JPH0746442B2 - 光学情報記録媒体 - Google Patents

光学情報記録媒体

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JPH0746442B2
JPH0746442B2 JP61153116A JP15311686A JPH0746442B2 JP H0746442 B2 JPH0746442 B2 JP H0746442B2 JP 61153116 A JP61153116 A JP 61153116A JP 15311686 A JP15311686 A JP 15311686A JP H0746442 B2 JPH0746442 B2 JP H0746442B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、レーザー光線を用いた情報記録再生装置に用
いる記録媒体として例えば光ディスク、とりわけ書き換
え可能な光ディスクに関し、その書き換え特性を向上さ
せる構成を提供する。
従来の技術 光ディスク等の光学情報記録媒体において記録層を薄く
する一つの流れがある。その狙いは、主として記録部の
熱容量を下げて記録・消去に必要なエネルギーを低減さ
せる(高感度化)ことであり、同時に光の干渉効果を効
果的に利用して記録前後の反射光又は透過光の変化量を
大きくし、大きい信号(高S/N化)ということである。
もちろん、記録層をただ薄くするだけでは、かえって記
録層における光吸収効率が低下して感度は下がってしま
う。そこで、例えば1965年にドーバー社から発行された
ヘブンズの著書「固体薄膜の光学的性質」P69に記載の
マトリックス法等により記録層における光吸収効率を高
める工夫がなされている。具体例として、例えば公開特
特許公報昭57−11839号には、基板上にAu,Al等の光反射
係数の高い金属薄膜を反射層として設け、その上にカル
コゲン化物合金薄膜から成る記録層、アクリル樹脂等よ
り成る被覆層を施した構成、又更に反射層と記録層との
間に、干渉効果を最大限にすべく光の行路長を調整する
ための透明な挿間層を追加した構成が示されてい 。こ
れらの構成においては各層の光学定数をベースに各層の
膜厚が厳密に決定されることになる。
発明が解決しようとする問題点 上記記録媒体において、記録層としてカルコゲン化物合
金薄膜、反射層としてAu又はAlを適用し、書き換え型の
光ディスクを構成した場合、十分高い光吸収効率が得ら
れるにもかかわらず期待されるほどの高感度が得られな
いことがわかった。
カルコゲン化物合金等において発現される結晶相とアモ
ルファス相との間の可逆的相変態は光照射による熱的プ
ロセスで生じる。このうちアモルファス相を結晶化する
過程においては、漸時、結晶化温度以上に保つ必要があ
るが、上記構造の場合、光照射によって生じた熱は主に
反射層を伝って容易に周囲に拡散する。このためエネル
ギーロスが大きく高感度が得られない。即ち、これまで
のところ、前述の光学情報記録媒体においては構造に伴
う利点が十分生かされず、その欠点が強調されることに
なっていた。
問題点を解決するための手段 本発明は、上述の問題を解決する手段として反射層の材
料に注目し、高い反射係数に主眼をおいた従来のAu,Al
等の薄膜を、光反射係数はAu,Alに比べてやや低いが熱
拡散率がはるかに小さいNi−Cr合金を主成分とする薄膜
に置きかえ、その組成、膜厚を適当に選定したものであ
る。
作 用 光学情報記録媒体の反射層を熱拡散率の小さいNi−Cr合
金にすることにより、光照射の際、照射部での周囲への
熱拡散が小さくなって記録層を効率よく昇温させること
が可能となる。このため記録層においてアモルファス相
を結晶化させるのに必要な光パワー密度が小さくてす
み、高感度の光学情報記録媒体が得られる。
実施例 以下、図面に基いて本発明を説明する。
第1図に本発明の光学情報記録媒体の一構成例を示す。
図中(a)は、保護層6側から光を入射させる例であ
り、(b)は基材1側から光を入射させる例である。
基本的には(a),(b)は全く同じ構成であるが基板
と各層の位置関係及び基板に形成する順番の違いが基板
及び各層の材質、製法等に多少の差を生ずる。
基板1としてはPMMA,ポリカーボネイト等の樹脂又はガ
ラス等、通常光ディスクに用いられる表面の平滑なもの
を用いるが、(a)タイプの場合は基板が透明である必
要はなく表面の平滑な金属板、セラミックス板を用いる
ことができる。光ディスクの場合、通常基材平面7はレ
ーザ光線を導くために、スパイラル又は同心円状のトラ
ックで覆われている。
2は反射層であって本発明においてはNi,Crを主成分と
する合金薄膜を用いる。
透明体層3,5としてはSiO2,Al2O3,ZnS,ZnSe等の誘電体層
を用いる。これらの層の働きは、1つには記録層4が記
録,消去を繰り返した時に破壊されるのを防止すること
であり、1つには前述した多重干渉効果を利用して記録
層4への光吸収効率を高めることであり、同時に記録前
後の反射光、又は透過光の変化量を大きくして高いS/N
を得ることである。
記録層4の材料としては、書き換え型の場合は、例えば
Te,Seをベースとするカルコゲン化物合金等、結晶相と
アモルファス相との間で熱的プロセスに基づき可逆的な
構造変化をおこす物質、或いは光磁気記録媒体に用いら
れる希土類元素と遷移金属元素とをベースとする物質等
を用いることができる。
保護層6は樹脂をスピンコートしたり、基材と同様の樹
脂板、金属板等を接着剤を用いてはり合わせることによ
って形成する。
各層の膜厚はマトリックス法により厳密に決定すること
ができる。ただし場合によっては2つの透明体層3,5の
うち片方、又は両方の無い構成も考えられる。これは記
録層4の材料系によっても異なるが、この構成を例えば
いわゆる追加記録型の書き換えないタイプの記録媒体に
適用する場合には前述の破壊防止効果はさほど必要でな
く、光学的な効率のみを考えればよい。この場合、特に
光の入射側の透明体層5は必ずしも必要ではない。さら
には同図(c)に示すように2組の記録媒体を反射層2
を内側にして接着層8により貼り合わせることにより両
面から記録,再生,消去可能な構造が用いられる。
反射層2は記録層における入射光線の吸収効率を高める
とともに、他の層の屈折率n、消衰係数k、膜厚dと関
連して光学情報記録媒体の設計範囲を拡大することにあ
る。さらに熱拡散率の小さい反射層を選ぶことにより、
光照射に対する光学情報記録媒体の感度が向上する。こ
れは光照射部での周囲への熱の逃げが主に反射層を伝わ
ってなされることによる。反射層をニッケル−クロム合
金とすることにより、以前用いられていたAuからなる反
射層に比べて、光学情報記録媒体の感度が飛躍的に向上
することが実験的に確められた。
次に更に具体的な例をもって本発明を詳述する。
実施例1 第2図に示す構成のテストピースを多数用意した。基材
として厚さ1.2mmのPMMA樹脂9、第1及び第2の誘電体
層としてZnS層10、記録層11として(Te65Ge20Se1570S
b30の組成の化合物層を用い、反射層12はNi−(0,10,2
0,40,60,80,90,100)at%Cr及びAuを選んだ。さらにUV
樹脂13で、厚さ1.2mmPMMA樹脂の保護層14を貼り合せ
た。各層はそれぞれ1×10-5Torr以下の真空槽内で電子
ビーム蒸着法により形成した。記録層は4つのソースか
ら、反射層のうちニッケル−クロム合金は2つのソース
から、それぞれの成分の蒸着レートを制御しながら同時
蒸着して形成した。各層の膜厚は、記録,消去に用いる
レーザの波長λ(〜8300Å)と、各層の屈折率nとを基
準に選んだ。第1のZnS層の膜厚を5λ/16n(〜1050
Å)、記録層の膜厚を400Å、第2のZnS層の膜厚をλ/2
n(〜1680Å)、反射層の膜厚を200Å,400Å,及び600
Åとした。
蒸着により形成された記録膜はアモルファス状態であ
る。上記サンプルにレーザ光を照射すると、照射部で記
録層が加熱され、アモルファス→結晶の相変態がおこ
る。この時、レーザ光のパワーを一定にする相変化開始
に用いるレーザ光照射時間の長短で各サンプルの感度の
優劣を決ることができる。相変化が行ると記録膜の屈折
率nが変化するので、サンプルの反射率変化を観察する
ことにより、相変化開始点を知ることができる。各サン
プルに2mWのレーザ光を、照射時間を10n secから10u se
cまでかえて照射した。この時、相変化開始に要した照
射時間を図3に示す。この時、反射層の膜厚はそれぞれ
400Åである。Au反射層を用いたサンプルでは、反射層
の膜厚が200,400,600Åいづれの場合も、10μsecまでの
照射時間では、相変化はおこらなかった。
この実験結果を考察するにあたり、各反射層材料の熱的
及び光学的特性について述べる。
表1に、Au,Ni,Cr及びNi−40at%Crの熱特性を示す(th
e TPRC Data Series.Vol 1&4)。
この表から明らかな様に、Auに比べてNi及びCrの熱拡散
率は1/4〜1/7と小さい。ニッケル・クロム合金になると
熱伝達率はさらに小さくなる。前述の実験の結果は、反
射層をニッケル−クロム合金、Ni,Cr,Auとした順に感度
が悪くなることを示しているが、これは、熱伝達率の小
さい反射層を選んだ時に高感度が得られるという予想と
一致する。実験結果から、ニッケル−クロム合金の組成
比は感度に対して幅広いマージンをもつことがわかる。
すなわち、Ni−(0−80)at%Crの組成範囲で感度向上
寄与の大きい反射層とすることができる。
次に光学的特性について述べる。あらかじめ、各層の屈
折率n及び消衰係数kを実験的手法により求めておき、
これらの値と各膜厚を与えることにより、前述したサン
プルの各層における波長8300Åのレーザ光の吸収量を算
出した。記録層及び反射層以外の層ではk=0なので吸
収はない。表2に計算に用いた各層のn,k、表3に計算
結果を示す。
Au反射層の膜厚が200Å,400Å,……と厚くなるにつれ
て、記録層での吸収が大きくなる。これは反射層での反
射率が膜厚の増加に伴い大きくなることによる。Au反射
層の場合、600Åの膜厚で、記録層における吸収は飽和
値の99%に達する。いづれの膜厚にせよ、膜厚400ÅのN
i−40at%Cr反射層のサンプルよりも、記録層での吸収
が大きい。計算より反射層の反射率を高めることによ
り、記録層での吸収効率が高まることがわかるが、前述
の実験結果とあわせると、記録層での吸収効率を高める
だけではアモルファス→結晶の相変態感度を高めること
はできない。前述したように熱の逃げの律速となってい
る反射相の熱拡散率が重要である。熱の逃げという観点
から表3をみると、反射層における吸収効率に注目すべ
き点がある。すなわち、Au反射層では4%以下の吸収し
かないのが、Ni−40at%Cr反射層では34%の吸収があ
る。Cr量が20〜80at%となっても、この吸収効率はほと
んどかわらない。反射層での吸収が大きいと、光射照の
際、記録層と同時に反射層も昇温される。それ故、両層
の温度差があまり広がらないので記録層からの熱の逃げ
が小さく、効率より記録層が昇温され、結果として感度
が向上する。
以上述べたように、相変化の感度は、反射層での熱の逃
げやすさに最も強く依存する。ニッケル−クロム合金を
反射層に用いることにより、熱的・光学的に優れた反射
層が得られることが、実験及び計算によって示された。
実施例2 一般に金属は酸化物になると、熱拡散率が小さくなるこ
とが知られている。ニッケル−クロム合金についても同
様の事が期待できる。光学情報記録媒体の反射層として
ニッケル−クロム合金を選んだ時、酸素を含むと熱拡散
率が小さくなるのであれば、光照射による記録層でのア
モルファス→結晶の相変態感度が更に向上することが期
待できる。このことを実験で確めた。前述の構成のサン
プルを用意した。この時、ニッケル−クロム合金反射層
を蒸着によって成膜する際、真空槽内の酸素分圧を種々
にかえた。得られたサンプルに2mWのレーザ光を照射
し、相変化開始に要した時照時間を調べると同時に、反
射層中のNi,Cr,Oの組成比をオージェ分析によって求め
たた。この結果を表4に示す。ニッケル−クロムの組成
比はNi−40at%Crに統一してある。表4に示すようにNi
−40at%Crを反射層材料とした際、反射層中に取り込ま
れる酸素量が多くなると、光学情報記録媒体の感度が向
上することが確認された。しかし、反射層中に含まれる
酸素の量が50%にもなると、反射層での反射率が極端に
低下するため、反射層本来の働きを失い感度が低下する
ことが確認された。
実施例3 前述したように多層構造からなる光学情報記録媒体の各
層の膜厚はマトリックス法により厳密に選定できる。反
射層は高い反射率をもち記録層での光吸収効率を高める
ことが要求されるので、ある程度以上の膜厚が必要とな
る。第4図にZnS基板上に形成したNi−40at%Cr合金の
膜厚と反射率の関係を示す。Ni−40at%cr合金の膜厚が
500Åを超えると反射率は飽和して変化しない。いま一
つ反射層の熱拡散率が他層のそれと比べて著しく小さ
く、反射層において熱拡散が律速していることを考える
と、反射層の膜厚を必要以上に厚くすることは光照射部
での熱拡散を大きくし、かえって昇温効率が下がること
が容易に予想される。前述の構成のサンプルを用い、Ni
−40at%Cr合金を反射層材料に選んだ時、反射層の膜厚
とサンプルの感度の関係を調べた。この結果を表5に示
す。予想されるように感度が高いのはNi−40at%Cr合金
反射層の膜厚が200Å〜600Åという限られた範囲にある
ことが確められた。同様の実験により、Ni−Cr合金の組
成がNi−(20〜80at%)Crの間では組成に関係なくNi−
Cr反射層の膜厚が200〜600Åの時に高感度が得られるこ
とが確認された。
実施例4 厚さ0.2mmのガラス基板上に厚さ400ÅのAl及びNi−(2
0,40,60,80)at%Cr膜を電子ビーム蒸着法により形成し
た。このテストピースを80℃−湿度80%の雰囲気中に保
持した時の反射率変化を分光器を用いて測定した。耐湿
試験前と30日間の耐湿試験後の反射率変化は、Alの場合
30%以上であるのに対し、Ni−Cr合金は何れも1%以下
であった。
発明の効果 以上述べたように、本発明によって従来の光学情報記録
媒体よりも大巾に記録感度が高く、かつ耐湿性に優れた
可逆的光学情報記録媒体が提供された。
この効果に基づき、例えば画像処理用のコンピューター
用ファイル・メモリー等への応用が可能となった。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の光学情報記録媒体の基本構成を示す断
面図、第2図は本発明の光学情報記録媒体の感度測定用
テストサンプルの断面図、第3図は前記テストサンプル
を用いて、2mWのレーザ光を照射した時、記録層におけ
るアモルファス→結晶相変態に要する照射時間と反射層
材料の関係を示す図、第4図はZnS基板上に形成したNi
−40at%Cr合金の膜厚と反射率の関係を示す図である。 1……基板、2……反射層、3……透明体層、4……記
録層、6……保護層。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光を吸収して結晶相とアモルファス相との
    間で可逆的に相変態を起こす記録材料層を具備した記録
    層と、前記記録層への光吸収効率を高めるための光反射
    層、及び光の光路長を調節し、記録前後の反射光の変化
    量を大きくするための透明体層とを基板上に備え、前記
    反射層が、Ni−Cr合金を主成分とする薄膜で形成するこ
    とを特徴とする光学情報記録媒体。
  2. 【請求項2】Ni−Cr合金薄膜の組成をNi100−xCrxとし
    た時、xを20≦x≦80の範囲に選ぶことを特徴とする特
    許請求の範囲第1項記載の光学情報記録媒体。
  3. 【請求項3】Ni−Cr合金薄膜中に含まれる酸素量をyat
    %とした時、yを0≦y≦50の範囲に選ぶことを特徴と
    する特許請求の範囲第1項記載の光学情報記録媒体。
  4. 【請求項4】Ni−Cr合金薄膜の膜厚を200〜600Åの範囲
    に選ぶことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の光
    学情報記録媒体。
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