JPH0751859A - 亜鉛めっき鋼板の溶接方法 - Google Patents

亜鉛めっき鋼板の溶接方法

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JPH0751859A
JPH0751859A JP20612793A JP20612793A JPH0751859A JP H0751859 A JPH0751859 A JP H0751859A JP 20612793 A JP20612793 A JP 20612793A JP 20612793 A JP20612793 A JP 20612793A JP H0751859 A JPH0751859 A JP H0751859A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ブローホール及びピットの発生を抑制できる
亜鉛めっき鋼板の溶接方法を提供する。 【構成】 溶接ビード1cm当たりの溶着金属量をx
(g/cm)、溶接ビード1cm当たりに加えられる熱
量をy(J/cm)とすると、yが3000x+150
乃至4680x−200となるように、電圧及び電流を
設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は亜鉛めっき鋼板を例えば
重ねすみ肉溶接する場合に好適の亜鉛めっき鋼板の溶接
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、亜鉛めっき鋼板の重ねすみ肉溶接
においては、溶接時の熱によってめっき部分から発生し
たガスが重ね部分から溶融池内に噴出するため、凝固後
の溶接金属中に前記ガスが残留するブローホール(気
孔)及び前記ガスにより溶接金属の表面に窪みが形成さ
れるピット(開口)等の欠陥が発生しやすいという問題
点がある。このため、従来、亜鉛めっき鋼板の重ねすみ
肉溶接においては、溶融池の粘度が高くなりガスの成長
が抑制されるように組成が調整された溶接ワイヤを使用
し、また、溶滴移行が安定化するように溶接条件を設定
することによって、ブローホール及びピットの減少が図
られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
亜鉛めっき鋼板の重ねすみ肉溶接方法においては、ブロ
ーホール及びピットを抑制する効果が十分でない。この
ため、ブローホール及びピット等の欠陥をより一層低減
できる亜鉛めっき鋼板の溶接方法が要望されている。
【0004】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、ブローホール及びピット等の欠陥を低減で
きる亜鉛めっき鋼板の溶接方法を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る亜鉛めっき
鋼板の溶接方法は、シールドガスによって溶接部をシー
ルドしつつ通電電極を介して溶接ワイヤに通電し亜鉛め
っき鋼板を溶接する亜鉛めっき鋼板の溶接方法におい
て、溶接ビード1cm当たりの溶着金属量をx(g/c
m)、溶接ビード1cm当たりに加える熱量をy(J/
cm)とすると、溶着金属量xと熱量yとの関係が下記
式を満足することを特徴とする亜鉛めっき鋼板の溶接方
法。 3000x+150≦y≦4680x−200
【0006】
【作用】本願発明者等は、亜鉛めっき鋼板の溶接におい
て、ブローホール及びピット等の欠陥を抑制すべく、種
々実験研究を行った。その結果、ブローホール及びピッ
ト等の欠陥を抑制するためには、溶接時に母材に加えら
れる熱量を低減してガス発生温度にまで加熱されるめっ
き部分の面積を減少しガスの発生量を低減することと、
溶融池内に加えられる熱量を低減して溶融池内に発生し
た気孔が成長する前に溶融池を凝固させることとが有効
であることを見い出した。本発明は、このような実験結
果に基づいてなされたものである。
【0007】本発明においては、溶接ビード1cm当た
りの溶着金属量をx(g/cm)、溶接ビード1cm当
たりに加える熱量(以下、入熱ともいう)をy(J/c
m)とすると、このx及びyが下記数式1を満足するよ
うに、溶着金属量x及び入熱yを設定する。
【0008】
【数1】3000x+150≦y≦4680x−200
【0009】但し、入熱yは、溶接によって加えられた
エネルギーの総量に等しく、電流をI(A)、電圧をE
(V)、溶接速度をv(cm/sec)とすると、y=I
E/vである。
【0010】この入熱yが3000x+150未満であ
ると、ビード形状が不揃いになり、良好な形状のビード
を安定して得ることが困難になる。一方、入熱yが46
80x−200を超える場合は、ブローホール及びピッ
トを防止する効果が減少する。従って、溶着金属量x及
び入熱yは、前記数式1を満足するように設定すること
が必要である。
【0011】例えば、xが0.5(g/cm)のときに
は、入熱yの下限値は、3000×0.5+150=1
650(J/cm)=1.65(kJ/cm)であり、
入熱yの上限値は、4680×0.5−200=214
0(J/cm)=2.14(kJ/cm)である。従っ
て、入熱yが1.65乃至2.14(kJ/cm)の範
囲内になるように電流及び電圧を設定すればよい。従
来、溶着金属量が0.5(g/cm)近傍の場合、溶接
入熱が2.3〜2.7(kJ/cm)であった。本発明
によれば、溶接入熱は従来よりも低くなる。
【0012】このように入熱を少なくすることにより、
溶接時にガス発生温度にまで加熱されるめっき部分の面
積が減少してガス発生量を低減することができると共
に、溶融池に加えられる熱量が低減し溶融池内に発生し
た気孔が成長する前に溶融池が凝固する。これにより、
ブローホール及びピット等の欠陥を抑制することができ
る。
【0013】入熱yを低減しつつ良好な溶接を行うため
には、以下に示す方法がある。
【0014】(1)溶接ワイヤの通電部分の長さを20
乃至50mmとする。即ち、溶接ワイヤに電流を供給す
る電極(通電チップ)からアーク先端までの間(即ち、
ワイヤ突き出し部)では、溶接ワイヤに電流が流れてジ
ュール熱Wが発生する。このジュール熱Wは、電流を
I、前記ワイヤ突き出し部の抵抗値をRとすると、W=
2×Rとなる。つまり、ワイヤ突き出し長が長いほど
抵抗値Rが大きく、ジュール熱によってワイヤ突き出し
部が加熱され、ワイヤの溶解に必要な溶接アーク電流を
低減することができる。この場合に、溶接ワイヤの突き
出し長が20mm未満の場合は、上述の効果を十分に得
ることができない。また、溶接ワイヤの突き出し長が5
0mmを超えると、溶接が不安定になると共に、シール
ド不良等の不都合が発生する。従って、溶接ワイヤの通
電部分の長さは、20乃至50mmとすることが好まし
い。
【0015】(2)シールドガスとして、アルゴン及び
/又はヘリウムを50体積%以上含有し残部が炭酸ガス
からなるガスを使用する。即ち、シールドガス中のアル
ゴン及び/又はヘリウムの比率を増加することによっ
て、母材へ移行する直前の溶滴の直径が小さくなる。こ
のため、溶接電圧を低減してアーク長を短くすることが
できる。なお、シールドガス中のアルゴン及び/又はヘ
リウムの含有量が50体積%未満の場合は、このような
効果を十分に得ることができない。従って、シールドガ
ス中のアルゴン及び/又はヘリウムの含有量は50体積
%以上であることが好ましい。
【0016】(3)Si含有量が0.5乃至4重量%、
Mn含有量が0.01乃至2重量%、C含有量が0.0
8重量%以下であり、残部がFe及び不可避的不純物か
らなる溶接ワイヤを使用する。即ち、亜鉛めっき鋼板の
溶接には、通常、Feを主成分とする溶接ワイヤを使用
するが、この溶接ワイヤにSiを添加することによっ
て、溶接ワイヤの電気抵抗が増大する。このため、溶接
ワイヤの通電部分で発生するジュール熱が増大し、ワイ
ヤ突き出し部が予め加熱されるので、ワイヤの溶解に必
要な溶接アーク電流を低減することができる。また、溶
接ワイヤにMn及びCを添加することにより、溶接移行
が安定化すると共に、溶接部の機械的性能が向上する。
【0017】この場合に、Si含有量が0.5重量%未
満の場合は、上述の効果を十分に得ることができない。
一方、Si含有量が4重量%を超えると、溶着金属の性
能が劣化する。特に、シャルピー衝撃吸収エネルギーの
低下が顕著になる。Mnの含有量が0.01重量%未満
の場合は、脱酸不足による気孔欠陥が発生しやすい。一
方、Mn含有量が2重量%を超えると、溶接部の強度が
上がりすぎて、シャルピー衝撃吸収エネルギーが低下す
ると共に、伸び及び絞り変形率が低下する。更に、C含
有量が0.08重量%を超えると、溶接割れが発生しや
すくなる。このため、溶接ワイヤは、Si含有量が0.
5乃至4重量%、Mn含有量が0.01乃至2重量%、
C含有量が0.08重量%以下であり、残部がFe及び
不可避的不純物からなるものであることが好ましい。
【0018】(4)溶接電流の平均値Iavgと溶接電流
の実効値Ieffとの比(Iavg/Ieff)を小さくする。
溶接電流の平均値Iavg及び実効値Ieffは夫々下記数式
2,3により表される。
【0019】
【数2】Iavg=[∫I(t)dt]/t
【0020】
【数3】Ieff={[∫I2(t)dt]/t}1/2
【0021】溶接電流の実効値Ieffは溶接ワイヤの溶
解量に比例し、平均値Iavgは溶接入熱に比例する。従
って、両者の比(Iavg/Ieff)が小さくなるような溶
接電流波形を用いて溶接を行えば、溶着金属量を一定に
維持しつつ、入熱を低減することが可能である。短絡移
行溶接の場合は、例えば図12に示すように、アーク発
生時及び溶滴の短絡移行時に同期して、電流を制御す
る。この場合に、アーク発生時のアーク電流を図中Iab
に示すように強制的に低減し、アーク電流の平均値Iav
gと実効値Ieffとの比(Iavg/Ieff)を0.93以下
とする。また、溶接ワイヤに所定の周期でパルス状のア
ーク電流を供給するパルス溶接においては、アーク電流
の平均値Iavgと実効値Ieffとの比(Iavg/Ieff)を
0.8以下とする。このようにアーク電流の平均値Iav
gと実効値Ieffとの比(Iavg/Ieff)を設定すること
により、溶着金属量を一定に維持しつつ、入熱を低減す
ることができる。
【0022】これらの(1)〜(4)に示す方法及びそ
の組み合わせにより、入熱yを前記数式1で示す範囲内
とすることができて、亜鉛めっき鋼板溶接時におけるブ
ローホール及びピット等の欠陥を抑制することができ
る。
【0023】
【実施例】次に、本発明の実施例について添付の図面を
参照して説明する。本発明の実施例に係る亜鉛めっき鋼
板の溶接方法においては、溶着金属量に応じて溶接入熱
を設定する。つまり、図1に示すように、溶着金属量を
x(g/cm)とすると、溶接入熱y(J/cm)を、
3000x+150以上、且つ、4680x−200以
下となるように設定する。例えば、溶接ワイヤの直径が
1.2mm、溶接ワイヤの密度が7.9g/cm3、溶
接速度が120cm/min、ワイヤ送給量が7m/minで
あるとする。そうすると、溶着金属量xは、下記数式4
に示すように、0.52(g/cm)となる。
【0024】
【数4】 x=π×(0.12(cm)/2)2×700(cm/min) ×7.9(g/cm3)/120(cm/min) =0.52(g/cm)
【0025】従って、入熱yは、その下限値を3000
×0.52+150(J/cm)=1.71(kJ/c
m)とし、上限値を4680×0.52−200(J/
cm)=2.23(kJ/cm)として、この下限値と
上限値との間に設定すればよい。従来、上述の条件で亜
鉛めっき鋼板を溶接する場合、入熱は約2.3〜2.7
(kJ/cm)であったので、本実施例においては、従
来に比して入熱を低く設定することになる。図2は、横
軸に溶接入熱をとり、縦軸にブローホール数をとって、
両者の関係を示すグラフ図である。この図2に示すよう
に、溶接入熱を低く設定することにより、ブローホール
及びピット等の欠陥が少ない溶接部を得ることができ
る。
【0026】ところで、入熱yは、溶接によって加えら
れたエネルギーの総量に等しく、電流をI(A)、電圧
をE(V)、溶接速度をv(cm/min)とすると、y
=IE/(v/60)で表される。即ち、入熱yを制御す
るためには、溶接電流I及び溶接電圧Vのうちの少なく
とも一方又は両方を制御すればよいことがわかる。
【0027】図3は、横軸に突き出し長さをとり、縦軸
に溶接電流をとって、両者の関係を示すグラフ図であ
る。但し、その他の溶接条件は、溶接速度が120cm
/min、溶接ワイヤがYGW17(ワイヤ径:1.2m
m、密度:約7.9g/cm3)、ワイヤ送給量が7m
/min、溶接姿勢が下向き重ねすみ肉、シールドガスが
Ar−20%CO2、シールドガス供給量が20リットル/m
in、電圧が20Vである。
【0028】溶接ワイヤの突き出し部では、溶接ワイヤ
に電気が通るためジュール熱Wが発生する。このジュー
ル熱Wは、電流をI、溶接ワイヤの突き出し部の抵抗値
をRとすると、W=I2Rである。即ち、溶接ワイヤの
突き出し長を長くすることによって、ジュール熱が増加
し溶接ワイヤの突き出し部が予め加熱されて、溶接ワイ
ヤの溶解に必要な溶接アーク電流を低減することができ
る。換言すると、溶接ワイヤの突き出し長を長くするこ
とによって、良好な溶接状態を維持しつつ、入熱を低減
することができる。
【0029】図4は、横軸に溶接入熱をとり、縦軸に幅
が1mm以上のブローホールの数をとって、突き出し長
及び溶接電流を変化させることにより溶接入熱を変化さ
せた場合の溶接入熱とブローホール数との関係を示すグ
ラフ図である。この図4から明らかなように、溶接入熱
が増大すると、ブローホール数も増大する。溶接入熱が
2.23kJ/cm以下のときは、ブローホール発生数
が40以下と少ない。
【0030】図5は、横軸にシールドガス中のCO2
比率(体積%)をとり、縦軸に溶接電圧をとって、両者
の関係を示すグラフ図である。但し、その他の溶接条件
は、溶接速度が120cm/min、溶接ワイヤがYGW
17(ワイヤ径:1.2mm、密度:約7.9g/cm
3)、ワイヤ送給量が7m/min、溶接姿勢が下向き重ね
すみ肉、突き出し長が15mmである。
【0031】この図5から明らかなように、シールドガ
ス中のアルゴン及び/又はヘリウムの比率を増加するこ
とによって、母材へ移行する直前の溶滴の直径が減少す
る。このため、溶接電圧を低減してアーク長を短くした
溶接が可能になる。つまり、シールドガス中のCO2
率を少なくすることにより、良好な溶接状態を維持しつ
つ、溶接電圧を低下させることができる。
【0032】図6は、横軸に溶接入熱をとり、縦軸に幅
が1mm以上のブローホールの数をとって、アルゴン−
炭酸ガス系シールドガス中のアルゴン比率及び溶接電圧
を変化させることにより溶接入熱を変化させた場合の溶
接入熱とブローホール数との関係を示すグラフ図であ
る。この図6から明らかなように、溶接入熱が2.2k
J/cm以上の範囲では、溶接入熱の増大と共にブロー
ホールの発生数は増加する。溶接入熱が2.23kJ/
cm以下の範囲では、ブローホールの発生数が約10以
下であり、極めて少ない。
【0033】図7は、横軸にSi含有量をとり、縦軸に
溶接電流をとって、両者の関係を示すグラフ図である。
但し、その他の溶接条件は、溶接速度が120cm/mi
n、溶接ワイヤ送給量が7m/min、溶接姿勢が下向き重
ねすみ肉、突き出し長が15mm、シールドガスがAr
−20%CO2、シールドガス供給量が20リットル/minで
ある。
【0034】溶接ワイヤのシリコン添加量を増加するこ
とによって、ワイヤの電気抵抗が増大する。このため、
ジュール熱が増加し、ワイヤが予め加熱されるので、ワ
イヤの溶解に必要な溶接アーク電流を低減することがで
きる。
【0035】図8は、横軸に溶接入熱をとり、縦軸に幅
が1mm以上のブローホールの数をとって、溶接ワイヤ
のSi含有量及び溶接電流を変化させることにより溶接
入熱を変化させた場合の溶接入熱とブローホール数との
関係を示すグラフ図である。この図8から明らかなよう
に、溶接入熱を増大することによりブローホール数が増
大する。溶接入熱が2.23(kJ/cm)以下の場合
は、ブローホールの発生数が約40以下と少ない。
【0036】図9は、縦軸に溶接電流をとり、従来の標
準的な方法(std.)と、アーク電流の実効値Ieff
をこの従来の標準的な方法と略同一にし、アーク電流の
平均値Iavgを低減した2つの方法A,Bとを示すグラ
フ図である。従来の標準的な方法においては、溶接電流
の実効値Ieffと平均値Iavgとが概略等しくなってい
る。一方、A,Bに示す方法においては、溶接電流波形
を変化させることにより、溶接電流の平均値Iavgと実
効値Ieffとの比(Iavg/Ieff)を夫々約0.9及び
0.75に設定した。但し、その他の溶接条件は、溶接
速度が120cm/min、溶接ワイヤがYGW17(ワ
イヤ径:1.2mm、密度:約7.9g/cm3)、ワ
イヤ送給量が7m/min、溶接姿勢が下向き重ねすみ
肉、突き出し長が15mm、シールドガスがAr−20
%CO2、シールドガス供給量が20リットル/min、溶接電
圧が20Vである。図11(a)〜(c)は夫々図9に
std.、A及びBで示す方法における電流波形を示す
グラフ図である。従来方法(std.)では、短絡時に
は大電流を流してアークの再生を促し、アーク発生時に
は溶接電圧が一定になるように制御を行った。また、図
9にAで示す方法においては、アーク発生後、所定の時
間が過ぎると強制的に電流を低減し、一定の電流値に維
持した。更に、図9にBで示す方法においては、溶接電
流を矩形的に変化させた。このように、溶接電流の波形
を変化させることにより、溶接電流の実効値を一定に維
持しつつ、平均値を低減することができる。換言すれ
ば、溶接電流の波形を変化させることにより、溶着金属
量を一定に維持しつつ、入熱を低減することができる。
【0037】図10は、横軸に溶接入熱をとり、縦軸に
幅が1mm以上のブローホールの数をとって、溶接電流
波形を変化させることにより溶接電流の平均値Iavgと
実効値Ieffとの比(Iavg/Ieff)を変化させた場合
の溶接入熱とブローホール数との関係を示すグラフ図で
ある。この場合も、溶接入熱が増大すると、ブローホー
ル数が増加する。溶接入値が2.23kJ/cm以下の
ときは、ブローホール数が約25以下と、極めて少な
い。
【0038】これらの図4,6,8,10から明らかな
ように、入熱を減少することによってブローホールが減
少する。入熱を低減する手段により若干傾向は異なるも
のの、上述の実施例においては、入熱を2.23kJ/
cm以下とすることにより、ブローホールの発生を抑制
することができる。但し、入熱が1.71(kJ/c
m)未満の場合は、いずれの場合も、ビード形状が不揃
いになって、良好な形状のビードを安定して得ることが
できなくなる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る亜鉛め
っき鋼板の溶接方法においては、溶接ビード1cm当た
りの溶着金属量に応じて溶接ビード1cm当たりに加え
る熱量を所定の範囲に設定するから、ブローホール及び
ピットの発生を抑制できると共に、良好な状態の溶接ビ
ードを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における溶着金属量及び溶接入
熱の設定範囲を示すグラフ図である。
【図2】溶接入熱とブローホールとの関係を示すグラフ
図である。
【図3】突き出し長と溶接電流との関係を示すグラフ図
である。
【図4】突き出し長及び溶接電流を変化させることによ
り溶接入熱を変化させた場合の溶接入熱とブローホール
数との関係を示すグラフ図である。
【図5】シールドガス中のCO2の比率と溶接電圧との
関係を示すグラフ図である。
【図6】シールドガス中のアルゴンの比率及び溶接電圧
を変化させることにより溶接入熱を変化させた場合の溶
接入熱とブローホール数との関係を示すグラフ図であ
る。
【図7】溶接ワイヤ中のSi含有量と溶接電流との関係
を示すグラフ図である。
【図8】溶接ワイヤ中のSi含有量及び溶接電流を変化
させることにより溶接入熱を変化させた場合の溶接入熱
とブローホール数との関係を示すグラフ図である。
【図9】溶接電流の実効値Ieff及び平均値Iavgを示す
グラフ図である。
【図10】溶接電流の実効値Ieffと平均値Iavgとの比
を変化させることにより溶接入熱を変化させた場合の溶
接入熱とブローホール数との関係を示すグラフ図であ
る。
【図11】(a)乃至(c)は夫々図9にstd.、A
及びBで示す方法における電流波形を示すグラフ図であ
る。
【図12】溶滴移行溶接における溶接電流波形の1例を
示す波形図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B23K 35/30 320 A

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シールドガスによって溶接部をシールド
    しつつ通電電極を介して溶接ワイヤに通電し亜鉛めっき
    鋼板を溶接する亜鉛めっき鋼板の溶接方法において、溶
    接ビード1cm当たりの溶着金属量をx(g/cm)、
    溶接ビード1cm当たりに加える熱量をy(J/cm)
    とすると、溶着金属量xと熱量yとの関係が下記(1)
    式を満足することを特徴とする亜鉛めっき鋼板の溶接方
    法。 3000x+150≦y≦4680x−200 …(1)
  2. 【請求項2】 前記溶接ワイヤの突き出し長が20乃至
    50mmであることを特徴とする請求項1に記載の亜鉛
    めっき鋼板の溶接方法。
  3. 【請求項3】 前記シールドガスは、アルゴン及び/又
    はヘリウムを50体積%以上含有し、残部が炭酸ガスか
    らなることを特徴とする請求項1又は2に記載の亜鉛め
    っき鋼板の溶接方法。
  4. 【請求項4】 前記溶接ワイヤは、Si含有量が0.5
    乃至4重量%、Mn含有量が0.01乃至2重量%、C
    含有量が0.08重量%以下であり、残部がFe及び不
    可避的不純物からなることを特徴とする請求項1乃至3
    のいずれか1項に記載の亜鉛めっき鋼板の溶接方法。
  5. 【請求項5】 溶滴を短絡移行させる亜鉛めっき鋼板の
    溶接方法において、アーク発生時のアーク電流の平均値
    Iavgと実効値Ieffとの比(Iavg/Ieff)が0.93
    以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか
    1項に記載の亜鉛めっき鋼板の溶接方法。
  6. 【請求項6】 前記溶接ワイヤに所定の周期でパルス状
    のアーク電流を供給する亜鉛めっき鋼板の溶接方法にお
    いて、前記アーク電流の平均値Iavgと実効値Ieffとの
    比(Iavg/Ieff)が0.8以下であることを特徴とす
    る請求項1乃至4のいずれか1項に記載の亜鉛めっき鋼
    板の溶接方法。
JP05206127A 1993-08-20 1993-08-20 亜鉛めっき鋼板の溶接方法 Expired - Fee Related JP3120929B2 (ja)

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