JPH0747831B2 - 化学的洗浄方法 - Google Patents

化学的洗浄方法

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JPH0747831B2
JPH0747831B2 JP1046411A JP4641189A JPH0747831B2 JP H0747831 B2 JPH0747831 B2 JP H0747831B2 JP 1046411 A JP1046411 A JP 1046411A JP 4641189 A JP4641189 A JP 4641189A JP H0747831 B2 JPH0747831 B2 JP H0747831B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、貫流ボイラや熱交換器、その他の配管等を有
機酸類の水溶液を用いて洗浄し、付着したスケール等を
除去する方法に関するものである。
(従来の技術) ボイラや化学工業などの製造プラントなどにおいては、
これらを稼働している間に、装置内に酸化鉄をはじめと
するさまざまな堆積物(以下スケールという)が沈積
し、しばしばこれら装置の運転に障害を与えることがあ
る。
このための予防措置として、このスケールを除去するこ
とが定期的に実施されている。
その手段としては、化学薬品による除去方法、すなわち
化学洗浄が最もよく用いられており、使用される薬品は
無機酸および有機酸に大別される。
本発明は有機酸を用いる化学的洗浄法であつて、かつ被
洗浄物の構造が、被洗浄物内の洗浄液を系外へ排出する
際、新たな液体を連続的に注入し、該液と置換する水洗
方法(以下押出し水洗という)に適しているもの、例え
ばボイラでは貫流ボイラ、製造プラントでは熱交換器や
配管などの洗浄方法に関するものである。
前記有機酸洗浄用の代表的な薬品としては、ギ酸、リン
ゴ酸、クエン酸、グリコール酸、アスコルビン酸、グル
コン酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチレン
ジアミン三酢酸、またはこれらの塩類、もしくはこれら
の混合物がある。
これらの薬品の他に添加剤として腐食を抑制するための
インヒビタは不可欠であり、またスケールの性質に応
じ、その溶解性を促進するための溶解促進剤や還元剤あ
るいは銅イオン封鎖剤を添加することもよく行われる。
これらの洗浄液を使用した従来の洗浄法は次のフローに
示す通りである。
有機酸洗浄→押出し水洗→リンス→中和→防錆 すなわち有機酸洗浄後、純水による押出し水洗を実施し
押出し水洗が終了すれば系統を循環に切換える。
一般的に押出し水洗に使用される水の量は被洗浄部の容
積の2倍程度である。
その後リンスから防錆までは同一液を循環させながら順
次薬品を添加いていく。
ここでリンス工程は有機酸洗浄後から押出し水洗時に生
成される後錆の除去を主目的として実施され、使用され
る薬品は後錆を溶解し、かつその後の中和工程で、溶解
した後錆が水酸化物として生成されないようにマスキン
グするものであればよく、通常はクエン酸あるいはクエ
ン酸のアンモニウム塩が用いられる。
引続き中和工程が行われるが、これはその後に行われる
防錆工程がアルカリ側で行われるため、アルカリ剤を添
加し、リンス液をアルカリ側にする目的で行われる。添
加するアルカリ剤は通常アンモニア水が用いられる。
洗浄の最終に行われる防錆は洗浄後の金属表面を不動態
化する目的で行われるものである。
(発明が解決しようとする問題点) 前述した従来行われて来た有機酸洗浄法においては、工
程が複雑でかつ長時間を要するという問題があつた。
また、リンス工程は通常40〜60℃程度で行われるが、後
錆の多い時、あるいはクエン酸が飽和量まで鉄母材を溶
解してしまう様な状況では、防錆法によつてはクエン酸
にマスキングされている鉄が解離して水酸化物となり母
材表面に再付着し、その後の防錆工程が均一に行われな
いことがある。
一方、廃液処理においては、リンス液中に含まれるクエ
ン酸はCODを有しており、その酸化分解が困難であるこ
と、かつ後錆等を溶解した鉄イオンを含有しているた
め、その処理には多額の費用と労力が必要であつた。
本発明はこれら従来法の諸欠点を改善、排除し化学洗浄
工程を簡略化し、かつ洗浄を的確に実施すると共に、該
廃液に含まれる処理困難なクエン酸の使用をも排除し、
経済的で効果的な処理を可能にする方法を提供すること
を目的としたものである。
(問題を解決するための手段) 本発明はボイラや化学プラントなどの装置に対する化学
洗浄のうち、有機酸を用いる洗浄法であつて、かつ酸洗
浄後の押出し水洗を効果的に行いうる貫流ボイラ、熱交
換器、配管等の洗浄方法に関するものであり、有機酸洗
浄後の純粋による押出し水洗水中にヒドラジンを添加
し、後錆の発生を抑制しつつ押出し水洗を行い、押出し
水洗が終了したら系統を循環に切換へ、引続き防錆処理
を行うことにより、リンス、中和工程を省略したことに
特徴を有する洗浄法である。
すなわち本発明は、有機酸洗浄後の被洗浄物系内を純水
にヒドラジンを添加した水で押出し水洗すれば後錆の発
生もなく、従つてリンス工程およびそれに伴う中和工程
が省略でき、工程の簡略化および廃液の水質をも改善で
きる方法を見い出したものである。
貫流ボイラを例にとれば押出し水洗法の酸原液と押出し
水洗水の置換はその過程を考えれば基本的には押出し水
洗水による酸原液の希釈と考えることができる。つま
り、いかに押出し水洗とはいえ酸原液と押出し水洗水の
間に明確な境界が存在する訳ではなく、酸原液と押出し
水洗水との希釈部が存在し、その希釈部が常に下流側へ
移動することによって、ついには全系統内が水洗水と置
換されるのである。
従来法の様に純水のみで押出し水洗を行つた場合、この
希釈部の希釈水は鉄系金属表面に錆を発生させる。その
錆の発生までの時間は希釈度合により異なり第1図に示
す装置を用い確認試験を行った。
第1図において、1,2及び3は弁、4はポンプ、5は被
洗浄物を示し、6は被洗浄物(例えば熱交換器)中のパ
イプを示す。該確認試験においては、被洗浄物中のパイ
プ6に、第2図で示すようにSTB−42製のパイプを長さ
方向に切断した試験片7を組み込んだアクリル樹脂製パ
イプ8を組み込んで希釈水による錆発生までの時間を測
定した。
即ち、先づ第1図に示す配管内に第1表に示す組成の酸
原液を導入した後弁1を開、弁2,3を閉としポンプ4に
より酸原液を循環させ、テストパイプ8の試験片7の錆
を除去した後装置中の酸原液を、純水で夫々50倍、100
倍及び500倍に希釈した酸原液と置きかえて第2表に示
す条件下で循環させた。
酸希釈度と試験片7上への錆発生までの時間との関係を
第3表に示す。
この結果は純粋での押出し水洗時に、系内の任意の箇所
で50〜500倍程度の希釈部が5〜10分間以上存在すれば
錆の発生は避けられないことを示している。押出し水洗
時の流量、流速にはおのずと限度が有り前述の様な箇所
が存在することは十分考えられる。従って純水による押
出し水洗を行った場合にはリンス中和は必要不可欠の工
程となる。
しかし、発明者等は上記押出し水洗水にヒドラジンを添
加すれば酸原液希釈部に起る錆の発生を抑制できる知見
を得た。
ヒドラジンの最適添加量は酸原液の希釈度合や、錆発生
までの時間をどの程度抑制する必要があるかによるが、
その結果を次に示す。
つぎに、確認試験を行つたのと同じ第1図に示す装置を
用い、確認試験の場合と同様に第1表に示す酸原液で試
験片7の錆を除去した後、酸原液を、ヒドラジン50mg/l
及び100mg/lを添加した純水で第4表に示す倍率で希釈
した酸原液と置きかえ、第2表に示す条件で装置内を循
環させた。
希釈水のヒドラジン含有量と該ヒドラジン含有水による
酸原液の希釈倍率と錆発生までの時間との関係は第4表
に示すとおりである。
この様に本発明によれば純水による押出し水洗中にヒド
ラジンを50mg/l以上添加すれば、酸原液希釈部での錆発
生までに要する時間を従来法の6倍〜36倍遅延させるこ
とが可能である。
前述のように、本発明においてはリンス工程、中程工程
等省略できるので、分解除去の困難なアンモニアを使用
する必要がなく、ヒドラジンを添加した水で押出し水洗
を行った後防錆処理を行うのみでよく、しかもヒドラジ
ンは酸化剤の添加、あるいは触媒を用いて空気酸化する
のみで簡単にN2ガスとして除去することが可能であるの
で、廃水中へのN負荷として残留することはない。特に
防錆処理をもヒドラジン水溶液で行うのが廃水処理の観
点から好ましい。
押出し水洗を行う場合、前にも述べたように50mg/l以上
のヒドラジン溶液で行えばよいが、50mg/l〜500mg/lの
ヒドラジン含有水を用いればよく、効果及び廃水処理等
考慮する場合、100mg/l〜200mg/l程度のヒドラジン含有
水を用うればよい。
また防錆処理を行う場合には、金属表面を不動態化する
関係上、400mg/l〜1000mg/lのヒドラジン含有水を用い
ればよく、上記と同様の理由から500mg/l〜600mg/lのヒ
ドラジン含有水を用いるのが好ましい。
実施例−1 発電用貫流ボイラ(被洗浄部容量420m3)をクエン酸1.5
%、グリコール酸1.5%の有機混酸にインヒビタ0.3%、
還元剤を0.1%添加した有機酸洗浄液を用いて、85±5
℃で、6時間酸洗浄を行つた。その後純水にヒドラジン
を100〜200mg/l添加しながら、900m3/hで約1時間押出
し水洗を実施した(流速0.3m/秒)。総押出し水洗水量
は800m3で被洗浄部容量の1.9倍であつた。押出し水洗が
終了後系統を循環に切換え昇温しながらヒドラジンを更
に500mg/lとなる様添加した。その後液温90±5℃で3
時間循環を行い(流速0.15m/秒)防錆処理し、全液をブ
ローした。
洗浄終了後内部を点検したところ後錆の発生もなく防錆
効果も良好であつた。
廃液処理は押出し水洗時に排出された分は産業廃棄物と
して焼却処理、他は薬品による化学処理を行つた。
比較例 発電用貫流ボイラ(被洗浄部容量175m3)を実施例1に
示した組成の有機酸洗浄液で同一条件の酸洗浄を行つ
た。その後純水による押出し水洗を450m3/hで40分間実
施した。
総押出し水洗水量は300m3で被洗部容量の1.8倍であつ
た。
押出し水洗終了後系統を循環に切換え、40℃まで昇温し
クエン酸モノアンモニウム0.1%を添加し1時間循環し
リンスを行つた。更に該リンス液にアンモニア水をアン
モニアとして0.3%になるように添加しながらpHがアル
カリ側になるまで、30分間循環し、中和工程を実施し
た。
更にヒドラジンを500mg/lを添加し昇温90±5℃で3時
間循環を行い防錆処理し全液をブローした。洗浄終了後
内部を点検したところ後錆の発生も無く防錆効果も良好
であつた。
廃液処理は押出し水洗時に排出された分は産業廃棄物と
して焼却処理、他は薬品による化学処理を行つた。
本発明方法と従来法の比較を第5表に示す。
実施例−2 発電用貫流ボイラ(被洗浄部容量160m3)を実施例−1
に示す有機酸洗浄液を用いて85±5℃で6時間酸洗浄を
行つた。その後純水にヒドラジンを100〜200mg/l添加し
ながら、450m3/hで45分間押出し水洗を実施した。総押
出し水洗水量は340m3で被洗浄部容量の2.1倍であつた。
押出し水洗終了後系統を循環に切換え、昇温しながらア
ンモニア水、重炭酸アンモンを各々0.1%、0.2%添加
し、液温が50℃の時点で35%過酸化水素水を0.3%添加
した。その後液温55±5℃で2時間循環し防錆処理を行
つた。洗浄終了後内部を点検したところ後錆の発生もな
く防錆効果も良好であつた。
(発明の効果) 本発明法によれば押出し水洗水にヒドラジンを添加すこ
とにより、押出し水洗時の希釈部の錆の発生を長時間抑
制することが可能であり、従つて、従来必要不可欠であ
つたリンス、中和工程が省略できる。
これによつて、有機酸洗浄処理の簡略化、時間の短縮化
が計られその洗浄効果も従来法と同等の効果が得られ
る。
更に廃液に関しては押出し水洗以降においてクエン酸等
の酸化分解困難な薬品を含まないため、従来法に比較し
て処理が簡単であり廃液処理に使用する薬品も少なくて
よい。
またN負荷量に関しては、簡単にN2ガスとして除去され
るヒドラジンのみの使用であるため、廃液処理後のN負
荷量は従来法の約1/100まで低減することが可能であ
る。
以上の様に本発明によれば有機酸洗浄、廃液処理の簡略
化、時間の短縮化による経済的効果のみならず環境汚染
防止の面からもその効果は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の効果を試験するために用いた装置の概
略図を示し、第2図は同試験に用いたテスト片を組みこ
んだパイプの断面図を示す。 1,2,3……弁、4……ポンプ、6……パイプ、7……試
験弁

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スケールの付着した金属製品を化学的に洗
    浄する方法において、有機酸類及びその塩類の1種又は
    2種以上を含有する水溶液を用いて洗浄した後、ヒドラ
    ジンを添加した水による押出し水洗に引き続き防錆処理
    を行うことを特徴とするスケールの付着した金属製品の
    化学的洗浄方法。
  2. 【請求項2】前記有機酸類またはその塩類がギ酸、リン
    ゴ酸、クエン酸、グリコール酸、アスコルビン酸、グル
    コン酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチレン
    ジアミン三酢酸又はこれらの塩類である請求項1記載の
    スケールの付着した金属製品の化学的洗浄方法。
  3. 【請求項3】50〜500mg/lのヒドラジンを含有している
    水で押出し水洗を行う請求項1記載のスケールの付着し
    た金属製品の化学的洗浄方法。
  4. 【請求項4】400〜1,000mg/lのヒドラジンを含有してい
    る水で防錆処理を行う請求項1記載のスケールの付着し
    た金属製品の化学的洗浄方法。
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