JPH0747810B2 - 耐火性に優れた建築用低降伏比溶融亜鉛メッキ熱延鋼板の製造方法およびその鋼板を用いた建築用鋼材料 - Google Patents

耐火性に優れた建築用低降伏比溶融亜鉛メッキ熱延鋼板の製造方法およびその鋼板を用いた建築用鋼材料

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JPH0747810B2
JPH0747810B2 JP1198636A JP19863689A JPH0747810B2 JP H0747810 B2 JPH0747810 B2 JP H0747810B2 JP 1198636 A JP1198636 A JP 1198636A JP 19863689 A JP19863689 A JP 19863689A JP H0747810 B2 JPH0747810 B2 JP H0747810B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は建築、土木および海洋構造物等の分野における
各種建造物に用いる耐火性の優れた溶融亜鉛メッキ熱延
鋼板の製造方法および耐火性の優れた建築用鋼材料に係
る。
(従来の技術) 建築用熱延鋼板には、一般構造用圧延鋼板(JIS G 310
1)、溶接構造用圧延鋼板(JIS G 3106)、溶接構造用
耐候性熱間圧延鋼板(JIS G 3114)、高耐候性圧延鋼板
(JIS G 3125)、(以下周知鋼板という)などが広く利
用されている。
建築物の耐火性は重要で、大型ビルから一般住宅用まで
種々その対策がなされている。
しかし、一般的には特開昭63-47451号公報記載の技術の
ように耐火被覆でもって火災対策を行っているのが現状
である。そのため、建築コストが上昇し、建造物の利用
空間を狭くしている。
近時、耐火設計について見直しが行われ、昭和62年建築
物の新耐火設計法が法定されるにいたり、従来の火災時
の許容鋼材温度(350℃以下)の規定が外され、鋼板の
高温強度と建物に実際に加わっている荷重により、耐火
被覆の能力を決定できるようになり、素材鋼板の高温強
度が確保される場合等には無被覆で鋼板を使用すること
も可能となった 耐火用の高温強度を保証した鋼板に関する発明として
は、特願昭63-143740号(特開平2-77523号公報)の技術
があるが、同発明は主として、厚板についてのものであ
る。しかし、建築物のうち軽量形鋼やU字状コラムは熱
延鋼帯または鋼板を素材として使用する場合が多い。熱
延鋼帯または鋼板はホットストリップミルにより製造さ
れるが、この工程では連続熱延のため仕上温度をむやみ
に下げたり、通板速度を極度に低下させることはできな
い。さらに大量に生産するため、ランアウトテーブルの
急冷工程と巻取工程が存在する。これらの理由により規
定の常温特性および高温特性を付与させるには、厚板製
造工程とは大幅に異なってくる。
そこで本発明者等は、特願平1-3834号(特開平2-282419
号公報)の技術(先願発明)により耐火性に優れた熱延
鋼板の製造方法を提案したが、建築用鋼としては耐食性
も重要であり、そのためには熱延鋼板に亜鉛メッキを施
すことが有効である。
溶融亜鉛メッキを施す場合は、連続式溶融亜鉛メッキラ
インで製造するが、この工程では鋼板を還元雰囲気中で
加熱するが、むやみにこの温度を高くすると析出等を生
じ、必要な高温耐力を確保できず、逆にむやみにこの温
度を低くするとメッキ密着性が低下する。また、メッキ
密着性は、添加する合金元素の種類、量にも影響を受け
る。このように規定の常温特性、高温特性およびメッキ
密着性を確保するには溶融亜鉛メッキ熱延鋼板独自の条
件設定が必要である。
本発明は先願発明の技術をさらに発展させ、耐火性の優
れた溶融亜鉛メッキ熱延鋼板の製造方法ならびに耐火性
能を付与した建築用鋼材料の技術を提案するものであ
る。
(発明が解決しようとする課題) 従来鋼では結晶粒成長,析出物の粗大化,炭化物溶解等
で高温強度を出すのが難しい。また、高合金耐熱金属は
鉄系を含めてもあるが、建築用に大量に消費されるもの
としては、経済性に難点がある。さらに建築用鋼として
は耐食性も兼ね備えているのが望ましい。
本発明の目的は、高温特性に優れ、耐火被覆が低減ない
し省略でき、かつ低コスト化のため普通鋼に近い鋼成分
で、さらに耐食性の優れた亜鉛メッキを施した溶融亜鉛
メッキ熱延鋼板の製造方法ならびに耐火性能を付与した
建築用鋼材料の技術を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明は前述の課題を克服し、目的を達成するもので、
その要旨は以下の通りである。
(1) 重量比で C:0.02〜0.1%、Si:0.5%以下、Mn:0.2〜1.0%、Nb:0.0
05〜0.04%、Mo:0.3〜0.7%、Al:0.05%以下、N:0.006
%以下を含有し、 残部鉄および不可避的不純物からなる鋼スラブを高温の
まま直接または1100〜1300℃に加熱後仕上終了温度850
〜950℃で熱延し、続いて平均冷却速度5〜30℃/sで冷
却し400〜650℃で巻取り、続いて連続式溶融亜鉛メッキ
ラインを通板するにあたり、還元性雰囲気中で500〜700
℃に加熱後、冷却してから溶融亜鉛メッキ浴中に浸漬し
て溶融亜鉛メッキを施すことを特徴とする耐火性に優れ
た建築用低降伏比溶融亜鉛メッキ熱延鋼板の製造方法。
(2) 重量比で C:0.02〜0.1%、Si:0.5%以下、Mn:0.2〜1.0%、Nb:0.0
05〜0.04%、Mo:0.3〜0.7%、Al:0.05%以下、N:0.006
%以下に加えて、Ti:0.005〜0.10%、Zr:0.005〜0.03
%、V:0.005〜0.10%、Ni:0.05〜0.5%、Cu:0.05〜0.5
%、Cr:0.05〜1.0%、B:0.0001〜0.002%、Ca:0.0005〜
0.005%、REM:0.001〜0.02%のうち一種または二種以上
を含有し、 残部鉄および不可避的不純物からなる鋼スラブを高温の
まま直接または1100〜1300℃に加熱後仕上終了温度850
〜950℃で熱延し、続いて平均冷却速度5〜30℃/sで冷
却し400〜650℃で巻取り、続いて連続式溶融亜鉛メッキ
ラインを通板するにあたり、還元性雰囲気中で500〜700
℃に加熱後、冷却してから溶融亜鉛メッキ浴中に浸漬し
て溶融亜鉛メッキを施すことを特徴とする耐火性に優れ
た建築用低降伏比溶融亜鉛メッキ熱延鋼板の製造方法。
(3) 前項1または2記載の方法により得られた鋼板
または鋼帯をさらに熱間工程において塑性加工する耐火
性に優れた建築用低降伏比溶融亜鉛メッキ熱延鋼板の製
造方法。
(4) 前項1,2または3記載の方法により得られた鋼
板、鋼帯または鋼材を冷間工程において塑性加工する耐
火性の優れた建築用低降伏比溶融亜鉛メッキ熱延鋼板の
製造方法。
(5) 前項1,2,3または4記載の方法により得られた
鋼材受熱表面に、無機系繊維質耐火薄層材を展着せしめ
てなる耐火性に優れた建築用鋼材料。
(6) 前項1,2,3または4記載の方法により得られた
鋼材受熱表面に、高耐熱性塗料を被着せしめてなる耐火
性の優れた建築用鋼材料。
(作用) 本発明者らは、火災時の鋼板強度について研究の結果、
通常の火災時の最高到達温度は1000℃であり、無被覆使
用を目標とした場合、鋼板が該温度で常温耐力の70%以
上の耐力を備えるためには高価な合金元素を多量に添加
せねばならず、経済性を失することを知った。すなわ
ち、鋼板の費用と耐火被覆を施工する費用以上に鋼板の
価格が高くなり、そのような鋼板は実際的に利用するこ
とができない。
そこで、さらに研究を重ねた結果、600℃での降伏点強
度が、溶接用構造鋼板(JIS G 3106)に規定される値の
70%以上となる鋼板(すなわち、40kgf/mm2級では、600
℃での降伏点強度が16kgf/mm2以上、50kgf/mm2級では60
0℃での降伏点強度が、22kgf/mm2以上となる鋼板)が最
も経済的であることを明らかにし、高価な合金元素の添
加量を少なくし、かつ耐火被覆を軽減することが可能
で、火災荷重が小さい場合は、無被覆で使用することが
できる鋼板の製造方法に加えて耐火性能を付与した鋼材
料を開発した。
以下の化学成分、熱延条件および溶融亜鉛メッキ条件の
限定理由を説明する。
Cは常温ないし高温強度を得るために0.02%は必要であ
る。これ未満では必要な組織ないし強化のためのクラス
ターないし析出物が得られない。また0.1%を越えると
メッキ密着性が低下する。これらの効果をさらに発揮す
るにはCは0.04〜0.08%とするのが好ましい。
Siは固溶体強化のために添加する元素で0.5%を越える
とメッキ密着性が低下する。なお、Siは鋼板表面にスケ
ール模様を発生させる。これを避けるためには0.1%以
下とするのが好ましい。
Mnは強度、靱性を確保する上で不可欠の元素であり、そ
の下限は0.2%である。逆に1.0%を越えるとメッキ密着
性が低下する。
Nb,Moは微細クラスターないし析出物を生成する。高温
で十分な降伏点強度を得るためには、Nb,Moの複合添加
が極めて有効である。Nb,Mo量の下限は複合効果が得ら
れる最小量として、それぞれ0.005%,0.3%とした。し
かし、添加量が多くなると製造コストが上昇し、建築用
鋼としての経済性を失うので、上限をそれぞれ0.04%,
0.7%とした。
Alは一般に脱酸上鋼に含まれる元素である。しかしAl量
が0.05%を越えるとメッキ密着性が低下する。
Nは一般に不可避的不純物として鋼中に含まれるもので
あるが、窒化物を形成して高温強度を向上させる。N量
が多くなると固定するためのAl量が増加し、延性が低下
するので、上限を0.006%とした。
本発明にあっては以上の成分の他にTi,Zr,V,Ni,Cu,Cr,
B,CaおよびREMのうち1種または2種以上を適宜添加す
ることで発明の効果をさらに発揮させることができる。
Tiは前述のNbとほぼ同じ効果をもつ元素であり、Al量が
少ない場合、炭窒化物を形成し、高温強度を向上させる
が、0.005%未満では効果がなく、0.10%を越えると清
浄度が悪くなる。
Zrは母材の強度を上昇させる元素であるが、0.005%未
満では効果が薄く、0.03%を越えると靱性が低下する。
Vは、高温強度に対する効果はNb,Tiに比較して小さい
ながらも、0.005%未満では効果がなく、0.10%を越え
ると延性が低下する。
Niは母材の強度、靱性を向上させるが0.05%未満では効
果が薄く、0.5%を越えると極めて高価になるため、建
築用鋼としての経済性を失う。
CuはNiとほぼ同様な効果や耐候性をもつほか、Cu析出物
による高温強度の増加や耐食性の向上にも効果を有す
る。しかし、Cu量が0.5%を越えると熱間圧延時にCu割
れが発生し製造が困難になり、0.05%未満では効果がな
い。
Crは母材および溶接部の強度を高める元素であるが、1.
0%を越えると溶接性を劣化させ、0.05%未満では効果
が薄い。
Bは鋼の焼入性を増大させ強度を大きくする元素であ
る。このBの効果を得るためには、0.0001%未満では効
果がなく、B量が0.002%を越えると再結晶温度が上が
り、硬質化する。
Ca,REMはMnSの形態を制御し、シャルピー吸収エネルギ
ーを増加させ低温靱性を向上させる。しかし、Ca量は0.
0005%未満では実用上効果がなく、また、0.005%を越
えるとCaO,CaSが大量に生成して大型介在物となり、延
性を劣化させる。
またREMについてもCaと同様な効果があり、添加量が多
くなるとCaと同様な問題が生じ、経済性も悪くなるの
で、下限を0.001%とし上限を0.02%とする。
なお、本発明は、不可避的不純物として、PおよびSを
含有する。PおよびSは、高温強度に与える影響が小さ
いのでその量について特に限定しない。望ましいPおよ
びS量はそれぞれ0.02%以下,0.005%以下である。
熱延加熱する場合は加熱温度は1100〜1300℃とする。こ
れはNbCの溶体化処理のため必要である。下限値未満で
は溶体化が不十分でNbによる常温ないし高温での強化が
期待できない。よりいっそう安定して完全溶体化を果た
すには加熱温度は1200℃以上が好ましい。上限値は通常
採られる1300℃でよい。
圧延終了温度は850〜950℃とする。下限値未満では、圧
延中にNb,Moのクラスターないし析出物が生じる。ま
た、降伏比を低下させるにはフェライト粒径を粗大化さ
せるのが有効であり、そのためには圧延終了温度は高温
であるほうが好ましいが、950℃を越えるとフェライト
粒径が過剰に粗大化し衝撃特性が低下する。
平均冷却速度は、5〜30℃/sとする。30℃/sを越える
と、Moを添加しているため焼きが入りやすくなり、常温
強度が高くなりすぎ、衝撃特性も低下する。5℃/s未満
では、フェライト粒径が過剰に粗大化し衝撃特性が低下
する。
巻取温度は、400〜650℃とする。650℃を越えると、巻
取中にNb,Moのクラスターないし析出物が生成して、高
温強度が確保出来ない。400℃未満では、マルテンサイ
ト相と焼入相が相当量混入し、常温強度が高くなりす
ぎ、また、衝撃特性も低下する。
上記の鋼板もしくは鋼帯に溶融亜鉛メッキを施す場合
は、還元性雰囲気中で500〜700℃に加熱する。上限値を
越えるとMoが過時効析出して必要な引張特性を得ること
ができない。下限値未満ではメッキ密着性が劣化する。
好ましくは、550〜650℃に加熱するのが望ましい。
還元性雰囲気中での加熱は、ラジアントチューブを使用
する間接加熱方式または、火炎の還元域を利用した直火
無酸化加熱方式いずれでも良い。
溶融亜鉛メッキ後は、場合によっては後加熱によりメッ
キ層の合金化処理を行っても良い。
また、Znメッキ浴中に、Alを0.01〜20%添加しても良
い。これによって、メッキ地鉄の界面にFe-Zn-Al三元系
合金属を形成させ、メッキ密着性を向上させることがで
きる。
同様にZnメッキ浴中に、Pb,Cd,Sn,Sb等の低融点合金、
またはMgをそれぞれ1%以下添加しても本発明の効果を
なんら損なうことはない。
本発明では、前述のように溶融亜鉛メッキ熱延コイルを
製造するものであるが、そのままコイル状あるいは切板
として使用しても良い。そのさいスキンパスまたはレベ
ラーを通すことは常温の降伏点強度を調整する上からも
好ましい。その場合、スキンパスでは伸び率0.5〜2
%、レベラーでは最大表面ひずみ0.3〜2%とする。さ
らに前記製品を素材として、二次加工を行い、軽量形鋼
等の製品としても良い。
さて、次に本発明鋼の機械的性質を周知鋼材と比較して
詳細に説明する。
第1表は本発明鋼とJIS G 3106溶接構造用圧延鋼材(SM
50A)との成分比較を示す。
なお、本発明の鋼板は第1表に示す成分のスラブを1200
℃に加熱し、仕上温度920℃、平均冷却速度12℃/s、巻
取温度550℃で圧延し、還元性雰囲気中で600℃に加熱し
てから、冷却し、溶融亜鉛メッキを行った。
第1図は、縦軸に応力度(kgf/mm2)、横軸に温度
(℃)をとった。実線の折線1が本発明鋼、破線の折線
2が比較鋼(SM50A)の変化を示す。第1図から明らか
なように800℃を越える温度では差がなくなるが、本発
明鋼は600〜700℃においてSM50Aの2倍の耐力を保持し
ており、建築用鋼板として優れた耐火特性を備えている
ことがわかる。
第2図は、縦軸に弾性係数(kgf/mm2)、横軸に温度
(℃)をとった。実線の折線1が本発明鋼、破線の折線
2が比較鋼(SM50A)の変化を示す。第2図から明らか
なように、本発明鋼は700℃を越える温度で弾性係数が
急激に低下するのに対して、SM50Aは600℃付近で弾性係
数が急激に低下する。
第3図は、縦軸にクリープ歪(%)、横軸に時間(分)
をとり、試験片に加わる600℃における応力度(kgf/m
m2)をパラメータとしており本発明鋼の変化を示し、第
4図は同様にSM50Aの変化を示す。第3図および第4図
から明らかなように本発明鋼は600℃の温度で通常建物
の柱、はりなど構造部材に作用する応力度15kgf/mm2
対し、通常の火災の最大継続時間である3時間において
もクリープ歪の進行が著しく少ないが、SM50Aは、600℃
の温度で応力度10kgf/mm2が加わるとクリープ歪の進行
が著しく大きい。弾性係数が高温まで低下しないことお
よびクリープ歪の進行が少ないことは、火災時に建物の
変形を少なくする。従って、本発明鋼はSM50Aと比較し
て建築用鋼として優れた特性を備えていることがわか
る。
本発明者らは、比較鋼のSS41との比較においても同様な
結果を得た。
このことから本発明鋼は、SM50AやSS41と比べて、火災
荷重が等しい場合、耐火被覆がより薄いものでよいこと
は明らかであり、火災荷重が大きくないときには、無被
覆で済むこともまた、明らかである。
次に比較鋼および本発明鋼に無機系繊維質耐火薄層材を
展着した例について説明する。
第2表は比較鋼の耐火被覆厚さに関する実施例で、JIS
A 1304で規定される実験において鋼板温度が350℃を越
えないようにするために必要な耐火材別の被覆厚さを示
す。
第3表は本発明鋼の耐火被覆厚さに関する実施例で、JI
S A 1304で規定される実験において鋼板温度が350℃を
越えないようにするために必要な耐火材別の被覆厚さを
示す。
本発明鋼の場合は、鋼板温度は600℃まで上昇しても良
いので、前述のようにその耐火被覆の厚さは第3表のよ
うに薄くて済む。第2表、第3表から明らかなように本
発明鋼を利用する場合は、耐火被覆の材料費、施工費が
大幅に軽減できる。
次に第5図は本発明にかかる軽量形鋼1(125mm×125mm
×3.2mm)に第3表における吹き付けロックウール(湿
式)2を展着した柱の概略立面図およびA−A断面図で
ある。
第6図は前記軽量形鋼に、JIS A 1304で規定される加熱
を行い、通常建物の柱が支持する荷重を加えて破壊する
時間を求めた試験結果である。縦軸に温度(℃)、横軸
に時間(分)をとり、実線で示す折線1は柱の鋼材温
度、破線で示す折線2は加熱温度の変化を示す。
また、第7図は、縦軸に変形(cm)、横軸に温度(℃)
および時間(分)をとり、実線で示す折線は柱の変形を
示す。第6図および第7図から明らかなように10mmの厚
さの吹き付けロックウール(湿式)を施すことで、本発
明鋼で製造した柱は600℃を越えるまで破壊を起こさ
ず、1時間耐火以上の性能を発揮していることがわか
る。
第8図は本発明にかかる軽量形鋼はり3(3.2mm×200mm
×75mm×20mm)に、第3表における吹き付けロックウー
ル(湿式)4を展着したはりの概略立面図およびA−A
断面図である。
第9図は、前記軽量形鋼はりにJIS A 1304で規定される
加熱を行い、通常建物のはりが支持する荷重を加えて破
壊する時間を求めた試験結果である。縦軸に温度
(℃)、横軸に時間(分)をとり、実線で示す折線1は
はり上側フランジ5を、折線2ははり下側フランジ6、
折線3はウェブ7の各温度を、破線で示す折線4は加熱
温度の変化を示す。
第10図は、縦軸に変形(鉛直たわみ、cm)、横軸に温度
(℃)および時間(分)をとり、実線で示す折線は、は
り各点の変形を示す。第9図および第10図から明らかな
ように10mmの厚さの吹き付けロックウール(湿式)を施
すことで本発明鋼材で製造したはりは、600℃を越える
まで破壊を起こさず、1時間耐火以上の性能を発揮して
いることがわかる。また、600℃における変形量も変形
許容値以下であることがわかる。
本発明者らは、他の耐火材についても試験を行ったが同
様な結果を得た。
次に本発明鋼について高耐熱性塗料を被着し、試験した
結果を第4表に示す。塗料1、塗料2は発泡性高耐熱性
塗料(西独デゾパック社製、商品名パイロテクト、種別
S30およびF60)で、試験鋼は厚さ3.2mm、220mm角の本発
明鋼を用いた。従来鋼は鋼材温度が350℃以下とされて
いたため第4表に示す従来の塗料1、塗料2の塗装によ
っても30分、60分しか耐火時間が確保できなかったが、
本発明鋼では600℃まで降伏強度が確保できるため、上
記表に示すように塗料1、塗料2による塗装によっても
60分、120分の耐火時間が確保される。すなわち、従来
の耐火時間を確保するのであれば塗装を簡略化しうる利
点がある。
すなわち、本発明鋼に高耐熱性塗料を被着した鋼は経済
性が高く建設費を低減できる。
第11図は、本発明鋼をデッキプレートに加工し、裏面に
7.5mm厚にロックウールを基材とする繊維質耐火材を湿
式法によって吹き付けたものを1時間耐火試験(JIS A
1304準拠)して得られた結果を示すもので、デッキプレ
ート自体の温度は600℃を越えないので、有効な耐火鋼
材として本発明鋼が使用できることが確認された。
(実施例) 以下、実施例を示す。
第5表に示す成分を有する鋼を転炉にて出鋼し連続鋳造
にてスラブにしたのち直ちにあるいは加熱後熱延し、さ
らに連続式溶融亜鉛メッキラインで溶融亜鉛メッキを施
した。
第6表に熱延条件、溶融亜鉛メッキ条件、得られた鋼の
特性値を示す。
常温引張試験は、JIS5号試験片を用い、JIS G 0567に基
づいて試験を行った。高温引張試験は、10℃/分で昇温
し、600℃に15分保持後、JIS G 0567に基づいて試験を
行った。
材料の靱性試験はJIS Z 2202シャルピーVノッチ試験片
を用い、JIS Z 2242に従って行った。ただし、板厚が10
mm以下であるので元厚に最も近いサブサイズ試験片を用
いた。
また、材料のメッキ密着性は、インパクト試験で評価し
た。その方法は鋼板に半球状のポンチ(径12.7mmφ)を
落下させ、形成された円状のくぼみにテープを貼付し
て、鋼板からテープを剥離し、テープに付着したメッキ
の量を目視で判定した。評価は以下のとおりである。
◎:点状剥離数個(良好)、○:点状剥離やや多い(出
荷合格品)、△:一部剥離(向け先により出荷不可)、
×:全面剥離(不良品) 第5表、第6表で明らかなように本発明にかかる鋼は、
メッキ密着性は良好であり、常温引張特性では40kgf/mm
2級、あるいは50kgf/mm2の引張強度に対し、降伏点強度
はそれぞれの規格値の25kgf/mm2、33kgf/mm2以上を十分
に満たしている。かつ600℃の降伏点強度は、40kgf/mm2
級では、16kgf/mm2以上、50kgf/mm2級では22kgf/mm2
上の規格値を十分に満たしている。
(発明の効果) ビル火災対策は社会的な課題であり、また一般住宅にお
いても高機能住宅が求められ、その中で火災対策は重要
な項目である。本発明はこのような状況の中で鉄系の優
れた高温特性を有する素材を普通鋼に近い成分で大量に
供給できるホットストリップミルで製造し、さらに耐食
性の優れた溶融亜鉛メッキを行うことを可能としたもの
で、前記社会的課題の解決に大きく貢献するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明鋼材と比較鋼材の応力度と温度との関係
を示す図、第2図は同じく弾性係数と温度との関係を示
す図、第3図は600℃における応力度をパラメータとし
た本発明鋼のクリープ歪と時間との関係を示す図、第4
図は同じくSM50A鋼のクリープ歪と時間との関係を示す
図、第5図(a)は本発明に係る軽量形鋼(125mm×125
mm×3.2mm)1に第3表における吹き付けロックウール
(湿式)2を展着した柱の概略立面図、同じく(b)は
第5図(a)のA−A断面図、第6図は前記軽量形鋼に
JIS A 1304で規定される加熱を行い、通常建物の柱が支
持する荷重を加えて破壊する時間を求めた試験結果で、
実線で示す折線1は柱の鋼材温度、破線で示す折線2は
加熱温度の変化を示す図、第7図は柱の変形と試験温度
および時間の関係を示す図、第8図(a)は本発明に係
る軽量形鋼はり3に第3表における吹き付けロックウー
ル(湿式)4を展着したはりの概略立面図、同じく
(b)は第8図(a)のA−A断面図、第9図は前記軽
量形鋼はりにJIS A 1304で規定される加熱を行い、通常
建物のはりが支持する荷重を加えて破壊する時間を求め
た試験結果を示す図、第10図は前記軽量形鋼はりの鉛直
たわみ(cm)と試験温度および時間との関係を示す図、
第11図は本発明鋼をデッキプレートに加工し、裏面に7.
5mm厚にロックウールを基材とする繊維質耐火材を湿式
法によって吹き付けたものを1時間耐火試験(JIS A 13
04準拠)して得られた結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 計良 光一郎 東京都千代田区大手町2―6―3 新日本 製鐵株式會社内 (72)発明者 作本 好文 東京都千代田区大手町2―6―3 新日本 製鐵株式會社内 (56)参考文献 特開 平2−197520(JP,A) JSSC VoL.4No.33(1968)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量比で C:0.02〜0.1%、Si:0.5%以下、Mn:0.2〜1.0%、Nb:0.0
    05〜0.04%、Mo:0.3〜0.7%、Al:0.05%以下、N:0.006
    %以下を含有し、 残部鉄および不可避的不純物からなる鋼スラブを高温の
    まま直接または1100〜1300℃に加熱後仕上終了温度850
    〜950℃で熱延し、続いて平均冷却速度5〜30℃/sで冷
    却し400〜650℃で巻取り、続いて連続式溶融亜鉛メッキ
    ラインを通板するにあたり、還元性雰囲気中で500〜700
    ℃に加熱後、冷却してから溶融亜鉛メッキ浴中に浸漬し
    て溶融亜鉛メッキを施すことを特徴とする耐火性に優れ
    た建築用低降伏比溶融亜鉛メッキ熱延鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】重量比で C:0.02〜0.1%、Si:0.5%以下、Mn:0.2〜1.0%、Nb:0.0
    05〜0.04%、Mo:0.3〜0.7%、Al:0.05%以下、N:0.006
    %以下に加えて、Ti:0.005〜0.10%、Zr:0.005〜0.03
    %、V:0.005〜0.10%、Ni:0.05〜0.5%、Cu:0.05〜0.5
    %、Cr:0.05〜1.0%、B:0.0001〜0.002%、Ca:0.0005〜
    0.005%、REM:0.001〜0.02%のうち一種または二種以上
    を含有し、 残部鉄および不可避的不純物からなる鋼スラブを高温の
    まま直接または1100〜1300℃に加熱後仕上終了温度850
    〜950℃で熱延し、続いて平均冷却速度5〜30℃/sで冷
    却し400〜650℃で巻取り、続いて連続式溶融亜鉛メッキ
    ラインを通板するにあたり、還元性雰囲気中で500〜700
    ℃に加熱後、冷却してから溶融亜鉛メッキ浴中に浸漬し
    て溶融亜鉛メッキを施すことを特徴とする耐火性に優れ
    た建築用低降伏比溶融亜鉛メッキ熱延鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の方法により得られ
    た鋼板または鋼帯をさらに熱間工程において塑性加工す
    る耐火性に優れた建築用低降伏比溶融亜鉛メッキ熱延鋼
    板の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1,2または3記載の方法により得ら
    れた鋼板、鋼帯または鋼材を冷間工程において塑性加工
    する耐火性の優れた建築用低降伏比溶融亜鉛メッキ熱延
    鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1,2,3または4記載の方法により得
    られた鋼材受熱表面に、無機系繊維質耐火薄層材を展着
    せしめてなる耐火性の優れた建築用鋼材料。
  6. 【請求項6】請求項1,2,3または4記載の方法により得
    られた鋼材受熱表面に、高耐熱性塗料を被着せしめてな
    る耐火性の優れた建築用鋼材料。
JP1198636A 1989-07-31 1989-07-31 耐火性に優れた建築用低降伏比溶融亜鉛メッキ熱延鋼板の製造方法およびその鋼板を用いた建築用鋼材料 Expired - Lifetime JPH0747810B2 (ja)

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