JPH0747627Y2 - 車両用ディスクブレ―キのキャリパボディ取付け構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、四輪自動車や自動二輪
車等の各種車両に搭載されるディスクブレーキに係り、
詳しくはこのディスクブレーキに用いられるキャリパボ
ディの取付け構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】ディスクブレーキのキャリパボディは、
ディスクロータの両側部に配設される作用部のいずれか
一方のみが、ブラケットを介して車体に支持されるた
め、キャリパボディに作用する制動トルクが曲げモーヘ
メントとして働き、摩擦パッドに引摺りや偏摩耗を来た
す原因となることから、例えば特公昭５３−４３６２７
号公報では、ブラケットをディスクロータの外周に跨が
せて、キャリパボディの内部にディスクロータを挟んで
対向配置し、該ブラケットの対向部分に、摩擦パッドを
収容する円形のパッド支持孔を形成すると共に、双方の
作用部とブラケットとを２本の連結ボルトで一体に連結
することにより、キャリパボディに曲げモーメントが極
力かからないようにしている。

【０００３】このような構成にあっては、ブラケットの
対向部分が、キャリパボディの内部で双方の作用部の間
に配設されることから、作用部の間隔が、少なくともブ
ラケットの２つの対向部分の厚さ以上は拡がり、キャリ
パボディがディスク軸方向に大きくなって、ばね下荷重
が増加したり、材料費が嵩んだり、設定されたセットス
ペースにディスクブレーキを収納しにくくなる等の不具
合を生じる。また、ブラケットの対向部分のそれぞれ
に、摩擦パッドを収容するパッド支持孔を形成すること
から、ブラケット全体が大きく複雑な形状となるため、
ブラケットは単品での製作を余儀なくされ、更にキャリ
パボディでは、ブラケットの対向部分を収容するため
に、ディスク半径方向にも大きくしなければならない。

【０００４】そこで本考案は、制動時の曲げモーメント
による摩擦パッドの引摺りや偏摩耗を極力防止しつつ、
キャリパボディの大型化を抑えて、上記問題の解決を図
った車両用ディスクブレーキのキャリパボディ取付け構
造を安価に提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述の目的に従い、本考
案は、ディスクロータの両側部に配設されるキャリパボ
ディの作用部の一方を、車体にブラケットを介して取付
けられる車両用ディスクブレーキのキャリパボディ取付
け構造において、前記ディスクロータの両側に対向配置
される一対の摩擦パッドを、前記両作用部にディスクロ
ータの外周を跨いでディスク軸方向に懸架されるハンガ
ーピンにて吊持すると共に、前記ブラケットを、車体と
車体取付け側の作用部のいずれか一方または双方に一体
形成すると共に、該ブラケットを、車体取付け側の作用
部からディスクロータの外周をディスク軸方向に跨がせ
て他方の作用部の外側部分を一体に支持したことを特徴
としている。

【０００６】

【作用】かかる構成により、キャリパボディは、ディス
クロータを挟んだ両側の作用部が共にブラケットで支持
されるので、制動時にキャリパボディへ働く曲げモーメ
ントに対する抗力が高められ、キャリパボディの撓みが
小さく抑えられる。更に、摩擦パッドをハンガーピンで
吊持するので、ブラケットは双方の作用部の外側を支持
するだけの単純形状となり、キャリパボディもディスク
軸方向やディスク半径方向に大型化しないで済むように
なる。

【０００７】

【実施例】以下本考案を、自動二輪車の前輪用ディスク
ブレーキに適用した一実施例を図面に基づいて説明す
る。

【０００８】ディスクブレーキ１は、キャリパボディ２
をディスクロータ３の外側で２つのキャリパ半体に分割
し、ディスク周方向の両側部の分割面を、それぞれ２本
のボルト４，４で連結したキャリパ分割型で、ディスク
ロータ３の両側部に対向して設けられる作用部２ａ，２
ｂは、一方の作用部２ａが、ディスク回出側をフロント
フォーク５に取付けられる。

【０００９】作用部２ａ，２ｂに相対向する大小のシリ
ンダ孔６，７には、有底円筒状のピストン８，９が内挿
され、その底部に液圧室１０，１１が画成される。車体
取付け側となる作用部２ａには、液圧導入用のユニオン
孔１２と、ブリーダスクリュー１３を螺着したエア排出
用のブリーダ孔（図示せず）とが開設されており、公知
の液圧マスタシリンダから送られる液圧は、ユニオン孔
１２から各液圧室１０，１１へ供給され、またこれら液
圧室１０，１１内のエアは、ブリーダ孔から外部へ容易
に排出できるようになっている。

【００１０】両作用部２ａ，２ｂには、一対の摩擦パッ
ド１４，１４が、ディスク軸方向へ挿通されるハンガー
ピン１５にてディスクロータ３の両側に対向して吊持さ
れており、これら摩擦パッド１４，１４は、液圧室１
０，１１に供給された液圧で前進するピストン８，９に
て、ディスクロータ３の側面に押圧される。

【００１１】作用部２ａのディスク回出側には、腕状の
ブラケット部２ｃ，２ｄが、ディスクロータ３の内外周
に、他方の作用部２ｂには、外周面ディスク回出側に、
ボス状のブラケット部２ｅがそれぞれ一体に突設されて
いる。

【００１２】また、前記フロントフォーク５には、腕状
のブラケット部５ａとＬ字状のブラケット部５ｂとが、
ディスク内外周に突設されている。ディスク外周側のブ
ラケット部５ｂは、フロントフォーク５からディスク内
周側のブラケット部５ａと平行に突出する第１腕５ｃ
と、該腕５ｃの先から直角に折れ曲がって、ディスクロ
ータ３の外側を跨ぐ第２腕５ｄとからなっており、キャ
リパボディ２は、作用部２ａのディスク内周側でブラケ
ット部５ａがブラケット部２ｃに、同じくディスク外周
側で第１腕５ｃがブラケット部２ｄに、それぞれ取付け
ボルト１６にて連結されると共に、作用部２ｂではブラ
ケット部２ｅと第２腕５ｄとが取付けボルト１７にて連
結される。

【００１３】本実施例はこのように、キャリパボディ２
が、作用部２ａのディスク内外周２箇所と、作用部２ｂ
のディスク外周１か所の合計３点でフロントフォーク５
のブラケット部５ａ，５ｂに支持されることとなり、デ
ィスク外周側では、直接の取付け側となる作用部２ａに
加えて、他方の作用部２ｂを、ブラケット部５ｂの第２
腕５ｄで支持するようにしたから、キャリパボディ２は
制動時の曲げモーメントに対す抗力が高められ、曲げモ
ーメントによるキャリパボディ２の撓みを小さく抑え
て、摩擦パッド１４の引摺りや偏摩耗を極力防止するこ
とができる。

【００１４】特に本実施例では、ディスクロータ３と平
行なブラケット部５ｂの第１腕５ｃにて、作用部２ａか
ら伝達される制動トルクを高い剛性力で受けると共に、
作用部２ｂ側の第２腕５ｄを第１腕５ｃに連続させて、
曲げモーメントに対向するようにディスクロータ３と直
交方向に配置したから、曲げモーメントに対する抗力が
より高められ、キャリパボディ２の変形量を一層小さな
ものとすることができる。

【００１５】また、双方の摩擦パッド１４，１４をハン
ガーピン１５が吊持するので、ディスク外周側のブラケ
ット部２ｄ，５ｂを、作用部２ａ，２ｂの内部へ延設す
る必要がないから、キャリパボディ２をディスク軸方向
やディスク半径方向に大型化しなくて済み、ばね下荷重
が増加したり、材料費が嵩んだり、車体に設定されたセ
ットスペースに収納しにくくなる等の従来の不具合を解
消することができる。更に、ディスク外周側のブラケッ
ト部２ｄ，５ｂは、作用部２ａ，２ｂの作用部２ａ，２
ｂの外側部分を支持するだけの単純な形状となるので、
本実施例のように、ブラケット部２ｄ，５ｂをフロント
フォーク５と車体取付け側の作用部２ａとに極めて容易
に一体形成することができ、製作工数や部品点数を削減
して、製作コストを一層低く抑えることができる。尚、
上記実施例では、ブラケットをキャリパボディと車体と
の双方に設けて説明したが、本考案は、キャリパボディ
と車体のいずれか一方に一体形成してもよい。また、自
動二輪車以外の各種車両にも適用可能である。

【００１６】

【考案の効果】本考案は以上のように、ブラケットを、
車体とキャリパボディの車体取付け側の作用部のいずれ
か一方または双方に一体形成し、該ブラケットを、車体
取付け側の作用部からディスクロータの外周をディスク
軸方向に跨がせて、他方の作用部の外側部分を一体に支
持する構成としたから、制動時の曲げモーメントに対す
るキャリパボディの抗力が高められ、キャリパボディの
撓み量を小さく抑えて、摩擦パッドの引摺りや偏摩耗を
極力防止することができるようになる。更に、ブラケッ
トが双方の作用部の内部へ入らないので、キャリパボデ
ィをディスク軸方向やディスク半径方向に大型化しなく
て済み、ばね下荷重が増加したり、材料費が嵩んだり、
車体に設定されたセットスペースにディスクブレーキが
収納しにくくなる等の従来構造の不具合を解消すること
ができる。また、ブラケット形状の単純化により、車体
やキャリパボディの車体取付け側の作用部にブラケット
を一体形成することが頗る容易で、ブラケットをこのよ
うに一体化することにより、製作工数や部品点数を削減
して、製作コストを尚一層低く抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すディスクブレーキの一
部断面側面図、

【図２】同じく図１の正面図、

【図３】図２のＩＩＩ−ＩＩＩ断面図である。

【符号の説明】

１ ディスクブレーキ ２ キャリパボディ ２ａ 車体取付け側の作用部 ２ｂ 他方の作用部 ２ｃ 作用部２ａ側のディスク内周側に設けられるブラ
ケット部 ２ｄ 作用部２ａ側のディスク外周側に設けられるブラ
ケット部 ２ｅ 作用部２ｂ側のブラケット部 ３ ディスクロータ ５ フロントフォーク ５ａ フロントフォーク５のディスク内周側に設けられ
るブラケット部 ５ｂ フロントフォーク５のディスク外周側に設けられ
るブラケット部 ５ｃ ブラケット部５ｂの第１腕 ５ｄ ブラケット部５ｂの第２腕 １４ 摩擦パッド

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ディスクロータの両側部に配設されるキャ
   リパボディの作用部の一方を、車体にブラケットを介し
   て取付けられる車両用ディスクブレーキのキャリパボデ
   ィ取付け構造において、前記ディスクロータの両側に対
   向配置される一対の摩擦パッドを、前記両作用部にディ
   スクロータの外周を跨いでディスク軸方向に懸架される
   ハンガーピンにて吊持すると共に、前記ブラケットを、
   車体と車体取付け側の作用部のいずれか一方または双方
   に一体形成すると共に、該ブラケットを、車体取付け側
   の作用部からディスクロータの外周をディスク軸方向に
   跨がせて他方の作用部の外側部分を一体に支持したこと
   を特徴とする車両用ディスクブレーキのキャリパボディ
   取付け構造。