JPH0750901Y2 - コンバインの穀稈刈取装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は穀稈の刈取りを行う第１刈刃の後方に、刈取後
の切株をさらに刈取って所望の切株高さに調整する第２
刈刃を配設するようにしたコンバインの穀稈刈取装置に
関する。

「従来の技術」 この種第１刈刃及び第２刈刃を備えた手段のものに例え
ば実願昭62−96922号（実開昭64−430号公報）記載のも
のがある。

「考案が解決しようとする問題点」 しかし乍ら上記手段のものなどにあっては、第１刈刃を
有する刈取部に連動させ収納状態の第２刈刃を上下動さ
せる場合、刈取部の最下位置より第２刈刃が常に上方に
位置する状態とならず、機体走行中においては畦や障害
物などに刈取部の最下位置が接触しない場合にも第２刈
刃が接触して破損する不都合がある。またこのため、刈
取部とは別個に第２刈刃のみを上下動させる油圧シリン
ダなどを用いて上述の如き破損防止を図る場合、該油圧
シリンダの他制御のための多数のセンサなどを必要とし
て極めて構造を複雑化させるばかりでなくコスト高のも
のとする欠点があった。

「問題点を解決するための手段」 したがって本考案は、穀稈刈取用第１刈刃を有する刈取
部本体と、第１刈刃後方の切株高さ調整用第２刈刃の各
基端を刈取回動支点軸及び第２刈刃支点軸を介し各別に
機体前部に上下動自在に支持する構造において、刈取部
の上下動に第２刈刃を連動させる連結フレームを刈取部
及び第２刈刃の各取付支点軸間に設けるに、これら各支
点軸を刈取部の最下位置より上方に第２刈刃を常に収納
保持する位置に設けたものである。

「作用」 而して本考案によれば、前記第２刈刃を収納しての刈取
部の上下動時にあっては、刈取部の最下位置よりも第２
刈刃が常に上方に位置する状態となって、機体走行中畦
や障害物などに第２刈刃が接触し損傷するなどの事故が
防止されると共に、第２刈刃に土押しなどによる余分な
負荷がかかることを防止して第２刈刃の支持強度の低減
化も可能にでき、したがって第２刈刃の安全性と耐久性
向上が図れるものである。

「実施例」 以下本考案の一実施例を図面に基づいて詳述する。

第１図は刈取部の側面説明図、第２図は全体の側面図、
第３図は同平面図であり、図中（１）は走行クローラ
（２）をトラックフレーム（３）に装備する機台、
（４）は軸流式のスクリュ形扱胴（５）及び選別機構
（６）を備えていて前記機台（１）に搭載する脱穀部、
（７）は揚穀筒（８）を介して取出す脱穀部（４）の穀
粒を溜める穀物タンク、（９）は前記脱穀部（４）の下
部前方に油圧シリンダ（10）を介して昇降可能に装設す
る刈取部、（11）は運転席（12）及び運転操作部（13）
を備えていて前記穀物タンク（７）の前方に固設させる
運転台、（14）は前記穀物タンク（７）の後方に備えて
いてエンジン（15）を内設するエンジン室、（16）は前
記穀物タンク（７）内の穀粒を取出す穀粒搬出オーガで
ある。

そして前記刈取部（９）は、未刈り穀稈を取入れる穀物
刈取ヘッダー（17）と、該ヘッダー（17）の後部略中央
に連結させて刈取り穀稈を脱穀部（４）に送給するフィ
ーダハウスである供給室（18）によって構成すると共
に、未刈り穀稈掻込み用リール（19）と、往復駆動型第
１及び第２刈刃（20）（21）と、穀稈掻込オーガ（22）
と、穀稈強制引起装置（23）とを前記穀物ヘッダー（1
7）に備え、前記ヘッダー（17）に取込まれる刈取穀稈
を供給室（18）に内設する供給チェンコンベア（24）を
介し脱穀部（４）に送り込んで脱穀処理するように構成
している。

また前記脱穀部（４）の左外側には二番還元筒（25）を
突出状に配備させていて、二番処理物を選別機構（６）
上方に戻し再脱穀及び再選別するように設けている。

前記第１刈刃（20）は刈取ヘッダー（17）の刈取フレー
ム（26）前端に備えて穀稈を刈取ると共に、前記第２刈
刃（21）は第１刈刃（20）後方の低位置に備えて第１刈
刃（20）によって刈取れた切株の切株高さを調整するも
ので、前記第２刈刃（21）を装着する刈刃フレーム（2
7）の基端を上下回動支点軸（28）及び支持台（29）を
介して機台（１）前部に上下動自在に支持すると共に、
前記供給室（18）の右外側壁（18a）の第２刈刃収納用
レバー（30）に連結フレーム（31）を介して前記刈刃フ
レーム（27）を連結させている。

第４図に示す如く、前記収納用レバー（30）は基端を右
外側壁（18a）の固定取付板（32）に軸（33）を介して
揺動自在に支持し、左右の刈刃フレーム（27）間に横架
する横フレーム（34）中間の固定ブラケット（35）に連
結フレーム（31）を介し前記レバー（30）の中間を連結
させるもので、前記ブラケット（35）に取付支点軸（3
6）を介して連結フレーム（31）の下端側を可揺動に枢
支させると共に、前記レバー（30）の中間に可回動に取
付ける取付支点軸（37）に下動規制ナット（38）を介し
て連結フレーム（31）の上端側を上方側へのみ移動自在
に連結させている。そして前記右外側壁（18a）に固設
するフック状のレバー係止ガイド（39）に前記レバー
（30）を係合させるとき、前記連結フレーム（31）を介
して第２刈刃（21）を吊下げ状態に上方収納位置に保持
すると共に、前記ガイド（39）よりレバー（30）を係合
解除するとき第２刈刃（21）をフリー状態として自重に
より下動させ、機台（１）下面に設置する切株高さ調整
用の調節ボルトであるストッパー（40）に前記刈刃フレ
ーム（27）の固定係止板（41）を当接させるとき第２刈
刃（31）を位置保持して前記第１刈刃（20）で刈取られ
た後の切株高さの調整を行うように構成している。

ところで、前記第２刈刃（21）の収納保持状態のとき前
記刈取フレーム（26）の横パイプ（42）の最下位置高さ
（ａ）及び刈取フレーム（26）の最下位置高さ（ｂ）よ
り第２刈刃（21）の刈刃高さ（ｃ）及び第２刈刃フレー
ム（21a）の最下位置高さ（ｄ）を大（ａ、ｂ＜ｃ、
ｄ）に形成すると共に、前記第２刈刃（21）を収納保持
した状態で刈取部（９）を回動支点軸（43）を中心とし
て上動させた状態のときにも各横パイプ（42）の最下位
置高さ（a1）（a2）及び刈取フレーム（26）の最下位置
高さ（b1）（b2）より第２刈刃（21）の刈刃高さ（c1）
（c2）及び第２刈刃フレーム（21a）の最下位置高さ（d
1）（d2）をいずれの上動位置高さにおいても大（a1、b
1＜c1、d1）（a2、b2＜c2、d2）に形成するように前記
支点軸（36）（37）間に連結フレーム（31）を取付け
て、刈取部（９）の何れの上動高さ位置にあっても収納
保持した第２刈刃（21）が刈取フレーム（26）より上方
位置にあって機体走行中畦や障害物などに直接的に接触
して破損することを防止するように構成している。

つまり、前記回動支点軸（43）を中心とした刈取部
（９）の上下移動時にあっては、刈取部（９）及び第２
刈刃（21）の刈刃フレーム（27）間を連結する連結フレ
ーム（31）の略垂直姿勢を維持させたまま刈取部（９）
に第２刈刃（21）を追従させ、前記刈刃フレーム（27）
の支点軸（36）取付位置部においては刈取部（９）の支
点軸（38）取付位置部と略同等の移動量のものとし、前
記支点軸（43）を中心とした刈取部（18）全体の移動変
位角に対し、刈取部（18）より支点軸（28）を中心とし
た作用長の短い刈取フレーム（27）の移動変位角を大と
させることによって、前記支点軸（43）を中心としての
刈取フレーム（26）までの作用長の長い刈取フレーム
（26）側の上下移動量に対し、前記支点軸（28）を中心
としての第２刈刃（21）までの作用長の短い第２刈刃
（21）の上下移動量を略同等若しくは若干大とさせて刈
取フレーム（26）より第２刈刃（21）を常に上方位置に
保持するように構成したものである。

なお、刈取作業中にあっては第１刈刃（20）の刈刃高さ
（ｅ）と第２刈刃（21）の使用状態時での刈刃高さ（C
3）及び収納保持での刈刃高さ（ｃ）との間には（c3＜
ｅ＜ｃ）の関係が成立するように設けたものである。ま
た前記第２刈刃（21）の収納保持状態での刈取部（９）
を上下動させた場合供給室（18）の横フレーム（44）と
第２刈刃（21）との間に形成される最小隙間（ｌ）（
１）（l2）はその上下高さにかかわらず略等しい（ｌ≒
１≒l2）関係を維持させて、第２刈刃（21）と供給室
（18）との干渉を防止するように構成したものである。

本実施例は上記の如く構成しており、前記刈取ヘッダー
（17）にリール（19）を介して未刈り穀稈を取入れ、そ
の未刈り穀稈と株元を第１刈刃（20）によって切断する
と共に、前記ヘッダー（17）略中央部から供給室（18）
に穀稈掻込オーガ（22）を介して刈取り穀稈を送込み、
その刈取り穀稈を刈取り穀稈供給チェンコンベア（24）
によって脱穀部（４）に送給し、スクリュ形扱胴（５）
によって順次脱粒し、その脱粒した穀粒を選別機構
（６）を落下させる間に選別し、整粒のみ穀物タンク
（７）に取出すものである。

斯る作業中、第１刈刃（20）によって刈取られた後の切
株はこの後方の第２刈刃（21）によってさらに上端を刈
取られてその切株高さが所定の一定高さのものに調整さ
れるもので、前記レバー（30）を持上げて係止ガイド
（39）に係合保持させるときこの第２刈刃（21）は上方
の収納刈刃高さ（ｃ）位置に収納される。

而して刈取部（９）の刈取作業位置より最上動位置間の
何れの高さ位置においても、収納保持状態の第２刈刃
（21）の刈刃高さ（ｃ）（c1）（c2）及びフレーム（21
a）の最下位置高さ（ｄ）（d1）（d2）は刈取フレーム
（26）の横パイプ（42）の最下位置高さ（ａ）（a1）
（a2）及び刈取フレーム（26）の最下位置高さ（ｂ）
（b1）（b2）より大（ａ、ｂ＜ｃ、ｄ）（a1、b1＜c1、
d1）（a2、b2＜c2、b2）の関係を成立させて、機体走行
中畦や障害物などに直接的に第２刈刃（21）を接触させ
て破損するなどの事故を防止するもので、またこのよう
な刈取部（９）の上下時供給室（18）の横フレーム（4
4）と第２刈刃（21）との最小隙間（ｌ）（１）（l
2）を略一定（ｌ≒１≒l2）とさせることによって第
２刈刃（21）と供給室（18）との干渉も防止できて第２
刈刃（21）の一層の安全保護が図れる。

「考案の効果」 以上実施例からも明らかなように本考案は、穀稈刈取用
第１刈刃（20）を有する刈取部（９）本体と、第１刈刃
（20）後方の切株高さ調整用第２刈刃（21）の各基端を
刈取回動支点軸（43）及び第２刈刃支点軸（28）を介し
各別に機体前部に上下動自在に支持する構造において、
刈取部（９）の上下動に第２刈刃（21）を連動させる連
結フレーム（31）を刈取部（９）及び第２刈刃（21）の
各取付支点軸（37）（36）間に設けるに、これら各支点
軸（37）（36）を刈取部（９）の最下位置より上方に第
２刈刃（21）を常に収納保持する位置に設けたものであ
るから、極めて構造簡単にして経済的な手段により刈取
部（９）の上下高さ如何にかかわらず刈取部（９）の最
下高さ位置より第２刈刃（21）を上方に収納保持してそ
の安全保護を図ることができると共に、第２刈刃（21）
に土押しなどによる余分な負荷のかかることも防止でき
て第２刈刃（21）の支持強度の低減化も可能にでき、し
たがって第２刈刃（21）の安全性と耐久性向上が図れる
など顕著な効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は刈取部の側面説明図、第２図は全体の側面図、
第３図は同平面図、第４図は第２刈刃部の正面説明図で
ある。 （９）…刈取部 （20）…第１刈刃 （21）…第２刈刃 （28）（43）…支点軸 （31）…連結フレーム （36）（37）…支点軸

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】穀稈刈取用第１刈刃を有する刈取部本体
   と、第１刈刃後方の切株高さ調整用第２刈刃の各基端を
   刈取回動支点軸及び第２刈刃支点軸を介し各別に機体前
   部に上下動自在に支持する構造において、刈取部の上下
   動に第２刈刃を連動させる連結フレームを刈取部及び第
   ２刈刃の各取付支点軸間に設けるに、これら各支点軸を
   刈取部の最下位置より上方に第２刈刃を常に収納保持す
   る位置に設けたことを特徴とするコンバインの穀稈刈取
   装置。