JPH0747431Y2 - クレーン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、吊具に接続されるケーブルの余剰部分を吊具
の上下動に応じて吊具の上面側に設けられたバスケット
内に収納するクレーンに係わり、特に吊具が吊される支
持部と前記バスケット内にケーブルを案内するガイドと
の干渉が起き難く小型化を図ることができるクレーンに
関する。

「従来の技術」 従来、コンテナクレーンにおける吊具としては、コンテ
ナの上面に形成された溝に係合する係合爪を備えこの係
合爪の着脱を電動で行う吊具、すなわちスプレッダと呼
ばれるものが使用されている。

そして、第５図に示すように、このコンテナＣの吊具で
あるスプレッダ１に給電あるいは信号を送るためのケー
ブル２は、スプレッダ１が吊るされる支持部３（例えば
コンテナクレーンの桁に取り付けられたトロリ等）から
スプレッダ１の上面側に垂らすように配設され、このケ
ーブル２のスプレッダ１の上下動に伴う余剰部分はガイ
ド４に案内されてスプレッダ１の上面側に設けられたバ
スケット５内に収納されるようになっていた。

なお、第５図において符号６で示すものは、バスケット
５内の中央に位置して形成された突起で、前記ケーブル
２の余剰部分はこの突起６の周囲に巻き付けられるよう
にしてバスケット５内に収納されるようになっている。

すなわち、ガイド４は全体として鼓状をなす筒体であ
り、このガイド４がケーブル２を貫通させた状態でバス
ケット５の開口上面側に延設されることによって、スプ
レッダ１の上昇に伴ってケーブル２の弛んだ部分はこの
ガイド４により鼓状に動きを拘束されて突起６の周囲で
螺旋をなすようにしてバスケット５内に収納される。

「考案が解決しようとする課題」 上記バスケット５及びガイド４等からなるケーブル２の
収納装置を備えたクレーンは、例えば巻取り方式の収納
装置を備えたものと異なり、スリップリングが不要であ
るとともにケーブルに与えるダメージが少ないので断線
等の事故に対する信頼性が高いといった優れた特長を有
するものであるが、以下のような改善すべき点を有して
いた。

すなわち、バスケット５及びガイド４はスプレッダ１の
上面側から上方に伸びるように設けなければならないの
で、スプレッダ１を吊す支持部３の高さは、コンテナの
移載等に必要な揚程に対してガイド４がこの支持部３と
干渉しないように余裕をもった値に設定しなければなら
ない。このため、クレーンの桁等を高く設けなければな
らず、クレーン全体が大型で高価なものになるという問
題点を有していた。

本考案は上記従来の問題点に鑑みなされたもので、吊具
に接続されるケーブルの余剰部分を吊具の上下動に応じ
て吊具の上面側に設けられたバスケット内に収納するク
レーンであって、特に吊具が吊される支持部と前記バス
ケット内にケーブルを案内するガイドとの干渉が起き難
く小型化を図ることができるクレーンを提供することを
目的としている。

「課題を解決するための手段」 本考案のクレーンは、支持部に吊されて上下動する吊具
を有し、この吊具に接続されるケーブルが前記支持部か
ら吊具の上面側に設けられたバスケット内に垂らすよう
に配設され、前記上下動に伴う前記ケーブルの余剰部分
はガイドにより案内されて前記バスケット内に収納され
るようにされたクレーンであって、 前記バスケットの開口上面側に積層状に配置され互いに
離間した状態で全体として鼓状をなす複数のリングと、
隣合うこれらリングを互いに近接離間可能に連結する連
結部材とより前記ガイドが構成され、該ガイドの最下層
のリングは前記バスケットの上端縁に固定されていると
ともに、該ガイドの最上層のリングを吊具に対して上下
動させる駆動手段が設けられていることを特徴としてい
る。

「作用」 本考案のクレーンにおいて、駆動手段が作動してガイド
の最上層のリングが上昇すると、ガイドの各リングは互
いに離間して上方に伸び全体として鼓状をなす。また、
駆動手段により最上層のリングが下降すると各リングは
互いに密着するようにしてガイドはバスケット側に縮
む。

したがって、最上層のリングを上昇させた状態にすれ
ば、従来と同様の吊具の上下動範囲において、吊具に接
続されるケーブルの吊具の上下動に伴う弛みを従来同様
ガイドによって鼓状に拘束して前記ケーブルの余剰部分
をバスケット内に収納することができる。しかも、最上
層のリングを下降させてガイドを縮ませれば、吊具が吊
された支持部とガイドとの干渉を避け、前記従来の上下
動範囲を越えて吊具を支持部に接近させることができ
る。

「実施例」 以下、本考案の一実施例を第１図〜第４図により説明す
る。

第１図は本考案の一実施例であるコンテナクレーンの側
面図であり、第２図，第３図はそれぞれ第１図において
符号Ａで示す方向から吊具周辺を見た図である。

このコンテナクレーンは、前脚11,後脚12及びテンショ
ンバー13等により水平に支持される桁14と、この桁14に
レールガイド15等を介して取り付けられこの桁14に沿っ
て水平移動するトロリ16（支持部）と、このトロリ16に
吊されて上下動するシーブブロック17の下面側に取り付
けられたスプレッダ18（吊具）とを備えたもので、例え
ば第１図に示すように岸壁Ｇに設置されて、スプレッダ
18の上下動とトロリ16の水平移動とによって、岸壁Ｇ近
くに停泊する船舶と岸壁Ｇ間においてコンテナＣの移載
を行うものである。

このコンテナクレーンのスプレッダ18に給電あるいは信
号を送るためのケーブルＫは、トロリ16を経由してスプ
レッダ18まで配設されており、トロリ16まではその中途
を桁14に移動自在に懸架させられることによって、トロ
リ16が移動しても無理な屈曲等が起こらないようになっ
ている。

そして、トロリ16からスプレッダ18までのケーブルＫ
は、トロリ16に設けられた支持具19から垂らすように配
設され、このように配設されたケーブルＫのスプレッダ
18の上下動に伴う余剰部分はシーブブロック17上に設け
られた収納装置20により収納されるようになっている。
以下、この収納装置20について説明する。

収納装置20は、シーブブロック17上面の前記支持具19の
下方の位置に設けられた円筒状のバスケット21と、前記
支持具19からバスケット21内に垂らすように配設された
前記ケーブルＫの前記余剰部分をバスケット21内に案内
するガイド22とを備えたもので、バスケット21内にはそ
の中央に突起23が形成されている。

ここで、ガイド22は、第２図，第４図に示すように、バ
スケット21の開口上面側に積層状に配置され互いに離間
した状態で全体として鼓状をなす複数のリング24a〜24e
と、隣合うこれらリング24a〜24eを互いに近接離間可能
に連結する複数の連結部材25とより構成されたもので、
最下層のリング24eはバスケット21の上端縁に固定され
ている。

なお、このガイド22のリング24a〜24eにおいて、中層部
に位置するリング24cはバスケット21よりも小径とさ
れ、このリング24cから上層あるいは下層のリングにな
る程径寸法が大きくなっており、これによってリング24
a〜24eが互いに離間すると全体として第４図に示すよう
に鼓状をなすようになっている。

また、このガイド22の連結部材25は、第４図に示すよう
に、リンク25a,25aとこれらリンクを互いに回転自在に
連結する節25bとよりなるもので、各リング間において
周方向等間隔位置に四つ設けられている。

そして、この収納装置20には、シーブブロック17上のバ
スケット21の周囲に立設されそのロッド26a先端が最上
層のリング24aに固定されたシリンダ26（駆動手段）が
複数設けられ、このシリンダ26により、最上層のリング
24aは水平状態を維持したままシーブブロック17に対し
て上下動するようになっている。

また、本実施例のコンテナクレーンには、スプレッダ18
の常用上下動範囲の上限において作動するリミットスイ
ッチと、さらにこの常用上下動範囲を越えてシーブブロ
ック17を吊すワイヤＷが巻かれ過ぎないようにする巻過
防止装置が設けられており、前記シリンダ26は前記リミ
ットスイッチからの信号に基づいて動作し、前記常用上
下動範囲においてはリング24aを上昇させ、前記常用上
下動範囲を越えてシーブブロック17が上昇するとリング
24aを下降させるようになっている。

以上のように構成されたコンテナクレーンにおいて、シ
ーブブロック17が常用範囲で上下動する際には、収納装
置20のガイド22はシリンダ26によって第２図に示すよう
に伸ばし広げられ鼓状をなしているので、従来同様トロ
リ16からシーブブロック17（すなわち、スプレッダ18）
に配設されたケーブルＫの余剰部分は突起23の周囲に巻
き付けられるようにしてバスケット21内に収納される。
そして、常用範囲を越えてシーブブロック17が上昇した
場合には、収納装置20のガイド22はシリンダ26によって
縮められ、巻過防止装置により非常停止させられた時に
は第３図に示すようにガイド22はほとんどバスケット21
上から上方に突出しないように縮んでいる。

したがって、本実施例のクレーンによれば、巻過防止装
置の作動時にガイド22がトロリ16と干渉し難くなった分
だけ、巻過防止装置の作動時におけるトロリ16とシーブ
ブロック17との間隔Ｌを従来よりも狭くできる。すなわ
ち、言い換えれば、前記常用上下動範囲は同じに維持し
たままトロリ16の高さ（桁14の高さＨ）を従来よりも低
くできる。このため、脚11,12等の高強度が要求される
大型部材の寸法が短くでき、コンテナクレーン全体の大
幅な小型化あるいはコストダウンを図ることができると
いう効果がある。

なお、上記実施例においては、収納装置20のガイド22に
おける連結部材をリンク機構により構成したが、この連
結部材の態様はこれに限られるものでなく、例えばゴム
紐あるいはチェーン等の可撓性を有する部材であっても
よい。

また、上記実施例においては、吊具としてスプレッダを
例に挙げたが、これに限らずケーブル類を接続する必要
があり上下動する吊具を備えたクレーンであれば、本考
案の構成を適用することによって同様の効果を奏するこ
とができることは言うまでもない。

「考案の効果」 本考案のクレーンは、吊具に接続されるケーブルの余剰
部分を収納するためのガイドを縮めることができるの
で、吊具が吊された支持部と前記ガイドとの干渉を避
け、従来の上下動可能範囲を越えて吊具を前記支持部に
接近させることができる。したがって、吊具の常用上下
動範囲は従来と同じに維持したまま、吊具を支持する支
持部の高さを従来よりも低くして、クレーン全体の大幅
な小型化あるいはコストダウンを図ることができるとい
う効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本考案の一実施例を示す図であって、
第１図はコンテナクレーンの側面図、第２図及び第３図
はそれぞれ収納装置周辺の構成を第１図において符号Ａ
で示す方向から見た図、第４図は収納装置のガイドを示
す斜視図である。 第５図は従来技術を説明するための図であって、吊具ケ
ーブルの収納装置を示す図である。 16……支持部（トロリ）、18……吊具（スプレッダ）、
21……バスケット、22……ガイド、24a,24b,24c,24d,24
e……リング、25……連結部材、Ｋ……ケーブル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】支持部に吊されて上下動する吊具を有し、
   この吊具に接続されるケーブルが前記支持部から吊具の
   上面側に設けられたバスケット内に垂らすように配設さ
   れ、前記上下動に伴う前記ケーブルの余剰部分はガイド
   により案内されて前記バスケット内に収納されるように
   されたクレーンであって、 前記バスケットの開口上面側に積層状に配置され互いに
   離間した状態で全体として鼓状をなす複数のリングと、
   隣合うこれらリングを互いに近接離間可能に連結する連
   結部材とより前記ガイドが構成され、該ガイドの最下層
   のリングは前記バスケットの上端縁に固定されていると
   ともに、該ガイドの最上層のリングを吊具に対して上下
   動させる駆動手段が設けられていることを特徴とするク
   レーン。