JPH09500017A - 血小板糖蛋白v遺伝子と使用 - Google Patents

血小板糖蛋白v遺伝子と使用

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JPH09500017A JP7504165A JP50416595A JPH09500017A JP H09500017 A JPH09500017 A JP H09500017A JP 7504165 A JP7504165 A JP 7504165A JP 50416595 A JP50416595 A JP 50416595A JP H09500017 A JPH09500017 A JP H09500017A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、糖蛋白V遺伝子に関する。具体的には本発明は、糖蛋白V遺伝子の配列と構造、および糖蛋白Vポリペプチドのアミノ酸配列を開示する。さらに糖蛋白V遺伝子と他の糖蛋白との進化的関係が記載され、単離された糖蛋白V遺伝子のいくつかの用途が示される。

Description

【発明の詳細な説明】 血小板糖蛋白V遺伝子と使用 本発明は、1993年7月9日出願の米国特許出願第08/089,455号の一部継続 出願である。 発明の背景 血小板は、細胞質分裂なしで数回の染色体複製により産生される大きな倍数骨 髄細胞である巨核球の断片化により得られる(ハンジン(Handin)(ウィルソン (Wilson)ら編)、ハリソンの内科学原理(Harrison's Principles of Interna l Medicine)、第12版(1991))。骨髄空間から自由になると、血小板の約2/ 3は自由に循環し、約1/3は脾臓に隔離される。循環血小板は7〜10日間続 き、その後食細胞により除去される。血小板量の減少は巨核球生成を刺激する結 果、巨核球の数、サイズおよび倍数性が増加する。 血小板粘着と凝集を仲介する血小板受容体は、2つの主要な血小板表面糖蛋白 複合体上に位置している。これらの複合体は、フォンビルブラント因子(vWF )により血小板粘着を促進する糖蛋白Ib−IX複合体と、フィブリノーゲンに 結合することにより血小板を凝集物に結合させる糖蛋白IIb-IIIa複合体である。 先天性出血性疾患であるベルナールスーリエ症候群の患者は、vWFに結合する 糖蛋白Ib−IX複合体の欠損、軽度の血小板減少症、大きなリンフォコイド( lymphocoid)血小板のため、血小板粘着能が欠損している。 糖蛋白V(GPV)は、主要な(約12、000分子/血小板)高度にグリコシル化 された血小板膜蛋白である(分子量82、000)(モッダ ーマン(Modderman)ら、J.Biol.Chem.267:364-369)。GPVが周辺蛋白である というこれまでの報告(バーントとフェリップス(Berdt and Phillips)、J.B iol.Chem.256:59-65)は、精製操作の間にカルパインにより膜からGPVが放 出されたためであろう。血小板がトロンビンに接触すると、GPVf1と呼ばれ る69kDaの可溶性断片が放出される(フィリップスとポーアギン(Phlipps a nd Poh-Agin)、Biochem.Biophys.Res.Commun.75:940-947)。この事実およ びベルナールスーリエ症候群ではこれが存在しないこと(クレメツォン(Clemets on)ら、J.Clin.Invest.70:304-311(1982);ヌルデン(Nurden)ら、J.Clin .Invest.67:1431;バーント(Berndt)ら、Blood 62:800-807(1983))は、G PVがトロンビン誘導性の活性化応答に関与しているかも知れないことを示唆し ている(バーントとフェリップス(Berdt and Phillips)、J.Biol.Chem.256 :59-65(1981))。最近の実験は、GPVがGPIb−IX複合体と非共有結合的 に相互作用することを示している(モッダーマン(Modderman)ら、J.Biol.Chem. 267:364-369(1992))。GPIb−IX複合体は、GPIb(24kDa蛋白である GPIbβにジスルフィド結合により結合した、145kDaの蛋白であるGPI bαよりなる)とGPIXの非共有結合的会合により生成される複合体である。 フォンビルブラント因子とGPIb−IX複合体上のトロンビンの結合部位は、 GPIbα上に局在化されている(ウィッキーとクレメツォン(Wichi and Cleme tson)、Eur.J.Biochem.153:1-11(1985);ヴィセンテ(Vicente)ら、J.Biol. Chem.265:274-280(1990))。現在トロンビンは、G蛋白結合受容体であるトロ ンビン受容体(ヴー(Vu)ら、Cell 64:1057-1068(1991))を切断することにより 、血小板を活性化することが知られているため、トロンビンはGPIbαへの結 合の結果としてたまたまGPVを切 断するのか、またはこの切断が生理学的役割を有するのかは不明である。 GPIbα、GPIbβおよびGPIXのアミノ酸配列は、そのcDNA配列 とゲノムDNA配列から推定されている(ロペツ(Lopez)ら、Proc.Natl.Acad .Sci.USA 84:5614-5619(1987);ウェンガー(Wenger)ら、Biochem.Biophys .Res.Commun.156:389-395(1988);ロペツ(Lopez)ら、Proc.Natl.Acad.Sci .USA 85:2135-2139(1988);ヒッケイ(Hickey)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U SA 86:6733-6777(1989);ヒッケイとロス(Hickey and Roth)、J.Biol.Chem.2 68:3438-3443(1993))。GPIbα、GPIbβおよびGPIXの一次アミノ酸 配列の解析により、これらの蛋白が1つまたはそれ以上の相同の24アミノ酸の ロイシンの豊富なドメインを含有するため、これらの蛋白の共通の進化の起源が 明らかになった。これらのドメインはまた、ロイシンの豊富なα2GPを含むロ イシンの豊富な糖蛋白(LRG)、プロテオグリカンコア、フォブルモデュリン 、ヒトルートロピン−絨毛性性腺刺激ホルモン受容体およびRNAseインヒビ ター、そしてショウジョウバエ(Drosophila)中のトル(toll)蛋白やカオプチ ン(chaoptin)の大きなファミリーの中に見いだされている(ロス(Roth)、Bl ood 77:5-19(1991)の総説を参照)。最近、精製した血小板GPVから得られた 部分ペプチド配列の解析から、GPVはまた、LRGファミリーのメンバーでも あることが示唆された(シモムラ(Shimomura)ら、Blood 75:2349-2356(1990); ロス(Roth)ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.170:153-161(1990))。 GPVは巨核球細胞系統の非常に特異的なマーカーである。最近GPV(SW 16)に特異的なモノクローナル抗体が、血小板にのみ結合することが証明され た(モッダーマン(Modderman)ら、J.B iol.Chem.267:364-369(1992))。SW16は赤血球、白血球、内皮細胞、また はHELやMEG−01のような細胞株(これらは血小板巨核球マーカーを発現 することが知られている)に結合しなかった。 発明の要約 本発明は、図5Aに示す配列を有するポリヌクレオチド配列を含む、糖蛋白V 遺伝子のポリヌクレオチド配列よりなる、単離されたDNA作成体よりなる。こ のポリヌクレオチド配列は、図5Bに示すアミノ酸配列を含む、GPVポリペプ チドをコードする。このポリヌクレオチド配列は、イントロンを欠如してもよく 、原核生物または真核生物中で発現を指令することができるポリヌクレオチド配 列に機能的に結合している異種プロモーターを導入していてもよい。 本発明はさらに、ポリヌクレオチド配列が全長糖蛋白Vポリペプチドをコード するDNA作成体よりなる。 本発明は、糖蛋白VDNA作成体を含有する原核または真核細胞を含む。 本発明はさらに、薬剤学的に許容される担体と糖蛋白Vポリペプチドよりなる 薬剤組成物を提供する。ポリペプチドは図5Bに示す配列を有していてもよい。 本発明の本質と利点のさらなる理解は、本明細書の残りの部分と図面を参照す ることにより明白になるであろう。 図面の簡単な説明 図1:部分的血小板GPV cDNA(a)、および完全なヒトGPV遺伝子 (b)のクローニング、配列決定戦略、および制限地 図。 (a)一番上の線は、血小板GPV cDNAのコード領域(白抜きの棒)と 、5’非翻訳配列(斜線を引いた棒)を、部分制限地図とともに示す。クローニ ング戦略は後述する。1,199塩基対のcDNAをカバーする重複クローン(iか らvi)は、血小板mRNAのPCR増幅により得られた。この増幅に使用したオ リゴヌクレオチドプライマーは示してあり、対応する配列は表1にリストされて いる。GPVの8.1 kbゲノム断片(b)は、λFixベクター中のヒトゲノム ライブラリーを、748 kbの32P標識GPV cDNAプローブでスクリーニン グすることにより得られた((a)中に破線で示してある)。一番上の線は、こ の遺伝子の部分制限地図である。エキソンは四角で囲んである:白抜きの四角は コード配列を示し、斜線を引いた四角は5’非翻訳配列を示し、影をつけた四角 は3’非翻訳領域を示す。垂直の矢印は、図5Aに示すゲノム配列の最初を示す 。白抜きの矢じりは、PCRにより得られた部分血小板cDNAの5’末端を示 し、黒矢じりは3’末端を示す。TATAボックスの完全に一致する配列を示し てある。黒丸は、ポリアデニル化シグナルのAATAAA共通配列を示す。制限 部位は以下の通りである:A、AccI;B,BamHI;E、EcoRI;K 、KspI;P、PstI;S、SacI;X、XhoI。 図2:RT−PCR増幅による血小板、巨核球、およびHEL細胞中のGPV mRNAの検出。全RNA(25ng)を逆転写反応にかけ、次にGPV c DNAベースのプライマーを用いるPCR、およびハウスキーピングGAPDH 遺伝子のプライマーを用いる対照反応を行なった。PCR反応物10μlを2% アガロースゲルで分離して臭化エチジウムで染色し、Bg1I/HinfIで切 断したpBR328DNA分子量マーカーとともに示してある。( a)血小板(PLT)と巨核球(MGK)RNAを、2つのGPVプライマー対 (nt3,010 〜3,589 および2,675 〜2,877)の混合物で増幅して、579 塩基対と2 02 塩基対の2つのバンドが得られた。(b)HEL細胞にホルボールエステル 、HL60、および血小板(PLT)RNAによる刺激あり(HEL+PMA) と刺激なし(HEL)のものをGPVプライマー対(nt3,091 〜3,589)で増幅 して、498 塩基対のバンドを得た。 図3:ノーザンブロット解析。ヒト血小板の総RNA(レーン当たり10μg )(レーンaとb)およびヒト単球の総RNA(レーンc)を1%アガロースゲ ル−ホルムアルデヒドゲルで電気泳動し、ゼータプローブに写し、そして748 塩 基対のランダムプライムした32P標識したcDNAプローブでプローブ結合させ た。レーンdは、白血球の総RNAの臭化エチジウムで染色したゲルであり、2 8SリボゾームRNAと18SリボゾームRNAの位置を示す。分子サイズは、 λ/HindIII HindIII断片の永動度と比較して計算した(キロ塩基対で 示してある)。 図4:サザンブロット解析。ヒト白血球からの高分子量ゲノムDNA10μg を、過剰のEcoRI、BamHI、およびBglII制限エンドヌクレアーゼで 切断し、ハイボンド(Hybond)N+ ナイロン膜に移した。フィルターを、748 塩 基対の32P標識GPV cDNA断片でプローブ結合させた。ハイブリダイズす るバンドのサイズ(キロ塩基対)は、λ/HindIII DNA断片との比較によ り推定した。 図5A(配列番号1)と5B(配列番号2):ヒトGPV遺伝子の配列(図5 A)とGPV蛋白の予想されるアミノ酸配列(図5B)。GPVゲノム配列(配 列番号1)(図5A)は、5’から3’の方向へ、958 塩基対の単一のイントロ ンの配列は小文字で示して ある。gt/agドナーとアクセブター部位は太文字で示してある。推定される cis作用性プロモーター成分の共通配列は、影をつけた領域として示してある 。黒丸は、Cap部位の可能性のある部位を示す。ATG翻訳開始コドンとフレ ーム内TAA停止コドンは四角で囲ってある。白抜きのの矢じり(nt1,433)と 黒の矢じり(nt3,589)は、血小板RNAのPCR増幅により得られる部分的c DNA配列の、それぞれ5’末端と3’末端を示す。2つのAlu反復配列(n t598 〜886 とnt6,133 〜6,440)には下線が引いてある。可能なポリアデニル 化シグナル配列(nt5,610 、nt6,966 、nt7,224 、そしてnt7,358)は、 2重線で下線が引いてある。1文字コードで示したGPVアミノ酸配列図5B( 配列番号2)は、cDNAとゲノム配列の翻訳から得られた。推定のシグナルペ プチドは下線が引いてある。推定のトランスメンブランドメインは2重線で下線 がひいてある。システイン残渣は丸で囲ってある。細胞外ドメインのN−結合グ リコシル化部位の可能性のある部分は、垂直の矢じりで示してある。蛋白配列決 定により同定されたN−グリコシル化部位は、星印で示してある。精製されたG PV(20,21)から得られた内部ペプチド配列は、イタリック体で示してあ り、破線の矢印で下線を引いてある。DNA誘導配列と内部ペプチド配列の差異 は、小文字で括弧内に示してある。(x)は元々のペプチド配列中では決定され なかった残基を示す。 図6:血小板GPVの15の縦列のLeuの豊富な反復配列(配列番号22〜 36)を並べたもの。この配列は、蛋白の残基61〜421の配列をカバーする 。15個の部分のうち同一の残基は四角で囲ってある。GPV反復配列の全体の 共通配列を示してある(配列番号37)。 図7:GPVトロンビン切断部位と他のトロンビン基質の比較。 RGトロンビン切断ペプチド結合の周りのGPV配列(配列番号38)を、ヒト フィブリノーゲン(Fg)Aα鎖の配列(配列番号39と40)およびBβ鎖の 配列(配列番号41)、ヒト血小板第XIII因子の配列(FXIII)(配列番号42 )、絨毛性性腺刺激ホルモンβサブユニットの配列(CGβ)(配列番号43) と並べて示してある。GPVと同一のアミノ酸残基は四角で囲ってある。 図8:血小板原形質膜に挿入されたGPV蛋白をGPIb−IX複合体と比較 した略図。棒線で示した蛋白は、そのアミノ末端とカルボキシ末端をそれぞれ細 胞の外と中に向けて記載されている。成熟蛋白のアミノ酸の番号付けが示されて いる。トランスメンブランドメインは、塗りつぶした長方形で示してある。Le uの豊富な(LR)反復ドメインは、斜線を入れた長方形で示してある。L−グ リコシル化部位は、塗りつぶした三角形で示してある。GPIbαは、O−結合 糖(O−CHO)の豊富な領域を含有し、ジスルフィド結合(S−S)結合によ りGPIbβに結合している。GPV中のトロンビン切断部位の位置は、矢じり が2つの矢印で示してある。 具体的な実施態様の詳細な説明 本発明は、ヒトGPV遺伝子の一次構造とGPV蛋白の構造を示す。GPVの 単一コピー遺伝子は、6.5kbのゲノム配列中に含有されており、5’非翻訳 配列中に958 塩基対の1つのイントロンを有する単純な構造を有する;コード配 列は単一のエキソン中に含有されている。プロモーター領域は標準的なTATA ボックスを含有し、推定されるGATA、Ets−1、およびSpl cis作 用性成分を含有する。異なる造血起源の細胞からのRNAのRT−PCR解析は 、GPVが血小板および巨核球系統の細胞(巨核球、 HEL細胞)から特異的に転写されることを明らかにした。ノーザンブロット解 析によりヒトの血小板中に、GPVの4.5kbの1つの転写体が検出され、c DNAとゲノム配列からGPVの全アミノ酸配列が導き出された。 成熟GPVは、1つのトランスメンブランドメイン、短い細胞質ドメイン(1 6残基)、および8個のN−グリコシル化部位候補を有する大きい細胞外ドメイ ンを含有する、543 アミノ酸よりなる。細胞外ドメインの解析により、GPIb αに相同性のある24アミノ酸の15の縦列のLeuの豊富な反復配列が明らかに なり、フィブリノーゲンのAα鎖に相同性のあるC−末端の近傍にトロンビンの 切断部位が同定された。 GPVの予想されるアミノ酸配列が、この蛋白の公知の特徴を説明する。まず これは、1つの例外(ペプチドM4、シマムラ(Shimamura)ら、Blood,75:2349-2 356(1990))があるが、精製された血小板GPVについて報告された部分的ペプチ ド配列(図5A)のすべてを含む。第2に、ポリペプチド鎖の予想される分子量 の59,276Daは、脱グリコシル化蛋白のSDS−PAGE解析により得られた6 0kDa値と一致する。第3に、予想されるアミノ酸組成は、データを59,276の 分子量で補正すると、プライムされたGPVで報告されたものと非常に似ている 。第4に、GPVのLRG反復配列は、GPIb−IX複合体(このGPVは血 小板のものと会合する)中のものと有意な類似性を示す。最後に、翻訳された蛋 白は、GPVfl(血小板がトロンビンに処理されると生成することが知られて いる断片(フィリップスとポーアギン(Phlipps and Poh-Agin)、Biochem.Bio phys.Res.Commun.75:940-947(1977);モシャー(Mosher)ら、Blood 53;437- 445(1979))のサイズの可溶性切断断片を生成する位置にトロンビン切断認識部 位を含有する。 予想される一次アミノ酸配列の解析により、GPVのいくつかの明白な特徴が 明らかになった。この蛋白は、Gln残基に共通切断部位を有するN−末端シグ ナルペプチド(フォン・ヘイジュネ(Von Heijne)、J.Mol.Biol.173:243-251 (1984))を含有する。N−末端グルタミンはしばしば環状化してピログルタミン 酸になり、これが精製されたGPVで一貫して観察されるN−末端阻止の理由で ある。第2の疎水性ドメインは蛋白のC−末端に存在しており、GPVがトラン スメンブラン蛋白であることを示唆している。これは、トリトンX−114 相分別 の疎水性の相にGPVが見いだされる(ビエンズ(Beienz)ら、Blood 68:720-7 25(1986))ことを示すデータと一致する。GPVは、細胞外ドメインに存在する 、可能性のある8つのN−グリコシル化部位を含有する。ノイラミニダーゼで処 理すると10kDa分子量が減少することに基づき、O−結合炭水化物とシアル酸 の存在が示唆されている(ザファーとワルツ(Zafar and Walz)、Thromb.Res. 53:31-44(1989))。C−末端領域の1つの短い領域が、2つのセリンの豊富な部 分を含有し、O−結合糖を含有することもできるが、N−グリカナーゼによりG PVを処理すると20,000Daの見かけの分子量の減少が観察されるため、炭水化 物の大部分がN−糖として現れている可能性がある(ザファーとワルツ(Zafar a nd Walz)、Thromb.Res.53:31-44(1989))。GPVは、Tyr、Ser、また はThr残基が欠如しているため、可能性のあるリン酸化部位は含有しない非常 に短い細胞外ドメインを含有する。C−末端細胞内ドメインはまた、GPIbβ とGPIXに存在する脂肪酸によるアセチル化の部位である、対になっていない システイン残基を欠如している(ロペツ(Lopez)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2135-2139(1988);ヒッケイ(Hickey)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86 :6733-6777(1989))。すなわち、ポリ ペプチド鎖のほとんど(92%)は、血小板の外部に漏出している。これは、カル パインにより血小板の処理後の完全な膜結合GPVよりわずかに小さい(80kD a)GPV断片の放出結果と一致する(ビエンズ(Bienz)ら、Blood 68:720-725( 1986))。この観察結果は、カルパインの切断部位は、最後のC−末端N−グリ コシル化部位とトランスメンブランドメインの間にある領域でなければならない ことを示す。8つのシステイン残基は、この蛋白の中に均等には分布していない :4つはN−末端部分に塊として存在し、4つはLeuの豊富なドメインと細胞 外部分のC−末端部分中の膜の間の領域に存在する。還元すると見かけの分子量 がなくなること(バーントとフェリップス(Berdt and Phillips)、J.Biol.C hem.256:59-65(1981))は、すべてのジスルフィド結合が短い距離の上に形成さ れていることを示唆する。分子の中間部分にシステインが存在しないことは、こ の領域が酵素的切断の影響を受けやすいことを示し、これはカルパイン、キモト リプシン、エラスターゼおよびトロンビンなどの種々の酵素に対して感受性があ る理由である。 推定のトロンビン切断部位のペプチド配列の解析は、476−477位にArg−G lyモチーフの存在を明らかにした。これは以下の観察結果から実際の切断部位 であると考えられる:第1に、7つのN−グリコシル化部位の存在の補正の後に トロンビンにより放出される断片の予想される分子量は、67,613Daであり、こ れはGPVf1断片の見かけの分子量に似ている。第2に、Arg−Gly結合 の周りのアミノ酸配列は、既知のトロンビン切断部位の周りの配列に有意に類似 しており(ムスズベクとラキ(Msuzbek and Laki)ら、(アール・マチョビッチ (R.Machovich)編)、The Thrombin pp83-90,シーアールシープレス(CRC Pre ss)、フロリダ州ボカラトン(Boca Raton)(1984))、最も顕著にはフィブリノ ーゲンのA α鎖に類似している。この配列はまた、他のトロンビン基質(ここには、P2亜 部位にプロリン残基が高頻度に存在する)にも似ている。最後にRGペプチドの 直後の配列は、精製されたGPVのトロンビン切断後に得られるペプチドのN− 末端配列に一致する(シモムラ(Shimomura)ら、Blood 75:2349-2356(1990);ロス (Roth)ら、Biochem Bipphys.Res.Commun.170:153-161(1990))。 先行技術は、トロンビンの高親和性結合部位を有することを示唆する。GPV fl断片は、nM範囲のトロンビン濃度で生成される:α−トロンビンは、30 nM未満の濃度で血小板GPVを100%切断する(ジャンドロット−ペルス(J androt-Perrus)ら、Thromb.Haemostas.58:915-920(1987))。さらにGPVと トロンビンの直接の相互作用は、精製されたGPVをトロンビンセファロースカ ラムで選択的に保持し、次にヘパリンで溶出することにより、証明された(ビイ エンツ(Bienz)ら、Blood 68:720-725(1986))。高親和性でトロンビンと相互作 用することが知られている血小板蛋白の他の例は、新たにクローン化されたトロ ンビン受容体、およびGPIbαである(ヴー(Vu)ら、Cell 64:1057-1068(19 91);ロペツ(Lopez)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:5614-5619(1987);デ マルコ(De marco)ら、J.Biol.Chem.266:23776-23783(1991))。 GPVの際だった特徴は、既知の血小板蛋白の含量が最も多い(アミノ酸の約 20%を構成する)ことである。GPVのロイシン残基の多くは、LRGファミリ ーの蛋白、最も顕著には血小板GPIbα(7 LRG反復配列)、GPIbβ (1 LRG反復配列)、そしてGPIX(1 LRG反復配列)(図8)に見 いだされる15の縦列のロイシンの豊富な反復配列内に含有されている(ロス(R oth)、Blood:77:5-19(1991))。このファミリーの少なくともある メンバーでは、LRGドメインは、蛋白−蛋白、細胞−細胞または細胞−マトリ ックス相互作用を仲介する。例えば、プロテオグリカンII(クルシウス(Krusius) ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:7683-7687(1986))およびフィブロモジュリ ン(ハシモト(Hashimoto)ら、Cell 52:269-279(1988))は、特殊な型のコラーゲン に結合し、ショウジョウバエ(Drosophila)のカオプチン(chaoptin)(レイン ケ(Reinke)ら、Cell 52:291-301(1988))およびトル蛋白(toll proteins)( オールドバーグ(Oldberg)ら、EMBO J.8:2601(1989))は、形態発生および胚発 生の間の細胞を方向付けする。 感受性RT−PCR増幅法による解析により、血小板と巨核球内にGPV m RNAの存在が明らかになった。GPV転写体はまた、HEL細胞中の巨核球分 化の既知の誘導物質であるホルボールエステルによる処理後にアップレギュレー トされたHEL細胞中に検出された。RT−PCR解析は、白血球、内皮細胞、 HL60およびU937細胞のような非巨核球中では、GPV mRNAが証明 されなかった。ノーザン解析では、血小板中に約4.5 kbの転写体が証明され、 リンパ球中にサイズの小さい陽性のバンドも証明された。この転写体の本質を同 定するためにさらなる解析が必要であるが、これは、血小板中に存在する微量の mRNAを検出するために必要な長い露出時間により示されるいくつかの関連遺 伝子である可能性もある。血小板に対する制限された分布は、トロンビン切断部 位に対する高い感受性と一緒になって、GPVを巨核球生成の有用なマーカーと ともに、血栓状態または血栓準備状態における血小板活性化に依存するトロンビ ン検出の有用なマーカーとしている。 本発明は、GPVが単一の遺伝子の生成物であることを証明する。GPV遺伝 子には、5’非翻訳領域中で共通のGT/AGドナーおよびアクセプター部位に 1つのイントロンが割り込んでいる。い くつかの観察結果は、単離されたゲノムクローンは、GPVの遺伝子由来である ことを示している。第1に、エキソン2のゲノム配列は、血小板mRNAから得 られるcDNA配列に完全に一致する。第2に、単離されたクローンの制限地図 は、ヒト染色体DNAのサザン解析により本明細書において同定された制限断片 に一致する。GPV遺伝子の構造は、LRGファミリーの別の血小板メンバーで ある、GPIbα遺伝子(ウェンガー(Wenger)ら、Biochem.Biophys.Res.C ommun.156:389-395(1988))に非常によく似ている:いずれも5’非翻訳配列に 単一のイントロンを有し、その全コード配列は単一のエキソン中に含有されてい る。GPIX遺伝子の配列が最近報告され(ヒッケイ(Hickey)ら、J.Biol.C hem.268:3438-3443(1993))、単一のエキソン中に全コード領域を含有すること が証明され、その5’非コード領域に2つのイントロンが割り込んでいることが 証明された。GPV、GPIbαおよびGPIX遺伝子についての同様のエキソ ン−イントロン分布は、これらの遺伝子がLRGファミリーの蛋白内で共通の進 化の起源を有するかも知れないことを示唆する。cis作用性の成分についてG PV遺伝子の5’隣接領域の解析、そして他の巨核球特異的遺伝子からの入手可 能な配列との比較により、有意な差と類似性が明らかになった。PF4(ドイ(D oi)ら、Mol.Cell.Biol.7:898-904(1987))、GPIbα(ウェンガー(Wenge r)ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.156:389-395(1988))、GPIbβ(プ ランディーニ(Prandini)ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.156:595-601(1 988);ハイデンライヒ(Heidenreich)ら、Biochemistry 29:1232-1244(1990))、 およびGPIX(ヒッケイ(Hickey)ら、J.Biol.Chem.268:3438-3443(1993) )遺伝子と異なり、GPV遺伝子は、大多数のRNAポリメラーゼIIで転写され た遺伝子に見いだされる標準的TAT Aボックスの完全な共通配列を含有する。他の巨核球特異的遺伝子と同様に、G PV遺伝子はCAAT配列が欠如し、GATA−1、Ets−1そしてSpl trans活性化因子の推定される結合部位を含有する。最近の実験は、巨核球 特異的遺伝子の発現におけるGATAとEts−1 cis作用性配列の関連を 支持し(レマチャンデル(Lemachandel)ら、Mol.Cell.Biol.16:668-676(1993)) 、一方Spl部位は、より普遍的に存在する転写因子と相互作用する。 GPVのゲノム配列が入手できることは、ベルナールスーリエ症候群患者の性 状解析に有用である。これらの患者は、GPIb−IX糖蛋白複合体およびGP V血小板糖蛋白の欠如または欠陥があることが特徴である。GPV cDNA配 列が入手できることは、ベルナールスーリエ症候群で欠如している4つの蛋白の 正しい発現におけるGPVの役割の評価を可能にする。GPIb−IX複合体の 正しく効率的な生成のためにGPVが必要であることは、GPVの遺伝子の欠陥 はベルナールスーリエ症候群の何らかの欠陥を引き起こすことを示している。ゲ ノム配列が入手できることは、このような患者におけるGPV遺伝子の可能な変 化を検出することを可能にする。 本明細書の「GPV」または「糖蛋白V」という用語は、本明細書に開示され たGPV配列に少なくとも実質的に類似のポリペプチド配列を意味する。この用 語はまた、具体的にGPVf1のような断片および全長蛋白も意味する。典型的 にはポリペプチドは、約50〜約560 残基、好ましくは約75〜500 残基、さらに好 ましくは約100 〜約480 残基よりなる。本発明のGPV配列は、当該分野で当業 者に公知であり、以下に詳述される種々の組換えDNA技術を用いて、容易に設 計し製造することができる。例えばこの鎖は、アミノ 酸の挿入、置換、欠失などにより、天然に存在する配列から変化してもよい。こ れらの修飾は、最終修飾された蛋白鎖を産生するための種々の組合せにおいて使 用される。 GPVのアミノ酸配列の変種は、蛋白の精製や調製のような種々の目的を考え て調製される。修飾された分子はまた、血漿中半減期の変更、治療効果の改良、 および治療に使用中の副作用の強さや発生頻度を低下させることのも有用である 。アミノ酸配列の変種は、通常天然には存在しないあらかじめ決定された変種で ある。典型的には変種は、天然に存在するGPVと同じ生物学的活性(例えば、 GPIb−IXと複合体を形成する)を示す。しかしリガンドに結合することが できない変種や誘導体も、(a)GPVまたはGPVに対する抗体の診断測定法 の試薬として、(b)公知の方法により不溶化される時、抗血清またはハイブリ ドーマ培養物上澄液から抗GPV抗体を精製するための媒体として、そして(c )GPVに対する抗体を産生するための免疫原として、または少なくとも1つの GPVエピトープが活性を維持するなら免疫測定キットの成分として、有用であ る。 一般的にGPVをコードする遺伝子の修飾は、例えば部位特異的突然変異誘発 (ギルマンとスミス(Gilman and Smith)、Gene 8:81-97(1979)、およびロバー ツ・エス(Roberts,S.)ら、Nature 328:731-734(1987)を参照、いずれも参照の ため本明細書中に引用されている)のような種々の公知の方法を用いて達成され る。多くの突然変異の効果を予想することが困難であることは、当業者には理解 できるであろう。すなわち多くの修飾は、目的とする特徴について適当な測定法 で通常のスクリーニングをすることにより評価される。例えば、GPVの免疫学 的性質の変化は、適当な抗体を用いて競合的免疫測定法により検出される。血小 板凝集を促進するGPVの 能力に対する修飾の効果は、当業者に公知のインビトロ測定法を用いて試験され る。酸化還元または熱安定性、疎水性、蛋白分解への感受性、または凝集のし易 さなどの他の性質の修飾は、すべて標準的方法により評価される。 挿入による本発明の変種は、蛋白のあらかじめ決められた部位に1つまたはそ れ以上のアミノ酸残基が導入され、これが先に存在する残基を置換するものであ る。例えば、挿入変種は、GPVのアミノ末端またはカルボキシ末端への異種蛋 白またはポリペプチドの融合でもよい。このような融合は、コードされた蛋白の 精製を促進するために使用することができる。 免疫原性融合体は、インビトロで架橋させるか、またはGPVをコードするヌ クレオチド配列に結合した免疫原性ポリペプチドをコードするDNAを用いて組 換え細胞培養により産生することもできる。これらの免疫原性融合体は、例えば 診断薬において、または当業者に公知の免疫アフィニティ法によるGPVの精製 において有用な抗体の産生に有用である。 置換変種は、少なくとも1つの残基が除去され、その場所に異なる残基が挿入 されたものである。非天然のアミノ酸(すなわち、天然の蛋白には通常存在しな いアミノ酸)、および同じ活性中心に作用する(isosteric)類似体(アミノ酸ま たは別のもの)もまた、本発明での使用に適している。 置換による機能または免疫学的本質の変化は、ポリペプチド骨格の構造(例え ば、シート型またはらせん型として)、標的部位の分子の電荷または疎水性、ま たは側鎖の大きさへの影響が異なる置換残基を選択することにより、行われる。 一般的に最大の機能の変化をもたらす置換体は、(a)親水性残基(例えばセリ ンまたはトレオニン)が、疎水性残基(例えば、ロイシン、イソロイシン、フェ ニルアラニン、バリンまたはアラニン)により置換される、(b)システインま たはプロリンが他の任意の残基に置換される、(c)電気陽性側鎖(例えば、リ ジン、アルギニン、またはヒスチジン)を有する残基が、電気陰性側鎖(グルタ ミンまたはアスパラギン)を有する残基により置換される、または(d)大きな 側鎖(例えば、フェニル)を有する残基が、側鎖を持たない残基(例えば、グリ シン)により置換される、ものである。 サブユニットの置換による変種には、他の蛋白の機能的に相同性の(少なくと も約70%が同様である)ドメインにより、通常の方法により1つまたはそれ以上 のGPVドメインが置換されている変種も含有する。 他のクラスの変種は欠失変種である。欠失は、GPV配列からの1つまたはそ れ以上のアミノ酸残基の除去が特徴である。例えば蛋白の酸化的安定性を上げる には、システインまたは他の不安定な残基の欠失も好ましい。塩基性残基の1つ をグルタミン酸またはヒスチジン残基により置換することにより、可能性のある 蛋白分解部位(例えば、ArgArg)の欠失または置換が行われる。 好適なクラスの置換または欠失変種は、蛋白のトランスメンブラン領域に関係 するものである。トランスメンブランドメインの不活性化(典型的にはトランス メンブランドメイン水酸化残基の欠失または置換による)は、その細胞性または 膜の脂質親和性を低下させ、水溶性を改良することにより、回収と製剤化を促進 する。あるいは免疫原になる可能性のあるエピトープの取り込みを避けるために 、トランスメンブランドメインおよび細胞質性ドメインを欠失させることができ る。膜の結合機能の不活性化は、充分量の残基(必ずしもすべての残基ではない )を欠失させて、この部位に実質的に親水性のハイドロパシープロフィールを作 成するか、または異種残基 で置換して同様の結果を達成することにより、行われる。 トランスメンブラン不活性化GPVの主要な利点は、これが組換え宿主の培地 中に分泌されることである。この変種は、血液のような体液に溶解性であり、細 胞膜脂質への強い親和性を持たないことであり、従って組換え細胞培養物からの その回収を非常に簡単にする。欠失変種は、典型的には実質的にトランスメンブ ランドメインが欠如し、基本的にGPVの細胞外ドメインの有効部分よりなる。 ある状況では、溶解性が大きく影響を受けない限り、分子はトランスメンブラン 領域(約10アミノ酸まで)からの配列よりなる。 トランスメンブランドメインはまた、アミノ酸配列、例えば約5〜50のセリン 、トレオニン、リジン、アルギニン、グルタミン、アスパラギン酸および同様の 親水性残基(これらはすべての親水性ハイドロパシープロフィールを示す)のラ ンダムまたはあらかじめ決められた配列により置換されていてよい。欠失(端を 切り取った)変種のように、これらの変種は組換え宿主の培地中に分泌される。 グリコシル化変種は、本発明の範囲内に含まれる。これらは、グリコシル化が 完全に欠失(非グリコシル化)した変種、および天然型(脱グリコシル化)より 少なくとも1つ少ないグリコシル化部位、およびグリコシル化が変化している変 種を含有する。また脱グリコシル化および非グリコシル化アミノ酸配列変種、天 然の非修飾アミノ酸配列を有する脱グリコシル化および非グリコシル化サブユニ ットも含まれる。例えば、サブユニットのN−またはO−結合グリコシル化部位 を除去するのに置換または欠失性突然変異が使用され、例えばアスパラギン残基 は欠失されるかまたは別の塩基性残基(例えばリジンまたはヒスチジン)により 置換される。あるいはグリコシル化認識部位を除去することによりグリコシル化 を防ぐために、アスパラギン残基は変化させないが、グリコシル化部位を形成す る隣接領域は置換または欠失される。さらに、原核細胞はポリペプチド中にグリ コシル化を導入することができないため、天然のサブユニットのアミノ酸配列を 有する非グリコシル化サブユニットは、組換え原核細胞培養物中で産生される。 グリコシル化変種は、適当な宿主細胞を選択するかまたはインビトロ法で産生 することが便利である。例えば酵素は哺乳動物系とは有意に異なるグリコシル化 を導入する。同様にGPV供給源とは異なる種(例えば、ハムスター、マウス、 昆虫、豚、牛または羊)からの哺乳動物細胞、または組織は、高レベルのマンノ ースまたは種々の比率のマンノース、フコース、シアル酸、および他の哺乳動物 糖蛋白中に典型的に見いだされる糖を特徴とする変種糖蛋白を導入する能力につ いて普通にスクリーニングされる。サブユニットのインビトロ処理は、典型的に は酵素的加水分解(例えば、ノイラミニダーゼ消化)により行われる。 本発明のポリペプチドは、前述のように全長GPVまたはその断片よりなる。 本発明の特に好適なポリペプチドは、図5Bに開示した配列と実質的に同一のポ リペプチド配列を有するものである。 ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、最大の一致率が得られるように並べ た時2つの配列のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の配列が同じである時、「同 一」である。比較のための配列の最適の整列は、スミスとウォーターマン(Smit h and Waterman)、Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズム、 ネードルマンとウンシュ(Needleman and Wunsch)、J.Mol.Biol.48:443(197 0)の相同性整列アルゴリズム、ピアソンとリップマン(Pearson and Lipman)、 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性検索方法、これらのアルゴ リズムのコンピューター実行(ウィスコンシン州マジソン、サイエンスDr.57 5 、ジェネティクス・コン ピューター・グループ(Genetics Computer Group)のウィスコンシン・ジェニテ ィクス・ソフトウェア・パッケージ(Wisconsin Genetics Softwarre Package) 中のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または目視 により行われる。これらの文献は参考のため本明細書中に引用されている。 2つの配列の配列同一性の割合は、最適に並べられた2つの配列を少なくとも 20個の位置のウィンドウ比較により測定される。割合は、両配列で同一の核酸ま たはアミノ酸残基が存在する位置の数を測定し、一致した位置の数を出し、一致 した位置の数を比較のウィンドウの位置の全数(すなわち、ウィンドウサイズ) で割って、結果に100 を掛けることにより、配列同一性の百分率が得られる。 「実質的に同一」という用語は、あるポリペプチドが、約20残基〜約500 残基 、典型的には約50残基〜約500 残基、通常約250 〜300 残基の比較ウィンドウで 参照配列と比較した時、少なくとも80%の同一性、好ましくは90%、より好まし くは95%またはそれ以上の同一性を有する配列よりなる。同一性の割合は、前述 の方法を用いて得られる。 ポリペプチド配列が実質的に同一であることの別の指標は、1つの蛋白が、別 の蛋白に対して作成された抗体と免疫学的に反応性である場合である。すなわち 、本発明のポリペプチドは、GPVに対して作成された抗体と免疫学的に反応性 であるポリペプチドを含有する。 本発明は、組換え法または合成法により産生されたか、または天然の供給源か ら単離されたGPVポリペプチドの実質的に純粋な調製物を提供する。「単離さ れた」または「生物学的に純粋」という用語は、天然の状態で存在する時普通に 付随する成分が実質的または基本的に存在しない物質を意味する。例えば本発明 の結合ドメイ ンのポリペプチドは、生体内での原位置の環境に通常関連した物質(例えば、血 小板膜の他の蛋白)を含有しない。しかしたとえ蛋白がポリアクリルアミドゲル 電気泳動により均一にまたは優勢なバンドに単離された場合でも、目的の蛋白と ともに精製される5〜10%の天然の蛋白の混入がある。本発明の単離されたポ リペプチドは、このような内因性または同時精製された蛋白を含有しない。 蛋白の純度すなわち均一性は、当業者に公知の多くの方法、例えば蛋白試料を ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、次に染色して可視化することにより示さ れる。目的によっては高分解能が必要であり、HPLCまたは同様の精製方法が 使用される。 本出願で言及される命名法および一般的実験方法は、サムブルーク(Sambrook )ら、分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laborator y Manual)(第2版)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレ ス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、ニューヨーク、1989、バーガーと キメル(Berger and Kimmel)、Guide to Molecular Cloning Techniques,Method s in Enzymology 152(アカデミックプレス社(Academic Press,Inc.)、カリ ホルニア州サンジエゴ)に記載されている。これらのマニュアルを、本明細書で は以後「サムブルーク」または「バーガー」と呼ぶ。クローニング 原核細胞にDNA配列をクローニングする種々の方法が、当該分野で公知であ る。ベクターの増幅のために宿主として通常使用される微生物は、大腸菌(Esch erichia)、バシルス菌(Bacillus)およびストレプトミセス(Streptomyces) である。最も一般的な宿主は、培養が容易であり、細胞の生活史、遺伝学、ウイ ルスおよび成長の制御について豊富な情報が入手できることから、大腸菌(E.co l i)の種々の市販の株である。大腸菌で通常使用されるベクターは、pBR322 プラスミド由来およびλまたはM13ファージ由来のものであるが、これらのい ずれとも関係のないいくつかのベクターも一般的である。サムブルークとバーガ ーのマニュアルは、当業者にほとんどのクローニング法を教示するのに充分な方 法を含有する。 サムブルークのマニュアルや他の部分に記載されている多くのベクターは、最 初大腸菌中にクローン化し、次に当業者が目的とするベクターの部分を再クロー ニングすることなく真核生物系に移される。原核細胞および真核細胞中で複製す ることができるベクターは、一般的に「シャトルベクター」と呼ばれ、少なくと も真核細胞と原核細胞の複製開始点を含有する必要がある。いくつかのシャトル ベクターが市販されており、これらはポリクローニング部位、細菌細胞および真 核細胞の両方の選択マーカー、目的の遺伝子の細菌細胞および真核細胞の両方の プロモーター、および真核細胞ゲノムへのベクターの挿入のための組み込み配列 を含有する。細菌で増殖され真核細胞中の形質転換に使用されるベクターのいく つかの例には、ドロソフィラ・メラノガスター(Drosophila melanogaster)のP 成分ベクターのファミリー、COS細胞の形質転換のためのいくつかのSV40 由来ベクター、RNAポリメラーゼIII の適当な転写因子を含有する細胞内の形 質転換のためのアデノウイルス由来のベクター、種々のBPV由来ベクターおよ びサッカロミセスセレビッシェ(Saccharomyces cerevisiae)のYIp5由来ベ クターがある(大腸菌と真核細胞中で移動できる異なるベクターの総説について は、サムブルークの16章、バーガーの53章を参照)。原核細胞と真核細胞の間の DNAの往復のための一般的方法は、カシオン(Cashion)ら、米国特許第5,017,4 78 号およびクリーグラー(Kriegler) 、遺伝子の移動と発現:実験室マニュアル(Gene Transfer and Expression:A L aboratory Manual)、ダブリュー・エイチ・フリーマン(W.H.Freeman)、ニュー ヨーク、(1990)(参考のため本明細書中に引用されている)にも記載されている 。組換え蛋白の発現 組換え蛋白の発現方法は、サムブルークの16章と17章に記載されている。 組換え蛋白は、大腸菌または真核細胞発現系で発現される。蛋白の翻訳後の正 しい修飾を行うために、一般的にはしばしば真核細胞系で蛋白を発現することが 必要である。しかし、ポリペプチドの生物活性を有する断片を適当な細菌発現系 に組み込むことも時には可能であり、あるいは抗体産生に使用されるペプチドの 産生に細菌系を使用することもできる。これらの原核宿主では、典型的には宿主 細胞に融和性のある発現制御配列(例えば、複製開始点)を含有する発現ベクタ ーを作成することができる。さらに種々の公知のプロモーターまたはプロモータ ー成分、例えばラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモー ター系、ベータ−ラクタマーゼプロモーター系、またはファージラムダのプロモ ーター系(ヤノフスキー・シー(Yanofsky,C.)、1984,J.Bacteriol.,158:1 018-1024、およびヘルスコウィッツ・アイとハーゲン・ディー(Herskowitz,I .and Hagen,D.)、1980,Ann.Rev.Genet.,14:399-445)がある。プロモー ターは典型的には、随時オペレーター配列とともに発現を制御し、リボゾーム結 合部位および転写や翻訳を開始そして完了するための類似の成分を含有する。 細菌細胞中で多量の蛋白を発現する方法は、蛋白の機能の測定、または蛋白の 簡便な精製方法、例えば真核細胞から蛋白を単離する免疫精製方法に使用する細 菌細胞中で発現される蛋白に対する抗体 を産生する方法を作成するのにしばしば有用である。大腸菌からの精製において 、まず発現されたポリペプチドを変性し、次に再生させる。これは、細菌により 産生された蛋白をカオトロピック物質(例えば、塩酸グアニジン)中で可溶化さ せて、すべてのシステイン残基を還元剤(例えば、ベータ−メルカプトエタノー ル)で還元することにより行われる。次にゆっくり透析するかまたはゲル濾過( 米国特許第4,511,503 号)してポリペプチドを再生する。これらの方法の最も一 般的なものは、通常は細菌細胞に存在しない(例えば、大腸菌中のLacZ)が 、その抗体が容易に入手できる既知の抗原に融合した目的の蛋白の一部を発現す る融合蛋白の作成である。既知の抗原に対する免疫精製法で精製した後、融合蛋 白を用いて標準的方法で抗体を産生させる。 真核細胞系での遺伝子の発現の目的はいくつかあり、以下が含まれる:クロー ン化遺伝子の本体の確認、翻訳後の修飾の必要な真核細胞遺伝子の発現、天然に 存在する生物学的供給源からは通常少量しか得られない蛋白の大量産生、遺伝子 生成物の生合成経路の研究、突然変異解析による蛋白の構造と機能の関係の解明 、原核細胞が処理できないイントロンを含有する蛋白の正しい発現、そして遺伝 子のプロモーター成分の同定。発現ベクターを選択する場合は、いくつかの要因 、例えば遺伝子のサイズ(あるパッケージングウイルスは比較的少量のDNAを 取り込むのみである)、入手できる宿主細胞の型(CHO細胞のような細胞は、 NIH−3T3細胞のような他の細胞より多くの翻訳後修飾を行う)、永久的な 形質転換体または一過性発現系が必要であるか、そしてベクター中の制御成分の 存在など、を考慮する必要がある。真核細胞発現ベクターは、原核細胞性複製開 始点(一般的にpBR322由来)および真核細胞中で転写される真核細胞系転 写単位の両方を含有する。真核細胞転写 単位は、非コード配列、および選択マーカー(例えば、チミジンキナーゼ、アミ ノグリコシドホスホトランスフェラーゼまたはジヒドロ葉酸還元酵素)をコード する配列や、発現に必要な目的の遺伝子の部分よりなる。一般的に転写単位は、 充分性状解析されたウイルスまたは真核細胞遺伝子から組み立てられる。 原核細胞への組換えベクターの導入は当業者に公知の種々の方法で行われ、リ ン酸カルシウム法、DEAE介在トランスフェクション、ポリブレン法、プロト プロスト融合法、電気穿孔法、リポソーム法および直接微量注入法が含まれる。 哺乳動物複製系の共通のベクターには、シミアンウイルスSV40、ウシパピ ローマウイルス(BPV)のようなパピローマウイルス、エプスタインバーウイ ルス(EBV)のようなヘルペスウイルスがある。これらの各ウイルスは、目的 の遺伝子の複数のコピーを含有する細胞株を産生するのに使用される。導入され た遺伝子を高レベルで発現する細胞株は、細胞を徐々に増加する濃度の毒素(選 択マーカーはこの毒素に対して耐性を与える)で処理することにより選択される 。選択的条件下で増幅されるDNA単位は可変であるが、特に安定にトランスフ ェクションされた(ベクターが染色体内に組み込まれた)細胞株中に相当量の隣 接DNAを含有する。 このDNA配列は、配列が発現制御配列に機能的に結合された後、宿主中で発 現される。これらの発現ベクターは、典型的にはエピソームまたは宿主染色体D NAの構成部分として、宿主生物中で複製可能である。通常へベクターは、選択 マーカー(例えば、テトラサイクリン、またはネオマイシン)を含有し、目的の DNA配列で形質転換されたこれらの細胞の検出を可能にする(例えば、米国特 許第4,704,362 号を参照、参考のためこれは本明細書中に引用されている)。 多くの標準的精製法を用いて目的の遺伝子から遺伝子生成物が精製され、これ は前述のように発現される。抗体産生の直接方法を与える本発明において、原核 融合蛋白を用いて抗体を産生することなく、GPVまたはその切断生成物の精製 のための標準的沈殿法またはクロマトグラフィー法に加えてまたはこれとととも に、免疫沈降法または免疫クロマトグラフィー法を使用することができる。 前述のように、宿主細胞の形質転換に使用されるベクター(例えば、プラスミ ド)は、好ましくは転写を開始するための配列および抗原遺伝子配列の翻訳を制 御するための配列を含有する。これらの配列は、発現制御配列と呼ばれる。宿主 細胞が昆虫または哺乳動物起源の時、発現制御配列の例は、SV−40プロモー ター(Science,222:524-527,1983)、CMV I.E.プロモーター(Proc.N atl.Acad.Sci.81:659-663,1984)またはメタロチオネイン(metallothionein) プロモーター(Nature 296:39-42,1982)から得られる。発現制御配列を含有す るクローニングベクターは、制限酵素を用いて切断され、必要に応じまたは好ま しい時はサイズで調製され、当該分野で公知の方法によりGPVポリペプチドを コードするDNAに結合される。 酵母と同じように、高等動物の宿主細胞が使用される時、既知の哺乳動物遺伝 子からのポリアデニル化または転写停止配列はベクター中に取り込まれる必要が ある。ターミネーター配列の例は、ウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル 化配列である。転写体の正確なスプライシングのための配列を含有させてもよい 。スプライシング配列の例は、SV40のVP1イントロンである(スプラーグ ・ジェイ(Sprague,J.)、1983,J.Virol.45:773-781)。 さらに宿主細胞中で複製を制御する遺伝子配列は、ウシパピローマウイルス型 のベクターに存在するようなベクターに取り込まれる 。サベリア−キャンポ・エム(Saveria-Campo,M.),1985,DNAクローニング 第2巻、実際的アプローチ(DNA Clonig Vol.II a Practical Approach)、デイ ー・エム・グローバー(D.M.Glover)編、中の「ウシパピローマウイルスDN A真核細胞クローニングベクター」、アイアールエルプレス(IRL Press)、バー ジニア州アーリントン、pp.213-238)。 宿主細胞は種々の方法により、形質転換のためにコンピタントであるかまたは コンピタントにされる。DNAを動物細胞に導入するのにいくつかの公知の方法 がある。これらには、リン酸カルシウム沈殿法、DNAを含有する細胞性プロト プロストによる受容細胞の融合、DNAを含有するリポソームによる受容細胞の 処理、DEAEデキストラン、電気穿孔法および細胞へのDNAの直接微量注入 法がある。 形質転換された細胞は、当該分野で公知の方法で培養される。細胞培養とウイ ルス学の生化学的方法(Biochemical Methods in Cell Culture and Virology) 、クチラー・アール・ジェイ(Kuchler,R.J.)、ドウデン(Dowden)、ハチンソ ンとロス社(Hutchinson and Ross,Inc.),1977)。発現されたGPVポリペプ チドは、懸濁物または単層として増殖された細胞から単離される。後者は、公知 の機械的、科学的または酵素的方法により回収される。蛋白化学的方法によるGPVペプチドの産生 本発明のポリペプチドは、広範囲の方法で合成的に調製される。例えば比較的 小さいサイズのポリペプチドは、従来法に従って溶液中または固体支持体上で合 成される。種々の自動合成機が市販されており、公知のプロトコールに従って使 用される。例えば、スチュワートとヤング(Stewart and Young)、固相ペプチド 合成(Solid Phase Peptide Synthesis)、第2版、ピアスケミカル社(Pierce C hemical Co.)(1984)を参照。標準的方法(本明細書に記載の方法を含む)によ り、このペプチドを用いて抗体が産生される。 あるいは、精製され単離されたGPVは、GPVポリペプチドを産生するため に蛋白分解酵素で処理される。GPV蛋白配列は、GPV蛋白の目的の領域を含 有するポリペプチドを産生するのに使用される蛋白分解酵素を選択するために解 析される。次に目的の蛋白は、蛋白およびペプチド精製のための標準的方法を使 用して、精製される。標準的方法の総説については、Methods in Enzymology 、 「蛋白精製のガイド」("Guide to Protein Purification")、エム・ドイチャー (M.Deutscher)編、第182巻(1990)、pp.619-626を参照(これは参考のため 本明細書中に引用されている)。この方法で産生されるペプチドは、標準的方法 (本明細書に記載されたものを含む)を用いて抗体を産生するのに使用される。抗体産生 本発明のポリペプチドを認識する抗体は、種々の免疫グロブリン分子の産生と 操作のための当業者に公知の多くの方法を使用して修飾するのに適している。免 疫グロブリンは、実質的に免疫グロブリン遺伝子によりコードされる1つまたは それ以上のポリペプチドよりなる蛋白である。認識される免疫グロブリン遺伝子 には、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロンおよびミュー定 常領域遺伝子、および無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子がある。免疫グロブ リンの型についての記載は、「基礎免疫学」(Fundamental Immunology)、第2 版、ダブリュー・イー・ポール(W.E.Paul)編、ラーベンプレス(Raven Press )、ニューヨーク、(1989)、ハストン(Huston)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.US A 85:5879-5883(1983)、バード(Bird)ら、Science 242:423-426(1988)、およ びフンカピラーとフード(Hunkapiller and Hood)、Nature 323 :15-16(1986)を参照。 本明細書において「免疫グロブリン」、「抗体」または「抗体ペプチド」とい う用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体を意味し、標的抗原に結合 する免疫グロブリン分子の任意の機能性断片を意味する。このようなペプチドの 例には、完全な抗体分子、抗体断片(例えば、Fab、F(ab')2 、相補性決定領 域(CDR)、VL (軽鎖可変領域)、VH (重鎖可変領域)、およびこれらの 任意の組合せ、または抗体ペプチドの任意の機能性部分がある。 F(ab')2 断片は、重鎖定常領域のC−末端部分が欠如しており、分子量は約1 10 kbである。これは2つの抗原結合部位を持ち、ヒンジ領域に分子間ジスル フィド結合を有するが、完全なIgG分子のエフェクター機能は持たない。F(a b')2 断片は、ハーローとレーン(Harlow and Lane)、抗体:実験室マニュアル(A ntibodies:A Laboratory Manual)、コールドスプリングハーバーラボラトリー 出版(Cold Spring Harbor Pubs.)、ニューヨーク、(1988)に記載のような標準 的方法を用いて、pH3.0 〜3.5 でペプシンで蛋白分解することにより、IgG 分子から得られる。 Fab断片は、軽鎖とジスルフィド結合により軽鎖に結合した重鎖のN−末端部 分よりなる。これは分子量が約50kDであり、1つの抗原結合部位を有する。F ab断片は、制限還元によりF(ab')2 断片より得られるか、または還元剤の存在 下で全抗体をパパインで消化して得られる。(ハーローとレーン(Harlow and La ne)、前述を参照)。 本発明で使用するための抗体を産生するのに、当業者に公知の種々の免疫グロ ブリン分子の産生と操作のための多くの方法が使用できる。GPVに結合する抗 体は種々の方法により産生される。非ヒトモノクローナル抗体(例えば、齧歯類 、ウサギ、ウマなど)の産 生方法は公知であり、例えばGPVを含有する調製物または単離されたGPV分 子で動物を免疫することにより行われる。免疫動物から得られる抗体産生細胞は 、不死化されてスクリーニングされるか、またはまず抗体産生のためにスクリー ニングされて次に不死化される。モノクローナル抗体産生の一般的説明について は、ハーローとレーン(Harlow and Lane)、前述を参照。 ヒト抗原に対するヒトモノクローナル抗体の作成は、当該分野で公知である。 従来法ではそのようは抗体の産生は困難である。例えば、ヒューズ(Huse)ら、 Science 246:1275-1281(1989)が要約した一般的プロトコールに従ってヒトB細 胞からDNAライブラリーをスクリーニングして、抗GPVヒトモノクローナル 抗体(または、その一部)をコードするDNA配列を単離することが好ましい。 次に目的の特異性を有する抗体(または結合断片)をコードする配列をクローン 化し増幅する。あるいは、非ヒト抗体の抗原結合領域(例えば、F(ab')2 また は超可変領域)を、組換えDNA法によりヒト定常領域(Fc)または枠組み構造 領域に移して、実質的にヒトの分子を産生することができる。このような方法は 一般的に当該分野で公知であり、後述される。 本発明はまた、キメラ免疫グロブリン、ヒト化抗体またはハイブリッド抗体ま たはこれらの任意の誘導体を含む、合成または組換え免疫グロブリンを提供する 。キメラ免疫グロブリンは典型的には、キメラDNAの生成物であり、これは2 つ以上の真核細胞分子種からの遺伝子物質を含有する組換えDNAである。 「キメラ免疫グロブリン」または「キメラ抗体」とは、ペプチドの1つの部分 は第1の遺伝子源由来の抗体またはペプチド中の対応する配列に由来するかまた はこれと相同性があるアミノ酸配列を有し、鎖の残りの部分は別の遺伝子源の対 応する配列に相同性がある 抗体または抗体ペプチドを意味する。例えば、キメラ抗体ペプチドは、マウスの 可変領域とヒトの定常領域を有する抗体重鎖よりなる。2つの遺伝子源は典型的 には2つの分子種を含有するが、1つの種の異なる供給源が関与してもよい。 キメラ抗体またはペプチドは、典型的には組換え分子および/または細胞法を 用いて産生される。典型的にはキメラ抗体は、1つの哺乳動物種由来の抗体の可 変領域に類似の軽鎖および重鎖の可変領域を有するが、定常部分は第2の異なる 哺乳動物種由来の抗体の配列に相同性がある。このような抗体の産生方法は公知 であり、例えば米国特許第4,816,397 号、ヨーロッパ特許公報第173,494 号、お よび239,400 号(これらは参考のため本明細書中に引用されている)に記載され ている。 しかしキメラ免疫グロブリンの定義はこの例に限定されない。キメラ抗体は、 これらの供給源が、異なるクラス、異なる抗原応答、または異なる起源の種であ ろうと、そして融合点が可変/定常境界であろうと、重鎖または軽鎖のいずれか または両方が、異なる供給源の抗体の配列に似ている配列の組合せよりなる抗体 である。 「ヒト化」または「ヒト様免疫グロブリン」という用語は、実質的にヒト免疫 グロブリン定常領域に相同性の、ヒト様枠組み領域および定常領域を意味する。 従って、ヒト様免疫グロブリンの大部分(おそらくCDRを除いて)は、1つま たはそれ以上の本来のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分に実質的に相同性 がある。 「ハイブリッド抗体」は、各鎖が哺乳動物抗体鎖に関して別々に相同性である が、その組合せは新規の構成であり、その結果その抗体により2つの異なる抗原 が認識される、抗体を意味する。ハイブリッド抗体では、1つの重鎖と軽鎖対は 、別のエピトープに対する抗体に存在する対に相同性がある。このため多官能性 (すなわち、 同時に少なくとも2つのエピトープに結合する能力)になる。このようなハイブ リッドはもちろん、キメラ鎖を用いて生成してもよい。 新規性質を有する融合蛋白(例えば、免疫毒素)を産生するために、免疫グロ ブリンを他の遺伝子(例えば、酵素をコードする遺伝子)の官能性領域に融合さ せてもよい。一般に遺伝子は、部位特異的突然変異誘発(ギルマンとスミス(Gi lman and Smith)、Gene 8:8197(1979)、およびロバーツ・エス(Roberts,S.)ら 、Nature 328:731-734(1987))のような種々の公知の方法により、容易に修飾す ることができる。 本発明において、標準的抗体−抗原測定法(例えば、競合的結合測定法、飽和 測定法、またはELISAやRIAのような標準的免疫測定法)により測定した 時、免疫グロブリンがもしGPVに結合するなら、免疫グロブリンはGPV分子 に特異的または反応性がある。この特異性の定義は、単一の重鎖および/または 軽鎖、または重鎖および/または軽鎖のCDR、融合蛋白または断片が、単独ま たは適宜相補的な可変領域および定常領域に正しく組み込まれた時、GPVに結 合することができるなら、前述の定義はこれらにも適用できる。結合親和性は典 型的には、会合および非会合の平衡濃度については親和性定数(Ka)で示され、 Ka =[A−B]/[A][B](ここで、[A]、[B]、および[A−B] は、それぞれ抗体(A)、抗原(B)、および抗原−抗体複合体(A−B)の平 衡時の濃度である)である。生理学的条件下では、本発明の具体的な免疫グロブ リンの親和性定数は、典型的には約10-3〜10-12 リットル/モルであり、好まし くは約10-10 リットル/モル以上である。しかし2つの分子の間の親和性定数は 、温度、pH、イオン強度などの多くの要因の影響を受けることは、当業者には 容易に理解で きるであろう。 本発明の組成物は、血小板細胞上で選択的にGPV分子に結合する免疫グロブ リンよりなる。本発明の免疫グロブリンおよび薬剤組成物は、非経口投与(すな わち、皮下、筋肉内、または静脈内投与)に有用である。多くの新しい薬剤送達 方法が開発されており、本発明の薬剤組成物は、これらの新しい方法を利用して 投与するのに適している。ランガー(Langer)、Science,249:1527-1533(1990) を参照。 ある実施態様において、本発明の抗体は通常の薬剤または他の物質を血小板に 向けさせる。抗体を用いてGPVを有する細胞に薬剤を向けさせることにより、 そのような薬剤は血小板凝集の部位でより高濃度を達成することができる。免疫 グロブリンは直接または間接的に化学療法剤に結合させることができる。 本発明の抗体はまた、診断目的(例えば、血小板凝集の場所の同定)に使用さ れる。診断目的のために抗体は標識または非標識でもよい。非標識抗体は、この 抗体に対して反応性がある他の標識した抗体(第2抗体)(例えば、特定の免疫 グロブリンの定常領域に特異的な抗体)とともに使用することができる。あるい は、抗体を直接標識することもできる。広範囲の標識物が使用され、例えば放射 性核種、蛍光性物質、酵素、酵素基質、酵素の補因子、酵素阻害剤、リガンド( 特にハプテン)などがある。無数のタイプの免疫測定法があり、それらは当業者 に公知である。 診断応用では、免疫グロブリンまたはそのカクテルを含有する組成物は、血小 板機能に欠陥を有する疑いのある患者に投与される。あるいは特定の治療の効果 を追跡することができる。これを達成するのに充分な量は、「診断的に有用な投 与量」として定義される。この用途において正確な量は、患者の健康状態および 使用される特 定の抗体の結合定数に依存する。 対象の抗体とともに使用されるキットを提供することもできる。すなわち、本 発明の対象抗体組成物は、単独でまたは目的の細胞型に特異的な追加の抗体とと もに、通常容器の中に凍結乾燥状態で提供される。抗体は標識物または毒素に結 合していてもよく、または非結合でもよく、キットの中に緩衝液(例えば、トリ ス緩衝液、リン酸緩衝液、炭酸緩衝液など)、安定剤、殺生物剤、不活性蛋白( 例えば血清アルブミンなど)、および使用説明書とともに入れられる。一般にこ れらの物質は、活性抗体の量に基づき約5重量%未満の量で存在し、通常抗体濃 度に基づき少なくとも総量約0.001 %で存在する。活性成分を希釈するために増 量剤または賦形剤を含有させることがしばしば好ましい(ここで、賦形剤は組成 物の総量の約1〜99重量%で存在する)。測定法において、キメラ抗体に結合で きる第2抗体が使用される時、これは通常別のバイアル中に存在する。第2抗体 は典型的には標識物に結合しており、前述の抗体製剤と同様の方法で製剤化され る。PCR 分子生物学の分野においてPCRの使用は良く知られている(ムリス(Mullis )ら、米国特許第4,683,202 号(1987))。PCRは、クローニング、配列決定、 法医学、診断および系統発生解析など多くの目的に適用されている。この方法は いくつかの一般的文献に詳述されており、当業者がこの方法を実施するのに充分 な指針を提供している。サムブルークや、PCRプロトコール:方法と応用への 指針(PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications)(イニス(Innis )ら編)、アカデミックプレス社(Academic Press Inc.)、カリホルニア州サンジ エゴ(1990))(以後「イニス」と呼ぶ)などがある。 以下のPCRプロトコールは、当業者のための出発点として与えられるもので あり、反応条件を最適化することが必要であり、その技術により不充分な結果が 得られたり、その技術を用いて基本的に繰り返し作業が行われる時は、特に最適 化が必要なことは当業者は理解できるであろう。一般的に、100μlの反応物は 、1〜1×107 標的分子(一般的に約1×105 〜約1×106 標的分子)、1ピコ モル〜100 ピコモルの各プライマー(一般に約20ピコモル)、約30℃〜約70℃ (好ましくは約50℃以上)のTm を有するプライマー、20mMトリス−塩酸(2 0℃でpH約8.3)、0.2 mM〜5mM MgCl2 (一般的に約1.5 mM Mg Cl2 、時にはMgCl2の代わりにMnCl2 を用いることも有用である)、2 5mM KCl、0.05%ツイーン20、100 μgのオートクレーブしたゼラチン またはヌクレアーゼを含まないウシ血清アルブミン、5〜200 μMの各dNTP (一般的に約50μMの各dNTP)、および0.25〜5 単位(一般的に約2単位) のTaqDNAポリメラーゼを含有する。実験者の多くは、反応混合物の蒸発を 防ぎ、反応成分が加熱により反応物中に不均一に分布することを防ぐために、水 相の上に油相を添加することを好んで添加する。反応混合物は、以下の温度変化 を15〜65(通常20〜35)サイクル行われる(普通市販のサーマルサイクラーが使 用されるが、3種類の温度浴を用いて手で行ってもよい):96℃で0.25分間「変 性」(第1回目のサイクルでは、反応混合物を96℃で1〜5分間放置することが 好ましい)、計算されたTm より約5℃〜10℃低い温度で30秒間「プライマーア ニーリング」、増幅される標的配列の長さに依存して72℃で1〜3分間「プライ マー伸長」。サイクリングは最後の72℃で約5分間の伸長反応により終了し、反 応物を約4℃に冷却するか、および/または混合物中のMgCl2 とMnCl2 および他の2価の陽イオンの合計の約8倍 量のEDTAを添加することにより反応を停止させる。 いったん遺伝子の完全な配列がわかると、各生物中の遺伝子の構造内の異常を 検出するためにPCR実験を計画することは全く単純である。既知のGPV遺伝 子配列から設計されたプライマーを用いて個々のDNAまたはcDNAについて PCRを行なった後、遺伝子または遺伝子のcDNA中の大きな欠陥の存在は、 DNAまたはcDNAの制限エンドヌクレアーゼ消化した断片の標準的アガロー スゲル電気泳動により確認される。必要であれば、欠陥遺伝子の構造成分のすべ てを、PCR生成物の直接配列決定、または標準的方法によるPCR生成物の配 列決定ベクターへのサブクローニングにより測定される(PCR生成DNAまた はクローン化DNAの配列決定のために、種々の業者から配列決定キットが市販 されている。本発明においては、ベルナールスーリエ症候群を診断するために、 またはベルナールスーリエ症候群の危険性のある人のベルナールスーリエ症候群 に対する遺伝的性向を測定するために、患者のGPV遺伝子を試験する。生育し ている胎児のDNAをPCR増幅して子宮内で遺伝的疾患を検出できることも当 該分野で公知であり、標準的PCR方法を用いてGPV遺伝子中の異常を検出す ることも可能であろう。さらにGPV遺伝子は、巨核球系統の細胞の特異的マー カーであり、血小板成長を追跡するための形態学的マーカーとして一般的に有用 である。サザン解析とノーザン解析 クローン化プローブを用いるゲノムDNAのサザン解析とRNAのノーザン解 析は、分子生物学の基礎である。サムブルークは、ゲノムDNA、mRNAおよ びcDNAの解析を含むサザン解析法とノーザン解析法の充分な手引きとなる。 本発明は、サザン解析に使用されるGPV遺伝子から作成される多くのプローブ を提供する。 これらには、ランダムプライマーまたは末端リン酸標識法および当業者に公知の 他のいくつかの方法を用いて、GPV遺伝子の任意の領域の配列から生成した合 成オリゴヌクレオチドプローブ、クローン化遺伝子の切断生成物から生成したプ ローブがある。プローブは、ゲノムまたは発現ライブラリーをスクリーニングす るかまたはPCRを行って他の分子種から同族の遺伝子を単離したり、制限断片 長多型の同定、およびin situまたはノーザン解析法を用いるGPV遺伝 子を発現する組織の同定などの、多くの方法に使用できる。GPVポリペプチドの薬剤組成物および治療的用途 本発明の組換え蛋白は、正常より低いレベルのGPVまたはGPVf1を示す 患者のGPVおよびその切断生成物のレベル、または正常な凝固能を有する患者 の外傷のような特定の部位のGPVまたはその切断生成物のレベルを上げるため に使用される。GPV遺伝子の薬剤組成物は、非経口投与、経口投与、または局 所投与を目的とする。非経口投与(例えば、静脈内、皮下、皮内、または筋肉内 投与)される薬剤組成物については、本発明は、許容される水性担体中に溶解ま たは懸濁された、前述の発現系から単離されたGPVポリペプチドの溶液よりな る非経口投与用の組成物を提供する。種々の水性担体(例えば、水、緩衝化水、 0.4 %生理食塩水、0.3 %グリシン、ヒアルロン酸など)が使用できる。これら の組成物は、従来法の公知の滅菌法により滅菌されるか、または滅菌濾過される 。得られる水溶液は、そのままパッケージングされるか、または凍結乾燥され、 凍結乾燥調製物は投与の前に無菌溶液と混合される。組成物は、生理的条件に応 じて薬剤学的に許容されるpH調製剤や緩衝化剤、強度調製剤、湿潤剤などの付 属物質(例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリ ウム、塩化カ ルシウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミンなど) を含有する。固体組成物には、従来の非毒性固体担体を使用することができ、こ れらには例えば、薬剤等級のマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグ ネシウム、ナトリウム、サッカリン、タルカム、セルロース、グルコース、ショ 糖、炭酸マグネシウムなどがある。 経口投与用には、薬剤学的に許容される非毒性組成物は、通常使用される賦形 剤(例えば、前述したもの)、および一般的に10〜95%、さらに好ましくは25% 〜75%の濃度の活性成分を組み込むことにより作成される。 噴霧投与用には、GPVポリペプチドは、好ましくは界面活性剤や噴射剤とと もに、微細に分割された形で提供される。界面活性剤は非毒性でなければならず 、好ましくは噴射剤に可溶性である。このような物質の代表的なものには、6 〜 22個の炭素原子を含有する脂肪酸(例えば、カプロン酸、オクタノン酸、ラウリ ル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、オレステリック 酸およびオレイン酸)と、脂肪族多価アルコールまたはその環状無水物とのエス テルまたは部分エステルがある。混合エステル(例えば、混合または天然のグリ セライド)を使用することもできる。必要に応じ、鼻内投与用のレシチンのよう な担体を含有させてもよい。 例えば外傷への局所投与用に、GPVポリペプチドは前述の水溶液として投与 されるか、または非毒性運搬体(例えば、完全にポリマー化したポリアクリルア ミド、または前述の脂肪酸の長鎖エステルまたは部分エステル)よりなる軟膏に 入れて適用することもできる。この水溶液または軟膏は、標準的な包帯に適用す ることもできる。 治療的応用にはGPVポリペプチドは、血小板凝集に影響を与えるのに充分な 量(「治療的に有効な量」)が患者に投与される。この用途に有効な量は、特定 のポリペプチド、投与方法、患者の体重や全身の健康状態、患者の他の血液疾患 の存在、外傷の有無または重傷度および担当医の判断などにより変わる。これは 典型的には、約1μg/kgと約100 mg/kgの間であり、好ましくは約3m g/kg〜約15mg/kgである。遺伝子治療 遺伝子治療の方法は、フリードマン(Friedmann)、Science 244:1275(1989)に 総説がある(参考のため、本明細書中に引用されている)。 目的のポリヌクレオチドの送達は、典型的には全身投与(例えば、静脈内、腹 腔内、筋肉内、皮内または頭蓋内注入)により、各患者に治療ベクターを投与す ることによりインビボで行われる。あるいは、各患者から外植した細胞または一 般的なドナー造血細胞のような体外の細胞にポリヌクレオチドを適用し、通常ポ リヌクレオチドの遺伝子を取り込んだ細胞を選択した後、患者に細胞を再移植す るために使用される。 ベクターは、先天性遺伝子疾患、後天性遺伝子疾患(例えば、癌)、ウイルス 疾患の治療、または治療効果のための選択された型の患者の細胞のゲノムを修飾 するための遺伝子治療に使用される。本発明のGPV遺伝子を用いる治療できる 1つの疾患は、ベルナールスーリエ症候群である。新生物表現型を逆転または抑 制(例えば、欠陥のあるGPV発現のアンチセンス阻害)するポリヌクレオチド は、欠陥のあるGPV発現の治療、および患者への正常なGPV遺伝子の移植の ために使用される。 以下の実施例は本発明を説明するものであり、決して本発明を限 定するものではない。 実施例 以下の実施例は、説明のために提供されるものであり、請求の範囲を限定する ものではない。実験パラメータの多くを変更できることは当業者には明白であろ う。 材料:下記のものは、以下の実施例に使用される材料に適用する:制限エンド ヌクレアーゼ、修飾用酵素、およびM13クローニングベクターは、ベーリンガ ー(Boehringer)(ドイツ国マンハイム)から購入した。pBluescrip t・KSIIベクターはストラタジェン(Stratagene)(カリホルニア州サンジエ ゴ)より入手した。ジーン・クリーンII(Gene Clean II)キットはバイオ101( Bio 101)(カリホルニア州ラホイア)より入手した。放射標識ヌクレオチド、ハ イボンドN+ 膜(Hybond N+ membranes)およびハイパーフィルム(Hyperfilm) X線フィルムは、アマーシャム社(Amersham Corp.)(フランス国レスウリス( Les Ulis))から得た。ニトロセルロース膜はシュレイチャー・アンド・シュエ ル(Schleicher and Schuell)、エケビリー(Ecquevilly)、フランス製より入 手した。合成オリゴヌクレオチド(Synthese Oligonucleotides)はサービス・デ ・シンターゼ・デス・オリゴヌクレオチド(the Service de Synthase Oligonuc leotides)(INSERM・U184、LGME、ストラスブール、フランス) から得たか、またはベックマン・オリゴ1000(Beckmann Oligo 1000)オリゴ ヌクレオチド合成装置(ベックマン、ギャグニー、フランス)を用いて合成した 。全ての試薬は分子生物学等級であった。 実施例1 血小板および巨核球cDNAのPCR増幅によるヒト血小板糖蛋白 VのcDNAクローニング PCRにより糖蛋白VをコードするcDNAをクローン化するために、精製血 小板GPVから得られた文献にある部分ペプチド配列(シモムラ(Shimomura)ら、 Blood 75:2349-2356(1990))に基づき一連の縮重プライマーを設計した。新鮮ヒ ト血小板を単離し、以前に記載された方法により血小板の全RNAを調製した( ランザ(Lanza)ら、J.Clin.Invenst.89:1995-2004(1992)およびウィッキ(Wi cki)ら、Thromb.Haemostas 61:448-453)。ネリー・キーファー博士(Dr.Nelly Kieffer)(ラボラトール・フランコールクセンブルグ・デ・レシェルシェ・ビ オメディカーレ、ルクセンブルグ)により提供された巨核球RNAは、巨核芽球 白血病に罹患した患者から得られた。市販のキット(ベーリンガー・マンハイム (Boehringer Mannheim))でcDNAを合成するために、血小板または巨核球ポ リa+ RNAを使用した。第1の鎖の合成は、オリゴdTで開始するか、または GPVに特異的な縮重プライマーまたはそのもののプライマーで開始し、20単 位のM−MLV逆転写酵素(ギブコ−BRL(Gibco-BRL)、チェルジー・ポント ワース(Cergy Pntoise)、フランス)で伸長することにより行った。ジーン・ア ンプ(Gene Amp)DNA増幅反応キット(パーキン−エルマー・シータス(Perk in-Elmer Cetus)、サンクアンタン(St.Quentin)、フランス)、0.2μM濃 度の各ヌクレオチドプライマー、および1単位のTaqポリメラーゼを用いるP CR増幅反応物中で、約25ngの血小板または巨核球cDNAを使用した。c DNAを94℃で4分間変性し、72℃で2分間の伸長、94℃で1分間の変性 、および使用するプライマーにより45〜60℃の間で1分間のプライマーアニ ーリングよりなる増幅を30サイクル行った。ペプチド配列K5/6に基づき反 対の鎖を走査する縮重プライマー1および4を使 用して、オリゴdTで開始した血小板cDNAから108塩基対の断片(断片i )を増幅することに成功した。配列解析により、このプライマー1と4に含有さ れたcDNA断片は、文献のペプチド配列(アミノ酸残基13〜33)に正確に 対応する20アミノ酸のペプチドをコードすることが判った。これにより、増幅 された断片がGPVのcDNAに対応することが証明された。追加のcDNA配 列を得るために、(−)鎖(プライマー3)および(+)鎖(プライマー2)方 向に正確なオリゴヌクレオチドプライマーを作成した。M6ペプチド配列に基づ くプライマー3および縮重プライマー5を使用して、追加の150塩基対のcD NA断片(断片ii)を得た。PCR後、10μlの増幅混合物を1〜2%アガロ ースゲルで解析した。 5’−および3’−方向の配列を伸長するためにcDNA末端の迅速増幅(R ACE)を使用した(フローマン(Frohman)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.85 :8998-9002(1988))。3’−RACE法を使用して、3’−方向に703塩基対 のcDNAをカバーする、2つの追加の重複断片(iii およびiv)を得た。3’ −RACEのために、アダプター−dTI7プライマーおよび(+)鎖プライマ ー2または6による初回のPCRに25ngのcDNAを用い、続いてアダプタ ーおよびプライマー2(配列番号8〜9)またはプライマー6(配列番号16) による2回目のPCRを行った(プライマーの説明について表1を参照)。(− )鎖プライマー7および8を使用する5’−RACE法により、5’−方向に2 60および150塩基対(vおよびvi)のさらに2つの断片を作成した。5’− RACEのために、1μgのRNAから(−)鎖特異的プライマーを使用してc DNAを調製し、5μMのDGTPと50単位の末端トランスフェラーゼ(ベー リンガー・マンハイム(Boehringer M annheim))による37℃で10分間の製造社により供給された緩衝液中でのイン キュベーションによりdGをつなげた。フェノール−クロロホルム抽出後、反応 混合物をセントリコン30カラム(Centricon 30 column)(アミコン(Amicon) 、マサチューセッツ州ビバリー)で透析し、PCR反応に使用した。アダプター −dC12プライマーとプライマー7または8で初回のPCRを行い、続いてア ダプター単独とプライマー7または8で2回目のPCRを行った。 普通のPCRまたはRACE法により得られた陽性断片を制限酵素(通常はE coRIおよびSalI)により末端切断し、シー・プラーク(Sea Plaque)ア ガロース(FMCバイオプロダクツ(FMC Bioproducts)、ロックランド、メイン 州)で電気泳動により単離し、ジーン・クリーンII(Gene Clean II)キットを使 用して精製し、M13またはpBluescriptベクターにサブクローン化 した。シーケナーゼ(Sequenase)キット(合衆国バイオケミカル社(United State s Biochemical Corp.)、オハイオ州クリーブランド)を使用してDATP5’α −[35S]−チオリン酸を用いてこの挿入体を配列決定した。両方の鎖の配列決 定によりPCR法により得られた全ての断片を解析し、文献記載のGPV部分配 列との比較によりGPVへの同一性を評価した。 上記戦略を使用して、血小板mRNAから増幅した6断片からの1,199塩 基対のGPVのcDNAを構築することができた。配列解析により、31塩基対 の5’非翻訳配列と、その後のメチオニンから始まり全389アミノ酸をコード する1,168塩基対のオープン読み取り枠の存在が明らかになった。 実施例2 ヒト染色体DNAのサザン解析 ヒトGPV遺伝子の複雑さを測定するために、コード領域に対応 する748塩基対のcDNAプローブを使用して、高緊縮性(stringency)条件 下で、ヒト染色体DNAについてサザンブロット解析を行った。制限エンドヌク レアーゼで高分子量のヒト白血球DNAを完全に消化し、0.7%アガロースゲ ルの電気泳動に付した。この断片をハイボンドN+ ナイロン膜(Hybond N+ nyl on membranes)に移し、45℃で一晩748塩基対の32P標識GPVのcDNA 断片とハイブリダイズさせた。このハイブリダイゼーション緩衝液は、50%( v/v)ホルムアミド、0.9MのNaCl、50mMのNaH2 PO4 、2m MのEDTA、1%(w/v)のSDS、5%(w/v)のデキストラン硫酸、 0.02%(w/v)のポリビニルピロリドン、0.02%(w/v)のフィコ ール400(Ficoll 400)、および50μg/mlのサケ精子DNAであった。 膜を60℃で0.5×SSC、1%(w/v)のSDSで洗浄し、オートラジオ グラフィーにかけた。 DNAをEcoRI、BamHI、およびBglII 制限エンドヌクレアーゼで 切断した時には、それぞれ、約5kb、3.5kb、および12kbの単一の陽 性バンドが観察された(図4)。追加の個々の解析により、3.4kbの余分の 多型のBglIIバンドが現われた。この単純なハイブリダイゼーションパターン は、低い複雑さの単一コピー遺伝子を示唆した。 実施例3 血小板mRNAのノーザン解析 血小板GPVmRNAのサイズを測定するために、コード領域に対応する74 8塩基対のcDNAプローブを使用してヒト全血小板RNAについてノーザンブ ロット解析を行った(図3)。血小板(白血球混入<10-7)または単球からの 全RNA(10μg)を1%ホルムアミド−アガロースゲルで電気泳動して、ゼ ータプローブ (Zetaprobe)(バイオラッド(Biorad))膜に移した。748塩基対のcDNA プローブ(50ng)を、ランダムプライム標識法を使用して[α−32P]−d CTPで標識し、ニック(Nick)カラム(ファルマシア(Pharmacia))で清澄化 した([α−32P]−dCTPの取り込みは71%であった)。ハイブリダイゼ ーション条件は、65℃で0.5MのNaH2 PO4 、pH7.2、1mMのE DTA、および7%のSDSであった。 ゲルの分析により、約4.5kbの単一の転写体が現われた。部分分解したR NAは、さらに複雑なパターンを示した。2kb未満の転写体も、単球RNAで 現われた。 実施例4 GPVゲノムクローンの単離と性状解析 748塩基対の断片をプローブとして、ファージλFixベクター中のヒト繊 維芽細胞ゲノムライブラリーから15個のゲノムクローンを単離した。λFix ベクター中のヒトの市販のゲノムライブラリー(ストラタジェン(Stratagene) )の約8×105 の組み換え体を大腸菌LE392上に広げ、ニトロセルロース 膜に移し、748塩基対の32P標識GPVのcDNA断片でプローブ結合した。 ハイブリダイゼーション条件は、42℃で一晩、50%(v/v)ホルムアミド 、5×SSC、0.1%(w/v)SDS、5×デンハルト培地(Denhardt's me dium)、および0.1mg/mlサケ精子DNAであった。フィルターを56℃ で0.1×SSC、0.05%(w/v)SDS中で洗浄し、乾燥してオートラ ジオグラフィーに感光させた。単離クローンを得るために、陽性クローンをさら に2回スクリーニングにかけた。液体細胞溶解法を使用してファージDNAを精 製した。このDNAをEcoRIで消化し、0.7%アガロースゲルで分離し、 ニトロセルロースに移し、32P標識GP VのcDNA断片とハイブリダイズさせて断片を含有するエキソンを局在化させ た。さらなる制限酵素解析のために陽性断片をpBluescriptベクター にサブクローン化し、最終的にM13配列決定ベクター中にサブクローン化した 。制限エンドヌクレアーゼマッピングとサザンブロット解析による性状解析後、 さらなるサブクローニング、制限酵素解析、およびヌクレオチド配列決定のため にクローンG5aを選択した。 図1に部分制限地図を示したG5aクローンの7.5kb部分を、両方の鎖で 完全に配列決定した。PCRにより得られたcDNA配列との比較により、この 7.5kbゲノム断片は、958塩基対のイントロンにより分離された2つのエ キソン(図5A(配列番号1))中に全1,198塩基対のcDNA配列を含有 することが判った。エキソン1は29塩基対の5’非翻訳領域を含有し、エキソ ン2は2塩基対の5’非翻訳配列とPCRにより得られた1,168塩基対のコ ード配列よりなっていた。エキソン2は、TAA停止コドンに達する前にさらに 512塩基対のコード配列を含有していた。 cis制御成分の存在について、cDNAの5’末端に直接に隣接する配列( エキソン1)を試験した。この解析により、RNAポリメラーゼIIで転写した遺 伝子の特徴であるTATAボックス(5’−TATATA−3’)の共通配列に 一致する配列の存在が明らかになったが、CAATボックスの共通配列は明らか にならなかった。このTATAボックスの31塩基対下流に、推定されるCap 部位が続いていた。TATAボックス共通配列に類似の追加の配列(TATAT )が1,199位に見い出された。GATA−1結合部位の共通配列の5’−( AT)GATA(AG)−3’モチーフ(ファイストとメイヤー(Faisst and M ayer)、Nucleic Acids Re search 20:3-26(1992))に類似の5’−AAGATA−3’および5’−AGA TAG−3’配列は、それぞれ1,285および1,321位に位置していた。 このGATAモチーフは、全ての性状解析された赤血球および巨核球特異的遺伝 子のプロモーターおよびエンハンサー中に見い出されている。cis作用性成分 の他のモチーフは、471位(5’−CAGGAAGT−3’)、493位(5 ’−GAGGAAGC−3’)、897位(5’−GCATCCTG−3’、逆 )、1,178位(5’−ACTTCCC−3’、逆)、および1,365位( 5’−CAGGATGCAA−3’)(配列番号3)(共通配列:5’−(GC )(AC)GGA(AT)G(TC))のEts−1cis作用性配列、および 1,142位(5’−GGGGTGTGGC−3’)(配列番号4)、(共通配 列:5’(GT)(GA)GGCG(GT)(GA)(CT)−3’)のSpl 推定結合部位を含む。推定されるTPA応答性成分(TRE)(5’−TGAC TGACT−3’)が68位に見い出された。TAA末端部位の3,348塩基 対のゲノム配列3’の解析により、5,610、6,966、7,224、およ び7,358位に推定されるポリアデニル化AATAAA部位の存在が判明した 。2つのAlu反復配列(シュミットとジェリネック(Schmid and Jelinek)、 Science 216:1065-1070(1982))は、598〜896位、および6,133〜6 ,440位に位置していた。 インテリジェネティックス社(Intelligenetics Inc.)(カリホルニア州パロ アルト)により開発されたPC遺伝子(PC Gene)ソフトウェアを使用して、ヌク レオチド配列比較と構築を行った。 実施例5 GPVの一次アミノ酸構造の決定 cDNAとゲノム配列から推定されたGPVのアミノ酸配列を図 5Aに示す(配列番号2)。GPVは、推定される16アミノ酸シグナルペプチ ド、および推定されるC末端25アミノ酸トランスメンブランドメインを含む、 560アミノ酸よりなることが見い出された。シグナルペプチドとトランスメン ブランドメインの間に、8つのN−グリコシル化可能部位(NXS、NXT)お よび8つのシステイン残基を含有する503アミノ酸の配列がある。推定される トランスメンブランドメインに続いて16残基の親水性部分がある。このトラン スメンブランドメインのカルボキシ領域は、典型的には完全な膜タンパク質の細 胞質側に見い出される塩基性残基を含有する(サバティーニ(Sabatini)ら、J. Cell.Biol.92:1-22(1982))。これらの特徴は、GPVがその多くのポリペプチ ド鎖を細胞の外側に位置させているI型膜タンパク質であることを示唆する(図 8)。シグナルペプチド除去後のGPVポリペプチドの推定分子量は、59,2 76Daである。オリゴ糖残基当り2,500Daの重量を仮定すると、8つの N−結合炭水化物のGPVポリペプチド基本骨格への付加により、重量は79, 276Daになり、これはSDS−PAGE解析により見積もられ報告された8 2kDaの見掛けの分子量に近い(バーントとフィリップス(Berndt and Philli ps)、J.Biol.Chem.256:59-65(1981);シモムラ(Shimomura)ら、Blood 77:2 349-2356(1990);ザファーとウォルツ(Zafar and Walz)、Thromb.Res.53: 31-44(1989))。 GPV細胞外配列の解析により、24アミノ酸の15のロイシンの豊富なタン デム反復配列の存在が判明した(図6)(配列番号22〜36)。これらの反復 配列は、血小板GPIbα、GPIbβ、およびGPIXに見い出された反復配 列、およびLRGファミリーの他のメンバーに見い出された反復配列に基づく2 4アミノ酸の共通配列に非常に似ている(配列番号37)。最後のGPVのLe uの豊富な反復配列(配列番号36)は、LRGファミリーの他のメンバーのL euの豊富なドメインのC末端で記載された配列に似ている配列(NSWRCD CGL)(配列番号5)がC末端側で接している(ヒッケイ(Hickey)ら、Proc .Natl.Acad.Sci.USA 86:6773-6777(1989))。 GPVのトロンビン誘導性切断は、約69kDaの可溶性断片(GPVf1) を生成する。476〜477位に、トロンビンの切断部位の可能性を表すRGジ ペプチドを含有する配列が見い出された(スタッブスとボード(Stubbs and Bode) 、Thromb.Res.69:1-58(1993))。このRG部位でのタンパク質分解性切断は、 GPVの分子量の67,613Daの減少をもたらすことになる。RG部位に隣 接する配列を他の公知のトロンビン基質と比較すると、ヒトフィブリノーゲンの AαおよびBβ鎖、ヒト血漿FXIII、およびヒト絨毛性性腺刺激ホルモンβ−サ ブユニット(図7)(配列番号38〜43)への有意な相同性が明らかになった 。インテリジェネティックス社(Intelligenetics Inc.)(カリホルニア州パロ アルト)により開発されたPC遺伝子(PC Gene)ソフトウェアを使用して、アミ ノ酸配列比較および構築を行った。 可能性ある切断部位により判明した新規なN末端配列は、トロンビン切断血小 板GPVのN−末端配列決定後に得られたThlペプチドの配列と一致した(シ モムラ(Shimomura)ら、Blood 75:2349-2356(1990);ロス(Roth)ら、Biochem .Biophys.Res.Commun.170:152-161(1990))。RGジペプチドを取り囲む配列 の点検によって、新規にクローン化されたトロンビン受容体(ヴュー(Vu)ら、 Cell 64:1057-1068(1991))、または別のトロンビン結合膜糖蛋白であるGPI bα(ロペツ(Lopez)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2135-2139(1988))と のトロンビンの相互作用を担うこと が公知である負に荷電した残基の塊は明らかにならなかった。 実施例6 RT−PCRによるヒト血小板糖蛋白vメッセージの細胞内分布の測定 cDNA配列からのプライマーを用いる高感度RT−PCR増幅法を使用して 、GPVのmRNAの細胞内分布を評価した。血小板、巨核球およびHEL細胞 中にGPVのmRNAが検出され、ホルボールエステルによる刺激後HEL細胞 で増加していたが、HL60細胞、K562、U937、または内皮細胞では検 出されなかった(図2)。 本明細書中の全ての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許ま たは特許出願が参照により具体的にかつ個々に組み込まれることが示されたと同 程度に参照により組み込まれる。 本発明は、明瞭さと理解し易さを目的として説明と実施例によりある程度詳述 されたが、添付した請求の範囲内である程度の変更と修飾が可能であることは明 白であろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C07K 16/28 8828−4B C12N 1/21 C12N 1/21 9453−4B C12Q 1/68 A 5/10 8310−2J G01N 33/50 T C12Q 1/68 8310−2J 33/68 G01N 33/50 9281−4B C12N 5/00 B 33/68 9455−4C A61K 37/02 ACA (31)優先権主張番号 08/195,006 (32)優先日 1994年2月10日 (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G B,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ ,LK,LT,LU,LV,MD,MG,MN,MW, NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,S E,SI,SK,TJ,TT,UA,UZ,VN (72)発明者 カズナブ,ジャン−ピエール フランス国,エフ―67450 ランペルテー ム,リュ デ フルール,31

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.糖蛋白Vポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列よりなる、単離 されたDNA作成体。 2.ポリヌクレオチド配列は、図5Bに記載のアミノ酸配列(配列番号2)を 有するポリペプチドをコードする、請求の範囲第1項に記載のDNA作成体。 3.ポリヌクレオチド配列は、図5Aに記載の配列(配列番号1)を有する、 請求の範囲第1項に記載のDNA作成体。 4.ポリヌクレオチド配列はイントロンが欠如している、請求の範囲第1項に 記載のDNA作成体。 5.ポリヌクレオチド配列は全長糖蛋白V蛋白をコードする、請求の範囲第1 項に記載のDNA作成体。 6.さらにポリヌクレオチド配列に機能的に結合した異種プロモーターよりな る、請求の範囲第1項に記載のDNA作成体。 7.プロモーターは真核生物中のポリヌクレオチド配列の発現を指令する、請 求の範囲第6項に記載のDNA作成体。 8.プロモーターは原核生物中のポリヌクレオチド配列の発現を指令する、請 求の範囲第6項に記載のDNA作成体。 9.請求の範囲第1項に記載のDNA作成体を含有する細胞よりなる組成物。 10.細胞は真核生物である、請求の範囲第9項に記載の組成物。 11.細胞は原核生物である、請求の範囲第9項に記載の組成物。 12.薬剤学的に許容される担体およびGPVポリペプチドよりなる医薬組成 物。 13.GPVポリヌクレオチドは、図5Bに記載の配列(配列番号2)を有す る、請求の範囲第12項に記載の組成物。 14.図5Bに記載の配列(配列番号2)を有する、単離され精製されたGP Vポリペプチド。 15.請求の範囲第14項に記載のポリペプチドと反応することができる抗体 。 16.請求の範囲第15項に記載の抗体を投与することよりなる、患者にある 程度の血小板減少症を誘発する方法。 17.ポリペプチドの直接の発現を指令するための、単離されたGPVプロモ ーターの使用。 18.図5Aに記載のポリヌクレオチド配列(配列番号1)の有無について試 料を評価することよりなる、巨核球系統の細胞の検出方法。 19.循環GPVf1を測定することよりなる、被験者の血栓形成を検出する 方法。 20.図5Aに記載の配列(配列番号1)を有する核酸にハイブリダイズする ことができる、単離された核酸。
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