JPH0748617A - 酸化物系介在物の微細化方法 - Google Patents
酸化物系介在物の微細化方法Info
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- JPH0748617A JPH0748617A JP19377693A JP19377693A JPH0748617A JP H0748617 A JPH0748617 A JP H0748617A JP 19377693 A JP19377693 A JP 19377693A JP 19377693 A JP19377693 A JP 19377693A JP H0748617 A JPH0748617 A JP H0748617A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は溶鋼中にMg−Cokeを添加し、
酸化物系介在物サイズを微細化する方法を提供する。 【構成】 Si,Mn,Alを含有し、C含有量1.2
重量%以下の溶鋼にMgを添加するに際し、Mg源とし
てコークスにMgを含浸させ、Mg含有量を2〜60重
量%としたMg−Cokeを用いる。さらにMg源の種
類、添加速度、添加場所、添加方法の適正化を図る。 【効果】 安価なMg源を用いて介在物微細化効果を導
出でき、低コストで材質特性に優れた鋼材を供給でき
る。
酸化物系介在物サイズを微細化する方法を提供する。 【構成】 Si,Mn,Alを含有し、C含有量1.2
重量%以下の溶鋼にMgを添加するに際し、Mg源とし
てコークスにMgを含浸させ、Mg含有量を2〜60重
量%としたMg−Cokeを用いる。さらにMg源の種
類、添加速度、添加場所、添加方法の適正化を図る。 【効果】 安価なMg源を用いて介在物微細化効果を導
出でき、低コストで材質特性に優れた鋼材を供給でき
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶鋼中にMg源を添加
し酸化物系介在物を微細化し、材質特性に優れた鋼材を
製造する方法に関するものである。
し酸化物系介在物を微細化し、材質特性に優れた鋼材を
製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、鋼材に要求される品質は次第に厳
しく、かつ多様化してきており、より清浄で機能性に富
む鋼を製造する技術の開発が強く望まれている。鋼材中
の酸化物系介在物に関しても、鋼材中での悪影響度を軽
減するために一層の低減が要求されてきた。即ち、酸化
物系介在物、特にアルミナ(Al2 O3 )系介在物はタ
イヤコード等線材の断線原因、軸受鋼等の棒鋼では転動
疲労特性の悪化原因、さらにDI缶等の薄鋼板では製缶
時ワレの原因になることが知られており、その低減が強
く求められてきた。このため、鋼材中酸化物総量の目安
であるT.O含有量を低減させるため、種々の技術が開
発あるいは検討されてきた。それらは、溶鋼の二次精錬
段階でのアルミナ除去、外来系酸化物の混入防止等であ
る。
しく、かつ多様化してきており、より清浄で機能性に富
む鋼を製造する技術の開発が強く望まれている。鋼材中
の酸化物系介在物に関しても、鋼材中での悪影響度を軽
減するために一層の低減が要求されてきた。即ち、酸化
物系介在物、特にアルミナ(Al2 O3 )系介在物はタ
イヤコード等線材の断線原因、軸受鋼等の棒鋼では転動
疲労特性の悪化原因、さらにDI缶等の薄鋼板では製缶
時ワレの原因になることが知られており、その低減が強
く求められてきた。このため、鋼材中酸化物総量の目安
であるT.O含有量を低減させるため、種々の技術が開
発あるいは検討されてきた。それらは、溶鋼の二次精錬
段階でのアルミナ除去、外来系酸化物の混入防止等であ
る。
【0003】しかしながら、T.O含有量低減は技術的
限界に達してきたのも事実である。即ち、例えば、高炭
素クロム軸受鋼においてはT.O含有量を5ppm以下
にするのが困難であり、一方T.O含有量が5ppm程
度でも酸化物起因の疲労破壊が発生することがある。そ
れゆえ、この問題は技術的に大きな障壁にぶつかってい
た。
限界に達してきたのも事実である。即ち、例えば、高炭
素クロム軸受鋼においてはT.O含有量を5ppm以下
にするのが困難であり、一方T.O含有量が5ppm程
度でも酸化物起因の疲労破壊が発生することがある。そ
れゆえ、この問題は技術的に大きな障壁にぶつかってい
た。
【0004】このような状況に対して本発明者らは、新
しい概念による抜本的対策を確立した。それらは、特願
平3−337922号,特願平4−14498号,特願
平5−59333号により提案されているものであり、
Mg添加により溶鋼中のアルミナ(Al2 O3 )をMg
O・Al2 O3 あるいはMgOに組成変換し、酸化物の
サイズを微細化することを基本とする。即ち、特願平3
−337922号では、Mg源としてFe−Si−M
g,Fe−Mn−Mg,Fe−Si−Mn−Mg,Si
−Mg合金を用いる方法を、特願平4−14498号で
はMg源としてAl−Mg合金を用いる方法を提案し
た。さらに特願平5−59333号では効率的組成変換
方法として、Mg合金添加前の溶鋼中S含有量を0.0
05重量%以下とする方法を提案した。これらにより、
得られた鋼材の品質は飛躍的に向上した。
しい概念による抜本的対策を確立した。それらは、特願
平3−337922号,特願平4−14498号,特願
平5−59333号により提案されているものであり、
Mg添加により溶鋼中のアルミナ(Al2 O3 )をMg
O・Al2 O3 あるいはMgOに組成変換し、酸化物の
サイズを微細化することを基本とする。即ち、特願平3
−337922号では、Mg源としてFe−Si−M
g,Fe−Mn−Mg,Fe−Si−Mn−Mg,Si
−Mg合金を用いる方法を、特願平4−14498号で
はMg源としてAl−Mg合金を用いる方法を提案し
た。さらに特願平5−59333号では効率的組成変換
方法として、Mg合金添加前の溶鋼中S含有量を0.0
05重量%以下とする方法を提案した。これらにより、
得られた鋼材の品質は飛躍的に向上した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、優れた
品質特性の鋼材の低コスト製造法開発は鉄鋼技術者に課
せられた社会的使命であり、より効率的なMg添加法の
確立が強く求められているのも現状である。このような
背景から、本発明者らは、Mg源に関する研究・実開発
を重ね、Mg−Cokeを用いることを基本とする低コ
ストの鋼材製造法を開発した。
品質特性の鋼材の低コスト製造法開発は鉄鋼技術者に課
せられた社会的使命であり、より効率的なMg添加法の
確立が強く求められているのも現状である。このような
背景から、本発明者らは、Mg源に関する研究・実開発
を重ね、Mg−Cokeを用いることを基本とする低コ
ストの鋼材製造法を開発した。
【0006】本発明は、Mg−Cokeを用いることを
特徴とする溶鋼中の酸化物系介在物の微細化方法を提供
することを目的とする。
特徴とする溶鋼中の酸化物系介在物の微細化方法を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、Si,Mn,Alを含有し、C含有量1.2重量
%以下の溶鋼にMgを添加するに際し、Mg源としてコ
ークスにMgを含浸させ、Mg含有量を2〜60重量%
としたMg−Cokeを用いることを特徴とする酸化物
系介在物の微細化方法にある。
ろは、Si,Mn,Alを含有し、C含有量1.2重量
%以下の溶鋼にMgを添加するに際し、Mg源としてコ
ークスにMgを含浸させ、Mg含有量を2〜60重量%
としたMg−Cokeを用いることを特徴とする酸化物
系介在物の微細化方法にある。
【0008】ここで、Mg源としてMg含有量0.5重
量%超かつ30重量%以下のSi−Mg合金、Fe−S
i−Mg合金,Fe−Mn−Mg合金,Fe−Si−M
n−Mg合金,およびMg含有量5重量%超かつ70重
量%以下のAl−Mg合金の1種類以上を上記Mg−C
okeと同時に用いても良い。またMg源中のMg添加
速度を0.002〜0.100kg/t−溶鋼/分にコ
ントロールすることも特徴とする。さらにMg源を溶鋼
取鍋、連続鋳造タンディッシュおよび連続鋳造モールド
の少なくとも一箇所で添加すること、その添加方法は粒
状のMg源を不活性ガスにより溶鋼中に吹込むか、ある
いは粒状のMg源を鉄製ワイヤー中に充填し、溶鋼中に
供給することも特徴とする。
量%超かつ30重量%以下のSi−Mg合金、Fe−S
i−Mg合金,Fe−Mn−Mg合金,Fe−Si−M
n−Mg合金,およびMg含有量5重量%超かつ70重
量%以下のAl−Mg合金の1種類以上を上記Mg−C
okeと同時に用いても良い。またMg源中のMg添加
速度を0.002〜0.100kg/t−溶鋼/分にコ
ントロールすることも特徴とする。さらにMg源を溶鋼
取鍋、連続鋳造タンディッシュおよび連続鋳造モールド
の少なくとも一箇所で添加すること、その添加方法は粒
状のMg源を不活性ガスにより溶鋼中に吹込むか、ある
いは粒状のMg源を鉄製ワイヤー中に充填し、溶鋼中に
供給することも特徴とする。
【0009】
【作用】Mg添加の狙いは、溶鋼中に存在する酸化物の
サイズを微細化し、鋼材品質に対する酸化物の悪影響を
回避することにある。即ち、鋼材中の介在物の大きさが
大きいほど、その部分に応力が集中しやすくなり、欠陥
となりやすいことから、酸化物についても大きくしなけ
れば悪影響を及ぼさない。このような考え方に基づき、
本発明者らは溶鋼中で凝集・粗大化しやすいAl2 O3
の微細化法を種々検討した。その結果、Mg添加により
Al2 O3 を改質し、組成をAl2 O3 ・MgOあるい
はMgOとすることにより、酸化物〜溶鋼間の界面エネ
ルギーが減少し、そのため酸化物の微細化が達成される
ことを見出した。
サイズを微細化し、鋼材品質に対する酸化物の悪影響を
回避することにある。即ち、鋼材中の介在物の大きさが
大きいほど、その部分に応力が集中しやすくなり、欠陥
となりやすいことから、酸化物についても大きくしなけ
れば悪影響を及ぼさない。このような考え方に基づき、
本発明者らは溶鋼中で凝集・粗大化しやすいAl2 O3
の微細化法を種々検討した。その結果、Mg添加により
Al2 O3 を改質し、組成をAl2 O3 ・MgOあるい
はMgOとすることにより、酸化物〜溶鋼間の界面エネ
ルギーが減少し、そのため酸化物の微細化が達成される
ことを見出した。
【0010】Mgは周知の通り高蒸気圧元素であり、溶
鋼中に添加しても蒸発ロスしやすい。蒸発ロスが大きけ
れば、上記Al2 O3 の改質反応の進行が阻害され好ま
しくない。この対策としてMgを合金化して添加する方
法がすでに提案されている。これらはSi−Mg合金,
Fe−Si−Mg合金,Fe−Mn−Mg合金,Fe−
Si−Mn−Mg合金,およびAl−Mg合金を用いる
方法である。
鋼中に添加しても蒸発ロスしやすい。蒸発ロスが大きけ
れば、上記Al2 O3 の改質反応の進行が阻害され好ま
しくない。この対策としてMgを合金化して添加する方
法がすでに提案されている。これらはSi−Mg合金,
Fe−Si−Mg合金,Fe−Mn−Mg合金,Fe−
Si−Mn−Mg合金,およびAl−Mg合金を用いる
方法である。
【0011】しかしながら、これらのMg合金は製造コ
ストが比較的高くなる欠点を有していた。このためこれ
ら合金成分の混合物の添加も試みたが顕著な成果は得ら
れなかった。そこで、本発明者らは安価なMg源として
Mg−Cokeに着目し、これを用いる方法を技術的に
確立した。Mg−Cokeは周知の通り、多孔質コーク
ス中にMgを含浸させたものであり、低温でかつ簡便な
設備で製造可能でありコスト的に有利である。一方、コ
ークス中に含浸したMgは一部MgCを形成するため、
溶鋼添加時の反応性が緩和される傾向にあるが、本発明
者らの実験により好ましい添加条件が解明された。
ストが比較的高くなる欠点を有していた。このためこれ
ら合金成分の混合物の添加も試みたが顕著な成果は得ら
れなかった。そこで、本発明者らは安価なMg源として
Mg−Cokeに着目し、これを用いる方法を技術的に
確立した。Mg−Cokeは周知の通り、多孔質コーク
ス中にMgを含浸させたものであり、低温でかつ簡便な
設備で製造可能でありコスト的に有利である。一方、コ
ークス中に含浸したMgは一部MgCを形成するため、
溶鋼添加時の反応性が緩和される傾向にあるが、本発明
者らの実験により好ましい添加条件が解明された。
【0012】まず、好ましいMg−Coke中のMg含
有量について述べる。本発明者らは種々のMg含有量の
Mg−Cokeの添加実験を行った結果、Mg含有量が
60重量%を超えると、添加時の溶鋼飛散がはげしくな
り、また2重量%未満では目的とするAl2 O3 の改質
が十分進行しないことが明らかとなった。また、Mg−
Coke中のMg分換算の添加速度の適正範囲を検討し
た結果、Si−Mg合金等と同様、0.002〜0.1
00kg/t−溶鋼/分が適正範囲となった。添加速度
が0.100kg/t−溶鋼/分を超えると溶鋼飛散が
はげしくなり、0.002kg/t−溶鋼/分未満では
蒸発ロス等が大きくなり好ましくない。
有量について述べる。本発明者らは種々のMg含有量の
Mg−Cokeの添加実験を行った結果、Mg含有量が
60重量%を超えると、添加時の溶鋼飛散がはげしくな
り、また2重量%未満では目的とするAl2 O3 の改質
が十分進行しないことが明らかとなった。また、Mg−
Coke中のMg分換算の添加速度の適正範囲を検討し
た結果、Si−Mg合金等と同様、0.002〜0.1
00kg/t−溶鋼/分が適正範囲となった。添加速度
が0.100kg/t−溶鋼/分を超えると溶鋼飛散が
はげしくなり、0.002kg/t−溶鋼/分未満では
蒸発ロス等が大きくなり好ましくない。
【0013】本発明においてMg源としてMg合金の1
種類以上をMg−Cokeと同時に添加しても、Mg−
Coke単独添加あるいはMg合金の1種類以上の添加
の場合と同等の効果を得ることができる。Mg合金組成
としては、溶鋼に添加する必要のある元素との組合わ
せ、さらには合金製造の可否等を勘案して決めるべきで
ある。この点を考慮すると、Si−Mg合金,Fe−S
i−Mg合金,Fe−Mn−Mg合金,Fe−Si−M
n−Mg合金およびAl−Mg合金が使用できる。Si
−Mg合金,Fe−Si−Mg合金,Fe−Mn−Mg
合金,Fe−Si−Mn−Mg合金のMg含有量を30
重量%以下に規定する理由は合金添加時の溶鋼飛散防止
のためである。即ち、合金中のMgが30重量%を超え
ると反応性が激しくなり、合金添加時に溶鋼が飛散し好
ましくない。またMg含有量が0.5重量%以下になる
とAl2 O3 の改質が十分進行せず好ましくない。一
方、Al−Mg合金の場合には、Mgの反応性が前記合
金より低いので、5重量%超かつ70重量%以下が適正
範囲となる。
種類以上をMg−Cokeと同時に添加しても、Mg−
Coke単独添加あるいはMg合金の1種類以上の添加
の場合と同等の効果を得ることができる。Mg合金組成
としては、溶鋼に添加する必要のある元素との組合わ
せ、さらには合金製造の可否等を勘案して決めるべきで
ある。この点を考慮すると、Si−Mg合金,Fe−S
i−Mg合金,Fe−Mn−Mg合金,Fe−Si−M
n−Mg合金およびAl−Mg合金が使用できる。Si
−Mg合金,Fe−Si−Mg合金,Fe−Mn−Mg
合金,Fe−Si−Mn−Mg合金のMg含有量を30
重量%以下に規定する理由は合金添加時の溶鋼飛散防止
のためである。即ち、合金中のMgが30重量%を超え
ると反応性が激しくなり、合金添加時に溶鋼が飛散し好
ましくない。またMg含有量が0.5重量%以下になる
とAl2 O3 の改質が十分進行せず好ましくない。一
方、Al−Mg合金の場合には、Mgの反応性が前記合
金より低いので、5重量%超かつ70重量%以下が適正
範囲となる。
【0014】また、Mg源添加前の溶鋼組成の規定理由
は以下の通りである。Cは添加されたMgとMgCを生
成し、本発明の目的を阻害するため、1.2重量%以下
とする必要がある。この範囲ではMgCはほとんど生成
しない。Cが0.2重量%未満では溶鋼中の溶損酸素が
多くなり、添加されたMgは酸素と激しく反応し、溶鋼
飛散等が生じる。この対策として事前にAl等の脱酸剤
を添加し溶鋼中溶損酸素を50ppmとすることが有効
である。C含有量が0.2重量%以上の場合にはこの限
りではない。なお、Si,MnをMg添加後に添加する
とMg添加から鋳造までの所要時間が長くなり、そのた
めMgロスが多くなる等して好ましくない。このため、
所定量のSi,Mnを含有した溶鋼にMgを添加した方
が得策である。また、Mg添加前溶鋼にAlが含有され
ていても本発明の目的は達成される。本発明ではMg−
Coke添加に伴い溶鋼のC含有量がアップすることが
ある。この場合にはCアップ量を考慮して、Mg添加前
のC含有量を鋼材規格C範囲より低めに設定しておけば
よい。
は以下の通りである。Cは添加されたMgとMgCを生
成し、本発明の目的を阻害するため、1.2重量%以下
とする必要がある。この範囲ではMgCはほとんど生成
しない。Cが0.2重量%未満では溶鋼中の溶損酸素が
多くなり、添加されたMgは酸素と激しく反応し、溶鋼
飛散等が生じる。この対策として事前にAl等の脱酸剤
を添加し溶鋼中溶損酸素を50ppmとすることが有効
である。C含有量が0.2重量%以上の場合にはこの限
りではない。なお、Si,MnをMg添加後に添加する
とMg添加から鋳造までの所要時間が長くなり、そのた
めMgロスが多くなる等して好ましくない。このため、
所定量のSi,Mnを含有した溶鋼にMgを添加した方
が得策である。また、Mg添加前溶鋼にAlが含有され
ていても本発明の目的は達成される。本発明ではMg−
Coke添加に伴い溶鋼のC含有量がアップすることが
ある。この場合にはCアップ量を考慮して、Mg添加前
のC含有量を鋼材規格C範囲より低めに設定しておけば
よい。
【0015】また、Mg添加前溶鋼S含有量は0.00
5重量%以下としたほうが望ましい。これにより、Mg
Sの生成が抑制され酸化物へのMgS付着による粗大化
を防止できる。なお、鋼材の被削性確保等のため、Mg
添加後に必要に応じてSを添加しても良い。次に、Mg
源の添加条件について述べる。Mgは高蒸気圧元素であ
るため、より低温の場所で添加すべきであり、具体的に
は連続鋳造タンディッシュおよび/または連続鋳造モー
ルドでの添加が望ましいが、溶鋼取鍋でMg源を添加す
ることも可能である。
5重量%以下としたほうが望ましい。これにより、Mg
Sの生成が抑制され酸化物へのMgS付着による粗大化
を防止できる。なお、鋼材の被削性確保等のため、Mg
添加後に必要に応じてSを添加しても良い。次に、Mg
源の添加条件について述べる。Mgは高蒸気圧元素であ
るため、より低温の場所で添加すべきであり、具体的に
は連続鋳造タンディッシュおよび/または連続鋳造モー
ルドでの添加が望ましいが、溶鋼取鍋でMg源を添加す
ることも可能である。
【0016】また、粒状のMg源を不活性ガスにより溶
鋼中に吹込む方式、鉄製ワイヤー中に充填し溶鋼中に供
給する方式では、Mgと大気中酸素との接触が抑制さ
れ、Mgの酸化ロスが大幅に低減する。なお、粒状Mg
源の吹込み方式は連続鋳造タンディッシュに適用するの
が好ましく、鉄製ワイヤー添加方式は連続鋳造モールド
への適用が最適である。もちろん、取鍋内溶鋼にこれら
の方式でMg源を添加しても良い。
鋼中に吹込む方式、鉄製ワイヤー中に充填し溶鋼中に供
給する方式では、Mgと大気中酸素との接触が抑制さ
れ、Mgの酸化ロスが大幅に低減する。なお、粒状Mg
源の吹込み方式は連続鋳造タンディッシュに適用するの
が好ましく、鉄製ワイヤー添加方式は連続鋳造モールド
への適用が最適である。もちろん、取鍋内溶鋼にこれら
の方式でMg源を添加しても良い。
【0017】以上により、酸化物系介在物が顕著に微細
化され、材質特性に優れた鋼材の製造が可能となる。以
下に本発明の実施例を述べ、本発明の効果について記載
する。
化され、材質特性に優れた鋼材の製造が可能となる。以
下に本発明の実施例を述べ、本発明の効果について記載
する。
【0018】
【実施例】300ton転炉−RH−Mg添加−連続鋳
造−圧延法により、表1に示す組成の薄鋼板(厚み2m
m),ばね鋼(直径6mmφ),軸受鋼(直径65mm
φ)を280〜295ton製造した。その際、転炉で
溶製された母溶鋼を取鍋に出鋼する際に薄鋼板ではS
i,Mn,Alを、ばね鋼,軸受鋼ではSi,Mn,C
rを添加した。またRHではSi,Mn,Al,Crを
添加しこれら成分の微調整を行った。さらに表2に示す
条件でMg−Coke及びMg合金を添加した。なおM
g添加後にSを添加し所定のS含有量に調整した。得ら
れた素材の材質試験成績は表3に示すように比較例−2
および比較例−3−,と同様、極めて良好であっ
た。また素材中の介在物は大部分目的とするAl2 O3
・MgOおよびMgOであり、そのサイズは極めて微細
であった。
造−圧延法により、表1に示す組成の薄鋼板(厚み2m
m),ばね鋼(直径6mmφ),軸受鋼(直径65mm
φ)を280〜295ton製造した。その際、転炉で
溶製された母溶鋼を取鍋に出鋼する際に薄鋼板ではS
i,Mn,Alを、ばね鋼,軸受鋼ではSi,Mn,C
rを添加した。またRHではSi,Mn,Al,Crを
添加しこれら成分の微調整を行った。さらに表2に示す
条件でMg−Coke及びMg合金を添加した。なおM
g添加後にSを添加し所定のS含有量に調整した。得ら
れた素材の材質試験成績は表3に示すように比較例−2
および比較例−3−,と同様、極めて良好であっ
た。また素材中の介在物は大部分目的とするAl2 O3
・MgOおよびMgOであり、そのサイズは極めて微細
であった。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】〔比較例−1〕実施例の方法に準じて、表
1に示す組成の薄鋼板(厚み2mm)、ばね鋼(直径6
mmφ),軸受鋼(直径65mmφ)を製造した。しか
し、この場合にはMg源の添加は行わなかった。その結
果、素材の材質試験成績及び介在物組成・サイズは表3
に示すように実施例と比べ好ましくないものとなった。 〔比較例−2〕実施例と同様の方法で表1に示す組成の
薄鋼板(厚み2mm)、ばね鋼(直径6mmφ),軸受
鋼(直径65mmφ)を製造した。この場合には、Mg
源としてMg合金を用いその添加条件は表2に示す適正
範囲とした。得られた素材の材質試験成績及び介在物組
成・サイズは表3の如く実施例とほぼ同様であった。 〔比較例−3〕実施例と同様の方法で表1に示す組成の
薄鋼板(厚み2mm)、ばね鋼(直径6mmφ),軸受
鋼(直径65mmφ)を製造した。この場合には、Mg
源としてMg−Cokeを用いたが、その添加条件は表
2に示すように適正範囲外とした。その結果、得られた
素材の材質試験成績及び介在物組成・サイズは表3の如
くとなった。即ち、Mg−Coke中のMg含有量を
適正範囲上限超で、Mg添加速度を適正範囲としたケー
ス、Mg−Coke中のMg含有量を適正範囲とし、
Mg添加速度を適正範囲上限以上としたケースでは材質
試験成績及び介在物組成・サイズは実施例とほぼ同等レ
ベルとなったが、Mg源添加時の溶鋼飛散が激しく鉄ロ
スがきわめて多かった。またMg−Coke中のMg
含有量を適正範囲下限未満で、Mg添加速度を適正範囲
としたケース、Mg−Coke中のMg含有量を適正
範囲とし、Mg添加速度を適正範囲下限未満としたケー
スでは材質試験成績及び介在物組成・サイズが実施例に
比べ好ましくない結果となった。
1に示す組成の薄鋼板(厚み2mm)、ばね鋼(直径6
mmφ),軸受鋼(直径65mmφ)を製造した。しか
し、この場合にはMg源の添加は行わなかった。その結
果、素材の材質試験成績及び介在物組成・サイズは表3
に示すように実施例と比べ好ましくないものとなった。 〔比較例−2〕実施例と同様の方法で表1に示す組成の
薄鋼板(厚み2mm)、ばね鋼(直径6mmφ),軸受
鋼(直径65mmφ)を製造した。この場合には、Mg
源としてMg合金を用いその添加条件は表2に示す適正
範囲とした。得られた素材の材質試験成績及び介在物組
成・サイズは表3の如く実施例とほぼ同様であった。 〔比較例−3〕実施例と同様の方法で表1に示す組成の
薄鋼板(厚み2mm)、ばね鋼(直径6mmφ),軸受
鋼(直径65mmφ)を製造した。この場合には、Mg
源としてMg−Cokeを用いたが、その添加条件は表
2に示すように適正範囲外とした。その結果、得られた
素材の材質試験成績及び介在物組成・サイズは表3の如
くとなった。即ち、Mg−Coke中のMg含有量を
適正範囲上限超で、Mg添加速度を適正範囲としたケー
ス、Mg−Coke中のMg含有量を適正範囲とし、
Mg添加速度を適正範囲上限以上としたケースでは材質
試験成績及び介在物組成・サイズは実施例とほぼ同等レ
ベルとなったが、Mg源添加時の溶鋼飛散が激しく鉄ロ
スがきわめて多かった。またMg−Coke中のMg
含有量を適正範囲下限未満で、Mg添加速度を適正範囲
としたケース、Mg−Coke中のMg含有量を適正
範囲とし、Mg添加速度を適正範囲下限未満としたケー
スでは材質試験成績及び介在物組成・サイズが実施例に
比べ好ましくない結果となった。
【0023】
【発明の効果】以上の実施例のよび比較例から明らかな
ように、本発明により、安価なMg源であるMg−Co
keを用いて酸化物系介在物を効率的に微細化する技術
が確立された。同時に、Mg添加鋼の製造コストの削減
が達成され、より低コストでMg添加による介在物微細
化効果を導出できる技術が開発され、産業界にとって極
めて有益である。
ように、本発明により、安価なMg源であるMg−Co
keを用いて酸化物系介在物を効率的に微細化する技術
が確立された。同時に、Mg添加鋼の製造コストの削減
が達成され、より低コストでMg添加による介在物微細
化効果を導出できる技術が開発され、産業界にとって極
めて有益である。
Claims (6)
- 【請求項1】 Si,Mn,Alを含有し、C含有量
1.2重量%以下の溶鋼にMgを添加するに際し、Mg
源としてコークスにMgを含浸させ、Mg含有量を2〜
60重量%としたMg−Cokeを用いることを特徴と
する酸化物系介在物の微細化方法。 - 【請求項2】 Mg源としてMg含有量0.5重量%超
かつ30重量%以下のSi−Mg合金,Fe−Si−M
g合金,Fe−Mn−Mg合金,Fe−Si−Mn−M
g合金,およびMg含有量5重量%超かつ70重量%以
下のAl−Mg合金を1種類以上と請求項1のMg−C
okeを同時に用いることを特徴とする酸化物系介在物
の微細化方法。 - 【請求項3】 Mg添加速度を0.002〜0.100
kg/t−溶鋼/分にコントロールすることを特徴とす
る請求項1あるいは2記載の酸化物系介在物の微細化方
法。 - 【請求項4】 Mg源を溶鋼取鍋、連続鋳造タンディッ
シュおよび連続鋳造モールドの少なくとも一箇所で添加
することを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記
載の酸化物系介在物の微細化方法。 - 【請求項5】 粒状のMg源を不活性ガスにより溶鋼中
に吹込むことを特徴とする請求項1、2、3、4のいず
れかに記載の酸化物系介在物の微細化方法。 - 【請求項6】 粒状のMg源を鉄製ワイヤー中に充填
し、溶鋼中に供給することを特徴とする請求項1、2、
3、4のいずれかに記載の酸化物系介在物の微細化方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5193776A JP3033001B2 (ja) | 1993-08-04 | 1993-08-04 | 酸化物系介在物の微細化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5193776A JP3033001B2 (ja) | 1993-08-04 | 1993-08-04 | 酸化物系介在物の微細化方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0748617A true JPH0748617A (ja) | 1995-02-21 |
JP3033001B2 JP3033001B2 (ja) | 2000-04-17 |
Family
ID=16313619
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5193776A Expired - Lifetime JP3033001B2 (ja) | 1993-08-04 | 1993-08-04 | 酸化物系介在物の微細化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3033001B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101589074B1 (ko) | 2015-07-17 | 2016-02-02 | 세명알앤디주식회사 | 케이블 용접테스트용 이동식 비파괴방사능검사실 |
-
1993
- 1993-08-04 JP JP5193776A patent/JP3033001B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3033001B2 (ja) | 2000-04-17 |
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