JPH0750934Y2 - 両軸受リール - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は釣り用の両軸受リールに関する。

（従来技術） 従来、両軸受リールに装着されるドラッグ装置の中で所
謂レバードラッグ式と呼ばれるものは、一方の側板部に
手動のレバーによって作動する筒状カムが埋め込まれ、
この筒状カムにでもって両側板間に回転且つ軸方向に移
動自在に軸支したスプール軸の一端を押出して他端側へ
移動させる。このスプール軸に加えられたスラストはス
プールの軸支部に装着したラジアルベアリングを介して
スプールに伝達され、このスプールの側面に取付けた接
触板を上記スプール軸の他端に軸着したドラッグディス
クに対してドラッグワッシャを介して押圧することによ
って所望するドラッグ力を得ていた。

しかし、上記した様に、筒状カムからスプール軸に加え
られたスラストはスプールの軸支部のラジアルベアリン
グを介してスプールへ伝達しているので、上記ラジアル
ベアリングには過大なスラスト荷重が加わることにな
り、従って、このベアリングの耐用年数を著しく短くし
たり、円滑な回転が行なわれなかったりする結果を招い
ていた。

また、スプール自体が軸芯方向に幾分移動してしまう為
に、平行巻取装置によってラインを巻取る場合におい
て、スプールの巻取範囲と巻取装置の糸の誘導幅とがず
れてしまって、スプールの側板付近で糸崩れを生じてし
まうことがあった。

（技術的課題） 本考案の技術的課題は、レバードラッグ式の両軸受リー
ルにおいて、筒状カムからドラッグディスクへ伝達する
スラストを、スプールの軸支部に装着されるベアリング
を介すことなく伝達することであり、これによって上記
ベアリングの損傷を無くすと共に、スプールがスラスト
方向に移動してしまうのを防止することである。

（技術的課題を解決する為の手段） 本考案が上記した技術的課題を解決する為の手段は、ス
プールをスプール軸により回転自在且つ軸方向に相対移
動可能に軸支し、このスプール軸の両端を両側板で回転
自在且つ軸方向に移動可能に軸受けすると共に、上記ス
プールを軸芯方向の移動に対する抑止手段によって保持
し、且つスプール軸一端に嵌合したベアリングを調整ね
じ板と共にピンホルダーの内部に嵌合し、且つそのピン
ホルダーは、側板に回動自在に保持した手動により回動
自在な筒状カムの内部に摺動自在に嵌装すると共に、ピ
ンホルダーの外周面に突設したピンは前記筒状カムの端
面のカム面に係合させてスプール軸を軸方向に移動自在
に支持し、該スプール軸の他端側の外周にスプールの側
面に取り付けたドラッグディスクを挟持する一対の挟持
板を設け、そのスプール側寄りの挟持板をスプール軸外
周面とのスプライン係合によりスライド自在に支持し、
このスプール側寄りの挟持板におけるスプール側面と対
向する面側の軸支部の端部とスプール軸外周の段差部と
の間に皿ばねを介して衝合し合うスリーブを嵌装したも
のである。

（作用） 以上の手段によれば、スプール軸はスプールを軸支した
状態で両側板間に回転自在、且つ軸方向に移動可能に支
持され、また、上記スプールは抑止手段に保持されて軸
芯方向への移動が抑止される。

筒状カムを作動させてスプール軸を他端側へ押し出す
と、同軸に設けたスリーブが皿ばねを圧縮し、この皿ば
ねの反発力によって内側挾持板側のスリーブと内側挾持
板とがスプール軸のスプライン上を他端側へ向けてスラ
イド移動される。

これにより、両挾持板がスプール側面に取付けたドラッ
グディスクを上記スラストに伴なう挾持力でもって挾持
し、所望のドラッグ力を得る。

（効果） 本考案は以上の様に、筒状カムからドラッグディスクに
伝達するスラストを、スプールの軸支部のベアリングを
介すことなく伝達しているので、上記ベアリングが従来
の両軸受リールの様に短期間の内に損傷してしまうこと
がなく長期にわたり円滑な回転が行なわれる。

また、スプールがスラストによって軸芯方向に移動する
ことがないので、平行巻取装置を用いてラインの巻取り
を行なう際にも糸崩れを起すことなく確実に巻取ること
ができる。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。

第１図にて示す両軸受リール（Ａ）は、両側板（１）
（１′）を連結杆（不図示）によって所定の間隔にて支
持し、両側板（１）（１′）間にスプール軸（２）を回
転且つ軸方向に移動自在に支持してある。

スプール軸（２）は、一端側の外周にギヤシャフト（1
4）に取付けられるメインギヤ（15）と噛合するピニオ
ンギヤ（2a）を一体に設けると共に、他端側にはスプラ
イン溝（2b）を形成し、このスプライン溝（2b）に外側
挾持板（４）と内側挾持板（４′）の軸支部（4a）
（４′ａ）をスライド自在に係合させてある。

そして、上記スプール軸（２）の両端部は、同軸（２）
一端に嵌合されるベアリング（13）と、外側挾持板（4
a）の軸支部（４′ａ）に嵌合されるベアリング（1
3′）とを介して、両側板（１）（１′）中心の軸受部
（1a）（１′ａ）に軸受されている。

スプール軸（２）一端に嵌合されたベアリング（13）は
調整ねじ板（17）と共にピンホルダー（18）の内部に納
められ、且つこのピンホルダー（18）は筒状カム（６）
の内部に摺動自在に嵌装されると共に、外周面に突設さ
せたピン（19）が上記筒状カム（６）端面のカム面（6
a）と係合している。

筒状カム（６）は側板（１）に取付固定されるカムホル
ダー（20）の内部で回動自在に保持され、同カム（６）
後端に取付けられたドラッグレバー（７）によって回動
する様になっている。

筒状カム（６）をドラッグレバー（７）によって第１図
の状態から回動させると、傾斜するカム面（6a）がピン
ホルダー（18）のピンを押出し、これによってスプール
軸（２）がベアリング（13）と一緒に同軸（２）他端側
へ向けて移動されるものである。

上記スプール軸（２）によって軸支されるスプール
（３）の軸支部には、ベアリング（９）（９′）が嵌装
してあり、この両ベアリング（９）（９′）をスプール
軸（２）と、同軸（２）のスプライン溝（2b）部に係合
する内側挾持板（４）の軸支部（4a）に対して摺動自在
に嵌合されることにより、スプール（３）がスプール軸
（２）周りに回転すると共に、同スプール軸（２）が上
記両ベアリング（９）（９′）の内部を軸方向に移動で
きる様にしてある。

また、ベアリング（９′）側のスプール（３）側板（3
a）における外側面の外周部にはベアリング（16）を嵌
合すると共に、該ベアリング（16）を側板（１′）の受
部（１′ｂ）にて受け、且つ、そのベアリング（16）の
開放側端面を止めリング（21）及び（22）によって止め
ることにより、スプール（２）の軸芯方向の移動を上記
ベアリング（16）によって抑止せしめている。

上記側板（１′）外側面におけるベアリング（16）の内
側周縁部分に沿って第４図にて示す如く６本のガイドピ
ン（23）を外方へ向けて立設し、これらガイドピン（2
3）が作る円周の内側に前記した内外両挾持板（４）
（４′）の間に介在したドーナツ板状のドラッグディス
ク（５）を嵌め込むと共に、同ディスク（５）外周縁に
凹設した係合溝（5a）を上記各ガイドピン（23）に嵌合
させる。これにより、ドラッグディスク（５）がスプー
ルと一体に回転すると共に、スプール軸（２）方向へ移
動自在となる。

また、外側挾持板（４′）の外周縁部の内周面には第４
図にて示す如く逆止め歯（24）が設けてあり、この逆止
め歯（24）に対して側板（１′）内面に取付けた爪片
（25）を弾圧状に係合せしめることにより、上記外側挾
持板（４′）及びスプール軸（２）の逆転を防止してい
る。

そして、内側挾持板（４）の軸支部（4a）端部とスプー
ル軸（２）の段差部（2c）とには衝合し合うスリーブ
（11），（10）を嵌着し、両者（11），（10）の間にド
ラッグ力を調整する皿バネ（12）を介在させてある。

上記した如き構成の両軸受リール（Ａ）は、ドラッグ機
構を効かせない状態において、内外両挾持板（４）
（４′）は両者間に介在させたスプリングの反発力によ
ってドラッグディスク（５）から離れた状態となる。従
って、ハンドル（８）を廻して駆動力をギヤシャフト
（14）−メインギヤ（15）−ピニオンギヤ（2a）−スプ
ール軸（２）と伝達しても、スプール（３）は回動せ
ず、正逆両方向に自由に回転する。

ドラッグレバー（７）を回動させて筒状カム（６）を回
動させると、このカム（６）によってスプール軸（２）
にスラストが加わって、ベアリング（９）（９′）に支
持されながら軸方向へ移動し、スリーブ（10）が皿ばね
（12）を圧縮させる（第２図）。

皿ばね（12）の反発力はスリーブ（11）を介して内側挾
持板（４）を押し出し、これにより、内外両挾持板
（４）（４′）がドラッグディスク（５）を挾持する。

ドラッグディスク（５）と両挾持板（４）（４′）との
間には、上記スラストの大きさに伴なう摩擦力が生じて
所定のドラッグ力が設定され、そして、スプール（３）
に設定されたドラック力よりも大きな力が加わった時
に、上記ドラッグディスク（５）がスリップしてスプー
ル（３）が逆回転する。

以上の様に、両軸受リール（Ａ）は筒状カム（６）から
内側挾持板（４）に伝達されるスラストが、スプール
（３）を軸支するベアリング（９）（９′）を介さずに
伝えられるものであるから、上記両ベアリング（９）
（９′）はスプール（３）に加わるラジアル荷重だけを
受けて円滑に回転し、従って、スプール（３）が軸芯方
向にずれてしまうこともない。

さらに、上記スプール（３）はベアリング（16）によっ
て軸芯方向への移動を抑止されているので、ラインを巻
取っている最中において、スプール（３）にスラストが
加わったとしても、軸芯方向に移動してしまうことはな
い。

第５図は、スプール（３）の軸芯方向の移動を抑止する
抑止手段の第２実施例を示し、側板（１）の内側にプレ
ート（27）を嵌着すると共に、同プレートの中心部に支
持筒（28）を取付ける。この支持筒（28）の外周にはス
プール（３）の一方を軸支するベアリング（9a）を嵌合
すると共に、同筒（28）内周にベアリング（9b）を嵌め
入れ、このベアリング（9b）でスプール軸（２）を回転
自在且つ相対スライド自在に軸受してある。

即ち、スプール（２）の軸支部に外輪を嵌着したベアリ
ング（9a）の内輪の両側をプレート（27）と支持筒（2
8）の端部周縁とによって挾持することによって、スプ
ール（２）の軸芯方向の移動を抑止したものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を実施した両軸受リールを示す縦断正面
図、第２図は同リールのスプール軸を移動させてドラッ
グを効かせた状態を示す縦断面図、第３図は第１図にお
けるIII−III線断面図、第４図は第１図におけるIV−IV
線断面図、第５図はスプール軸支部に抑止手段を施した
両軸受リールを示す縦断正面図である。 図中、 A:両軸受リール、1,1′：側板 2:スプール軸、3:スプール 4:内側挾持板、４′：外側挾持板 5:ドラッグディスク、6:筒状カム 9,9′：ベアリング（スプール軸支部） 9a,16:ベアリング（抑止手段） 10,11:スリーブ 12:皿ばね

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】スプールをスプール軸により回転自在且つ
   軸方向に相対移動可能に軸支し、このスプール軸の両端
   を両側板で回転自在且つ軸方向に移動可能に軸受けする
   と共に、上記スプールを軸芯方向の移動に対する抑止手
   段によって保持し、且つスプール軸一端に嵌合したベア
   リングを調整ねじ板と共にピンホルダーの内部に嵌合
   し、且つそのピンホルダーは、側板に回動自在に保持し
   た手動により回動自在な筒状カムの内部に摺動自在に嵌
   装すると共に、ピンホルダーの外周面に突設したピンは
   前記筒状カムの端面のカム面に係合させてスプール軸を
   軸方向に移動自在に支持し、該スプール軸の他端側の外
   周にスプールの側面に取り付けたドラッグディスクを挟
   持する一対の挟持板を設け、そのスプール側寄りの挟持
   板をスプール軸外周面とのスプライン係合によりスライ
   ド自在に支持し、このスプール側寄りの挟持板における
   スプール側面と対向する面側の軸支部の端部とスプール
   軸外周の段差部との間に皿ばねを介して衝合し合うスリ
   ーブを嵌装した両軸受リール。