JPH0751066A - 肺胞表面活性物質蛋白をコードするdnaを有する組換えdna - Google Patents

肺胞表面活性物質蛋白をコードするdnaを有する組換えdna

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JPH0751066A
JPH0751066A JP6132329A JP13232994A JPH0751066A JP H0751066 A JPH0751066 A JP H0751066A JP 6132329 A JP6132329 A JP 6132329A JP 13232994 A JP13232994 A JP 13232994A JP H0751066 A JPH0751066 A JP H0751066A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 呼吸困難症の治療に有用なヒト32K ASP,イヌ
ASP蛋白を提供すること。 【構成】 図4および図5に示されるヒト32K ASP蛋白
あるいは図2および図3に示されるイヌASP蛋白をコー
ドするDNA。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は,組換え蛋白質の産生の分
野に関する。特に,ある呼吸疾患の管理に有効な肺胞表
面活性物質蛋白(ASP)をコードするDNA配列に関
する。
【0002】
【背景技術】人間の肺は,ガスを血液と肺の空積で交換
する多数の小さな気嚢あるいは肺胞から成る。健康な個
体では,この交換はII型の肺胞細胞のミクロソーム膜で
合成される表面活性物質複合体を含む蛋白の存在により
媒介される。この複合体が適当なレベルで存在していな
いと,肺は正常に機能できない,即ち肺胞は呼吸時につ
ぶれ,吸入しても続いて膨張できない。このように,こ
の複合体の合成不能性が治療されなければ死かあるいは
厳しい肉体的損傷に至るかもしれない。
【0003】不十分な表面活性物質複合体レベルについ
て最もよく証明されている例は,未熟児や複雑な妊娠後
に生まれた新生児で起こり,呼吸困難症候群(RDS)
として広く知られている。この症候群の広く公表されて
いる種類は硝子膜症,あるいは特発RDSと呼ばれてい
る。RDSは目下,合衆国内,及び他の先進国内で新生
児の死亡率および罹患率を率いている原因であり,実質
的な努力が診断及び治療に向けられている。現行の治療
は機械的に(圧力をかけ)新鮮な空気で浄化することに
向けられており,これはせいぜい侵略的な穴埋め法であ
って,しばしば肺に対する損傷や,気管支肺異形成,間
質性気腫,および気胸のような併発症を含む他の有害な
副作用を生じる。精神的な障害も,この治療を用いた際
に生じる(Hallman,M.,et al.,Pediatric Clinics of N
orth America(1982)29:1057-1075)。
【0004】表面活性物質を置換することによりこの症
候群を治療しようとする限られた試みが成されている。
これは,一般的にはほんの一回だけの投与が必要であ
り,損傷の可能性が減ずるという選ばれた方法であろ
う。例えば,Fujiwara,et al.,Lancet(1980)1:55−
は,ウシ肺由来の蛋白を抜いた表面活性物質調製物を用
いた。調製物は効果的ではあるが,免疫原である。Hall
man,M.,et al,Pediatrics(1983)71:473-482は,ヒト羊
水より単離した表面活性物質を用いて限られた数の新生
児を治療するのにある程度成功した。Clementsの米国特
許4,312,860号は,データは示していないがこのアプロ
ーチでは有効であると言われている,蛋白を含まない人
為的な表面活性物質を開示している。短的には,表面活
性物質の置換は医療で広くは使われていない。
【0005】好ましい表面活性物質置換体は,肺の表面
活性物質複合体それ自身であろう。この複合体は,アポ
蛋白,多量にある2種のホスホリピド(ジパルミトイル
ホスホコリン(DPPC)及びホスファチジルグリセロール(P
G)),非常に少量しかない数種の脂質成分,及びカルシ
ウムイオンから成る。アポ蛋白は,32,000ダルトンの桁
の分子量の蛋白と約10,000ダルトンの桁の非常に疎水性
蛋白を含む(King,R.J.et al.,Am J Physiol(1973)224:
788-795)。32,000ダルトンの蛋白は糖化されており,
ハイドキシプロリンを含む。
【0006】表面活性物質の置き換え療法の発展が限定
されている大きな理由は,複合体の蛋白部分を利用する
ことを欠いていたことである。置き換え治療は脂質成分
だけの使用の試みに向けられており,そのような治療の
功績はアポ蛋白を加えることにより飛躍的に向上し得る
ようである(Hallman,M.,et al.,Pediatric Clinicsof
North America(1982)(前出))。しかし,現在,これ
らの蛋白は正常な成人の肺,及び羊水からのみ入手でき
る。効果的な分離手順によっても十分な供給物が提供さ
れることはなかろう。このように,単独であるいは複合
体の飽和ホスホリピド部分と結合して使用するために,
実用的な量のアポ蛋白を生産する方法を可能にすること
が望ましい。
【0007】
【発明の要旨】本発明の組み換えDNAは,肺胞表面活
性物質蛋白(ASP)をコードするDNAを有し,該A
SPをコードするDNAは,以下のアミノ酸配列を有す
るヒト肺からの32K ASP:
【0008】
【化13】
【0009】非還元状態でのポリアクリルアミドゲル上
で決定される見かけの分子量が約16.5kd,還元状
態でのポリアリルアミドゲル上で決定される見かけの分
子量が約10から11kdを示す,以下のアミノ酸配列
を有する,ヒト肺からのASP:
【0010】
【化14】
【0011】をコードするDNA,あるいは,非還元状
態でのポリアクリルアミドゲル上で決定される見かけの
分子量が約16.5kd,還元状態でのポリアクリルア
ミドゲル上で決定される見かけの分子量が約10から1
2kdを示し,以下のアミノ酸配列で示される成熟配列
を有する,イヌ肺からのASP:
【0012】
【化15】
【0013】をコードするDNAである。
【0014】さらに,本発明の組み換え発現ベクター
は,制御配列に作動可能に結合された上記DNAを有す
る組み換え発現ベクターである。
【0015】
【発明の開示】本発明は,多量に,しかもその特徴を最
も効果的にする条件で,肺の表面活性物質複合体のアポ
蛋白部分を得る手段を提供する。カルシウムイオンとと
もに,ジパルミトイルホスホコリン及びホスファチジル
グリセロールという複合体の残りの部分はすでに容易に
入手可能である。操作可能なアポ蛋白が要求された量利
用できることになり,治療で使用し得る複合体を最も効
果的にするための研究努力が可能となり,呼吸困難症候
群の型にはまった置換治療の可能性が開かれる。このよ
うにある見地では,本発明は組換えて産生した哺乳類の
肺胞表面活性物質蛋白(ASP)に関する。これらの蛋
白は,比較的高分子,約32Kd(32K ASP)の比較的水
溶性の蛋白と,低分子で,約10〜20Kd(10K ASP)の
疎水性の蛋白との混合物である。カルシウムイオン存在
下でホスホリピドと複合体をつくると,両方の蛋白は,
被膜を抑える表面張力の形成を助長する。本発明はさら
に,ヒトとイヌの32Kと10KのASPを含む哺乳類のAS
PをコードしているDNA配列,これらの蛋白を産生す
るのに適した発現ベクター,これらのベクターで形質転
換された組換え宿主細胞,及び組換えATPとその前駆
体を産生する方法に関する。他の見地では,本発明は,
ヒトASPを含む製薬成分及び,それらを使ってのRD
Sの治療の方法に関係する。
【0016】
【本発明の実施態様】
A.定義 ここで用いているように,“肺胞表面活性物質蛋白質
(ASP)”は,肺の表面活性物質複合体に関連し,以
下で定義するようなASP活性を持つ,アポ蛋白を指
す。調べた全種のASPは,ここで“32K ASP”と表
している比較的高分子量(32Kdという桁)の1つ以上の
成分と,ここで“10K ASP”と表している比較的低分
子量(10〜20Kdという桁)の1つ以上の全く疎水的な成
分とを含む(King,R.J.,et al,J Appl Physiol(1977)4
2:483-491;Phizackerley,P.J.R.Biochem J (1979)183:7
31-736)。この用語は,天然の配列及びそれと等価な修
飾物を指す。例えば,ヒト32K ASPは,図4および図
5で示したアミノ酸配列を有する。イヌ,サル,あるい
は他の哺乳動物のような他の種に由来する約32KdのAS
P蛋白は,この配列と実質的な程度の相同性を持つ(イ
ヌのASPと関連して図1を見よ)。他の特別な32K A
SP(イヌ)および10K ASP(ヒトおよびイヌ)の追
加の配列を以下に開示する。
【0017】本発明の組換えASP蛋白は,本来の蛋白
に対応するアミノ酸配列を持つ。しかしながら,限定さ
れた修飾は活性を破壊することなしに行われ得ること,
および完全な1次構造の一部分だけが,必要であり得る
こと,が理解されている。例えば,本発明のヒトASP
32K 組換え蛋白は,図4および図5で示したのと実質的
に同様のアミノ酸配列を有するが,活性を破壊しないこ
の配列の軽い修飾も,32KヒトASPの定義内に,さら
に以下で示すような特許請求した蛋白の定義内にある。
活性を有する図4および図5の完全な配列を持つ断片も
定義内に含まれる。
【0018】全ての蛋白の場合と同様に,ASP蛋白は
調製様式あるいはもし溶液状態ならばその環境により,
中性の形態,あるいは塩基性あるいは酸性の付加した塩
の形態,で存在できる。一般的には蛋白,およびそれ故
に特にどのASPでも,遊離のアミノ基を含む酸性塩,
あるいは遊離のカルボキシル基で形成される塩基性塩の
形態で見出され得る。薬学的に受け入れ可能な塩は,蛋
白の機能性を確かに高め得る。適当な薬学的に受け入れ
可能な酸性塩は,例えば,塩酸あるいは硫酸のような無
機酸により,あるいは酢酸あるいはグリコール酸のよう
な有機酸により,形成されたものを含む。薬学的に受け
入れ可能な塩基は,水酸化カリウムあるいは水酸化ナト
リウムのようなアルカリ水酸化物,あるいはピペリジ
ン,グルコサミン,トリエチルアミン,コリンあるいは
カフェインのような有機塩基,を含む。加えて蛋白は,
脂質や糖のような他の生物学的物質との組み合わせによ
り,あるいはアミノ基のアセチル化,水酸基側鎖のリン
酸化あるいはスルフヒドリル基の酸化のような側鎖の修
飾,あるいはコードされている一次配列の他の修飾によ
り,修飾される。確かに,その本来の形態では32K AS
Pは糖化された蛋白であり,コードされているあるプロ
リン残基はヒドロキシプロリンに変換されている。それ
はまた,ホスホリピドDPPCとPGに関連して見出さ
れている。糖化あるいは非糖化の形態,ヒドロキシル化
あるいは非ヒドロキシル化された形態,アポ蛋白のみの
もの,あるいは脂質で関連したもの,要するに,血液と
肺の空積間でガスの交換を促し肺胞を再膨張させること
のできる能力を保持している本来の配列と実質的に同様
なアミノ酸配列を有するあらゆる組成物が,ここではあ
らゆるASPの定義内に含まれる。
【0019】一次アミノ酸配列の小さな修飾により,本
来の配列に比べて実質的に同等のあるいは高められた活
性を持つ蛋白になり得る。これらの修飾は,部位指定変
異により生ずる故意的なものであるが,あるいは,AS
Pを産生する生物宿主の変異のような偶然的なものかも
しれない。これらの修飾の全ては,ASP活性が保持さ
れている限り,含まれる。
【0020】蛋白の“ASP活性”は,単独あるいは他
の蛋白と組合せて脂質を組合せたとき,Robertson,B.Lu
ng(1980)158:57-68のin vivo検定において活性を示す能
力として定義される。この検定では,調べる試料は,帝
王切開により早産させたウサギあるいは子羊に気管を通
じて投与する。(これらの“未熟児”は自身のASPを
欠いており,通風装置上で維持している。)肺の受け入
れ,血液中のガスおよび通風装置の圧力の測定は,活性
の指標を供する。活性の予備的な査定は,in vitroの検
定,例えば,King,R.J.,et al.Am J Physiol(1972)223:
715-726のもの,あるいは蛋白をホスホリピド小胞調製
物と混ぜたときの空気−水面界での表面張力の明瞭な測
定を利用する,Hawgood,et al.の下に示すようなもの,
を用いても行える。
【0021】“作動可能なように連関している”は,成
分をその有効な機能を果たせるように形造った連けいを
指す。このように,コード配列に作動可能なように連関
している制御配列は,コード配列の発現を行うことがで
きる。
【0022】“制御配列”は,所望のコード配列に正し
く連結した場合,そのような配列と和合可能な宿主でそ
の発現を行うことのできるDNA配列のことを指す。そ
のような制御配列は,原核生物および真核生物の宿主の
いずれのプロモーターも含み,原核生物ではリボゾーム
結合部位配列,また真核生物では終止シグナルも含む。
発現を行うのに必須なあるいは役に立つ付加的な因子
は,続いて確認し得る。ここで用いたように,“制御配
列”は単に,用いた特別な宿主で発現を行うのに必要で
あるDNA配列にならどのようなものをも指す。
【0023】“細胞”,“組換え宿主細胞”あるいは
“宿主細胞”は,前後関係で明瞭ならば,しばしば互換
性をもって使用する。これらの用語は直接被験細胞,お
よびもちろんその子孫を含む。全ての子孫は,偶然的な
変異あるいは環境による違いのため,その親細胞と正確
に同じであるとは限らないことが理解されている。しか
し,そのような変化した子孫も,上記の用語が用いられ
る場合,含まれる。
【0024】B.一般的記述 ASPをコードしているDNA配列を得るために下に説
明した方法は単に説明のためであり,また,使用される
方法の代表的なものである。しかしながら,当該分野で
理解されているような他の方法もまた用いられている。
【0025】B.1.表面活性物質複合体の性質 肺の肺胞表面は,多くの技術を用い多数のグループによ
り広く研究されている。肺胞の基礎膜はI型およびII型
の肺胞細胞から成り,II型細胞は表面のおよそ3%を占
めていると考えられている。II型細胞は基礎膜を覆う内
面液層の物質の外分泌をつかさどっており,この物質は
内面の液層と含有容量中の気層との間の表面張力を減少
させている。そこで,液層は,肺胞の毛細血管の血漿か
ら由来している水,およびII型細胞の表面活性物質の分
泌物とから成っている。
【0026】II型細胞は,それ自体,1細胞あたり60〜
100pgの蛋白および約1pgのリン脂質を含んでおり,II
型細胞のDPPCとリン含有PGの割合は約8対1であ
る。アポ蛋白成分の研究は様々な肺洗浄物に基づいてお
り,上に述べたように,分子量が約10〜20Kdおよび32Kd
の主に2つの蛋白を含むことが示されている(Kikkawa,
Y.,et al.Laboratory Investigation(1983)49:122-13
9)。アポ蛋白がホスホリピド成分と結合しているか(K
ing,R.J.,et al.Am Rev Respir Dis(1974)110:273),
していないか(Shelly,S.A.,et al.J Lipid Res(1975)1
6:224)ははっきりしていない。
【0027】イヌの肺洗浄物から得られゲル電気泳動で
分離された分子量の大きい方の蛋白は,分子量が29,00
0,32,000および36,000ダルトンの3つの主な成分から
成ることがわかった(1984年10月26日に提出され,本出
願人に譲渡され,参考文献としてこの中に編入されてい
る米国出願番号 665,018を参照)。32,000ダルトンの蛋
白は,下に述べるように,シークエンスデータを得るた
めに用いられた。しかしながら,これら3つの蛋白は全
て,同一のN末端配列を持っており,それらは糖付加程
度だけにより異なっていることが確かめられている。36
Kdと32Kdのバンドを,炭水化物側鎖を除去するエンドグ
リコシダーゼF.で分解すると,29Kdの成分と同じ移動度
を持つ産物を得た。29Kd成分の移動度は,この処理によ
っても影響はなかった。32Kdの断片は,2量体および3
量体になることもわかっている。
【0028】分子量の小さい方の蛋白は,より困難はあ
るが,抽出されており,これらもまた混合物のようであ
る(Phizackerley,et al(前出);以下に記述)。
【0029】B.2.イヌおよびヒトASP蛋白のコード配
列のクローニング イヌおよびヒトのASP32K 蛋白をコードしている配列
全体をクローニングし,以下のC節に示すように,これ
らは種々の宿主細胞における発現に対して有効である。
加えて,ヒトおよびイヌの両方の供給源から,いくつか
の低分子量蛋白をコードしているDNA配列も得られ
た。
【0030】イヌの 32K配列は,成犬の肺から分離され
たmRNAから調製されたcDNAライブラリーから,2組
の合成オリゴヌクレオチドをプローブとして得られた。
1つはN末端配列の1から5番目のアミノ酸をコードす
る可能性がある配列全てに合わせるように調製し,もう
1つはその配列の7から11番目のアミノ酸をコードする
ように調製した。同様に,哺乳動物のコドン選択性を基
にして選択した,1から5番目のアミノ酸をコードする
単一の15マーも調製した。エセリシア・コリー(E.col
i)中で構築されたライブラリーからの固定化cDNA
をこれらのオリゴヌクレオチドのセットを用いて検索し
た。偽陽性のものは,1組より多いセットに対し,ハイ
ブリダイゼーションを行うことによって最小となるよう
にした。うまくハイブリダイズするクローンは配列決定
を行い,1つは正しいN末端配列を含むことがわかっ
た。
【0031】成功したクローンからPstIで分解して得ら
れたcDNA挿入物は,次いで,もとのイヌcDNAラ
イブラリーのプローブとして用い,結果として,ASP
の他の領域をコードしている挿入物を含む2つのクロー
ンがさらに得られ,それらはこのプローブと合わせてイ
ヌ32K ASPの完全なコード配列を含む844ヌクレオチ
ドにわたっていた。3つの適当な挿入物の全体のヌクレ
オチド配列,およびそれから推定される256アミノ酸配
列を図1に示した。
【0032】上記で使われた,この同じ起源から得られ
たN末端コード断片を,再びプローブとして用いて,λ
ファージシャロン28中でヒトゲノムライブラリー由来の
断片を得た。ヒトASP 32K蛋白の全体をコードしてい
る配列が単一のファージプラーク中に含まれ,2つの隣
接したBamHI 断片,5’側の1.2Kb断片と3’側の3.5Kb
断片,の中に含まれることがわかった。ヒトASPをコ
ードし,3つのイントロンを含むこれらの断片の適当な
領域を図4および図5に示す。それから推定されるヒト
ASPのアミノ酸配列は228アミノ酸を含み,先頭に少
なくとも25アミノ酸のシグナル配列があった。蛋白の全
長に対応するヒト32K ASPのcDNAもまた,ヒト胎
児と成人の肺のmRNAに由来するヒトcDNAライブラリ
ーを検索することによって得られた。
【0033】広範囲での相同性がイヌとヒトの 32Kアミ
ノ酸配列の間で存在した。
【0034】同様の方法が,続いて,ヒトおよびイヌの
10KASPをコードするcDNAを得るために用いられ
た。上記のイヌの肺・cDNAライブラリーを16.5Kd
(還元していないゲル上で)のイヌ蛋白のN末端アミノ
酸配列と一致するように作られた2つの合成オリゴマー
の混合物を用いて検索し,両方のプローブに対してハイ
ブリダイズするクローンを回収し,配列決定した。これ
らのクローンのうち1つは,イヌASPをコードしてい
る配列を含んでいるが,これを成人の肺から分離したmR
NAからバクテリオファージgt10中で調製されたcDNA
ライブラリーを検索するために用いたところ,ヒト 10K
ASPをコードするクローンが得られた。 B.3.ASPの発現 種々のヒトおよびイヌのASPをコードしているヌクレ
オチド配列が,今有効であることがわかったので,これ
らをC節に記載の種々の系で発現させた。もし原核生物
の系を用いる場合,イントロンのないコード配列が適当
な制御配列とともに用いられる。上記ASP蛋白のいず
れに対するcDNAクローンも適当な制限酵素で切り,
このような発現のための原核生物ベクターに連結した。
ASPのゲノムDNAの原核生物での発現では,DNA
は,イントロンを除くために,部位指定変異によって,
あるいはcDNA領域を取ってきてイントロンを含むゲ
ノム配列の代わりにそれらを用いることによって,修飾
を加える必要がある。そのイントロンのないコードDN
Aを,次に,原核生物での発現のための発現ベクターに
連結した。
【0035】以下に例示するように,ASPをコードし
ている配列は,また,イントロンをプロセッシングでき
るような発現系,普通は,哺乳動物宿主細胞培養で直接
使われる。このような発現を行うため,ゲノム配列を,
CHO細胞中でこれらの配列の発現を調節する制御可能
な哺乳動物プロモーターの下流に連結することができ
る。
【0036】B.4.蛋白の回収 ASP蛋白は,成熟蛋白または,融合蛋白として生産さ
れたり,あるいは分泌のためにシグナル配列をプロセッ
シングできるような細胞中でこの配列を持った蛋白とし
て生産される。蛋白の分泌を獲得することは有効なこと
で,それは精製時の困難を最小にするからである。従っ
て,適当なプロセッシングができるような細胞で,本来
のシグナル配列のコドンを含むヒトASP遺伝子を発現
させることが好ましい。培養哺乳動物細胞は,シグナル
配列を含む異種の哺乳動物蛋白を切断,プロセッシング
し,それらを培地中に分泌できることが示されている。
(McCormick,F.,et al,Mol Cell Biol(1984)4:166) 培地中に分泌されると,ASP蛋白は,一般的な蛋白精
製技術を用い回収される。精製過程は簡単で,なぜなら
培地中には比較的わずかな蛋白しか分泌されないし,分
泌された蛋白の大部分は,それゆえ,すでにASPであ
るからである。しかしながら,方法はもっと苦労する
が,この蛋白を細胞内で融合または成熟な形で産生した
細胞の超音波破砕物または溶解物から精製することも当
該分野で既知の方法である。
【0037】B.5.ASP活性の測定 in vitroでの方法が,表面張力を減少させる(表面圧力
の増加と同じ意味)ことによる機能について,また水/
気体界面の膜形成について,ASP蛋白の能力を評価す
るために,考え出された。これらの方法を用いた研究は
分離された天然の10K イヌASPに関して行われてき
た。(Benson,B.J.,et al Prog Resp Res(1984)18:83-9
2;Hagwood,S.,et al,Biochestry(1985)24:184-190)Tan
aka,Y.et al,Chem Pharm Bull(1983)31:4100-4109に
おいて,ウシ肺から得られた35Kd蛋白がDPPCの表面
核散を強めることを開示している。Suzuki,Y.,J Lipid
Res(1982)23:62-69;Suzuki,Y.,et al,Prog Resp Res(19
84)18:93-100は,ブタ肺からとれた15Kd蛋白が同じ供給
源由来の脂質−蛋白複合体の拡散を強めることを示し
た。
【0038】in vivoでの表面活性物質複合体の機能は
表面張力を減少させるために気体/水界面で膜を形成す
ることであるから,in vitro モデルにおける,このよ
うな表面での脂質,あるいはリポ蛋白の拡散により生じ
る膜形成を高めるASP蛋白の能力は明らかにその有効
性と関連している。
【0039】B.6. 投与及び利用 精製蛋白は,幼児や成人の呼吸困難症の治療のために,
単独で,また投与に適当な製薬組成物と結合させて使用
することができる。本発明の組成物および蛋白産物は,
肺炎や気管支炎のような関連した呼吸疾患を治療する際
にもまた有効である。このような治療において使用する
ために,成分のどちらか,好ましくは32K成分を,単独
であるいはさらに好ましくはヒトのASPの 10K成分と
結合させて,天然または合成の脂質と結合させて,表面
活性物質複合体を再構成した。その複合体は,約50%か
らほぼ100%(wt/wt)の脂質および50%から1%以下のA
SPを含んでいる。ただしASPは好ましくは複合体の
5%から20%である。脂質部分は好ましくは,80%から
90%(wt/wt)がDPPCで,残りの部分は非飽和ホスフ
ァチジルコリン,ホスファチジルグロセロール,トリア
シルグリセロール,パルミチン酸またはそれらの混合物
である。複合体は,ASP溶液と脂質リボゾーム懸濁液
との混合により,あるいは脂質,蛋白質の溶液を界面活
性剤または有機溶媒存在下で混合することにより,再集
合させる。界面活性剤または溶媒は,その後,透析によ
り除く。
【0040】複合体を再構成する際,肺洗浄物の天然の
脂質成分を利用し,脂質を適切な量のASP蛋白に添加
することは可能であるが,合成脂質の利用の方が明らか
に好ましい。第一に,十分な供給物があるということ
で,これは明白なことである。第二に,調製品の純品
さ,および伝染性蛋白を含む外来蛋白,これは天然の脂
質を分離してくる肺に存在するものであるが,による汚
染がないこと,は合成品に関してのみ確かなことであ
る。もちろん,有効な複合体の再構成は,合成成分を用
いるとより難しくなる。
【0041】32KヒトASPを組成物の蛋白成分として
単独で用いるよりも,32Kと10Kの蛋白と組合せた方が好
ましい。蛋白の割合は,典型的には,32K:10Kでは80:
20の範囲内である。32K蛋白は,水溶液中のホスホリピ
ド水胞水性懸濁液に直接加える;何故なら10K蛋白は非
常に疎水性であるので,この蛋白がクロロホルムのよう
な有機溶媒中の脂質に加えられ,溶媒を蒸発させ,そし
て小胞が水和により再形成される。
【0042】複合体を含む組成物は,好ましくは,気管
内投与に適するものである。すなわち,概して,液状懸
濁液,乾燥粉末“ちり”あるいはエアロゾルのようなも
のである。直接的気管内投与として,複合体を,例えば
水,生理食塩水,デキストロースあるいはグリセロール
などの適当な賦形剤とともに液中に懸濁する。組成物
は,pH緩衝剤のような無毒の補助物質,例えば酢酸ナト
リウムやリン酸ナトリウムなどを少量含んでもよい。
“ちり”を調製するために,上記のように随意混合した
複合体を凍結乾燥し,乾燥粉末として回収する。
【0043】エアロゾル投与で使用する場合には,複合
体を付加的な界面活性剤や推進剤とともに細かく分離し
た形で供給する。投与される一般的な界面活性剤は,脂
肪酸やエステルであるが,しかしながら,今回の場合
は,表面活性物質複合体の他の成分であるDPPCやP
Gを利用することが好ましい。有効な推進剤としては,
一般的に,密閉した条件での気体で,圧縮下で凝縮させ
る。低級アルカンや,フレオンのようなフッ化アルカン
が使われる。エアロゾルは,成分が放出されるまで圧縮
下で維持できるように,適当な弁を備えた容器の内に詰
めておく。
【0044】表面活性物質複合体は,投薬の形に合うよ
うに,気管チューブ,エアロゾル投与,吸入気体中への
懸濁物または,“ちり”の霧状化により,投与する。複
合体は約0.1mgと10mgの間の量が一回の投与量となるよ
う投与する。新生児に使用する場合は一般的に1回の投
与で十分である。成人では,十分量の再構成複合体を投
与して,示された欠陥レベルを置き換える(Hallman,
M.,et al.J Clinical Investigation(1982)70:673-68
2)。
【0045】C.標準的な方法 細胞を形質転換するため,ベクターを構築するため,メ
ッセンジャーRNAを抽出するため,cDNAのライブ
ラリーを調製するために用いられるほとんどの技術およ
びその他同種のものは,当該分野で広く行われており,
ほとんどの当業者は,特別な状件と操作を記述する標準
的な手段の資料をよく知っている。しかしながら便宜
上,次の節を指針として示す。
【0046】C.1.宿主と制御配列 原核生物系と真核生物系の両方を,ASPのコード配列
を発現するために用いている;原核生物宿主はクローニ
ング操作において最も好都合である。原核生物は,E.co
liの様々な株によって最もよく代表される;しかしなが
ら,他の微生物株もまた用いられる。複製部位と制御配
列とを含むプラスミドベクターは,用いられる宿主と和
合性の種から得られた;例えば,E.coliはpBR322,Boli
var,et al.Gene(1977)3:95によってE.coli種から得ら
れたプラスミド,の誘導体を用いて典型的に形質転換さ
れる。pBR322はアンピシリンとテトラサイクリン耐性の
ための遺伝子を含んでおり,従って,所望のベクターを
構築する際に残しておくかあるいは壊すかすることので
きる付加的なマーカーを供する。オペレーターを随意に
有し,加えてリボゾーム結合部位配列を伴う転写開始の
ためのプロモーターを含むとここで定義されている制御
配列は,ベーターラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)とラ
クトース(lac)のプロモーター系(Chang,et al.Nature
(1977)198:1056),トリプトファン(trp)プロモーター
系(Goeddel,et al.Nucleic Acids Res(1980)8:4057)
およびラムダ由来の PLプロモーターとN−遺伝子リボ
ゾーム結合部位(Shimatake,et al.Nature(1981)292:12
8)のような,一般に用いられるプロモーターを含む。
【0047】バクテリアに加えて,酵母のような真核微
生物もまた宿主として用いることができる。サッカロマ
イセス・セレビシェ(Saccharomyces cerevisiae)の研
究室株であるBakerの酵母が,たくさんの他の株が,一
般に有用であるけれども,もっとも用いられる。例え
ば,Broach,J.R.,Meth Enz (1983)101:307の複製の2μ
オリジン,あるいは他の酵母の和合性復製オリジン(例
えばStinchcomb,et al.Nature(1979)282:39,Tschempe,e
t al.Gene(1980)10:157 およびClarke,L,et al.Meth En
z(1983)101:300参照)を使用するベクターが,用いられ
る。酵母ベクターの制御配列は,解糖系酵素合成のプロ
モーターを含む(Hess,et al.J Adv Enzyme Reg(1968)
7:149;Holland,等,Biochemistry(1978)17:4900)。当
該分野で知られている付加的なプロモーターには,3−
ホスホグリセレート カイネース(Hitzeman,et al.J B
iol Chem(1980)255:2073)のプロモーターおよび他の解
糖系酵素のプロモーターが含まれる。他のプロモータ
ー,これは生育状況によって転写が制御されるという付
加的な有利点を持つのだが,はアルコール デハイドロ
ゲナーゼ 2,イソチトクロームC,酸ホスファター
ゼ,窒素代謝に関与する分解酵素およびマルトースやガ
ラクトース利用に任のある酵素のプロモーター領域であ
る。終止配列がコード配列の3’末端にあることが望ま
しいこともまた信じられている。このようなターミネー
ターは,酵母由来の遺伝子中のコード配列に続く3’非
翻訳領域に見いだされる。
【0048】もちろん,多細胞生物から得られた真核生
物の宿主細胞培養物中で,ポリペプチドをコードしてい
る遺伝子を発現することも,可能である。例えば,Tiss
ue Cultures,Academic Press,CruzおよびPatterson,編
集(1973)を見よ。これらの系は,イントロンをスプライ
シングできるという付加的な利点を持ち,従って,ゲノ
ム断片を発現するために直接用いることができる。有用
宿主細胞系には,VERO,HeLa細胞およびチャイニーズハ
ムスター卵巣(CHO)細胞が含まれる。このような細
胞のための発現ベクターは,通常,プロモーターと,例
えば一般に用いられるシミアン ウィルス40(SV 40)の
早期プロモーターおよび後期プロモーター(Fiers,et a
l.Nature(1978)273:113),あるいはポリオーマ,アデ
ノウィルス 2,ウシ パピローマ ウィルスあるい
は,鳥肉腫ウィルス由来のプロモーターのような他のウ
ィルス性プロモーターのような,哺乳動物の細胞と和合
性の制御配列を含む。制御可能なプロモーターであるhM
TII(Karin,M.,et al.Nature(1982)299:797-802)もま
た用いることができる。哺乳動物細胞宿主系形質転換の
一般的な面は,Axelの米国特許4,399,216号(特許日198
3年8月16日)に記載されている。“エンハンサー”領
域が,発現を効果的にするのに重要であることも現在で
は明らかである。一般的に,これらは非コードDNA領
域中のプロモーター領域の上流あるいは下流に見られ
る。必要に応じて,複製起点がウィルス源から得られ
る。しかしながら,染色体への組み込みは,真核生物で
のDNA複製と同じ機構である。
【0049】C.2.形質転換 用いた宿主細胞に応じて,形質転換はその細胞に適切な
標準手法を用いて行われる。Cohen,S.N.,Proc Natl Aca
d Sci(USA)(1972)69:2110に記載されているような塩化
カルシウムによるカルシウム処理,あるいは,Maniati
s,et al.,Molecular Cloning;A Laboratory Manual(198
2)Cold Spring Harbor Press,P254に記載のRbCl2法が,
原核生物あるいは,実質的な細胞壁の障壁を持つ他の細
胞用に用いられる。このような細胞壁のない哺乳動物細
胞には,Grahamおよびvan der Eb,Virology (1978)52:5
46のリン酸カルシウム沈澱法を,随意に,Wigler,M.,et
al.Cell(1979)16:777-785により手直しされた通りに,
用いることができる。酵母への形質転換は,Van Soling
er,P.,et al.J Bact(1977)130:946 あるいは,Hsiao,
C. L., et al,Proc Natl Acad Sci(USA)(1979)76:3829
の方法に従って,行われる。
【0050】C.3.ゲノムライブラリーのcDNAの検索 cDNAあるいはゲノムライブラリーは,コロニーハイ
ブリダイゼーション操作を用いて選別される。各々のマ
イクロタイタープレートを二重のニトロセルロースフィ
ルター紙(S&Sタイプ BA-85)へ写す。そしてコロニ
ーを,15μg /mLテトラサイクリンを含むL寒天上で,1
4〜16時間,37℃で生育させる。コロニーを10%SDS
で溶解させ,そのDNAを,500mM NaOH/1.5M NaCl で
5分,次いで,0.5Mトリス塩酸(pH 8.0)/1.5M NaCl
,続いて2×標準クエン酸塩含有食塩水(SSC),
の連続処理によってフィルターに固定する。フィルター
は空気中で乾して,80℃で2時間焼く。
【0051】ニックトランスレーションしたプローブの
場合は,二重のフィルターを,1フィルターあたり,D
NAハイブリダイゼーション緩衝液10ml(50%ホルムア
ミド(もし結合が弱いなら,40%ホルムアミド),5×
SSC,pH7.0,5×デンハート溶液(ポリビニルピロ
リドン,フィコールおよびウシ血清アルブミン;各々1
×=0.02%)pH7.0の50mM,リン酸ナトリウム緩衝液,
0.2%SDS:50μg/mL,酵母tRNA,および50
μg/mLの変性,切断したサケ精子DNA)を用いて,42
℃で,16〜18時間プレハイブリタイブした。サンプル
は,この同じDNAハイブリダイゼーション緩衝液5ml
に含まれる,ニックトランスレーションしたDNAプロ
ーブで,同種では42℃,異種では37℃で,12〜36時間ハ
イブリダイズする。フィルターは,同種のハイブリダイ
ゼーションでは,0.2×SSC,0.1%SDSの中で50℃
で,異種のハイブリダイゼーションでは,3×SSC,
0.1%SDSの中で50℃で,30分間,2回洗う。フィル
ターは空気中で乾して,−70℃で1〜3日オートラジオ
グラフィーにかける。
【0052】合成(15〜30マー)オリゴヌクレオチドプ
ローブの場合は,二重のフィルターを,1フィルターあ
たり10mlのオリゴーハイブリダイゼーション緩衝液(6
×SSC,0.1%SDS,1mMEDTA,5×デンハー
ト,0.05%ピロリン酸ナトリウムおよび50μg/mLの変
性,切断したサケ精子DNA)で,2〜8時間,42℃で
プレハイブリダイズする。
【0053】サンプルを,オリゴヌクレオチドの組成物
に応じた条件下で,15〜30ヌクレオチドのリン酸化オリ
ゴヌクレオチドプローブでハイブリダイズする。典型的
な条件としては,プローブを含むこの同じオリゴハイブ
リダイゼーション緩衝液をフィルターあたり5ml,30〜
42℃の温度,24〜36時間,を採用する。フィルターは,
6×SSC,0.1%SDS,pH7の50mMリン酸ナトリウ
ムで,23℃,15分,2回洗う。その後,6×SSCと0.
1%SDSで,計算されたハイブリダイゼーション温度
で2分,1回洗い,空気中で乾かし,−70℃で2〜3日
オートラジオグラフィーにかける。
【0054】C.4.cDNAライブラリーの産生 二本鎖のcDNAは,プラスミドベクターpBR322への挿
入用にウシ胸腺ターミナルトランスフェラーゼによって
仲介されるホモポリメリック テーリングを用いて合成
され調製される(Sutcliffe.J.G.,Nucleic Acid Res(19
78)5:2721-2732。第一鎖のcDNAは,5μgのmRNA
に,オリゴ(dT)12〜18をプライマーとして,鳥骨髄芽
球症ウィルス由来のRNA−依存性DNAポリメラーゼ
によって,合成される。RNA鋳型は,次いで,100
℃,5分での変性とそれに続く氷冷によって,生じたD
NA鎖から放す。第二のDNA鎖は,E.coliのDNAポ
リメラーゼIの大きい断片を用いて,第一鎖分子の3’
末端でのそれ自身のプライマーによって合成される。こ
のようにして,二本鎖のヘアピンDNAが,形成され
る。これらの分子は,開放終結末端で平滑末端にし,ヘ
アピンループはアスペルギラス・オリジー(Aspergillu
s oryzae)のSlヌクレアーゼで切断して開く。二本鎖c
DNAのSlヌクレアーゼ分解は,300mM NaCl,30mM NaO
Ac,pH4.5および3mMZnCl2中で, 600ユニットの酵素で3
7℃,30分行われる。cDNAはフェノール:クロロホ
ルムで抽出し,小さなオリゴヌクレオチドは,酢酸アン
モニウム存在下での3回エタノール沈澱によって除去す
る。これは次のように行う;半分容量の7.5M酢酸アルミ
ニウムと,2倍容量のエタノールとをcDNA溶液に加
え,−70℃で沈澱させる。平滑末端の二本鎖cDNA
を,次いで,セファロース4B(ファルマシアファイン
ケミカルズ,ピスカタウェイ,NJ)のカラム(0.3×1
4cm)を通したゲル濾過により,大きさによって分画す
る。あるいは,5〜20%のグリセロール勾配中での超遠
心分離で,その勾配を分画する。所望の長さ,例えば 3
00塩基対,より大まかに大きなcDNAを残し,70%エ
タノールで沈澱させて回収する。デオキシシトシンの短
い(10〜30ヌクレオチド)重合尾部を,0.2Mカコジル酸
カリウム,25mMトリス,pH6.9,2mMジチオスレイトー
ル,0.5mM CoCl2 ,200mM cDTP,400μg /mL BS
Aおよび40ユニットのウシ胸腺ターミナルデオキシヌク
レオチド トランスフェラーゼを含む,22℃,5分の反
応により,cDNAの3’末端に加える。反応液は,フ
ェノール:クロロホルムで抽出して,小さなオリゴヌク
レオチドは酢酸アンモニウムの存在下で3回のエタノー
ル沈澱により除去する。
【0055】dCの尾部のついたcDNAは,PstIで切
断してオリゴdGを尾部につけたpBR322でアニールさせ
る:2.5μgのpBR322-dGDNAは,5μg/mLのベクタ
ー濃度でcDNAとアニールさせ,そしてハイブリッド
をCasabadan,M.,et al.,MolBiol(1980)138:179-207に記
載のCaCl2処理によって,E.coli MC1061に移す。
【0056】C.5.ベクター構築 所望のコード配列と制御配列とを含む適切なベクターの
構築には,当該分野でよく理解されている標準的な連結
と制限技術を用いる。単離されたプラスミド,DNA配
列あるいは合成オリゴヌクレオチドは,切断され,尾部
を付けられ,所望の形に再連結される。
【0057】部位特異的DNA切断は,一般に当該分野
で知られている条件下における,市販制限酵素の製造者
の指示に基づいた,適切な制限酵素での処理によって行
われる。例えば,New England Biolabs での製品カタロ
グを見よ。一般的に,約1μgのプラスミドあるいはD
NA配列は,約20μLの緩衝溶液中で1ユニットの酵素
によって切断される。例えば,ここでは典型的に,過剰
の制限酵素を用いて,DNA基質の完全な切断を確かに
する。変動は大目に見ることができるけれども約37℃
で,約1時間から2時間の保温時間で実行されうる。各
々の保温の後,蛋白はフェノール/クロロホルムでの抽
出により除去され,続いてエーテル抽出を行ってもよく
核酸をエタノール沈澱によって,水層画分から回収し
た。必要に応じて,切断断片の大きさによる分離を,標
準的な手法によるポリアクリルアミドゲルあるいはアガ
ロースゲル電気泳動によって行ってもよい。大きさによ
る分離の一般的な記述は,Methods in Enzymology(198
0)65:499-560に見られる。制限酵素で切断した断片は4
つのデオキシヌクレオチド トリフォスフェイト(dN
TPs)の存在下で50mMトリス pH7.6,50mM塩化ナトリ
ウム,6mM塩化マグネシウム,6mMDTTと5〜10μM d
NTPs中で,20℃から25℃で約15分から25分の保温時
間を用いればE.coliDNAポリメラーゼ1の大きい断片
(クレノー)での処理によって,平滑末端にすることが
できる。クレノー断片は,たとえ4つのdNTPがあっ
ても,5’の粘着末端を埋めるが突出した3’の一本鎖
も消化する。もし望むなら選択的な修復を粘着末端の性
質によって指示される限定内で,1つだけのあるいは選
択したdNTPsを供給することによって実行すること
ができる。クレノーを用いた処理の後,その混合液をフ
ェノール/クロロホルムで抽出しエタノール沈澱を行
う。S1ヌクレアーゼもしくはBal-31を用いた適切な条
件下での処理は,いかなる一本鎖部分も加水分解する。
【0058】合成オリゴヌクレオチドは,Efimov,V.A.,
et al.(NucleicAcids Res)(1982)6875-6894)の方法で
調整され,そして商業的に入手可能な自動オリゴヌクレ
オチド合成機を用いて,調製することができる。アニ−
リングする前に,あるいはラベルするための一本鎖のリ
ン酸化は,過剰な例えば1n mole の基質に対しておよそ
10ユニットのポリヌクレオチド キナーゼを,50mMトリ
ス,pH7.6 ,10mM塩化マグネシウム,5mMジチオスレイ
トール,1〜2mMATP,1.7pmolesγ32P-ATP(2.9
mCi/mmole),0.1mM スペルミジン,0.1mMEDTAの存
在下で用いて,達成した。
【0059】結合は次の標準的な条件と,温度のもとで
15〜50μL容量で行われる:20mMトリス−塩酸 pH7.5,1
0mM塩化マグネシウム,10mMDTT,33μg /mLBSA,
10mM〜50mM塩化ナトリウム,そして40μM ATP,0.01
〜0.02(Weiss)ユニットT4DNAリガーゼで0℃にお
いて(“粘着末端”の結合のために)あるいは,1mMA
TP,0.3〜0.6(Weiss)ユニットT4DNAリガーゼ
で14℃において(“平滑末端”の結合のために)。分子
間粘着末端結合は通常,総DNA濃度1ml当り33〜100
μg(5〜100nM総末端濃度)にて行われる。分子間の平
滑末端結合(普通10〜30倍molar過剰のリンカーを用い
る)は,全体で1μMの末端濃度で行われる。 “ベク
ター断片”を用いるベクター構築において,ベクター断
片を一般的に5’のリン酸を取り除きかつベクターの再
結合を防ぐために,バクテリアのアルカリホスファター
ゼ(BAP)か,あるいは牛の腸のアルカリホスファタ
ーゼ(CIP)で,処理する。分解はおよそ 150mMトリ
ス中pH8にてNa+とMg+2の存在下で,ベクター1μgにつ
き1ユニットのBAPあるいはCIPを用いて,約1時
間60℃で処理される。核酸断片を回収するために,その
調製液をフェノール/クロロホルムで抽出し,エタノー
ル沈澱を行う。もしくは,再結合を必要ではない断片の
付加制限酵素による分解によって,二重に分解されたベ
クターでは,防ぐことができる。
【0060】cDNAから得られたベクターの部分ある
いは配列の修飾が必要なゲノムDNAのために,部位特
異的プライマーの直接的な変異が用いられる。これは,
所望の変異を表す限られたミスマッチングを除いては,
変異をかけるべき一本鎖ファージDNAに相補的なプラ
イマー合成オリゴヌクレオチドを用いて行う。簡単に言
えば,合成オリゴヌクレオチドを,プライマーとして,
ファージに相補的な鎖を,直接合成するために用い,そ
して得られた二本鎖DNAをファージを増殖させる宿主
バクテリアに形質転換する。形質転換したバクテリアの
培養液を上層寒天に拡げ,ファージを持つ単一細胞から
のプラーク形成を可能にする。
【0061】理論的には新しいプラークの50%が,一本
鎖として変異のかかった形を持つファージであり,50%
が始めの配列を持っている。得られたプラークはリン酸
化した合成プライマーを用いて,正しいマッチのハイブ
リダイゼーションができうる温度であるが,始めの鎖と
のミスマッチが,ハイブリダイゼーションを十分防ぐこ
とのできる温度で,ハイブリダイズさせる。プローブと
ハイブリダイズしたプラークを次いで釣り上げ,培養
し,そしてDNAを回収する。部位特異的変異操作の詳
細は,以下に特別な例で,記述する。
【0062】C.6.構築の確認 下記構築(ベクター)おいて,プラスミド構築のための
正しい結合は初めに,M.Casadaban博士から得られたE.c
oli株MC1061(Casadaban.M.,et al.J Mol Biol(1980)13
8:179-207)あるいは他の適した宿主を,結合混合物
で,形質転換することによって,確認される。成功した
形質転換株をアンピシリン,テトラサイクリン,あるい
は他の抗生物質耐性によってか,あるいは,プラスミド
構築の様式による他のマーカーを用いて当該分野で知ら
れているように選択する。形質転換株からのプラスミド
は,次いでClewell,D.B.,et al.,Proc Natl Acad Sci(U
SA)(1969)62:1159の方法に従って,そして必要なら,ク
ロラムフェニコールによる増幅(Clewell,D.B.,J Bacte
riol(1972)110:667)により,調製される。単離したD
NAを制限酵素により分析され,そして/あるいはSang
er,F.,et al.,Proc Natl Acad Sci(USA)(1977)74:546
3。さらに,Messing et al,Nucleic Acids Res(1981)
9:309に述べられているように,ジデオキシ法あるいは
Maxam,et al,Methods in Enzymology(1980)65:499の方
法により配列決定される。
【0063】C.7.例示宿主 ここでクローニングと発現で用いられた宿主株は,次の
ものである:クローニングと配列決定のためと,そして
ほとんどのバクテリアのプロモーターの制御下での構築
の発現のためにE.coli株Mc1061を用いた。
【0064】M13ファージの組み換えのために,E.coli
株JM101のようなファージに感染しやすいE.coli株を用
いた。
【0065】発現のために用いた細胞はChinese hamste
r ovary(CHO)細胞である。
【0066】D.ASPのクローニングおよび発現 イヌとヒトのASP蛋白を精製したかたちで得た。ヒト
のASPの染色体およびcDNAのライブラリーのため
のプローブを供給するのに,イヌcDNAを使った。
【0067】D.1.イヌのASPの精製 D.1.a. 界面活性物質複合体の分離 肺界面活性物質複合体の血を抜いたイヌから得たイヌの
肺から調製した。洗浄を含めたすべての操作は,4℃で
行い,分離した材料は−15℃で貯蔵した。
【0068】肺のガスを抜き,洗浄1回あたり1Lの緩
衝液(5mMトリス塩酸,100mM塩化ナトリウム,pH7.4)
で3回洗浄した。この緩衝液のCo+2濃度は,5×10-6M
以下だった(ラジオメーター F2112 Ca;ラジオメーター
A/S,コペンハーゲン デンマーク)。洗った肺を集め
細胞材料を除くため 150×gavで15分間遠心した。(サ
ッバル RC2-B)それから,上澄液をタイプ15ローター
(ベックマンインストラメント)を用い,20000 ×gav
で15時間遠心した。得られたペレットを,1.64M臭化ナ
トリウムを含む緩衝液に懸濁した。1時間平衡させた
後,この懸濁液をSW28ローターで(ベックマンインスト
ラメント)100000×gav ,4時間遠心した(ベックマン
L5-50B)。この薄膜を緩衝液に再び懸濁し,100000×gav
,1時間遠心した(ベックマン L5-50B)。複合体を含
むこのペレットを2回蒸留水で再懸濁した。 D.1.b.脂
質および10kd蛋白の抽出 10〜15mgリン脂質/mLの濃度で水に再懸濁したペレット
を50倍容過剰のn−ブタノールに注入した(シグリス
ト,H.ら,Biochem Biophys Res Commun(1977)74:178
-184)。そして,室温で1時間攪拌した。10000×gavで
20分間の遠心(サーバルRC2-B)の後,以下の述べるよ
うに,さらに精製するため,ペレット(これは32K ASP
を含む)を回収する。上澄液(一層よりなる)は,脂質
と,低分子量の蛋白とを含んでいる。脂質を得るため,
この上澄液を真空下,40℃で乾燥した。そして脂質を抽
出した。(フォルチ.J.ら,J Biol Chem(1957)226:49
7-509)。
【0069】疎水性蛋白を得るため,ブタノールを除く
べく,上澄液をロトバップにかけた。ロトバップにかえ
る前にエタノールを加えさらに乾燥した。この乾燥残留
物を0.1N塩酸を含む,再蒸留したクロロホルムに懸濁
した。そして,不溶性物質を遠心で除去した。
【0070】得られた溶液をLH-20カラム(ファマチ
ア)でクロマトグラフィーにかけクロロホルムで展開し
た。(LH-20は,セファデックスG-50のヒドロキシプロ
ピル誘導体である;これは,疎水性のゲルで有機溶媒に
対し反応性がない。)この蛋白は,除去される。脂質/
リン脂質をその含まれている部分から溶出した。
【0071】ボイドボリュームの分画から,窒素存在下
でクロロホルムを蒸発させ,蛋白を得た。そして,ポリ
アクリルアミドゲルで,そのサイズを調べた。非還元状
態で行うと,16.5kd,12kdおよび10kdの3つのバンドが
得られた。還元状態では,10kd〜12kdのブロードな単一
バンドが見られた。
【0072】エドマン分解により,非還元のゲルからの
16.5kdおよび12kdのバンドのN末端分析を行い,次の配
列を得た。
【0073】
【化16】
【0074】D.1.c. 蛋白の分画およびASP 32k蛋白
であることの確認 上記のn−ブタノール抽出から得た沈澱を窒素下で乾燥
し,20mMオクチル−β−D−グルコピラノシドを含む緩
衝液 20mLで2回洗った。100000×gav,1時間の遠心の
後,(ベックマンL5-50B),このペレットを0.3M ジヨー
ドサリチル酸リチウム,0.05M ピリジン(pH8.4)に氷
上で懸濁し,等量の水で希釈した。そして水層と等量の
容積のn−ブタノールを混合した。9n−ブタノール水
分配の全体は,界面活性物質の水層中の濃度を低くする
ためなされた。最後の低い,蛋白を含む水層を15時間凍
結乾燥し,2mLの緩衝液に溶解し,100000×gav(ベッ
クマン L5-50B)で,残っている不溶性の物質を除くため
遠心した。323nmでの吸光係数4×103という値(マーチ
ェシ,V.T.およびアンドリュス,E.P.,サイエンス(197
1)174:1247-1248)から,最終的なサンプルのジヨード
サルチル酸リチウムの濃度を計算すると,10μMに達し
なかった。
【0075】このように精製したイヌASP 32Kアポ蛋
白を,上記のように精製された界面活性脂質で再構成し
た。再構成された物質は,表面圧秤で測定すると表面活
性を持っていた。そのインビボでの生物学的活性は,換
気装置上に保ったウサギ胎児への吸気によって測定され
た。
【0076】D.1.d.さらなる蛋白精製 前項で得た蛋白分画を50mMDTTを加えた1%SDD,
50mMトリス塩酸,1mMEDTAのpH7.5溶液と,37℃で
1時間インキュベートすることにより,還元し,100mM
ヨードアセトアミド(シグマ)で0℃,30分間アルキル
化した。そしてレムリー,U. K.,ネイチャー(1970)277:
680-685の方法でポリアクリルアミドゲルを電気泳動し
た。4M 酢酸ナトリウム溶液にこのゲルを浸すことによ
って蛋白は見えた。そして,32kdのバンドをカミソリの
刃で切り出し,ハンカピラー,M.W.ら,酵素学の方法
(1983)91:277-235,ニューヨーク アカデミック プレ
スの方法でCBSサイエンティフィック(デルマール カ
リフォルニア州)エレクトロリューション装置で電気溶
出した。
【0077】溶出した蛋白を凍結乾燥し,そのN末端の
アミノ酸配列を1nmolの蛋白から,アプライド バイオ
システム 470Aゲル−フェーズ シーケンサー(アプラ
イドバイオシステム社,フォスター市,CA)を用い,
メーカーの指示に従って決定した。PTHアミノ酸は,
0.46×25cmIBM CN−カラムを使って,ベックマン334
T HPLCで同定した。用いた勾配は,ハンカピラー,
N.W.,およびフード,L.E.,酵素学の方法(1983)91:486-4
92 ニューヨーク アカデミックプレスに示された勾配
に次の修正を加えた。2成分の勾配系に代えて,3成分
の勾配系を用いた。その系では,アセトニトリルとメタ
ノールはセパレートポンプで注ぎ込み,2つの比は,勾
配のプログラムの適当な修整を行いながら勾配の過程全
体の時間によって変化させた。パーマフェーズ ETHr ガ
ードカラムに代えて,“5×0.46cmIBM CN”アナリ
ティカル“ミニ−カラム”を用いた。そして,そのカラ
ムは,32℃よりむしろ28℃に加熱した。
【0078】N末端のアミノ酸配列は,
【0079】
【化17】
【0080】ここで,“Hyp”は,修飾されたアミノ酸
ヒドロキシプロリンを示す。
【0081】イヌの32K 蛋白のアミノ酸組成のデータ
は,Gly-X-Hypのコラーゲンに似たパターンで推論され
た配列(以下を見よ)中のプロリン残基のヒドロキシ化
と矛盾しないとヒドロキシプロリン含有量を示す。この
パターンはヒトのN末端の配列も示しているので,イヌ
のデータよりの類推によって,多分,同様に処置された
ヒトの配列中のプロリンは,ヒドロキシ化されている。
【0082】コラーケナーゼ処理されたイヌASPの精
製および配列決定により,プロセッシングに関する情報
が得られた。
【0083】精製したイヌのASPをバクテリアのコラゲ
ナーゼ(ウォーシングトン フリーホールド NJ)で酵
素:基質が1:1の比の5mMトリスpH7.4,5mM CaCl
2中,37℃で分解した。これで,22Kdの限定分解産物の
生成物をSDSゲルで分析した。この22Kdのバンドをゲル
から電気溶出し,上記に述べたのと同様のアミノ酸配列
分析にかけた。2つのアミノ酸が各サイクルで同定さ
れ,このことがコラゲナーゼ処理がジスルフィド架橋で
連結されたままの2つのペプチドを生成することを示し
ている。cDNAのクローンの配列決定より,2つの配
列が完全な分子中の78〜110および203〜231アミノ酸に
相当すると示し得る。
【0084】得られた配列は,
【0085】
【化18】
【0086】そして,翻訳は完全であり,蛋白のC末端
が完全であることを示す。
【0087】D.1.e.ヒトのASPの分離 ヒト32Kおよび,より小さな分子量のASPを以下の,
イヌの蛋白に対し,上記に記述した方法で,肺胞のプロ
ティノシス(肺に過剰の界面活性物質が存在する結果生
じる症候群)をわずらった患者から,調製した。
【0088】32K ASPは,次のN末端配列を持つ。
【0089】
【化19】
【0090】ヒト配列の3〜17のアミノ酸は,イヌの32
K蛋白の6〜20のアミノ酸と,9の位置のセリンを除い
て正確に一致する。
【0091】分離した低分子量の疎水性蛋白は,16.5K
d,14Kdおよび10Kdに当たるバンドを,ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動に,非還元状態でかけたときに示され
る。還元状態では,10〜11Kdに相当するブロードな単一
のバンドが得られる。
【0092】D.2.イヌの肺のmRNAの分離 全RNAを成犬の肺からチルグウィン J.M.ら,バイオ
ケミストリー(1979)18:5294-5299の方法で分離した。肺
組織を液体窒素の中で,モーターと乳棒を使って粉砕す
ることにより,粉状にした。そして,6Mグアニジンチ
オシアネート,0.05M トリス塩酸,pH7.0 0.1M−β−メ
ルカプトエタノール,0.5%サルコシル溶液中で,ホモ
ジナイズした。このホモジネートに,CsClを2.0M加え,
0.01M エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA),0.05
Mトリス塩酸pH9.0中の5.7M CsClクッションに重層し
た。このRNAは,115000xg,16時間の遠心で,このク
ッションを通ってペレット化された。それにより,この
RNAは,より高い密度のCsCl溶液を通って沈降しない
細胞DNAおよび蛋白から分離される。次いで, このR
NAを0.01M トリス塩酸pH7.4,0.005M EDTA ,1.0%ド
デシル硫酸ナトリウム(SDS)に溶かし,クロロホル
ムとフェノールの1:1混合液で抽出し,70%エタノー
ルで沈澱させた。このポリアデニル化されたRNA(ポ
リ A+ RNA)の分画をアビブ,H.,およびレーダー,
P.,プロックノトル アカッド サイ(USA)(1972)69:184
0-1412に記述されたようにオリゴ(dt)セルロースを通
すアフィニティークロマトグラフィーにより得た。
【0093】D.3.イヌの肺のcDNAライブラリーの作
成およびスクリーニング D.2.節で調製した成犬の肺のポリ A+ RNAをC.4.節で
記述したようなcDNAライブラリーを作成するのに使
った。5μg のmRNAから,300bp以上のサイズで選
択されたcDNAを約25ngを得た。このライブラリー
は,約200,000の独立した組み換え体を含んでいた。そ
れらのうちの40,000の組み換え体をニトロセルロースフ
ィルター上に置いた。
【0094】これらのフィルターは,次のレプリカのマ
スターとして働く(ハナハン,D.,およびメセルソン
M.,ゲーネ(1980)10:63-75の方法による。)。
【0095】<32K 蛋白をコードするcDNA> 3つのプローブを作った:次の配列を持つ1〜5のアミ
ノ酸に相補的な24種の14量体配列の混合物を作った(プ
ローブa):
【0096】
【化20】
【0097】次の配列を持つ7〜11のアミノ酸に相補的
な64種の14量体(プローブb):
【0098】
【化21】
【0099】そして1種の15量体で哺乳類のコドンの好
みに基づいて作ったもの5' ATCGAGAACAACACC 3’(プ
ローブc)。各オリゴヌクレオチド混合物および,1つ
の特有なオリゴヌクレオチドをバイオサーチSAMオリ
ゴヌクレオチド シンセサイザー(バイオサーチ社,サ
ン ラファエル CA)で,エフィモフ,V.A.,3ヌクレイ
ック アシッド レス(1982)10:6875-6894に記述の濃縮
剤と同じ濃縮剤としてN−メチルイミダゾールの存在下
で,メシチレンスルホニルクロライドを使い標準トリホ
スホエステル法の修正によって合成した。
【0100】ハイブリダイゼーションには,xix レプリ
カフィルターをそれぞれのマスターフィルターから調製
した。それは,各コロニーを複製中で,おのおの2つの
オリゴヌクレオチドプローブを用いスクリーニングし得
るようにするためである。このマスターフィルターを複
製した後,回収したコロニーを170μg /mLのクロラムフ
ェニコールを含む寒天プレート上に,18時間おいた。次
いでこのコロニーをハイブリダイゼーション用にグラン
スティン,M.,およびホゲネス,D.,プロックナトル ア
カッド サイ(1975)72:3961-3972の方法に従って調製し
た。このフィルターを真空下にて80℃で2時間焼き,次
いで,大量の3×SSC(1×SSCは,0.15M NaCl,
0.015Mクエン酸ナトリウム,pH 7.5),0.1 %SDS中
で振盪した。このフィルターを6×SSC,0.1 %SD
S,1mMEDTA,5×デンハルド溶液( 0.1%フィコ
ル, 0.1%ポリビニルピロリドン, 0.1%ウシ血清アル
ブミン)0.05%ピロリン酸ナトリウムおよび50μg /mL
変性させたサケ精子DNA中で,42℃で最近2時間プレ
ハイブリダイズした。
【0101】次いで,複製のフィルターをフィルターあ
たり,5×106cpm の32Pでラベルしたオリゴヌクレオ
チドプローブ(マニアティス,T.ら,モレキュラー ク
ローニング,(1982)コールド スプリング ハーバー
ラボラトリー pp.122-123に従ってリン酸化した。)の
1つで,プレハイブリダイゼーショ溶液と同一の成分を
含むハイブリダイゼーション溶液10ml中において,ハイ
ブリダイズした。フィルターをオリゴヌクレオチドプロ
ーブa,bおよびcとともにそれぞれ37℃,45℃および
41℃でハイブリダイズした。1時間後,プローブaは28
℃に,プローブbは37℃に,サーモスタットの温度を下
げ,その後,バスを平衡させた。プローブcとフィルタ
ーは低い温度でハイブリダイズしなかった。このフィル
ターを6×SSC,0.1%SDSによって,室温で15分
間かけて2回洗浄した。それから6×SSC,0.1%S
DSによって,37℃, 45℃および41℃でそれぞれプロー
ブa,bおよびcを2分間洗浄した。この最後の洗浄温
度は,サッグス S.V.ら,精製された遺伝子を用いる発
生生物学(D.D.ブラウンおよびC.F.フォックス著),ア
カデミックプレス,NY. pp.683-693の経験式,Td=4(G
+C)+2(A+T)から得た。それから,ハイブリダイズフ
ィルターを乾燥し,コダック XARフィルム上に,デュポ
ン クロネックス強化スクリーンで,完全な露光が得ら
れるまでオートラジオグラフした。
【0102】もし,コロニーが複製で,3つのすべての
オリゴヌクレオチドプローブと,またはa,b両方のプ
ローブとハイブリダイズすれば,そのコロニーはポジテ
ィブと言えた。数種の潜在的なポジティブクローンのう
ち,1つは,他と比べてより強くプローブa,bとハイ
ブリダイズした。このクローンのシーケンスにより,そ
れが,イヌの 32KASPの配列の一部をコードしている
ことがわかった。それをDS-1と名付け,32K イヌASP
全体を得るのに使った。
【0103】375bpの精製されたDNA 挿入を制限酵素 Ps
tIでpDS-1から切り出し,スモールミニプレップ法(マ
ニエーティスら,前出 P366)を用いて調製し,アガロー
スゲル上で分離した。次いで,このDNA挿入全体をバ
クテリオファージ M13にサブクローニングし(メッシン
グ,J.,およびヴィエイラ,J.,遺伝子(1982)19:259-26
8)。サンガー F.ら,プロックナトル アカッド サイ
(USA)(1977)74:5463-5469のジデオキシ法でシーケンス
した。その配列は,およそ300アミノ酸蛋白のN末端部
分をコードしていた。すなわち,D.1.節の精製したイヌ
のASP蛋白から決定したN末端アミノ酸配列32残基,
および101のその下流のアミノ酸をコードしていた。そ
れはまた,50bpの5’不翻訳領域を含んでいた。
【0104】イヌのASP配列全体をコードするのに充
分な長さの配列の存在を決定するため,ノーザンブロッ
トによりmRNAプールの評価を行った。バイレイ,J.
M.およびダビッドソン,N.,アナル バイオケム(1976)7
0:75-85.の方法で,メチルメルクリックハイドロキシ
ドを含む 1.4%アガロースゲルで電気泳動し,分画した
後,ニックトランスレーションしたDS-1挿入DNAを使
って,D.5.節のポリ A+ RNAをノーザンブロッティン
グにかけた。プローブにハイブリダイズしたmRNAは
1800〜2000ヌクレオチドの長さで,コーディングシーケ
ンスに必要な約700ヌクレオチドより明らかに大きかっ
た。
【0105】それゆえ,このDS-1挿入プローブをオリジ
ナルフィルターの1つの複製セットの再スクリーニング
に用いた。そのフィルターは,残存するオリゴヌクレオ
チドプローブを除くため100 ℃で10分間処理した。0.75
M塩化ナトリウム,0.075Mクエン酸ナトリウム,50%ホ
ルムアミド,0.5 %SDS,0.02%ウシ血清アルブミ
ン,0.02%フィコール−400,000,0.02%ポリビニルピ
ロリドン,0.1 %ピロリン酸ナトリウム,50μg/mL酵母
tRNA.50μg/mL変性切断サケ精子DNA中で,フィ
ルターを42℃にて18時間プレハイブリダイズさせた。1
mlの新鮮なハイブリダイゼーション緩衝液あたり,5×
105cpm の32P−ラベルをし,煮沸したDS-1cDNAを
加え,その緩衝液中でフィルターを42℃で16時間インキ
ュベートした。それから,フィルターを0.03M塩化ナト
リウム,0.003Mクエン酸ナトリウムおよび0.1%SDS
で2回,それぞれ50℃にて30分間洗浄し,一晩オートラ
ジオグラフィーのため露光した。さらに,2つのクロー
ン,DS-4およびDS-31が同定され,それは,DS-1同様だ
いたい1700bpからなっている(図1)。
【0106】DS-4およびDS-31 もまた,Pst Iを使って
切り出し,M13mp9にサブクローニングし,そしてサンガ
ー,F.(前出)の方法に従ってダイデオキシシーケンス
により配列決定した。この生体の配列は,2つの内部 P
st1サイトを持っていた。正しいシーケンスであること
の確認は,図1に示した。推論される内部の制限サイト
から得たフラグメントのダイデオキシシーケンスによっ
て得た。256コドンのオープンリーディングフレームか
ら推論されるASPのアミノ酸配列を含む全ヌクレオチ
ド配列を図1に示す。
【0107】<イヌの10K ASPをコードするcDNA
>哺乳類のコドンの好ましい表をコドンの選択に用い,
16.5Kd蛋白のN末端配列に相当する2つのオリゴプロー
ブを作った。プローブ1198は36量体の配列5'-GGTCACAG
CCAGGCCCTTGGGGATCATGGCCTGGAT-3'であり,プローブ11
99は45量体の配列であった。5’-CTTGATCAGGGTTCTGCAC
AGCCAGCAGTAGGGCAGGGGGATGGG-3' 両方をカイネシング
によって32Pラベルした。
【0108】ハイブリダイゼーションのため,このフィ
ルターを真空下で,80℃にて2時間焼き,0.1%SDS
を含む大量の3×SSC中で68℃にて4時間振盪し洗浄
した。6×SSC,5×デンハード,20%ホルムアミ
ド,0.1%SDS,100μg/mlの切断変性サケ精子DNA
中で,42℃にて数時間,このフィルターをプレハイブリ
ダイゼーションした。13ng/mLのプローブ1198または16n
g/mLのプローブ1199を含む,上記の緩衝液中で,複製フ
ィルターを,最初は68℃で,次いで42℃で一晩ハイブリ
ダイズした。6×SSC,0.1%SDS,0.05%ピロリ
ン酸ナトリウム中で,15分間室温で2回フィルターを洗
浄した。それから65℃で5分間同じ緩衝液で洗浄した。
その後,乾燥し,オートラジオグラフィーをした。
【0109】スクリーニングした40,000クローンのう
ち,8つが双方のプローブにハイブリダイズした。そし
て,それの制限分析を行った。組み合わせると1520ヌク
レオチドになる2つの重なったクローンをシーケンスし
た。結果は図2および図3に示す。矢印は,成熟した1
6.5Kd蛋白の開始点を示す。
【0110】D.4. ヒト 32KASP遺伝子の単離 バクテリオファージシャロン28(Rimm,D.L.,et al.Gene
(1980)12:301-310)は,T.Maniatis博士,ハーバード大
学から得た。E.coli K803で約1.5×106のファージを増
殖させ,溶菌したプラークをBenton,W.D.,et al,Scienc
e(1977)196:180-182に記載のニトロセルロースフィルタ
ーに移した。フィルターは,Rigby,P.W.J.,et al,J Mol
Biol(1977)113:237-251のニックトランスレーション法
によりリン酸化された DS-1cDNAでプローブした。
フィルターを42℃,1時間で,ハイブリダイゼーション
緩衝液(0.75M NaCl, 0.75M 硝酸ナトリウム,40%ホル
ムアミド,0.05%SDS,0.02%ウシ血清アルブミン,
0.02%フィコール−400,000 ,0.02%ポリビニルピロリ
ドン,0.1 %ピロリン酸ナトリウム,50μg/mL酵母tR
NA,50μg/mlの変性し切断したサケ精子DNA)で
前洗浄した。新しいハイブリダイゼーション緩衝液1ml
あたり5×105cpm プローブを加え,フィルターを37℃
で16時間,この緩衝液で保温した。次いで,これを0.45
M NaCl,0.045Mクエン酸ナトリウムおよび 0.1%SDS
で50℃で2回洗い,一晩オートラジオグラフィーにかけ
た。DS-1cDNAにハイブリダイズする配列を含む可能
性のある6つのクローンを得た。最も強くハイブリダイ
ズするクローン,gHS-15,を調べた。
【0111】gHS-15の 700bp EcoRI断片がDS-1プローブ
とハイブリダイズし,配列分析に選ばれた。この EcoRI
断片を精製し,M13mp9の中に挿入して配列決定したとこ
ろ,対応するイヌの配列と相同性があることがわかっ
た。全ヒトコード領域は,5’側の1.2Kb断片と3'側の
3.5Kb断片との2つの隣接するBamHI 断片を含んでい
た。両方のBamHI 断片をM13mp8のBamHI 部位に各々,サ
ブクローン化し,配列決定した。付加的な断片は,図4
および図5に示す手順に従って同様に配列決定された。
配列情報は,製造業者の指示に従って,いろいろな遺伝
情報(パロ アルト,CA)コンピュータープログラムを
使用して分析された。シグナルペプチド,前駆体配列お
よび成熟アポ蛋白を含む領域はイヌASPcDNAと比
較することで同定した。配列分析から,遺伝子の5’末
端は 1.2Kb BamHI断片内にコードされており,3’末端
は3.5Kb BamHI断片内にコードされている。遺伝子は,
1.2Kb BamHI 断片の最初のbpを1とした時の1218bp,16
51bp,そして2482bpの3つのイントロンによってさえぎ
られている。推定されたヒトASP蛋白のアミノ酸配列
を含む全配列を図4および図5に示す。
【0112】D.5.ヒト 32KASPの発現 全ヒトASP遺伝子を含む約16Kpの挿入を持っているも
のとしてD.5節で同定されたgHS-15単離ファージは,
pSV2:NEOとともに形質転換によって,10%ウシ胎児血清
を含むマッコイ5A培地で増殖させたCHO細胞内に移さ
れた(Southern,P.,et al.J Mol Appl Genet(1982)1:3
27-341)。このプラスミドは,哺乳動物細胞に有毒であ
るネオマイシンアナログG148に対する耐性を与える機能
遺伝子を含む。形質転換において,λ:gHS-15 15μgとp
SV2:NEO 2μgが,Wigler M.,et al, Cell(1979)16:777-
785の方法に従って,リン酸カルシウム/DNA共沈澱
でCHO細胞の 100mmに加えられた。
【0113】これには,DNAにさらした4時間後の,
2分間の15%グリセロール“ショック”が含まれる。細
胞は1μg/ml G418 を含む培地に移し,100mm皿あたり
約50個の安定な形質転換体が得られた。
【0114】標識する前に,安定な形質転換体を,0.25
mMアスコルビン酸を添加した培地で培養した。安定な形
質転換体の2つのプールとCHO細胞で処理していない
1つのプールとを,通常の1/10のメチオニン濃度を
含む培地で1時間培養し,次いで8〜16時間,35S−メ
チオニンで標識し,35S−metで標識した全分泌蛋白を
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で分析した。結
果を図6に示す。通常のCHO分泌蛋白をレーン1に示
す。λ:gHS-15 分泌蛋白をレーン2と3に表す。その両
方ともが,発現されたASP蛋白に相当する付加的な30
〜36Kdの蛋白を持っている。30〜36Kd蛋白の同一性をさ
らに証明するために,イヌASP抗体で全分泌蛋白標品
を免疫沈降させることができる。ベクターλ:gHS-15
は,1984年12月7日にAmerican Type Culture Collecti
onに寄託され,ATCC40146で受理された。
【0115】D.6.32Kおよび10Kの蛋白に対するヒトcD
NAクローンの調製 <ヒト32K ASP>ヒト肺を22週間目と24週間目の2胎
児から得た。最初に7gの肺組織を液体窒素で凍結さ
せ,モーターですりつぶし粉粒にした。そして全ポリ
A’RNAをD.2.節(前出)の方法で調製した。
【0116】cDNAライブラリーをC.4節で述べた
方法でmRNAから調製した。5μgの肺ポリ A+ RN
Aから約25ngのcDNAができ,500塩基対以上のもの
が選択され,300,000の個々の組み換え体ライブラリー
を得た。
【0117】ヒトcDNAライブラリーの60,000個を,
遺伝子ライブラリーのスクリーニングのために上で述べ
た方法で,イヌDS-1cDNAでスクリーニングした。組
み換え体コロニーは,2組のレプリカに対してマスター
となるニトロセルロースフィルターの上に置かれた。コ
ロニーフィルターは,次いで Grunstein;M.,およびHog
ness, D.(前出)の方法に従ってハイブリダイゼーショ
ンのために調製された。フィルターは,真空下,80℃で
2時間焼き,大量の3×SSCと 0.1%SDSで振盪し
ながら68℃で4時間洗浄した。次に,フィルターを0.75
M NaCl,0.075M硝酸ナトリウム,40%ホルムアミド,
0.5%SDS,0.02%ウシ血清アルブミン,0.02%フィ
コール−400,000 ,0.02ポリビニルピロリドン,50μg
/mL酵母tRNA,50μg/mlの変性,切断したサケ精子
DNAで,18時間37℃でプレハイブリダイゼーションし
た。新しいハイブリダイゼーション緩衝液1mlあたり,
1×106cpmの32P-標識DS-1プローブを加え,次いで37℃
で16時間保温した。次にフィルターを0.45M NaCl,0.04
5Mクエン酸ナトリウムおよび0.01%SDSで,2回,各
々50℃で30分間洗い,一晩,オートラジオグラフィーに
さらした。
【0118】1個の正にハイブリダイゼーションしたク
ローン,HS-6,は,さらに塩基配列決定によって分析さ
れた。HS-6は,Pst I切断によってベクターから放出さ
れ得,また内部 EcoRI部位を有する,1.2Kb挿入断片を
持っている。挿入断片からの両Pst I-EcoRI 断片が,M1
3mp8とmp9のPst I-EcoRI 部位にサブクローン化され,
部分的な配列が得られた。配列決定された 200bpを越え
る部分がgHS-15の3’−末端に完全に対応した。HS-6の
ヌクレオチド配列を図7に示す。
【0119】HS-6cDNA挿入断片はASPmRNAの
3’−末端領域のみしか含んでいないので,プローブと
してHS-6を使用して残りのクローンを表面活性物質の隣
接配列を捜すためにスクリーニングした。ライブラリー
の残りにクローンは見つからなかった。
【0120】ヒト32K ASPをコードしている完全なc
DNAを得るために,成人の肺から,無秩序に入れたc
DNAを調製し,Huynh.T.,et al,cDNA Cloning Te
chniques:A Practical Approach(Glover,D.,編)IRL,Oxf
ordの方法によってEcoRIリンカーを使用してバクテリオ
ファージベクターgt10にクローン化した。成人の肺は,
胎児の肺細胞に比べてASP転写物に富んでいる(私た
ちの観察による)ので,完全なASPcDNAを得る頻
度を非常に上げる。
【0121】ファージプラークは,50%ホルムアミド,
5×SSC,0.05%SDS,5×デンハート,tRNA
およびサケ精子DNA中,16時間,42℃で,32Pで標識
されたpHS-6 挿入断片の5×10-5cpm/mlを使い,スク
リーニングした。フィルターを0.2×SSC,0.1 %S
DSで,各々30分間,50℃で2回洗い,乾燥させ,オー
トラジオグラフィーにかけた。
【0122】2つの正にハイブリダイズするクローン
(pHS-2 およびpHS-5と称する)が単離された。各々
は,32K ASPの全コード配列と,5’の非翻訳領域の
ほとんどを含んでいた。各々は,ほとんどの3’−非翻
訳領域を含むHS-6と重なった。各クローンの3’末端は
コード領域内の EcoRI部位に対応する。
【0123】<ヒト10K ASP>ラムダgt10中の同じc
DNAライブラリーを,前述のように,40%ホルムアミ
ド,5×SSC,0.05%SDS,5×デンハート,50μ
g /ml酵母tRNA,および50μg /mLサケ精子DNA
中,37℃で16時間,先のイヌクローンpD10K-1 1×106c
pm を使用して,ニトロセルロースフィルターでスクリ
ーニングした。フィルターを,2×SSC,0.1 %SD
Sで30分間,50℃で2回洗浄し,乾燥させ,オートラジ
オグラフィーにかけた。40,000プラークのうち2つが正
のクローンで,そのうちの1つ,1.5Kbの挿入を含むラ
ムダH10K-1と名付けられたものを,配列決定のために選
択した。仮の部分配列の結果を図8に示す。下線部分の
アミノ酸残基は,イヌの蛋白と相同性があることを示し
ている。
【0124】D.7.発現ベクターの構築 哺乳動物細胞におけるゲノムヒト32K ASPコード配列
の発現に対して安定なベクターを,これはイントロンを
含むDNAをプロセシングできるものであるが,構築し
た。Karin,M.,et al,Nature(1982)299:797-802で述べら
れているように,発現はメタロチオネインII(hMTII)制
御配列によって制御される。
【0125】宿主ベクターpMTは,プロモーターを,pUC
8と連結することによって,得られた。
【0126】hMTII遺伝子を運ぶプラスミド84H (Kari,
M.,et al,(前出))をBamHIで完全に切断し,エキソヌ
クレアーゼBal-31で処理して終止ヌクレオチドを取り除
き,次いでHindIII切断をおこなって−765から+70のhM
TII遺伝子ヌクレオチド(転写される最初のヌクレオチ
ドを+1とする)を含む840bの断片を遊離した。840bp
断片を単離し,HindIII/HincII切断pUC8(Vieira,J.,e
t al,Gene(1982)19:259-268)と連結し,この連結混合
物をE.coli Mc1061へ形質転換した。pMTの正しい構築物
をジデオキシヌクレオチドシークエンスによって確認し
た。
【0127】さらに,C末端制御シグナルを含む pMTの
誘導体,pMT-Apoが調製された。pMT-Apoは,3’末端制
御シグナルを含むヒト肝臓蛋白ApoA1遺伝子の一部(Sho
ulders,C.C.,et al Nucleic Acids Res(1983)11:2827-2
837)を持っている。ApoA1遺伝子のPstI/PstI 2.2Kb
断片(平滑末端)をpMTポリリンカー領域のSma I部位に
クローン化し,BamHI切断でApoA1遺伝子のほとんどの部
分を取り除き,クレノーで平滑末端にし,Stu Iで切断
し,再連結した。ジデオキシジクエンス分析法によって
確かめると,得られたベクターは,3' 末端からざっと
500bpのApoA1遺伝子を含んでいる。
【0128】ヒトASP遺伝子,pMTおよびpMT-Apo発現
ベクターの5つの構築物は,gHS-15の1.2Kbと3.5KbのBa
mHI断片を使用して調製された。すべての構築物は単離
され制限分析とジデオキシジクエンスとの両方によって
確認された。これらの構築物は,以下のようにして調製
された。
【0129】1.1.2Kbと3.5KbのBamHI 断片をpMTのBam
HI部位にクローン化してpMT:gHSを得た。
【0130】2.1.2Kb BamHI 断片をHinfI(950位
置)で切断することによって5'末端で断ち切り,クレノ
ーで埋めた。切断された断片を 3.5Kb断片とともにpMT
のBamHI部位へクローン化して,pMT:gHS(HinfI)を得
た。
【0131】3.第2節の断片を代わりにpMT-ApoのBam
HI部位にクローン化して,pMT-Apo:gHS(HinfI)を得
た。
【0132】4.3.5Kb BamHI 断片をEcoRI(3434位
置)で切断することによって,3’末端を断ち切り,ク
レノーで埋めた。この切断された断片を,上記のHinfI
で切断した1.2Kb切断片とともに pMT-ApoのBamHI部位へ
クローン化して,pMT-Apo:gHS(Hinf I/EcoRI)を得
た。
【0133】5.1.2Kb断片を356位置のBstEII部位で切
断し,3.5Kb断片を4024位置のBstEII位で切断した。こ
れらの断片をpMT-ApoのBamHI 部位にクローン化して,p
MT-Apo:gHS(BstEII)を得た。
【0134】得られた pMT:gHS構築物を,35S−メチオ
ニンとともに10-4M ZnCl2を加える以外は,D.6節の
方法でCHO細胞に移し,メクロチオネインプロモータ
ーを誘導し,産生された蛋白を標識した。
【0135】8〜16時間後,イヌのASP抗体で免疫沈
降する35S−met標識全分泌蛋白を培地中で分析した。
非免疫IgGが対照として使用された。
【0136】D.8 発現の最適化 発現の条件を最適化し,SV40ウイルスのエンハンサーを
含む付加的な発現ベクターを,CHO細胞中の発現量の
増加のために,用いた。3つのベクターを用いた:これ
は,上記の,そして以下でさらに特徴を述べるpMT-Apo:
gHS(Hin f/EcoRI) ,そして下記のように構築したpASPc
-SV(10)とpASPcg-SV(10)である。
【0137】<エンハンサーを含むベクター>MT−IIプ
ロモーターに発現可能なように連結したSV40エンハンサ
ーを含む宿主発現ベクターを得るために,1100bpのSV40
DNA断片をpMT 中のMT-IIプロモーター配列の上流のH
indIII部位に挿入した。このSV40DNA断片はSV40の複
製オリジンにわたっており,ヌクレオチド5171から5243
まで(オリジンにおける),つまりヌクレオチド107-25
0 からの重複した72bpの繰り返しを含んでいる。これ
は,オリジン側に後期ウイルスmRNAの5’末端を含
む,ヌクレオチド1046まで続いている。
【0138】このHindIII 1100bp断片はSV40のDNAの
HindIII分解から得られ(Buchman,A.R.,et al.DNA T
umor Viruses,2nd ed(J.Tooze,ed)Cold Spring Harbor
Laboratory,New York(1981),pp.799-841),増幅のため
にpBR322にクローン化する。クローニングベクターをHi
ndIIIで分解し,ゲル電気泳動により1100bpSV40DNA
断片を分離し,HindIIIで分解しCIP 処理したpMT に連
結した。その結果得られるベクター,pMT-SV(9)とpMT-S
V(10),はMT-IIプロモーターの前に断片を逆方向で含ん
でいる。pMT-SV(9)では,エンハンサーは5’側のmR
NA開始部位から約1600bp離れており,逆方向のもので
は,5’側のmRNA開始部位から約980 bp離れてい
る。両方向ともに発現可能であるが,エンハンサー配列
が開始部位に近い方の向きの方がより高い発現量を与え
る。
【0139】pASPc-SV(10):ASPのコード配列を,宿
主ベクターpMT-SV(10)の上記のように修飾した形のもの
に挿入した。最初に500bpのApoAI断片は,この断片の分
離により,pMT-SV(10)に挿入され,pMT-Apo(上記)の分
解およびEco RI/Bam HIで分解したpMT-SV(10)への連結
により得られる。修飾したベクターをBam HIで分解し,
平滑末端化し,この平滑末端化したEco RI分解物として
pHS-5 から得られたcDNA配列(White,R.T.,et al
,Nature(1985)317:361-363) に連結した。このcDN
A断片は5’の翻訳されない領域に連結したEco RIリン
カーから3’の翻訳されない領域に元から存在するEco
RI部位まで及ぶ(900bp)。この関連したヌクレオチド配
列を図9に示す。ここで,星印を付けたアミノ酸は,ア
ミノ酸一次配列と,pMT-Apo:gHS(Hin f/Eco RI)から得
られた蛋白の配列との相違を表す。(この相違はヒトの
cDNAとゲノム配列との間の塩基置換から生じる。)
翻訳の開始は,元の配列と同じく,ヌクレオチド56から
である。
【0140】pASPCg-SV(10):付加的な修飾は,pASPc-SV
(10)とpMT-Apo:gHS(HinfI/EcoRI)配列を組込むことに
より調整された。プラスミドpASPc-SV(10)をBam HIとEc
oRIで分解し,分離した大きい方の,断片を,pMT-Apo:g
HS(HinfI/EcoRI)のBam HI/EcoRI(部分)分解により
得られたASP遺伝子の3’部分に連結した。これは,
ヌクレオチド1154から始まり,ヌクレオチド3432まで伸
びているヒトASP遺伝子部分を表し,これを上記のご
とくApoAI遺伝子断片に連結した。この構築によりpMT-A
po:gHS(HinfI/EcoRI)から得られる蛋白と同一の蛋白
が生成する。しかし,これはアミノ酸部位25,30および
34がpASPc-SV(10)から得られた蛋白とは異なる。関連す
る挿入のヌクレオチド配列を図10および図11に示
す。
【0141】<pMT-Apo:gHS(HinfI/EcoRI)>ゲノムD
NAを含むベクター,pMT-Apo:gHS(HinfI/EcoRI)のた
めに,エキソン2,3および4とエキソン5の一部を含
む,ヌクレオチド950からヌクレオチド3432までの遺伝
子HinfI/EcoRI 断片として得られた。White,R.T.らNatu
re(1985)317:361-363 も参照せよ。この断片を前述のポ
リアデニレーション・シグナルとポリアデニレーション
配列を含むヒトApoAI遺伝子(Shoulders.C.C.Nucleic A
cids Res(1983)11:2827-2837)の3’末端からの 500bp
断片に連結した。この完全なASPをコードするゲノム
挿入物を,MT−IIプロモーターに連結した形で図12
および図13に示す。
【0142】このベクターからは本来のプレ蛋白(これ
はシグナル配列を含む)より23アミノ酸だけ長いタンパ
クが生成する。この構築では,エキソン1を欠き,よっ
て翻訳は,通常は最初のイントロン中にある,本来のプ
レ蛋白のmRNAに相補的なゲノム配列のヌクレオチド
987から始まるATGから開始するのであろう。本来の
プレ蛋白の生成において,エキソン1がヌクレオチド10
22でエキソン2と連結され,この開始コドンが欠落し,
そして翻訳がヌクレオチド1046から開始するようにな
る。しかし,この付加的な残基は分泌を阻害しないよう
であり,通常の成熟蛋白が,この修飾した形の遺伝子を
発現する細胞から分泌される。
【0143】<形質転換の手段>上述のベクターの各々
を用いて,次に述べるようにしてCHO細胞を形質転換
した:チャイニーズ・ハムスターの卵巣(CHO)−K
1細胞を10%ウシ胎児血清を含むCoon's F12培地および
DME 21培地の1:1の混合物からなる培地で増殖させ
た。感受性細胞を,目的のベクターとpSV2:NEOで共形質
転換した(Southern,P.,ら,J Mol Appl Genet(1982)
1:327-341)。pSV2:NEOはネオマイシンのアナログG41
8に対する耐性を与える機能の遺伝子を含む。典型的な
形質転換では,0.5μgのpSV2-NEOと5μgまたはそれ以
上の発現ベクターDNAを 100mm皿の細胞に加える。Wi
gler M.,ら Cell(1979)16:777-785の方法に従って,リ
ン酸カルシウム−DNAの共沈澱を,4時間DNAにさ
らした後に15%グリセロールを含むPBSにより2分間
の“ショック”を与えることを含めて,用いた。
【0144】要約すれば,細胞を1/10量で植菌し,一晩
培養して2×PBSで洗浄し,CaPO4・DNA共沈澱物
を含む0.5ml Hepes−バッファー食塩溶液中に15分間置
き,次いで10mlの培地を加える。この培地を吸引により
除き,15%グリセロールを含むPBSに換え, 1.5〜3
分間置く。このショックを与えた細胞を洗浄し,培養培
地を加える。MT−IIに制御された発現が誘導されるま
で,この培地は,10%FBSを含む F12/DMEM21の1:
1混合液を有している。1日後, G418耐性コロニーの
プールを得るために,細胞に1mg/ml G418 を加える。
所望のプラスミドの安定した形質も保持する好ましい形
質転換体を,その後クローン単体の精製のために低濃度
でプレートにまく。
【0145】<ASP産生量の検定>所望蛋白の産生の
ために,まずプールについて,次いで単一のクローンに
ついてマルチウェルプレート中で,形質転換体を検定し
た。このプレートでの検定量は,ウェルの大きさに多少
依存する。例えば,24ウェルのプレートの結果は96ウェ
ルのプレートの結果とは直接には比較できない。プレー
ト検定により十分な量の蛋白を産生することが分かった
クローンは,次に回転ビン中での産生操作で培養でき
る。典型的には,スケール・アップを行えば,この産生
量は増加する。しかし,プレート検定と回転ビンの操作
との間には絶対的な相関はない。すなわち,プレート検
定で一番良い産生を示すものの培養は,スケール・アッ
プ後では必ずしも一番良いものではない。この理由か
ら,典型的には 100〜200またはそれ以上の個々のクロ
ーンをプレート上で種々の選別方法により検定し,最も
高い産生を示すものの5から10コを産生条件下(回転ビ
ン)で検定する。
【0146】<プレート検定>ASPをコードする種々
のプラスミドにより形質転換した。細胞のプールをマル
チウェルプレートで増殖させ,次いでASPの産生を誘
導するために,5×10-5〜1×10-4濃度の亜鉛イオンに
さらした。ASP検定は,ウサギ抗−ヒトASPポリク
ローナル抗血清での免疫沈澱,それに続く125Iプロテ
ィンAとオートラジオグラフィーを使用するウエスタン
ブロットを用いて行った。
【0147】もっと詳しく言えば,10%FBSを含むMc
Coy の5A培地で増殖させた個々の細胞系統の半融合単
層をリン酸塩バッファー食塩水(PBS)で洗浄し,10
%FBSを含むMcCoy の培地,1×10-4の塩化亜鉛およ
び0.25mMのアスコルビン酸ナトリウムを加えた。(アス
コルビン酸塩は,プロリン残基のヒドロキシル化の促進
を助けうる。)誘導後24時間で,細胞をPBSで洗浄
し,再び塩化亜鉛とアスコルビン酸とを含む無血清McCo
y の培地を加えた。12時間後,調節された培地を回収
し,トリス中pH8で20mMにして,BRLドット・ブロッ
ト器具中でニトロセルロースを通して濾過した。このニ
トロセルロース・フィルターを5%脱脂粉乳を含む50mM
トリス,pH7.5,150mMNaCl(トリス/食塩),で封鎖
し,次いで封鎖溶液中に,5000倍希釈のウサギ抗ヒトA
SPポリクローナル抗血清を加えてインキュベートし,
上記トリス/食塩で数回洗浄し,そして25μCiの125
プロティンAを封鎖溶液に加えてインキュベートし,洗
浄してオートラジオグラフィーをとった。
【0148】ASPをコードするベクターにより形質転
換されたもののプールのほとんどは,この検定において
検出可能なASPを生産しなかった。しかし,明確にA
SPを分泌する細胞系統(A−38と称する)をpMT−
Apo:gHS(HinfI/EcoRI)形質転換体から選別した。さら
にpASPc-SV(10)で形質転換された細胞のあるプール(A
SP−Iと称する)またはpASPcg-SV(10)で形質転換さ
れた細胞のあるプール(ASP−FおよびASP−Gと
称する)は,下記のD−4と称する細胞系統により生産
される量(〜2−5μg/mL)と比較し得るASPを生産
した。
【0149】<ASP蛋白のキャラクタリゼーション>
このA−38細胞(上記)を10%FBSを含むMcCoyの5
A培地中で25%集合体となるまで増殖させ,次いで,10
%FBSと0.25mMアスコルビン酸ナトリウムを含むMcCo
y 培地中の10-4M塩化亜鉛で誘導した。(細胞の半分
は,10-6Mのデキサメサゾンでも処理した。)24時間後
に,この細胞をPBSで洗浄し,そして10%透析FB
S,1×10-4M塩化亜鉛,0.25mMアスコルビン酸ナトリ
ウム,および 0.5mCi/mlの35S-メチオニンを含むRPM
I培地を再び加えた。
【0150】18時間後に,この細胞上澄液を1mMフェニ
ルメチルスルホニルフルオライドとし,ウサギ抗イヌA
SP抗血清を用いてプロテインAを担体として免疫沈澱
させた。沈澱した蛋白の半分をSDS−PAGE試料バ
ッファー中で沸騰させ,そして残りの半分を0.75%トリ
トン×-100,0.075%SDS,0.75%2−メルカプトエ
タノール,30mMEDTA,75mMリン酸ナトリウム,pH
1,中に溶出し,0.5単位のエンドグリコシダーゼ−F
(エンド−F)を加えて37℃で1時間インキュベートし
た。エンド−Fで処理されたおよび未処理の蛋白の画分
をSDS−PAGEにかけた。その結果を図14に示
す。このエンド−F処理された画分は,未処理の画分の
38Kdの蛋白(レーンE)に比べて,30Kdの蛋白(レーン
F)を示した。(レーンMはサイズマーカーを含み,レ
ーンAとBは非形質転換CHO細胞の上澄液,そしてレ
ーンCとDは,各々デキサメサゾンで処理されたまたは
未処理のA−38細胞からの上澄液を含む。) <D−4調製のための過度のトランスフェクション>D
−4と名付けた付加的な細胞系統を,pMT−Apo:gHS
(HinfI/EcoRI)(20μg)およびpSV2:GPT(1μg)
の混合物を用いて,A−38を過度にトランスフェクショ
ンすることにより得た。10%FBSを含む F12/DMEM21
中で増殖させたA−38の半融合単層を,上記のように共
にトランスフェクションした。48時間後に,この細胞を
5分の1ずつに分けて,10%FBSとHAT選択薬剤と
を含むF12/DMEM21中に加えた。HAT選択の17日後,生
存している耐性コロニーのプールを,mcCracken A,A.,
ら Biotechniques(March/April 1984)82−87の免疫フ
ィルター選択方法により,高レベルのASPを生産する
個々のクローンについて選択した。簡単に言えば,100m
m皿に100個の細胞の割合で,この細胞をF12/DMEM21,10
%FBS中に植菌した。5日後において,(コロニーに
各々50−200個の細胞を含むとき)この細胞をPBSで
洗浄し,無血清F12/DMEM21を加え,そして殺菌テフロン
・メッシュを重ねた。メッシュの上に,ニトロセルロー
スフィルターを置き,8時間そのままにしておいた。こ
のニトロセルロースを取り除き,イミュノブロットとし
て,初めにウサギ抗イヌASPポリクローナル抗血清を
用い,次いで125IプロティンA,それに続いてオート
ラジオグラフィーすることにより処理した。約2000個の
選別したコロニーから,2個の検出可能なシグナルが得
られ,D−4と名付けたものは,ASP遺伝子をA−38
の10−20倍量,すなわち計算すれば2〜5μg/mL AS
Pに対応する量の発現を示した。
【0151】<キャラクタリゼーション>D−4細胞系
より分泌されたASPをアフィニティークロマトグラフ
ィーで無血清培地より単離し,気相ミクロシークエンサ
ーでN末端の配列を決めた。16アミノ酸の配列の決定で
は,肺の洗浄により単離した蛋白のN末端部分と完全に
相同性を示した:全体の70%はN末端Glu 残基を含んで
いた:残りの30%は,N末端Val(Glu に関して2位)
を含むように削られた。これは,単離された洗浄蛋白と
同じ組成である。ヒドロキシプロリンは,10,13および
16位に存在し,翻訳後のプロセッシングを表す細胞の能
力を示している。
【0152】加えて,プールASP1(上記)由来およ
びプールASP2(上記)由来の分泌された蛋白画分と
ともにD−4により分泌された蛋白をウエスタンブロッ
トを用いて,ヒトの蛋白症の肺の洗浄物の蛋白と比較し
た。誘導された細胞由来の無血清培地をTCA沈澱さ
せ,Endo.Fで処理し(あるいは処理せずに),そして1
2.5%のゲル中でSDS−PAGEにかけた。このゲル
をエレクトロブロットし,ウサギの抗ヒトASPポリク
ローナル抗血清,続いて125I−プロティンAとドット
で保温した。この結果を図15に示す。
【0153】レーンAおよびFは,Endo.Fに分解する前
およびその後の1μgの肺胞の蛋白症の蛋白を含む。レ
ーンB,CおよびDは,それぞれEndo.F未処理のD−
4,ASP−Iプール,およびASP−Gプール由来の
培地を示す。レーンG,HおよびIは,Endo.Fで処理し
たこれらの上澄液由来の蛋白を示す。Endo.F処理は全て
の蛋白の見かけの分子量を減じており,より分離したバ
ンドを生じることが明らかである。
【0154】<生産の実施>pMT-Apo:gHS(HinfI/EcoR
I)の多コピーを含む過度にトランスフェクションした
細胞系(細胞系D−4)を,ローラーボトル中で生産レ
ベルの実施において用いた。850cm四方のローラーボト
ルに,10%FCS,15mM Hepes,pen/strep ,およびグ
ルタミン中で,2×106の細胞を含む10cmの皿で植菌し
た。この細胞が集密的に達すると(2〜3日),PBS
で2度洗浄し,FCSのない 250mlのF12/DMEM21,10mM
Hepesに置き換えた。次の日は,この細胞に250mlのF12
/DMEM21,10mM Hepes,5×10-5塩化亜鉛,10-6Mデキサ
メタゾン,および0.25mMアスコルビン酸,を加えた。こ
の細胞を2日ごとに取り出し,1000rpmで10分間遠心
し,−20℃で凍結させた。生産は,1〜5μg /mL/日
で,上記で述べたように,5000倍希釈でポリクローナル
抗イヌASP抗血清を用いてドットブロットウェスタン
で分析した。生産は約14〜17日後に低下する。
【0155】D.9.ASP成分の活性 単離したASP成分の空気/水の界面で脂質膜を形成す
るのを高める能力を,Hagwood,S,ら,Biochemistry(198
5)24:184-190に記述の方法を用いて,in vitroで分析し
た。簡単に言うと,試験蛋白を適当な比率で持つリン脂
質小胞の調製物を,水成の緩衝液,磁性攪拌器,および
プラチナ板を含むテフロン皿の底に,微量を,注意深く
加える。このプラチナ板は緩衝液の表面に取り付けら
れ,ストレインゲージに付着している。ストレインゲー
ジに表示される表面張力の変化は,攪拌器を始動すると
すぐに時間の関数として記録される。
【0156】10K蛋白を含むクロロホルム溶液と,脂質
の2:1V/Vクロロホルム:メタノール溶液と混ぜるこ
とにより,10K蛋白をリン脂質に加えた。この溶媒を蒸
発させ,小胞を得るために緩衝液中に固体を水和させ
た。32K蛋白は,小胞の懸濁液となるように直接水性溶
液に加えられ得る。これは,小胞の会合に関連して,濁
度の測定により検出され得る。
【0157】Hawgoodら(上記)が報告したように,リ
ン脂質がイヌの肺の表面活性物質の複合体から得られる
と,32KイヌのASPはリン脂質小胞を会合させ得,リ
ン脂質小胞に含まれると膜の形成を高め得る。本発明の
蛋白の活性は,Hawgoodが先に述べたのと同じ,会合や
膜形成を測定する方法を用いて評価される。
【0158】上記で述べたように調製したイヌの肺由来
のリン脂質調製物(300μg)およびリン脂質の合成混合
液の両方を用いた。この合成リン脂質は,240gの市販
のDPPCおよび60μgの卵のPGを含んでいた。これ
は,天然の脂質よりもずっと膜を形成しにくい。しかし
ながら,この試験リン脂質は,蛋白の活性を最も効果的
に表現するように選択された。
【0159】この32K蛋白と10KASPの混合液とは,上
記で述べたように,イヌの肺から単離された。この 32K
蛋白を60μg 加えると,肺より得た“天然”のリン脂質
による膜の形成を,複合体それ自体で示されるのとほぼ
同レベルにまで高め得るのに対し,それだけでも適度に
合成脂質を用いての膜形成が高められる。同じような結
果が,13μgの10K蛋白だけを加えて得られた。しかしな
がら,13μgの10K調製物を,60μgの32K蛋白を加える前
に,合成リン脂質小胞と保温すると,天然の複合体自体
のそれと比較できる速さで,および程度で,膜形成が起
こった。これらの結果を図16に示した。
【0160】
【発明の効果】本発明によれば、呼吸困難症の治療に有
用なヒト32K ASP,イヌASP蛋白を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】イヌ32K ASPをコードしているDNA配列
を,推定されたアミノ酸配列とともに示している。
【図2】推定アミノ酸配列とともに,イヌ10K ASPを
コードしているcDNAに対して決定したDNA配列の
一部を示している。図2および図3で、推定アミノ酸配
列とともに,イヌ10K ASPをコードしているcDNA
に対して決定したDNA配列を示す。
【図3】推定アミノ酸配列とともに,イヌ10K ASPを
コードしているcDNAに対して決定したDNA配列の
一部であって、図2に続く推定アミノ酸配列とともに,
イヌ10K ASPをコードしているcDNAに対して決定
したDNA配列を示す。
【図4】ヒト32K ASP遺伝子のヌクレオチド配列と推
定アミノ酸配列の一部を示している。図4および図5
で、ヒト32K ASP遺伝子のヌクレオチド配列と推定ア
ミノ酸配列を示す。
【図5】ヒト32K ASP遺伝子のヌクレオチド配列と推
定アミノ酸配列の一部であって、図4に続くヒト32K A
SP遺伝子のヌクレオチド配列と推定アミノ酸配列を示
す。
【図6】λ:gHS-15でトランスフェクションしたCHO
細胞由来の35S-Met 標識分泌蛋白のオートラジオグラ
フィーである。
【図7】pHS-6 に含まれるヒトASP cDNAの3’
末端側の配列を示している。
【図8】推定アミノ酸配列とともに,ヒト10K ASPを
コードしているcDNAに対して決定したDNA配列を
示している。
【図9】発現ベクターpASPc-SV(10)の関連した連結部と
コード配列を示している。
【図10】発現ベクターpASPcg-SV(10)の関連した連結
部とコード配列の一部を示している。図10と図11と
で、発現ベクターpASPcg-SV(10)の関連した連結部とコ
ード配列を示す。
【図11】発現ベクターpASPcg-SV(10)の関連した連結
部とコード配列の一部であって、図10に続く、発現ベ
クターpASPcg-SV(10)の関連した連結部とコード配列を
示す。
【図12】発現ベクターpMT-Apo:gHS(HinfI/EcoRI)の関
連した連結部とコード配列の一部を示している。図12
と図13とで、発現ベクターpMT-Apo:gHS(HinfI/EcoRI)
の関連した連結部とコード配列を示す。
【図13】発現ベクターpMT-Apo:gHS(HinfI/EcoRI)の関
連した連結部とコード配列の一部であって、図12に続
く、発現ベクターpMT-Apo:gHS(HinfI/EcoRI)の関連した
連結部とコード配列を示す。
【図14】pMT-Apo:gHS(HinfI/EcoRI)でトランスフェク
ションしたCHO細胞により分泌され,endoF.で処理し
たあるいは処理していない,35S標識上清蛋白で行った
SDS PAGEの結果を示している。
【図15】pMT-Apo:gHS(HinfI/EcoRI)でトランスフェク
ションしたCHO細胞により分泌され,endoF.で処理し
たあるいは処理していない,上清蛋白で行った,ヒト標
識抗ASPによりイムノブロットしたSDS PAGE
の結果を示している。
【図16】ホスホリピドで抑えた表面張力を高めるため
にASPの能力をin vitroで決定した結果である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年7月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【化1】 あるいは,非還元状態でのポリアクリルアミドゲル上で
決定される見かけの分子量が約16.5kd,還元状態
でのポリアリルアミドゲル上で決定される見かけの分子
量が約10から11kdを示す,以下のアミノ酸配列を
有する,ヒト肺からのASP:
【化2】 をコードするDNAである,組み換えDNA。
【化3】 と,0.45M NaCl,0.045Mクエン酸ナト
リウム,0.1%SDS,50℃の洗浄の緊縮性で示さ
れる条件下でハイブリダイズし得るDNAである,請求
項1に記載の組み換えDNA。
【化4】 と,SSC,0.1%SDS,50℃での2回の洗浄に
相当する緊縮条件下でハイブリダイズするDNAであ
る,請求項1に記載の組み換えDNA。
【化5】 あるいは,非還元状態でのポリアクリルアミドゲル上で
決定される見かけの分子量が約16.5kd,還元状態
でのポリアクリルアミドゲル上で決定される見かけの分
子量が約10から11kdを示し,以下のアミノ酸配列
を有する,ヒト肺からのASP:
【化6】 をコードするDNAである,組み換え発現ベクター。
【化7】 あるいは,非還元状態でのポリアクリルアミドゲル上で
決定される見かけの分子量が約16.5kd,還元状態
でのポリアクリルアミド決定した場合の見かけの分子量
が約10から11kdを示し,以下のアミノ酸配列を有
する,ヒト肺からのASP:
【化8】 をコードするDNAである,組み換え宿主細胞。
【化9】 をコードするDNAである,組み換えDNA。
【化10】 と,0.45M NaCl,0.045Mクエン酸ナト
リウム,0.1%SDS,50℃の洗浄の緊縮性で示さ
れる条件下でハイブリダイズし得るDNAである,請求
項6に記載の組み換えDNA。
【化11】 をコードするDNAである,組み換え発現ベクター。
【化12】 をコードするDNAである,組み換え宿主細胞。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 5/10 C12P 21/02 ZNA C 9282−4B // A61K 9/127 L 38/00 ACD C07H 21/04 (C12P 21/02 C12R 1:91) 8314−4C A61K 37/02 ACD (72)発明者 ジェームズ ダブリュ.シリング,ジェイ アール. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94301 パロ アルト,バイロン ストリート 247 (72)発明者 ロバート ティー. ホワイト アメリカ合衆国 カリフォルニア 94538 フレモント,ドレリタ アベニュー 40298 (72)発明者 バーバラ コーデル アメリカ合衆国 カリフォルニア 94109 サンフランシスコ,プリースト ストリ ート 25 (72)発明者 ブラッドレイ ジェイ. ベンソン アメリカ合衆国 カリフォルニア 94117 サンフランシスコ,セブンティーンス ストリート 4903

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 肺胞表面活性物質蛋白(ASP)をコー
    ドするDNAを有する組み換えDNAであって,該AS
    PをコードするDNAは,以下のアミノ酸配列を有する
    ヒト肺からの32K ASP: 【化1】 あるいは,非還元状態でのポリアクリルアミドゲル上で
    決定される見かけの分子量が約16.5kd,還元状態
    でのポリアリルアミドゲル上で決定される見かけの分子
    量が約10から11kdを示す,以下のアミノ酸配列を
    有する,ヒト肺からのASP: 【化2】 をコードするDNAである,組み換えDNA。
  2. 【請求項2】 前記ASPをコードするDNAが,以下
    の配列 【化3】 と,0.45M NaCl,0.045Mクエン酸ナト
    リウム,0.1%SDS,50℃の洗浄の緊縮性で示さ
    れる条件下でハイブリダイズし得るDNAである,請求
    項1に記載の組み換えDNA。
  3. 【請求項3】 前記ASPをコードするDNAが,以下
    の配列 【化4】 と,SSC,0.1%SDS,50℃での2回の洗浄に
    相当する緊縮条件下でハイブリダイズするDNAであ
    る,請求項1に記載の組み換えDNA。
  4. 【請求項4】 制御配列に作動可能に結合されたDNA
    を有する組み換え発現ベクターであって,該DNAは,
    以下の精製され,単離された形のヒトの肺胞表面活性蛋
    白(ASP);ヒト肺からの32K ASP: 【化5】 あるいは,非還元状態でのポリアクリルアミドゲル上で
    決定される見かけの分子量が約16.5kd,還元状態
    でのポリアクリルアミドゲル上で決定される見かけの分
    子量が約10から11kdを示し,以下のアミノ酸配列
    を有する,ヒト肺からのASP: 【化6】 をコードするDNAである,組み換え発現ベクター。
  5. 【請求項5】 制御配列に作動可能に結合されたDNA
    を有する組み換え発現ベクターで形質転換された組み換
    え宿主細胞であって,該DNAは,ヒト肺からの32K
    ASP: 【化7】 あるいは,非還元状態でのポリアクリルアミドゲル上で
    決定される見かけの分子量が約16.5kd,還元状態
    でのポリアクリルアミド決定した場合の見かけの分子量
    が約10から11kdを示し,以下のアミノ酸配列を有
    する,ヒト肺からのASP: 【化8】 をコードするDNAである,組み換え宿主細胞。
  6. 【請求項6】 以下のASPをコードするDNAを有す
    る組み換えDNAであって,非還元状態でのポリアクリ
    ルアミドゲル上で決定される見かけの分子量が約16.
    5kd,還元状態でのポリアクリルアミドゲル上で決定
    される見かけの分子量が約10から12kdを示し,以
    下のアミノ酸配列で示される成熟配列を有する,イヌ肺
    からのASP: 【化9】 をコードするDNAである,組み換えDNA。
  7. 【請求項7】 前記DNAが,以下の配列 【化10】 と,0.45M NaCl,0.045Mクエン酸ナト
    リウム,0.1%SDS,50℃の洗浄の緊縮性で示さ
    れる条件下でハイブリダイズし得るDNAである,請求
    項6に記載の組み換えDNA。
  8. 【請求項8】 制御配列に作動可能に結合されたDNA
    を有する組み換え発現ベクターであって,該DNAは,
    以下の精製され,単離された形の,非還元状態でのポリ
    アクリルアミドゲル上で決定される見かけの分子量が約
    16.5kd,還元状態でのポリアクリルアミドゲル上
    で決定される見かけの分子量が約10から12kdを示
    し,以下のアミノ酸配列で示される成熟配列を有する,
    イヌ肺からのASP: 【化11】 をコードするDNAである,組み換え発現ベクター。
  9. 【請求項9】 制御配列に作動可能に結合されたDNA
    を有する組み換え発現ベクターで形質転換された組み換
    え宿主細胞:ここで,該DNAは,非還元状態でのポリ
    アクリルアミドゲル上で決定される見かけの分子量が約
    16.5kd,還元状態でのポリアクリルアミドゲル上
    で決定される見かけの分子量が約10から12kdを示
    し,以下のアミノ酸配列で示される成熟配列を有する,
    イヌ肺からのASP: 【化12】 をコードするDNAである,組み換え宿主細胞。
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