JPH0747541B2 - 細胞表面蛋白質とその製法及びその使用法 - Google Patents

細胞表面蛋白質とその製法及びその使用法

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JPH0747541B2 JP60502661A JP50266185A JPH0747541B2 JP H0747541 B2 JPH0747541 B2 JP H0747541B2 JP 60502661 A JP60502661 A JP 60502661A JP 50266185 A JP50266185 A JP 50266185A JP H0747541 B2 JPH0747541 B2 JP H0747541B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、フイブロネクチン、フイブリノーゲン、コラ
ーゲンおよびまたはラミニンに対して結合能力を有する
細胞表面蛋白質とその製法及びその使用法に関するもの
である。
本発明の目的は、外傷性創傷組織においてフイブロネク
チン、フイブリノーゲン、コラーゲンおよび/ないしラ
ミニンを阻害して、病原菌株がフイブロネクチン、フイ
ブリノーゲン、コラーゲンおよび/ないしラミニンにく
つつくのを妨げる可能性を得ることにある。
従来技術 ぶどう球菌および連鎖球菌は、感染すると膜状の物質
(膿)を生じるグラム陽性菌、いわゆる病原球菌のグル
ープとしばしばみなされるのが普通である。この細菌グ
ループは、古典的なスタフイロコツカスアウレウム(St
aphylococcus aureus)やストレプトコツカスピオゲネ
ス(Streptococcus pyogenes)(Aグループのぶどう球
菌)ばかりでなく、他のぶどう球菌や連鎖球菌、例えば
スタフイロコツカスエピデルミス(Staphylococcus epi
dermis)、スタフイロコツカスホイモリテイカス(Stap
hylococcus haemolyticus)、スタフイロコツカスヒカ
ス(Staphylococcus hyicus)、B、C、G、Hグルー
プの連鎖球菌、緑色連鎖球菌などを含む。エセリチアコ
リー(Escherichia coli)のようなグラム陰性菌でさえ
も、そうした感染を引き起こせる。
こうした病原菌株は、人や動物において独りでに直る軽
い皮膚感染症から重い廃血症(血液感染)までいろいろ
な感染症を引き起こす。こうした菌株に感染すると、動
物が苦しむばかりでなく、動物の所有者が、生産中止の
ために、経済的に大損害を受ける。乳牛における乳房炎
は、そうした経済的損害を与える感染症の1例である。
人では、そうした菌株は、心房内心臓弁膜感染症を引き
起こすが、また普通「病院病」として知らる、その他の
感染症の原因にもなる。すなわちもつともしばしば見ら
れる開いた傷口の感染は直りずらく、大量の膿を生じえ
て、再手術の原因となりうる。特に心臓弁膜感染症は、
病院の病院の看護の下にすべに置かれている危険な患者
グループの脅威になる。
用いた創傷(傷口)という言葉は、普通は表面を覆つて
いる上皮細胞層、その他の表面構造が機械的、化学的な
いしその他の影響により傷害を受けることを意味する。
創傷という言葉は、このため二つの主なグループに分け
ることができる。すなわち、表面創と深部創である。表
面創とは、身体の表面ないし体腔、すなわち胃腸管、口
腔、尿道、乳管などに直接つながつている表面部の外傷
を意味する。深部創とは、外側から強く乱暴を受けた
り、いろいろな組織を外科で切開することにより生じる
体内の傷を意味する。
創傷ができると、フイブロネクチン、フイブリノーゲ
ン、コラーゲンおよび/ないしラミニンが創傷の組織に
接触する。こうした蛋白質は、いわゆるプロテオグルカ
ンと一緒にいろいろな補強組織中で網目構造を作り、そ
して創傷の自然治癒の際に結合組織(繊維芽細胞)や上
皮細胞が成長する際の基盤になる構造を提供する。
しかしながら、創傷の自然治癒は、そこに繁殖する病原
菌、主に化膿球菌、そして第二に他の病原菌株、、例え
ば前イー.コリー(E.coli)その他グラム陰性杆状菌に
より妨げられる可能性がある。
組織損傷部の細菌繁殖の例: i) 皮膚や結合組織に機械的な乱暴、化学的な傷害お
よび/ないし熱的な傷害により引き起こされた創傷にお
ける繁殖: ii) 口腔内粘膜、ないし乳腺、尿道ないし腔内などに
できた創傷における繁殖: iii) 上皮や内皮に関連するきわてい組織損傷(小病
巣)により露出した結合組織蛋白質での繁殖(乳房炎、
心臓弁膜感染症)。
本発明の詳細な説明 今や驚くべきことに、細菌の細胞表面からフイブロネク
チン、フイブリノーゲン、コラーゲンおよび/ないしラ
ミニンに付着する細胞を分離できることがわかつた。こ
の細胞表面蛋白質は、上記の細菌株に由来するものであ
る。
そうした細胞表面蛋白質は、そのことから、創傷の治療
に、例えば、蛋白質受容体を阻害するため、ないし免疫
法(ワクチン接種)のために使える。後者の場合、身体
が特異抗体を作り、そうした細胞表面蛋白質を含む菌株
の侵入を防ぐことができるようになる。これにより、抗
体が、傷害を受けた組織に対する菌株の付着を阻害す
る。
本発明の特徴は、添付した特許請求の範囲の記載を見れ
ば、明らかである。
本発明により、病原菌株の外傷性創傷のある組織におけ
る繁殖が有効に防げられるようになつた。
本発明の細胞表面蛋白質を免疫法(ワクチン接種)に用
いるときは、蛋白質を滅菌した等張食塩水の中に、適宜
製薬上認められる分散剤を加えながら、分散させる。
免疫を得るのに適当な細胞表面蛋白質の使用量は、免疫
注射1回につき体重1kgあたり0.5から4μgである。免
疫を長持ちさせるには、ワクチン接種は、1〜3週間お
きに続けて3回行うべきである。更に、接種は科学的方
法およびテスト済みの慣用方法に従つて実施する。
本細胞表面蛋白質を局所施用に使うときは、蛋白質は等
張食塩水に25〜200μg/mlの濃度になるように分散す
る。次いで、傷口は、傷口表面が単に完全に濡れる位の
液量を用いて処置する。したがつて、平均的な創傷には
たつた数mlの溶液を前記のようにして用いる。前記蛋白
質溶液を使つて処置した後、傷口は、等張食塩水その他
の適当な傷口処置液を使つて適切に洗浄する。
以下に、若い乳牛に乳房炎に対する免疫を作る例を示
す。細胞表面蛋白質を局所施用する方法を使つて乳房炎
を予防するには、乳房/乳首を、乳房光を引き起こす病
原菌が附着することを防げるような細胞表面蛋白質を含
む溶液で処置してもよい。
本発明によれば、いろいろな結合特性を持つた細胞表面
蛋白質の混合物が利用でき、これは特に感染する菌株の
結合特性がわからず、かつ広範囲に及ぶ流行性細菌感染
症を早急に予防する必要が大いにある場合、あるいは感
染症が細菌の混ざつたもので起きている場合に、有効で
ある。
本発明を下記の実施例により詳細に説明する。
実施例 フイブレネクチンに結合する(Staphylococcus aurcu
s)の菌株を培養液(TS−broth、すなわちトリプチケー
ス−大豆抽出液、オクソイド社、英国)で培養した。
該培養を済ませた後、前記細菌を遠心分離し、食塩水
(0.9%NaCl水溶液)で洗浄した。次いで、該細菌を溶
菌酵素(リンスタフインシグマ社製の培養細胞1リツト
ルあたり5mg)を使つて分解した。フイブロネクチンに
結合する成分の分離は、デキストラン・ゲル(セフアロ
ーズ、CL−4B、シアノブロマイドで活性化)に結合させ
た固定フイブロネクチンを使うアフイニテイ・クロマト
グラフイによつた。次いで、フイブロネクチンに結合す
る成分は、水溶液にカオトロピツク(chaotropic)なイ
オン(例えば、NaSCN、KSCN)を加えて溶出させた。溶
出は、酸性溶液、すなわちpH<3の酢酸溶液を使つて行
うこともできる。
分子量が11,000〜165,000、好ましくは40,000〜165,000
の範囲にある蛋白質からなるフイブロネクチンに結合す
る成分が分離された。蛋白質は炭水化物の残基を含んで
もよいが、その際は、フイブロネクチンに結合するの
は、蛋白質残基である。このことは、ブロテアーゼを使
つて処理したり、あるいは80〜100℃に加熱後は、作用
がまつたくなるという事実からわかる。
得られた蛋白質成分のアミノ酸組成は、以下の表から明
らかである: 実施例においては、アフイニテイ・クロマトグラフイを
使つて、蛋白質の精製分離を行つた。その以外の生化学
的分離法としては、イオン交換クロマトグラフイ、とモ
レキユラー・シーブ;アイソタコシス(isotacosis)を
含めた電気泳動:エレクトロフオーカシングなどの方法
がある。
エス・アウリユースの通常の培養法では、上記の細胞表
面蛋白質が得られる。ワクチンその他医療用の受容体の
効率的な工業生産のためには、細菌は適当な生物体上に
繁殖させて、収率を上げる必要がある。
生成したフイブロネクチン結合性細胞表面蛋白質は、家
兎や反すう動物の免疫試験で免疫を生じ、したがつて抗
体の形成を生むことがわかつた。
実験例1 フイブロネクチン結合性蛋白質を使用した実施例にした
がうSRB幼牝牛(1年子乳牛)のワクチン接種。
SRB幼牝牛3頭(スウエーデン産赤白牛)の胸部皮下に
フイブロネクチン結合成分(Mw165,000および87,000)4
00μgを使つてワクチン接種した。この接種は、14日間
をおいて2回繰り返した。ELISA法(エンザイム・リン
クド・イムノ・ソーベント・アツセイ)により血清およ
びミルク中の抗体を測定してみると、すでに2回目の接
種の時点で大量希釈したミルクおよび血清中にすでにた
いへん強い免疫反応が見られた。
2回目の注射をして2週間後、すなわち、3回目の免疫
注射の時点で、免疫反応は、3頭において乳房の感染実
験(乳房炎)を実施するに十分な位に刺激されているも
のと考えられた。3頭および対照実験用の同じ血統の別
の2頭を乳房感染実験にかけた。その際は、急性乳房炎
の牛から分離した乳房に対して強い病原性を示す菌株
(S.aureus)を使い、5頭を乳房炎にかからせた。テス
トは、等張食塩水で菌を洗浄分散させ、標準的な接種技
術により乳首および乳房腔に接種して、実施した。ブロ
ス培養液(Tブロス)で培養した培養菌細胞500ケを注
射した。
これにより以下の結果が得られた: i) ワクチン接種した乳牛から得られたミルク・サン
プルでは、若干のサンプルのみにたいへんまばらな繁
殖。
ii) ワクチン接種しながつた乳牛から得られたサンプ
ルでは、たいていのサンプルに非常に多数の細菌が繁
殖。
iii) 細胞数のカウントは、ワクチン接種した動物で
は一般にカウントが少なかつた。
iv) 細胞数のカウントは、ワクチン接種しなかつた動
物では一般にカウントがたいへん多かつた。
v) ワクチン接種した動物のミルク生産量は元通りで
あつた。
vi) ワクチン接種しなかつた動物では、ミルク生産量
は著しく減少した(>10%)。
vii) ワクチン接種した動物で急性相の反応体、すな
わちタイプ「C反応性蛋白質」およびアルブミンを測定
したところ、接種前の値と変わらなかつた。
viii) ワクチン接種しなかつた動物では、急性相の反
応体、タイプ「C反応性蛋白質」およびアルブミンを測
定したところ、値の強い増加を示した。
得られた結果から、フイブロネクチン結合性蛋白質に対
する抗体が乳房中に分泌されて、感染菌株の表面受容体
が、乳房組織中のむき出しのフイブロネクチンに結合す
るのを立体的に阻害するのに十分な量で、局所的な創傷
病変部に存在することがわかつた。
実験例2 エス・アウリユースから得られたフイブロネクチン結合
性細胞表面蛋白質を使つた創傷部の処置による皮膚の開
いた傷口の感染の阻止。
標準的な創傷傷害部(それぞれ2×2cm)を豚(20〜25k
g)の背中に皮膚切除器(ダーマトーム)を用いて作つ
た。こうした創傷を背骨の両側にそれぞれ8ケづつ2列
に設け、熱による傷害を与えた(250゜、3分)。熱処
置後、創傷部を滅菌した包帯で1.5時間覆つた。それか
ら直ちに創傷部をエス・アウリユース菌株(SA113(83
A))で感染させた。細菌に感染させる前に、背骨の片
側の創傷部は、上記の実施例にしたがい、滅菌等張食塩
水に溶かしたフイブロネクチン結合性細胞表面蛋白質
(NaCl溶液1mlあたり100μg)で処理した。このように
予め処理した創傷部では、感染の発生は、同時に創傷部
を1日2回滅菌等張食塩水で洗浄することにより予防さ
れた。未処理の創傷部では、NaCl溶液で1日2回洗浄し
たけれども、創傷部に2〜4回以内にひどい感染が見ら
れた。この感染は、1週間の観察期間中抗性物質で処理
せずに、治癒しなかつた。
この実験結果からわかるように、表面にむき出しになつ
たフイブロネクチンは、NaCl溶液1mlにつき100μgの膿
度を用いて病変部をあらかじめ処置すれば、阻害され
て、感染が予防される。適用した細菌は、すすぐことに
より容易に除くことができるが、これは細胞表面蛋白質
で処置しない創傷部では不可能である。
フイブロネクチン以外に、他の結合組織に結合する蛋白
質がいろいろな微生物において検出されている。これら
の蛋白質は、人や動物の体内に存在する結合組織構造、
すなわちコラーゲンやラミニンに下表にしたがつて結合
する。
実験例3 固定化したフイブロネクチンへのぶどう球菌の結合−外
傷組織(外科的創傷および乳房炎)に対して結合するシ
ミユレーシヨン・モデル。
ポリマー表面をアルブミンとフイブロネクチンなどいろ
いろな血清蛋白質で処理した。次いで、ポリマー表面
は、それぞれの蛋白質を燐酸ナトリウム緩衝食塩水(0.
2M燐酸ナトリウム、pH7.4、および0.145M NaCl)中に分
散した溶液と一緒に2時間室温でインキユベートした。
ポリマー表面を扇風機の風に当てて、乾燥した。処理し
た表面をぶどう球菌(菌株SA113(83A))に接触させ
た。その際は、菌は緩衝液に入つたもの、および牛乳の
存在下で分散したものをそれぞれ使つた。2〜3分後に
すでに、細菌の取り込みがこうした両テスト系で測定さ
れた。一方アルブミンを使い、同じかまたは10倍の濃度
の蛋白質溶液中で同じように処理したポリマー表面は、
細菌の取り込んだ活動が見られない(しかし未処理の表
面は疏水性であつて、ぶどう球菌を非特異的に結合す
る)。SA113(33A)菌株の結合は、精製した受容体蛋白
質をワクチン接種した家兎から得られた抗血清と一縮に
細菌をまずインキユベートすることにより阻害できる。
実験例4 上記実験例と同様にして表面をラミニンで処理し、次い
で上記に従い、細菌、この場合はAグループの連鎖球菌
を加えた。それにより、連鎖球菌が表面に結合すること
がわかった。
実験例5 ポリマー表面を、上記の実験例3の方法に従い、フイブ
ロネクチン(固定)で処理した。次いで、上記の実験例
1の細胞表面蛋白質を生理食塩水に1mlあたり100μgの
濃度で溶かしたもので表面を処理した。次いで、表面を
緩衝液(燐酸緩衝液、0.2M燐酸ナトリウム、pH7.4およ
び0.145NaCl)中に分散したぶどう状球菌(菌株SA113
(63A))で処理した。ぶどう球菌で処理後、ポリマー
表面を生理食塩水ですすぎ、ゆるく付いている細菌を除
いた。その後で行つた分析では、ぶどう球菌の能動的な
結合はまつたく起こらないことがわかつた。分析の実施
は、細菌の細胞体ATP(アデノシン三燐酸)をバイオ螢
光法で測定する方法によつた。簡単に言えば、分析は、
ポリマー表面を50ulの1.25Nの三塩化酢酸と一緒にイン
キユベートして、細胞ATPを抽出することにより、実施
した。ATPの量は、ルミノメーター1250(エルケイビー
プロダクター社、ブローマ、スエーデン)で測定し、AT
P標準曲線と比較した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/00 B 9282−4B (C12P 21/00 C12R 1:445) (72)発明者 ワードストローム トーケル ミカエル スウエーデン ニブスタ エスー 74100 ピー オー ボツクス 96 (56)参考文献 Infection and Immu nity,37(2),526−531(1982) J.Biol.Chem.258(5), 3396−3401(1983) J.Biol.Chem.259(6), 3734−3738(1984) Immunobiology,158 (4),330−337(1981)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フイブロネクチンと結合性を有する傷の病
    原菌に対して活性を有し傷口の感染予防ないし傷口治療
    上活性を有する傷治療剤の製造における、フイブロネク
    チンと結合性を有し、かつ分子量が40,000〜165,000で
    あるスタフイロコッカスアウレウス(Staph.aureus)由
    来の細胞表面蛋白質の使用法。
  2. 【請求項2】該細胞表面蛋白質の免疫を発生する量を含
    む免疫発生傷治療剤が製造される特許請求の範囲第
    (1)項記載の使用法。
  3. 【請求項3】該細胞表面蛋白質の感染予防ないし治療上
    活性を有する量を含む局処的に使用しうる形態での傷治
    療剤が製造される特許請求の範囲第(1)項記載の使用
    法。
  4. 【請求項4】反すう動物の乳房炎治療用の注射可能な傷
    治療剤が製造される特許請求の範囲第(1)項または第
    (2)項記載の使用法。
  5. 【請求項5】ヒトの細菌感染治療用の注射可能な傷治療
    剤が製造される特許請求の範囲第(1)項または第
    (2)項記載の使用法。
JP60502661A 1984-05-30 1985-05-30 細胞表面蛋白質とその製法及びその使用法 Expired - Fee Related JPH0747541B2 (ja)

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