JPH0749215Y2 - 脱気水用給水タンクのドレン回収装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

この考案は、ボイラ等へ脱気水を供給する給水タンクに
係り、詳しくは蒸気使用機器において使用済となった蒸
気を給水タンクへ還流するドレン回収装置に関するもの
である。

【従来の技術】

ボイラ，とくに蒸気ボイラにおいては、缶内へ給水する
ボイラ水中に空気等が溶存するときは、その空気に含ま
れている主として酸素により缶内が腐食され易いことか
ら、ボイラへの給水に対しては、予め脱酸素装置で水中
に溶存する酸素等の気体を除去する脱気処理が行われ
る。そして、この脱気水を給水装置を介してボイラへ給
水すると同時に、ボイラへの給水に伴い減量した給水タ
ンク内にも、脱気水を満水位となるまで自動的に給水し
て補給するようになっている。 また、この分野では、ボイラの燃費節約のために、たと
えば熱交換機器等で使用した後の蒸気または飽和水を、
前記給水タンク内へ導入して給水タンク内の水温を上昇
させるドレン回収装置を備えた脱気水用給水タンクも実
用化されている。 第２図は、一例としての従来の脱気水用給水タンクとド
レン回収装置の断面説明図である。給水タンク１に付設
したドレン回収装置２の混合ボックス４は、図示のよう
に、上面が密閉した円筒形で、下端部は脱気水中に没入
し、中間部に複数の排気穴６を有している。前記混合ボ
ックス４の上部にはシャワー管５が設けられ、このシャ
ワー管５には循環水管３の一端が接続されている。前記
循環水管３の他端は、前記給水タンク１内の脱気水を循
環させるために、前記給水タンク１の下部に接続されて
おり、前記循環水管３には操作弁８およびポンプ９が設
けられている。また、ドレン流入管７は、前記シャワー
管５の近傍下部に設けられており、還流したドレン（蒸
気）を循環水（シャワー）で冷却するようになってい
る。

【考案が解決しようとする課題】

このような構成のドレン回収装置では、ドレンの回収が
正常に行われているときは、循環水のシャワーによりド
レンは、混合ボックス４内で飽和水とフラッシュ蒸気と
に分離され、飽和水は落下して脱気水に混入し、フラッ
シュ蒸気は排気穴６より給水タンク１の空間部へ放出さ
れ、通気口10から給水タンク１外へ排出されるので、空
気が混合ボックス４内に逆流することはない。 しかしながら、ボイラの起動時は低温のドレンが還流す
るし、またボイラの異常等によりドレンの戻らないとき
もある。このような場合は、前記混合ボックス４に開口
している排気穴６から、逆に前記混合ボックス４内へ空
気が浸入して、還流する低温のドレンや脱気水に、空気
が混入して再度気体が溶存してしまう。 この考案は、前記課題に鑑み、ドレン回収の際に気体の
再溶存を防止することができるドレン回収装置を提供す
ることを目的とするものである。

【課題を解決するための手段】

この考案は、前記課題を解決するためになされたもの
で、給水タンク内へ脱気水を導入する流入管を設け、該
流入管に前記給水タンク内の水位を調節する制御機構を
付設し、該制御機構により前記給水タンク内を所定水位
に保持する構成とした脱気水用給水タンクにおいて、前
記給水タンク内に回収されたドレンを放出させてフラッ
シュ蒸気とする混合ボックスを設け、該混合ボックスの
下端部を前記給水タンク内の所定水位より下方位置に開
口させるとともに、該混合ボックスの上端部に排気管を
接続し、前記混合ボックス内に前記排気管との接続接点
に近接した位置にドレンを冷却する水を噴射するシャワ
ー管を配設するとともに、該シャワー管に当該シャワー
管へ前記給水タンク内の脱気水を供給する循環水管を接
続し、前記混合ボックスに前記シャワー管を配設した接
点の下方に近接してドレンを当該混合ボックス内へ導入
するドレン流入管を接続し、さらに前記排気管に前記混
合ボックス内の蒸気を大気中に排出させ、かつ空気の浸
入を防止する第一逆止弁を設けるとともに、前記ドレン
流入管にドレンが前記混合ボックス内へ流入しないとき
は閉鎖する第二逆止弁を設けたことを特徴としている。

【作用】

この考案によれば、ドレン流入管より還流したドレン
は、混合ボックス内で循環水のシャワーにより冷却さ
れ、蒸気と飽和水に分離する。蒸気は排気管より大気中
に放出されるが、蒸気圧力が低いときには、第一逆止弁
が作用して排気管を閉鎖する。また、飽和水は、シャワ
ーと一緒に落下して脱気水に混入する。したがって、ド
レンは空気に接触することはないので、再度気体が溶存
されることはない。一方、ドレンが戻らないときは、ド
レン流入管の第二逆止弁が閉鎖する。

【実施例】

以下、この考案の具体的実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。この考案の実施例を示す第１図について説明
すると、この考案は、基本的に給水タンク１内へ脱気水
を導入する流入管13と、前記給水タンク１内へドレンを
還流させるドレン回収装置２とにより構成されている。
具体的には、前記給水タンク１内へ脱気水を導入する導
入管13に、前記給水タンク１内の水位を調節するボール
タップ等の制御機構14を付設し、このボールタップ等の
制御機構14を用いて前記給水タンク１内の水位を所定水
位に保持する。 前記ドレン回収装置２は、混合ボックス4,排気管11,ド
レン流入管７およびシャワー管５により構成されてい
る。 前記混合ボックス４は、前記給水タンク１内へ回収する
ドレンを放出させてフラッシュ蒸気とするもので、その
下端部を前記給水タンク１内の前記所定水位より下方位
置において開口しており、またその上端部には、前記混
合ボックス４内において発生した蒸気を大気中へ放出す
る排気管11が接続されている。 前記混合ボックス４内には、前記排気管11との接続地点
に近接した位置において、前記混合ボックス４内へ導入
したドレンを冷却する水を噴射するシャワー管５が設け
られており、このシャワー管５には前記給水タンク１内
の脱気水を供給する循環水管３の一端が接続されてい
る。前記循環水管３の他端は、前記給水タンク１内の脱
気水を循環させるために、前記給水タンク１の下部に接
続されており、前記循環水管３には、操作弁８およびポ
ンプ９が設けられている。 そして、前記混合ボックス４には、前記シャワー管５を
配設した地点に近接した下方位置には、ドレンを前記混
合ボックス４内へ導入するドレン流入管７が接続されて
おり、前記混合ボックス４内へ導入されたドレンは、前
記シャワー管５からの脱気水の噴射により冷却される。 また、前記排気管11には、前記混合ボックス４内の蒸気
を大気中に排出させ、かつ空気の浸入を防止する第一逆
止弁12が設けられており、前記混合ボックス４内の蒸気
圧が所定圧力以上となったとき、この第一逆止弁12が開
き、蒸気を前記排気管11を介して大気中へ放出する。そ
して、前記排気管11には、この排気管11内に滞留した水
を外部へ排出する排水管17が接続されている。また、前
記ドレン流入管７には、ドレンが前記混合ボックス４内
へ流入しないときには閉鎖する第二逆止弁18が設けられ
ている。 さらに、前記給水タンク１には、脱気水をボイラへ給水
するための給水管15が設けられており、また前記給水タ
ンク１内の水面上には、脱気水と空気を遮断するための
浮遊物16が敷設されている。 以上の構成において、ドレンを回収するためには、ボイ
ラ（図示省略）で発生した蒸気を、たとえば熱交換器
（図示省略）で熱交換後、スチームトラップ（図示省
略）を経て、ドレン流入管７に導入する。導入したドレ
ンは、第二逆止弁18を押し上げて混合ボックス４内へ流
入する。流入したドレンは、前記混合ボックス４内で放
出されてフラッシュ蒸気となり、一部の熱が放出され
る。この放出される熱をシャワー管５から噴射する脱気
水で熱交換することにより給水タンク１内の脱気水の温
度を上昇させることができる。 ここで、このフラッシュ蒸気の量が多く、脱気水の噴射
で熱量を吸収できないときは、すなわち前記混合ボック
ス４内の蒸気圧が所定圧力以上になったときは、排気管
11の第一逆止弁12が押し上げられ、前記吸収しきれない
蒸気が前記排気管11を介して大気中に排出される。 一方、ボイラの起動時や、ボイラの異常時によりドレン
が戻らない場合，すなわちドレンが前記ドレン流入管７
から前記混合ボックス４内へ流入しない場合は、前記混
合ボックス４内の蒸気圧が所定圧力以下となって、前記
排気管11の第一逆止弁12は、閉鎖された状態となり、し
たがって前記混合ボックス４内へは空気が浸入すること
はない。そして、前記排気管11内に滞留した水は、前記
排気管11に設けられた排水管17により外部へ排出され
る。 また、ボイラ等の異常によりドレンが前記混合ボックス
４内に戻らないときは、前記のとおり前記排気管11に設
けられた第一逆止弁12が閉鎖されるとともに、前記ドレ
ン流入管７に設けられた第二逆止弁18も閉鎖された状態
となっている。こうすることにより、給水タンク１にド
レンが戻らない場合であっても、前記混合ボックス４内
の水位上昇を防止することができる。

【考案の効果】

この考案によれば、給水タンク内に回収されたドレンを
放出させてフラッシュ蒸気とする混合ボックスを設け、
該混合ボックスの下端部を前記給水タンク内の所定水位
より下方位置に開口させるとともに、該混合ボックスの
上端部に排気管を接続し、前記混合ボックス内に前記排
気管との接続地点に近接した位置にドレンを冷却する水
を噴射するシャワー管を配設するとともに、該シャワー
管に当該シャワー管へ前記給水タンク１内の脱気水を供
給する循環水管を接続し、前記混合ボックスに前記シャ
ワー管を配設した地点の下方に近接してドレンを当該混
合ボックス内へ導入するドレン流入管を接続し、さらに
前記排気管に前記混合ボックス内の蒸気を大気中に排出
させ、かつ空気の浸入を防止する第一逆止弁を設けると
ともに、前記ドレン流入管にドレンが前記混合ボックス
内へ流入しないときは閉鎖する第二逆止弁を設けた構成
としたので、ボイラの起動時やボイラおよび蒸気使用機
器等の異常によりドレンがドレン回収装置に戻らない場
合や、低温の蒸気または飽和水が還流した場合であって
も、排気管の第一逆止弁を閉鎖して空気の侵入を阻止す
ることができるので、ドレンおよび給水タンク内の脱気
水への空気の再溶存を防止することができる。また、第
一，第二逆止弁を設けたことにより、混合ボックス内の
水位上昇に伴う不慮の事故を未然に防止することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案の脱気水用給水タンクのドレン回収
装置の一実施例を示す断面説明図、第２図は、従来の脱
気水用給水タンクのドレン回収装置の断面説明図であ
る。

【符号の説明】

１……給水タンク ２……ドレン回収装置 ３……循環水管 ４……混合ボックス ５……シャワー管 ７……ドレン流入管 11……排気管 12……第一逆止弁 13……流入管 14……制御機構 18……第二逆止弁

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】給水タンク１内へ脱気水を導入する流入管
   13を設け、該流入管13に前記給水タンク１内の水位を調
   節する制御機構14を付設し、該制御機構14により前記給
   水タンク１内を所定水位に保持する構成とした脱気水用
   給水タンクにおいて、前記給水タンク１内に回収された
   ドレンを放出させてフラッシュ蒸気とする混合ボックス
   ４を設け、該混合ボックス４の下端部を前記給水タンク
   １内の所定水位より下方位置に開口させるとともに、該
   混合ボックス４の上端部に排気管11を接続し、前記混合
   ボックス４内に前記排気管11との接続地点に近接した位
   置にドレンを冷却する水を噴射するシャワー管５を配設
   するとともに、該シャワー管５に当該シャワー管５へ前
   記給水タンク１内の脱気水を供給する循環水管３を接続
   し、前記混合ボックス４に前記シャワー管５を配設した
   地点の下方に近接してドレンを当該混合ボックス４内へ
   導入するドレン流入管７を接続し、さらに前記排気管11
   に前記混合ボックス４内の蒸気を大気中に排出させ、か
   つ空気の浸入を防止する第一逆止弁12を設けるととも
   に、前記ドレン流入管７にドレンが前記混合ボックス４
   内へ流入しないときは閉鎖する第二逆止弁18を設けたこ
   とを特徴とする脱気水用給水タンクのドレン回収装置。