JPH0751249Y2 - ハンドグラインダー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、ハンドグラインダーに関するものである。

（従来技術および考案が解決しようとする課題） 従来のハンドグラインダー、すなわち手操作で研削する
ような小型グラインダーの砥石は、その両面に配した取
付部材を介して、砥石軸に堅固に締め付け固定されるの
が通常であつた。このため、砥石の保持構造において弾
力性等がなく研削の際の衝撃とか大きな負荷力等を吸
収、緩和できないため、砥石のわずかの送り過ぎで被研
削面に傷を付けたりするなど研削ミスに直結し、熟練を
要するキサゲその他の精密研削は困難であつた。

この考案は、上記した従来技術がもつ欠陥に鑑みて案出
されたものであり、その目的とするところは、砥石のわ
ずかの送り過ぎで研削ミスを招くことなく、そして熟練
者でなくてもキサゲその他の精密研削を容易に行うこと
ができる、ハンドグラインダーを提供することにある。

（課題を解決するための手段） この考案に係るハンドグラインダーは、前記目的を達成
するために次の構成からなる。

すなわち、握り軸部と、この握り軸部の先端側にて回転
可能に支持される砥石軸と、この砥石軸に取り付けられ
る砥石と、この砥石の上面側及び下面側に配される上下
の取付部材とを備える。前記砥石の下面側に配される取
付部材は、その砥石に設けられた通し孔を貫通する筒部
と、その筒部の下部に設けられるつば部とを備え、その
筒部を、前記砥石の上面側に配される取付部材を貫通す
る前記砥石軸に取付固定することにより、前記砥石をそ
れら上下の取付部材間に固定する。また、前記砥石とそ
の上面側に配される取付部材との間、及び、前記砥石と
その下面側に配される取付部材の前記つば部との間に、
それぞれ弾性部材を介在させる。そして、前記砥石の下
面側に配される取付部材の前記筒部と、前記砥石の通し
孔の壁部との間に、外周部もしくは内周部に、凹凸部を
備えた筒状の弾性部材を介在させ、その凹凸部の凸部部
分が、前記通し孔の壁部もしくは前記筒部に当接し、そ
の凹凸部の凹部部分が、前記通し孔の壁部と前記筒状の
弾性部材との間、もしくは、前記筒部と前記筒状の弾性
部材との間に隙間を形成している。

また、前記握り軸部の外周両側部には、前後に所定の間
隔をおいて指当てが設けられているのが好ましい。

また、前記砥石の上面側に配される取付部材には、前記
砥石の下面側に配される取付部材の前記筒部の先端側が
嵌まり込む凹部と、この凹部に対して側面部から貫通す
るネジ孔とが設けられ、そのネジ孔にねじ込まれたボル
トの先端が、前記砥石の下面側に配される取付部材の前
記筒部に当接しているのが望ましい。

（作用） 砥石は、その砥石の上面側に配される取付部材との間、
及び、その砥石の下面側に配される取付部材のつば部と
の間に介装された弾性部材、並びに、その砥石の下面側
に配される取付部材の筒部と、その砥石の通し孔の壁部
との間に介装された筒状の弾性部材によつて弾力的に保
持されて、研削作業で生ずる衝撃とか大きな負荷力等を
吸収、緩和する。とくに、砥石の下面側に配される取付
部材の筒部とその砥石の通し孔の壁部との間に介装され
る筒状の弾性部材は、外周部もしくは内周部に、凹凸部
を備えており、その凹凸部の凸部部分が、前記通し孔の
壁部もしくは前記筒部に当接し、その凹凸部の凹部部分
が、前記通し孔の壁部と前記筒状の弾性部材との間、も
しくは、前記筒部と前記筒状の弾性部材との間に隙間を
形成しているので、その弾性部材の変形を十分に許容し
て、より一層前記した衝撃とか大きな負荷力等を吸収、
緩和する。

（実施例） 以下、この考案に係るハンドグラインダーを、圧縮空気
を動力源するエアグラインダーに具体化した一実施例に
つき図面に基づいて説明する。

図中１は先端に位置するヘツド２がほぼ90°屈曲したア
ングルタイプのグラインダーであつて、その握り軸部３
の外周両側部には、第２図で明示するように、指当て４
が前後に所定の間隔をおいて側方に突設されており、左
右の親指Ｆをあてがつてしつかり握ることができるよう
になつている。また、このグラインダー１の基端には、
ホース５を介してカツプリング６が取り付けられてお
り、エアー源に接続して圧縮空気を導入できるようにな
つている。なお、７はエアコツク操作体であつて、回転
操作によつて内部のコツクを開放することにより圧縮空
気を導入し、図示しない羽根車を介して、ベアリング８
に支えられた水平駆動軸９を回転駆動するようになつて
いる。また、Ｔはホース５の前端部周囲を覆う合成樹脂
製のフレキシブルチユーブである。

そして、水平駆動軸９の先端側には、スパイラルベベル
ギヤ10を介して、垂直方向に延びる砥石軸11が連結され
ている。砥石軸11は、ヘツド２の内側に焼嵌めしたベア
リング12よつて回転可能に支持されており、その螺軸部
13の先端側には、外周一部がカバーＣによつて覆われる
砥石14が取り付けられている。

砥石14は、例えばカツプ形となつており、中央に通し孔
15が、また、その下面側には、前記通し孔15と同心で連
通する拡径の十文字溝付き凹部16が形成されている。そ
して、砥石14の上下両面には、その砥石14を前記砥石軸
11に取り付けるための上下の取付部材17,18が配されて
いる。

砥石14の下面側に配される取付部材18には、前記通し孔
15を貫通する筒部としての螺筒部19が形成されていると
ともに、その螺筒部19の下部には、前記凹部16にちよう
ど嵌まり込む、回り止め用の十文字のつば部20が設けら
れている。

また、砥石14の上面側に配される取付部材17の中央に
は、前記砥石軸11が貫通するようにねじ込まれるネジ孔
21が形成されており、かつ、砥石14に近接する下面側に
は、ネジ孔21と同心で連通するとともに、前記取付部材
18の螺筒部19の先端側が嵌まり込む、拡径の凹部22が形
成されている。しかも、この取付部材17には、前記凹部
22に対して側面部から貫通するネジ孔23が設けられてお
り、そのネジ孔23にねじ込まれた六角穴付きボルトＢの
先端部が、凹部22に嵌まり込む螺筒部19の外周部に当接
するようになつている。

そして、これら取付部材17,18のネジ孔21および螺筒部1
9に、前記砥石軸11の螺軸部13をねじ込むことにより、
砥石14を、それら取付部材17,18間に取り付け固定でき
るようになつているわけであるが、この砥石14とその上
面側に配される取付部材17及びその下面側に配される取
付部材18との間には、合成ゴムその他の素材からなる弾
性部材24,25および26が介在するようになつている。

すなわち、弾性部材24は、取付部材18の螺筒部19がちよ
うど嵌まる中央通し孔27を備えた小径円板状のものであ
つて、砥石14の凹部16の天板面と、前記取付部材18の十
文字つば部20の内側面との間に配備される。また、弾性
部材25は、前記取付部材18の螺筒部19がちようど嵌まる
円筒状からなる。そして、この弾性部材25は、好ましく
はその外周部に、複数の縦筋状の凸部部分28と、それら
の凸部部分28に挟まれた複数の凹部部分28aとからなる
凹凸部を備えるものであつて、砥石14の通し孔15の壁部
と取付部材18の螺筒部19との間に配備され、前記凹凸部
の凸部部分28が、砥石14の通し孔15の壁部に当接し、前
記凹凸部の凹部部分28aが、砥石14の通し孔15の壁部と
その弾性部材25との間に隙間Ｓを形成して残すようにな
つている。さらに、弾性部材26は、取付部材18の螺筒部
19にちようど嵌まる中央通し孔29を備えた大径円板状の
ものであつて、砥石14の上面と取付部材17の下面との間
に配備される。

かくして砥石14は、２つの取付部材17,18との間に介在
させた弾性部材24〜26によつて弾力的に保持される。し
かも、弾性部材25は、通し孔15の壁部と螺筒部19との間
に間隙Ｓを残すように、それら両者間に介在しているた
め、その弾性部材25の変形が十分に許容されるようにな
つている。従つて、研削作業において砥石14を誤つて送
り過ぎるなどしても、弾性部材24〜26の弾性力およびそ
れに加えて弾性部材25の変形の許容によつて、その衝撃
とか大きな負荷力等を十分に吸収、緩和することがで
き、その砥石14が、被研削面を大きく切り込むようなこ
とはない。このため、砥石14をわずかに送り過ぎた程度
では、被研削面に傷を付けたり、あるいは、その切削抵
抗によつて砥石14が破損したりするようなことはない。

そして、この砥石14を弾力的に保持するための加減は、
取付部材18を砥石軸11の螺軸部13に締め込む量によつて
調整されるが、適度な弾力を得たところで、取付部材17
のネジ孔23にボルトＢをねじ込むようにする。ボルトＢ
の先端部が、螺筒部19の外周部に当接して、取付部材18
の緩みあるいは締まりを防止するため、調整設定した弾
力を安定的に保持することができる。

なお、この考案に係るハンドグラインダーは、図示実施
例のものに限定されるものでなく、例えば、弾性部材25
に設ける凸部部分28を幅広にしたり、あるいは、縦筋状
の凸部部分28に代えて縦筋状の凹部部分28aを筒外周部
に設けたり、また、前記凹凸部を筒外周部でなく筒内周
部に設けたりしても良い。また、弾性部材24と25とを、
もしくは弾性部材25と26とを一体成形するようにしても
良い。また、弾性部材24〜26として、合成ゴム以外に例
えばバネ材などその他の適宜な弾性素材を用いたりする
ことも可能である。また、ヘツド２の屈曲角度を90°以
外の角度、例えば120°（60°）とか135°（45°）にし
たり、あるいは、握り軸部３の外周両側部に設ける指当
て４を突設するのでなく窪み状に凹設したり、また、取
付部材17,18とか砥石14の具体的な形状および構造を設
計変更したりするなど、この考案の趣旨を逸脱しない範
囲で各部の構成を任意に変更することが可能である。ま
た、この考案を、圧縮空気を動力源とするエアグライン
ダー以外のハンドグラインダーに実施することもでき
る。

（考案の効果） 以上詳述したところから明らかなように、請求項１に記
載の考案に係るハンドグラインダーは、砥石とその上面
側に配される取付部材との間、及び、砥石とその下面側
に配される取付部材のつば部との間、並びに、砥石の下
面側に配される取付部材の筒部と、その砥石の通り孔の
壁部との間に、それぞれ弾性部材を介在させるので、砥
石を弾力的に保持して、研削作業で生ずる衝撃とか大き
な負荷力等を吸収、緩和することができる。しかも、砥
石の下面側に配される取付部材の筒部と、その砥石の通
し孔の壁部との間に介在する筒状の弾性部材は、その外
周部もしくは内周部に、凹凸部を備えており、その凹凸
部の凸部部分が、前記通し孔の壁部もしくは前記筒部に
当接し、その凹凸部の凹部部分が、前記通し孔の壁部と
前記筒状の弾性部材との間、もしくは、前記筒部と前記
筒状の弾性部材との間に隙間を形成する構成となつてい
るので、その弾性部材の変形が十分に許容されて、より
一層前記した衝撃とか大きな負荷力等を吸収、緩和する
ことができる。このため、研削作業において砥石を誤っ
て送り過ぎるなどしても、被研削面を大きく切り込むよ
うなこともなくなる。

従つて、砥石をわずかに送り過ぎた程度では被研削面に
傷を付けたりするようなことがなくなり、熟練を要する
とされるキサゲその他の精密研削にあつても、素人によ
る簡単な訓練で行うことができるようになる。とくにキ
サゲは体力を消耗する手仕上げであるが、この考案に係
るハンドグラインダーを用いれば、体に無理なく効率的
に作業を行うことができるとともに、高価な研削機を購
入する必要もなくなる。

また、請求項２に記載の考案に係るハンドグラインダー
は、握り軸部の外周両側部に、前後に所定の間隔をおい
て指当てが設けられるので、左右の親指をその指当てに
あてがつて、そのグラインダーをしつかり固定して握る
ことができ、安定した姿勢で研削作業を行うことができ
る。

また、請求項３に記載の考案に係るハンドグラインダー
は、砥石の上面側に配される取付部材に、砥石の下面側
に配される取付部材の筒部の先端側が嵌まり込む凹部
と、この凹部に対して側面部から貫通するネジ孔とが設
けられ、そのネジ孔にねじ込まれたボルトの先端が、前
記砥石の下面側に配される取付部材の前記筒部に当接し
ているので、この砥石を弾力的に保持するための加減
は、砥石の上面側に配される取付部材と砥石の下面側に
配される取付部材との距離によつて調整されるが、両取
付部材間の距離を一定に保つて、その調整設定した弾力
を安定的に保持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係るハンドグラインダーの一実施例
を示す要部破断側面図、第２図はそのハンドグラインダ
ーの一部省略平面図、第３図はそのハンドグラインダー
の要部分解斜視図である。 ２……ヘツド、３……握り軸部、４……指当て 11……砥石軸、14……砥石、15……通し孔 17,18……取付部材、19……螺筒部（筒部）、20……つ
ば部 22……凹部、24,25,26……弾性部材 28……凸部部分、28a……凹部部分、Ｂ……ボルト Ｓ……間隙

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】握り軸部と、この握り軸部の先端側にて回
   転可能に支持される砥石軸と、この砥石軸に取り付けら
   れる砥石と、この砥石の上面側及び下面側に配される上
   下の取付部材とからなるハンドグラインダーにおいて、 前記砥石の下面側に配される取付部材は、その砥石に設
   けられた通し孔を貫通する筒部と、その筒部の下部に設
   けられるつば部とを備え、その筒部を、前記砥石の上面
   側に配される取付部材を貫通する前記砥石軸に取付固定
   することにより、前記砥石をそれら上下の取付部材間に
   固定するようにし、かつ、 前記砥石とその上面側に配される取付部材との間、及
   び、前記砥石とその下面側に配される取付部材の前記つ
   ば部との間に、それぞれ弾性部材を介在させ、また、 前記砥石の下面側に配される取付部材の前記筒部と、前
   記砥石の通し孔の壁部との間に、外周部もしくは内周部
   に、凹凸部を備えた筒状の弾性部材を介在させ、その凹
   凸部の凸部部分が、前記通し孔の壁部もしくは前記筒部
   に当接し、その凹凸部の凹部部分が、前記通し孔の壁部
   と前記筒状の弾性部材との間、もしくは、前記筒部と前
   記筒状の弾性部材との間に隙間を形成していることを特
   徴とするハンドグラインダー。
2. 【請求項２】前記握り軸部の外周両側部には、前後に所
   定の間隔をおいて指当てが設けられていることを特徴と
   する請求項１に記載のハンドグラインダー。
3. 【請求項３】前記砥石の上面側に配される取付部材に
   は、前記砥石の下面側に配される取付部材の前記筒部の
   先端側が嵌まり込む凹部と、この凹部に対して側面部か
   ら貫通するネジ孔とが設けられ、そのネジ孔にねじ込ま
   れたボルトの先端が、前記砥石の下面側に配される取付
   部材の前記筒部に当接していることを特徴とする請求項
   １に記載のハンドグラインダー。