JPH0753357A - 貼付剤 - Google Patents

貼付剤

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JPH0753357A
JPH0753357A JP21685093A JP21685093A JPH0753357A JP H0753357 A JPH0753357 A JP H0753357A JP 21685093 A JP21685093 A JP 21685093A JP 21685093 A JP21685093 A JP 21685093A JP H0753357 A JPH0753357 A JP H0753357A
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pressure
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Nagafumi Hidaka
修文 日高
Toshifumi Murakami
敏史 村上
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 経皮吸収性に優れ、徐放性で薬物の血中濃度
の安定しており、取扱い性、安定性の改善された違和感
の少ない貼付剤を提供すること 【構成】 (イ)水分半透過性で、フィルムの2方向の
強度、伸度、伸度比および厚みの特定されたフィルム
(a層)、(ロ)単糸の直径および目付けの特定された
布帛(b層)および(ハ)厚みの特定された薬物含有粘
着剤層(c層)を必須要素として含み、下記(1)〜
(4)の特性を満足する貼付剤。 (1)厚み40〜250 μm、(2)水分蒸散量7〜40mg/
日・cm2 、(3)a層とb層との層間剥離力3〜45mg/m
m 、(4)直交する2方向の伸長弾性率が8〜50g/mm2
で少なくとも1方向の伸長弾性率は8〜35g/mm2

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は徐放化された経皮投与用
医薬貼付剤に関し、更に詳しくは、本発明は柔軟な支持
体と薬物を含有する粘着剤を有し、かつ特定の伸長弾性
率をもつ、安全性の高い、徐放性に優れた取り扱いやす
い貼付剤に関する。
【0002】本発明は循環器系疾患、なかでも特に狭心
症、不整脈等の心疾患の予防及び改善に有用な硝酸エス
テル類含有貼付剤に関する。
【0003】本発明はまた更年期障害、骨粗鬆症、アル
ツハイマー痴呆症等の閉経後の女性に多く観察される障
害の予防、及び改善に有用なエストラジオール含有貼付
剤に関する。
【0004】本発明は、更に、術後、各種癌、心筋梗塞
症、麻酔補助、腰痛症、慢性関節リウマチ、外傷、抜歯
後等の鎮痛、特に各種癌に伴う疼痛の鎮痛に有用なブプ
レノルフィン含有貼付剤に関する。
【0005】
【従来の技術】医薬品の開発においては、優れた薬効を
もつ新規な化合物を開発することと同時に、これら新規
化合物や既に医薬品として使用されている化合物の効果
を、更に高めるために剤型を変更したり、投与形態を最
適化することが種々検討されている。
【0006】例えば、医薬品の体内における有効持続時
間のパラメーターでもある半減期の短い医薬品の持続時
間を長くするという目的から、医薬品を最小有効濃度以
上、最大安全濃度以下の濃度即ち、有効血中濃度域で薬
効成分が長時間に亘って人体へ吸収されるようないわゆ
る徐放化製剤の開発が活発に行われている。
【0007】徐放化製剤の一例として、軟膏、スプレー
塗布など経皮吸収用製剤がある。これらの製剤は目分量
で皮膚へ塗るため、投与量が一定せず、また衣服等に軟
膏などが付着し汚れるといった問題がある。
【0008】かかる欠点の改善策として薬物を、粘着剤
中に一定量含有させ、一定の大きさに成型したテープ
剤、貼付剤がある(例えば特開昭57―116011号
公報、特開昭58―134020号公報参照)。
【0009】テープ剤、貼付剤を用いる方法によれば、
軟膏やスプレー塗布等の方法で起る多くの問題点が解決
できる。
【0010】また薬物を経皮的に投与したときは、肝臓
で薬物の代謝を受け薬効が消失するいわゆる肝代謝を受
ける割合が経口的に投与した場合に比較して顕著に軽減
できることも判っており、したがってテープ剤、貼付剤
(以下貼付剤と称す)は薬物が経皮吸収する性質を有し
ている場合、非常に優れた薬物投与形態である。
【0011】しかしながら、かかる貼付剤が多用される
につれて従来の貼付剤についていくつかの問題があるこ
とも明らかとなってきた。
【0012】かかる問題のうち、最も発生頻度が多いの
が貼付剤を貼った患者の貼付部位に発生する皮膚カブレ
である。一般に、徐放性製剤は慢性疾患の患者に投与す
ることが多く、したがって貼付剤を繰り返し長期間に亘
って貼付するため皮膚カブレも発生し易く、しかも一度
皮膚カブレが発生するとその患部は拡大し易いという問
題がある。ある統計によると貼付剤による皮膚カブレの
発生は全患者の20〜50%である。
【0013】貼付剤の別の問題は薬物血中濃度の変動で
ある。血中濃度変動の要因は貼付剤側の要因、ヒト皮膚
側の要因、ヒト代謝機能の要因等と複雑であり、そのた
め薬物血中濃度の一定化は容易ではない。
【0014】また別の問題は取扱い性に関するものであ
る。即ち、貼付剤による皮膚カブレを軽減するために貼
付剤の支持体を出来るだけ薄くしたり、柔軟性を高くし
たり、貼付剤を小さくする工夫により皮膚カブレは多少
軽減できたが、該貼付剤を患者の所定の位置に正しく貼
付するのが非常に難しいという問題も生じている。
【0015】また、別の問題は、貼付剤の貼付時の安定
性、より具体的には形態保持性である。例えば、患者が
知らないうちに貼付剤が皮膚から剥がれ落ちたり、貼付
剤自体が層間剥離などにより破損することである。従
来、この問題はあまり議論されていないが、貼付剤が、
例えば冠血管拡張剤などの全身作用薬である場合、かか
る貼付剤の破損は突然の薬効の停止による人命に係わる
重大な事態を招くおそれがある。
【0016】また、他の薬剤と同様に患者のコンプライ
アンスが高いこともまた必須の要件である。特に貼付剤
の場合、貼付時の違和感も大きな問題点であるにもかか
わらず、従来の技術ではこの点に対する配慮が不十分で
あった。
【0017】従来技術の欠点の一つである違和感を改善
するためには、貼付剤の柔軟性をできるだけ高め、その
サイズを小さくすることが望ましい。しかしながら、柔
軟性をあまりに大きくすると貼付剤の取扱いが著しく困
難となり実用性に欠けることとなる。また、貼付剤のサ
イズは薬物の吸収量即ち、薬物血中濃度と比例関係にあ
るから、必要な薬物血中濃度が決まっている場合、貼付
剤のサイズを小さくするためには何らかの薬物の経皮吸
収性を高める手段が必須となる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
観点から、経皮吸収性に優れ、薬物の血中濃度も安定し
ており、違和感のない、皮膚カブレの少なく、取扱い性
および形態安定性の改善された貼付剤を先に提案した
(特願平5−60136号)。本発明は、これらの特性
に加え、違和感、取扱い性のさらに改善された貼付剤を
提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決すべ
く、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定のフイル
ムと特定の布帛と特定の粘着層を組合せ、フイルムと布
帛の界面、又は/及び布帛と粘着剤層の界面における層
間剥離力の改善された積層型の貼付剤において、貼付剤
の伸長弾性率をある特定の範囲にすることにより、特
に、製剤の皮膚刺激性を少なくすることにより、違和感
の少ない、取扱い性のさらに改善された貼付剤を得るこ
とができることを見出した。
【0020】すなわち、本発明は、外皮に適用する貼付
剤であって (イ)水分半透過性で、フイルムの実質的に直交する2
方向の強度が各々8〜100g/mm、及び実質的に直
交する2方向の伸度が各々30〜150%であって、該
2方向の伸度の比が1.0〜4.0(但し、該2方向の
伸度が同一でない場合には、小さい伸度の方を分母とす
る)であり、厚みが0.5〜4.9μmのフイルム(a
層)、 (ロ)単糸の平均直径が2〜22μmからなり、かつ、
目付が8〜40g/m2の布帛(b層)、および (ハ)薬物を含有した厚みが7〜80μmの粘着剤層
(c層)を必須成分として有し、且つ、以下の(1)〜
(4)の特性を満足する貼付剤である。 (1)貼付剤の厚みが40〜250μm、(2)貼付剤
の水分蒸散性が7〜40mg/日・cm2 、(3)フィ
ルム(a層)と布帛(b層)の層間剥離力が3〜45g
/mm、(4)貼付剤の直交する2方向の伸長弾性率
が、それぞれ8〜50g/mm2 であり、少なくとも1
方向の伸長弾性率は8〜35g/mm2 にある。
【0021】本発明において使用する(イ)水分半透過
性のフイルムは、柔軟なフイルムであって該フイルムの
水分透過性を単独にて試験するときに37℃での水分透
過量が1〜1000mg/日・cm2 のものをいい、フ
イルムの厚みが0.5〜4.9μmであるものが好まし
い。特に好ましいものは、厚みが0.5〜4.9μm、
実質的に直交する2方向の強度が各々8〜100g/m
m、および実質的に直交する2方向の伸度が各々30〜
150%であって該2方向の伸度の比が1.0〜4.0
(但し、該2方向の伸度の比が同一でない場合には小さ
い伸度の方を分母とする)である。
【0022】皮膚カブレを減少させるためには、まず第
一に製剤の物理的刺激を少なくすることが重要である。
このためには使用するフイルムの厚みが小さい程刺激は
減少するので、厚みは4.9μm以下であり、4.0μ
m以下、なかでも3.5μm以下がこの傾向が顕著とな
るので好ましい。一方貼付剤はヒトの皮膚に貼付して使
用するので、ヒトの活動に伴うヒトの皮膚の伸縮運動に
ある程度追随できることが必要である。あまりに極薄の
場合にはフイルムが破断したり、あるいは皮膚の伸縮運
動にほとんど追随しない場合には皮膚刺激が大きくなっ
たりする。厚みを0.5μm未満に小さくしても、その
物理的刺激はあまり変わらなかったばかりか製造に不便
になりがちであるという不都合が増大する。
【0023】貼付剤に支持体としてフイルム層を設ける
目的は貼付部位の密封性を高めて経皮吸収を促進するこ
と、粘着面を被覆して衣類や皮膚の他の場所に粘着剤が
付着するのを防止すること等のためである。フイルムの
厚みが小さくなる程密封性も小さくなり、5μm未満で
は密封性が減少する傾向にあるが、1μm以下、なかで
も0.5μm未満では貼付剤として十分な密封性を得る
ことが困難となる。
【0024】またフイルムの強度については実質的に直
交する2方向の強度が各々100g/mmを超えると、
いかに厚みが薄くても物理的刺激が十分に小さくなく、
一方、8g/mm未満であると貼付時や貼付して使用中
に製剤が破損しやすくなり、安心して使用しにくくなり
がちである。特に、強度は85g/mm以下が好まし
い。
【0025】フイルムの伸度については、実質的に直交
する2方向の伸度が各々150%を超えると取扱い性が
悪く、一方、該伸度が30%未満では物理的刺激が大き
くなるし、貼付時の破断が起りやすくなる。
【0026】更に本発明者の検討結果によれば、該2方
向の伸度の比が1.0〜4.0(但し、各伸度が同一の
場合には小さい伸度の方を分母とする)、なかでも1.
0〜3.0であるフイルムを用いた場合は、貼付した時
の貼り心地が良いので好ましい。
【0027】したがって、本発明のフイルムは、水分半
透過性で厚みが0.5〜4.9μm、実質的に直交する
2方向の強度が各々8〜100g/mm、および実質的
に直交する2方向の伸度が各々30〜150%であっ
て、該2方向の伸度の比が1.0〜4.0(但し、各伸
度が同一でない場合には小さい伸度の方を分母とする)
が好ましい。なかでも厚みが3.5μm以下、特に0.
5〜2.0μm、強度が8〜85g/mm、および伸度
が45〜150%で、伸度の比が1.0〜3.0である
フイルムが好ましい。
【0028】本発明でいう強度とは、日本薬局方「絆創
膏」の引張り強度測定法に従って、切断までの最大荷重
を求めそれを単位mm当りの荷重に換算したもの(g/m
m)を示し、伸度は引張る前の長さ、切断時の長さの伸
び率(%)を示す。また直交する2方向とは、いわゆる
縦方向と横方向のことをいう。
【0029】本発明においては、かかるフイルムは、さ
らに好ましくは経時安定性が良好で、しかもヒト皮膚に
貼付した場合にアレルギー反応を起こしにくい等安全性
の高いものであることが望ましい。かかるフイルムとし
てはポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフ
ィン;ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフ
タレートのようなポリエステル;ナイロン6やナイロン
66のようなポリアミド;エチレン―酢酸ビニル共重合
体等からなるフイルムを用いることができる。これらの
フイルムは単体で用いてもよく、複合したりまた積層し
て用いてもよい。
【0030】これらのフイルムのうち、ポリエステルフ
イルムが好ましい。ポリエステルフイルムは、一般的に
熱や光に対する安定性がよく、薬物の吸着や、薬物との
相互作用が少なく、またヒトに対する安全性が高い。ポ
リエステルフイルムのなかでもポリエチレンテレフタレ
ートからなるフイルムが好ましい。
【0031】本発明においては、特にフイルムの厚みが
3.5μm以下、強度が各々8〜85g/mm、かつ伸
度が各々45〜150%である極薄フイルムを用いると
きは、貼付剤を長時間安定して貼付できる。
【0032】特に、本発明の目的、条件を満足する範囲
で、前記フィルムに、柔軟性の高い、例えばエチレン−
酢酸ビニールフィルム(II) を積層して用いてもよく、
このときは、貼付剤の厚みが本発明の範囲にあればよ
く、フィルム(II)の厚みは0.5〜4.9μmである
必要はない。
【0033】本発明においては、前述のフイルム(a
層)として特にポリエステルフイルムを用いるのが好ま
しいが、このポリエステルフイルム中にはその滑り性を
改良する目的で少割合の固型微粒子を存在させることが
できる。しかしながら従来、かかる固型微粒子が本発明
のような貼付剤においてどのような影響を及ぼすもので
あるかについて充分な知見はなかった。
【0034】本発明者らはかかる点について鋭意検討の
結果、該ポリエステルフイルム層に存在する固型微粒子
量が0.01〜1重量%であり、その平均粒子径が0.
01〜3.0μmであり、かつ該平均粒子径が実質的に
ポリエステルフイルムの厚みの1.5倍を超えないこと
が臨床有効量の薬物を吸収させつつ、特に皮膚カブレを
減少させる点で重要であることを見出した。
【0035】このような固型微粒子としては、例えば、
(1)二酸化硅素、(2)アルミナ、(3)二酸化硅素
分を30重量%以上含有する硅酸塩、アルミノシリケー
ト化合物、(4)マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、
チタンから選ばれる一種以上の金属の酸化物、(5)カ
ルシウム、バリウムから選ばれる一種以上の金属の硫酸
塩、(6)リチウム、ナトリウム、カルシウムから選ば
れる一種以上の金属の燐酸塩、(7)カルシウム、バリ
ウム、亜鉛、マンガンから選ばれる一種以上の金属のテ
レフタル酸塩、(8)マグネシウム、カルシウム、バリ
ウム、鉄、コバルト、マンガン、ニッケル等から選ばれ
る一種以上の金属のチタン酸塩、(9)カルシウム、マ
グネシウムから選ばれる一種、(10)炭素、(11)
ガラス、(12)架橋化ポリスチレンの如き無機あるい
は有機の固体微粒子を例示できる。勿論、これらの使用
は一種又は二種以上の混合であってもよい。
【0036】このような固型微粒子量が0.01重量%
に満たない範囲にあっては、皮膚カブレを減少させる効
果が不充分となりがちのため好ましくなく、また1重量
%を超える範囲にあっては薬物の経皮吸収性が充分満足
されなくなる場合を生じたりして貼付剤として好ましく
ない場合がある。またその平均粒子径が0.01μmに
満たない範囲のものにあっては皮膚カブレを減少させる
効果が不充分で取扱い性が充分満足されない場合があ
り、また3.0μmを超えたりフイルムの厚みの1.5
倍を超える範囲にあっては、前述と同様に薬物の経皮吸
収性が充分満足されない場合を生ずる。これはかかる場
合にあっては、この固型微粒子とフイルム層の間のボイ
ド等に起因して水分蒸散性や通気性が大きくなりすぎる
ためではないかとも考えられる。
【0037】このような固形微粒子をポリエステルフィ
ルム層(a層)に含有させることにより、貼付剤の外
観、特に患者に貼付したときの美観を改良できる場合が
ある。すなわち、真夏に薄い衣類をつけていても透けて
見える貼付剤は、支持体フィルムを透明のフィルムにす
れば目立たないため、患者のコンプライアンスを高める
ことができると考えられるが、通常の透明なフィルムを
支持体とする貼付剤を貼ると、皮膚がツルツルと光る感
じとなり、かえって違和感を与えるのである。また、薬
物の作用や皮膚カブレで皮膚が赤くなると透明のフィル
ムの部分は際立つこととなるが、固形微粒子を添加する
と、フィルムの外観を変化させることができる。
【0038】本発明において、(ロ)布帛(b層)は、
それを構成する単糸の平均直径が2〜22μmであるこ
とが必要である。一般に繊維状物の平均直径は、小さい
ものは0.5μm以下のものから、大きいものは100
0μmを越えるものまで任意に製造可能であり、用途に
より使い分けられている。
【0039】本発明者らのこれまでの検討によれば、貼
付剤に使用する場合でも、この単糸の太さは皮膚刺激に
影響することが分かっており、本発明の布帛を構成する
繊維の単糸の平均直径は2〜22μmである。2μm未
満のときは、本発明の貼付剤の取扱い性を確保するため
に布帛の目付を8g/m2 とした場合、断面方向からの
水分の蒸散性が大きくなりすぎる傾向がみられ、またあ
まりに繊維が細いために単糸切れ等が頻発し貼付剤の製
造工程において困難を生じる。
【0040】一方、単糸の平均直径が22μmを超える
と、いかに布帛の目付を小さくしても、皮膚刺激が大き
くなる。特に好ましい単糸の平均直径の範囲は5〜22
μmである。
【0041】また、布帛の目付けも重要であり、本発明
の目的を達成するためには、布帛の目付は8〜40g/
2 である。本発明で布帛を用いる理由の1つは、貼付
剤の水分蒸散性を7〜40mg/日・cm2 に確保する
ことを容易とすることである。即ち、布帛は水分蒸散性
にとってほとんど抵抗とならないので製剤の水分蒸散性
の設計が容易となる。布帛を用いる2つ目の理由は、柔
軟で薄いフイルムを用いた貼付剤の取扱い性を改善する
ことである。特に、フィルムが5μm以下に薄くなる
と、貼付剤製造時にかかったフィルムへの張力が残留し
ているなどの理由により貼付剤がカールしたりして取扱
いにくい。布帛を用いる3つ目の理由は、柔軟な薄いフ
イルムと薬物を含有した厚みが7〜80μmの粘着剤層
からのみなる貼付剤はわずかの応力で破断したり、変形
したりし易いが、これを防ぐことができ、且つ貼付剤の
製造が容易となることなどである。
【0042】しかし、貼付剤が布帛(b層)と薬物含有
粘着剤(c層)からなるとき、取扱い性は良好となる
が、充分な経皮吸収性を確保するための密封効果が得ら
れない。従って、本発明においては、フィルム(a層)
をも用いる。
【0043】布帛を用いる理由のうち、特に理由の1つ
目と2つ目は重要である。布帛の目付が8g/m2 未満
となると、目的とする水分蒸散性を達成することが困難
となりがちであるし、取扱い性も不充分になりがちだか
らである。
【0044】一方、布帛の目付が40g/m2 を超える
と水分蒸散性が大きくなりすぎるので好ましくない。こ
れは水分が布帛を通って製剤の断面方向(側面)に逃げ
るためである。しかも布帛の目付が40g/m2 を超え
ると、貼付剤の厚みが大きくなるために貼付時に貼付剤
が貼付部位から剥れて脱落(ハガレ)しやすくなる。布
帛の目付が大きくなったときのハガレの原因は、貼付剤
の端面、特に角部が衣類等にこすられて、該衣類等にと
られるためと考えられる。特に好ましい布帛の目付は8
〜29g/m2 である。
【0045】本発明においては、かかる布帛は織物、編
物、不織布等の形態で用いることができるが、特に公知
の編物や不織布、なかでも編物の構造とすることで布帛
自体の伸縮性が大きくなり、この伸縮性のためと考えら
れるが、同じ単糸の糸を用いて同じ目付の織物とした場
合よりも、より皮膚刺激性が少なく、また貼付剤の柔軟
性が高くなり好ましい。本発明においては、かかる布帛
は1つの織物、編物、不織布の構造としてもよいが、か
かる布帛を積層して用いることもできる。また使用する
単糸も異なる種類の単糸を混合して用いることもでき
る。この場合、布帛を構成する単糸の大部分は上述した
範囲になければならない。
【0046】本発明の布帛を構成する単糸としては、そ
の大部分を外周方向に貫通した孔を有する中空繊維(微
多孔中空繊維)でないもの、例えば異形、中実、微多孔
中空繊維以外の中空繊維等を用いることもできる。
【0047】また本発明において用いる単糸の大部分が
微多孔中空繊維、すなわち外周方向に貫通した孔を有す
る中空繊維を用いるとき、経済性の課題はあるものの本
発明の目的をより容易に達成できる。
【0048】かかる中空繊維は、例えば、特開昭56―
20612号公報、特開昭56―20613号公報、特
開昭56―43420号公報等に記載された方法によっ
て製造することができる。
【0049】本発明の布帛を構成する繊維の材質として
は、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエス
テル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフ
ィン;ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド;ポ
リウレタン、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、
ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等、任意のものを選ぶ
ことができる。これらのなかでもポリエステルが好まし
く、特にポリエチレンテレフタレートがヒトに対する安
全性が高いこと、熱、光、温度に対する安定性に優れて
いること、薬物との相互作用がないこと、薬物溶液を中
空繊維に含浸させるとき使用する溶媒によって変性され
にくいこと等の理由から好ましい。
【0050】かかる繊維は単一で用いてもよく、2つ以
上を複合して用いてもよい。単糸は短繊維でも長繊維で
も、またそれらの混合物でもよいが、長繊維の方が皮膚
刺激性が少なく好ましい。
【0051】また、本発明の布帛は、肌色に近い色に着
色されているものであってもよい。このような色に着色
された布帛を用いることにより、真夏に胸部に貼付した
貼付剤が薄い衣服を透かして見えても、目立たず、ま
た、布帛層を最外層に用いない層構成をとる場合には、
着色堅牢度は通常使用できないレベルのものでも使用で
きるというメリットを有し、さらには粘着剤層を着色し
た場合に発生する貼付部位の皮膚を染顔料が染めるとい
うトラブルも生じない。
【0052】本発明において、肌色に近い色としては、
ヒトの肌の色に近いピンク、薄い赤色、黄色、などの色
相が好ましい。このような色に着色するための着色料と
しては、通常の公知の染料・顔料のほかに、医薬品添加
物として承認されている、赤色2号、赤色102号、赤
色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、
黄色5号などの染料・顔料を挙げることができる。これ
らの染料・顔料により通常の方法により着色された布帛
のほか、繊維の表面付近や内部に付着させたものも用い
ることができる。布帛が着色されている場合、バッキン
グフィルムや粘着剤層が着色されていても支障はない。
【0053】本発明の(ハ)薬物を含有した粘着剤層
(c層)を構成する粘着剤としては、通常の感圧粘着剤
が用いられ、例えばシリコンゴム、ポリイソプレンゴ
ム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、
天然ゴム等を主成分とするゴム系粘性組成物;ポリビニ
ルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビ
ニール−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体
のようなビニル系粘性組成物;シリコン系粘着剤、ポリ
ウレタン弾性体、ポリエステル弾性体、ポリブタジエン
弾性体などを主成分とする粘性組成物;アクリル系樹脂
等の中から選択することができる。
【0054】なかでもアクリル系樹脂が好ましく、特に
皮膚刺激性がより少く、適度の粘着性、接着性と高度の
内部集力、かつ優れた耐溶剤性という観点から、(1)
炭素数4以上のアルキル基の(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステルを少なくとも80〜98モル%、(2)アク
リル酸及び/またはメタクリル酸2〜20モル%を共重
合したアクリル系樹脂が特に好ましい。炭素数4以上の
アルキル基の(メタ)アクリル酸エステルの例として
は、例えばブチル(メタ)アクリレート、アミル(メ
タ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘ
プチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリ
レート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)
アクリレート、2―エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト等が挙げられる。また、炭素数4以上のアルキル基の
代わりにアリール基をその一部として有する(メタ)ア
クリル酸アルキルエステルを共重合させたアクリル系樹
脂であってもよい。これらの粘着剤は1種あるいは2種
以上を複合して用いてもよい。
【0055】また、かかるアクリル系粘着剤には公知の
有機又は無機の架橋剤が0.01〜10重量%含有され
ていてもよい。
【0056】また、好ましい粘着剤として、シリコン系
粘着剤を挙げることができる。シリコン系粘着剤として
は、下記一般式〔I〕で示される二次元構造をもった末
端シラノール官能直鎖状ジメチルポリシロキサンと三次
元構造のシリケートレジンの縮合反応生成物からなる粘
着剤であり、ファームテクジャパン 7(7),51〜
55(1991)に経皮吸収製剤用の粘着剤として優れ
た特性をもつことが紹介されているものを挙げることが
できる。
【0057】
【化1】
【0058】代表的シリコン系粘着剤としては、ダウコ
ーニング社のBio−PSA(登録商標)355、Bi
o−PSA(登録商標)Q7−2920がある。当業者
なら容易に想定できるように、骨格や置換基の化学構造
を一部変更しても、経皮吸収特性も粘着特性も実用上ほ
とんど影響を受けない。従って、かかるシリコン系粘着
剤を単独で用いてもよく、混合物として用いてもよい。
また、かかるシリコン系粘着剤には、シリコンオイルな
どを1〜10重量部混合して用いてもよい。
【0059】さらに他の好ましい粘着剤として、ゴム系
粘着剤が挙げられ、なかでも、下記のものが好ましい。
すなわち、ゴム系粘着剤が ブタジエン、イソプレン、エチレンクロロプレン、ス
チレンのいずれか少なくとも1種を共重合成分として含
むジエン系ゴムから選択されたゴム系粘着基剤20〜6
0重量%、 ロジン系、テルペン系、石油系、スチレン系から選ば
れた粘着付与樹脂0〜60重量%、 流動パラフィン、プリブテン、ポリイソブチレン、ポ
リイソプレンから選ばれた軟化剤0〜60重量%(但
し、+=30〜60、++=70〜99.
9)、および ビスヒドロキシトルエン等のゴム系粘着基剤用安定剤
0.1〜5重量%を含み、かつ厚み40μmの粘着剤層
で粘着力試験(日本薬局法による)を行うときに粘着力
が80g/(12mm)以上のものが好ましい。
【0060】前記ゴム系粘着基剤用安定剤としては、
前記に化合物のほか、ブチルヒドロキシアニソール、ノ
ルジヒドログアヤレチック酸、トコフェロール類、アス
コルビン酸、ヒドロキノン、システインなどを用いるこ
とができる。
【0061】ゴム系粘着剤には、必要に応じてポリエチ
レングリコール、グリセリン、プロピレングリコールな
どを1〜10重量%混合して用いてもよい。
【0062】ゴム系粘着剤は、所望の厚みの粘着層を作
る場合、溶媒を用いて溶液状となした後に通常の塗工に
よる方法によってもよいが、ゴム系粘着剤をつくるべき
混合物を加熱溶融して、すなわちホットメルト法によっ
て塗工してもよい。
【0063】さらに他の好ましい粘着剤として、酢酸ビ
ニール25〜65重量%、アルキル基の平均炭素数が4
以上14以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル2
5〜50重量%、および(メタ)アクリル酸0〜15重
量%の割合で共重合させて得られた酢酸ビニール系粘着
剤を挙げることができる。4以上14以下の(メタ)ア
クリル酸アルキルエステルとしては、前記アクリル系樹
脂の製造に用いられる化合物として挙げられた化合物を
挙げることができる。
【0064】本発明において、粘着剤は2種以上を混合
して用いてもよい。例えば、アクリル系樹脂(AC)と
シリコン系粘着剤(SR)を下記割合で混合してもよ
い。 SR:AC=85:15〜15〜:85(重量比)
【0065】本発明の粘着剤層に含有される薬物として
は、硝酸イソソルビド、ニトログリセリン、ニコランジ
ルのような冠血管作用薬に使用される硝酸エステル類;
メントール、カンファー、サルチル酸メチルのようなサ
リチル酸エステル類;エストラジオール、ノルエチステ
ロン、プロゲステロンやその誘導体のようなホルモン
剤;モルヒネ、フェンタニル、塩酸ブプレノルフィンや
その誘導体のような鎮痛剤;クロニジン、ニフェジピ
ン、カプトリルやその誘導体のような心疾患薬;ビンポ
セチン、フィソスチグミンのような脳疾患作用薬;フマ
ール酸ケトチフェンのような抗アレルギー薬などを挙げ
ることができるが、これらに限定されるものではない。
これらの薬物は単一で用いてもよく2種以上を配合して
用いてもよい。
【0066】薬物の使用量は、用いる薬物の薬理作用の
強さ、皮膚への吸収性などによって適宜決定されるが、
通常粘着剤総量に対して0.1〜20重量%である。か
かる薬物は粘着剤層中に粘着剤と相溶して存在してもよ
く、また薬効に影響しない限りにおいてはその一部が結
晶となって析出していてもよい。
【0067】1つの貼付剤(大きさ10〜150c
2 ) に含有されるべき該薬物の量は1μgから200
mgまで任意に変えることができる。即ち、一般に医薬
品に使用される薬物は経口や注射剤として投与される
が、その場合に臨床的に有効となる薬物投与量は多くの
文献に示してある〔例えば、医薬品要覧第4版、薬業時
報社(1988)〕。したがって貼付剤の場合も、1つ
の貼付剤に含有されるべき薬物量は経口剤や注射剤で使
用される量から推定できる。通常は貼付剤の場合、製剤
中に残存する量が多くなるので経口剤等に比して投与量
は多くなりがちである。しかし肝代謝の大きい硝酸薬の
ような場合は貼付剤に使用する薬物量は経口剤より少な
くなる場合もある。したがって貼付剤1枚中の薬物量は
経口剤や注射剤の1日投与量の5分の1以上乃至10倍
以下である。貼付剤1枚当りに含有されるべき薬物の含
量を具体例で示せば、硝酸イソソルビドの場合では貼付
剤の大きさは20〜60cm2 であり、硝酸イソソルビ
ドは1枚当り5〜100mgである。ニトログリセリン
の場合では貼付剤の大きさは5〜50cm2 であり、ニ
トログリセリンが1枚当り1〜20mg含有される。エ
ストラジオールの場合、製剤の大きさは10〜60cm
2 であり、1枚当り0.2〜10mg含有される。塩酸
ブプレノルフィンの場合、製剤の大きさは10〜100
cm2 であり、製剤1枚当り1〜10mg含有される。
もちろん、薬効に支障のない範囲であれば薬物が上に示
した参考例より多くてもさしつかえない。
【0068】本発明の粘着剤層(c層)の厚みは7〜8
0μmである。粘着剤層の厚みが80μmを超えると、
残留溶媒の量が高くなる傾向があり、また長時間貼付時
に貼付剤の切断面に黒い汚れが蓄積したり、製造時に切
断面から粘着剤が顔を出し、製造工程トラブルの原因と
なり易い。逆に粘着剤層が7μm未満になるとヒト皮膚
に対する粘着力も低下し、貼付剤を長時間安定して貼付
することができない。好ましい厚みは10〜60μmで
ある。
【0069】このようなフィルム(a層)、布帛(b
層)および薬剤を含有する粘着剤層(c層)を必須成分
として有する本発明の貼付剤は、(1)〜(4)の特性
を満足する。まず(1)その厚みが40〜250μmで
ある。厚みが250μmを超えると、患者に貼付剤を貼
付したときの剥がれ発生頻度が大きくなる。その剥がれ
を少なくするために、粘着剤の粘着力を大きくすること
は剥がすときの痛みが大きくなり、患者のコンプライア
ンス上問題となる。一方、厚みが40μm未満では貼付
剤の取扱い性改善効果が少ない。
【0070】単に、貼付剤の取扱い性を改善し、皮膚刺
激を少なくし、充分な経皮吸収性を確保するためであれ
ば、使用する布帛の目付けは8〜60g/m2 であり、
厚みが40〜400μmあっても問題ない。しかし、長
時間貼付時の安定性、特に剥がれを問題ない程度に抑え
るためには布帛の目付けは8〜40g/m2 であり、貼
付剤の厚みは40〜250μmとすべきである。貼付剤
の厚みは好ましくは40〜200μm、さらに好ましく
は40〜140μmである。
【0071】布帛の厚さは、目付けのみによって規定さ
れるものではなく、目付けが同じであっても布帛の厚み
は様々に変化できる。従って、本発明においては、目付
けが前記のように8〜40g/m2 であるとともに、貼
付剤の厚みも40〜250μmの範囲にあることが必要
である。
【0072】次に、(2)貼付剤の水分蒸散性が7〜4
0mg/日・cm2 であることを要する。本発明の貼付
剤は、経皮吸収性の点でも貼付剤全体としての水分蒸散
性に大きく依存するためである。通常の製剤の大きさで
ある10〜150cm2 の場合、水分蒸散性が40mg
/日・cm2 を超えると十分な経皮吸収性が得られにく
い。逆に7mg/日・cm2 未満では過剰密封となり、
皮膚カブレを誘発しやすく、皮膚刺激性の小さい製剤が
得られない。
【0073】本発明の貼付剤のフイルム層等には、必要
に応じて微孔や切断線を設けることもできるが、かかる
場合は後記のような水分蒸散性の試験法によって測定し
た値がこの範囲にあればよい。
【0074】本発明においては、さらに本発明が目標と
する主要な特性である貼付剤を長時間貼付した後での安
定性を確保するために、(3)本発明の貼付剤中のフイ
ルム(a層)と布帛(b層)との層間剥離力が3〜45
g/mmであることを要する。層間剥離力が45g/m
mを超えると、得られる貼付剤の柔軟性が失われ、コン
プライアンスが減少し、一方、3g/mm未満では層間
剥離が起こる。
【0075】本発明の貼付剤において、フィルム(a
層)は一般には伸縮性の乏しい部類の材料であり、布帛
は一般的には伸縮性の大きい材料であるために、この界
面に貼付時に繰り返しの応力がかかると、予想できなか
ったトラブルが発生するのである。特に、かかる問題は
多用されている消炎鎮痛剤のような、密封製剤には分類
できない貼付剤の場合とは異なる要因があることがわか
った。すなわち、本発明のように、密封性を必要とする
場合、貼付剤はそうでない場合よりも、高い湿度条件、
水分条件に晒される。そして、この高い水分率のもとで
の繰り返し応力が層間剥離に影響することがわかったの
である。
【0076】層間剥離力を変える方法としては、布帛
(b層)とフィルム(a層)の界面に接着力を有する接
着剤、粘着剤を用いればよい。この接着剤、粘着剤に本
発明の貼付剤の主薬が含有されていてもよい。
【0077】所望の層間剥離力は、使用する接着剤、粘
着剤の種類を変える方法、使用する量、すなわち一般的
には接着剤、粘着剤の層の厚みを大きくする方法、例え
ばこの厚みを1〜50μmとする方法、さらには同じ粘
着剤を同じ量用いた場合でも、例えば本発明の貼付剤の
製造に際し、その条件を以下のように制御することによ
って得ることができる。
【0078】かかる製造条件のうち、主要なものの1つ
は、フイルム状のものを積層加圧するときに使われる公
知のラミネーターの加圧条件である。例えば、ラミネー
ターに使用するロールの硬さ、ロールの径、ロールを通
過する速度、ロールにかかるプレス圧力、ロールを通過
するときの温度等により制御することにより、上記の層
間剥離を有する貼付剤を得ることができる。
【0079】さらには、使用する接着剤、粘着剤の層を
両基材の間に設けるときに、あらかじめ、膜状とした接
着剤、粘着剤層を両基材の間に積層するよりも、両基材
の間に溶液状、分散状などとした接着剤、粘着剤液を流
し入れたり、接着剤、粘着剤に熱をかけて該剤をやわら
かくしたり、溶融したりして圧着する方がより強い層間
剥離力を得ることができる。従って、層間剥離力は45
g/mmを超えて高くすることは可能である。しかし、
前記の理由から、a層、b層間の層間剥離力は3〜45
g/mmであり、好ましくは10〜45g/mmであ
る。布帛が織物または不織布の場合3〜30g/mmあ
ればよく、編物の場合10〜45g/mmであることが
好ましい。
【0080】布帛が編物の場合よりも、不織布や織物の
場合の方が、必要とされる層間剥離力が小さい理由は、
編物に比較して不織布や織物は布帛自体の伸縮性が小さ
いためと考えられる。したがって、長時間貼付のとき、
より長時間安定な貼付剤を得るには、布帛としては編物
よりも不織布や織物を用いる方が有利である。
【0081】しかし、貼付剤の皮膚刺激性という面では
布帛の伸縮性は大きい方が良好となる傾向が認められる
ので、全体のバランスの中で選択される。
【0082】この層間剥離力は、温度37℃、湿度10
0%で毎分300回の繰り返し応力を加えた後におい
て、すなわち、疲労試験後において、1.5〜20g/
mm残留していることが好ましい。疲労試験後におい
て、この範囲の層間剥離力が残留している貼付剤は、ヒ
トに24時間貼付した後においても安定性を保持するこ
とができる。疲労試験後の好ましい層間剥離力は、布帛
が織物または不織布の場合は1.5g/mm以上であれ
ばよく、布帛が編物の場合、4〜20g/mmである。
【0083】臨床にて、層間剥離なるクレームに出会え
ば、層間剥離力は、現状技術で最も強いものにしようと
するのが一般的アプローチであろう。なぜなら、ヒトを
使って不良な製剤の品質評価を行うことは倫理上問題が
あるからである。本発明者らは、あまりに強い層間剥離
力は貼付剤の柔軟性を損なうことを発見したが、前記疲
労試験法により、この点の最適化を図ることができたも
のである。
【0084】本発明の疲労試験は、ヒトに貼付した温湿
度に近い条件でヒトに貼付したときに受けると考えられ
る繰り返しの応力を与えるのが要点であるが、かかる条
件は粘弾性ヘペクロメーターなどを用いて特定の歪振幅
型応力を連続的に与えても得られるであろう。そのよう
な繰り返し応力を与えられる他の方法も本発明の疲労試
験に応用できる。
【0085】さらに、本発明の貼付剤は、(4)直交す
る2方向の伸長弾性率が、それぞれ8〜50g/mm2
であり、少なくとも1方向の伸長弾性率は8〜35g/
mm2 にあることが必要である。貼付剤の伸長弾性率が
50g/mm2 を超えると、患者はその貼付剤に強い違
和感を感じる。一方、伸長弾性率が8g/mm2 未満で
は違和感はないが、取扱い性が悪くなり、また貼付剤の
経皮吸収性も低下する。しかも伸長弾性率が8〜50g
/mm2 の範囲にある場合でも、貼付剤の直交する2方
向のうち、少なくとも1方向の伸長弾性率が8〜35g
/mm2 にあるとき、違和感が少なくなる。もちろん、
貼付剤の直交する2方向とも伸長弾性率が8〜40g/
mm2 にあり、2方向のうち、少なくとも1方向の伸長
弾性率が8〜35g/mm2 にあるときはより好ましい
が、1方向のみが8〜35g/mm2 にあるときでも患
者が感じる違和感が少なくなる。少なくとも1方向の伸
長弾性率が10〜30g/mm2 のときさらに違和感は
少なくなる。
【0086】このことは、患者が貼付剤を貼付した状態
で運動するとき、体の屈伸に伴って皮膚も屈伸するが、
貼付剤に1方向でも低い伸長弾性率があれば、この体の
屈伸に伴う皮膚の屈伸による応力を緩和できるためと推
定される。
【0087】本発明の貼付剤において、伸長弾性率は、
フィルム、布帛および粘着剤の組合せにより、任意に作
ることができる。例えば、フィルムの伸長弾性率が小さ
いときはそれと組み合わせる布帛は伸長弾性率を大きく
するような特性のものを選べばよい。もちろん、粘着剤
も、例えば液状の添加物を10〜30%も含んだ、非常
に柔軟性の高い粘着剤から、高い分子量のホモポリマー
からなる非常に硬い粘着剤まで多種多様であり、この粘
着剤の物性によっても使用すべき布帛の特性も変わる。
本発明においては、かかる材料の複合体である貼付剤が
全体としてどのような伸長弾性率をもつことが重要であ
るかを見出したものであり、1つ1つの材料はこの特性
を満足できる組合せができればよい。従って、かかる貼
付剤を作るためには伸長弾性率を測定しながら、適当な
組合せを選択する。
【0088】例えば、伸長弾性率に特に影響の大きい布
帛の伸長弾性率を小さい方から、小(W1)、中(W
2)、大(W3)とし、フィルムの伸長弾性率を小さい
方から小(F1)、中(F2)、大(F3)とし、粘着
剤の伸長弾性率を小さい方から小(A1)、中(A
2)、大(A3)とするなら、W2−F2−A2の組合
せは本発明の目的に合うものを得やすいだろうし、また
W1−F2−A3もよく、W3−F1−A1も好ましい
であろう。
【0089】伸長弾性率が非常に小さく、貼付剤として
の違和感の少ない貼付剤としては、例えば市販貼付剤3
がある。この市販貼付剤3の伸長弾性率は直交する2方
向とも2.5〜3g/mm2 である。しかし、この貼付
剤は密封効果はほとんどなく、従って、本発明が目的と
している経皮吸収性を達成できない。本発明において
は、貼付剤からの水分蒸散性が7〜40g/日・cm2
になければならないが、貼付剤3の水分蒸散性は100
mg/日・cm2 以上である。
【0090】本発明の貼付剤は、フィルム(a層)、布
帛(b層)および薬物含有粘着剤層(c層)を必須の構
成成分とするが、その層構成としては、まず、外側から
a層、b層、c層の順に積層されたもの(以下形態I)
を挙げることができる。
【0091】この形態のとき、a層とb層との層感剥離
力は3〜45g/mmになければならないが、かかる層
間剥離力を得るために、a層とb層との間に公知の接着
剤、粘着剤を用いることができる。
【0092】かかる公知の接着剤、粘着剤としては、例
えばシリコンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブ
タジエン共重合ゴム、アクリルゴム、天然ゴムなどを主
成分とするゴム系粘性組成物;ポリビニルアルコール、
エチレン−酢酸ビニール共重合体のようなビニル系粘性
組成物;シリコン系粘着剤、ポリウレタン弾性体、ポリ
エステル弾性体、ポリブタジエン弾性体などを主成分と
する粘性組成物;アクリル系樹脂などの中から1種また
は1種以上を併用して選択することができる。
【0093】通常、かかる接着剤、粘着剤の平均的な厚
みは層間剥離力を測定しながら最終決定されるが、通常
は3〜40μmとなる。
【0094】特に好ましい接着剤、粘着剤は薬物含有粘
着剤層(c層)を構成する粘着剤と同じものである。こ
のように接着剤、粘着剤として薬物含有粘着剤層(c
層)と同じものを用いるとき、該接着剤、粘着剤の層は
薬物のリザーバの役割をもつので好ましく、また、製造
の管理も容易である。
【0095】この場合、薬物含有粘着剤層(c層)およ
び接着剤、粘着剤の層の合計の厚みが前記した(c層)
の厚み7〜80μmでなければならない。
【0096】また、a層とb層との層感剥離力は3〜4
5g/mmとするには、(イ)使用する接着剤、粘着剤
の種類の選択、(ロ)使用した接着剤、粘着剤の使用量
と使用方法、(ハ)a層とb層との間に接着剤、粘着剤
を介在させた状態での加圧条件、加熱条件を選択する方
法などを挙げることができる。このとき、使用するフィ
ルムや布帛の特性によっても変化するので、これらに関
する公知技術を用いて層間剥離力を調整する。
【0097】貼付剤のもう1つの層構成としては、外側
からb層、a層、c層の順に積層されたもの(形態II)
を挙げることができる。この形態においてもb層とa層
の間の層間剥離力およびそれを達成する方法は形態Iに
場合と同じである。ただし、この形態IIの場合、b層と
a層を接着する粘着剤として薬物含有粘着剤層(c層)
と同じものを用いることはできるが、この粘着剤層に中
に経皮吸収性の薬物、すなわち主薬を含有させる意味は
ない。
【0098】貼付剤の他の一つの形態(形態III)は、外
側からa層、b層、a層、c層とする層構成である。形
態III は、a層を2層用いることにより、水分蒸散性の
コントロールができる利点があり、また、もう一つの特
徴として、c層を極端に薄い粘着剤としても貼付剤全体
としての厚みを確保できる利点がある。
【0099】もちろん、フィルム(a層)に、本発明の
目的と効果に影響を与えない範囲で別のフィルム、例え
ばエチレン−酢酸ビニール共重合体フィルムなどをラミ
ネートしてもよい。
【0100】本発明の貼付剤は、必要に応じてその他の
吸収促進剤、溶解助剤、拡散助剤、充填剤などを含有し
ていてもよい。
【0101】これらの吸収促進剤又は拡散助剤として
は、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼ
ンスルフォン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテ
ルジスルフォン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク
酸塩、ポリオキシアルキルフェニルエーテルサルフェー
トアンモニウム塩などの界面活性剤;グリセリン、ジエ
チレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、高級脂肪酸アルコールなどのアルコール
類;ジメチルスルホキシド及びアルキルメチル誘導体;
サリチル酸、尿素、ジメチルアセトアミド、ジメチルホ
ルムアミド、ラノリン、アラントイン、スクアレン、カ
ーボポール、ジイソプロピルアジペート、ピログルタミ
ン酸ラウリルエステル、ミリスチン酸イソプロピル、エ
チルラウレート、ニコチン酸メチル、ソルビトール及び
ドデシルピロリドン、メチルピロリドンのようなピロリ
ドン誘導体、オリーブ油、ヒマシ油、流動パラフィン、
ワセリン、ゼラチン、アミノ酸、ニコチン酸ベンジル、
L―メントール、カンファー、ドデシルアザシクロヘプ
タン―2―オンなどを用いることができる。
【0102】かかる吸収促進剤又は拡散助剤は、粘着性
を損なわない範囲であればよく、粘着剤に対して0.1
〜30重量%の範囲で用いることができる。
【0103】また、貼付剤の粘着剤層中には、充填剤と
しては、水、酸化チタン、炭酸カルシウム、石コウ、ケ
イ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、硅藻土、カーボ
ンブラック、ベンガラ、各種の染顔料、流動パラフィ
ン、ワセリン、乳糖、香料、脱臭剤、着色剤、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン等
の合成樹脂の粉末や成形物等が0.1〜30重量%含有
されていてもよい。かかる吸収促進剤、拡散助剤、充填
剤等は2種以上を併用して用いてもよい。
【0104】本発明の貼付剤の前記形態Iの層構成を有
する貼付剤の製造方法として、まず、フイルム(a層)
と布帛(b層)を常温下又は加熱下に圧力をかけて接着
させてフイルム(a層)と布帛(b層)の積層物を得、
しかるのちに薬物を含有した粘着剤溶液を該積層物の布
帛(b層)面の上に塗工して乾燥する方法を挙げること
ができる。
【0105】フイルム(a層)と布帛(b層)を圧力か
けて接着させるときに両者の間に接着性を助ける液状
物、固状物、膜状物等の前記した接着剤、粘着剤を用い
てもよく、かかる接着剤、粘着剤には薬物が含有されて
いてもよい。
【0106】製造方法の2つ目の方法は、予め薬物を含
有させた粘着剤溶液を離型フイルムの上に塗工して乾燥
後の厚みが7〜80μmとなる薬物含有粘着剤層(c
層)を得、この薬物含有粘着剤層(c層)を製造方法の
1つ目の方法で得たフイルム(a層)と布帛(b層)の
積層物の布帛(b層)面に圧着させる方法である。
【0107】製造方法の3つ目の方法として、まず、予
め薬物を含有した粘着剤溶液を離型フイルムの上に塗工
して乾燥後の厚みが7〜80μmとなる薬物含有粘着剤
層(c層)を2層(薬物含有粘着剤層c1、c2とす
る)得る。このとき薬物含有粘着剤層c1、c2には異
なる粘着剤を用いてもよく、厚みが異なってもよく、薬
物の含有量が異なってもよく、含有される薬物の種類が
異なってもよく、薬物含有粘着剤層c1、c2のいずれ
か1層には実質的に薬物を含有しなくてもよい。かくし
て得られた薬物含有粘着剤層2層のうちの1層(c1
層)とフイルム(a層)を圧着し、しかるのち該c1層
のフイルム(a層)を圧着していない面上に布帛(b
層)を圧着して3層積層物を得、次にこの3層積層物の
布帛(b層)の自由となっている面上に薬物含有粘着剤
層(c2層)を圧着してもよい。
【0108】製造方法の4つ目の方法は製造方法の3つ
目の方法で述べた方法であるが、粘着剤層を作るときに
薬物を含有させるか、又は薬物を含有させないで粘着剤
層2層(c1層、c2層)を作り、これを積層して製造
方法の3つ目の方法で述べた3層積層物を得、しかるの
ち、溶媒に溶解した薬物を3層積層物の布帛の上に滴
下、浸漬、接触させる等により塗工、溶媒を蒸発により
除いて、薬物を含有した3層積層物を得、この薬物を含
有した3層積層物の布帛層(b層)の上に薬物を含有す
るか、含有しない粘着剤層c2層を圧着する方法であ
る。
【0109】この4つ目の方法において、薬物を含有し
た3層積層物の布帛層(b層)の上に、c2層のかわり
に、薬物を含有した粘着剤の溶液を塗工して加熱し溶媒
を除いて直接粘着剤層c2層に相当する粘着剤層を作る
ことも可能である。また、上述した製造方法で粘着剤層
(c層)を多層積層することも必要に応じて採用でき
る。
【0110】これらの製造方法において、布帛の目付が
前記の範囲のものであっても目付が大きい程、一般に取
扱い性はよくなる。また、使用する粘着剤層の厚みが同
じで加圧条件が同じであれば、目付が大きい程断面方向
の水分蒸散性も大きくなる。したがって取扱い性の面か
ら布帛の目付を決定した場合、経皮吸収性を確保するた
めに断面方向の水分蒸散性が過多とならない範囲にする
ためには、使用する粘着剤層の厚みを大きくして粘着剤
層と布帛との圧着条件を大きくすることが好ましい。特
に粘着剤層を溶液に溶かした粘着剤溶液を布帛の上に塗
工する方法を採用するときは、粘着剤が布帛の中に入り
込んだ状態で粘着剤層が形成されるので、断面方向の水
分蒸散性は同じ厚みの粘着剤層を圧着した場合より小さ
くなる。
【0111】逆に、貼付時の製剤の剥れを防止するとい
う観点からは布帛は薄い方が好ましいので、得られる貼
付剤の取扱い性を損なわない範囲で目付を小さくした場
合は好ましい水分蒸散性を確保するためには粘着剤層を
薄くするか、又は/及び布帛と粘着剤層の加圧接着条件
を弱くするのが好ましいことになる。
【0112】以上、前記層構成のうち、形態Iの貼付剤
の製造方法について説明したが、形態IIおよびIII の層
構成を有する貼付剤についても、形態Iに準ずる方法で
製造することができるが、これらに限定されるものでは
ない。
【0113】かくして得られた貼付剤は、裁断する前か
後に必要に応じて加熱、真空吸引等により品質の均質化
を図ってもよい。
【0114】本発明で使用するフイルムや布帛や粘着剤
層は、すべて同じ平面積を持っている必要はなく、これ
らのいずれかが製剤の一部を構成していてもよく、不連
続な複数の層となっていてもよい。
【0115】このようにして得られた本発明の貼付剤
は、経皮吸収性が高く、皮膚低刺激性で、かつ取扱い性
がよく、しかも医薬製剤に要求される特定の品質規格内
にあって、さらに品質のバラツキの少ない貼付剤、すな
わち、それらをバランスさせた上で、しかも貼付したと
きに、従来に比べ、より層間剥離することのない、患者
の違和感の少ない、安定な持続放出性の貼付剤であると
いう特徴がある。
【0116】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を、さらに詳細
に説明する。実施例中の部は重量部を示し、実施例中に
出てくる特性は以下の方法で測定した。
【0117】(i)水分蒸散性の試験法 厚さ約10mmで大きさが約150mm×150mmの
ガラス板の中央部に直径40mm(面積12.56cm
2 )、深さ6mmのくぼみを作る。くぼみの中に蒸留水
3mlを入れる。
【0118】貼付剤1枚をとり離型フイルムを剥がして
粘着面が完全にくぼみを覆うように貼付剤をこのガラス
板に貼付する。このときの重量をW1 (mg)とする。
次に貼付剤を貼ったままのガラス板を37℃の温風式恒
温槽に入れ、24時間後のこのガラス板の重量を測りW
2 (mg)とする。このとき水分蒸散量は以下の式によ
り計算するものとする。
【0119】水分蒸散量(mg/日・cm2 )=(W2
−W1 )/12.56
【0120】なお、試験する貼付剤の大きさが50mm
×50mmより小さいときには、ガラス板の中央部のく
ぼみ直径は製剤の短い1辺の長さより約10mm小さい
ものを使用する。
【0121】また、貼付剤のフイルム(a層)に切断線
等があるときは、この切断線等のない貼付剤の部分で試
験を行うか、または切断線等を試験成績に影響しないよ
うに修復して試験をするものとする。
【0122】(ii)層間剥離力の測定法 日本薬局法の「絆創膏」の粘着力試験法に準ずるものと
する。貼付剤のフイルムの外面にあらかじめ市販の布テ
ープ(例えばテラオカテープ)を接着させたのち幅20
mmの短冊状に裁断したものを試験片とする。試験片と
なった貼付剤の粘着面をフェノール樹脂板上に粘着させ
た後、フイルムと布帛との界面(層間)を約5mm程度
剥離させる。層間をわずかに剥離した試験片を粘着力試
験法に準じて試験し、層間剥離力を求める。
【0123】貼付剤の粘着面の粘着力がフェノール樹脂
板に十分に強く粘着しないときは試験に影響しないよう
に工夫して他の粘着剤や接着剤を補助的に用いてもよ
い。
【0124】(iii )伸長弾性率の測定法 JISK7113の「プラスチックの引張試験方法」の
(II) 引張弾性率の測定方法を参考として、大きさに制
限があり、積層型であるため、厚みも一定ではない(貼
付剤は単位断面積当たり、どれだけの応力がかかるかで
はなく、貼付剤積層物としてどれだけの応力がかかるか
が大切であるので)貼付剤の特徴を考慮して以下のとお
り設定した。
【0125】 引張試験装置(テンシロンRTM−25) 試験片の幅:10mm 標線間距離:25mm つかみ具間距離:25mm 試験速度(引張速度):1mm/min 記録紙チャートの送り速度:50mm/分 記録紙目盛り:4g/mm
【0126】伸長弾性率は、得られた引張応力−ひずみ
曲線の初めの直線部分について、以下の計算式により求
めた。
【0127】伸長弾性率(g/mm2)=〔初期ひずみに
対応する応力(g)〕/(試験片の幅)/〔初期ひずみ
(mm)〕
【0128】(iv) 疲労試験法 図1および2に示すような疲労試験機を用い、貼付剤を
幅20mm、長さ50mm(貼付剤の長さが40mm〜
50mmのときは貼付剤の長さを長さとする)の短冊に
切り、貼付面を厚み12μm、幅20mm、長さ150
mmのポリエチレンテレフタレートフィルムの延伸フィ
ルム(帝人株式会社、テトロンフィルムNS−12)の
中央部に貼付し、図1のように一端を固定し、他端には
100gの荷重をかけて吊るす。固定板、荷重を含めた
試験片は湿度90〜100%、温度37℃の雰囲気に置
く。
【0129】試験片をセットしたのち、毎分100回転
でモーターを回転させる。モーターの軸には、18mm
φの3本のフリーのパイプ状のローラーがついており、
該ローラーは、3本からなるため、試験片に毎分300
回のしごきをポリエチレンテレフタレートに与えること
になる。
【0130】連続12時間のしごきを与えた後、試験片
を取り出し、試験片が湿った状態で(乾いてしまうとフ
ィルムと布帛が再度粘着するため、正しい結果が得られ
ない)、布帛とフィルムの界面の層間剥離力を前記(i
i) の測定法により測定する。
【0131】(V)硝酸イソソルビドの血中濃度測定法 3mlの採取血液より、血漿を分離した後、4mlのn
―ヘキサンで抽出し濃縮して、酢酸エチルを加えて10
0μlとし、GC―ECDにより定量した。
【0132】また、実施例で使用した中空糸試料および
粘着剤溶液は以下の方法で作成した。
【0133】中空糸試料 テレフタル酸ジメチル297部、エチレングリコール2
65部、3,5―ジ(カルボメトキシ)ベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム53部(テレフタル酸ジメチルに対して
11.7モル%)、酢酸マンガン4水塩0.084部及
び酢酸ナトリウム3水塩1.22部を精溜塔付ガラスフ
ラスコに入れ、常法に従ってエステル交換反応を行い、
理論量のメタノールが留出した後反応生成物を精溜塔付
重縮合用フラスコに入れ、安定剤として正リン酸の56
%水溶液0.090部及び重縮合触媒として三酸化アン
チモン0.135部を加え、温度275℃で、常圧下2
0分、30mmHgの減圧下15分間反応させた後高真
空下で100分間反応させた。最終内圧は0.39mm
Hgであり、得られた共重合ポリマーの極限粘度は0.
402、軟化点は約200℃であった。反応終了後共重
合ポリマーを常法に従いチップ化した。
【0134】この共重合ポリマーのチップ15部と極限
粘度0.640のポリエチレンテレフタレートのチップ
85部とをナウタ・ミキサー(細川鉄工所製)中で5分
間混合した後、窒素気流中にて110℃で2時間、更に
150℃で7時間乾燥した後、二軸スクリュー式押出機
を用いて285℃で溶融混練してチップ化した。このチ
ップの極限粘度は0.535、軟化点は261℃であっ
た。
【0135】このチップを常法により乾燥し、紡糸口金
に巾0.05mm、径0.6mmである円形スリットの
2箇所が閉じた円弧状の開口部をもつものを使用し、常
法に従って紡糸し、外径と内径の比が2:1の中空繊維
(中空率25%)を作った。この中空繊維は、該中空繊
維断面全体に散在し繊維方向に配列し、かつその少なく
とも1部は中空部まで連通している微細孔を有する中空
繊維であった。この原糸は300デニール/24フィラ
メントであり、この原糸を用い常法に従って延伸倍率
4.2倍で延伸し、71デニール/24フィラメントの
マルチフィラメントを得た。本マルチフィラメントの単
糸の平均直径は約18μmであった。このマルチフィラ
メントをメリヤス編地になし、常法により精練、乾燥
後、1%のカセイソーダ水溶液でかつ沸騰温度にて2時
間処理してアルカリ減量率20%、吸水速度3秒、吸水
率84%の編物を得た。得られた編物を縦方向に1.5
倍引き伸ばして100℃で1分間熱をかけてヒートセッ
トして目付17g/m2 の編物を得た。
【0136】粘着剤溶液 2―エチルヘキシルアクリレート97.5部、メタアク
リル酸2.5部、過酸化ベンゾイル1.0部及び酢酸エ
チル100部を還流冷却器、かきまぜ機を有する反応容
器に仕込み窒素雰囲気下60℃でゆっくり拡販しながら
9時間重合を続けた。重合転化率は99.9%であっ
た。得られた重合体溶液に酢酸エチル500部を加えて
固形分濃度を約20%に調節した。
【0137】参考例1 現在市販されている貼付剤7種について、伸長弾性率を
測定した。図3に、貼付剤3、貼付剤6および本発明の
貼付剤(後記実施例1)の横方向について、得られた引
張応力−ひずみ曲線を示す。図3にみるように、試験開
始(引張開始)直後に荷重が約10g程度ずれるのは、
明らかに試験片のつかみ具合によるものであり、その後
のひずみと荷重の曲線について測定し、伸長弾性率を算
出した。結果を表1に示す。
【0138】
【表1】
【0139】貼付剤1や貼付剤2は伸長弾性率が小さ
く、貼り心地はよい。しかし、いずれも通気性の貼付剤
であって、密封効果はほとんどなく、本発明の目的には
適さない。貼付剤4、貼付剤5および貼付剤6は折り曲
げ試験では柔軟であるが、貼付剤6は伸長弾性率が大き
く、特に違和感が強かった。この3剤は製剤に腰がな
く、取扱いにくかった。貼付剤3は密封効果はなく、取
扱い性が良好ではなかった。貼付剤7は製剤サイズが小
さく、好ましいが、違和感が強い。
【0140】実施例1 固形分濃度20%の粘着剤溶液500部に対し硝酸イソ
ソルビド(ISDN)13部を加えたのち、この混合液
(M―1)の一部を用いてシリコーンコートした離型フ
イルムの上に乾燥後の粘着剤層の厚みが15μmとなる
ように塗工し80℃で1分間、90℃で1分間、130
℃で2分間乾燥した。得られた粘着剤層(粘着剤層c
1)中の酢酸エチル残存量は13ppmであり、ISD
Nの含量は2.4g/m2 であった。
【0141】さらに、混合液(M―1)の一部を用いて
シリコーンコートした離型フイルムの上に乾燥後の粘着
剤層の厚みが40μmとなるように塗工し、80℃で2
分間、90℃で2分間、130℃で4分間乾燥した。得
られた粘着剤層(粘着剤層c2)中の酢酸エチル残存量
は21ppmであり、ISDNの含量は5.9g/m2
であった。
【0142】次に厚さ2.5μm、直交する2方向の各
々の強度が35g/mm及び41g/mm、且つ伸度が
37%及び81%であり、平均直径0.45μmの合成
シリカ0.1重量%及び平均粒径0.75μmのタルク
を0.05重量%含むポリエチレンテレフタレートフイ
ルム(PETフイルム、a)の1面に粘着剤層c1を圧
着してPETフイルムaと粘着剤層c1の積層物(積層
物a−c1)を得た。
【0143】次に積層物a−c1の離型フィルムを剥が
し、粘着層面に、中空糸試料を圧着し、積層物(積層物
a−c1−b)を得た。
【0144】次に、ロール径150mmのエチレン・プ
ロピレンテトラマー(EPT)ゴムからなるロールとロ
ール径150mmのクロムメッキした金属ロールの間で
ニップ加圧するようにしたラミネーターであり、両ロー
ル間の加圧圧力(加圧圧力P)が6kg/cm2 ・Gと
なるようにしたロール間に積層物a−c1−bのPET
フイルム面(a層側、フイルム方向)がEPTゴムロー
ルの方にあり、該積層物の中空糸試料(b)の自由面に
は、粘着剤層c2の粘着面が圧着できるように通し、積
層物a−c1−b−c2を得た。
【0145】このときロール間を通す速度(加圧速度)
は1.5m/分とした。また、ロール間を通すとき、粘
着剤層c2の粘着面の他の面側には厚みが75μmのポ
リエチレンテレフタレートからなる離型フイルムを置い
て粘着面が金属ロールに粘着しないようにした。
【0146】かくして得られた積層物a−c1−b−c
2は7.1cm×7.1cmの大きさに裁断してISD
Nを1枚当り40mg含有する狭心症用の貼付剤とし
た。本貼付剤の厚みは151μmであった。また、該貼
付剤について水分蒸散性を測定したところ、製剤全体と
しての水分蒸散量は17.5mg/日・cm2 であっ
た。また、該貼付剤のフィルムa層と布帛b層の間の層
間剥離力は23g/mmであった。さらに、この貼付剤
の伸長弾性率は縦方向が33g/mm2 であり、横方向
は15g/mm2 であった。横方向に伸長弾性率を求め
た場合の荷重−ひずみ曲線を図3に示す。また、本品は
疲労試験後においても、9.3g/mmの層間剥離力が
あり、ヒトで1日以上連続貼付しても充分安定であるこ
とが判明した。
【0147】該貼付剤を直径30mmの円形に裁断し、
平均体重181gの除毛したヘアレスラットの背部に貼
付し、所定時間に採血し、血漿中のISDN濃度を測定
した。結果を表2に示す。
【0148】比較例1 中空糸試料の作成法で説明した工程と全く同じ方法によ
り目付60g/m2 の編物を作成し、これを縦および横
方向に引伸しながら180℃で2分間熱をかけてヒート
セットして目付45g/m2 の編物を得た(中空糸試料
Bという)。この編物は充分に緊張熱セットしてあるた
め、縦および横方向にも伸びの小さい布帛となってい
た。
【0149】実施例1において、中空糸試料の代わりに
中空糸試料Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、
7.1cm×7.1cmの大きさ当たりISDN40m
gを含有する貼付剤を得た。本貼付剤の厚みは297μ
mであった。また、貼付剤の水分蒸散性を測定したとこ
ろ、製剤全体としての水分蒸散量は25.7mg/日・
cm2 であった。また、フィルムと布帛の間の層間剥離
力は26.6g/mmであった。さらに伸長弾性率は縦
方向60g/mm2 以上であり、横方向は51g/mm
2 であった。また、実施例1と同様にして平均体重18
9gのヘアレスラットを用いて測定したISDN濃度は
表2に示すとおりであった。
【0150】本貼付剤は、取扱い性は良好であるが、柔
軟性が著しく不足しており、ヒト貼付剤としては適さな
いと判定された。なお、本貼付剤の疲労試験後の層間剥
離力は12.0g/mmであった。
【0151】実施例2 実施例1の混合液(M−1)の代わりに、スチレン−イ
ソプレン共重合体(SISポリマー)〔トーネックス
(株)、VECTOR4113〕60部、完全水添ロジ
ン〔荒川化学(株)、KE311〕90部、流動パラフ
ィン5部、ビスヒドロキシトルエン1部、硝酸イソソル
ビド40部を、トルエン・ヘキサン混合溶媒1,000
部に溶解した混合液(M−2)を用いた以外は実施例1
と同様にして貼付剤を得、評価した。
【0152】得られた貼付剤の厚みは146μmであ
り、水分蒸散量は18.1mg/日・cm2 であった。
また、層間剥離力は32.5g/mmであった。また伸
長弾性率は縦方向が39.9g/mm2 であり、横方向
は15.7g/mm2 であった。ヘアレスラットでのI
SDN血中濃度は表2に示すとおりであった。さらに、
疲労試験においても、層間剥離力は19.5g/mmと
特に良好であった。
【0153】実施例3 実施例1において、中空糸試料の代わりに、単糸の太さ
約7μmのポリエチレンテレフタレートの中実糸からな
る目付15g/m2 の編物を用いた以外は実施例1の要
領で貼付剤を得、実施例1と同様に評価した。その結
果、貼付剤の水分蒸散量は13.1mg/日・cm2
あり、a層とb層の層間剥離力は19g/mmであっ
た。また、貼付剤の伸長弾性率は縦方向が35g/m
m、横方向が21g/mmであった。さらに、本貼付剤
の疲労試験後の層間剥離力は6g/mmであり、連続貼
付に耐えると判定された。ISDN血漿中濃度は表2に
示す。
【0154】
【表2】
【0155】参考例2 フィルム層(a層)として、厚み2.5μmのポリエチ
レンテレフタレートフィルム(テイジンテトロンフィル
ム、Fタイプ)を用い、前記粘着剤溶液を用いて、薬物
含有粘着剤(c層)の代わりに、薬物を含有しない粘着
剤層を2層(厚み15μmのc3層と厚み40μmのc
4層)を作り、また、単糸の平均太さが約7μmのポリ
エチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント
(50デニール/24フィラメント)を用いて、15g
/m2 と28g/m2 と50g/m2 の3種の目付けの
編物(b層)を得、外側より、a層、c3層、b層、c
4層と積層して、大きさが7.1cm×7.1cmのい
わゆるプラセボ貼付剤(A〜C)を作り、ヒトの上腹部
に72時間(各水準n=5)貼付して、貼付剤のヒト皮
膚からの剥離状態を調べた。結果を表3に示す。
【0156】さらに、同じマルチフィラメントを用い
て、目付け28g/m2 とほぼ同じ目付け29g/m2
の編物であるが、縦糸の配置を変えて布帛の厚みが大き
くなる編物を作り、これをb層に用いた貼付剤(D)を
同時に評価した結果も表3に示す。
【0157】剥離の程度を示す%は、1つの貼付剤の大
きさの合計、すなわち50(cm2)×5(枚)=25
0(cm2 )に対する、剥離した部分の面積の合計の割
合で示した。例えば、5枚のうちの1枚のみが完全に剥
離した場合は、剥離した面積は50cm2 であり、これ
は全体の50÷250×100=20(%)である。
【0158】
【表3】
【0159】表3に示すとおり、貼付剤の厚みは剥がれ
に大きな影響がある。布帛の目付けが同じでも、織編構
造で厚みが大きくなる場合は、厚みの影響が大きいこと
からも明白である。
【0160】実施例4 赤色2号顔料0.02部を、水10部に溶解させて得た
溶液0.2部をとり、中空糸試料1部の表面にほぼ均一
になるように滴下した。その後、この液を含んだ中空糸
試料を乾燥し、ピンク系に着色した編物を得た。該編物
を用い、実施例1と同様にして貼付剤を得た。
【0161】得られた貼付剤の水分蒸散量は17.2m
g/日・cm2 であり、層間剥離力は22g/mmであ
った。また、伸長弾性率およびISDN血中濃度は実施
例1で得られた貼付剤と同等であった。しかも、本貼付
剤はややピンク系であり、ヒトの皮膚に貼付したときに
実施例1の貼付剤より目立たなかった。
【0162】参考例3 実施例2において、硝酸イソソルビドを用いなかったこ
と、中空糸試料の代わりに表4に示す布帛を用いたこ
と、および2.5μmのポリエチレンテレフタレートフ
ィルムの代わりに、表4に示すフィルムを用いたこと以
外は実施例2と同様にしてプラセボ貼付剤を作り、健常
人による24時間貼付試験(n=5)を行い、貼付感触
を問診により調べた。結果を表4に示す。試験には、実
施例2と同様にして作ったプラセボ貼付剤を比較(標
準)として用いた。
【0163】
【表4】
【0164】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の貼付剤
は、所望の経皮吸収性(徐放性)を有しかつ皮膚カブレ
の発生を顕著に防止した経皮投与用貼付剤として利用す
ることができる。また本発明の貼付剤は、貼付剤自体が
非常に柔軟であり、皮膚刺激がほとんどなく、また必要
な密封性を維持しつつ、しかも取扱い性に優れかつ安全
性の高い貼付剤であり、尚かつ長時間使用しても違和感
が少なく、安定性の高い貼付剤として広く利用されるこ
とになろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において用いた疲労試験機の説明図であ
り、正面図である。
【図2】疲労試験機の説明図であり、側面斜視図であ
る。
【図3】参考例1および実施例1において、横方向の伸
長弾性率の測定で得られた引張応力−ひずみ曲線を示
す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 9/70 352 354 31/21 9454−4C 31/445 9454−4C 31/485 9454−4C 31/565 9454−4C 45/00 AAH ABS 8415−4C AEJ AEK

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外皮に適用する貼付剤であって (イ)水分半透過性で、フイルムの実質的に直交する2
    方向の強度が各々8〜100g/mm、及び実質的に直
    交する2方向の伸度が各々30〜150%であって、該
    2方向の伸度の比が1.0〜4.0(但し、該2方向の
    伸度が同一でない場合には、小さい伸度の方を分母とす
    る)であり、厚みが0.5〜4.9μmのフイルム(a
    層)、 (ロ)単糸の平均直径が2〜22μmからなり、かつ、
    目付が8〜40g/m2の布帛(b層)、および (ハ)薬物を含有した厚みが7〜80μmの粘着剤層
    (c層)を必須成分として有し、且つ、以下の(1)〜
    (4)の特性を満足する貼付剤。 (1)貼付剤の厚みが40〜250μm、(2)貼付剤
    の水分蒸散性が7〜40mg/日・cm2 、(3)フィ
    ルム(a層)と布帛(b層)の層間剥離力が3〜45g
    /mm、(4)貼付剤の直交する2方向の伸長弾性率
    が、それぞれ8〜50g/mm2 であり、少なくとも1
    方向の伸長弾性率は8〜35g/mm2 にある。
  2. 【請求項2】 フイルムがポリエステルフイルムである
    請求項1記載の貼付剤。
  3. 【請求項3】 ポリエステルフイルムが(5)平均粒子
    径が0.001〜3.0μmで(6)該平均粒子径が実
    質的に該ポリエステルフイルムの厚みの1.5倍を超え
    ない固形微粒子を該ポリエステルフイルムの全量に対し
    て0.01〜1.0重量%含有するフイルムである請求
    項2記載の貼付剤。
  4. 【請求項4】 単糸の平均直径が5〜22μmである請
    求項1記載の貼付剤。
  5. 【請求項5】 布帛の目付が8〜29g/m2 である請
    求項1記載の貼付剤。
  6. 【請求項6】 布帛が編物である請求項1記載の貼付
    剤。
  7. 【請求項7】 布帛が不織布又は織物である請求項1記
    載の貼付剤。
  8. 【請求項8】 布帛を構成する繊維の大部分が外周方向
    に貫通した孔を有する中空繊維である請求項1記載の貼
    付剤。
  9. 【請求項9】 布帛を構成する繊維の大部分が外周方向
    に貫通した孔を有する中空繊維ではない請求項1記載の
    貼付剤。
  10. 【請求項10】 布帛が肌色に近い色に着色されている
    請求項1記載の貼付剤。
  11. 【請求項11】 粘着剤層を構成する粘着剤の大部分が
    ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤、及びアクリル系粘着
    剤から選ばれるものである請求項1記載の貼付剤。
  12. 【請求項12】 ゴム系粘着剤が ブタジエン、イソプレン、エチレンクロロプレン、ス
    チレンのいずれか少なくとも1種を共重合成分として含
    むジエン系ゴムから選択されたゴム系粘着基剤20〜6
    0重量%、 ロジン系、テルペン系、石油系、スチレン系から選ば
    れた粘着付与樹脂0〜60重量%、 流動パラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポ
    リイソプレンから選ばれた軟化剤0〜60重量%(但
    し、++=70〜99.9)、および ビスヒドロキシトルエン等のゴム系粘着基剤用安定剤
    0.1〜5重量%を含む請求項11記載の貼付剤。
  13. 【請求項13】 粘着剤層を構成する粘着剤がシリコン
    系粘着剤(SR)とアクリル系粘着剤(AC)の混合物
    からなり、その混合比率が SR:AC=85:15〜15:85(重量比) である請求項11記載の貼付剤。
  14. 【請求項14】 粘着剤層を構成する粘着剤が酢酸ビニ
    ール25〜65重量%、アルキル基の平均炭素数が4以
    上14以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル25
    〜50重量%、および(メタ)アクリル酸0〜15重量
    %の割合で共重合させて得られた酢酸ビニール系粘着剤
    である請求項1記載の貼付剤。
  15. 【請求項15】 粘着剤層が2つ以上の層となってお
    り、それぞれの粘着剤層は同一又は異なる粘着剤から構
    成されている請求項1記載の貼付剤。
  16. 【請求項16】 薬物が冠血管作用薬、ホルモン剤、鎮
    痛剤、抗アレルギー薬から選ばれた少なくとも1種の薬
    物である請求項1記載の貼付剤。
  17. 【請求項17】 貼付剤の厚みが40〜200μmであ
    る請求項1記載の貼付剤。
  18. 【請求項18】 温度37℃、湿度100%で毎分30
    0回の繰り返し応力を加えた後における残留の層間剥離
    力が1.5〜20g/mmである請求項1記載の貼付
    剤。
  19. 【請求項19】 貼付剤の直交する2方向の伸長弾性率
    が、それぞれ10〜50g/mm2 であり、少なくとも
    1方向の伸長弾性率が10〜30g/mm2にある請求
    項1記載の貼付剤。
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