JPH075033A - レーザの周波数変調特性測定方法およびその装置ならびにその校正方法 - Google Patents

レーザの周波数変調特性測定方法およびその装置ならびにその校正方法

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JPH075033A
JPH075033A JP14449693A JP14449693A JPH075033A JP H075033 A JPH075033 A JP H075033A JP 14449693 A JP14449693 A JP 14449693A JP 14449693 A JP14449693 A JP 14449693A JP H075033 A JPH075033 A JP H075033A
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JP
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laser
gas
temperature
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frequency
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JP14449693A
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English (en)
Inventor
Masahiko Uchida
昌彦 内田
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Hitachi Cable Ltd
Original Assignee
Hitachi Cable Ltd
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Publication date
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  • Testing Of Individual Semiconductor Devices (AREA)
  • Photometry And Measurement Of Optical Pulse Characteristics (AREA)
  • Testing Of Optical Devices Or Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 変調振幅が大きくなってもレーザの周波数変
調特性を小さな誤差で容易に測定することができ、ガス
信号の補正が容易な方法およびその装置を提供する。 【構成】 駆動電流および温度に応じて光強度および光
周波数の変化するレーザ20の駆動電流を変調し、変調
されたレーザ光を吸収係数および半値全幅が既知の吸収
ガスを含んだガスセル27に透過させ、その透過光の強
度を検出してこの検出信号中の特定成分を位相敏感検波
し、この検波信号からレーザ20の変調特性を測定する
ことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザの周波数変調特
性測定方法およびその装置ならびにその校正方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザのバイアス電流を変調する
と周波数変調が生じる。この特性を利用すると、ヘテロ
ダイン光通信システム等への応用ができる。このような
応用に際しては、半導体レーザの駆動電流を正弦波変調
したときの発振周波数偏移(FM振幅特性)および、変
調電流と変調された発振周波数との間の位相差(FM位
相特性)を把握することは極めて重要である。
【0003】図8はレーザのFM変調特性を測定する従
来の測定装置の構成図である。
【0004】直流電源1で励起された半導体レーザ2が
発振器3で変調され、その変調されたレーザ光がハーフ
ミラー4を介して2つの光周波数弁別器に入射されてい
る。光周波数弁別器としては、ファブリ・ペロ・エタロ
ン5あるいは、コーナキューブ6a、6b、コーナキュ
ーブ6bを移動させるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)
7、PZT駆動電源8およびハーフミラー9からなるマ
イケルソン干渉計10が用いられる(図では2つ記載さ
れているがいずれか一方でよい)。これら光周波数弁別
器5、10は、入射光の光周波数の変化を透過光の強度
変化に変換するものである。次に光周波数弁別器5、1
0からの透過光をフォトダイオード(以下PDという)
11、12でそれぞれ受光する。SN(信号対雑音)特
性を向上させるために、PD11、12からの検波信号
はプリアンプ13、14で増幅され、ロックインアンプ
15、16に入力されて位相敏感検波される(尚、位相
敏感検波とは、特定の周波数および位相をもつ成分だけ
を抽出して、その振幅を測定することである)。
【0005】ここで、検出した透過光強度変化をIt
おく。半導体レーザのように、正弦波電流重畳により、
FM変調と同時にAM変調のかかる場合、FM変調によ
る強度変化分をIFM、AM変調による強度変化分をIAM
とするとIt 、IFMおよびIAMの関係は数1で表され
る。
【0006】
【数1】It =IFM+IAM ここで、透過光強度変化It とAM変調成分IAMとの位
相差をφ、FM変調成分IFMとAM変調成分IAMとの位
相差をθとすると、位相差θは数2のように表される。
【0007】
【数2】θ=tan-1{|It |sinφ/(|It
cosφ−|IAM|)} 以上よりFM振幅特性およびFM位相特性を測定するこ
とができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た装置には以下の問題点がある。
【0009】(1) レーザ光源の変調度を大きくし、A
M、FM変調成分を大きくすると測定誤差を生じる。
【0010】(2) いくつかの光学部品を用いており、こ
れらの光軸調整を行わなければならず、煩わしい作業が
必要となる。
【0011】(3) レーザ光源が劣化し、例えば半導体レ
ーザの電流−光出力特性、変調特性が変化したときに補
正することができないため、レーザの劣化を予想して定
期的にガス濃度−ガス信号の関係を求め直す必要があ
り、作業が煩わしい。
【0012】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決
し、変調振幅が大きくなってもレーザの周波数変調特性
を小さな誤差で容易に測定することができ、ガス信号補
正が容易な方法およびその装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、駆動電流および温度に応じて光強度および
光周波数の変化するレーザの駆動電流を変調し、変調さ
れたレーザ光を吸収係数および半値全幅が既知の吸収ガ
スを含んだガスセルに透過させ、その透過光の強度を検
出してこの検出信号中の特定成分を位相敏感検波し、こ
の検波信号からレーザの変調特性を測定するものであ
る。
【0014】また、本発明は、測定対象となるレーザ
と、所定の電流値を中心として、ある振幅でレーザの駆
動電流を変調すると共に、レーザの温度を徐々に変化さ
せる温度制御装置と、レーザ光が透過するためのガスセ
ルと、そのガスセル内に濃度の異なるガスを置換するた
めのガスボンベと、透過したレーザ光の光周波数を測定
するスペクトルアナライザと、レーザ光強度を検出する
光検出器と、この光検出器の出力中の特定成分を位相敏
感検波してレーザの変調特性を測定する測定手段とを備
えたものである。
【0015】さらに、本発明は、駆動電流および温度に
応じて光強度および光周波数の変化するレーザの駆動電
流あるいは温度を変えたときに発振するレーザ光を受光
素子あるいは光スペクトルアナライザに入力し、レーザ
の電流−光出力および電流−発振強度を測定し、さらに
前記レーザの駆動電流あるいは温度を変え、発振強度、
発振周波数の変化したレーザ光を既知濃度のガスセルに
透過させ、その透過光強度を測定してガスの吸収係数お
よび半値全幅の値を測定し、前記レーザの駆動電流ある
いは温度を変化させて所定の光周波数を中心にある大き
さで変調されたレーザ光を、一定濃度に保たれたガス雰
囲気に通して透過光強度を検出し、この検出信号中の特
定成分を位相敏感検波して、この検波信号からレーザの
変調特性を校正するために測定するものである。
【0016】
【作用】まずFM(周波数)変調およびAM(振幅)変
調について述べる。
【0017】(FM変調)吸収ガス濃度c(atm)、
光路長le (m)としたとき透過率Tは、ランベルト・
ベールの法則により数3で表される。
【0018】
【数3】T=exp(−α(ν)・c・le ) 但し、α(ν)は光周波数νでの吸収ガスの吸収係数
(atm-1・m-1)である。
【0019】また、α(ν)・c・le <0.05の場
合の透過率Tは数4で表される。
【0020】
【数4】T=1−α(ν)・c・le 半導体レーザの発振周波数νは、温度と駆動電流との関
数であるが、温度を一定としたときに駆動電流を周波数
ωで変調すると、発振周波数νは数5に従って周波数ω
でFM変調される。
【0021】
【数5】ν(t)=ν0 +a・cosωt 但し、ν0 はレーザの中心周波数、aはFM変調振幅、
ωは変調周波数である。
【0022】吸収係数α(ν0 +a・cosωt)をフ
ーリエ級数で表すと数6となる。
【0023】
【数6】
【0024】Hn (ν)は、変調された吸収係数のn次
フーリエ成分である。吸収セルを透過したレーザ光を検
出器で集光・検出すると各々のフーリエ成分は、ロック
インアンプを変調周波数のn倍高調波を検出するように
設定すれば検出できる。この場合、処理信号は数7に比
例する。
【0025】
【数7】I(ν0 )・Hn (ν)・le (n≧1) さらに変調振幅が小さければ、フーリエ級数は吸収線の
導関数に比例する。
【0026】ガス雰囲気圧力が1atm近傍では、吸収
線形状は圧力広がりが優勢であり、この場合吸収係数α
(ν)はローレンツ関数となり数8で表される。
【0027】
【数8】
【0028】但しα0 は吸収線中心での吸収係数であ
り、2・Δνは吸収線の半値全幅である。
【0029】ここで、2つの無次元パラメータx、mを
それぞれ数9、数10で表わすと、吸収係数αL (x,
m)は数11で表される。
【0030】
【数9】x=(ν−ν0 )/Δν
【0031】
【数10】m=a/Δν
【0032】
【数11】αL (x,m)=α0 /{1+(x+mco
sωt)2 } 変調された吸収係数αL (x,m)の第1高調波成分を
求めると数12で表される。
【0033】
【数12】
【0034】変調された吸収係数αL (x,m)の第2
高調波成分を求めると数13で表される。
【0035】
【数13】
【0036】ここで、Mは数14で表される。
【0037】
【数14】M=1−x2 +m その結果、透過率Tは2次の項までで近似すると数15
で表される。
【0038】
【数15】
【0039】(AM変調)上述したFM変調の説明で
は、レーザの発振周波数だけが変化するものと考えられ
てきたが、半導体レーザの駆動電流を変調すると、発振
強度も同時に変調をうける。発振強度Iは数16で表さ
れる。
【0040】
【数16】I=I(ν)+b・cos(ωt+θ) 但し、I(ν0 )はレーザ出力の中心強度であり、bは
強度変調振幅である。
【0041】ガス透過後のレーザ光強度Pは、発振強度
と透過率とに比例するので、数17で表される。
【0042】
【数17】P=A・I・T ただし係数Aは伝送路損失等に依存する定数である。
【0043】数17に数15および数16を代入すると
数18が得られる。
【0044】
【数18】
【0045】ここで、レーザの中心波長がガスの吸収線
の中心に一致する場合、x=0となるので、数19及び
数20が得られる。
【0046】
【数19】
【0047】
【数20】
【0048】得られた透過光について、cos(ωt+
θ)の位相で検波するとPω は、数21で表される。
【0049】
【数21】
【0050】同様にcos2ωtの位相で検波するとP
は数22で表される。
【0051】
【数22】
【0052】数21と数22との比Rを求めると数23
が得られる。
【0053】
【数23】
【0054】この比Rには伝送損失に依存する定数Aが
含まれていないので、伝送損失に関係なく、比Rからガ
スの濃度・光路長積c・le を求めることができる。
【0055】すなわち、変調振幅が大きくなっても測定
誤差の小さなレーザの周波数変調特性を容易に測定する
ことができる。
【0056】但し、上述したレーザの変調特性の測定に
あたり以下の制限事項があげられる。
【0057】・レーザの電流あるいは温度が変化したと
きにレーザの光強度、光周波数が連続的に変化するこ
と。
【0058】・レーザの発振スペクトル幅が吸収ガスの
スペクトル幅に比べて十分小さいこと。
【0059】・測定に用いるガスの吸収線は孤立吸収線
であり、2つ以上の吸収線が近接していないこと。
【0060】また、一般に変調周波数は一定であるの
で、変調電流とそのときの光周波数の変調振幅の関係を
求め、各種パラメータおよび検出対象とするガスを示す
形状パラメータが求まり、ガス濃度とガス信号との関係
がわかり容易に補正することができる。
【0061】
【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面に基づい
て詳述する。
【0062】図1は本発明のレーザの周波数変調特性測
定方法を適用した装置の一実施例の概略図である。
【0063】測定対象となる光源を、単一モード発振す
る半導体レーザ20とする。半導体レーザ20は温度制
御素子(例えばペルチェ素子)21上にマウントされ、
このペルチェ素子21上にはサーミスタ(又は熱電対)
22が設けられている。
【0064】ペルチェ素子21およびサーミスタ22は
温度制御部23に接続され、この温度制御部23は、サ
ーミスタ22からの温度情報に基づいてペルチェ素子2
1に流す電流の方向と大きさとを制御して、半導体レー
ザ20の温度を安定させたり、温度掃引を行ったりする
等の制御を行う。
【0065】半導体レーザ20の駆動には定電流源24
によりバイアス電流を流すとともに発振器25からの出
力により変調電流が重畳されることにより行われる。
尚、定電流源24の出力側には発振器25の出力による
影響を防止するため、インダクタンスLが接続されてお
り、逆に発振器25の出力側にはコンデンサCが接続さ
れている。
【0066】半導体レーザ20の出射側には集光レンズ
からなる光学系26が配置され、光学系26の出射側に
は測定用のガスを収容するガスセル27が設けられてい
る。測定に用いるガスとしてはC2 2 (アセチレン)
が用いられる。よってこの半導体レーザ20の発振周波
数はアセチレンの吸収線に一致しているものとする。ガ
スセル27は、長さ約10cmの光路長le を有してお
り、このガスセル27には、濃度100%の窒素ガスを
収容するガスボンベ28、濃度10%のアセチレンを含
んだ窒素混合ガスを収容するガスボンベ29および濃度
5000ppmのアセチレンを含んだ窒素混合ガスを収
容するガスボンベ30がそれぞれバルブ31〜34を介
して接続されている。操作者はガスセル27に設けられ
た圧力ゲージ35を見ながらバルブ31〜33と、ガス
セル27に接続されたバルブ36とを操作することによ
り、それぞれどのガスについても1気圧でガスセル内に
封入することができるようになっている。
【0067】半導体レーザ20から出射し、光学系26
およびガスセル27を透過したレーザ光は、ハーフミラ
ー37を介してpin−PD(ピンフォトダイオード)
38で受光されるようになっている。pin−PD38
からの出力信号は、プリアンプ39で増幅された後、直
流電圧計40および基本波(S(ω))検波用ロックイ
ンアンプ(発振器25の発振周波数ωに同期している)
41、2倍波(S(2ω))検波用ロックインアンプ
(倍周器42の周期2ωに同期している)43に入力さ
れる。ロックインアンプ41から位相敏感検波された検
波信号S(ω)が割算器44に入力され、ロックインア
ンプ43から位相敏感検波された検波信号S(2ω)が
割算器44に入力されて、ガス信号(S(2ω)/S
(ω))をX−Yレコーダ45に出力し、X−Yレコー
ダ45に記録するようになっている。また、ハーフミラ
ー37からの反射光は、反射ミラー46で反射されスペ
クトルアナライザ47に入射するようになっている。
【0068】次に測定について述べる。
【0069】測定の第1段階は、まず一定の温度下での
半導体レーザ20の電流−光出力特性を測定するもので
ある。
【0070】バルブ31、34、36を操作してガスセ
ル27内のガスを濃度100%の窒素ガスで置換してお
く。温度制御部23およびペルチェ素子21により、半
導体レーザ20の温度を安定化する。半導体レーザ20
の温度が安定化した後、発振器25の出力を「零」と
し、定電流源24の出力を「零」から「定格値」まで上
昇させ、そのときのプリアンプ39の出力を電圧計で読
み取る。
【0071】図2は図1に示した半導体レーザの電流−
光出力特性を示す図であり、横軸が半導体レーザの駆動
電流を示し、縦軸が光出力を示している。この特性曲線
から後述する第4段階の測定でバイアス電流を100m
Aとし、変調電流振幅をimAとすることにより得られ
る関係式(数24)が得られる。
【0072】
【数24】
【0073】半導体レーザ20の駆動電流あるいは温度
を変化させるとこれに伴い光周波数が変化する。
【0074】測定の第2段階は、半導体レーザ20の駆
動電流を一定にしておき、半導体レーザ20の温度を変
化させたときの発振周波数の変化率を測定するものであ
る(駆動電流値は、次の第3段階での測定時の駆動電流
と同じ値とする)。図3は、図1に示した半導体レーザ
の駆動電流を一定にし、半導体レーザの温度を変化させ
たときの発振周波数の変化を示した図であり、横軸が半
導体レーザの温度を示し、縦軸が発振周波数を示してい
る。
【0075】測定の第3段階は、ガスの吸収線の形状測
定である。はじめにバルブ32、34、36を操作して
ガスセル27内のガスを、10%のアセチレンを含む窒
素混合ガスで置換する。次に、半導体レーザ20の駆動
電流を固定したまま半導体レーザ20の温度を変化させ
て、半導体レーザ20の中心周波数をガス吸収線上で掃
引する。ガスセル27を透過したレーザ光は、ハーフミ
ラー37を介してpin−PD38で受光され、プリア
ンプ39で増幅され信号光として検出される。
【0076】図4は図1に示した半導体レーザの駆動電
流を一定(100mA)とし、半導体レーザの温度を変
化させたときのガスセルを透過したレーザ光を受光した
pin−PDの光出力変化を示した図であり、横軸が温
度を示し、縦軸が光出力(相対値)を示している。尚、
ガスの光吸収の測定は上述したように駆動電流を固定
し、半導体レーザ20の温度を変化させる方法とは別
に、半導体レーザ20の温度を固定し駆動電流を変化さ
せる方法をとってもよい。
【0077】得られた結果より吸収線の形状計算を行
う。透過率Tを求めるには、別途光吸収を受けないとき
の光出力を測定し、ベースラインを求める必要がある。
本実施例では、吸収ガスを透過したときの光出力より、
接線を引いてベースラインを求めた(図4に併記してあ
る)。尚、ガスセル27に窒素100%で置換したとき
の光出力を求め、ベースラインを求めてもよい。各周波
数νでの透過係数T(ν)は2つの比をとり得ることが
できる。
【0078】各波長でのガスの吸収係数α(ν)は、数
25より得ることができる。
【0079】
【数25】
【0080】図5は図1に示した装置で得られるガス吸
収線の形状を表わす図であり、横軸は図3を用いて半導
体レーザの温度から光周波数に変換したものを示し、縦
軸は透過率の自然対数をとったものを示している。
【0081】図5よりガス吸収線の中心周波数での吸収
係数と半値全幅とを求める。対象とする吸収線に対して
は、吸収係数α0 =95atm-1・m-1、半値全幅2ν
=0.16cm-1を得た。尚、半導体レーザ20の駆動
電流(温度)を掃引したときにいくつもガス吸収線が表
われたときは、吸収係数の一番大きいものを用いると測
定精度がよい。本実施例では半導体レーザ20の温度が
約25℃近辺の発振周波数に一致するガスの吸収線を用
いた。
【0082】尚、使用する吸収ガスの吸収線形状があら
かじめわかっているのであれば、第2段階および第3段
階の測定を省略することができる。
【0083】測定の第4段階は、半導体レーザの変調特
性の測定である。
【0084】バルブ33、34、36を操作して、ガス
セル27内のガスを、濃度5000ppmのアセチレン
を含むCH4 (メタン)混合ガスで置換しておく。半導
体レーザ駆動用の定電流源24にはバイアス電流を流し
た後、発振器25より変調電流を重畳する。ここでは、
バイアス電流を100mAとした。測定は半導体レーザ
20の温度を変化させてレーザ光の中心周波数をガス吸
収線上に掃引したときのそれぞれのロックインアンプ4
1、43からの検波信号を得て、割算器44からのガス
信号S(2ω)/S(ω)を求める。
【0085】図6は図1に示した装置の中心周波数を掃
引したときの割算器の出力(ガス信号)S(2ω)/S
(ω)の変化を示す図であり、横軸が周波数を示し、縦
軸がS(2ω)/S(ω)を示している。同図よりある
温度でその値はピーク値を示しているのが分かる。この
ピークは半導体レーザ20の中心発振周波数がガスの中
心での周波数に一致したときを表わす。このピーク値は
数23を示している。そのうち、I(ν0 )/bは、半
導体レーザ20に流したバイアス電流と変調電流が分か
れば測定の第1段階で得られた半導体レーザ20の電流
−光出力特性から求めることができる。その値を用いて
L 2 (0,m)が求まり、その値に相当するmを求め
ることで、変調振幅が大きくなっても半導体レーザ20
の周波数変調特性を小さな誤差で容易に測定することが
できる。
【0086】FM位相特性は、Pω 、Pを求めると
きの2つのロックインアンプ41、43の位相差から得
ることができる。
【0087】以上において本実施例によれば、駆動電流
および温度に応じて光強度および光周波数の変化する半
導体レーザの駆動電流を変調し、変調されたレーザ光を
吸収係数および半値全幅が既知の吸収ガスを含んだガス
セルに透過させ、その透過光の強度を検出してこの検出
信号中の特定成分を位相敏感検波し、この検波信号から
レーザの変調特性を測定することにより、伝送損失Aに
依存しない比Rを求めることができるので、変調振幅が
大きくなっても半導体レーザの周波数変調特性を、小さ
な誤差で容易に測定することができる。従って半導体レ
ーザの変調特性を正確に把握することができ、光通信、
計測等の分野に貢献するところが大きい。
【0088】尚、本実施例では測定対象とする半導体レ
ーザの光周波数に一致するガスとしてアセチレンを用い
たが、これに限定されるものではなく、他の赤外吸収を
もつガス(例えばCO2 (1.43μm)、CH
4 (1.65μm))を用いてもよい。
【0089】ところで、特定波長のレーザ光がある種の
気体に吸収されやすいことを利用して気体の有無を検出
できることが知られており、この原理を応用したセンシ
ング技術が工業計測、公害監視などで広く用いられてい
る。また、このレーザ光を光ファイバ伝送路とすれば、
遠隔地のガス検出も可能となる。
【0090】そこで本発明者らは、光ファイバを伝送路
とした遠隔メタンガス検出装置を開発した。この原理を
利用した方法では、光源の駆動電流を所定の電流を中心
として高周波数で変調し、波長および強度の変調された
レーザ光を発振させる。さらに電流および温度を制御し
て発信の中心波長がメタン吸収線の中心になるように半
導体レーザの出射光の一部をモニタ用として用いる。そ
うして安定し前方に出射されたレーザ光を光ファイバを
介して未知濃度のガスを含む測定用のガスセルに透過さ
せ、その透過光を対向する他の光ファイバで受光部まで
導き、レーザ光の2倍波検波信号または基本波検波信号
よりガス濃度を高いSN比で検出することができる。
【0091】このガス濃度測定では、ガス信号値とその
信号値に対応するガス濃度を求めるためには、測定に先
立ち、測定対象となるガスセルにあらかじめ既知の濃度
のガスを何種類か入れておき、出力信号とガス濃度との
関係を調べておき、未知の濃度のガス検出においては、
その関係式を用いて、得られたガス信号からガス濃度を
求める必要がある。またこの方法によるガス検出では圧
力依存制御があるので、測定ガスの圧力変化が生じる場
合には、圧力の異なるガス濃度とガス信号値との関係式
も求めておく必要がある。
【0092】しかしながら、半導体レーザが劣化し、例
えば半導体レーザの電流−光出力特性、変調特性が変化
したときには補正することができない。従って半導体レ
ーザの劣化を予想して定期的にガス濃度−信号値の関係
式を求め直す必要があり、作業が煩わしい。
【0093】そこで、ガス信号の補正を簡略化する方法
を説明する。
【0094】図7は本発明のレーザの周波数変調特性測
定装置の校正方法を適用したガス濃度測定装置の概略図
である。尚、図1に示した実施例と共通の部材には共通
の符号を用いた。
【0095】図1に示した装置との相違点は、積分器5
0、オフセット51、両極性定電流源52、切替スイッ
チ53および温度制御部54を有する点である。すなわ
ち、ロックインアンプ41の出力線が積分器50の入力
端子に接続され、積分器50にはオフセット51および
切替スイッチ53の端子53aが接続されている。切替
スイッチ53の端子53bには温度制御部54が接続さ
れ、共通端子53cには両極性定電流源52が接続され
ている。両極性定電流源52にはペルチェ素子21が接
続されている。
【0096】測定の第1段階から第3段階までは図1に
示した実施例と同様であるため省略する(但し切替スイ
ッチは温度制御装置側に設定しておく)。
【0097】測定の第4段階は、半導体レーザ20の変
調特性の測定である。前述と同様、バルブ33、34、
36を操作してガスセル27内のガスを濃度5000p
pmのアセチレンを含むメタン混合ガスに置換してお
く。半導体レーザ20を駆動するための定電流源24に
は、バイアス電流を流した後、発振器25より変調電流
を重畳する(バイアス電流は100mAとした)。切替
スイッチ53を反対側(破線で示す)に切り替え、ロッ
クインアンプ41により検出した基本波成分の強度変調
バイアス電圧をオフセット51で差分し、差分した信号
を誤差信号として積分器50で積分し、その積分値を用
いて両極性定電流源52からペルチェ素子21に「正」
または「負」の電流を流して半導体レーザ20の温度を
制御する。このようにして半導体レーザ20の周波数を
アセチレン吸収線の中心に安定化した後、ロックインア
ンプ41より検波信号S(ω)、ロックインアンプ43
より検波信号S(2ω)を得て、割算器でガス信号S
(2ω)/S(ω)を出力させる。尚この値は数26を
示している。
【0098】
【数26】
【0099】そのうち、I(ν0 )/bは、半導体レー
ザ20に流したバイアス電流と変調電流とがわかれば測
定の第1段階で得られた半導体レーザ20の電流−光出
力特性から求めることができる。その値を用いてHL 2
(0,m)が求まり、その値に相当するmを求めること
で半導体レーザ20の変調特性を求めることができる。
【0100】バイアス電流を100mAとし、変調電流
振幅をimAとし、光周波数特性をkcm-1/mAとす
ると、数27が得られる。
【0101】
【数27】a=k・i この値kは変調周波数と変調電流との依存する値であ
る。
【0102】一般に変調周波数は、一定であるので、変
調電流とそのときの光周波数の変調振幅との関係を求め
ればよい。半導体レーザ20の特性として得られた数2
4、数27に示されるパラメータおよび検出対象とする
ガスを示すパラメータ(吸収係数α0 =95atm-1
-1、半値全幅2ν=0.16cm-1)がわかれば、ガ
ス濃度とガス信号との関係を得ることができる。さらに
ガス雰囲気の圧力が変わった場合は数26、数28より
その雰囲気圧力でのガス吸収線の形状パラメータをまず
求め、その値を数23に代入すれば圧力補正もできる。
【0103】
【数28】
【0104】ここで、ガス吸収線の圧力依存性について
説明する。
【0105】ガス吸収線は数6でも示したように有限の
幅をもつ。この要因としてガス分子の衝突が起因してい
る。このときのスペクトル幅は全圧力Prに比例して広
がる(数28)。
【0106】また、光の吸収Aは分子密度に比例し、数
29のように表される。
【0107】
【数29】
【0108】このため中心での吸収係数α0 は数26に
示すように全圧力Prに反比例する。したがって吸収係
数α0 を求めることにより全圧力Prを補正することが
できる。
【0109】以上において、本実施例によれば、ガス濃
度に対するガス信号の補正を簡略化することができる。
【0110】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次のよう
な優れた効果を発揮する。
【0111】(1) 変調振幅が大きくなっても測定誤差が
小さい。
【0112】(2) 簡易な測定が行える。
【0113】(3) ガス信号の補正が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザの周波数変調特性測定方法を適
用した装置の一実施例の概略図である。
【図2】図1に示した半導体レーザの電流−光出力特性
を示す図である。
【図3】図1に示した半導体レーザの駆動電流を一定に
し、半導体レーザの温度を変化させたときの発振周波数
の変化を示した図である。
【図4】図1に示した半導体レーザの駆動電流を一定と
し、半導体レーザの温度を変化させたときのガスセルを
透過したレーザ光を受光したpin−PDの光出力変化
を示した図である。
【図5】図1に示した装置で得られるガス吸収線の形状
を表わす図である。
【図6】図1に示した装置の中心周波数を掃引したとき
の割算器の出力S(2ω)/S(ω)の変化を示す図で
ある。
【図7】本発明のレーザの周波数変調特性測定装置の校
正方法を適用したガス濃度測定装置の概略図である。
【図8】レーザのFM変調特性を測定する従来の測定装
置の構成図である。
【符号の説明】
20 半導体レーザ(レーザ) 27 ガスセル

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動電流および温度に応じて光強度およ
    び光周波数の変化するレーザの駆動電流を変調し、変調
    されたレーザ光を吸収係数および半値全幅が既知の吸収
    ガスを含んだガスセルに透過させ、その透過光の強度を
    検出してこの検出信号中の特定成分を位相敏感検波し、
    この検波信号からレーザの変調特性を測定することを特
    徴とするレーザの周波数変調特性測定方法。
  2. 【請求項2】 上記レーザの駆動電流あるいは温度を変
    え発振強度、発振周波数の変化率を測定し、この値を用
    いて未知の吸収係数および半値全幅の値をもつ吸収ガス
    を含んだガスセルに、レーザ光を透過させ、駆動電流あ
    るいは温度を変え発振強度の変化から未知のガスの吸収
    形状を測定することを特徴とする請求項1記載のレーザ
    の周波数変調特性測定方法。
  3. 【請求項3】 測定対象となるレーザと、所定の電流値
    を中心として、ある振幅で前記レーザの駆動電流を変調
    すると共に、レーザの温度を徐々に変化させる温度制御
    装置と、前記レーザ光が透過するためのガスセルと、そ
    のガスセル内に濃度の異なるガスを置換するためのガス
    ボンベと、前記透過したレーザ光の光周波数を測定する
    スペクトルアナライザと、レーザ光強度を検出する光検
    出器と、この光検出器の出力中の特定成分を位相敏感検
    波してレーザの変調特性を測定する測定手段とを備えた
    ことを特徴とするレーザの周波数変調特性測定装置。
  4. 【請求項4】 駆動電流および温度に応じて光強度およ
    び光周波数の変化するレーザの駆動電流あるいは温度を
    変えたときに発振するレーザ光を受光素子あるいは光ス
    ペクトルアナライザに入力し、レーザの電流−光出力お
    よび電流−発振強度を測定し、さらに前記レーザの駆動
    電流あるいは温度を変え、発振強度、発振周波数の変化
    したレーザ光を既知濃度のガスセルに透過させ、その透
    過光強度を測定してガスの吸収係数および半値全幅の値
    を測定し、前記レーザの駆動電流あるいは温度を変化さ
    せて所定の光周波数を中心にある大きさで変調されたレ
    ーザ光を、一定濃度に保たれたガス雰囲気に通して透過
    光強度を検出し、この検出信号中の特定成分を位相敏感
    検波して、この検波信号からレーザの変調特性を校正す
    るために測定することを特徴とするレーザの周波数変調
    特性測定装置の校正方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006506618A (ja) * 2002-11-13 2006-02-23 カスケード マイクロテック インコーポレイテッド 組合せ信号用プローブ

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JP2006506618A (ja) * 2002-11-13 2006-02-23 カスケード マイクロテック インコーポレイテッド 組合せ信号用プローブ

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