JPH0746988B2 - 付着性動物細胞の培養法および培養装置 - Google Patents

付着性動物細胞の培養法および培養装置

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JPH0746988B2
JPH0746988B2 JP61057655A JP5765586A JPH0746988B2 JP H0746988 B2 JPH0746988 B2 JP H0746988B2 JP 61057655 A JP61057655 A JP 61057655A JP 5765586 A JP5765586 A JP 5765586A JP H0746988 B2 JPH0746988 B2 JP H0746988B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は付着性動物細胞を多孔性物質を被付着物体とし
て培養する付着性動物細胞の高密度培養法およびその培
養装置に関する。
(従来の技術) 動物細胞は,培養形態から2つの細胞群に大別される。
そのひとつは血液系の細胞に代表される浮遊性の細胞で
あり,他は,線維芽細胞や上皮性細胞のように細胞が付
着する面を必要とする付着性細胞である。浮遊性細胞は
培地中に懸濁した状態で増殖するため,微生物の培養に
準じた方法で容易に増殖が可能である。他方,付着性細
胞は,増殖の足場となる付着面(被付着物体)が必要で
あるため,大量かつ高密度の培養が困難である。
近年,付着性動物細胞を比較的大量かつ高密度に培養し
うる方法として,マイクロキャリアー培養法,ホロファ
イバー培養法,セラミック多孔質管培養法,マイクロカ
プセル培養法などが提案されている。なかでも,マイク
ロキャリアー培養法は,複雑な装置を必要とせず,操作
が比較的簡単であるため好適に利用される。マイクロキ
ャリアー培養法は,被付着物体として直径が100〜300μ
m程度の高分子微粒子(マイクロキャリアー)を用いる
方法である。マイクロキャリアーの素材としては,ポリ
アクリルアミド,デキストラン,ゼラチン,ポリスチレ
ンなどがある。例えば,架橋デキストラン表面に を導入して表面荷電型としたマイクロキャリアー(サイ
トデックス2(Cytodex2);ファルマシア社製)が好適
に用いられる。マイクロキャリアー培養法における培養
密度は,例えば上記サイトデックス2を培養液1mlあた
り3mgの割合で用いてVero細胞(後述)の培養を行った
場合,約2.0×106〜4.0×106個/ml(マイクロキャリア
ー固形分)であることが報告されている〔マイクロキャ
リアー セル カルチャー プリンシプルズ アンド
メソッズ,ファルマシア ファイン ケミカルズ(Micr
ocarrier cell culture principles & nethods,Pharma
cia Fine Chemicals.)〕。しかし,このマイクロキャ
リアー培養法では,いまだ十分に高密度かつ大量培養が
達成されえない。
動物細胞中に含有される微量の生理活性物質を得るなど
の目的で,付着性動物細胞の高密度かつ大量培養が可能
な方法の開発が望まれている。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は,付着性動物細胞を高密度かつ大量に培
養しうる方法を提供することにある。本発明の他の目的
は,上記方法に使用されうる培養装置を提供することに
ある。
(問題点を解決するための手段および作用) 本発明の付着性動物細胞培養法は,多孔性物質に培地液
を含浸し,もしくは多孔性物質を培地液に浸漬し,該多
孔性物質に付着性動物細胞を付着させて該付着性動物細
胞を培養することを包含し,そのことにより上記目的が
達成される。
本発明の付着性動物細胞培養装置は,多孔性物質に付着
して生育する付着性動物細胞を該多孔性物質と共に多孔
板上に収容する培養槽と,該培養槽に培地液循環路を介
して連結された濡壁塔と,該濡壁塔に培地液供給路を介
して連結された培地液供給槽および気体供給路を介して
連結された気体供給手段と,を有し,該濡壁塔にて該培
地液と該気体とを接触させ,気体の供給された培地液を
該培地液循環路を介して培養槽に供給し,そのことによ
り上記目的が達成される。
本発明に用いられる多孔性物質は,培養を目的とする動
物細胞により代謝を受けない物質で吸水能力があればよ
い。例えば,合成樹脂発泡体や海綿などの天然産生物が
利用されうる。合成樹脂発泡体としては,例えば,ポリ
ビニルアルコールやポリウレタンなどの発泡体が用いら
れる。特に,ポリオキシエチレン構造を有するポリウレ
タンの発泡体は優れた親水性と水保持力とを有するため
好適に利用される。
このようなポリウレタンはポリオキシエチレン構造を有
するポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得
られる。ポリオキシエチレン構造を有するポリオールと
しては,例えば,ポリエチレングリコール;ポリエチレ
ングリコールとポリプロピレングリコールとの混合物;
酸化エチレンと酸化プロピレンとの共重合体であるポリ
エチレングリコール−ポリプロピレングリコールなどが
挙げられる。塩基性ポリオールも使用可能である。ここ
でいう塩基性ポリオールとは,エチレンジアミン,ジエ
チレントリアミン,メチルアミン,ブチルアミン,ピペ
ラジン,エタノールアミン,プロパノールアミン,N−メ
チルジエタノールアミンなどのアミン類に酸化エチレン
をポリオキシエチレン状に付加させて得られる。上記ポ
リオキシエチレン構造を有するポリオールとしては,分
子量約400〜1000のポリエチレングリコールが好適に用
いられる。ポリプロピレン成分がポリエチレングリコー
ルに添加されるときには,その含量が約65重量部を下ま
わることが好ましい。過剰であると得られる発泡体の親
水性が低下する。
上記ポリイソシアネートとしては,例えば,芳香族系,
脂肪族系,ポリエーテル系など種々のポリイソシアネー
トが用いられる。例えば,トリレンジイソシアネート,
ジフェニルメタンジイソシアネート,ジフェニルジイソ
シアネート,ナフタレンジイソシアネート,キシレンジ
イソシアネート,ブタンジイソシアネート,トリフェニ
ルメタン−4・4′4″−トリイソシアネートなどが挙
げられる。
ポリオキシエチレン構造をもたないポリオールを単独
で,あるいは上記ポリオキシエチレン構造を有するポリ
オールと混合して用いられうる。このようなポリオール
としては,例えば,グリセリン,トリメチロールエタ
ン,トリメチロールプロパン,1・2・6−ヘキサントリ
オール,ペンタエリスリトール,ソルビトール,サッカ
ロース,α−メチルグルコシドが挙げられる。ポリオー
ルとして,セルロース,カルボキシメチルセルロース,
ヒドロキシメチルセルロースなどの天然高分子やその誘
導体も利用されうる。
ポリオールとポリイソシアネートとの反応時に,反応系
にコラーゲン,アルブミン,ゼラチンなどのペプタイド
を共存させると,分子内にペプタイドマトリックスが形
成されたポリウレタンが得られる。分子内にペプタイド
マトリックスが形成されたポリウレタンの発泡体を多孔
性物質として用いると多孔性物質の含水率が高くなり,
多孔性物質と培地液とのぬれが良好になる。その結果,
付着性動物細胞と多孔性物質との親和性が高くなり,該
細胞の増殖がより速やかになる。
発泡体としては,半連続発泡体,連続発泡体のいずれも
が利用されうる。酸素を含む培地液が接触しやすいほど
よいため連続発泡体を用いることが好ましい。
多孔性物質の平均細孔径は10μm〜5mm,好ましくは100
μm〜1mmである。細孔径が小さすぎると細胞が多孔性
物質内部で増殖しにくくなり,大きすぎると多孔性物質
の内部表面積が小さくなる。このような多孔性物質の見
かけの比重は0.02〜0.1であり,発泡体であれば,その
発泡倍率は約10〜50倍である。
本発明の培養法で培養し得る細胞は、付着性の動物細胞
であればよく、好ましくは、動物の線維芽細胞、リンパ
細胞、あるいは上皮細胞である。更に好ましくは、アフ
リカミドリザル腎細胞(Vero細胞)、正常コウモリ肺細
胞(Tb1Lu)、上皮細胞(940c3)、マウス線維芽細胞
(3T3)、ヒト横紋筋サルコーマ細胞(RD)、ヒト横紋
筋サルコーマ細胞(A204)、初代ヒナ胚線維芽細胞、チ
ャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、乳児ハムスタ
ー腎細胞(BHK)、初代胎児頬細胞、ヒト2倍体細胞(W
1−38.MRC−5)、サル腎細胞(Vero,LLC−MK2,CV−
1)、初代サル腎細胞、ヒト胚肺細胞(MRC−5)、ウ
サギ腎細胞(RK−13)、ブタ腎細胞(IBR−52)、イヌ
腎細胞、ネコ肺線維芽様細胞または魚細胞であるが、こ
れらに限定されるものではない。
本発明の多孔性物質を用いた付着性動物細胞の培養法に
は静置培養法および充填層培養法が含まれる。
本発明の培養法を実施するためには,多孔性物質に付着
して生育する付着性動物細胞を該多孔性物質と共に多孔
板上に収容する培養槽と,該培養槽に培地液循環路を介
して連結され培地液に気体を供給する濡壁塔とを備えた
装置が用いられる。濡壁塔には培地液供給槽が連結され
ている。
静置培養を行うには,培養槽の多孔板上に,例えば10mm
以下,好ましくは1〜3mmの細片とした多孔性物質を載
置し,培地液を供給してこれを多孔性物質に含浸させた
のち,培地液もしくは多孔性物質に所望の動物性細胞を
接種(播種)する。培地液の量としては,多孔性物質が
吸収しうる培地液の量以上であればよく,特に制限はな
い。静置培養であるので培地液の循環は行われないが1
〜3日に1度の培地交換を行うことが好ましい。そし
て,細胞の生育に必要な温度および雰囲気下で培養を行
うと,該動物性細胞は多孔性物質表面を足場として速や
かに増殖する。多孔性物質に対する培地液量が多い程,
動物性細胞の増殖速度が大きく,多孔性物質中での動物
性細胞の生育飽和密度が高い。例えば,ポリウレタン発
泡体(PUF)を用いて後述のVero細胞を培養する(PUF23
mg,培地2ml)と,7.5×106個/cm3(培地液中PUF)とい
う高い飽和密度が得られる。
充填層培養法を実施するには,多孔性物質を培養槽の多
孔板上に多層に積層充填しそこに濡壁塔からの気体含有
培地液を生育温度下にて供給し,所望の動物性細胞を接
種する。そして,濡壁塔からの気体含有培地を培地液循
環路を介して連続的に供給する。このような充填槽培養
法によれば,充分な酸素等の必要な気体の供給された培
地液が動物細胞に供給されるため,高密度培養が達成さ
れる。例えば,PUF5.8gを用いてCO2を含有する空気を培
地中に充分供給しながらVero細胞の培養を行うと,対数
増殖期の細胞数倍加時間は71時間であり,24日目には75
倍に増殖し,1.7×107個/cm3という高密度培養が達成さ
れる。
上記装置を用い,培地液を連続して供給すると共に,得
られる生理活性物質等の培養生成物を連続的に系外へ取
り出すことにより,連続培養法が達成されうる。培養生
成物の取り出し手段としては,例えば,培養槽にバルブ
付培地液排出口が設けられる。低分子物質を選択的に取
り出す限外濾過膜等を用いることも可能である。
付着性動物細胞が多孔性物質表面から剥離しない程度の
緩速攪拌を行えば,攪拌培養が達成されうる。この場合
には細胞と酸素を多量に含む培地液との接触度合が上が
るため,該細胞の生育速度が速くなると共に,培養生成
物が培地液中に効果的に拡散するため生成物の収率が向
上する。攪拌手段は培養槽内に適宜設けられている。
(実施例) 本発明を実施するための予備的な実験例を以下に示す。
ここで使用した細胞はVero細胞(その由来,特徴を下に
示す)である。
Vero細胞:アフリカミドリザルの腎由来の付着性細胞。
形態は線維芽様。樹立細胞系であり,無限増殖する。球
形の細胞は直径約13.5μm。ウイルスSV40などの生産に
用いられる。ペトリディッシュ底面を付着面として培養
すると約18時間で倍加する。
実験例1 DME合成培地(日水製薬社製)にNaHCO3,HEPES,ペニシリ
ンGおよびストレプトマイシンを添加し,最終濃度をNa
HCO312.5mM,HEPES5mM,ペニシリンG105U/lおよびストレ
プトマイシン0.1g/lに調整したのち,これにさらに牛胎
児血清(FBS)を添加して培地液とした。
分子内にペプタイドマトリックスの形成されたPUF(発
泡倍率25倍)をミキサーにかけ,3mm以下の細片に粉砕し
た。不純物を除き,蒸留水で水洗後オートクレーブにて
滅菌を行なった。これを上記培地液に侵漬し,PUF表面に
血清中の付着糖蛋白質を充分に吸着させた。このPUFと
上記培地とをクリーンベンチ内でペトリディッシュに入
れ,Vero細胞をペトリディシュ内に播種した。これに5
%のCO2を含有する空気を供給しながら37℃でインキュ
ベートした。数時間後にはペトリディッシュ底面とPUF
表面にVero細胞が付着伸展したことが顕微鏡により確認
された。経時的に細胞が増殖することも確認された。最
終的にVero細胞はPUF表面で阿呆和状態まで増殖したこ
とを確認した。定常期後半には,細胞が丸くなり,細胞
同士が凝集して大きな細胞塊が認められた。死滅期に入
ると,ペトリディッシュ底面の細胞は剥離し,PUF表面の
Vero細胞も著しく大きな凝集塊を形成した。
実験例2 実験例1と同じ培地液を用い,かつ同様に処理され同一
の付着糖蛋白質の吸着したPUFを用いた。このPUFと培地
液とを直径53mmのペトリディッシュに入れ,5%のCO2
含有する空気を3l/minの割合で供給しながら37℃で30分
間インキュベートした。このように処理したPUF40mgと
培地液4mlとを含むペトリディッシュ培地を3組調製し
た。培地中のこれら3組のPUFに104個/ml,105個/mlおよ
び106個/mlの割合でVero細胞をそれぞれ播種した。ここ
で,104個/mlとは,培地液を含んだPUF1cm3あたり104
の細胞を播種したことを示す。これを実験例1に準じて
38時間培養し,細胞数を計数した。播種密度とPUF1gあ
たりの細胞数との関係を第1図に示す。第1図から,細
胞がPUFに付着する割合は播種密度によらずほぼ一定で
あることが確認された。
(実施例) 以下に本発明を実施例について説明する。
実施例1 実施例1におけると同じ培地液および同じPUFを用い
た。23mgのPUFと2mlの培地液とを含むペトリディッシュ
培地を調製し,PUF表面にVero細胞を1.04×108個/g(PU
F)の割合で播種した。5%のCO2を含有する空気を3l/m
inの割合で供給しながら37℃にて23時間インキュベート
したのち,PUF表面から細胞が剥離しないように注意して
サンプリングし,核数計数法を用いてPUFに付着してい
るVero細胞を計数した。細胞数は約4.5×106個であり,
細胞数がPUF表面でほぼ飽和していることが観察され
た。これは同じ大きさのペトリディッシュの底面を付着
面として培養を行なった際の細胞数とほぼ同様である。
使用したPUFは23mgであるから,細胞密度は1.95×108
/g(PUF)である。PUFの培地中での嵩体積は約26cm3/g
であるから,これは7.5×106個/cm3(倍地液中のPUF)
に相当する。これは,従来の技術の項で示したサイトデ
ックス2を用いたマイクロキャリアー培養法に比べても
2〜3倍優れている。このように,本発明方法により高
密度培養が効果的に達成される。
実験例2 実験例1と同じ培地液と同じPUFを用いた。PUF90mgに2m
lの培地液を入れたペトリディッシュ培地,PUF90mgに6ml
の培地を入れたペトリディッシュ培地,および5mlの培
地液のみを入れたペトリディッシュ培地をそれぞれ調製
した。これにそれぞれ8×105個,8×105個および2×10
5個のVero細胞を播種し,実験例1に準じて培養を行な
った。培養時間と細胞個数との関係を第2図に示す。PU
Fを用いた上記培養時の対数増殖期における倍加時間
(D.T.)の測定を行なった。別に培地液の量を4mlと
し,添加するPUFを0mg,50mg,70mg,190mgとしそれぞれ実
験を行い,対数増殖期におけるD.T.を測定した。培地液
中にPUFが占める割合(g/l)とD.T.との関係を第3図に
示す。
第2図および第3図より,PUFに対し培地液量の多い方が
細胞の増殖速度が大きく,D.T.が小さいことがわかる。
これは,PUFに対し培地液量が少ないとPUF表面で増殖す
る細胞の物質交換が阻害されるためと考えられる。PUF
を入れないペトリディッシュで培養を行なった場合は増
殖速度が大きいが,短時間でペトリディッシュ底面に飽
和するため高密度に培養することはできない。
実施例3 培養装置は,第4図に示すように,培養槽1と,濡壁塔
2と,培地液供給槽3と,気体供給手段4とを有する。
培養槽1は内部に多孔板11を収納しており,この多孔板
11上にPUF110が載置される。この培養槽1には培地液循
環路12を介して濡壁塔2が連結されている。この濡壁塔
2には,培地液供給路23を介して培地液供給槽3および
気体供給路24を介して気体供給手段4が連結されてい
る。濡壁塔2では培養槽1からの変装培地液(もしくは
培養液)が培地液流入口20から流入し,塔内壁面に沿っ
て流下する間に,気体供給手段(例えば空気ボンベ41お
よびCO2ガスボンベ42などのガスボンベ)4から供給さ
れる気体と接触し気体を吸収する。新鮮な気体を吸収し
た培地液は培地液循環路21を通って再び培養槽1へ供給
される。濡壁塔2ではこのように効果的なガス供給シス
テムが機能し,有用な気体が供給されて培養槽1へ再び
供給される。濡壁塔2の培地液流入口20は濡壁塔壁面に
沿って液留部200を有し,培養槽1からの返送培地液が
この液留部200に入り塔壁から徐々に溢流して塔内へ流
入する構成になっている。液留部200から塔内への流入
量をより均一に保持するうえで,ガラスビーズなどのビ
ーズ状物や多孔板などの層流創製手段201をこの液留部2
00内に配置することが行われうる。濡壁塔2の上方には
コンデンサー202およびフィルター203が設けられる。気
体供給路24にも必要に応じてフィルター240が設けられ
る。培地液循環路や培地液供給路には,適宜ローラーポ
ンプなどの液送給手段60,61が配置される。
上記装置を,培地液中に含有される生理活性物質などの
生成物を連続的に系外に取り出しうる連続培養に供しう
るように,例えば,培養槽1にバルブ付培養液排出口10
0が設けられる。この排出口100と共に,もしくはこれに
代えて,低分子物質を選択的に取り出す限外濾過膜を培
地液循環路もしくは他の適当な箇所に配置することも可
能である。
上記装置を,撹拌を伴う培養に供しうるように,撹拌手
段を例えば培養槽1内に配置することも可能である。
培地液供給槽3からの培地液を培地液供給路23を介して
下記の要領で上記装置の各部へ供給したのち,培地液供
給路23のバルブ101を閉じた。そして,培養槽1と濡壁
塔2との間で培地液循環路12および21を介して培地液を
100ml/minの速度で1時間循環させた。
培養槽1内にPUF5.8gそして培地液200ml; 濡壁塔2内に培地液200ml; および培地液循環路12,21およびローラーポプ60に培地
液を合計量で100ml。
次いで,PUF110にVero細胞を3.4×107個播種し,2時間静
置後,50ml/minで培地液を循環させて充填層培養を開始
した。培養時間とPUF単位重量あたりの細胞数との関係
を第5図に示す。第5図において矢印は培養槽1のバル
ブ100を開放して培養槽1内の培地液を回収すると共
に,培地液供給槽3から培地液を培地液供給路23のバル
ブ101を開放して上記要領にて装置各部へ供給したこと
を示す。
第5図より,培養150時間後の細胞数は3×107個/gであ
り,高密度の培養が行われたことがわかる。
(発明の効果) 本発明によれば,このように多孔性物質を被付着物体と
して付着性動物細胞が効果的に培養される。従来の例え
ばマイクロキャリアー培養法やホロファイバー培養法に
比べてもさらに高密度培養が達成される。本発明によれ
ば,静置培養法,充填層培養法のいずれを用いても細胞
が効果的に増殖する。特に充填層培養法を採用すると培
養のスケールアップが容易であり,高密度かつ大量培養
が可能となる。ポリウレタン発泡体などの多孔性物質は
安価でもあるため付着性動物細胞の大量の培養が安価に
なされうる。本発明は,付着性動物細胞を用いたウイル
スの研究,付着性動物細胞が生産する生理活性物質の製
造や研究に好適に利用されうる。また,PUFなどの多孔性
物質は,培養後,細胞の剥離も容易であり,再使用可能
である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法により付着性動物細胞の静置培養を
行なったときの播種密度と多孔性物質単位体積あたりの
細胞数との関係を示すグラフ,第2図は本発明方法と従
来法とによりそれぞれ付着性動物細胞を静置培養したと
きの,培養時間による細胞数の変化を比較したグラフ,
第3図は本発明方法の静置培養時の単位培地液あたりの
多孔性物質重量とD.T.との関係を示すグラフ,第4図は
本発明の培養装置の1実施例を示す概略図,第5図は第
4図の装置を用いて充填層培養を行なったときの培養時
間による動物細胞数の変化を示すグラフである。 1……培養槽,2……濡壁塔,3……培地液供給槽,4……気
体供給手段,11……多孔板,12,21……培地液循環路,20…
…培地液流入口,23……培地液供給路,110……PUF,200…
…液留部。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均細孔径が100μm〜1mmである、多孔性
    ポリウレタン発泡体に培地液を含浸し、もしくは該多孔
    性ポリウレタン発泡体を培地液に浸漬し、該多孔性ポリ
    ウレタン発泡体に付着性動物細胞を付着させて該付着性
    動物細胞を培養することを包含する付着性動物細胞の培
    養法。
  2. 【請求項2】前記ポリウレタンの分子内にペプタイドマ
    トリックスが形成された特許請求の範囲第1項に記載の
    培養法。
  3. 【請求項3】前記ペプタイドマトリックスを形成するペ
    プタイドがコラーゲン、アルブミンもしくはゼラチンで
    ある特許請求の範囲第2項に記載の培養法。
  4. 【請求項4】前記ポリウレタン発泡体の発泡倍率が10〜
    20倍である特許請求の範囲第1項または第2項に記載の
    培養法。
  5. 【請求項5】前記付着性動物細胞が、アフリカミドリザ
    ル腎細胞(Vero細胞)、正常コウモリ肺細胞(Tb1L
    u)、上皮細胞(940c3)、マウス線維芽細胞(3T3)、
    ヒト横紋筋サルコーマ細胞(RD)、ヒト横紋筋サルコー
    マ細胞(A204)、初代ヒナ胚線維芽細胞、チャイニーズ
    ハムスター卵巣細胞(CHO)、乳児ハムスター腎細胞(B
    HK)、初代胎児頬細胞、ヒト2倍体細胞(W1−38.MRC−
    5)、サル腎細胞(Vero,LLC−MK2,CV−1)、初代サル
    腎細胞、ヒト胚肺細胞(MRC−5)、ウサギ腎細胞(RK
    −13)、ブタ腎細胞(IBR−52)、イヌ腎細胞、ネコ肺
    線維芽様細胞または魚細胞である特許請求の範囲第1項
    に記載の培養法。
  6. 【請求項6】静置培養法、充填層培養法、連続培養法も
    しくは撹拌培養法である特許請求の範囲第1項に記載の
    培養法。
  7. 【請求項7】平均細孔径が100μm〜1mmである多孔性ポ
    リウレタン発泡体に付着して生育する付着性動物細胞を
    該多孔性ポリウレタン発泡体と共に多孔板上に収容する
    培養槽と、該培養槽に培地液循環路を介して連結された
    濡壁塔と、該濡壁塔に培地液供給路を介して連結された
    培地液供給槽および気体供給路を介して連結された気体
    供給手段と、を有し、 該濡壁塔にて該培地液と該気体とを接触させ、気体の供
    給された培地液を該培地液循環路を介して培養槽に供給
    する付着性動物細胞の培養装置。
  8. 【請求項8】前記ポリウレタンの分子内にペプタイドマ
    トリックスが形成された特許請求の範囲第7項に記載の
    培養装置。
  9. 【請求項9】前記ペプタイドマトリックスを形成するペ
    プタイドがコラーゲン、アルブミンもしくはゼラチンで
    ある特許請求の範囲第8項に記載の培養装置。
  10. 【請求項10】前記ポリウレタン発泡体の発泡倍率が10
    〜20倍である特許請求の範囲第7項または第8項に記載
    の培養装置。
  11. 【請求項11】前記付着性動物細胞が、アフリカミドリ
    ザル腎細胞(Vero細胞)、正常コウモリ肺細胞(Tb1L
    u)、上皮細胞(940c3)、マウス線維芽細胞(3T3)、
    ヒト横紋筋サルコーマ細胞(RD)、ヒト横紋筋サルコー
    マ細胞(A204)、初代ヒナ胚線維芽細胞、チャイニーズ
    ハムスター卵巣細胞(CHO)、乳児ハムスター腎細胞(B
    HK)、初代胎児頬細胞、ヒト2倍体細胞(W1−38.MRC−
    5)、サル腎細胞(Vero,LLC−MK2,CV−1)、初代サル
    腎細胞、ヒト胚肺細胞(MRC−5)、ウサギ腎細胞(RK
    −13)、ブタ腎細胞(IBR−52)、イヌ腎細胞、ネコ肺
    線維芽様細胞または魚細胞である特許請求の範囲第8項
    に記載の培養装置。
  12. 【請求項12】前記培養槽が培養液中の生理活性物質を
    回収する手段を有する特許請求の範囲第7項に記載の培
    養装置。
  13. 【請求項13】前記生理活性物質回収手段が限外濾過膜
    である特許請求の範囲第12項に記載の培養装置。
  14. 【請求項14】前記生理活性物質回収手段が前記培養槽
    に設けられたバルブ付培養液排出口である特許請求の範
    囲第7項に記載の培養装置。
  15. 【請求項15】前記培養槽に培養液撹拌手段を設けた特
    許請求の範囲第7項に記載の培養装置。
  16. 【請求項16】前記濡壁塔の培地液流入口が該濡壁塔の
    壁面に沿って液留部を有する特許請求の範囲第7項に記
    載の培養装置。
  17. 【請求項17】前記液留部に液流を層流にする層流創製
    手段を有する特許請求の範囲第16項に記載の培養装置。
  18. 【請求項18】前記層流創製手段がビーズ状物である特
    許請求の範囲第17項に記載の培養装置。
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