JPH0750914A - 水田作業機の施肥構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 圃場面下にペースト状の肥料を送り込むもの
で、この肥料の送り込み深度の調節を楽に行う。 【構成】 フロートに溝切板１３を備え、この溝切板１
３に対して肥料を圃場面下に送り出す複数のノズル１５
を形成し、このノズル１５を選択して解放可能な蓋部１
６を備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、作業装置に備えたフロ
ートに溝切板を備えると共に、加圧供給されるペースト
状の肥料を前記溝切板に設けたノズルから圃場面下に送
り出すよう構成した水田作業機の施肥構造の改良に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、上記のように構成された施肥構造
として実公昭６３‐４９１４８号公報に示されるものが
存在し、この従来例では、フロートの下面より更に下方
に突出する状態にパイプ状の部材を配置し、このパイプ
状部材のノズルから肥料を圃場面下に送り出すよう構成
されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この種の施肥構造は、
従来例にも示されるように、田植機の苗植付部等に備え
て苗の近傍の圃場中に肥料を送り込むものであり、又、
このようにペースト状の肥料を加圧供給するものでは、
加圧と同時にノズルから肥料が送り出されるので、例え
ば、粒状の肥料を自重で落下供給するものと比較して施
肥のタイムラグが無く、所望の位置に施肥を行えるとい
う良好な面を有するものなっている。

【０００４】しかし、従来例のようにパイプ状部材でノ
ズルを形成したものでは、施肥の深度を調節するにも、
フロートに対してパイプ状部材を上下方向に位置変更す
る必要を生じて調節に手間が掛かるばかりで無く、パイ
プ状部材の位置調節を可能とする構造を必要とする等、
構造も複雑になりやすく改善の余地がある。本発明の目
的は、ペースト状の肥料を加圧供給するという有効な面
を損なうこと無く、簡単な操作で施肥の深度を調節でき
る施肥構造を合理的に構成する点にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の特徴は冒頭に記
したように、作業装置に備えたフロートに溝切板を備え
ると共に、加圧供給されるペースト状の肥料を前記溝切
板に設けたノズルから圃場面下に送り出すよう構成した
水田作業機の施肥構造において、前記ノズルを、圃場面
下の夫々異なる深度に肥料を送り出すよう溝切板の上下
方向に沿う複数箇所に設け、夫々のノズルを選択的に開
閉する蓋部を備えている点にあり、その作用、及び、効
果は次の通りである。

【０００６】

【作用】上記特徴によると、施肥の深度を調節する際に
は、図２に示す如く、溝切板１３に形成した複数のノズ
ル１５のうちの１つを選択して解放するよう他のノズル
１５を蓋部１６で閉塞することにより、選択したノズル
１５から肥料が送り出されるものとなる。つまり、施肥
の深度を調節する際に、溝切板１３をフロート９に対し
て上下方向に位置を変更せずに済むばかりで無く、ノズ
ルを形成した部材を上下方向に位置変更する構造を備え
ずに済み、更に、同図に示す如く、ノズル１５に雌ネジ
を形成し、蓋部１６に雄ネジ式を形成する程度の簡単な
構成の採用によって施肥深度の変更が可能となる。

【０００７】

【発明の効果】従って、ペースト状の肥料を加圧供給す
るという従来からの有効な面を損なうこと無く、ノズル
の開閉という簡単な操作で施肥の深度を調節できる施肥
構造が合理的に構成されたのである。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１に示すように、前後車輪１，１を有する機体
の前部に原動部２を備え、又、原動部２の動力が伝えら
れるミッションケース３、運転座席４を備えると共に、
該機体の後部に作業装置としての苗植付装置Ａを昇降自
在に連結し、又、この苗植付装置Ａの苗植付タイミング
と同時に苗の近傍位置の圃場面Ｓより下に肥料の供給を
行う施肥装置を備えて水田作業機としての田植機が構成
されている。

【０００９】前記苗植付装置Ａは複数のマット状Ｗの苗
を載置する苗載せ台５と、この苗載せ台５に載置したマ
ット状苗Ｗの下端から苗を１株ずつ切り出すようロータ
リ型のケース６に備えた一対の植付けアーム７，７と、
この植付けアーム７，７を駆動する伝動ケース８と、複
数の整地フロート９‥とを有して構成されている。

【００１０】前記施肥装置は、ペースト状の肥料を貯留
するよう前記原動部２の側部に配置されたタンク１０
と、このタンク１０からの肥料を苗植付装置近傍まで送
るホース１１と、このホース１１からの肥料を送り出す
よう伝動ケース８からの動力で駆動されるポンプ１２
と、前記整地フロート９に備えた溝切板１３と、ポンプ
１２からの肥料を溝切板１３に送る供給パイプ１４とを
有して構成される。

【００１１】図２乃至図４に示すように、溝切板１３
は、整地フロート９の下面位置から緩やかに後方下方に
向かう先鋭な溝切り面を有し、その後端に鉛直方向に向
かう後端面１３Ａを有し、この後端面１３に対して上下
方向に所定の間隔を隔てて複数のノズル１５‥を開口形
成し、このノズル１５‥と連通する肥料供給経路１３Ｂ
を、その内部に穿設している。又、前記ノズル１５‥の
開口部には夫々雌ネジを形成してあり、この雌ネジとの
螺合によって、ノズル１５を閉塞するよう雄ネジを形成
した蓋部１６を、該のノズル１５に着脱自在に構成して
いる。

【００１２】そして、この施肥装置の使用時には、施肥
の深度に対応して蓋部１６を選択して取外すことによ
り、苗植付タイミングと同時に駆動されるポンプ１２に
よって加圧された肥料が、前述のように解放されたノズ
ル１５から圃場面Ｓから所定の深度で、かつ、植付け苗
の近傍位置に肥料を送り出すものとなる。

【００１３】尚、この田植機では、粒状の肥料の施肥も
行えるよう構成され、この形態での施肥を行う際には、
図１に仮想線で示すように、肥料を貯留するホッパー１
７、繰出し機構１８等を備えると共に、溝切板１３の後
端面１３Ａに形成したネジ孔１９に螺合するネジ２０で
作溝器２１を該溝切板１３に連結固定し、この作溝器２
１の内部に粒状の肥料を落下供給することになる。尚、
この作溝器２１は後ろ向きに開口する断面形状Ｕ字状に
構成される。

【００１４】〔別実施例〕本発明は上記実施例以外に、
例えば、ノズルの開口内面に弾性的に嵌まり込んで固定
されるよう摩擦嵌合型に蓋部を構成することが可能であ
り、スライド式のシャッターで蓋部を構成することも可
能であり、更に、肥料を加圧供給するポンプを溝切板夫
々に対応した数だけ備えて良く、又、単一のポンプで夫
々の溝切板に肥料を供給するよう構成することも可能で
ある。

【００１５】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】田植機の全体側面図

【図２】ノズルの構造を示す溝切板の一部切欠き側面図

【図３】フロート部の平面図

【図４】溝切板の後面図

【符号の説明】

９ フロート １３ 溝切板 １５ ノズル １６ 蓋部 Ａ 作業装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 作業装置（Ａ）に備えたフロート（９）
   に溝切板（１３）を備えると共に、加圧供給されるペー
   スト状の肥料を前記溝切板（１３）に設けたノズル（１
   ５）から圃場面下に送り出すよう構成した水田作業機の
   施肥構造であって、 前記ノズル（１５）を、圃場面下の夫々異なる深度に肥
   料を送り出すよう溝切板（１３）の上下方向に沿う複数
   箇所に設け、夫々のノズル（１５）を選択的に開閉する
   蓋部（１６）を備えている水田作業機の施肥構造。