JPH0748365A - 塩素化有機化合物の製造方法 - Google Patents

塩素化有機化合物の製造方法

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JPH0748365A
JPH0748365A JP19336993A JP19336993A JPH0748365A JP H0748365 A JPH0748365 A JP H0748365A JP 19336993 A JP19336993 A JP 19336993A JP 19336993 A JP19336993 A JP 19336993A JP H0748365 A JPH0748365 A JP H0748365A
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尚生 窪田
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大器 日下
Masato Shinohara
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Abstract

(57)【要約】 【目的】有機化合物の塩素化を高収率かつ、短時間で行
なうことができる塩素化有機化合物の製造方法の提供。 【構成】有機化合物に塩素を作用させる塩素化反応を含
フッ素有機溶媒中で行なうことを特徴とする塩素化有機
化合物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機化合物の塩素化反
応を含フッ素有機溶媒中で行なう塩素化有機化合物の製
造方法に関し、詳しくは3,3,4,4−テトラクロロ
テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドの新規な
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に有機化合物に塩素を作用させる塩
素化反応は、炭素−炭素二重結合への塩素付加反応、或
いは炭素−炭素間結合における塩素置換反応等がよく知
られているところである。これら反応においては、通
常、四塩化炭素,クロロホルム,ジクロロメタン等の含
塩素有機溶媒が用いられている〔新実験化学講座14
〔II〕,第335〜338頁,〔V〕第2639
頁〕。また、殺菌剤,殺虫剤,除草剤として有用な化合
物である3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチ
オフェン−1,1−ジオキシド(I)は構造式
【化1】 で示されるが、該化合物の製造方法としては、一般にブ
タジエンスルホン(II)を塩素付加して、個々に塩素原
子と結合する隣接炭素原子を有する3,4−ジクロロテ
トラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド(III)を
得、続いて(III)を塩素置換する方法が用いられてい
る。
【化2】
【0003】上記方法においてブタジエンスルホン(I
I)の塩素付加反応は、極めて容易かつ定量的に反応が
進行するため、特に問題はなく、また、得られた3,4
−ジクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシ
ド(III)の塩素置換反応は、四塩化炭素溶媒中での光
塩素化による方法(特開昭35−3517号)が一般に
知られている。また、3,4−ジクロロテトラヒドロチ
オフェン−1,1−ジオキシド(III)の塩素置換反応
については、光塩素化に代えて有機パーオキシ化合物を
用いる方法(特開昭52−102631号)や有機アゾ
系ラジカル開始剤を用いる方法、さらには光照射と有機
ラジカル開始剤を併用する方法(特開平2−24368
5号)が提案されており、これらの方法についてもいず
れも溶媒として四塩化炭素が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これら塩素化
法で用いる四塩化炭素は、1996年以降は全面使用禁
止(1992年11月モントリオール議定書締結国会議
/1993年1月8日付日刊工業新聞)となるため、四
塩化炭素を全く用いず、収率よく塩素化を行なう方法が
切望されていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これら課
題を解決するために鋭意検討した結果、含フッ素有機溶
媒を用いると、四塩化炭素と同等またはそれ以上の反応
速度,反応収率で塩素化有機化合物が得られることを見
い出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
は、有機化合物に塩素を作用させる塩素化反応を含フッ
素有機溶媒中で行なうことを特徴とする塩素化有機化合
物の製造方法に関する。本発明による塩素化有機化合物
の製造方法は、あらゆる有機化合物の塩素化反応に適用
可能であるが、光照射下において塩素置換反応を行なう
場合に好適に用いられ、特に個々に塩素原子と結合する
隣接炭素原子を有する有機化合物において、該隣接炭素
原子それぞれを光照射により、塩素置換する場合に好適
に用いられる。このような個々に塩素原子と結合する隣
接炭素原子を有する有機化合物としては、殺菌剤,殺虫
剤,除草剤として有用な化合物である3,3,4,4−
テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキ
シド(I)の原料である3,4ージクロロテトラヒドロ
チオフェン−1,1−ジオキシド(III)が挙げられ
る。以下、3,4−ジクロロテトラヒドロチオフェン−
1,1−ジオキシドと塩素とを光照射しながら含フッ素
有機溶媒中で反応させ、3,3,4,4−テトラクロロ
テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドを製造す
る方法を例にとって、本発明を説明する。
【0006】原料である3,4−ジクロロテトラヒドロ
チオフェン−1,1−ジオキシド(III)は如何なる製
法によって得られたものでもよいが、一般にはブタジエ
ンスルホン(II)を公知の方法で塩素付加して得られた
ものが使用される。この塩素付加に用いられる溶媒は塩
素との反応には悪影響を与えず、かつ塩素及び原料が溶
解可能なものであれば特に制限されず、公知の不活性溶
媒を用いることができる。また、(II)と塩素とを本発
明の含フッ素有機溶媒中で反応させることにより、定量
的に(III)を得ることができ、このようにして得られ
た(III)は、含フッ素有機溶媒と分離することなく、
そのまま原料として用いることもできる。本発明に用い
られる含フッ素有機溶媒は、沸点が50℃以上で、反応
時において塩素と反応することなく、かつ、回収できる
溶媒であればいずれでもよく、(III)から(I)への光
塩素化反応においては、さらに塩素及び原料が溶解可能
な溶媒が用いられる。このような含フッ素有機溶媒とし
ては、トリフルオロ酢酸,1,1,1,3−テトラクロ
ロ−2,2,4,4−テトラフルオロプロパン等の含フ
ッ素脂肪族系有機溶媒,フッ化ベンゼン,トリフルオロ
メチルベンゼン,1,3−ビス(トリフルオロメチル)
ベンゼン,1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼ
ン等の含フッ素芳香族系有機溶媒等が挙げられる。含フ
ッ素芳香族系有機溶媒が好適に用いられる。これらは単
独又は併用して用いてもよく、ジクロロベンゼン等の含
塩素有機溶媒と混合して用いてもよい。尚、含塩素有機
溶媒であるクロロベンゼンのみでも該反応は進行する
が、含フッ素有機溶媒と同等の反応時間では、著しく反
応収率に劣る。本反応は光照射しながら行われるが光照
射には可視光線、近紫外線、紫外線が適している。特に
照射効率の点で近紫外線、紫外線が適しており波長20
0〜400mμ程度の紫外線ランプ、高圧水銀灯、低圧
水銀灯が好適に用いられる。
【0007】本反応において、(III)と塩素とを光照
射しながら含フッ素有機溶媒中で反応させる態様は、反
応時に上記成分が反応系に存在していればよく特に制限
はない。例えば、(III)を溶解した含フッ素有機溶媒
中に光照射しながら塩素を連続的あるいは断続的に供給
する態様、塩素を溶解した含フッ素有機溶媒中に光照射
しながら(III)を連続的あるいは断続的に供給する態
様等が挙げられる。反応の制御が容易である後者の態様
が好適に用いられる。反応温度は含フッ素有機溶媒に対
する(III)の溶解温度以上であればよいが、あまり高
いと原料及び生成物の分解が起こり実用的ではない。反
応温度は通常50〜110℃が好ましく、より好ましく
は60〜80℃である。なお、本反応は常圧下で実施す
ることができる。本反応において生成した3,3,4,
4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジ
オキシド(I)の分離、精製は公知の方法が特に制限な
く採用される。例えば含フッ素有機溶媒中で晶析した
後、遠心分離などの分離機により分離し、乾燥する方法
が一般的である。この場合、含フッ素有機溶媒に対する
(I)の溶解度が低いため、従来の四塩化炭素を用いた
場合に比べ、反応後に溶媒の留去の必要がなく、例えば
窒素置換して溶解した塩酸を除去した後、約5℃で冷却
することにより容易に晶析させることができる。
【0008】
【発明の効果】本発明の製造方法により、有機化合物の
塩素化を高収率かつ、短時間に行なうことができる。特
に3,4−ジクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−
ジオキシドから3,3,4,4−テトラクロロテトラヒ
ドロチオフェン−1,1−ジオキシドの製造に適する。
【0009】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるもので
はない。尚、実施例中に記載の高圧水銀灯はウシオ電気
製100W水銀灯、波長は250〜450mμである。 実施例1 窒素ガスで置換した撹拌装置付き1Lコルベン内に3,
4−ジクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキ
シド(III)70gとトリフルオロメチルベンゼン50
0mlを入れ、反応温度80℃前後で、約6時間、高圧水
銀灯を照射しつつ、毎時5〜10リットルの速度で連続
的に塩素ガスを吹き込んだ。反応中に副成する塩酸ガス
はコルベン内に窒素ガスを導入することにより除去し
た。反応終了後、窒素置換により溶解した塩酸を除去
し、約5℃に冷却して3,3,4,4−テトラクロロテ
トラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド(I)を析
出させた。これをヌッチェでろ過し、トリフルオロメチ
ルベンゼン200mlで洗浄後、乾燥させ、68.0g
(収率71.2%)の(I)を得た。
【0010】実施例2 窒素ガスで置換した撹拌装置付き1Lコルベン内にブタ
ジエンスルホン(II)60gとトリフルオロメチルベン
ゼン400mlを入れ、反応温度20℃前後で約4時間、
毎時5〜10リットルの速度で連続的に塩素ガスを吹き
込んだ。次に(III)を単離せず、トリフルオロメチル
ベンゼンの反応液のまま、反応温度80℃前後で、約6
時間、高圧水銀灯を照射しつつ、毎時5〜10リットル
の速度で連続的に塩素ガスを吹き込んだ。反応中に副成
する塩酸ガスはコルベン内に窒素ガスを導入することに
より除去した。反応終了後、窒素置換により溶解した塩
酸を除去し、約5℃に冷却して(I)を析出させた。こ
れをヌッチェでろ過し、トリフルオロメチルベンゼン2
00mlで洗浄後、乾燥させ、68.7g(収率48.6
%)の(I)を得た。
【0011】実施例3 (III)を30gと1,4−ビス(トリフルオロメチ
ル)ベンゼンを250ml用いた以外は実施例1と同様の
操作を行ない、33.5g(収率81.8%)の(I)
を得た。 実施例4 (III)を20gと1,3−ビス(トリフルオロメチ
ル)ベンゼンを200ml用いた以外は実施例1と同様
の操作を行ない、21.0g(収率77.7%)の
(I)を得た。 実施例5 (III)を20gと1,1,1,3−テトラクロロ−
2,2,4,4−テトラフルオロプロパンを200ml用
いた以外は実施例1と同様の操作を行ない、20.8g
(収率77.7%)の(I)を得た。 実施例6 (II)を20gとトリフルオロ酢酸を400ml用いた以
外は実施例2と同様の操作を行ない、8.5g(収率1
9.4%)の(I)を得た。
【0012】比較例1 窒素ガスで置換した撹拌装置付き1Lコルベン内に(II
I)を28gと四塩化炭素250mlを入れ、反応温度6
5℃前後で、約6時間、高圧水銀灯を照射しつつ、毎時
5〜10リットルの速度で連続的に塩素ガスを吹き込ん
だ。反応中に副成する塩酸ガスはコルベン内に窒素ガス
を導入することにより除去した。反応終了後、窒素置換
により溶解した塩酸を除去し、約5℃に冷却して(I)
を析出させた。これをヌッチェでろ過し、四塩化炭素1
00mlで洗浄後、乾燥させ、29.5g(収率77.4
%)の(I)を得た。
【0013】比較例2 窒素ガスで置換した撹拌装置付き1Lコルベン内に(I
I)を20gと四塩化炭素250mlを入れ、冷却しつつ
反応温度を20℃前後に保ち、約4時間、毎時5〜10
リットルの速度で連続的に塩素ガスを吹き込んだ。反応
中に副成する塩酸ガスはコルベン内に窒素ガスを導入す
ることで除去した。次に(III)を単離せず四塩化炭素
の反応液のまま、反応温度80℃前後で約6時間、高圧
水銀灯を照射しつつ、毎時5〜10リットルの速度で連
続的に塩素ガスを吹き込んだ。反応中に副成する塩酸ガ
スはコルベン内に窒素ガスを導入することにより除去し
た。反応終了後、窒素置換により溶解した塩酸を除去
し、約5℃に冷却して(I)を析出させた。これをヌッ
チェでろ過し、四塩化炭素100mlで洗浄後、乾燥さ
せ、24.0g(収率55.0%)の(I)を得た。
【0014】比較例3 (III)を20gとO−ジクロロベンゼンを200ml用
いた以外は比較例1と同様の操作を行ない、4.1g
(収率15.1%)の(I)を得た。 比較例4 (II)を40gとクロロベンゼンを400ml用いた以外
は比較例2と同様の操作を行ない、19.4g(収率1
9.2%)の(I)を得た。 比較例5 (III)を30gとトルエンを200ml用いた以外は比
較例1と同様の操作を行なったが、(I)は全く得られ
なかった。 比較例6 (III)を30gとp−キシレンを200ml用いた以外
は比較例1と同様の操作を行なったが、(I)は全く得
られなかった。 比較例7 (III)を30gと酢酸を200ml用いた以外は比較例
1と同様の操作を行なったが、(I)は全く得られなか
った。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機化合物に塩素を作用させる塩素化反応
    を含フッ素有機溶媒中で行なうことを特徴とする塩素化
    有機化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】光照射下で反応を行なう請求項1記載の塩
    素化有機化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】有機化合物が個々に塩素原子と結合する隣
    接炭素原子を有しており、該隣接炭素原子それぞれを更
    に塩素化させる請求項1又は2記載の塩素化有機化合物
    の製造方法。
  4. 【請求項4】個々に塩素原子と結合する隣接炭素原子を
    有する有機化合物が3,4−ジクロロテトラヒドロチオ
    フェン−1,1−ジオキシドである請求項3記載の塩素
    化有機化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】含フッ素有機溶媒が芳香族系含フッ素有機
    溶媒である請求項1記載の塩素化有機化合物の製造方
    法。
  6. 【請求項6】含フッ素有機溶媒が脂肪族系含フッ素有機
    溶媒である請求項1記載の塩素化有機化合物の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006094667A1 (de) * 2005-03-11 2006-09-14 Bayer Cropscience Ag Verfahren zur darstellung von 3,3,4,4-tetrachlortetrahydrothiophen-1,1-dioxid

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WO2006094667A1 (de) * 2005-03-11 2006-09-14 Bayer Cropscience Ag Verfahren zur darstellung von 3,3,4,4-tetrachlortetrahydrothiophen-1,1-dioxid

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