JPH0753381A - 局所投与可能な亜鉛フタロシアニン組成物 - Google Patents

局所投与可能な亜鉛フタロシアニン組成物

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JPH0753381A
JPH0753381A JP6148914A JP14891494A JPH0753381A JP H0753381 A JPH0753381 A JP H0753381A JP 6148914 A JP6148914 A JP 6148914A JP 14891494 A JP14891494 A JP 14891494A JP H0753381 A JPH0753381 A JP H0753381A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 局所投与可能な亜鉛フタロシアニン組成物を
提供する。 【構成】 局所投与可能な医薬組成物は、(A)亜鉛フ
タロシアニン錯体、(B)該錯体に対する担体として、
(i)該錯体に対する医薬的に許容され得る補助溶剤と
共にN−アルキルピロリドン、(ii)該錯体に対する医
薬的に許容され得る補助溶剤と共にジメチルスルホキシ
ド又はその混合物、(iii )リポソーム、又は(iv)該
錯体に対する医薬的に許容し得る塩と共にN,N−ジア
ルキルベンズアミド又はその混合物、およびゲル化剤を
含んでなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は乾癬の治療に特に有用で
ある局所投与可能な亜鉛フタロシアニン医薬組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】腫瘍の治療に対する光力学化学療法にお
ける亜鉛フタロシアニン錯体の治療的使用は公知であ
る。J.D.スパイク、Photochem.Phot
obiol,43,691(1986)は、水性懸濁液
の形で生体内でマウス又はラットに腹腔内に亜鉛フタロ
シアニン錯体の投与並びに動物に誘発された癌に高エネ
ルギー光、好ましくはレーザーからの濃厚可視光を照射
することを記載している。
【0003】ヒトの治療における腹腔内投与の使用は、
腹腔を刺すことによる痛みの問題および(医者の熟練に
関する多大の要求をもたらす。従って、択一的非経口用
量形態を見出すことが試みられてきたがこの形態は患者
により許容され得るものであるが、しかし亜鉛フタロシ
アニン錯体の全身性分布を確保できるものである。ヨー
ロッパ特許0451103において、特に腫瘍の治療に
使用するための、亜鉛フタロシアニン錯体及び1種又は
それ以上の合成リン脂質を含んで成る静脈内投与可能リ
ポソームが記載されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】今や以下の内容が見出さ
れた。すなわち、ヒトの皮膚に亜鉛フタロシアニン錯体
の局所投与は、処置される皮膚への照射が高増殖基底細
胞層を殺す光力学治療による乾癬の如き高増殖皮膚の治
療において錯体の使用を促進するため表皮内へ錯体の侵
入をもたらし得る。錯体の局所投与は全皮膚を光感作す
る必要性を避け;局所組成物は皮膚の感染された領域に
のみ適用される必要がある。
【0005】亜鉛フタロシアニン錯体の局所投与可能な
用量の製剤は、皮膚侵入を示さない多くの可溶化剤と錯
体との問題の多い混合物であることが判明した。以上以
下の内容が見出された:すなわち、本発明によれば、錯
体を或る種の選択された担体と配合することにより、安
定的な局所的に投与可能なゲルを製造でき、このゲルは
光力学療法による、高増殖疾患例えば乾癬の治療におい
て使用されるべきそれに対し満足な皮膚侵入を示す。
【0006】従って、本発明は局所投与可能な医薬組成
物を提供しこの組成物は、(A)亜鉛フタロシアニン錯
体、(B)該錯体に対する担体として、(i)該錯体に
対する医薬的に許容され得る補助溶剤と共にN−アルキ
ルピロリドン、(ii)該錯体に対する医薬的に許容され
得る補助溶剤と共にジメチルスルホキシド又はその混合
物、(iii )リポソーム、又は(iv)該錯体に対する医
薬的に許容し得る塩と共にN,N−ジアルキルベンズア
ミド又はその混合物、および(C)ゲル化剤を含んでな
る。
【0007】本発明は又、先に定義した如き錯体
(A)、担体(B)およびゲル化剤(C)を混合するこ
とを含んでなる、局所投与可能組成物の製造方法を提供
する。更に本発明は乾癬の治療における医薬の製造にお
ける亜鉛フタロシアニン錯体の使用を提供する。担体
(B)が、補助溶剤と共にN−アルキルピロリドンであ
る場合、N−アルキルピロリドンは一般にN−(C1
20アルキル)ピロリドンであり、ここでC1 −C20
ルキル基は例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ
プロピル、n−ブチル、イソブチル、第三ブチル、n−
ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチ
ル、n−オチクル、n−エチルヘキシル、n−デシル、
n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、
n−オクタデシル又はn−ユイコシルであってよい。好
ましくは、n−アルキルピロリドンはN−(C1 −C4
アルキル)ピロリドン、特にN−メチル−2−ピロリド
ンである。
【0008】N−アルキルピロリドン、N,N−ジアル
キルベンズアミド又はジメチルスルホキシドと共に使用
できる、亜鉛フタロシアニン錯体に対する適当な医薬と
して許容され得る補助溶剤には、ポリアルキレングリコ
ール例えばポリエチレングリコール、1個のヒドロキシ
基を含有するエーテル(グリコールモノエーテル)、例
えばジエチレングリコールモノエチルエーテル、複素環
式エーテル、例えばテトラヒドロフランおよびそれらの
混合物が含まれる。好ましくは、補助溶剤は200〜1
000、特に300〜500の分子量を有するポリエチ
レングリコールである。
【0009】補助溶剤に対するN−アルキルピロリドン
の重量比は、例えば2:1〜1:00である。好ましく
は、この重量比は1:1〜1:50、特に1:2〜1:
20である。N−アルキルピロリドンの量は、組成物の
0.1〜40重量%、好ましくは1〜20重量%、特に
5〜10重量%である。ジメチルスルホキシドが錯体に
対する医薬として許容され得る補助溶剤と共に用いられ
る場合、補助溶剤に対するジメチルスルホキシドの重量
比は、一般に100:1〜1:50、例えば100:1
〜1:20であってよい。
【0010】ジメチルスルホキシドの量は、組成物の一
般に1〜99重量%、例えば50〜90重量%であって
よい。担体(B)がリポソームである場合、錯体(A)
は一般にリポソーム内に封入される、すなわち脂質二層
内に含ましめられる。リポソームは好ましくはリン脂質
を含んでなりこれはホスファチジルコリン脂質又はホス
ファチジルセリン脂質であり、これは好ましくは90%
以上、特に95%以上の純度である。より好ましくは、
リポソームは次式I:
【0011】
【化4】
【0012】(式中、R1 は偶数の炭素原子を有するC
10−C20アルカノイルであり、R2 は偶数の炭素原子を
有するC10−C20アルケノイルであり、Ra ,Rb およ
びRcは水素又はC1 −C4 アルキルでありそしてnは
2〜4の整数である)で表わされる合成の、実質的に純
粋なリン脂質を含んでなる。式Iのリン脂質において、
偶数の炭素原子を有するC10−C20アルカノイルとして
のR1 は好ましくはn−ドデカノイル、n−テトラデカ
ノイル、n−ヘキサデカノイル、n−オクタデカノイル
又はn−エイコサノイルである。
【0013】偶数の炭素原子を有するC10−C20アルケ
ノイルとしてのR2 は、好ましくは9−シス−ドデセノ
イル,9−シス−テトラデセノイル、9−シス−ヘキサ
デセノイル、6−シス−オクタデセノイル、6−トラン
ス−オクタデセノイル、9−シス−オクタデセノイル、
9−トランス−オクタデセノイル、11−シス−オクタ
デセノイル又は9−シス−エイコサノイルである。式I
のリン脂質において、Ra ,Rb およびRc は好まし
くはC1 −C4 アルキル、特にメチルである。
【0014】式Iにおいて、nは2〜4の整数、好まし
くは2である。式−(Cn −H2n)−の基は未分枝又は
分枝アルキレンであり、例えば1,1−エチレン、1,
1−,1,2−又は1,3−プロピレン又は1,2−,
1,3−又は1,4−ブチレンである。1,2−エチレ
ン(n=2)が好ましい。式Iの特に好ましいリン脂質
において、R1 はn−ドデカノイル、n−テトラデカノ
イル、n−ヘキサデカノイル又はn−オクタデカノイル
でありそしてR2は9−シス−ドデセノイル、9−シス
−テトラデセノイル、9−シス−ヘキサデセノイル、9
−シス−オクタデセノイル又は9−シス−エイユセノイ
ルであり、Ra ,Rb およびRc はメチルでありそして
nは2である。
【0015】式Iの非常に特に好ましいリン脂質は、好
ましくは90%以上、特に95%以上の純度を有する、
合成の1−n−ヘキサデカノイル−2−(9−シス−オ
クタデセノイル)−3−sn−ホスファチジルコリンで
ある。特に好ましいリポソームは、次式II:
【0016】
【化5】
【0017】(式中、R3 およびR4 は互いに独立に、
偶数の炭素原子を有するC10−C20アルケノイルであ
り、nは1〜3の整数でありそしてY+ は医薬として許
容され得る塩基のカチオンである)で表わされる合成
の、実質的に純粋なリン脂質と組合される式Iのリン脂
質を含んでなる。
【0018】式IIのリン脂質において、偶数の炭素原子
を有するC10−C20アルケノイルとしてのR3 及びR4
は、好ましくは9−シス−ドデセノイル,9−シス−テ
トラデセノイル、9−シス−ヘキサデセノイル、6−シ
ス−オクタデセノイル、6−トランス−オクタデセノイ
ル、9−シス−オクタデセノイル、9−トランス−オク
タデセノイル、11−シス−オクタデセノイル又は9−
シス−エコセノイルである。
【0019】医薬として許容され得る塩基のカチオンY
+ は、例えばアルカリ金属イオン、例えばリチウム、ナ
トリウム又はカリウムイオン、アンモニウムイオン、モ
ノ−,ジ−又はトリ−C1 −C4 アルキルアンモニウム
イオン、例えばトリメチル−、エチル−、ジエチル−又
はトリエチル−アンモニウムイオン、テトラメチルアン
モニウムイオン、2−ヒドロキシエチル−トリ−C1
4 アルキル−アンモニウムイオン、例えばコリンカチ
オン、又は2−ヒドロキシエチルアンモニウムイオン、
又は塩基アミノ酸例えばリシン又はアルギニンのカチオ
ンである。Y+は好ましくはナトリウムイオンである。
【0020】式IIの特に好ましいリン脂質において、R
3 およびR4 は同一であり、そして例えば9−シス−ド
デセノイル,9−シス−テトラデセノイル、9−シス−
ヘキサデセノイル、9−シス−オクタデセノイル又は9
−シス−エイコセノイルであり、nは1でありそしてY
+ はナトリウムイオンである。式IIの特に好ましいリン
脂質は、90%以上、特に95%以上の純度を有する、
合成のナトリウム1,2−ジ(9−シス−オクタデセノ
イル)−3−sn−ホスファチジルS−セリンである。
【0021】担体(B)として使用するための好ましい
リポソームは、公知の方法により製造できる。例えば所
望により式IIのリン脂質と組合せられる式Iのリン脂質
を含んでなるリポソームは、ヨーロッパ特許04511
03に記載の如く製造される。通常の酸化防止剤、例え
ばトコフェロールはリポソームに配合できる。担体
(B)がリポソームである場合、亜鉛フタロシアニン錯
体(A)はリポソーム中に、リン脂質の0.1〜5重量
%、好ましくは0.1〜2重量%の量で一般に存在す
る。式Iと式IIの脂質脂質の混合物を用いる場合、式II
の脂質に対する式Iのリン脂質の重量比は、一般に6
0:40〜95:5、好ましくは70:30〜9:1
0、特に80:20〜90:10である。リポソームは
一般に局所投与可能組成物の1〜50重量%、好ましく
は20〜30重量%の量で存在する。
【0022】担体(B)がN,N−ジアルキルベンズア
ミドである場合、それはベンゼン環が未置換であるか、
又は好ましくは特にC1 −C4 アルキルにより置換され
るN,N−ジ(C1 −C4 アルキル)ベンズアミドであ
る。そのようなベンズアミドは商業的に入手可能である
か、又は公知方法を用いて製造できる。特に好ましいそ
のような担体(これは商業的に入手可能である)は、
N,N−ジエチル−m−トルアミドである。ジアルキル
ベンズアミドは好ましくは、先に記載された如き、錯体
に対する医薬として許容され得る補助溶剤と共に使用さ
れる。補助溶剤に対するジアルキルベンズアミドの重量
比は、例えば1:1〜1:100、好ましくは1:2〜
1:20、特に1:4〜1:15であってよい。N,N
−ジアルキルベンズアミドの量は一般に組成物の1〜8
0重量%、好ましくは5〜50重量%、特に5〜30重
量%である。
【0023】ゲル化剤(C)は好ましくは有機ゲル−形
成ポリマー、例えばセルロース系ポリマー、デンプン、
ゼラチン又はエチレン系不飽和物質と架橋し得るビニ
ル、例えばアクリルポリマーである。好ましい有機ポリ
マーは、セルロース系ポリマー、例えばセルロース、ア
ルキルセルロース例えばメチルセルロース又はエチルセ
ルロース、ヒドロキシアルキルセルロース例えばヒドロ
キシエチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロー
ス、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース例えばヒド
ロキシプロピルエチルセルロース、又はカルボキシアル
キルセルロース例えばカルボキシメチルセルロース、お
よびアクリルポリマー例えばアクリル酸又はメタクリル
酸のコポリマーでありそしてこれらの酸はエチレン系不
飽和モノマー、好ましくはアリルエーテル例えばペンタ
エリトリトール又はスクロースのアリルエーテルと架橋
し得る。
【0024】ゲル化剤は担体と適合すべきであることは
当業者に明白である。例えば、担体がN−アルキルピロ
リドンベースのカルボキシ−含有ゲル成形ポリマー例え
ばアクリル酸である場合、ポリマーは通常は担体と適合
しない。担体が、前記の如き補助溶剤とN−アクキルピ
ロリドンの混合物、又は所望により前記の如き補助溶剤
と共にN,N−ジアルキルベンズアミドである場合、特
に好ましいゲル化剤はヒドロキシプロピルセルロースお
よびカルボキシメチルセルロースである。担体が、所望
により補助溶剤と共にジメチルスルホキシド、又はリポ
ソームである場合、特に好ましいゲル化剤はアリルエー
テル、ヒドロキシプロピルセルロース又はカルボキシメ
チルセルロースで架橋されたアクリル酸ポリマーであ
る。担体がリポソームである場合、水が一般に組成物中
に含まれ水性ゲル−形成混合物を与える。
【0025】組成物中に配合される任意の賦形剤には、
防腐剤例えばエタノール、ベゾコート、通常p−ヒドロ
キシ安息香酸のエステル、例えばメチル、エチル、n−
プロピル、n−ブチル又はベンジルエステル又はエステ
ルのナトリウム塩が含まれる。本発明の組成物中の亜鉛
フタロシアニン錯体の量は、一般に0.0001〜0.
5重量%、より典型的には0.001〜0.1重量%、
好ましくは0.005〜0.1重量%である。適当なゲ
ル−成形組成物を得るための他の所望の成分の量は、先
に記載した内容を考慮して簡単な実験により容易に決定
できる。
【0026】担体(B)が、N−アルキルピロリドンお
よび補助溶剤の混合物、又は任意の補助溶剤と共にジメ
チルスルホキシド、又は任意の補助溶剤と共にN,N−
ジアルキルベンズアミドである場合、本発明の組成物は
亜鉛フタロシアニン錯体を担体中に溶解し、得られた溶
液をゲル化剤および所望の賦形剤と混合し、所望により
加熱して均質組成物を達成するか又は塩基を添加してア
クリル酸ポリマーを中和し、次いで組成物を冷却し、所
望により均質性を達成するため加熱してゲル形成を完結
することにより製造できる。
【0027】亜鉛フタロシアニン錯体をリポソーム担体
中に配合する場合、本発明の組成物はゲル化剤を水中に
溶解し、所望の賦形剤および錯体を含有するリポソーム
を添加し次いで成分を共に混合することによって製造で
きる。ゲル化剤が、アクリル酸ポリマーである場合、混
合後、又は好ましくは混合しながら塩基を添加して中和
とゲル形成を完結する。
【0028】本発明の組成物は、治療的に有効量の亜鉛
フタロシアニン錯体を与えるため患者の体の感染された
領域に局所的に投与できる。従って、錯体含有ゲルは、
所望により皮膚を洗浄し乾癬板状鱗屑を除去した後、常
法により感染領域に適用できる。亜鉛フタロシアニンの
皮膚内への侵入は、ゲルの適用後感染領域上に吸蔵バリ
ヤーを設けることにより増加され得る。ある場合、ゲル
の1回の適用は、感染皮膚内への十分な亜鉛フタロシア
ニンの吸収を得るため十分であろう、一方ある場合、幾
つかの適用が必要とされるであろう。亜鉛フタロシアニ
ンを吸収せしめる後時間、例えば1〜24時間後、感染
領域は可視電磁腺、好ましくは少なくとも600nm、特
に650〜700nmの波長を有する電磁腺により照射で
きる。照射源は、例えば600nmより長い波長の光を通
すフィルターを備えたランプであってよい。適当な照射
源及び適当な照射用量は、当業者により容易に決定でき
る。
【0029】本発明を次の実施例により説明する。ここ
において部は特に言及しない限り重量部である。
【0030】
【実施例】例1 N−メチル−2−ピロリドン(5.0部)に溶解した亜
鉛フタロシアニン(0.025部)の溶液を、分子量4
00(108.3部)を有するポリエチレングリコール
と混合する。ヒドロキシプロピルセルロース(1.5
部)を加え次いで混られた混合物を溶液が形成されるま
で80℃で加熱する。溶液を室温に冷却し、澄明な均質
のゲルを形成する。
【0031】ヒトの皮膚へのゲルからの亜鉛フタロシア
ニン錯体の侵入は、随意の腹プラスチック手術から得ら
れるヒトの皮膚へゲルのサンプルを適用し、次いで24
時間後、処置した皮膚を共焦点顕微鏡に委ね、角質層、
表皮および真皮内の亜鉛フタロシアニン錯体に対する平
均蛍光強度を得ることにより測定される。μm2 当たり
の平均ピクセル強度として表わされる、未処置皮膚に対
するブランク値を減じた後のこれらの強度は、角質層に
おいて104.7、表皮において54.7そして真皮に
おいて2.5である。これは以下の内容を示す:すなわ
ち著るしい量の錯体が基底細胞層内に侵入しているが、
しかし真皮内には侵入しておらず、その結果ゲルは光力
学療法による乾癬の治療において局所投与に対し適当で
ある。
【0032】例2 第三ブタノール(100ml)に溶解したα−トコフェロ
ール(1g)の溶液に、60℃で90−100%の純粋
な1−n−ヘキサデカノイル−2−(9−シス−オクタ
デセノイル)−3−sn−ホスファチジルコリン(9
g)および95−100%の純粋なナトリウム1,2−
ジ(9−シス−オクタデセノイル)−3−sn−ホスフ
ァチジルS−セリン(1g)を加える。溶解が完結する
と、60℃に予備加熱したN−メチル−2−ピロリドン
(3ml)に溶解した亜鉛フタロシアニン(100mg)の
溶液を加える。
【0033】リポソームを形成するため動的ミキサーを
用い、得られた溶液を水性ラクトース溶液(1.5l,
94.7g/lのα−D−ラクトース−水和物および2
70mg/mlの塩化ナトリウムを含有、pH4.1)と混合
する。得られた分散液を240mlに濃縮し次いでフイル
トロン限外濾過装置を用い4℃で0.16μm濾過ラク
トース溶液2.4lに対し透析し、200mlに濃縮し次
いでライボック(Lyovac)GT4凍結乾燥器を用
い凍結乾燥する。リポソームを−20℃で凍結乾燥ケー
クとして保存しそして必要な時蒸留水(1.5ml)を加
えることにより再構成する。
【0034】エタノール(10部)および水(69.5
部)に溶解したB.F.グッドリッチから入手可能なア
リルエーテルで架橋されたアクリル酸ポリマー(カルボ
ポール934P)の溶液に、溶液のpHが7になるまでジ
エチルアミンを加える。再構成したリポソーム(18
部)を、それが澄明なゲル(これは光力学療法により乾
癬の治療において局所投与用に適当である)を形成し始
める前に、加えそして溶液と完全に混合する。
【0035】ヒトの皮膚へのゲルからの亜鉛フタロシア
ニンの侵入を例1における如く測定する。μm2 当たり
平均ピクセル強度として表わされる、平均蛍光強度は角
質層において86.3、表皮において28.4そして真
皮において4.4である。これは以下の内容を示してい
る:すなわち、著しい量の錯体が基底細胞層内に侵入し
たがしかし真皮内には侵入せず、その結果ゲルは光力学
療法による乾癬の治療において局所投与用として適当で
ある。
【0036】例3 カルボポール934P(1部)を、ジメチルスルホキシ
ド(98.99部)に溶解した亜鉛フタロシアニン錯体
(0.01部)の溶液に加えそして混合物を均質になる
まで攪拌する。ジエチルアミンを加えpHを7に高め、し
かる後澄明なゲルが得られこれは光力学による高増殖皮
膚療法の治療において局所的に投与できる。
【0037】例4 亜鉛フタロシアニン錯体(0.01部)をジメチルスル
ホキシド(50部)に溶解する。溶液に、分子量400
のポリエチレングリコール(47部)を加える。ヒドロ
キシプロピルセルロース(3部)を加え次いで混合物を
均質になるまで80℃で加熱する。混合物を室温に冷却
すると、ゲルが得られこれは光力学療法による高増殖皮
膚疾患の治療において局所的に適用できる。
【0038】例5 125μg/mlの錯体を含有するN,N−ジエチル−m
−トルアミド(15部)に溶解した亜鉛フタロシアニン
錯体の溶液を、分子量400(96.9部)を有するポ
リエチレングリコールと混合する。中性度の等級のヒド
ロキシプロピルセルロース(1.5部)を加え、得られ
た混合物を、溶液が形成するまで80℃で加熱する。溶
液を室温に放冷し、澄明な均質ゲルを形成し、このゲル
は光力学療法による高増殖皮膚疾患の治療において局所
的に適用できる。
【0039】例6 62.5μg/mlの錯体を含有するN,N−ジエチル−
m−トリアミド(7.5部)に溶解した亜鉛フタロシア
ニン錯体の溶液を、分子量400(105.5部)を有
するポリエチレングリコールと混合する。中程度の等級
のヒドロキシプロピルセルロース(3部)を加え、得ら
れた混合物を、溶液が形成するまで80℃で加熱する。
溶液を室温に放冷し、澄明な均質ゲルを形成する。
【0040】ヒトの皮膚内へのゲルからの亜鉛フタロシ
アニン錯体の侵入を、皮膚採取器で皮膚の薄片を切り取
りそしてテープハク離して角質層を除き乾癬の皮膚の状
態を刺激した、随意の腹プラスチック手術から得られる
ヒトの皮膚にゲルのサンプルを適用し次いでフランズ
(Franz)拡散細胞内に処理皮膚サンプルを34℃
で24時間マウントすることによって測定する。次いで
皮膚を除去しそして乾燥しそして表皮を、クリーグマン
およびクリストファーズ(Arch−Dermato
l.88,702−705,1963)の加熱分離技術
を用い真皮から分散する。表皮および真皮内に侵入して
いた亜鉛フタロシアニンの抽出を、表皮および真皮サン
プルに0.5mlのN−メチル−2−ピロリドンを加え次
いで混合物5時間攪拌することにより行う。得られた抽
出物を蛍光分析に委ね、N−メチル−2−ピロリドン中
の亜鉛フタロシアニンに対する標準曲線を用いそれらの
亜鉛フタロシアニン含量を測定する。これらの含量か
ら、表皮および真皮中の亜鉛フタロシアニンの濃度を測
定する。表皮内の濃度は650ng/cm2 でありそして真
皮内の濃度は138ng/cm2 である。これらの結果は、
ゲルが光力学による乾癬の治療において局所的適用にお
いて適当であることを示している。
【0041】例7 例6をくりかえす。但し例6で用いた亜鉛フタロシアニ
ン溶液の代りに125μg/mlの錯体を含有するN−メ
チル−2−ピロリドン(5部)に溶解した亜鉛フタロシ
アニン錯体の溶液を用いそして108.3部のポリエチ
レングリコールおよび1.5部のヒドロキシエチルセル
ロースを用いる。結果は表皮内に727ng/cm2 および
真皮内に22ng/cm2 の亜鉛フタロシアニン濃度を示
し、これはゲルが光力学の乾癬の治療において局所投与
用に適していることを示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/16 E 47/20 B E 47/22 B E 47/32 F 47/34 G 47/38 F (72)発明者 ウィリアム ガイ ラブ イギリス国,アールエイチ12 2エヌワ イ,サセックス,ホーシャム,ラシャムス ロード 79 (72)発明者 ブリギット カタリーナ エンリカ ファ ン デル ザンデン オランダ国,3581 アン ウトレクト,80 ビス,ナクテガールストラート(番地な し)

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 局所投与可能な医薬組成物であって、
    (A)亜鉛フタロシアニン錯体、(B)該錯体に対する
    担体として、(i)該錯体に対する医薬的に許容され得
    る補助溶剤と共にN−アルキルピロリドン、(ii)該錯
    体に対する医薬的に許容され得る補助溶剤と共にジメチ
    ルスルホキシド又はその混合物、(iii)リポソーム、
    又は(iv)該錯体に対する医薬的に許容し得る塩と共に
    N,N−ジアルキルベンズアミド又はその混合物、およ
    び(C)ゲル化剤を含んでなる、前記医薬組成物。
  2. 【請求項2】 (B)が錯体に対する医薬として許容さ
    れ得る補助溶剤と共にN−(C1 −C4 アルキル)ピロ
    リドンである、請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 N−(C1 −C4 アルキル)ピロリドン
    がN−メチル−2−ピロリドンである、請求項2記載の
    組成物。
  4. 【請求項4】 N−アルキルピロリドン、ジメチルスル
    ホキシド又はN,N−ジアルキルベンズアミドと共に用
    いられる補助溶剤が、200〜1000の分子量を有す
    るポリエチレングリコールである、請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 補助溶剤に対するN−アルキルピロリド
    ンの重量比が2:1〜1:100である、請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 N−アルキルピロリドンの量が、組成物
    の0.1〜40重量%である、請求項1〜5のいずれか
    1項に記載の組成物。
  7. 【請求項7】 (B)がリポソームでありここにおいて
    錯体(A)は封入されている、請求項1記載の組成物。
  8. 【請求項8】 リポソームが、所望により組合される次
    式II: 【化1】 (式中、R3 およびR4 は互いに独立に、偶数の炭素原
    子を有するC10−C20アルケノイルであり、nは1〜3
    の整数でありそしてY+ は医薬として許容され得る塩基
    のカチオンである)で表わされる合成の、実質的に純粋
    なリン脂質および次式I: 【化2】 (式中、R1 は偶数の炭素原子を有するC10−C20アル
    カノイルであり、R2 は偶数の炭素原子を有するC10
    20アルケノイルであり、Ra ,Rb およびRcは水素
    又はC1 −C4 アルキルでありそしてnは1〜4の整数
    である)で表わされる合成の、実質的に純粋なリン脂質
    を含んでなる、請求項7記載の組成物。
  9. 【請求項9】 式Iのリン脂質が1−n−ヘキサデカノ
    イル−2−(9−シス−オクタデセノイル)−3−sn
    −ホスファチジルコリンであり、式II: 【化3】 のリン脂質がナトリウム 1,2−ジ(9−シス−オク
    タデセノイル)−3−sn−ホスファチジルS−セリン
    である、請求項8記載の組成物。
  10. 【請求項10】 亜鉛フタロシアニン錯体が、リポソー
    ム中リン脂質の0.1〜5重量%で存在する、請求項7
    〜9のいずれ1項に記載の組成物。
  11. 【請求項11】 担体(B)が、錯体に対する医薬とし
    て許容され得る補助溶剤と共にN,N−ジ(C1 −C4
    アルキル)ベンズアミド(ここにおいてベンゼン環はC
    1 −C4 アルキルにより置換されている)又はその混合
    物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成
    物。
  12. 【請求項12】 N,N−ジ(C1 −C4 アルキル)ベ
    ンズアミドがN,N−ジエチル−m−トルアミドであ
    る、請求項11記載の組成物。
  13. 【請求項13】 補助溶剤に対するジアルキルベンズア
    ミドの重量比が1:1〜1:00である、請求項11又
    は12記載の組成物。
  14. 【請求項14】 ジアルキルベンズアミドの量が、組成
    物の1〜80重量%である、請求項11〜13のいずれ
    か1項に記載の医薬組成物。
  15. 【請求項15】 ゲル化剤が、セルロース系ポリマー又
    はアクリルポリマーである、請求項1〜14のいずれか
    1項に記載の組成物。
  16. 【請求項16】 担体(B)が錯体に対する補助溶剤と
    共にN−アルキルピロリドンの混合物、又は錯体に対す
    る所望の補助溶剤と共にN,N−ジアルキルベンズアミ
    ドであり、そしてゲル化剤(C)がヒドロキシプロピル
    セルロース又はカルボキシメチル セルロースである
    か;又は担体(B)が錯体に対する所望の補助溶剤と共
    にジメチルスルホキシド、又はリポソームでありそして
    ゲル化剤(C)がアリルエーテルで架橋されたアクリル
    酸ポリマー、ヒドロキシプロピル セルロース又はカル
    ボキシメチル セルロースである、請求項15記載の組
    成物。
  17. 【請求項17】 担体(B)がリポソームでありそして
    組成物が又水性ゲル−形成混合物を与えるため水を含有
    する、請求項1,7〜10,15および16のいずれか
    1項に記載の組成物。
  18. 【請求項18】 存在する亜鉛フタロシアニン錯体の量
    が、組成物の0.0001〜0.5重量%である、請求
    項1〜17のいずれか1項記載の組成物。
  19. 【請求項19】 乾癬の治療用医薬の製造における亜鉛
    フタロシアニン錯体の使用。
JP6148914A 1993-07-09 1994-06-30 局所投与可能な亜鉛フタロシアニン組成物 Pending JPH0753381A (ja)

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