JPH075008U - 超音波ポテンショメータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧電素子の横方向で反射して、再び超音波ガ
イド内に漏れ込んでいくノイズを低減し、接着剤量／接
着の状態などに影響を受け難い構造とし、製造安定性を
向上させた超音波ポテンショメータを実現する。 【構成】 ２枚の薄板状の圧電素子と、この圧電素子を
取り付ける部分の幅が前記圧電素子の幅と同一に形成さ
れた超音波ガイドとを備え、この超音波ガイドの両面に
前記２枚の圧電素子を互いの側面を合わせて固着する構
成としたことを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は工業用レコーダのサーボ機構などにおいて、位置の帰還要素として用 いられる超音波ポテンショメータの弾性波の駆動に関する。

【０００２】

【従来の技術】

工業用レコーダのサーボ機構において、ペン位置をサーボ系に帰還する要素と して、磁歪効果により発生させた弾性波を用いた超音波ポテンショメータが使用 されている。超音波ポテンショメータは、その非接触で、かつ論理的に分解能が 無限小であるという特徴から、高い信頼性と使用実績を持つ。

【０００３】 本考案の出願人は、この技術を基にして、その超音波駆動方法を、コイルを用 いて磁歪効果により発生させる方法から、圧電素子を用いて圧電効果により発生 させる方法に変更することで、より薄く、簡単な構成による超音波ポテンショメ ータを提案し（例えば、特公昭６０−５５０２０号）、実用化している。

【０００４】 図２はこのような超音波ポテンショメータの概略構成図、図３はその動作説明 図である。図において、ＵＧは超音波ガイドであり、一端の両面には超音波を発 生させる圧電素子Ｐ₁ ，Ｐ₂ が張り付けられ、長手方向に沿って移動可能に検出 コイルＤが嵌装されている。

【０００５】 このような構成において、超音波ガイドＵＧの長さをＬ、超音波ガイドＵＧの 右端から検出コイルＤまでの距離をｘ、超音波が圧電素子Ｐ₁ ，Ｐ₂ から検出コ イルＤに到達するまでの直接波の伝播時間をｔ₁ 、超音波が圧電素子Ｐ₁ ，Ｐ₂ から超音波ガイドＵＧの右端に到達して反射した後検出コイルＤに到達するまで の反射波の伝播時間をｔ₂ 、超音波の超音波ガイドＵＧ上の伝播速度をＶとする と、 ２Ｌ＝（ｔ₁ ＋ｔ₂ ）Ｖ … ２ｘ＝（ｔ₂ −ｔ₁ ）Ｖ … の関係が成り立つ。そして、式を式で割ると、 ｘ／Ｌ＝（ｔ₂ −ｔ₁ ）／（ｔ₁ ＋ｔ₂ ） … が得られる。

【０００６】 この式から明らかなように、超音波ガイドＵＧ上での検出コイルＤの位置を 無次元変位ｘ／Ｌとして検出できる。ここで、式の中には伝播速度Ｖが含まれ ていないので、ｘ／Ｌは温度変化による音速変化を受けない量になる。

【０００７】 なお、図３では、直接波の伝播時間ｔ₁ は検出コイルＤの出力信号の立ち下が りを検出することにより求め、間接波の伝播時間ｔ₂ は検出コイルＤの出力信号 の立ち上がりを検出することにより求めている。

【０００８】 また、図４は圧電素子を用いた超音波ポテンショメータの従来例の構成図であ る。図において、１はエッチングによって形成されたシート状の超音波ガイドで あり、一端近傍の両面には超音波ガイド１に超音波を発生させるための圧電素子 ２，３が接着されて取り付けられている。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

このような超音波ポテンショメータにおいて、超音波の発生を圧電素子２，３ により行うと、位置測定に使用する弾性波以外に、以下のような原因でノイズと なる弾性波を発生させることになる。

【００１０】 図５（イ）に示すように、圧電素子２，３は、電界が与えられると、超音波ガ イド１の軸方向の歪以外に、それとは直角方向の歪を発生する。この歪が弾性波 として、超音波ガイド１内を圧電素子２，３の横方向に伝播し、端面で反射して 、圧電素子２，３部に戻ってきて、超音波ガイド１内に漏れ込むことで、（ロ） 図に示すように、メインの弾性波に対して遅延したノイズとなる。

【００１１】 このノイズは、図６，７に示すように、図示せぬ検出ヘッドが超音波ガイド１ の反射端に近づいた際に、ノイズが位置検出用の反射波と干渉することにより、 位置演算出力に誤差を生じることになる。また、ノイズが、弾性波の伝播時間を 測定するコンパレータのスレッショルド電位以上にもなると、全く誤った時間計 測をすることになり、サーボ系の動作が不安定となる。

【００１２】 したがって、これらのノイズを軽減するために、本考案の出願人は、例えば、 実願平４−３６４０６号を提案し、実用化している。この先願は、図４に示すよ うに、圧電素子２，３の上／下部に接着剤を塗布することにより、接着剤粘性抵 抗により、ノイズの弾性エネルギを消散させるものである。

【００１３】 しかしながら、このノイズ抑制法は、 （ａ）接着剤の量によって、制動度合いがばらつき易い。 （ｂ）台座との接着状態のばらつきによって、他の接合部からの反射が発生し、 再びノイズとなる場合がある。 などの理由から、量産時の製造安定性にかけるという欠点があった。

【００１４】 本考案は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧電 素子の横方向で反射して、再び超音波ガイド内に漏れ込んでいくノイズを低減し 、接着剤量／接着の状態などに影響を受け難い構造とし、製造安定性を向上させ た超音波ポテンショメータを提供することにある。

【００１５】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するための本考案の超音波ポテンショメータは、 ２枚の薄板状の圧電素子と、この圧電素子を取り付ける部分の幅が前記圧電素 子の幅と同一に形成された超音波ガイドとを備え、 この超音波ガイドの両面に前記２枚の圧電素子を互いの側面を合わせて固着す る構成としたことを特徴とする。

【００１６】

【作用】

本考案によれば、超音波ガイドの圧電素子を接着する部分の幅を圧電素子の幅 に合わせることで、横方向へ振動エネルギを伝播させないようにして、圧電素子 の横方向で反射して、再び超音波ガイド内に漏れ込んでいくノイズを低減してい る。

【００１７】

【実施例】

以下、本考案を図面に基づいて説明する。 図１は本考案の超音波ポテンショメータの一実施例を示す構成図である。なお 、図１において、図４と同一要素には同一符号を付している。図において、１１ は超音波ガイドであり、圧電素子２，３の幅と等しい幅とされている。この超音 波ガイド１１の側面を合わせるように、圧電素子２，３が接着されている。

【００１８】 このような構成において、超音波ポテンショメータとしての機能／動作は、上 記従来技術に示したものと同様であるため、ここでは、本考案により変わる点に ついて記述する。図１に戻り、超音波ガイド１１と圧電素子２，３の幅が同一と されているため、圧電素子２，３が超音波ガイド１１の軸方向の歪と同時に、そ れとは直角方向の歪を発生した際に、その方向は直ぐに音響的に解放端となって いるため、横方向への弾性エネルギ伝播並びに反射によるノイズ発生を無くすこ とができる。

【００１９】 したがって、圧電素子の横方向で反射して、再び超音波ガイド内に漏れ込んで いくノイズを低減することにより、接着剤量／接着の状態などに影響を受け難い 構造とできるため、製造安定性を向上できる。

【００２０】

【考案の効果】

以上、実施例と共に具体的に説明したように、本考案によれば、以下のような 効果が得られる。 横方向への弾性エネルギ伝播がないことから、 （１）圧電素子の横方向で反射して、再び超音波ガイド内に漏れ込んでいくノイ ズを低減される。したがって、接着剤の粘性抵抗に依存したノイズ制動をする必 要がなく、製造安定性を向上させることができる。 （２）横方向へ伝播し、消散されていたエネルギが、縦波として超音波ガイド上 を伝播するため、位置測定用の検出信号レベルが大きくなり、ポテンショメータ として構成した際に、 ・省エネルギの設計が可能となる。 ・電気回路的な対外来ノイズの特性が良くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の超音波ポテンショメータの一実施例を
示す構成図である。

【図２】従来の超音波ポテンショメータの概略構成図で
ある。

【図３】図２の動作説明図である。

【図４】圧電素子を用いた超音波ポテンショメータの従
来例の構成図である。

【図５】ノイズとなる弾性波を発生させる要因を示す図
である。

【図６】ノイズの干渉を示す図である。

【図７】ノイズでの誤動作を示す図である。

【符号の説明】

２、３ 圧電素子 １１ 超音波ガイド

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】２枚の薄板状の圧電素子と、この圧電素子
   を取り付ける部分の幅が前記圧電素子の幅と同一に形成
   された超音波ガイドとを備え、 この超音波ガイドの両面に前記２枚の圧電素子を互いの
   側面を合わせて固着する構成としたことを特徴とする超
   音波ポテンショメータ。