン系樹脂
型内成形体の製造方法及びその型内成形体の改良に関
し、具体的に例えば、導電性緩衝包装材、難燃性緩衝内
装材等の分野に有益な型内成形体の改良技術に関する。
[従来技術] 先ずポリオレフィン系樹脂発泡粒子に依る型内成形体の
製法は、例えば特公昭51-22951号公報、特公昭53-33996
号公報に開示されていて公知である。この方法は要する
に、ポリオレフィン系樹脂を発泡させて1旦発泡粒子と
し、このものに膨張能(型内加熱時に体積膨張する能
力)を付与させて型内に充填し、型内を加熱して発泡粒
子を膨張・融着させて成形体にする方法である。又この
方法で得られた型内成形体は、発泡体自体が持つ柔軟な
強靭性,弾性的緩衝性,断熱性等の特性が愛でられて、
緩衝用容器,断熱容器,緩衝防具類等に広く活用されて
いる。
従ってこの成形体に用いる発泡粒子を改質(例えば導電
性,難燃性,美粧性に富む等の改質)をすれば、得たい
目的形状の成形体が、例えば導電性、難燃性、美粧性を
持った状態にして得ることができるので、大変便利であ
ると誰しもが考える。要するに粒子に付与するものが、
カーボンや金属等の導電性微粉末であるか、導電性微粉
末であるか或は一般顔料微粉末であるかの違いである。
しかしこの種の改良されたポリオレフィン系樹脂の型内
成形体は、実用に供し得る水準のものは実在しないのが
現状である。
以下その実態を、実現化が最も困難とされる導電性付与
の場合を例示して詳述する。
先ずこの種の微粉末改質材を樹脂粒子に付与する一般的
な方法は、樹脂中に微粉末改質材を練り込んだ状態の粒
子にして発泡させ、その発泡粒子を型内で成形体にする
方法である。この方法の問題点は、成形体にした際に導
電性が発揮されると認められる添加量の水準が、導電性
カーボンブラックの場合で5重量%以上、望ましくは10
重量%以上にも及ぶが、この添加量では発泡粒子にする
段階で粒子を構成する気泡構造が著しく悪化し、これを
成形に供すると粒子相互間の融着性に乏しい或は外観品
位に欠けた成形体にしかならない問題に遭遇することで
ある。
これに代る技術として粒子の表面に改質材微粉末を定着
させようとする技術がある。具体的には例えば、i)特
開昭59-169199号公報、ii)特開昭63-125537号公報、ii
i)特開昭63-275648号公報、iv)特開昭58-92540号公報
及び特開昭60-195134号公報等に開示された技術がこれ
に当る。
即ち、i)の技術は(ポリスチレン樹脂)発泡粒子の表
面に導電性微小繊維(微粉末と同等)を界面活性剤等で
付着させておき、この粒子を型内成形させることで、導
電性微小繊維が混在した型内成形体を得る方法を、ii)
の技術は樹脂粒子と改質材とを高剪断力の混合機で混合
し、該粒子の表面を軟化状態にしてそこに改質材を定着
させ、後このものに水性媒体中で発泡剤を含有させ、加
熱発泡して発泡粒子とし、之を型内成形に供する方法
を、iii)の技術は、高温高圧下の水懸濁系内で改質材
を樹脂表面部に含浸定着させ、これに発泡剤を含浸させ
加熱発泡して発泡粒子とし、型内成形に供する方法を、
iv)の具体的な技術は、発泡粒子の表面に合成樹脂のエ
マルジョン内に導電性物質を懸濁させた水溶液を塗布
し、乾燥固化させ、その発泡粒子を型内成形に供する方
法を、各々提案したものである。しかしながら本発明者
等の実験によると、上記i),ii),iii),iv)の記載方
法で得た型内成形体は、とうてい実用できる品質水準の
ものにはならないものである。その実態は、先ず得られ
る導電性(帯電防止性)の水準が低すぎると、或は導電
性物質の定着が悪く、脱落、転移現象が著しいこと、そ
してその導電性の維持持続性が乏しいことの問題で、こ
れを改善しようと改質材の定着量を増加させると、成形
体にした時の発泡粒子間の融着状態が悪化し、成形体と
しての機械的特性が確保できない問題が生じてしまうの
である。発明者等の知見に基づいて上記の現象を考察す
ると、i)の技術はポリスチレン樹脂には適用できると
仮定しても、界面活性剤等に対する膨潤効果は期待でき
ない処のポリオレフィン系樹脂の場合は、発泡粒子の表
面にある改質材の定着度が低く、粒子の移送時や充填時
に用いる加圧気体に依る浮遊搬送の過程で、発泡粒子表
面に定着している筈の改質材がほとんど脱落・逸散して
しまう現象が生じるのである。又ii)及びiii)の方法
では、発泡剤を含浸する工程で上記と同様の、粒子表面
に定着した改質材が脱落してしまう現象が災いしてい
る。公報の記載では多量の導電性物質の付着が可能でし
かも成形体にしたときの発泡粒子間の融着が良く行なわ
れる様な内容表現になっているが、本発明者等の追試に
よると製造工程では導電性物質を含む樹脂エマルジョン
の付着に依る混合機壁や型壁の汚染が著しくなる問題、
付着処理後の発泡粒子の乾燥時間が長い問題、乾燥時粒
子相互の塊状化が進み、これを防ぐためにする撹拌は、
付着層の脱落を促進する問題等がある。そして得られる
成形体では付着層の脱落は依然として多く、手や衣服等
これに触れた物体に転移し汚染してしまう様な状態で、
改質効果の持続性を保証することは難しい問題がある
し、成形体を形成する粒子間の融着も成形体を折曲げれ
ば粒子間で破断してしまう程度の融着強度しかない問題
が観測されている。この現象は、エマルジョンで形成さ
れる樹脂の膜質は脆く、又ポリオレフィン系樹脂粒子の
表面への貼着力が乏しいものであると言う基本的な問題
点の上に、水性エマルジョンの状態で発泡粒子の表面に
付着固化できる樹脂量そのものは導電性物質を包含付着
させる上では少量にすぎると言う本質的な問題点が重な
っているものと推察される。又いずれの方法でも、発泡
粒子の表面に水や滑剤や界面活性剤が残存するような方
法には、ポリオレフィン系樹脂を対象とする場合にはそ
の発泡粒子間の融着状態を悪化させる傾向が強い。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は上述した現状課題の解決に鑑み、長期に亘る研
究の結果ようやく完成されたもので、その主要点は、微
粉末状にした接着性樹脂を改質材の固着媒体に採用する
のであるが、終局的には改質材微粉末を包含した接着性
樹脂の小片が、発泡粒子の表面に皮膜状に分散展開して
いる処の接着性樹脂を介して、当該粒子表面に分散固着
している発泡粒子を完成し、これを成形に供するように
したこと、そのことによって上述した従来技術の課題の
総てを解決するに至ったものである。
その意味において本発明の目的は、その表面に改質材微
粉末を定着させた発泡粒子に依るポリオレフィン系樹脂
の型内成形体を対象にしたものでありながら、その改質
効果は極めて高い(例えば表面抵抗値では1×104〜1
×1013Ωに及ぶ)水準を示し、実用上では表面に定着し
た改質材の固着性は極めて堅牢で、その改質効果の持続
性を保持し、それでいて成形体としての融着性や外観品
位を兼備する処の、例えば導電性緩衝性容器、導電性耐
久緩衝通い箱、難燃性断熱緩衝内装材等としての構造強
度や緩衝特性を保持する型内成形体を、初めて提供する
ことであり、更にはこの種の成形体を所望の形状のもの
にして、機壁や型壁を汚染することなく安価に安定供給
できる成形体の製造方法を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 上記本発明の目的は、本発明の型内成形体、即ち、 「無機質または有機質の微粉末である改質材が粒子の表
面に定着しているポリオレフィン系樹脂発泡粒子で成る
型内成形体において、 上記改質材は、改質材を包含したポリオレフィン系接着
性樹脂を介して発泡粒子表面に定着したものであり、ポ
リオレフィン系接着性樹脂を介した改質材の成形体にお
ける定着は、粘着テープに依る剥離テストの値で10%以
下の低い値を示す強固な定着状態であり、その成形体を
構成する発泡粒子間の融着性は80%以上の値を示し、且
つ成形体として測った25%圧縮時の圧縮永久歪は6%未
満の値を有するものであることを特徴とするポリオレフ
ィン系樹脂型内成形体。」 並びに、 「無機質または有機質の微粉末である改質材が粒子の表
面に定着しているポリオレフィン系樹脂発泡粒子で成る
型内成形体において、 上記改質材は、改質材を包含したポリオレフィン系接着
性樹脂を介して発泡粒子表面に定着したものであり、上
記改質材は微粉末のカーボンブラックであって、その含
有量は樹脂量に対し3〜0.1重量%の値で、カーボンブ
ラックを含むポリオレフィン系接着性樹脂を介したカー
ボンブラックの成形体における定着は、粘着テープに依
る剥離テストの値で10%以下の低い値を示す強固な定着
状態であり、その成形体を構成する発泡粒子間の融着性
は80%以上の値を示し、且つ成形体として測った25%圧
縮時の圧縮永久歪は6%未満の値を有するものであり、
その成形体が示す表面抵抗値は1×104Ω〜1×1013Ω
の範囲にあることを特徴とするポリオレフィン系樹脂型
内成形体。」、 「無機質または有機質の微粉末である改質材が粒子の表
面に定着しているポリオレフィン系樹脂発泡粒子で成る
型内成形体において、 上記改質材は、改質材を包含したポリオレフィン系接着
性樹脂を介して発泡粒子表面に定着したものであり、上
記改質材は微粉末の難燃剤であって、その含有量は樹脂
量に対し5〜0.1重量%の値で、難燃剤を含むポリオレ
フィン系接着性樹脂を介した難燃剤の成形体における定
着は、粘着テープに依る剥離テストの値で10%以下の低
い値を示す強固な定着状態であり、その成形体を構成す
る発泡粒子間の融着性は80%以上の値を示し、且つ成形
体として測った25%圧縮時の圧縮永久歪は6%未満の値
を有するものであることを特徴とするポリオレフィン系
樹脂型内成形体。」、 「無機質または有機質の微粉末である改質材が粒子の表
面に定着しているポリオレフィン系樹脂発泡粒子で成る
型内成形体において、 上記改質材は、改質材を包含したポリオレフィン系接着
性樹脂を介して発泡粒子表面に定着したものであり、上
記改質材は、彩色用顔料であって、その含有量は樹脂量
に対し5〜0.1重量%の値で、顔料を含むポリオレフィ
ン系接着性樹脂を介した彩色用顔料の成形体における定
着は、粘着テープに依る剥離テストの値で10%以下の低
い値を示す強固な定着状態であり、その成形体を構成す
る発泡粒子間の融着性は80%以上の値を示し、且つ成形
体として測った25%圧縮時の圧縮永久歪は6%未満の値
を有するものであることを特徴とするポリオレフィン系
樹脂型内成形体。」及びその製造方法、即ち、 「粒子の表面に無機質または有機質の微粉末である改質
材を定着させた発泡粒子であって、上記改質材は、改質
材を包含したポリオレフィン系接着性樹脂を介して発泡
粒子表面に定着したものである発泡粒子を、型内に充填
し加熱して発泡粒子相互を膨張・融着させて成形体にす
るポリオレフィン系樹脂型内成形体の製造方法におい
て、 上記発泡粒子の表面に改質材を定着させる方法が、高
剪断力混合下で、加熱調温されたポリオレフィン系樹脂
発泡粒子にポリオレフィン系接着性樹脂微粉末を供給し
て加熱混合して発泡粒子の表面に上記接着性樹脂を分散
融着させ、後その上に改質材微粉末を供給し加熱混合し
て当該発泡粒子の表面に改質材を包含した上記接着性樹
脂を分散固着させる方法であること、 上記型内で行う加熱は、上記発泡粒子の融点プラス2
℃から該融点プラス14℃の範囲の温度の水蒸気加熱であ
ること、 を特徴とするポリオレフィン発泡粒子に依る型内成形体
の製造方法。」を採用することによって容易に達成する
ことが出来る。
[作用] 以下本発明の内容を図面・表等を用いて説明する。
第1図,第2図は、本発明の製造方法で得た型内成形体
の表面に付着した粒子の状態を示す顕微鏡写真図(約15
0倍)で、改質材(カーボンブラック)の固着状態を例
示する実験結果図、第3図,第4図は、本発明の製造方
法のの工程で得た発泡粒子、即ち、本発明を完成に導
いた処の改質材を固着した発泡粒子の性能(特長)を示
す実験図である。
従って以下の説明は、本発明の製造方法の特長であり、
又、本発明の成形に供する発泡粒子の特長でもあり、同
時に、そのことで完成される成形体の特質でもある。
先ず第3図は、縦軸に導電性の水準(成形体の表面抵抗
値Ω)[値の小さい方が導電性に優れる]を、横軸には
カーボンブラックの含有量を目盛ってある。このカーボ
ンブラック(改質材)の含有量は、この実験に供した発
泡粒子に固着・含有している量であると共に、完成した
成形体の含有量に当り、導電性の水準は完成された成形
体の表面抵抗の実測値である。そして、グラフIIIは、
練込み品(比較品)、グラフI,IIは、本発明でいう固着
品(本発明品)のものである。
第3図の結果によると、練込みである比較品のものは、
カーボンブラックの増量によっても得られる導電性はほ
とんど変化せず、又改質効果が認められない導電水準に
止まるのに対し、本発明のグラフI,IIのものは、カーボ
ンブラックの増量と共に導電改質効果が増加し、その含
量が0.1重量%で少なくとも1012Ωの水準,含量が3重
量%では104Ωの水準の改質効果が発揮されることが示
されている。
この第3図の結果は、本発明に採用されている発泡粒子
は、実用的に3重量%にも及ぶ多量のカーボンブラック
をその表面に固着できる特長を持ったものである事実を
示すと共に、成形体になった時はわずか3重量%と言う
少量のカーボンブラック量で、104Ωに及ぶ水準の、導
電改質効果が発揮される特徴を実証している。この様な
導電効果を持つ成形体は、粒子の表面にポリオレフィン
系接着性樹脂の熱融着性を利用して改質材を定着した状
態の発泡粒子に依る、ポリオレフィン系樹脂の型内成形
体であって、従来では具現されておらず、本発明によっ
て初めて完成されたものである。
よって本明細書の特許請求の範囲の第1項から第4項の
記載は、この第3図に示す新規な成形体を表現してい
る。
次の第4図は、縦軸は第3図と同じ導電性の水準(Ω)
を目盛り、横軸は成形体(用いた発泡粒子とほぼ同じ)
の発泡倍率(cc/g)を目盛っている。しかしここで注目
すべき事柄は、描かれている二本のグラフIV,Vはその表
面に改質材を固着した状態のまま、再膨張させて発泡倍
率を高めて得た発泡粒子を成形した時の、その成形体の
発泡倍率と成形体が示す表面抵抗値をプロットしたもの
であることである。
この第4図の結果は本発明に用いる発泡粒子表面状態
の、最大の特長(定着状態の強固さ)を最も端的に示す
ものである。即ちその表面に固着している改質材は、粒
子の発泡倍率が高められ改質材間の間隔が拡げられるこ
とがあっても、改質効果の低下現象は小さく、殊にグラ
フIVの発泡粒子ではほとんど低下現象がないと言える。
この発泡粒子の特長は、型内での加熱で生じる粒子の体
積膨張にも充分に追従し、高水準の改質効果を発揮する
根源をなすし、更に又発泡倍率(密度)を広範囲に変更
した改質効果水準の高い型内成形体が自由に得られる根
源であることを実証するものである。
次に示す第2表は、本発明に用いる発泡粒子表面状態
の、改質材の固着強固さを示す実験結果で、実験的に配
管した全長30mの循環空輸系内(第5図)を、繰返し搬
送したときに生じる改質効果(導電性の水準)の低下の
程度を確認したものである。
第2表の結果によると、20回の繰返し搬送後であっても
その成形体が示す改質効果(導電性の水準)はほとんど
変化せず、発泡粒子表面にある改質材の固着さは、極め
て強固なものであることを実証している。そしてこの固
着の強固さが、成形体になるまでに受ける発泡粒子表面
の擦過に耐えて高水準の改質効果を持つ成形体を生み出
し、且つその成形体は実用時の改質効果の持続性を発揮
することになる根源である。
第1,2図に示す本発明の成形体の表面状態は成形工程に
供した二種類の発泡粒子の相違即ち、改質材の固着状態
が若干違う処の、二種類の発泡粒子に依る相違で、第2
図は、発泡粒子表面に融着した接着性樹脂皮膜を介して
改質材を包含した接着性樹脂の小片が融着固着している
状態の発泡粒子を用いた場合のもので、実験No.2の成形
体の表面状態をこれ等の代表として例示した。一方の第
1図は、上記第2図のものとして述べた発泡粒子の表面
を更に接着性樹脂の皮膜状物で固着補強した状態の発泡
粒子を用いた場合のもので、実験No.1の成形体の表面状
態を、これ等の代表として例示したものである。
この第1図と第2図との相違は、改質材を包含した接着
性樹脂の小片(黒く見える部分)の分散展開の仕方で、
発泡粒子の表面に対し第1図のものは網目状になる部分
をもって、第2図のものは点在する形が主体で、各々分
散展開している様子が示されている。
この分散展開状態の相違の発現は、発泡粒子が膨張した
際の、表面に固着している「改質材を包含した接着性樹
脂」部分の挙動にあり、第1図のものは伸張される要素
が大きかったことで網目状に、第2図のものは伸張され
る要素が小さかったことで点在状に、各々展開したもの
と推察される。そしてこの両者の特質は、第1図の網目
状のものは成形体を構成する各粒子表面部の、そのいず
れかで継がっている確率が高いことと継がりが切断され
難いことで、改質効果の高い成形体が、発泡倍率を高め
ても改質効果の水準を下げることなく発揮されるのに比
べ、第2図の点在状は、その継がっている確率が低く且
つ継がり部分が切断され易いことで、得られる成形体の
改質効果の水準も幾分低く、又発泡倍率の高まりにも改
質効果の水準の低下が生じ易くなっているものと推察さ
れる。
従って第1,2図の両者は共に本発明の「表面固着状態」
を代表するものがあるが、高い改質効果の水準を期待す
る観点からは、第1図の状態のものの方が望ましい。
更に第3表は、本発明に用いる発泡粒子はその表面に改
質材が固着された状態であっても、そのことで発泡粒子
の膨張性,溶融流動性,融合性等が低下しない特長があ
り、そのためにこれを型内成形に供した時は「融着性」
「外観品位」「圧縮永久歪」「繰り返し圧縮永久歪」等
の実用特性が、揃って満足できる成形体になり得ること
を示している。殊に、粘着テープに依る剥離テストに基
づく処の「改質物の定着状態」は成形体になった後での
改質材を含む接着性樹脂の成形体表面への定着状態を計
数化したもので、この評価が強固で優れる(10%)以下
の小さな値を示す)ことは、その改質効果の持続性(例
えば本発明で評価している耐摩擦性,耐水洗性,耐湿
度)が確保されることを示す代用特性でもあり、本発明
の成形体は、改質材を含むポリオレフィン系接着性樹脂
が粒子の表面に熱融着して固定されている発泡粒子で構
成されたものであることを示す構造指標でもある。それ
は例えば、仮に水性エマルジョンで形成された樹脂層が
ポリオレフィン系樹脂であった場合があったとしても、
このものは、上記剥離テストで評価される「改質物の定
着状態」は、良い場合でも20%を下廻ることはあり得
ず、100%と言う低い水準になることはあり得ない事実
に基づくものである。この第3表の対象試料は、円分A
グループのものは、丁度第4図のグラフIV,Vで示す成形
体の評価値であり、区分Bグループのものは、このAグ
ループでの改質材(カーボンブラック)を難燃剤に変更
したものである。
第3表の結果によると、本発明の成形体は3重量%もの
改質材を有していても、成形体としての実用特性が備わ
ったものになることを示している。尚この第3表に示さ
れる難燃剤入りの成形体は、共に優れた難燃改質効果を
示すものであることが確認されている。本発明の特許請
求の範囲記載第3,4項は、この第3表の結果に基づきそ
れに若干の所見を加えて表現されたものである。
以下本発明の「型内成形体の製造方法」の発明の構成要
件について説明する。
本発明の製造方法の中の発明としての主要部は、上記特
許請求の範囲第5項のの記載部分、即ち 上記発泡粒子の表面に改質材を定着させる方法が、高
剪断力混合下で、加熱調温されたポリオレフィン系樹脂
発泡粒子にポリオレフィン系接着性樹脂粉末を供給して
加熱混合し発泡粒子の表面に上記接着性樹脂を分散融着
させ、後その上に改質材微粉末を供給し加熱混合して当
該発泡粒子の表面に改質材を包含した上記接着性樹脂を
分散固着させる方法であること、 上記型内で行なう加熱は、上記発泡粒子の融点プラス
2℃から該融点プラス14℃の範囲の温度の水蒸気加熱で
あることである。
先ずの部分の重要性は、要するに第3,4図及び第2表
を用いて詳述した処の、本発明に有益な発泡粒子を得る
ためのものである。
即ち要するに「発泡粒子の表面に皮膜状に分散展開して
いる接着性樹脂を介して、改質材微粉末を包含した接着
性樹脂の小片が、当該発泡粒子の表面に分散固着してい
る処の発泡粒子」を完成させるためのもので、上記の
前半部分は、供給される接着性樹脂微粉末を発泡粒子の
表面に、無駄なく確実に均一に分散させ且つまぶしつけ
融着させる為のもので、発泡粒子の表面に接着性樹脂の
皮膜状物を形成させる工程に当る。そして続くの後半
部分は、供給された改質材微粉末が発泡粒子の表面にあ
る余剰の接着性樹脂にからめ取られまぶされ合いなが
ら、その接着性樹脂の流動性を減じて改質材微粉末を包
含した状態の接着性樹脂小片を形成し、その小片が上記
粒子表面に残った接着性樹脂皮膜を介して発泡粒子の表
面に強固に融着させる工程である。
このの工程は、熱に過敏な発泡粒子を基体としその加
熱混合を対象としているため、高剪断力混合機が生む局
部発熱や強制撹拌力,微粉末状の接着性樹脂が示す瞬時
の溶融性、及び混合順序の適正さを巧みに利用し完成さ
せたものである。
従って例えば、接着性樹脂や改質材の各微粉末の供給時
は、供給量を数回に分け時間をかけて少量づつ、段階的
に供給することが望ましい。
そして改質材微粉末を包含した状態の接着性樹脂が、小
片となって発泡粒子の全体を覆うように分散定着した段
階で混合機壁を冷却し、回転数を下げた撹拌を続けたま
ま発泡粒子の表面温度を接着性樹脂の融点以下の低い温
度に冷却し、上記分散定着した接着性樹脂小片を融着固
化させることが望ましい。このようにすれば、供給した
接着性樹脂及び改質材のほぼ全量が、粒子の表面に融着
した状態になり、混合機の壁面や回転体面に付着し汚染
するようなことがなく、供給した接着性樹脂や改質材が
ロスにならないし、供給量そのものでの管理で、得られ
る粒子の品質を調整できる利点もある。
上記と違う別の混合法では本発明の目的が達成されな
いことは、第1表にまとめ、これと対応する実施例・比
較例1に詳述してあるので、以下上記の混合融着をよ
り完全にするための有用な混合条件を説明する。
上記を完全にする加熱混合条件は、混合槽内で撹拌流
動中の発泡粒子の表面温度で[発泡粒子の融点マイナス
2℃〜対象とした接着性樹脂融点プラス2℃](但し発
泡粒子の融点−2℃>接着性樹脂の融点+2℃)の範囲
の温度とし、混合速度は周速で10m/sec以上の高速流動
下(高剪断力下)で行なうことになる。
この条件は温度等に過敏な発泡粒子の表面を軟化状態に
させながら、接着性樹脂微粉末をその粒子に融着させ更
に溶融した接着性樹脂をその粒子のほぼ全表面に流動分
散固着させる為の工夫で、発泡粒子表面と混合回転翼と
の間で生じる剪断・摩擦熱を利用する。使用する混合機
としては、ヘンシェルミキサ、スパーミキサー等の商品
名で市販されている高速度混合機を使用し、その機壁を
接着性樹脂の融点未満の温度(但し機内発泡粒子温度維
持が可能な温度)に冷却調温する。この調温は、接着性
樹脂を優先的に発泡粒子に付着させる効力がある。
殊に上記の工程で大事な所は、前半部の発泡粒子に接
着性樹脂をからみ付ける工程で、このからみ付きの強さ
を高める為には発泡粒子が軟化状態にあるときに接着性
樹脂と接触させることである。そのためには高温側の混
合条件を採用したいが、高温側では発泡粒子は大きく収
縮し、その融点に至っては発泡粒子の構造破壊が生じて
来る。従って発泡粒子の表面温度は発泡粒子の融点マイ
ナス5℃〜11℃の範囲の温度に止め(この温度で充分溶
融する接着性樹脂を用い)、混合速度の周速の方を15〜
25m/secに高めることである。このようにすれば、発泡
粒子の収縮が小さい状態で接着性樹脂との表面融着が強
固な発泡粒子が得られるので望ましい。この場合の接着
性樹脂量は使用した発泡粒子の表面を充分に覆う量であ
ることが望ましいので、接着性樹脂量を前後工程に分割
して用いる時は、接着性樹脂の全使用量の少なくとも5
分の1量はこの時点で供給される。
この様にして粒子の表面全体に強固な融着をした接着性
樹脂皮膜を持つ発泡粒子が形成されると、この上に配す
る改質材微粉末の供給形態は割合自由に選べることにな
る。具体的には改質材のみ或は残量の接着性樹脂と改質
材とを、同時,順次,交互に供給すること、又は改質材
微粉末と接着性樹脂微粉末とを予備混合した混合物とし
て供給すること等であるが、これ等はいずれも本発明で
言う「改質材微粉末を供給する」行為と同じ範疇のもの
である。但し中でも、発泡粒子の表面に改質材を包含す
る接着性樹脂の小片が定着した時点で、残量の接着性樹
脂を供給し、発泡粒子全体を皮膜状物で固着補強した状
態にする方法が望ましいことは、上述した通りである。
最も望ましくは、改質材微粉末と接着性樹脂微粉末とを
予備混合した混合物として供給する方法で、この方法の
利点は、その後の混合所要時間を半分以下に短縮させる
と共に、得られる成形体の改質効果を一段と(導電性効
果で約1桁以上)向上させることができる利点がある。
発泡粒子の重量に対する接着性樹脂の供給量は使用する
発泡粒子の発泡倍率(表面積)で変るが一般に前後の供
給量を合わせて、粒子重量の2〜10重量%、望ましくは
3〜7重量%である。そして前半にこの5分の1量から
3分の1量を供給し後半には、残りの4分の3量から3
分の2量を供給するようにした方が改質効果を充分発揮
させる上で望ましい。
本発明で用いる改質材の供給量(含有量と同等)は、改
質された発泡粒子又は改質された成形体の総量に占める
改質材の割合(重量%)の意味で、嵩体積の多いカーボ
ンブラックでは0.1〜3重量%、一般顔料や難燃剤では
0.1〜5重量%である。因みにこの範囲は粒子の表面に
効率良く定着できる量と、発現される効果の有効的な量
とから定められる。従って例えば上記カーボンブラック
と一般顔料との上限量の違いは、改質材の持つ表面積の
大きさの差によるものと考えられる。
更にこの加熱混合の対象とする発泡粒子は、発泡倍率が
3〜10倍の範囲から選ぶと良い。それは一般に型内成形
では目標とする成形体の発泡倍率に近い倍率の発泡粒子
を用いるのが基本であるが、本発明では必要な改質材量
を付着させるに充分な粒子表面積を確保したいこと、高
発泡倍率の発泡粒子ほど熱収縮が生り易く収縮量も大き
いことの理由から、低倍率側の発泡粒子が選ばれる。従
って本発明の場合は4〜6倍の倍率の発泡粒子に改質材
を固着融着させて用い、仮に高発泡倍率の成形体を必要
とする時は本発明の特長である処の「発泡粒子の倍率を
高めて行っても改質効果の低下は生じにくい」性質を利
用して、一旦発泡粒子の倍率を高めて成形に供する方法
を用いた方が、良質の成形体が得られて更に望ましい。
この様にして本発明では、発泡倍率が3〜40倍の広範囲
の成形体を得ることが出来る。上記した粒子に改質材を
定着させる方法・条件は、発泡粒子を対象にした場合に
ついて記載したが、この分散定着させる方法・条件その
ものは対象物を未発泡の樹脂粒子に置換えてもほぼその
まま適用することが出来る。この場合の利点は粒子の表
面への改質材の定着状態が一段と向上して表面美れいな
樹脂粒子が得られる。そしてそのことで発泡剤を含浸さ
せる工程、発泡工程等での改質材の脱落は完全に阻止で
きる。しかしその反面、発泡粒子にするときの発泡倍率
の向上に伴なう改質効果の低下現象が若干大きく、例え
ば発泡倍率が30倍を越えて大きくなると本発明の方法の
改質効果には及ばなくなる。しかし、改質効果の低い目
標物の製造には活用することが出来る。
次に上記製造方法の構成要件(型内成形時の加熱条
件)の必要性を説明する。
この必要性は、上述の「粒子表面の全体の改質材を包含
した接着性樹脂の小片が融点着固着」している発泡粒子
を、型内で充分に膨張させ、且つ強固に融着させる為の
条件である。
即ち型内での加熱が発泡粒子の融点+2℃未満では、粒
子の体積膨張が部分的に不充分になり粒子間にすき間が
生じたり、粒子間相互の融着が不充分になって成形体と
しての必要特性が悪化してしまう傾向にある。逆に発泡
粒子の融点プラス14℃を超える温度では、得られる成形
体にひけ不良が生じ易い。こうした両者の調和を図り良
質の成形体を得たいとする観点からは、型内での加熱温
度は、発泡粒子の融点プラス3℃から融点プラス11℃の
範囲の温度にすることが望ましい。そしてこの型内での
加熱は、所望温度の水蒸気を型内に吹き込んで、充填さ
れている発泡粒子に水蒸気が接触する処の、加熱水蒸気
に依る接触加熱法が採用される。この理由は、加熱時の
熱効率を高めること、及び型窩内の発泡粒子の膨張・融
着を促進させることにある。
尚本発明でいう発泡倍率は、重量(Wg)既知の試料の体
積(Vcc)を水没法で求め、その体積(Vcc)を重量(W
g)で除した値を倍率(cc/g)として示したものであ
る。
本発明で発泡粒子となるポリオレフィン系樹脂は、一般
にポリオレフィン樹脂と呼称される樹脂の総称である
が、その内で樹脂に発泡剤を加えて発泡させて発泡粒子
にし、その発泡粒子に膨張能を付与して型内に充填し、
加熱して前記膨張能を利用して、該粒子の膨張と融着と
を図り、発泡粒子が一体化した成形体とすることが出来
るポリオレフィン系樹脂を言う。具体的には例えば、
低,中,高密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレ
ン,線状超低密度ポリエチレン,エチレン−酢酸ビニル
共重合体等で代表されるエチレン系樹脂、ポリプロピレ
ン,共重合成分がエチレン,ブテン,1,4−2メチルペン
テンの一種以上であるプロピレンとの(ランダム及びブ
ロック)共重合体等で代表されるプロピレン系樹脂、又
はこれ等の樹脂の2種以上が配合された混合樹脂、或は
エチレン成分が主体で他成分が、塩化ビニル,エチルア
クリレート,メチルアクリレート,アクリル酸等の成分
である共重合・混合樹脂等である。
これ等の樹脂は発泡粒子にする前の段階で架橋して用い
ることもでき、無架橋のままで使用しても良い。発泡状
態をより安定化させたい観点からは、架橋したものの方
が良い。この架橋法は一般には、ジクミルパーオキサイ
ド等の過酸化物を樹脂内に含有させ、加熱して上記過酸
化物を分解させ、樹脂を架橋する方法が一般的である。
他方本発明で言うポリオレフィン系接着性樹脂は、発泡
粒子表面に対して接着力を持つポリオレフィン系樹脂の
総称である。しかしエマルジョン・タイプやサスペンシ
ョンタイプ等の水懸濁の状態にあるものは含まない。そ
の理由は本発明の対象は樹脂に熱融着させて使用し、強
靭で強固な膜質を活用しようとするためのものだからで
ある。
従って、上記した発泡粒子となるポリオレフィン系樹脂
と同じ品種名のものが使用できる。その他具体的には、
塩素化ポリエチレン,塩素化ポリプロピレンで代表され
る塩素化ポリオレフィン,アクリル酸エステル等の不飽
和エステルや同不飽和酸を共重合成分とするエチレンと
の共重合体等も使用できる。しかし一般実用上では発泡
粒子に使用した樹脂に比べて、低い融点を持つ樹脂が選
ばれるが、溶融時の流動性に優れる樹脂が選ばれるが、
溶融時の流動性に優れる樹脂を選ぶことにも注目した方
が良い。流動性の望ましくはM.I(ASTM D1238エチレン
系樹脂:条件E,プロピレン系樹脂:条件L)が10g/10分
から60g/10分の範囲のものを選ぶことである。又発泡粒
子との固着性を高める上では、発泡粒子にした樹脂と同
系の樹脂の中から選ぶことが望ましい。
又この接着性樹脂は微粉末の状態、具体的には平均粒度
で約100メッシュ(パス)以下の粉末状・鱗片状の微粉
末状態にして利用される。これは加熱混合時の発泡粒子
全体に広く分散し且つ容易に溶融する為のものである。
従ってこれ等は特別に粉砕し分級して用意することにな
る場合が多いが、この際例えばエチレン−酢酸ビニル共
重合体等の様な融点の低い樹脂は、粉砕が容易でないの
でその使用はさけた方が良い。
接着性樹脂の使用量は発泡粒子重量に対して約2〜10%
量(樹脂成分総量に占める接着性樹脂の割合を言う)
で、使用する発泡粒子の表面積や使用する改質材量に合
わせて選ばれる。接着性樹脂の使用量の過多は、得られ
る成形体の発泡倍率の低下に継がり、又成形体の特性を
悪化させるので注意した方が良い。
微粉末状で用いる改質材は、その改質の目的に応じて選
ばれる。
例えば改質の目的が導電性の付与であるときは、具体的
に例えばグラファイト,カーボンブラック,炭素繊維等
で代表される導電性物質の微粉末,銅,アルミニウム等
で代表される金属微粉末等が対象になるが、中でもカー
ボンブラック特にケッチェンブラック等で呼称される多
孔質構造のファーネスカーボンブラックは、発泡粒子表
面への固着操作が容易な上に、得られる導電性能が高い
ので望ましい。
又例えば改質の目的が難燃性の付与であるときは、例え
ばデカブロモジフェニルエーテル,テトラブロモビスフ
ェノールA等で代表される臭素系有機質難燃剤、パーク
ロロペンタシクロデカン,クロレンチック酸無水物等で
代表される塩素系有機質難燃剤、三酸化アンチモン等で
代表される無機質難燃剤等が用いられる。これ等は単独
又は二者以上の併用で用いることも多く、例えば三酸化
アンチモンと上記臭素系有機質難燃剤との組合せは、難
燃効果が大きく高められて望ましい。
更に例えば改質材が彩色用顔料であるときは、例えば一
般にポリオレフィン着色用顔料として市販されている有
機顔料、及び無機顔料が使用される。これ等は分散性を
高める上で分散剤と混入した加工顔料として使用するこ
ともあるが、分散剤の中には型内成形時の粒子間の融着
を悪化するものがあるので注意が必要である。従ってこ
んな場合は、ポリオレフィン系樹脂を分散媒体にして微
粉末状にした加工顔料を用いることが望ましい。
本発明で使用する評価方法を次に示す。
1)融着性 型内成形体を構成する発泡粒子相互の融着状態を評価す
るもので、縦横各290mm,厚さ25mmの成形体試料片に厚さ
方向に深さ1mmの切目を入れ、その切目を上部にして試
料片を折り曲げ厚さ方向に破断させる。この破断した断
面の全粒子個数に対して材料破壊している発泡粒子の個
数を百分率にして示す。
2)成形体の外観品位 2)−1 ヒケ 成形体隅部の成形寸法に対し中程度の成形寸法が不足し
ている現象を評価するもので、得られた成形体面の対角
両隅部に定規を水平に当て、成形体面との間に生じる間
隙の最大部の寸法を測り評価する。
2)−2 粒子間くぼみ 成形体表面部の発泡粒子間に生じるくぼみの程度を目視
と手ざわりで評価する。
3)成形体特性 成形体が弾性的緩衝性能を備えた発泡粒子であるとする
観点から次の2項目を評価する。
3)−1 圧縮永久性(%) 成形体に一定荷重が長時間に亘ってかけられたときの成
形体の歪量割合を示すもので、JISK6767の試験法に依り
評価。
3)−2 繰返し圧縮永久歪(%) 成形体に一定荷重がくり返してかけられたときの成形体
の歪量割合を示すもので、JIS K6767の試験法に依り評
価。
4)改質効果 発泡粒子の表面に定着させる改質材の特質によってその
改質効果が発揮されるものである。ここでは、導電性と
難燃性を改質効果の代表として扱う。
4)−1 導電性の水準 温度23℃,相対湿度50%の室内に24時間状態調節した成
形体の表面に、50mm間隔をもって当てた二本の電極端子
(5mmφ,先端部25mmR加工)間に生じる表面抵抗値を抵
抗計(印加電圧500V)で測定する。
尚抵抗計は求める抵抗値の水準によって次のものを使い
分ける。
4)−2 難燃性 FMVSS−302の試験法(但し試料厚さ5mm)に依り評価 5)導電性の維持性 5)−1 耐摩擦性 摩擦による導電性能の劣化を評価するもので摩擦条件
は、幅100mm×長さ25mmの樹脂板上に嵩密度25kg/m3,厚
さ10mmの軟質ポリウレタンを貼り、その上にガーゼを取
付けた摩擦素子を成形体上に密接させ、0.1kg/cm2の静
的応力下でストローク長150mm,30回/分の往復摩擦を50
0往復行ない、その処理前後の表面抵抗値の変化を評価
する。
5)−2 耐水洗性 水洗いに依る導電性能の劣化を評価するもので、水洗の
条件は中性洗剤[商品名ママローヤル(ライオン社
製)]の0.15体積%濃度の水溶液中で、軟質ウレタンス
ポンジ(嵩密度25Kg/m3)を用い成形体表面を50回洗浄
し、後水洗いして25℃の送風循環恒温槽内で24時間乾燥
させる。この洗浄処理前後の表面抵抗値の変化を評価す
る。
5)−3 耐湿度性 湿度に対する導電性の変化を評価するもので、温度23℃
で相互湿度が95%の場合と20%の場合の条件下に24時間
状態調節した成形体の、湿度の違いで生じる表面抵抗値
の変化を評価する。
(評価尺度);三者共通 R0:処理前(又は95%湿度)の値 R1:処理後(又は20%湿度)の値 6)改質物の定着状態 改質材を含む接着性樹脂が、成形体になった後もその表
面にどの程度強固に定着しているものであるかを評価す
るための指標である。
即ち透明プラスチック粘着テープ[商品名:ダンプロン
テープNo.375(日東工業社製)幅50mm,*下記方法で測
った粘着強さ230g/25mm幅]を評価したい成形体の表面
に長さ5cm以上に亘って空気を拘き込まないように貼合
し、その上をガーゼを介して強く押圧して擦る。そして
その密に貼合された部分のテープの上面に5mm間隔の碁
盤の目の標線(5cm×5cm)を入れ、この粘着テープを引
張剥離試験機(剥離角度180度、剥離速度30cm/秒)を用
い成形体表面から引き剥し、粘着テープに付着した改質
物の割合を下記評価尺度で評価する。従って成形体の表
面に定着している改質物そのものが少量で、当初から下
記評価条件を満さないもの、或は改質材が微粉末でない
もの(例えば液状の界面活性剤等)の場合は評価の対象
外となる。
評価条件;上記5mm間隔の碁盤の目内の面積の3分の1
以上に亘り、改質物が付着している目の数を数え、全体
の碁盤の目の数(100個)に占める割合(%)を求める
(評価は5箇所としその平均値で求める。) *粘着テープの粘着強さの測定 上記粘着テープの幅中央部より切り取った幅25mmの試験
片を清浄な透明ガラス板の表面に長さ5cm以上に亘って
空気を拘き込まないように貼合し、その上をガーゼを介
して強く押圧し擦る。この粘着テープを引張剥離試験機
(剥離角度180度、剥離速度10cm/分)を用いガラス板か
ら引き剥したときの平均強さ(g/25mm幅)を求め、試験
片数n=5の平均値を粘着強さとする。
[実施例] 以下本発明の内容を実施例を用いて詳述する。ここでは
記載内容の対比を単純明快にする為に、実施例に用いる
製造方法の工程順序及び工程条件は同じに揃えることに
したので、その基本とする方法条件を各工程別に明記す
る。
即ち以下に述べる実験は、特に記載した場合の他は、総
て次の或はの工程を経て、型内成形体に
したことを意味する。
樹脂粒子を架橋樹脂粒子にする工程 低密度ポリエチレン[サンテックLD,商品名;旭化成工
業社製,融点117℃]の細断品に水懸濁系でジクミルパ
ーオキサイドを含浸させ160℃で45分間加熱分解しゲル
分率50%(沸騰キシレン×8時間抽出)、平均粒径1.2m
mの架橋ポリエチレン樹脂粒子にする。
架橋樹脂粒子を発泡粒子にする工程 架橋樹脂粒子とジクロロジフルオロメタン液をオートク
レーブ内に入れ、攪拌しながら昇温して80℃で1時間上
記揮発性発泡剤を包浸した後、発泡装置に収容して圧力
0.55Kg/cm2・Gの水蒸気で40秒間加熱発泡し、発泡倍率
6cc/gの架橋ポリエチレン発泡粒子にする。
発泡粒子の発泡倍率を高める工程 発泡粒子をオートクレーブ内に収容し窒素ガス雰囲気下
で温度80℃,圧力15Kg/cm2・Gで8時間保持し再膨張能
を付与する処理を行った後、発泡装置に収納して圧力0.
65Kg/cm2・Gの水蒸気で20秒間加熱発泡し、発泡倍率27
cc/gの発泡粒子にする。
発泡粒子を型内成形体にする工程 発泡倍率27cc/gの発泡粒子(型内成形体の発泡倍率とほ
ぼ同等)を密閉容器に収納し常温の空気中で元の嵩体積
の63%(圧縮率37%)に加圧圧縮し、その状態を保持し
つつ水蒸気孔を有する型内成形金型内(内寸法300mm×3
00m×25mmt)に充填し、圧力1.4Kg/cm2・G(発泡粒子
の融点+9℃)の水蒸気で加熱して粒子相互を膨張・融
着させた後、冷却し型内成形体とする(尚この場合の成
形体の目標発泡倍率は25cc/gである)。
[実施例・比較例−1] この実験群は上記の工程迄を経て得た発泡粒子の表面
に微粉末状の改質材を定着させて目標とする改質効果を
得ることが、如何に困難な技術であるかを示すものであ
る。尚ここではその困難性の表現は便宜上、本発明の製
造方法を基本にし、その要件条件が外れた場合との比較
で示すことにした。又本発明に近い公知技術としては本
文従来技術に引用した四つの公開公報の技術の水準も参
考例に供した。
従って以下は、発泡粒子に改質材を定着させる方法条件
上の相違点に着目して、実験No別の違いを明示する。尚
この実験での基本条件を次に示す。
i)発泡粒子;発泡倍率6cc/g 1300g量 ii)接着性樹脂;低密度ポリエチレン(サンテックLD P
AK0025;旭化成工業社製,平均粒度40メッシュパス,融
点104℃)5重量% iii)改質材;導電性カーボンブラック[カーボンFC−P
600JD,商品名;ライオン社製]0.5重量% iv)使用混合機 iv−1)高剪断混合機[ヘンシェルミキサFM−20B,商品
名;三井三池化工機社製] 容積;20l 回転翼速度;インバーター式無段変速 温度検出位置;デフレクタ先端(J型1.5mmφ検出端) 温度指示計;ディジタル温度指示計 (RKCDP−20A,商品名;理化学工業社製) iv−2)低剪断混合機[リボンブレンダーRB20,商品
名;佐竹化学機械工業社製] 容積;20l 回転翼速度;50回転/分 温度検出位置;機壁より20mm槽内部 (J型1.5mmφ検出端) 温度指示計;iv−1と同仕様 実験No.1(実施例) 機壁ジャケット部を106℃に調温したiv−1の混合機に
iの発泡粒子を供給し、混合機の回転を1400回/分(周
速19.4m/sec相当)にして高剪断混合し発泡粒子の表面
温度(デフレーターに付帯の検出端による)を106℃に
高め、上記ジャケット部温を70℃〜75℃の範囲に冷却調
温して上記発泡粒子の表面温度の維持につとめた。その
状態で接着性樹脂の30%量を少量づつ1分間を要して混
合槽粒子上に連続的に注入供給し4分間混合して、該粒
子表面に接着性樹脂をからませた。
その後、上記と同じ注入供給要領で改質材の全量を供給
して1分間混合し、当該粒子表面の接着性樹脂に改質材
をまぶし付け、からみ合わさせた後残り70%量の接着性
樹脂を上記と同じ注入供給要領で供給し、更に5分間混
合した。改質材注入後の混合で発泡粒子の表面温度を10
6℃±1℃に維持するには、ジャケット温度は一旦80℃
に高め順次70℃迄下げる温調が必要であった。
上記混合後、混合機の回転を500回/分(周速6.9m/sec
相当)に減速すると共に、ジャケット温度を20℃に調節
して、発泡粒子の表面温度を95℃になるまで6分間冷却
して取出した。得られた発泡粒子は、その表面全体に、
改質材を包含した状態の接着性樹脂の小片が、一面にま
ぶされて強固に固着していた。処理後の発泡粒子は、上
記の工程を得て型内成形体とした。
実験No.2(実施例) 接触性樹脂と改質材との注入供給と、注入供給後の混合
時間を、接着性樹脂全量供給後4分間混合と、改質材全
量供給後4分間混合の二段階に変更した他は、上記実験
No.1と同じ実験を繰返した。
得られた発泡粒子の外観は一見、実験No.1のものと違い
はないが、良く見ると接着性樹脂に包含されている改質
材のからまり方が、若干粗に見えた。
実験No.3(比較例) 発泡粒子と接着性樹脂との混合のタイミングを、加温混
合されていない状態の発泡粒子に接着性樹脂を混合する
ことに変更すること、即ち常温下で発泡粒子と接着性樹
脂の全量とをプレミックスした状態の混合物を、ジャケ
ット温度70℃のiv−1の混合機に供給し、混合時の剪断
発熱でその発泡粒子の表面温度を106℃にすること、前
後の混合時間を各々15分に延長して混合を良くする方向
に変更した他は、実験No.2と同じ実験をくり返した。
得られた発泡粒子は、粒子表面に部分的に改質材とから
まった接着性樹脂の固着が認められたがその固定は脆弱
であった。又取出した発泡粒子の中には、直径0.5〜3mm
程度の改質材と接着性樹脂との混合物の固まりが散見さ
れた。
実験No.4(比較例) 接着性樹脂を使用しない場合の実験、即ち106℃に混合
昇温した状態の発泡粒子に、直接改質材を供給して15分
間混合するように変更した他は、実験No.2と同じ実験を
くり返した。
得られた粒子は、その表面に薄く改質材が付着していた
が、微粉末状態の改質材も多く取出された。
実験No.5(比較例) 接着性樹脂をペレット状(1mmφ×1mm長)のエチレン−
酢酸ビニル共重合体[融点95℃,酢酸ビニル含量12%,M
I12g/10分]に、前後の混合時間を各々15分に延長して
混合を良くする方向に変更することの他は実験No.2と同
じ実験をくり返した。
得られた粒子は、その表面に部分的に改質材が付着して
おり、付着量は全体として少なかった。又取出された発
泡粒子の中には、表面を改質材で覆われた接着性樹脂の
固まりが散見され、微粉末の改質材も多く存在してい
た。
実験No.6(比較例) 接着性樹脂の注入供給を溶融状態にした接着性樹脂に変
更すること、即ち接着性樹脂を予めホットメルトアプリ
ケーター内で、106℃の溶融状態にしておき、口径2mmの
吐出口から流動供給するように変更することの他は、実
験No.2の実験をくり返した。
得られた粒子は、実験No.3のものと実験No.4のものとが
混在した様な状態で、混合機の回転翼には、接着性樹脂
を介して改質材が相当量付着している現象がみられた。
実験No.7(比較例) 流動供給する接着性樹脂内に改質材の全量を予め混合し
ておくこと、混合段階を一段階にすること、混合時間を
20分に延長して混合を良くする方向にすることの変更を
する他は、実験No.2と同じ実験をくり返した。
得られた粒子は、その表面には改質材の固着がほとんど
見られず、改質材を包含した接着性樹脂の小片が発泡粒
子の内に散在していた。
実験No.8(比較例) 接着性樹脂の形態を常温,粘稠状態のものに変更するこ
と、即ち接着性樹脂をエチレン−酢酸ビニル共重合体
[融点92℃,酢酸ビニル含量14%,MI15g/10分]のもの
にし、トルエン400cc内に溶解した状態のものに変更す
ることの他は、実験No.2と同じ実験をくり返した。
得られた粒子は、実験No.3と類似していた。但し散見さ
れる改質材と接着性樹脂との固まりは、接着性樹脂の表
面に改質材が固着した状態のものが多く、又固まりも直
径が3〜10mmと大きいものであった。
実験No.9(比較例) 接着性樹脂の形態を塗料状態(実験No.8の接着性樹脂に
改質材を混合した状態)のものにし、且つ混合を1段階
に変更すること、即ち実験No.8の接着性樹脂のトルエン
量を600ccとし、改質材をその溶液中に分散させた液状
物に変え、混合段階を1段階に変更するようにした他
は、実験No.2と同じ実験をくり返した。
得られた粒子は、その表面の全面に改質材を含む接着性
樹脂が薄く固定した状態のものであった。
但し、混合機の機壁や回転翼には黒く見えるほど、改質
材と接着性樹脂の塗膜が形成されていた。
実験No.10(比較例) 接着性樹脂を用いず、その代りに発泡粒子の表面を膨潤
させ、そこに改質材を定着させようとする工夫、即ち接
着性樹脂の注入供給の代りにトルエン200cの噴霧に変
え、その時の混合時間を2分に短縮変更することの他
は、実験No.2と同じ実験をくり返した。
得られた粒子は、表面に付着している改質材の量状態は
実験No.4のものに比べ改善されて見えたが、発泡粒子の
収縮が大きく、しわの発生が目立つ他、微粉末状態の改
質材はまだ多く存在していた。
実験No.11(比較例) 接着性樹脂と改質材の混合を良くしておきたいとする工
夫、即ち両者の微粉末を予め充分に混合しておいたもの
に変更することと、混合を1段階にし、混合時間を15分
に延長することの他は、実験No.2の実験をくり返した。
得られた粒子は、その表面は実験No.4よりも改質材の付
着が少なく且つ接着性樹脂の固定も認められず、供給さ
れた改質材と接着性樹脂混合物のほとんどはそのままの
状態で取出されて来た。
実験No.12(比較例) 実験No.11と同類の改良工夫で、実験No.11との相違点
は、接着性樹脂と改質材との混合物の部分を、改質材を
溶融状態にした接着性樹脂に混練分散し、この混合固形
物を粉砕して得た微粉末品(粒度40メッシュパス)のも
のに変更することの他は、実験No.11と同じ実験をくり
返した。
得られた粒子は、その表面に改質材の付着は全く認めら
れず、供給した混合体微粉末のほとんどは直径0.5〜1mm
の固まりになって取出された。
実験No.13(比較例) 高剪断力混合を用いない場合のもの、即ち混合機の回転
を200回/分(周速2.8m/sec相当)にし発泡粒子の表面
温度はジャケットからの101〜105℃の加熱で保つように
変更すること、接着性樹脂をエチレン−酢酸ビニル共重
合体微粉末[融点95℃,酢酸ビニル含量12%,MI12g/10
分,粒度40メッシュパス]に変更することの他は、実験
No.2の実験をくり返した。
得られた粒子は、その表面に改質材を包含した接着性樹
脂小片がまばらに付いていたが、供給した改質材と接着
性樹脂量の約半量は機壁面に付着してしまっていた。
実験No.14(比較例) 高剪断力混合を用いない場合の別仕様の混合機を用いた
時のもの、即ち混合機をiv−2のものにし、回転翼の回
転数を50回/分に、発泡粒子の表面温度維持はジャケッ
トからの104〜106℃の加熱にして、改質材の固着を図ろ
うとする変更をした他は、実験No.2の実験をくり返し
た。
得られた粒子は、実験No.13のものより幾分悪い他、機
壁面や回転体に付着する改質材・接着性樹脂の量は、そ
の供給量の約3分の2にも及んでいた。
実験No.15(参考例) 発泡粒子に改質材を定着する工程全体を特開昭59-16919
9号公報実施例1の記載のものに変更したものである。
即ち改質材を定着させる工程全体を、発泡粒子400gの表
面に改質処理液[改質材微粉末(ドナカーボS244、商品
名;大日本インキ社製)63重量%、界面活性剤(ドデシ
ルベンゼンスルフォン酸ソーダー1重量%、水36重量%
の液状混合物)]83.3gを、タンブラー方式で付着させ
る。これを乾燥した後、本文上記の工程条件を用い
て型内成形体を作成した。この変更は対象樹脂がポリス
チレン(公開の方法)に比べポリスチレン(本発明)と
相違していることにある。
実験No.16(参考例) 改質材の表面定着工程を特開昭63-125537号公報の記載
のものに変更したもの、即ち処理対象の粒子を、前記
工程で得た架橋樹脂700gに、改質材を界面活性剤帯電防
止剤[第4級アンモニウム塩(カチオンAB);日本油脂
社製]の7gに、高剪断混合回転数を1730回/分(周速24
m/sec)に、樹脂粒子の表面温度を110℃に各々変更し
て、軟化状態で混合されている樹脂粒子の表面に上記改
質材(帯電防止剤)を定着させるように設定して、本公
報実施例の記載を追試した。但しこの実験では対象粒子
をポリエチレンに変更しているので一段階で50倍発泡を
行なうことは不可能であるし、発泡剤の含浸条件や発泡
条件及び成形条件等も本公報記載のポリスチレン対象の
ものとは変るのでこれ等はすべて本願上記工程に
記載の条件を採用することにして、型内成形体を得るよ
うに努めた。
実験No.17(比較例) 改質材の表面定着工程を特開昭63-275648号公報実施例
−2記載の追試をした。即ち内容量1.5lのオートクレー
ブ内に水500gを媒体にして上記工程で得た架橋樹脂粒
子250gr,改質材[帯電防止剤:ポリオキシエチレンアル
キル脂肪アミン;商品名「デノン311L」:丸菱油化工業
製)25grを懸濁せしめ、90℃まで1時間で昇温し、昇温
後オートクレーブを窒素で5Kg/cm2Gまで加圧し、この状
態を2時間維持した。次いでオートクレーブを30分かけ
て常温にまで冷却し圧力を大気圧にもどした。この処理
後の粒子は本文上記のの工程を経て発泡倍率25倍
の成形体とした。この変更は対象樹脂の密度が相違して
いることにある。
実験No.17′(参考例) 改質材の表面定着工程を特開昭60-195134号公報(実施
例2)記載を再現しようとしたもの、即ち処理対象の粒
子には前記工程で得た発泡倍率27cc/gのポリエチレン
発泡粒子を、接着性樹脂には酢酸ビニル系エマルジョン
(ダイセル化学工業製,商品名「セビアンA22126」)
を、導電性微粉末には、天然鱗片黒鉛粉末(日本黒鉛工
業製,商品名「CSPE」とカーボンブラック(ライオン
(株)社製,商品名ケッチェンブラックEC」と炭素繊維
(東邦レーヨン社製,商品名「CFミルドファイバー」)
との3者を、各々3:1:1の割合でプレミックスしたもの
を、ミキサーには低剪断混合機iv−2を採用するように
して、同公報実施例−2の条件を極力忠実に再現させる
様に努めた。但しこの実験では対象粒子をポリエチレン
に、発泡倍率を27cc/gに各々変更(本願実施例と対比の
ため)しているのでこのことでの条件の相違は、別の公
報即ち特開昭58-92540号公報の実施例の記載を参考にし
ながら最適条件を探りつつ、改質材処理した発泡粒子を
得た。型内成形体は本願実施例の記載に順じ発泡倍率25
cc/gの成形体を得た。得られた成形体は本発明品より黒
々としており外観上は粒子の融着も完全であるかのよう
に見えた。
只、作業に供した混合機の内部、及び型内壁は黒く汚染
していたし、得られた粒子や成形体も、これに触れると
手等に改質材が転移する等、改質材の定着性の悪さが目
立ったこと、及び処理後の乾燥に12時間もかかったこと
が印象的であった。
得られた実験No.1〜17′の成形体について、本文記載の
方法で融着性,外観品位,導電性の水準,導電性の維持
性,改質材の定着状態とを評価し、その結果を第1表に
まとめた。尚この際、改質材定着工程の観測結果や、成
形体としての特記を備考欄に要約した。
第1表の結果が示すように、改質材微粉末を定着させた
い対象物を発泡粒子とするときのその加熱混合は、高剪
断力下の発熱を利用する混合手段を用いることが必要で
(実験No.1,2と、同No.13,14との関係)、しかもこの高
剪断力の発熱を有効に活用するには、先ず対象発泡粒子
がその高剪断力下ですでに加熱されてある処に微粉末状
の接着性樹脂をまぶし付けその上に改質材微粉末を供給
すると言う順序を採用することの必要性が、様々な比較
例との関係で明確にされている。即ち例えば、実験No.3
は発泡粒子が加熱されていないとき、実験No.4は接着性
樹脂を欠如したとき、実験No.5〜9は接着性樹脂が微粉
末形態でないとき、実験No.10は発泡粒子表面を膨潤さ
せたとき、実験No.11,12は混合の順序を外したとき等の
関係を示すもので、いずれも改質材微粉末の表面定着が
不充分となり、期待する改質効果(導電性の水準)が得
られないばかりでなく、改質効果の持続性(導電性の持
続性)は、望むべくもないものになることが示されてい
る。
更に第1表では別途、特開昭59-169119号公報(実験No.
15),特開63-125537号公報(実験No.16),特開昭63-2
75648号公報(実験No.17),特開昭60-195134号公報
(実験No.17′)の内容のものを参考例として提示して
いる。この結果は従来技術の現状水準を示すものであ
る。即ち、実験No.15のものは、改質材が定着しておら
ず改質効果は認められない。実験No.16,17は、改質効果
は得られても、その効果の維持性は全く期待できない。
このところの本発明の成形品との相違は、成形体表面に
定着している処の改質材が、カーボンブラック(本発
明)であるか、界面活性剤(参考例)であるかの差であ
る。実験No.17′は、初期の改質効果では本発明品を上
廻る。しかしその効果の維持性は極めて悪く、容易に脱
落してしまうし、成形体としての品質は悪い。この実験
No.17′と本発明品との差は、改質材の定着手段がエマ
ルジョン樹脂膜による実験No.17′と、熱融着膜による
本発明品との相違で、その違いの程度は「改質物の定着
状態」の値の差を構造指示にして明確に区別することが
できる。
以上、第1表の結果によると、本発明は、得られる改質
効果の水準が極めて高く且つその効果に持続性があると
言う効果の面で現状の技術水準から卓越し、優れた発明
であると言える。しかもこの効果の発現は、現状の技術
水準から想到できる方法・条件のものではなく、独創的
発想に基づいて完成されたものであることを比較例群の
結果が示している。
[実施例・比較例−2] この実験群は、本発明の方法で採用できる改質材の量と
得られる改質効果の関係を例示するものである。この実
験は結果的に本発明で言う成形体の、成形体に含有する
改質材量と改質効果との関係を示すことになる。従って
比較品には練込方法のものを供することにしている。
(実験No.18〜21;いずれも実施例) 実施例・比較例1の実験No.1のカーボン使用量を、0.3,
1.0,2.0,3.0重量%に各々変更することの他は、実験No.
1と同じ実験をくり返し、型内成形体を得た。
(実験No.22〜25;いずれも実施例) 同じ実験No.1に対し、カーボン種を「導電性カーボンブ
ラック#3250(商品名;三菱化成社製)に、そしてその
使用量を0.5,1.0,2.0,3.0重量%に各々変更することの
他は、実験No.1と同じ実験をくり返して型内成形体を得
た。
(実験No.26〜29;いずれも比較例) 同じ実験No.1に対し、カーボンの使い方を工程に入る
前の段階の樹脂内にカーボンの各々0,1.0,2.0,3.0重量
%を直接、充分に混練しておく方法に変更した他は実験
No.1と同じ実験をくり返し、型内成形体を得た。
得られた実験No.18〜29の成形体は、実験No.1のものと
共に本文記載の方法で各々表面抵抗値(Ω)を評価し、
その結果を系別に整理して第3図にまとめた。
即ち第3図は、縦軸に導電性の水準(成形体の表面抵抗
値Ω)を、横軸には成形体に含有する改質材量(カーボ
ンの重量%)を表す。図中の番号は各々の実験No.を示
す。よってグラフI,IIは本発明の実施例でカーボン種の
違うもの、グラフIIIは練り込みの比較品を示すことに
なる。
第3図の結果によると、本発明によれば、改質材量が3
重量%は充分に採用することが可能であり、得られる改
質効果[導電性の水準]は104Ωの水準は確保できる。
この改質効果は、採用するカーボン種や、カーボン量に
よって変化するが、導電性の水準を1×103Ω以下にす
る改質効果は容易に達成することが出来、1015Ωの改質
効果が生じない練込品(グラフIII)とはその効果を異
にすることが分る。
この第3図に示す効果は、表面に改質材が固着した状態
の発泡粒子相互が、密に融着し一体化されて示す効果で
あり、本発明によって初めて公開される画期的な効果と
言える。
[実施例−3] この実験は本発明の製造に使用する「表面に改質材を固
着した発泡粒子」の持つ最大の特長、即ち、発泡粒子の
発泡倍率を順次高めてもその改質効果の低下現象は小さ
いと言う特長を実証するものである。換言すれば上記発
泡粒子の特長を利用して型内成形体を得れば、広範囲の
発泡倍率の成形体が用途目的に合わせて自由に得られる
と言う本発明の製造方法の利点を示すものであり、更に
得られる成形体が改質効果を保持した状態であると言う
成形体の特質を実証することにもなる。
即ち、実施例・比較例−1の実験No.1,2に対し、工程
の「発泡倍率を高める」為の加圧窒素を追添する条件を
変更して、各々の発泡倍率を5,10,15,21,32cc/gの発泡
粒子を作成し、これを成形体にすることに変更すること
の他は、実験No.1,2の実験をくり返した。この際実験N
o.1の方のくり返しで得た成形体側を順に実験No.30〜34
とし、実験No.2の方のくり返しの成形体側を順に実験N
o.35〜39の番号を付した。得られた成形体の各々の表面
抵抗を本文記載の方法で評価し、その結果を実験No.1,2
のものと共にまとめたものが第4図である。従って、第
4図のグラフIVは実験No.1の系統の発泡粒子の、グラフ
Vは実験No.2の系統の発泡粒子の、各々発泡倍率を順次
高めておいて得た成形体の発泡倍率とその成形体が示す
改質効果[導電性の水準]との関係を示している。
この第4図の結果によると、本発明に用いる実験No.1,2
の発泡粒子は、その発泡倍率を高めてこれを成形体とし
ても、得られる成形体の改質効果の低下は小さく、導電
性の水準で1×104〜1×1013Ωの性能は充分に保持し
た成形体になることを示している。殊に実験No.1の系統
の発泡粒子の方は、発泡倍率を高めても改質効果の低下
は極めて小さく、より広い発泡倍率の範囲の成形体にす
るのに適していることが判る。
実験No.1,2の成形体の表面状態を拡大して示したもの
が、各々第1,2図である。この両者の相違は、改質材を
包含した接着性樹脂の小片(黒く見える部分)の分散展
開の仕方が、第2図(実験No.2)の方は点在する形のも
のが立体的であるのに比べ、第1図(実験No.1)の方は
網目状になる部分を持って展開しているとの相違と観る
ことが出来る。即ち実験No.1側の方は発泡倍率が高めら
れても、発泡粒子相互が融着して成形体になった場合、
この網目状の部分がどこかで結合している確率が実験N
o.2のものに比べて高く、このことが高い導電性を保持
することになるものと推定される。
上記第4図に示す効果は、本発明が示す特異な現象効果
であり、本発明の最大の特長を示すものである。
[実施例−4] この実験は本発明に使用する「表面に改質材を固着した
発泡粒子」の別の大きな特長、即ち改質材の固着状態の
堅牢性を示すものである。つまり型内成形に供する発泡
粒子は、その移送,型内への充填時に加圧気体で搬送さ
れることになるので、この搬送時の堅牢性が、得られる
成形体の改質効果の発現の鍵となる。こうした観点でこ
の実験は計画されている。即ち実験No.1,2(発泡倍率27
倍)の発泡粒子を成形に供する前に、第5図に示す全長
30mの循環空輸系内を5,10,20回に亘って繰返し搬送して
おき、これを成形に供するようにする他は、実験No.1,2
の実験をくり返した。この場合の搬送条件は、第5図に
於て配管内径は100mm,長さ30m(水平部10m×2,立ち上り
部4m,6m),風速10m/秒,空気と粒子の混合比3:1であ
る。
得られた成形体の改質効果の水準(導電性の水準)を繰
返し搬送の回数別にまとめたものが第2表である。
第2表の結果によると、実験No.1,2に用いた発泡粒子
は、共に繰返し搬送による改質効果の低下は極めて小さ
く、強固な表面固着状態を有していることが実証されて
いる。この第2表に示す効果は、本発明の方法で得られ
る成形体が、優れた改質効果を保有し、且つ持続させる
根底になるものと考えられる。
[実施例−5] この実験は、本発明の方法で得られた成形体は、その成
形体としての構造強度,外観品位,及び成形体特性を兼
備した状態のものであること、即ち実用特性を備えた状
態で改質効果が発揮されたものであることを実証するも
のである。
即ち改質効果が導電性である場合をAグループとし、そ
の代表例として実験No.31,33,34及び実験No.36,38,39を
選んでこれに供した。一方改質効果が難燃性である場合
をBグループとし、このものには上記実験No.31,33,34
のものと対応するように、改質材をデカブロモジフェニ
ルエーテル[商品名;ビロガードSP200AW(第一工業製
薬社製)]6.9重量%と三酸化アンチモン(日本鉱業社
製)0.3重量%との混合物に、接着性樹脂量を8重量%
に変更することの他は、上記実験No.31,33,34と同じ実
験をくり返し、得られた成形体に、各々実験No.40,41,4
2を付し実験に供した。
対象とする合計9種類の成形体について、本文記載の方
法で、融着性,外観品位,圧縮永久歪,繰返し圧縮永久
歪とを評価し、各々の改質効果(導電性又は難燃性)の
評価と併せて第3表にまとめた。
第3表の結果によると、本発明で得られた成形体は、成
形体としての実用特性をすべて兼備し、その上で改質効
果(導電性又は難燃性)を高水準に備えた、有用性の高
い成形体であることが実証されている。
[実施例−6]=実験No.50 この実施例は、本発明の製造方法の最も望ましい態様の
1つを示すものである。その主要点は改質材を発泡粒子
に固着させる時の、接着性樹脂と改質材の供給方法にあ
る。
対比を明確にするために実験No.1と同類の実験をした。
この場合の実験No.1との条件上の相違点は、 i)加熱された発泡粒子に全体の30%量の接着性樹脂を
供給混合した後の、改質材(カーボンブラック)と残り
70%量の接着性樹脂との供給の方法を、この両者を予め
予備混合(プレミックス)した状態の混合物にして供給
する方法に変更すること、 ii)上記混合物供給後の混合時間を、5分から3分に短
縮変更すること の2点であり、他は実験No.1と同じ実験をくり返した。
得られた成形体について、本文記載の方法で融着性,外
観品位,圧縮永久歪,繰返し永久歪,導電性の水準,導
電性の維持性,及び改質材の定着状態を評価し、実験N
o.1の結果と比較してみた。
他の評価結果は実験No.50の方が実験No.1のものより幾
分優れる程度で大差はなかったが、導電性の水準は約10
0倍と極めて高まることが判明した。この効果は、混合
時間を短縮できる効果と併せて得られる点で注目され
る。
[発明の効果] 以上詳述して明らかにしたきた通り、本発明の製造方法
は上述の構成を持つことにより、その表面に強固に改質
材を固着した処の発泡粒子を、型内で膨張・融着させる
ことを可能にする利点を有している。この利点は得られ
た成形体として評価したとき、高い水準の改質効果(導
電性,難燃性)を持続して保持することが出来、それで
いて成形体としての実用特性が損なわれていないと言う
おどろくべき効果を具現させている。従って本発明は、
従来渇望されていながらその実現が不可能であった改質
効果の卓越した実用成形体を、業界に初めて提供するも
のである。又本発明の製造方法は、エマルジョン樹脂の
付着方法に比べて混合機や金型等を汚染することがな
く、長時間に亘る乾燥時間が不要で、ごく短時間に改質
材の定着を完了することができる利点がある。よって本
発明は産業界に果す役割が極めて高い、優れた発明であ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図,第2図は改質材を包含する接着性樹脂小片(黒
い部分)の型内成形体表面への付着状態(第1図は網目
状の部分、第2図は点在する部分)を示す顕微鏡写真
(約150倍)、第3図,第4図は実験結果図、第5図は
実験装置図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 507:04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機質または有機質の微粉末である改質材
    が粒子の表面に定着しているポリオレフィン系樹脂発泡
    粒子で成る型内成形体において、 上記改質材は、改質材を包含したポリオレフィン系接着
    性樹脂を介して発泡粒子表面に定着したものであり、ポ
    リオレフィン系接着性樹脂を介した改質材の成形体にお
    ける定着は、粘着テープに依る剥離テストの値で10%以
    下の低い値を示す強固な定着状態であり、その成形体を
    構成する発泡粒子間の融着性は80%以上の値を示し、且
    つ成形体として測った25%圧縮時の圧縮永久歪は6%未
    満の値を有するものであることを特徴とするポリオレフ
    ィン系樹脂型内成形体。
  2. 【請求項2】無機質または有機質の微粉末である改質材
    が粒子の表面に定着しているポリオレフィン系樹脂発泡
    粒子で成る型内成形体において、 上記改質材は、改質材を包含したポリオレフィン系接着
    性樹脂を介して発泡粒子表面に定着したものであり、上
    記改質材は微粉末のカーボンブラックであって、その含
    有量は樹脂量に対し3〜0.1重量%の値で、カーボンブ
    ラックを含むポリオレフィン系接着性樹脂を介したカー
    ボンブラックの成形体における定着は、粘着テープに依
    る剥離テストの値で10%以下の低い値を示す強固な定着
    状態であり、その成形体を構成する発泡粒子間の融着性
    は80%以上の値を示し、且つ成形体として測った25%圧
    縮時の圧縮永久歪は6%未満の値を有するものであり、
    その成形体が示す表面抵抗値は1×104Ω〜1×1013Ω
    の範囲にあることを特徴とするポリオレフィン系樹脂型
    内成形体。
  3. 【請求項3】無機質または有機質の微粉末である改質材
    が粒子の表面に定着しているポリオレフィン系樹脂発泡
    粒子で成る型内成形体において、 上記改質材は、改質材を包含したポリオレフィン系接着
    性樹脂を介して発泡粒子表面に定着したものであり、上
    記改質材は微粉末の難燃剤であって、その含有量は樹脂
    量に対し5〜0.1重量%の値で、難燃剤を含むポリオレ
    フィン系接着性樹脂を介した難燃剤の成形体における定
    着は、粘着テープに依る剥離テストの値で10%以下の低
    い値を示す強固な定着状態であり、その成形体を構成す
    る発泡粒子間の融着性は80%以上の値を示し、且つ成形
    体として測った25%圧縮時の圧縮永久歪は6%未満の値
    を有するものであることを特徴とするポリオレフィン系
    樹脂型内成形体。
  4. 【請求項4】無機質または有機質の微粉末である改質材
    が粒子の表面に定着しているポリオレフィン系樹脂発泡
    粒子で成る型内成形体において、 上記改質材は、改質材を包含したポリオレフィン系接着
    性樹脂を介して発泡粒子表面に定着したものであり、上
    記改質材は、彩色用顔料であって、その含有量は樹脂量
    に対し5〜0.1重量%の値で、顔料を含むポリオレフィ
    ン系接着性樹脂を介した彩色用顔料の成形体における定
    着は、粘着テープに依る剥離テストの値で10%以下の低
    い値を示す強固な定着状態であり、その成形体を構成す
    る発泡粒子間の融着性は80%以上の値を示し、且つ成形
    体として測った25%圧縮時の圧縮永久歪は6%未満の値
    を有するものであることを特徴とするポリオレフィン系
    樹脂型内成形体。
  5. 【請求項5】粒子の表面に無機質または有機質の微粉末
    である改質材を定着させた発泡粒子であって、上記改質
    材は、改質材を包含したポリオレフィン系接着性樹脂を
    介して発泡粒子表面に定着したものである発泡粒子を、
    型内に充填し加熱して発泡粒子相互を膨張・融着させて
    成形体にするポリオレフィン系樹脂型内成形体の製造方
    法において、 上記発泡粒子の表面に改質材を定着させる方法が、高
    剪断力混合下で、加熱調温されたポリオレフィン系樹脂
    発泡粒子にポリオレフィン系接着性樹脂微粉末を供給し
    て加熱混合し発泡粒子の表面に上記接着性樹脂を分散融
    着させ、後その上に改質材微粉末を供給し加熱混合して
    当該発泡粒子の表面に改質材を包含した上記接着性樹脂
    を分散固着させる方法であること、 上記型内で行う加熱は、上記発泡粒子の融点プラス2
    ℃から該融点プラス14℃の範囲の温度の水蒸気加熱であ
    ること、 を特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡粒子に依る型内
    成形体の製造方法。
JP2270347A 1990-05-16 1990-10-11 ポリオレフィン系樹脂型内成形体及びその製造方法 Expired - Fee Related JPH0753381B2 (ja)

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