JPH074920B2 - 引込み可能な印刷版見当合せピンを備えた印刷シリンダおよび組立方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の分野］ 本発明は印刷シリンダ上に印刷版を位置決めするための
印刷版見当合わせピンに関し、特には、伸長位置と引込
み位置との間で運動可能な印刷版位置合せ印刷版見当合
わせピン並びにこの印刷版見当合わせピンと印刷シリン
ダとの組立て方法に関する。

［従来技術］ 或る印刷分野においては印刷版（またはブランケット）
は磁性シリンダ上に取付けられ、磁気吸着力により印刷
シリンダの表面上に保持される。印刷シリンダ上での印
刷版の正確な位置付けが重要である場合、印刷シリンダ
に印刷版を位置付けするための１つまたは２つ以上の位
置合せ印刷版見当合わせピンを設け得る。この構造の１
つがコスタル（kostal）の米国特許第3,919,937号明細
書に示されている。

非常に薄肉、例えば、厚さが0.020インチ（約0.5ミリメ
ートル）より小さい印刷版が存在する。この場合、位置
合せ印刷版見当合わせピンは印刷版の表面を越えて突出
すべきではない。このように印刷版見当合わせピンの高
さが小さい場合には、印刷版を磁性シリンダ表面上で操
作しながら印刷版見当合わせピンと印刷版の縁部とを係
合させることは困難である。更に、印刷版の縁部間に縦
方向の隙間が形成されるのを回避するためには、両縁部
に切欠きを設け印刷版見当合わせピンをそこに嵌入させ
る必要がある。

［解決しようとする課題］ 非常に薄肉の印刷版に於ても印刷シリンダ上での見当合
わせが容易な引込み可能な印刷版見当合わせピンを備え
た印刷シリンダ及びその組立方法を提供することであ
る。

［課題を解決するための手段］ 本発明によれば、印刷シリンダには引込み可能な印刷版
見当合わせピンが設けられる。

更に詳しくは、印刷シリンダに穴を画定する穴画定手段
が印刷シリンダの周囲表面の内側方向に伸延され、印刷
版見当合わせピンはこの穴内で、その一部分が印刷シリ
ンダ表面の上方に突出し印刷版と係合する伸長位置と、
印刷シリンダ表面を越えて突出しない引込み位置との間
で摺動可能とされる。印刷版見当合わせピンは、伸長位
置ではその一部分が印刷版の厚さよりも小さい距離で印
刷シリンダ表面上方に伸延し、引込み位置では印刷シリ
ンダ表面と面一関係になるようにするのが有益である。

本発明の他の特徴によれば、印刷シリンダの穴は印刷シ
リンダに嵌入された穴画定手段、即ちブッシュにより画
定され、印刷版見当合わせピンはこのブッシュ内で印刷
シリンダの半径方向に運動可能とされる。印刷版見当合
わせピンに配設された第１のＯリングがブッシュの内壁
に形成された溝内で運動し、印刷シリンダから外側への
印刷版見当合わせピンの運動を制限する。印刷版見当合
わせピンに設けられている第２のＯリングがブッシュの
内壁と係合し印刷版見当合わせピンの回転を阻止する。

本発明の更に他の特徴によれば、引込み可能な印刷版見
当合わせピンと印刷シリンダとの組立方法であって、印
刷シリンダに穴を穿孔し、ブッシュ及び印刷版見当合わ
せピンが印刷シリンダの外側仕上げ表面を越えて伸延す
るようにしてブッシュ及び印刷版見当合わせピンを上記
穴内に挿入し、ブッシュ及び印刷版見当合わせピンを切
断して外側仕上げ表面と面一とする方法が提案される。

本発明の他の特徴及び利点は添付図面を参照しての以下
の説明から容易に理解されよう。

［実施例］ 印刷版またはオフセットブランケットのための磁性印刷
シリンダは、本出願人に譲渡されている1985年８月６日
付けのピークナ（Peekna）の米国特許願SN763128号明細
書に開示されている。この米国特許願に開示されている
引込み印刷版見当合わせピンは、特に、ピークナの印刷
シリンダ上への印刷版取り付けに使用するために適して
いる。この印刷版見当合わせピンはまた、ブランケット
印刷シリンダ上にブランケット及び担体板を取り付けた
り或いは他の磁性印刷シリンダ上における板またはブラ
ンケットと共に使用することもできる。

第１図において、本発明に従う磁性の印刷シリンダ10は
印刷機械に取り付けるめの軸11を備えている。印刷版見
当合わせピン12（以下、単に印刷版見当合わせピン12と
も称する）は、印刷シリンダ表面から半径方向外側に伸
延される。強磁性材料からなる印刷版13は、これを印刷
シリンダの円周方向及び縦軸方向に位置決めするための
印刷版見当合わせピン12に係合する切欠き15を形成した
縁部或は第１の縁部14を備えている。

印刷版見当合わせピン12は第２図及び第３図では伸長位
置で示され、第４図及び第５図では引込み位置で示され
ている。印刷版見当合わせピン12が伸長位置にある場合
は、印刷版13の第１の縁部14は印刷版見当合わせピン12
の側部に当接して位置付けられる。次いで、印刷版13を
印刷シリンダ10の周囲に巻き付け、印刷版見当合わせピ
ン12を第４図及び第５図に示すような引込み位置とする
と、印刷版の他方の縁部或は第２の縁部18が前記切欠き
を形成した第１の縁部14に隣接して位置付けられる。

印刷版見当合わせピンの直径が1/4インチ（約6.4ミリメ
ートル）台である場合には切欠き15は1/32インチ（約0.
8ミリメートル）台の深さを有することができる。印刷
版表面での小隙間は無視して良い。

印刷版見当合わせピン12は円筒状でありブッシュ20内で
印刷シリンダの半径方向に運動可能である。ブッシュ20
は磁性構造21を介し印刷シリンダ内を伸延し、真鍮製の
スリーブ22を貫通し印刷シリンダの鉄心23内に至る。印
刷版見当合わせピン12の外表面には２つの離間した溝或
はピン溝26、27が形成されており、これらピン溝にはそ
れぞれ２つの、即ち第１のＯリング28、第２のＯリング
29が受容される。第２のＯリング29はブッシュ20の内壁
に形成された細長いブッシュ溝30内に座着する。第２の
Ｏリング29はブッシュ溝30の上端に係合する。ブッシュ
溝30は第３図に示すように伸長位置に向っての印刷版見
当合わせピン12の外側方向への運動を制限する。ブッシ
ュ溝30が0.015乃至0.02インチ（約0.4乃至0.5ミリメー
トル）である場合、伸長位置での印刷版見当合わせピン
は印刷シリンダ表面の上方に0.05インチ（約1.3ミリメ
ートル）突出させ得る。印刷版見当合わせピン12の内向
きの運動はこの印刷版見当合わせピンの内端と印刷シリ
ンダコア23の孔の内面32とが係合することにより制限さ
れる。

第１のＯリング28はブッシュ20の内壁に圧接されこれが
印刷版見当合わせピンの回転を阻止する。各Ｏリングは
その取り付け及び交換を容易化するためにブッシュの内
面ではなく印刷版見当合わせピンの外表面上に設けるの
が好ましい。印刷版見当合わせピンの内端部には各Ｏリ
ング内への印刷版見当合わせピンの挿入を容易にするよ
う、番号33で示す如くテーパが付けられている。

印刷版見当合わせピン12は、ブッシュ20内の流体圧力を
逃がすために、この印刷版見当合わせピンを貫通して伸
延する軸方向孔34を有している。この縦軸孔の肩部35
は、印刷版見当合わせピンを伸長位置に引張りするため
の工具37（第６図）の頭部36と係合可能である。

第１のＯリング28と第２のＯリング29との間の個所で、
軸方向孔34に向かい印刷版見当合わせピン12の壁を貫通
して穴40が横方向に伸延する。この穴40は印刷版見当合
わせピンとブッシュ20の内壁との間に捕捉される流体を
逃がす働きをする。

印刷シリンダは磁性構造21で過大寸法に製作する。次い
で印刷シリンダの表面を研削その他の方法で切削し所望
の高さ寸法とする。この作業の一部分として印刷版見当
合わせピン12を印刷シリンダと組み合わせる。先ず、ブ
ッシュ20を受けるための穴を印刷シリンダに穿孔する。
印刷シリンダの所望の仕上半径よりも長いブッシュをこ
の穴内に挿入し、その下端部を印刷シリンダの穴の基底
表面32上に座着させる。次いで、第１のＯリング28と第
２のＯリング29とを配設した印刷版見当合わせピン12を
ブッシュ20に挿入し、その下端を表面32上に座着させ
る。印刷版見当合わせピン12の長さは、その外端が印刷
シリンダの仕上表面の外側に突出するように選ばれる。
次いで印刷シリンダ、ブッシュ20及び印刷版見当合わせ
ピン12を研削その他の方法で切削し所望の仕上げ高さ寸
法とする。切削加工中、軸方向孔34をグリースのような
適当な材料で充填し金属粒子が軸方向孔34及びブッシュ
20内に入らないようにする。印刷シリンダを切削した
後、軸方向孔34からグリースを除去する。第７図に示し
たように、印刷シリンダの粗半径は3.632インチ（約92.
2ミリメートル）台であり、他方、仕上半径は3.607イン
チ（91.6ミリメートル）台である。ブッシュ20及び印刷
版見当合わせピン12は、印刷シリンダの粗表面を越えて
伸延するように初期長さを有し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、印刷版見当合わせピン及び印刷版を備えた印
刷シリンダを略示する斜視図である。 第２図は印刷シリンダ、伸長位置にある印刷版見当合わ
せピン、印刷版の一方の縁部を示す部分拡大平面図であ
る。 第３図は第２図の線３−３における断面図である。 第４図は印刷版見当合わせピンを引込み位置とし印刷シ
リンダの周りに印刷版を巻き付けた状態を示す第２図に
類似の部分拡大平面図である。 第５図は第４図の線５−５における断面図である。 第６図は印刷版見当合わせピン並びにこの印刷版見当合
わせピンをその引込み位置から伸長位置に引き出すため
に使用される引張用工具を示す略図である。 第７図は印刷シリンダ及び印刷版見当合わせピンの製作
を図解する図である。 尚、図中、主な要素の名称は以下の通りである。 10……磁性印刷シリンダ 11……軸 12……印刷版見当合わせピン 13……印刷版 14……第１の縁部 15……切欠き 18……第２の縁部 20……ブッシュ 21……磁性構造 22……スリーブ 23……印刷シリンダコア 26、27……ピン溝 30……ブッシュ溝 28……第１のＯリング 29……第２のＯリング 32……基底表面 34……縦軸孔 35……肩部 36……頭部 37……工具 40……穴

Claims (16)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】薄肉細長の印刷版を保持するための周囲表
   面及び磁性構造と引込み可能な印刷版見当合わせピンと
   を有してなる印刷シリンダであって、 各前記印刷版見当合わせピンのための穴を前記各印刷シ
   リンダに画定するための穴画定手段にして、前記穴が、
   印刷版見当合わせピンが印刷シリンダ軸と平行な線に沿
   って離間されるよう印刷シリンダの前記周囲表面を貫き
   半径方向内側に伸延してなる穴画定手段と、 前記印刷版見当合わせピンが各前記穴画定手段内に摺動
   自在に取付けられ該印刷版見当合わせピンの外側部分
   が、前記印刷版と係合し前記印刷版を適切に整合させる
   ための、前記印刷シリンダの周囲表面の上方に印刷版の
   厚さよりも大きい距離伸延する伸長位置と、前記外側部
   分が前記印刷シリンダの周囲表面の上方に印刷版の厚さ
   よりも大きい距離伸延しない引き込み位置とに選択的に
   配置されるようになっており、 印刷シリンダの磁性構造が印刷版を印刷シリンダ表面の
   下方及び周囲に付勢すると同時に、前記印刷版を前記印
   刷版見当合わせピンに当接状態で位置決めし適正に整合
   させるようにしてなる印刷シリンダ。
2. 【請求項２】印刷版見当合わせピンがその引込み位置に
   おいて印刷シリンダの周囲表面と面一関係となる特許請
   求の範囲第１項記載の印刷シリンダ。
3. 【請求項３】縁部を具備し強磁性材料製の印刷版にし
   て、前記縁部の一つが伸長位置での印刷版見当合わせピ
   ンと係合することにより印刷シリンダ上で位置合せさ
   れ、印刷シリンダ周囲に巻付けられ印刷シリンダの磁気
   吸着により該印刷シリンダ上で保持され、前記印刷版見
   当合わせピンを引込み位置とした状態で前記１つの縁部
   とは反対側の縁部が前記１つの縁部と近接して位置付け
   られてなる印刷版と組み合わされてなる特許請求の範囲
   第１項記載の印刷シリンダ。
4. 【請求項４】印刷版の１つの縁部が切欠きを具備し、該
   切欠きが、印刷版見当合わせピンと、印刷版を印刷シリ
   ンダ上での周辺方向及び軸方向に於て位置付けするため
   の補完関係を有してなる特許請求の範囲第３項記載の印
   刷シリンダ。
5. 【請求項５】印刷版見当合わせピンが円筒状であり、印
   刷版の縁部に形成される切欠きが180°より小さい円弧
   長を有してなる特許請求の範囲第４項記載の印刷シリン
   ダ。
6. 【請求項６】穴画定手段が印刷シリンダ内に嵌着された
   ブッシュを備え、印刷版見当合わせピンが該ブッシュ内
   で印刷シリンダの半径方向に運動可能とされてなる特許
   請求の範囲第１項記載の印刷シリンダ。
7. 【請求項７】印刷版見当合わせピンの、印刷シリンダか
   ら外側方向への運動を制限するための補間表面を形成す
   る手段を備えてなる特許請求の範囲第６項記載の印刷シ
   リンダ。
8. 【請求項８】印刷版見当合わせピンの、印刷シリンダか
   ら外側方向への運動を制限するための補間表面を形成す
   る手段が、各前記印刷版見当合わせピンに設けたブッシ
   ュの内面に形成した環状のプッシュ溝内で運動するＯリ
   ングから成る特許請求の範囲第７項記載の印刷シリン
   ダ。
9. 【請求項９】前記プッシュの内壁を捕捉して印刷版見当
   合わせピンの回転を阻止するための、前記印刷版見当合
   わせピンに設けたＯリングを備えている特許請求の範囲
   第６項記載の印刷シリンダ。
10. 【請求項１０】印刷版見当合わせピンの周囲に離間状態
    で設けられた２つのピン溝と、 各ピン溝に設けられたＯリングと、 前記ブッシュの内壁に設けられ一方の前記Ｏリングを受
    け前記印刷シリンダから外側への印刷版見当合わせピン
    の運動を制限するブッシュ溝とを備え、 前記他方のＯリングが前記ブッシュの内壁と係合して印
    刷版見当合わせピンの回転を阻止してなる特許請求の範
    囲第６項記載の印刷シリンダ。
11. 【請求項１１】印刷版見当合わせピンがその軸方向に伸
    延する孔を有し、該孔が、工具の相補形状の表面と係合
    し前記印刷版見当合わせピンを印刷シリンダの外側での
    伸長位置に移動させる表面を有してなる特許請求の範囲
    第６項記載の印刷シリンダ。
12. 【請求項１２】印刷版見当合わせピンが軸方向の孔を有
    し、印刷版見当合わせピン壁を横方向に貫いて伸延する
    逃がし穴が設けられてなる特許請求の範囲第６項記載の
    印刷シリンダ。
13. 【請求項１３】引込み可能な印刷版見当合わせピンと印
    刷シリンダとを組み立てる方法であって、 印刷シリンダに穴を穿孔する段階と、 ブッシュ及び印刷版見当合わせピンを前記穴に挿入する
    段階にして、前記印刷版見当合わせピンがブッシュ内に
    引込まれ、前記ブッシュ及び印刷版見当合わせピンが前
    記印刷シリンダの外側表面の上方に伸延させてなるブッ
    シュ及び印刷版見当合わせピンを前記穴に挿入する段階
    と、 前記印刷シリンダの外側表面を仕上する段階と、 前記ブッシュ及び印刷版見当合わせピンを切断し仕上げ
    られた前記印刷シリンダの外側表面と面一とせしめる段
    階と を包含してなる引込み可能な印刷版見当合わせピンと印
    刷シリンダとの組み立て方法。
14. 【請求項１４】印刷版見当合わせピンが軸方向の孔を有
    し、ブッシュ及び印刷版見当合わせピンの切断に先立ち
    前記孔を除去可能な物質で充填する段階を含んでなる特
    許請求の範囲第13項記載の引込み可能な印刷版見当合わ
    せピンと印刷シリンダとの組み立て方法。
15. 【請求項１５】印刷版見当合わせピンの軸方向の孔から
    除去可能な物質を除去する段階を含んでなる特許請求の
    範囲第14項記載の引込み可能な印刷版見当合わせピンと
    印刷シリンダとの組み立て方法。
16. 【請求項１６】印刷シリンダの外側表面を仕上する段階
    とブッシュ及び印刷版見当合わせピンを切断し前記印刷
    シリンダの仕上げ表面と面一とせしめる段階とが同時に
    実施されてなる特許請求の範囲第13項記載の引込み可能
    な印刷版見当合わせピンと印刷シリンダとの組み立て方
    法。