JPH0747110Y2 - 脱水機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は洗濯後の衣類等を圧搾によって脱水する脱水機
に関するものである。

（従来の技術） 第10図は従来の洗濯物等の脱水装置の側面図、第11図及
び第12図は第10図の脱水装置の作用を説明する断面図で
ある。

先ず第10図において、35は作業床面に据付けられている
架台、36は架台35とピラー37で固着されている上部架台
である。ピラー37は架台35と上部架台36を接続する構成
部品で、複数個が配設されている。38は架台35に固着さ
れた格子状部材で構成されているデッキ、39はデッキ38
に固着された多孔板で構成されているデッキプレート、
40は通水可能な多孔板又は網目状の搬送用広巾のエンド
レスベルト、41は搬送用のエンドレスベルト40を駆動す
るロールである。

42は円筒形に形成されているバスケット、43はバスケッ
ト上部に開口している投入口、44はバスケット42に固着
されると共にピラー37に係合するガイド、46は上部架台
36に固着されてバスケット42とチェーン等で係合する昇
降用駆動装置、47は上部架台36に固着された油圧シリン
ダ、48は油圧シリンダ47用のオイルタンクと油圧回路よ
りなる油圧装置、49は油圧装置48用の油圧ポンプ、50は
同ポンプ49用の駆動モータ、51は油圧シリンダ47のピス
トン棒、52はピストン棒51に固着されているプレス板、
53はプレス板52に開口部を密着して水を封入する弾性膜
（例えばゴム、Hs硬度40〜60程度）で構成されている加
圧体、54はプレス板52に装着れた給水口、55はプレス板
52に装着された空気抜口、56はプレス板52と加圧体53の
間の封入された封入液である。57はガイドで、プレス板
52の側面の溝に取付けられていて、プレス板52とバスケ
ット42は接触しない働きをする。58は脱水工程の前に配
置された連続式水洗機、59は脱水工程の後に配置されて
乾燥機等へ連結する排出用コンベヤ、60は脱水しようと
する衣類又はその集合体で構成される洗濯物である。

さて脱水機が第10図に示す状態、即ちベルト40が停止、
バスケット42が下降位置、ピストン棒51が上昇位置の状
態において、連続式水洗機58からほぼ定量の洗濯物60が
バスケット42内に投入口43を介して投入される。次いで
連続式水洗機58から投入完了の信号を受けて油圧装置48
が作動すると、ピストン棒51を下降させて加圧体53が洗
濯物60を加圧するに至る。

即ち、洗濯物60は、ピストン棒51の先端に固着されたプ
レス板52に取付けられている加圧体53により加圧を受け
る（第11図）。この時加圧体53内には封入液56が入って
いるため、洗濯物60は均一な圧力を受け、均一な脱水が
行われる。またガイド57はバスケット42の内面とほぼ同
寸法となっているため、プレス板52自身と、バスケット
42の内面との直接の接触を防止できる。従ってプレス板
52とバスケット42の内面は接触することはなく、またプ
レス板52はバスケット42と中心を合わせて作動し、加圧
体53は封入液56の働きにより、洗濯物60を均一な圧力で
全面を加圧する。なお、ガイド57はバスケット42と接触
しても問題を起こさないよう、その材質は樹脂、ゴム又
は銅系の摺動性のよい金属等が適している。

次に十分な脱水と脱水サイクルを考慮して設定された図
示しないタイマーがタイムアウトすると、油圧装置48の
回路が切換り、ピストン棒51が第12図の如く若干上昇す
る。また図示しないタイマー等によって加圧体53による
加圧状態が解除されてから昇降用駆動装置46が作動する
と、チェーン等で係合するバスケット42が第12図の如く
上昇する。次に搬送用のロール41を駆動すると、圧搾さ
れた洗濯物60は搬送用のエンドレスベルト40と後接され
た排出用コンベヤ59により機外へ排出され、コンベヤが
停止後、バスケット42は下降し、プレス板52は上昇して
待機位置となる。

（考案が解決しようとする課題） 第13図において連続式水洗機58よりの洗濯物の脱水機へ
の排出が、洗濯物の種類、例えばシーツやテーブルクロ
ス等の長物で、からみ易いものや、タオルやピローケー
ス等の流れ易いものでは、バスケット42への収納状態が
変化する。

この時洗濯物が投入口43に残らない様に投入するため、
第13図に示す洗濯物60の如く前方に片寄りがちとなる。
これを第14図に示す様に圧搾すると、加圧体53の前方側
53bは強い圧縮を受け、封入液56の圧力（例えば35kgf/c
m²Ｇ）により、後方側53aは引張り作用を繰り返し受け
る。これにより第15図に示す様に、脱水終了時の加圧体
53は前方側53bが縮み、後方側53aが伸びるという永久歪
を発生し、プレス板52は真円でなくなり、後方に大きな
楕円となってバスケット42の直径より大きくなる。

以上のことから第13図の状態より圧搾工程に入る時、バ
スケット42の投入口43との角部61に加圧体の後方側53a
が強く当るため、加圧体53が破損したり、下降しなくな
るという不具合が発生する虞れがあった。従って加圧体
53の寿命は著しく短くなり、生産性にも重大な影響を及
ぼす等の問題があった。

本考案は前記従来の課題を解決するために提案されたも
のである。

（課題を解決するための手段） このため本考案は、洗濯物の衣類等から、弾性膜を備え
た加圧体で水分を圧搾により脱水する脱水機において、
加圧体の上昇、下降、待機時の非圧搾時に同加圧体を回
転させる加圧部回転装置を備えてなるもので、これを課
題解決のための手段とするものである。

（作用） 脱水機においては洗濯物が前方に片寄り、圧搾時常に加
圧体の前方側が圧縮、後方側が引張られるため、１工程
毎又は定期的に加圧体とプレス板を非圧搾時（上昇、下
降、待機時）に回転させて加圧体に永久歪が発生するの
を防止する。

（実施例） 以下本考案を図面の実施例について説明すると、第１図
〜第９図は本考案の実施例を示す。なお、図中符号35〜
44及び46〜60に示すものは前記第10図に示す従来装置に
おけるものと同一のため、ここではこれらの詳細な説明
は省略し、第10図との相違点のみ説明することにする。

先ず第１図において１は加圧部回転装置で、１個又は複
数個装着され、上限待機時にプレス板52を回転させる。
この第１図の加圧部回転装置１は、第２図に示す構造で
あり、ピラー37にブッシュ３にて回転自在に装着され、
下方はカラー４により位置決めされている。またブッシ
ュ３と一体のレバー２は、上部架台36に取り付けられた
ブラケット７とエアシリンダ８によりヨーク９と回転自
在のピン10にて連結されている。レバー２の先端には駆
動モータ５が固定されており、また同モータ５の出力軸
には回転ローラ６が装着されており、駆動モータ５が図
示しないコントローラで制御されることにより、回転ロ
ーラ６は一定時間回転又は連続回転をしている。

第３図は加圧部回転装置１の待機状態を示し、第４図は
回転ローラ６はエアシリンダ８にてプレス板52へ押し付
けられた回転中の状態を示している。回転ローラ６が矢
印11方向に回転すると、プレス板52はピストン棒51と一
体で、油圧シリンダ47に対し矢印12方向へ回転する。回
転角度は、定期的に回転時は300°以内で、望ましくは1
20°程度が望ましい。また毎回回転させる時は、１°〜
２°の回転でも加圧体53の永久変形は防止できる。

次に第５図は第２実施例を示すものである。この実施例
は、待機中でなく、上昇又は下降時にプレス板52に傾斜
ローラをエアシリンダの力により押し付けるもので、傾
斜角αの時の回転距離は、接触長さ×sinαとなる。

次に第５〜７図により構造を説明すると、上部架台36に
固定されたブラケット21は、回転自在のピン27を介して
エアシリンダ26に連結されており、エアシリンダ26の先
端ヨーク28は、ピン29を介してブラケット21の先端部の
ピン23にて回転する可動ブラケット22と連結されてい
る。また可動ブラケット22には、ピン25を介してフリク
ションローラ24が装着されている。

次に第５〜７図の実施例について作用を説明すると、第
６図は待機中の状態を示し、第７図は図示しないコント
ローラと電磁弁により、エアシリンダ26にエアが送られ
てフリクションローラ24がプレス板52に押し付けられた
状態を示している。この実施例では、上昇又は下降中の
どちらか一方において、フリクションローラ24を押し付
けると、プレス板52の上下動によりフリクションローラ
24が回転してプレス板52を傾斜角αによって回転させる
ものである。なお、フリクションローラ24の軸部にワン
ウェイクラッチを挿入すれば、押し付け用エアシリンダ
26は不要となる。

次に第８図及び第９図により第３実施例を説明する。こ
の実施例の場合も待機中でなく上昇又は下降時にプレス
板52の上面にフリクションパッド76をエアシリンダの力
にて押し付け、その振り角βによりプレス板52を回転さ
せるものである。そして回転距離はプレス板52の上昇距
離×tanβである。

さて第８図及び第９図において、上部架台36に固定され
たブラケット74は、エアシリンダ71及びエアシリンダ72
と回転自在に連結され、その各々の先端はピン77により
フリクションパッドホルダ75に連結されている。またフ
リクションパッド76はフリクションパッドホルダ75に固
着されている。

次に作用を説明すると、第８図に示す状態の時、エアシ
リンダ71とエアシリンダ72に、図示されないコントロー
ラと電磁弁によりエアが送られると、プレス板52の上面
にフリクションパッド76が押し付けられ、エアシリンダ
71はフリクションパッド76の摩擦力を発生させつつ、プ
レス板52の上昇により圧縮させて角度β丈回転をする。
一方エアシリンダ72は、プレス板52を回転させる力を発
生させる。なお、以上の如く第８図及び第９図の実施例
は待機中又は上昇、下降中に、加圧部を毎回又は定期的
に回転させて洗濯物60の片寄りによる加圧体53の変形を
防止させるものであるが、他の回転方法によっても本考
案の目的が達成できるのは言うまでもない。

（考案の効果） 以上詳細に説明した如く本考案は構成されているので、
前方に片寄った洗濯物を圧搾して脱水しても、加圧体に
永久歪を発生させることなく脱水できる。従って洗濯物
の片寄りの激しいものを脱水する時は、従来加圧体の寿
命が１〜２週間と短かったが、本考案によると加圧体の
寿命は１〜２年と長寿命となるため、加圧体取付け、取
り外しによる機械の停台による生産停止も長時間必要で
なく、加圧体そのものの材質劣化による交換のみとな
り、生産性が向上し、かつ部品交換費用を大巾に削減す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例を示す脱水機の側断面図、
第２図は第１図における加圧部回転装置の詳細正面図、
第３図及び第４図は夫々第２図における作用を説明する
平面図、第５図は本考案の第２実施例を示す加圧部回転
装置の正面図、第６図及び第７図は夫々第５図における
作用を説明する側面図、第８図及び第９図は本考案の第
３実施例を示す加圧部回転装置の側面図、第10図は従来
の脱水機を示す側断面図、第11図及び第12図は夫々第10
図における圧搾時及び圧搾後の状態を示す側断面図、第
13図は従来の脱水機における洗濯物に片寄りの有る時の
側断面図、第14図及び第15図は第13図における圧搾時及
び圧搾後の状態を示す側断面図である。 図の主要部分の説明 １……加圧部回転装置、２……レバー ５……駆動モータ、６……回転ローラ ８……エアシリンダ、９……ヨーク 24……フリクションローラ、36……上部架台 37……ピラー、42……バスケット 52……プレス板、53……加圧体 60……洗濯物 76……フリクションパッド

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】洗濯物の衣類等から、弾性膜を備えた加圧
   体で水分を圧搾により脱水する脱水機において、加圧体
   の上昇、下降、待機時の非圧搾時に同加圧体を回転させ
   る加圧部回転装置を有することを特徴とする脱水機。